(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120412
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】弾性波装置
(51)【国際特許分類】
H03H 9/145 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
H03H9/145 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027192
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 泰伸
【テーマコード(参考)】
5J097
【Fターム(参考)】
5J097AA26
5J097BB02
5J097FF03
5J097HA02
5J097KK01
5J097KK09
(57)【要約】
【課題】IDT電極の耐電力性を高めることができる、弾性波装置を提供することができる。
【解決手段】本発明の弾性波装置は、圧電性基板2と、圧電性基板2上に設けられている密着層4と、密着層4上に設けられている電極層5とを有するIDT電極3とを備える。電極層5及び密着層4がそれぞれ、主材料である金属元素と、添加物とを含む。電極層5における添加物5Bと、密着層4における添加物4Bとが、同じ元素である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電性基板と、
前記圧電性基板上に設けられている密着層と、前記密着層上に設けられている電極層と、を有するIDT電極と、
を備え、
前記電極層及び前記密着層がそれぞれ、主材料である金属元素と、添加物と、を含み、
前記電極層における前記添加物と、前記密着層における前記添加物とが、同じ元素である、弾性波装置。
【請求項2】
前記密着層において、前記主材料である金属元素と、前記添加物との組み合わせが、前記主材料に前記添加物が固溶した固溶体を形成可能な組み合わせであり、かつ前記主材料に前記添加物が固溶する最大固溶限が5wt%以上となる組み合わせである、請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項3】
前記密着層の前記主材料である金属元素がTiであり、前記添加物が、Ag、Al、Nb、Sn、Ta、V及びZrのうちいずれかである、請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項4】
前記密着層の前記主材料である金属元素がNiであり、前記添加物が、Al、Au、Cu、Cr、Fe、Ga、Mn、Nb、Si、Sn、Ta及びZnのうちいずれかである、請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項5】
前記密着層の前記主材料である金属元素がCrであり、前記添加物が、Al、Au、Ce、Co、Fe、Ga、Mn、Mo、Nb、Ni、Si、Sn、Ta、Ti、V及びWのうちいずれかである、請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項6】
前記電極層の前記主材料である金属元素がCuである、請求項1に記載の弾性波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弾性波装置は携帯電話機のフィルタなどに広く用いられている。下記の特許文献1には、弾性波装置の一例が開示されている。この弾性波装置においては、圧電基板上にIDT(Interdigital Transducer)電極が設けられている。IDT電極は、密着層と、主電極層とを有する。密着層は、圧電基板及び主電極層の間に設けられている。密着層はTiを主成分とする。主電極層は、CuまたはCuを主成分とする合金からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような弾性波装置においては、IDT電極に電力を印加すると、密着層及び主電極層の間において剥離が生じるおそれがある。そのため、IDT電極の耐電力性が十分に高くならない。
【0005】
