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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120414
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】スクロール流体機械
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
F04C18/02 311U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027198
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】390028495
【氏名又は名称】アネスト岩田株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】落合 徹也
(72)【発明者】
【氏名】大渕 佑真
(72)【発明者】
【氏名】武田 和樹
【テーマコード(参考)】
3H039
【Fターム(参考)】
3H039AA02
3H039AA12
3H039BB28
3H039CC02
3H039CC03
3H039CC08
3H039CC28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スクロール流体機械の効率を向上する。
【解決手段】スクロール流体機械は、渦巻き状の固定ラップが設けられた固定スクロールと、旋回ラップが設けられた旋回スクロールと、を備える。固定主面52のうち、固定ラップにおいて最も外側に位置する固定ラップ最外周面53sより外側の領域52sには、旋回ラップの旋回ラップ端面が接する摺動面部と、摺動面部に対して窪むと共に旋回ラップを超えて作動流体を流すための中間短絡流路部56と、固定取込口54と、が設けられている。旋回ラップの旋回ラップ先端部が固定ラップ最外周面53sに接触しない期間は、旋回ラップが中間短絡流路部56に重複することにより、旋回ラップを超えて作動流体が流れる期間を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定主面から起立する渦巻き状の固定ラップ及び作動流体の固定取込口が設けられた固定スクロールと、
前記固定スクロールに対して旋回運動する旋回スクロールであって、前記固定ラップが摺動可能である旋回主面から起立すると共に前記固定主面に対して摺動可能な渦巻き状の旋回ラップが設けられた前記旋回スクロールと、を備え、
前記固定主面のうち、前記固定ラップにおいて最も外側に位置する固定ラップ最外周面より外側には、前記旋回ラップの旋回ラップ端面が接する摺動面部と、前記摺動面部に対して窪むと共に前記旋回ラップを超えて前記作動流体を流すための短絡流路部と、前記固定取込口と、が設けられており、
前記旋回ラップの旋回ラップ先端部が前記固定ラップ最外周面に接触しない期間は、前記旋回ラップが前記短絡流路部に重複することにより、前記旋回ラップを超えて前記作動流体が流れる期間を含む、スクロール流体機械。
【請求項2】
前記旋回ラップ先端部が前記固定ラップ最外周面に接触する期間は、前記旋回ラップが前記短絡流路部に重複することにより、前記旋回ラップを超えて前記作動流体が流れる期間を含まない、請求項1に記載のスクロール流体機械。
【請求項3】
前記固定ラップは、前記旋回ラップ先端部が接触可能な固定ラップ外側基点部と、前記旋回ラップ先端部が前記固定ラップ外側基点部に接触したときに、前記固定ラップ最外周面において前記旋回ラップ先端部とは別の部位が接触可能な固定ラップ内側基点部と、を含み、
前記旋回ラップは、前記固定ラップ内側基点部に接触可能な旋回ラップ接触部と、前記旋回ラップ接触部から前記旋回ラップ先端部の間に延びる旋回ラップ外周円弧部と、を含み、
前記旋回ラップ先端部が前記固定ラップ最外周面に接触しない期間は、前記旋回ラップ外周円弧部が前記短絡流路部に重複することにより、前記旋回ラップを超えて前記作動流体が流れる期間を含む、請求項1に記載のスクロール流体機械。
【請求項4】
前記短絡流路部は、前記固定取込口とつながっている、請求項1に記載のスクロール流体機械。
【請求項5】
前記旋回ラップ先端部が前記固定ラップ最外周面に接触しない期間は、前記旋回ラップ先端部が前記短絡流路部に重複することにより、前記旋回ラップを超えて前記作動流体が流れる期間を含む、請求項1に記載のスクロール流体機械。
【請求項6】
前記旋回ラップ先端部が前記固定ラップ最外周面に接触しない期間は、前記旋回ラップ先端部が前記固定ラップ最外周面から離間する方向に移動する期間と、前記旋回ラップ先端部が前記固定ラップ最外周面へ近づく方向に移動する期間と、を含み、