本発明の目的は、IDT電極の耐電力性を高めることができる、弾性波装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る弾性波装置は、圧電性基板と、前記圧電性基板上に設けられている密着層と、前記密着層上に設けられている電極層とを有するIDT電極とを備え、前記電極層及び前記密着層がそれぞれ、主材料である金属元素と、添加物とを含み、前記電極層における前記添加物と、前記密着層における前記添加物とが、同じ元素である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の弾性波装置によれば、IDT電極の耐電力性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る弾性波装置の正面断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る弾性波装置の平面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態における1本の電極指付近を示す模式的正面断面図である。
【
図4】任意の元素をX及びZとした場合の、2元状態図の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0010】
なお、本明細書に記載の各実施形態は、例示的なものであり、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることを指摘しておく。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る弾性波装置の正面断面図である。
図2は、第1の実施形態に係る弾性波装置の平面図である。なお、
図1は、
図2中のI-I線に沿う断面図である。
【0012】
図1に示すように、弾性波装置1は圧電性基板2を有する。本実施形態においては、圧電性基板2は、圧電材料のみからなる基板である。圧電材料としては、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、水晶、またはPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などを用いることができる。なお、圧電性基板2は圧電性を有する基板であればよい。例えば、圧電性基板2は、圧電体層を含む積層基板であってもよい。
【0013】
圧電性基板2上にはIDT電極3が設けられている。IDT電極3に交流電圧を印加することにより、弾性波が励振される。圧電性基板2上におけるIDT電極3の弾性波伝搬方向両側には、1対の反射器8A及び反射器8Bが設けられている。本実施形態の弾性波装置1は弾性表面波共振子である。なお、本発明の弾性波装置は弾性波共振子に限定されず、例えば、複数の弾性波共振子を含むフィルタ装置やマルチプレクサであってもよい。
【0014】
図2に示すように、IDT電極3は、第1のバスバー6A及び第2のバスバー6Bと、複数の第1の電極指7A及び複数の第2の電極指7Bとを有する。第1のバスバー6A及び第2のバスバー6Bは互いに対向している。第1のバスバー6Aに、複数の第1の電極指7Aの一端がそれぞれ接続されている。第2のバスバー6Bに、複数の第2の電極指7Bの一端がそれぞれ接続されている。複数の第1の電極指7A及び複数の第2の電極指7Bは互いに間挿し合っている。
【0015】
複数の第1の電極指7A及び複数の第2の電極指7Bが延びる方向と、弾性波伝搬方向とは直交する。以下においては、第1の電極指7A及び第2の電極指7Bをまとめて、単に電極指と記載することがある。
【0016】
図3は、第1の実施形態における1本の電極指付近を示す模式的正面断面図である。
図3においては、第1の電極指7A付近を示す。なお、第2の電極指7Bも第1の電極指7Aと同様に構成されている。
【0017】
IDT電極3は、密着層4と、主電極層としての電極層5とを有する。圧電性基板2上に密着層4が設けられている。密着層4上に電極層5が設けられている。より具体的には、密着層4上に直接的に、電極層5が設けられている。密着層4は、主材料4Aである金属元素と、添加物4Bである元素とを含む。同様に、電極層5は、主材料5Aである金属元素と、添加物5Bである元素とを含む。
【0018】
本明細書において、部材の主材料とは、該部材における原子組成百分率が50at%を超える元素をいう。なお、本明細書においては、元素を、電極層5や密着層4を構成する原子と同じ意味として扱うことがある。例えば、元素が個数を有するものとして記載することがある。
【0019】
弾性波装置1のIDT電極3においては、電極層5の主材料5Aである金属元素はCuである。電極層5の添加物5Bである元素はSnである。密着層4の主材料4Aである金属元素はTiである。密着層4の添加物4Bである元素はSnである。もっとも、電極層5における主材料5A及び添加物5B、並びに密着層4における主材料4A及び添加物4Bは上記に限定されない。
【0020】
なお、電極層5は、主材料5Aである金属元素と、添加物5Bと、主材料5A及び添加物5B以外の元素とを含んでいてもよい。そして、該元素と、主材料5Aとにより合金が構成されていてもよい。もっとも、主材料5Aの全てが合金に含まれていなくともよい。すなわち、電極層5は、主材料5Aである金属元素と、添加物5Bと、主材料5A及び添加物5B以外の元素とを含み、かつ該元素及び主材料5Aにより構成された合金を含んでいてもよい。同様に、密着層4は、主材料4Aである金属元素と、添加物4Bと、主材料4A及び添加物4B以外の元素とを含み、かつ該元素及び主材料4Aにより構成された合金を含んでいてもよい。
【0021】
本実施形態の特徴は、電極層5及び密着層4がそれぞれ、主材料と添加物とを含み、電極層5における添加物5Bと、密着層4における添加物4Bとが、同じ元素であることにある。それによって、IDT電極3の耐電力性を高めることができる。
【0022】
ここで、第1の実施形態の構成を有する弾性波装置と、比較例の弾性波装置とにおいて、耐電力性を比較した。比較例は、主電極層としての電極層及び密着層が添加物を含まない点において第1の実施形態と異なる。第1の実施形態の構成を有する弾性波装置、及び比較例の弾性波装置を用意し、各弾性波装置において長時間電力印加試験を行った。この結果、比較例におけるIDT電極が電力の印加により破損するまでの時間よりも、第1の実施形態におけるIDT電極が電力の印加により破損するまでの時間は、2000倍程度長かった。このように、第1の実施形態においては、IDT電極の耐電力性を高めることができる。
【0023】
さらに、第1の実施形態の構成を有する弾性波装置、及び比較例の弾性波装置の故障解析を行った。比較例におけるIDT電極は、主電極層としての電極層及び密着層の間において剥離が生じることにより破損していた。これに対して、第1の実施形態におけるIDT電極においては、破損するまでの時間の長さが比較例の2000倍程度長かったにも関わらず、主電極層としての電極層及び密着層の間において剥離は生じていなかった。なお、電極層における密着層側に位置する部分が破損していた。
【0024】
図3に示す第1の実施形態においては、電極層5及び密着層4の間における密着性を高めることができるため、電極層5及び密着層4の間の剥離によるIDT電極3の破損を生じ難くすることができる。それによって、IDT電極3の耐電力性を高めることができる。これは、電極層5及び密着層4がそれぞれ、主材料と添加物とを含み、電極層5における添加物5Bと、密着層4における添加物4Bとが、同種の元素であることによる。
【0025】
第1の実施形態におけるIDT電極3は、例えば、リフトオフ法を用いることにより形成することができる。具体的には、まず、圧電性基板2を用意する。次に、圧電性基板2上にレジストパターンを設ける。次に、圧電性基板2上及びレジストパターン上にわたり、密着層4の主材料4A用の金属層を設ける。なお、第1の実施形態におけるIDT電極3の形成に際しては、圧電性基板2上に、該金属層としてTi層を設ける。該金属層は、例えば、真空蒸着法またはスパッタリング法により形成することができる。
【0026】
次に、密着層4の主材料4A用の金属層上に、電極層5の主材料5Aである金属元素及び添加物5Bである元素を含む合金層を設ける。なお、第1の実施形態のIDT電極3の形成に際しては、Ti層上に、該合金層としてCu-Sn合金層を設ける。該合金層は、例えば、合金蒸着法、2元蒸着法またはスパッタリング法により形成することができる。
【0027】