前記離間する方向に移動する期間は、前記旋回ラップ先端部が前記短絡流路部に重複することにより、前記旋回ラップを超えて前記作動流体が流れる期間を含む、請求項5に記載のスクロール流体機械。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクロール流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のスクロール流体機械は、第1固定スクロールと揺動固定スクロールとにより構成されたサブ圧縮機構を備えている。このスクロール流体機械は、揺動スクロールの1回転中のポート開口面積の変動を抑制することによって、効率の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/125608号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スクロール流体機械の効率を示す指標として、スクロール流体機械に与えたエネルギに対して出力される作動流体の量が挙げられる。この指標によれば、効率の向上とは、与えたエネルギに対して出力される作動流体の量を増加させることであると言える。
【0005】
例えば、出力可能な作動流体の量は、スクロール流体機械に取り込んだ作動流体の状態に依存する。作動流体の状態として、圧縮前の作動流体の密度が例示できる。このような作動流体の状態に関する要因などを解決することによって、効率の向上が可能なスクロール流体機械が望まれていた。
【0006】
本発明は、効率の向上が可能なスクロール流体機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態のスクロール流体機械は、固定主面から起立する渦巻き状の固定ラップ及び作動流体の固定取込口が設けられた固定スクロールと、固定スクロールに対して旋回運動する旋回スクロールであって、固定ラップが摺動可能である旋回主面から起立すると共に固定主面に対して摺動可能な渦巻き状の旋回ラップが設けられた旋回スクロールと、を備え、固定主面のうち、固定ラップにおいて最も外側に位置する固定ラップ最外周面より外側には、旋回ラップの旋回ラップ端面が接する摺動面部と、摺動面部に対して窪むと共に旋回ラップを超えて作動流体を流すための短絡流路部と、固定取込口と、が設けられており、旋回ラップの旋回ラップ先端部が固定ラップ最外周面に接触しない期間は、旋回ラップが短絡流路部に重複することにより、旋回ラップを超えて作動流体が流れる期間を含む。
【0008】
固定主面のうち、固定ラップ最外周面よりも外側の領域には、固定主面に摺動可能な摺動面部に対して窪む短絡流路部と、固定取込口とが設けられている。これにより、固定取込口から固定ラップ最外周面より外側に作動流体が流れ込む。また、旋回ラップ先端部が固定ラップ最外周面に接触しないとき、旋回ラップは短絡流路部に重複する期間を含む。旋回ラップが短絡流路部に重複する期間においては、流れ込んだ作動流体の一部は短絡流路部を経由することによって、旋回ラップを超えて、固定ラップ最外周面と旋回ラップとの間に流れ込む。この場合、作動流体の一部は、短絡流路部を経由する経路を流れることによって、旋回ラップ先端部を通過する経路よりも短い経路を経て、固定ラップ最外周面と旋回ラップとの間に移動する。これにより、作動流体の全部が固定主面上を流れ、旋回ラップ先端部を通過して、固定ラップ最外周面と旋回ラップとの間に移動する場合と比較して、スクロール流体機械の効率が向上する。その結果、スクロール流体機械の効率を向上することができる。
【0009】
上記のスクロール流体機械において、旋回ラップ先端部が固定ラップ最外周面に接触する期間は、旋回ラップが短絡流路部に重複することにより、旋回ラップを超えて作動流体が流れる期間を含まなくてよい。この構成によっても、スクロール流体機械の効率を向上することができる。
【0010】
上記のスクロール流体機械において、固定ラップは、旋回ラップ先端部が接触可能な固定ラップ外側基点部と、旋回ラップ先端部が固定ラップ外側基点部に接触したときに、固定ラップ最外周面において旋回ラップ先端部とは別の部位が接触可能な固定ラップ内側基点部と、を含み、旋回ラップは、固定ラップ内側基点部に接触可能な旋回ラップ接触部と、旋回ラップ接触部から旋回ラップ先端部の間に延びる旋回ラップ外周円弧部と、を含み、旋回ラップ先端部が固定ラップ最外周面に接触しない期間は、旋回ラップ外周円弧部が短絡流路部に重複することにより、旋回ラップを超えて作動流体が流れる期間を含んでよい。この構成によれば、作動流体が固定取込口から取り入れられてから圧縮が開始されるまでの間に、作動流体の温度が上昇することを抑制できる。その結果、スクロール流体機械に取り込んだ作動流体の状態を所望の状態とすることが可能であるので、スクロール流体機械の効率を向上することができる。