次に、レジストパターンを剥離する。これにより、上記金属層及び上記合金層の積層金属膜からなる、電極パターンが形成される。その後、例えば、250℃以上、300℃以下において、4時間程度、熱処理を行う。この熱処理により、上記合金層が含む添加物5Bである元素が、上記金属層に拡散する。なお、第1の実施形態のIDT電極3の形成に際しては、Cu-Sn合金層からSnがTi層に拡散する。この結果、同種の元素Snが密着層4及び電極層5に含まれる。以上により、IDT電極3を得る。
【0028】
上記においては、リフトオフ法を用いてIDT電極3を形成する例を示した。もっとも、例えば、IDT電極3を形成するに際し、圧電性基板2上に上記金属層及び上記合金層の積層金属膜を設けた後に、積層金属膜上にレジストパターンを形成してもよい。次に、エッチングを行うことにより、電極パターンを形成してもよい。該電極パターンの形成後に、レジストパターンを剥離すればよい。その後、熱処理を行ってもよい。
【0029】
これらの例においては、熱処理によって、電極層5用の合金層に含まれる添加物5Bである元素を、密着層4の主材料4A用の金属層に拡散させる。それによって、電極層5及び密着層4の間の界面における原子の配列を複雑にさせることができる。これにより、電極層5及び密着層4の間の密着性を効果的に高めることができ、弾性波装置1の耐電力性を効果的に高めることができる。
【0030】
なお、電極層5用の合金層を設ける前に、密着層4の主材料4A及び添加物4Bを含む合金層を設けてもよい。該合金層は、例えば、合金蒸着法、2元蒸着法またはスパッタリング法により形成することができる。この場合には、上記熱処理を行ってもよく、行わなくともよい。
【0031】
密着層4の主材料4Aには、圧電性基板2及び電極層5との密着性が高い金属元素が選択されることが好ましい。他方、密着層4の添加物4Bは、上記密着性とは無関係に選択することができる。よって、添加物4Bと同種の元素である、電極層5の添加物5Bの選択の自由度も高めることができる。例えば、添加物5Bの電気抵抗が、密着層4の主材料4Aの電気抵抗よりも低いことが好ましい。それによって、IDT電極3の電気抵抗をより確実に低くすることができる。弾性波装置1の電気的特性を高めるために、電極層5の主材料5Aとして電気抵抗が低い金属元素を選択した場合においても、IDT電極3の電気抵抗が高くなることを抑制できる。
【0032】
密着層4において、主材料4Aである金属元素と、添加物4Bとの組み合わせが、主材料4Aに添加物4Bが固溶した固溶体を形成可能な組み合わせであることが好ましい。密着層4において、主材料4Aに添加物4Bが固溶する最大固溶限が5wt%以上であることがより好ましい。これにより、密着層4の強度を高めることができる。よって、IDT電極3の耐電力性を効果的に高めることができる。
図4を用いて、最大固溶限について説明する。
【0033】
図4は、任意の元素をX及びZとした場合の、2元状態図の例を示す図である。なお、
図4中のα固溶体は、元素Xに元素Zが固溶した固溶体である。β固溶体は、元素Zに元素Xが固溶した固溶体である。
図4においては、α固溶体の状態となる範囲を、ハッチングを付して示す。
図4における下側の横軸は、元素Zの原子組成百分率を示す。上側の横軸は、元素Zの重量パーセント濃度を示す。
【0034】
図4中の点Cは、元素Zが100at%であるときの、固体の状態及び液体の状態の境界を示す。点Cにおける温度は、元素Zの融点である。点Fは、元素Zが0at%であり、元素Xが100at%であるときの、固体の状態及び液体の状態の境界を示す。点Fにおける温度は、元素Xの融点である。点D及び点Eはそれぞれ、溶解度線及び固相線の交点である。点Mは共晶点である。点D、点E及び点Mにおける温度は、共晶温度Teである。
【0035】
図3に示す第1の実施形態においては、
図4における元素Xが、密着層4の主材料4Aである金属元素に相当する。元素Zが、密着層4の添加物4Bである元素に相当する。α固溶体は、主材料4Aに添加物4Bが固溶した固溶体に相当する。そして、主材料4Aに添加物4Bが固溶する最大固溶限は、
図4中の点Dにおける重量パーセント濃度に相当する。なお、上記最大固溶限は、原子組成百分率により表わしてもよい。
【0036】
以下において、密着層4においての主材料4Aである金属元素と、添加物4Bである元素との好ましい組み合わせの例を示す。
【0037】