【0011】
上記のスクロール流体機械において、短絡流路部は、固定取込口とつながってもよい。この構成によっても、作動流体の温度の上昇を抑制することが可能であるので、スクロール流体機械の効率を向上することができる。
【0012】
上記のスクロール流体機械において、旋回ラップ先端部が固定ラップ最外周面に接触しない期間は、旋回ラップ先端部が短絡流路部に重複することにより、旋回ラップを超えて作動流体が流れる期間を含んでよい。この構成によれば、旋回ラップと固定ラップとの間に形成される流路の拡大に対応するように、十分な量の作動流体を流路に移動させることができる。その結果、拡大する流路における圧力の低下が抑制されるので、スクロール流体機械の効率を向上することができる。
【0013】
上記のスクロール流体機械において、旋回ラップ先端部が固定ラップ最外周面に接触しない期間は、旋回ラップ先端部が固定ラップ最外周面から離間する方向に移動する期間と、旋回ラップ先端部が固定ラップ最外周面へ近づく方向に移動する期間と、を含み、離間する方向に移動する期間は、旋回ラップ先端部が短絡流路部に重複することにより、旋回ラップを超えて作動流体が流れる期間を含んでよい。この構成によっても、十分な量の作動流体を流路に移動させることが可能であるので、スクロール流体機械の効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスクロール流体機械は、効率の向上が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、スクロール流体機械の斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る固定スクロールモジュールの平面図である。
図3図3は、旋回スクロールモジュールの平面図である。
図4図4は、中間短絡流路部を拡大して示す平面図である。
図5図5(a)は、図2のVa-Va断面を示す図である。図5(b)は、図2において接触状態であるときのVb-Vb断面を示す図である。図5(c)は、図2において非接触状態であるときのVb-Vb断面を示す図である。
図6図6(a)は、図2のVIa-VIa断面を示す図である。図6(b)は、図2のVIb-VIb断面を示す図である。
図7図7(a)は、第1状態であるときの旋回ラップと固定ラップとを模式的に示す図である。図7(b)は、第2状態であるときの旋回ラップと固定ラップとを模式的に示す図である。
図8図8(a)は、第3状態であるときの旋回ラップと固定ラップとを模式的に示す図である。図8(b)は、第4状態であるときの旋回ラップと固定ラップとを模式的に示す図である。
図9図9(a)は、第5状態であるときの旋回ラップと固定ラップとを模式的に示す図である。図9(b)は、第6状態であるときの旋回ラップと固定ラップとを模式的に示す図である。
図10図10(a)は、第7状態であるときの旋回ラップと固定ラップとを模式的に示す図である。図10(b)は、第8状態であるときの旋回ラップと固定ラップとを模式的に示す図である。
図11図11は、第1状態であるときの旋回ラップと固定ラップとを示す図である。
図12図12は、第3状態であるときの旋回ラップと固定ラップとを示す図である。
図13図13は、第8状態であるときの旋回ラップと固定ラップとを示す図である。
図14図14は、変形例1に係る固定スクロールの平面図である。
図15図15は、変形例2に係る固定スクロールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係るスクロール流体機械を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1に示されるスクロール流体機械1は、作動流体を圧縮し、圧縮された作動流体を吐出する。作動流体は、例えば、空気である。図1に示すように、スクロール流体機械1は、フィルタ部2と、動力伝達部3と、圧縮部4とを備える。
【0018】
フィルタ部2は、スクロール流体機械1の外界に存在する作動流体を取り込む。フィルタ部2は、フィルタハウジング21を有する。フィルタハウジング21は、円筒状の形状を有する。フィルタハウジング21の内部には、フィルタが収容されている。フィルタハウジング21の内部に取り込まれた作動流体は、フィルタによって浄化される。フィルタハウジング21は、後述の固定取込口54と空間的に接続されている。浄化された作動流体は、固定取込口54(図2参照)を経由して圧縮部4に送り込まれる。
【0019】
動力伝達部3は、動力源が生み出す動力を圧縮部4に伝達する。動力伝達部3が動力を伝達することによって、後述する圧縮部4の旋回スクロールモジュール6(図3参照)を旋回させる。
【0020】
圧縮部4は、作動流体を圧縮する。圧縮部4は、圧縮ハウジング4aを備える。圧縮ハウジング4aは、フィルタハウジング21と連結されている。圧縮ハウジング4aは、作動流体を圧縮するための圧縮室を収容する。圧縮部4は、固定スクロールモジュール5と旋回スクロールモジュール6とを備える。圧縮室は、主に固定スクロールモジュール5と、旋回スクロールモジュール6とによって構成される。
【0021】
<固定スクロール>
図2を参照して、固定スクロールモジュール5を詳細に説明する。固定スクロールモジュール5は、圧縮ハウジング4aに固定された状態で、圧縮ハウジング4aに収容されている。固定スクロールモジュール5は、固定スクロール5Sと、固定スクロールフランジ5Fとを有する。固定スクロールフランジ5Fは、圧縮ハウジング4aに固定するための部分である。固定スクロールモジュール5は、4個の固定スクロールフランジ5Fを有する。4個の固定スクロールフランジ5Fは、固定スクロール5Sの第2方向D2における両側のそれぞれ、及び固定スクロール5Sの第3方向D3における両側のそれぞれに設けられている。
【0022】
固定スクロール5Sは、固定スクロール周壁51と、周壁チップシール511とを備える。固定スクロール周壁51は、第1方向D1に向かって起立すると共に、固定スクロール5Sの中心軸線のまわりに一周するように延在している。固定スクロール周壁51の形状は、第1方向D1から見て円環である。
【0023】
周壁チップシール511は、圧縮室を気密に保つ。周壁チップシール511は、固定スクロール周壁51の固定周壁端面51tに設けられている。具体的には、周壁チップシール511は、固定周壁端面51tに設けられた凹部に収容されている。周壁チップシール511は、固定スクロール周壁51の中心軸線のまわりに一周するように延在している。周壁チップシール511の長さは、固定スクロール周壁51の中心軸線のまわりの一周分よりも僅かに長い。よって、周壁チップシール511の一端を含む周壁チップシール511の一部と、周壁チップシール511の他端を含む周壁チップシール511の一部とは、固定スクロール周壁51の周方向において重なる。周方向は、固定スクロール5Sの中心軸線回りに沿った方向である。固定スクロール周壁51の周方向において重なる周壁チップシール511の部分同士は、連結されてもよい。
【0024】
固定スクロール5Sは、固定主面52と、固定ラップ53と、固定ラップチップシール531と、固定取込口54と、固定吐出口55と、さらに備える。固定取込口54から受け入れられた作動流体は、固定主面52及び固定ラップ53により構成される流路を通過して、固定吐出口55に至る。以下の説明において、「時計回り」及び「反時計回り」の用語を用いることがある。「時計回り」及び「反時計回り」は、図2に示すように、旋回スクロール6S側から固定スクロール5Sを見た場合を基準とする。
【0025】
固定主面52は、後述する旋回スクロールモジュール6が摺動する。固定主面52は、固定スクロール周壁51によって囲まれる。固定主面52は、例えば、鏡面加工された鏡面であってもよい。
【0026】
固定ラップ53は、旋回ラップ63と協働して密閉空間を形成することができる。固定ラップ53は、固定主面52から起立している。固定ラップ53は、第1方向D1から見て渦巻き状の形状を有する。より詳細には、固定ラップ53は、第1方向D1から見てインボリュート曲線の形状を有する。固定ラップ53は、固定ラップ先端部53aと、固定ラップ基端部53bとを有する。固定ラップ先端部53aは、固定ラップ53の延在方向における両端のうち中心軸線により近い一端部である。固定ラップ基端部53bは、上記一端部と反対側の他端部である。固定ラップ基端部53bは、固定スクロール周壁51と連結されている。固定ラップ53は、固定ラップ先端部53aから固定ラップ基端部53bに向かって時計回りに巻かれている。
【0027】
固定ラップ53は、固定ラップ最外周面53sを有する。固定ラップ最外周面53sは、固定スクロール5Sの中心から最も遠い面である。より詳細には、固定ラップ最外周面53sは、固定ラップ53のうち交差部53tから固定ラップ基端部53bまで延在している部分である。交差部53tは、固定ラップ基端部53bから固定スクロール5Sの中心に向かって延びる仮想線Lと交差する固定ラップ53の部分のうち、固定ラップ基端部53bの次に固定スクロール5Sの中心から遠い部分である。