密着層4の主材料4Aである金属元素がTiであり、添加物4Bが、Ag、Al、Nb、Sn、Ta、V及びZrのうちいずれかであることが好ましい。この場合には、主材料4Aに添加物4Bが固溶する最大固溶限を5wt%以上とすることができる。よって、IDT電極3の耐電力性を効果的に高めることができる。
【0038】
密着層4の主材料4Aである金属元素がNiであり、添加物4Bが、Al、Au、Cu、Cr、Fe、Ga、Mn、Nb、Si、Sn、Ta及びZnのうちいずれかであることが好ましい。この組み合わせは、主材料4Aに添加物4Bが固溶する最大固溶限を5wt%以上とすることができる組み合わせである。よって、IDT電極3の耐電力性を効果的に高めることができる。
【0039】
なお、密着層4が、主材料4AであるNi及び添加物4B以外に、例えば、元素Pを含んでいてもよい。そして、密着層4において、Ni-P合金が形成されていてもよい。すなわち、密着層4は、主材料4AであるNiと、添加物4Bと、Pとを含み、かつNi-P合金を含んでいてもよい。あるいは、例えば、密着層4が、主材料4AであるNiと、添加物4Bと、Crとを含み、Ni-Cr合金を含み、かつ添加物4Bが、Al、Au、Cu、Fe、Ga、Mn、Nb、Si、Sn、Ta及びZnのうちいずれかであってもよい。これらの場合においても、IDT電極3の耐電力性を効果的に高めることができる。
【0040】
密着層4の主材料である金属元素がCrであり、添加物である元素が、Al、Au、Ce、Co、Fe、Ga、Mn、Mo、Nb、Ni、Si、Sn、Ta、Ti、V及びWのうちいずれかであることが好ましい。この場合には、主材料4Aに添加物4Bが固溶する最大固溶限を5wt%以上とすることができる。よって、IDT電極3の耐電力性を効果的に高めることができる。
【0041】
ところで、従来において、IDT電極の材料としてCuを用いた場合には、弾性波装置の電気的特性を高めることができる一方で、耐電力性が十分に高くならないことがあった。これに対して、
図3に示す第1の実施形態においては、主電極層としての電極層5の主材料5AがCuを主成分とする場合においても、耐電力性を高めることができる。このことから、主材料5AがCuであることが好ましい。この場合、本発明が特に好適である。なお、電極層5が、主材料5AであるCuと、添加物5Bと、Cu及び添加物5B以外の元素とを含み、かつ該元素及びCuにより構成された合金を含んでいてもよい。
【0042】
以下において、本発明に係る弾性波装置の形態の例をまとめて記載する。
【0043】
<1>圧電性基板と、前記圧電性基板上に設けられている密着層と、前記密着層上に設けられている電極層と、を有するIDT電極と、を備え、前記電極層及び前記密着層がそれぞれ、主材料である金属元素と、添加物と、を含み、前記電極層における前記添加物と、前記密着層における前記添加物とが、同じ元素である、弾性波装置。
【0044】
<2>前記密着層において、前記主材料である金属元素と、前記添加物との組み合わせが、前記主材料に前記添加物が固溶した固溶体を形成可能な組み合わせであり、かつ前記主材料に前記添加物が固溶する最大固溶限が5wt%以上となる組み合わせである、<1>に記載の弾性波装置。
【0045】
<3>前記密着層の前記主材料である金属元素がTiであり、前記添加物が、Ag、Al、Nb、Sn、Ta、V及びZrのうちいずれかである、<1>または<2>に記載の弾性波装置。
【0046】
<4>前記密着層の前記主材料である金属元素がNiであり、前記添加物が、Al、Au、Cu、Cr、Fe、Ga、Mn、Nb、Si、Sn、Ta及びZnのうちいずれかである、<1>または<2>に記載の弾性波装置。
【0047】
<5>前記密着層の前記主材料である金属元素がCrであり、前記添加物が、Al、Au、Ce、Co、Fe、Ga、Mn、Mo、Nb、Ni、Si、Sn、Ta、Ti、V及びWのうちいずれかである、<1>または<2>に記載の弾性波装置。
【0048】
<6>前記電極層の前記主材料である金属元素がCuである、<1>~<5>のいずれか1つに記載の弾性波装置。
【符号の説明】
【0049】
1…弾性波装置
2…圧電性基板
3…IDT電極
4…密着層
4A…主材料
4B…添加物
5…電極層
5A…主材料
5B…添加物
6A,6B…第1,第2のバスバー
7A,7B…第1,第2の電極指
8A,8B…反射器