【0028】
固定ラップチップシール531は、固定ラップ53と旋回ラップ63とによって形成される空間を気密に保つ。固定ラップチップシール531は、固定ラップ53の第1方向D1における固定ラップ端面53eに設けられている。具体的には、固定ラップチップシール531は、固定ラップ端面53eに設けられた凹部に収容されている。固定ラップチップシール531の一部は、固定周壁端面51tにも設けられている。固定ラップチップシール531は、固定ラップ先端部53aから固定ラップ53に沿って固定ラップ基端部53bまで延在する。さらに、固定ラップチップシール531は、固定ラップ基端部53bからさらに固定スクロール周壁51に沿って延在している。
【0029】
固定取込口54は、作動流体を取り込むための開口である。固定取込口54は、フィルタハウジング21の内部空間と接続されている。固定取込口54は、固定主面52のうち、固定ラップ最外周面53sよりも外側の領域52sに設けられている。固定取込口54は、平面視して固定スクロール周壁51に隣接している。
【0030】
固定吐出口55は、圧縮された作動流体を吐出するための開口である。固定吐出口55は、高圧タンクに接続されていてもよい。固定吐出口55は、固定スクロール5Sの中心に設けられている。固定ラップ53のうち、固定ラップ先端部53aを含む一部は、固定吐出口55の外周に沿って延在している。
【0031】
<旋回スクロール>
図3を参照して、旋回スクロールモジュール6を詳細に説明する。旋回スクロールモジュール6は、固定スクロールモジュール5に対して旋回運動することが可能な状態で、圧縮ハウジング4aに収容されている。旋回スクロールモジュール6は、動力伝達部3から動力を伝達されることによって旋回する。旋回スクロールモジュール6は、旋回スクロール6Sを有する。そして、旋回スクロール6Sは、旋回主面62と、旋回ラップ63と、旋回ラップチップシール63Cとを備える。
【0032】
旋回主面62には、固定ラップ53が摺動可能に当接する。旋回主面62は、例えば、鏡面加工された鏡面であってもよい。
【0033】
旋回ラップ63は、密閉空間を形成するために用いられる部材である。旋回ラップ63は、固定主面52に対して摺動することが可能である。旋回ラップ63は、旋回主面62から起立している。旋回ラップ63は、第1方向D1から見て渦巻き状の形状を有する。より詳細には、旋回ラップ63は、第1方向D1から見てインボリュート曲線の形状を有する。旋回ラップ63は、旋回ラップ63の延在方向における両端のうち中心軸線により近い一端部である旋回ラップ内端部631と、上記一端部と反対側の他端部である旋回ラップ先端部632とを有する。旋回ラップ63は、平面視で旋回ラップ内端部631から、旋回ラップ先端部632に向かって反時計回りに巻かれている。
【0034】
旋回スクロールモジュール6は、固定スクロールモジュール5に対向して配置されている。旋回スクロールモジュール6が固定スクロールモジュール5に対向して配置された状態において、中心軸線から外側に向かって固定ラップ53と旋回ラップ63とが交互に配置されている。
【0035】
旋回ラップチップシール63Cは、固定ラップ53と旋回ラップ63とによって取り囲まれる空間を気密に保つ。旋回ラップチップシール63Cは、旋回ラップ63の第1方向D1における旋回ラップ端面63tに設けられている。旋回ラップチップシール63Cは、旋回ラップ内端部631から旋回ラップ先端部632まで延在している。旋回ラップチップシール63Cは、旋回ラップ端面63tに設けられた凹部に収容されている。
【0036】
次に、再び図2を参照しながら、固定スクロールモジュール5が備える2つの短絡流路部56、57について、一方を中間短絡流路部56、他方を先端短絡流路部57として詳細に説明する。図2に示すように、固定スクロールモジュール5の固定主面52は、旋回ラップ63が摺動可能な摺動面部521と、摺動面部521に対して窪んでいる中間短絡流路部56及び先端短絡流路部57を有する。
【0037】
<中間短絡流路部>
中間短絡流路部56は、固定主面52のうち、固定ラップ最外周面53sよりも外側の領域52sに設けられている。領域52sは、固定スクロール周壁51の内周面51sと固定ラップ最外周面53sとの間の領域である。
【0038】
図4に示すように、中間短絡流路部56は、第1流路溝561と、第2流路溝562と、を含む。第1流路溝561及び第2流路溝562は、固定取込口54に連結されている。第1流路溝561及び第2流路溝562は、周方向に沿って固定取込口54を挟む。
【0039】
第1流路溝561は、固定取込口54から時計回りの方向に延在している。第1流路溝561は、湾曲した矩形状の形状を有する。第1流路溝561は、第1溝端面561aと、第1溝内面561bと、第1溝外面561cと、第1溝底面561dと、に囲まれた領域である。第1溝内面561bは、固定スクロール5Sの径方向における縁のうち、固定スクロール5Sの中心により近い縁である。径方向は、固定スクロール5Sの中心軸線から遠ざかる方向である。第1溝内面561bは、外側に向かって湾曲している。第1溝外面561cは、固定スクロール5Sの径方向における縁のうち、固定スクロール5Sの中心からより遠い縁である。
【0040】
第1流路溝561の機能について説明する。
【0041】
図5(a)は、図2のVa-Va断面の拡大図である。Va-Va断面においては、第1流路溝561は、固定主面52に設けられていない。旋回スクロール6Sの旋回に伴って、旋回ラップ63が矢印DRの方向に往復移動する。しかし、旋回ラップ端面63tは、常に摺動面部521に接しているから、作動流体は、この断面において、旋回ラップ63を超えて流路部F1から流路部F2に移動することはない。
【0042】
図5(b)及び図5(c)は、図2のVb-Vb断面の拡大図である。Vb-Vb断面においては、第1流路溝561は、固定主面52に設けられている。旋回スクロール6Sの旋回に伴って旋回ラップ63が矢印DRの方向に往復移動する。その結果、旋回ラップ端面63tが摺動面部521に接する接触状態SA1(図5(b)参照)と、旋回ラップ端面63tが摺動面部521に接しない非接触状態SB1(図5(c)参照)と、が選択的に構成される。摺動面部521に接しない非接触状態SB1とは、つまり、旋回ラップ63が第1流路溝561に重複したときに形成される。非接触状態SB1であるとき、旋回ラップ端面63tと第1流路溝561の第1溝底面561dとの間に隙間が形成される。非接触状態SB1であるとき、固定取込口54につながっている流路部F1は、第1流路溝561を介して流路部F2とつながっている。したがって、作動流体Wは、この断面において、非接触状態SB1であるときに流路部F1から流路部F2に第1流路溝561を経由して移動することができる。つまり、中間短絡流路部56は、非接触状態SB1であるときに、流路部F1を流路部F2に短絡する機能を発揮する。
【0043】
第1流路溝561によれば、周方向に直交するある断面において、流路部F1から流路部F2への作動流体Wの移動を禁止する接触状態SA1と、流路部F1から流路部F2への作動流体Wの移動を許可する非接触状態SB1と、を交互に切り替えることができる。接触状態SA1と非接触状態SB1との切り替えは、旋回ラップ63の運動において、径方向の成分の移動を利用したものであると言える。なぜならば、第1流路溝561は、径方向において、固定ラップ最外周面53sと固定スクロール周壁51の内周面51sとの間の流路の一部に設けられているためである。つまり、固定主面52の領域52sは、第1流路溝561が設けられた部分52s1と、設けられていない摺動領域52s2と、を含む。
【0044】
図4に示すように、第2流路溝562は、固定取込口54から反時計回りの方向に延在している。第2流路溝562は、湾曲した矩形状の形状を有する。第2流路溝562の周方向における長さは、第1流路溝561の周方向における長さよりも短い。第2流路溝562の幅は、第1流路溝561の幅よりも短い。すなわち、第2流路溝562の径方向における長さは、第1流路溝561の径方向における長さよりも短い。
【0045】
第2流路溝562は、第2溝端面562aと、第2溝内面562bと、第2溝外面562cと、第2溝底面562dと、に囲まれた領域である。第2溝内面562bは、固定スクロール5Sの径方向における縁のうち、固定スクロール5Sの中心により近い縁である。第2溝内面562bは、外側に向かって湾曲している。第2溝外面562cは、固定スクロール5Sの径方向における縁のうち、固定スクロール5Sの中心からより遠い縁である。第2溝底面562dは、後述する旋回ラップ端面63tから遠ざかるように窪んでいる。
【0046】
第2流路溝562も、第1流路溝561と同様に、周方向に直交するある断面において、流路部F1から流路部F2への作動流体Wの移動を禁止する接触状態SA1と、流路部F1から流路部F2への作動流体Wの移動を許可する非接触状態SB1と、を交互に切り替えることができる。
【0047】
<固定取込口>
固定取込口54は、第1取込口端54aと、第2取込口端54sと、取込口内面54bと、取込口外面54cと、に囲まれた領域である。固定取込口54は、貫通穴であるから、底面は有していない。第2取込口端54sは、第1流路溝561の反時計回り側の端を規定する。第1取込口端54aは、第2流路溝562の時計回り側の端を規定する。第1溝内面561b、第2溝内面562b及び取込口内面54bは、なめらかにつながっている。第1溝外面561c、第2溝外面562c及び取込口外面54cは、なめらかにつながっている。
【0048】
<先端短絡流路部>
図2に示すように、先端短絡流路部57は、固定取込口54に対して時計回りに所定角度だけずれた位置に設けられている。例えば、図2では、先端短絡流路部57は、固定取込口54に対して時計回りに約90度ずれた位置に設けられている。先端短絡流路部57は、第3流路溝571を含む。第3流路溝571は、平面視して半円の形状を有する。第3流路溝571は、第3溝端部571sと、第3溝円弧部571aと、第3溝底面571dと、を有する。第3溝端部571sは、固定ラップ最外周面53sから固定スクロール周壁51に向かって延在している。第3溝円弧部571aは、第3溝端部571sから時計回りの向きに向かって湾曲した形状を有する。先端短絡流路部57は、後述する旋回ラップ端面63tから遠ざかるように窪んでいる。より詳細には、第3溝底面571dは、後述する旋回ラップ端面63tから遠ざかるように窪んでいる。先端短絡流路部57は、固定主面52における固定ラップ最外周面53sと固定スクロール周壁51の内周面51sとの間の領域において、径方向における大部分に設けられている。
【0049】
先端短絡流路部57の機能について説明する。
【0050】
図6(a)及び図6(b)に示すように、中間短絡流路部56と同様に、先端短絡流路部57も旋回ラップ63と協働して、接触状態SA2(図6(a)参照)と、非接触状態SB2(図6(b)参照)と、を交互に切り替える。
【0051】
図6(a)は、図2のVIa-VIa断面の拡大図である。図6(a)は、接触状態SA2を示す。接触状態SA2であるとき、旋回ラップ端面63tは、摺動面部521に接する。接触状態SA2であるとき、作動流体Wは、旋回ラップ先端部632を回り込んで流路部F1から流路部F2へ移動するもの(W57a)だけであり、先端短絡流路部57を経由して流路部F1から流路部F2へ移動するもの(W57b)を含まない。
【0052】
図6(b)は、図2のVIb-VIb断面の拡大図である。図6(b)は、非接触状態SB2を示す。非接触状態SB2であるとき、平面視して先端短絡流路部57に重複する旋回ラップ63の一部において、当該一部分に対応する旋回ラップ端面63tは、摺動面部521に接しない。つまり、旋回ラップ端面63tと先端短絡流路部57の第3溝底面571dとの間には、隙間が形成される。非接触状態SB2であるとき、作動流体Wは、旋回ラップ先端部632を回り込んで流路部F1から流路部F2へ移動するもの(W57a)と、先端短絡流路部57を経由して流路部F1から流路部F2へ移動するもの(W57b)とを含む。
【0053】
<動作>
図7図13を参照して、旋回スクロールモジュール6が固定スクロールモジュール5に対して旋回するときの作動流体Wの流れを詳細に説明する。旋回ラップ63は、旋回ラップ内端部631が固定吐出口55の外周に沿って移動するように旋回する。
【0054】
図7(a)及び図11は、初期状態としての第1状態S1を示す。第1状態S1であるとき、旋回ラップ先端部632は、固定ラップ外側基点部53pに接触している。さらに、旋回ラップ63の固定ラップ内側基点部53rは、旋回ラップ接触部63uに接触している。この状態であるとき、旋回ラップ先端部632から旋回ラップ接触部63uまでの間が、旋回ラップ外周円弧部63rとして定義できる。さらに、この状態であるとき、固定ラップ53及び旋回ラップ63は、閉鎖されたポケットP1を形成する。閉鎖されたポケットP1は、作動流体Wを受け入れない。
【0055】
第1状態S1であるとき、旋回ラップ63は、中間短絡流路部56及び固定取込口54に重複しない。つまり、第1状態S1であるとき、旋回ラップ63は、接触状態SA1(図5(b)参照)である。また、第1状態S1であるとき、旋回ラップ63は、先端短絡流路部57にも重複しない。つまり、第1状態S1であるとき、旋回ラップ63は、接触状態SA2(図6(a)参照)である。
【0056】
図7(b)は、第2状態S2を示す。第2状態S2は、第1状態S1から旋回ラップ63が反時計回りに45度だけ旋回した状態である。第1状態S1を基準とすると、回転角度は45度である。
【0057】
第2状態S2であるとき、旋回ラップ先端部632は、固定ラップ外側基点部53pから離間する。第2状態S2から第8状態S8までの期間は「旋回ラップ先端部632が固定ラップ最外周面53sに接触しない期間」に対応する。その一方で、固定ラップ53と旋回ラップ63との接触点PSは、反時計回りに移動する。その結果、旋回ラップ先端部632から接触点PSまでの間には新たな流路部F2が形成され始める。この流路部F2は、後に閉鎖されたポケットとなり得る。接触点PSは、固定ラップ53に沿う反時計まわりの移動を継続する。接触点PSの移動に伴って、流路部F2が拡大していく。
【0058】
第2状態S2であるとき、旋回ラップ63の旋回ラップ外周円弧部63rは、中間短絡流路部56に重複しない。つまり、第2状態S2であるときも、旋回ラップ63は、接触状態SA1(図5(b)参照)である。一方、第2状態S2であるとき、旋回ラップ先端部632は、先端短絡流路部57に重複する。つまり、第2状態S2であるとき、旋回ラップ63は、非接触状態SB2(図6(b)参照)である。そして、第2状態S2から第5状態S5までの期間は「旋回ラップ先端部632が先端短絡流路部57に重複する期間」に対応する。さらに、第2状態S2から第5状態S5までの期間は「旋回ラップ先端部632が固定ラップ最外周面53sから離間する方向に移動する期間」に対応する。
【0059】
ところで、第2状態S2であるときには、流路部F2が形成されることはすでに述べた。第1状態S1であるときには、旋回ラップ先端部632が固定ラップ外側基点部53pに接触しているから、厳密に言えば流路部F2は存在していない。換言すると、第1状態S1であるとき、流路部F2の体積はゼロである。このような状態から、旋回ラップ先端部632が固定ラップ外側基点部53pから離間した場合には、離間して形成された空間に、作動流体Wが流入することによって、新たに形成された流路部F2の圧力が維持される。流路部F2が拡大する速度に対して、流路部F2へ移動する作動流体Wの体積が少ない場合には、流路部F2において圧力の低下が生じる可能性がある。
【0060】
先端短絡流路部57は、拡大する流路部F2に対して十分な作動流体Wを移動させる機能を奏する。仮に、先端短絡流路部57が存在しない場合には、流路部F2に移動する作動流体Wは、流路部F1から旋回ラップ先端部632を回り込んで流路部F2に移動するもの(W57a)に限定される。一方、固定スクロールモジュール5には先端短絡流路部57が設けられているので、流路部F2に移動する作動流体Wは、旋回ラップ先端部632を回り込んで流路部F2に移動するもの(W57a)に加えて、さらに、先端短絡流路部57を経由して流路部F2に移動するもの(W57b)が存在する。したがって、流路部F2が拡大する速度に対して、流路部F2へ十分な体積の作動流体Wを移動させることができる。その結果、流路部F2の拡大に伴う流路部F2の圧力低下を抑制できる。
【0061】
図8(a)及び図12は、第3状態S3を示す。第3状態S3は、第2状態S2から旋回ラップ63が反時計回りにさらに45度だけ旋回した状態である。第1状態S1を基準とすると、回転角度は90度である。
【0062】
第3状態S3であるとき、旋回ラップ先端部632は、固定ラップ外側基点部53pからさらに離間する。第3状態S3であるとき、旋回ラップ63の旋回ラップ外周円弧部63rは、中間短絡流路部56に重複しない。つまり、第3状態S3であるときも、旋回ラップ63は、接触状態SA1(図5(b)参照)である。一方、第3状態S3であるとき、旋回ラップ先端部632は、先端短絡流路部57に依然として重複する。つまり、第3状態S3であるとき、旋回ラップ63は、非接触状態SB2(図6(b)参照)である。その結果、流路部F2(ポケット)には、旋回ラップ先端部632を回り込んで移動する作動流体W57aと、先端短絡流路部57を経由して移動する作動流体W57bと、が流入する。
【0063】
なお、旋回ラップ63には、旋回ラップチップシール63Cが取り付けられている。より厳密には、旋回ラップ63は、旋回ラップチップシール63Cが取り付けられていない領域も含む。例えば、旋回ラップ先端部632には旋回ラップチップシール63Cが設けられていなくてもよい。換言すると、旋回ラップ先端部632は、旋回ラップ63において旋回ラップチップシール63Cが設けられていない部分として定義してもよい。旋回ラップ先端部632が先端短絡流路部57に重複すると、旋回ラップ端面63tと第3溝底面571dとの間に隙間が生じる。仮に、旋回ラップ端面63tに旋回ラップチップシール63Cが設けられていると、第3状態S3であるときには旋回ラップチップシール63Cが支持されない状態となってしまう。しかし、先端短絡流路部57と重複する旋回ラップ先端部632には旋回ラップチップシール63Cが設けられていないので、旋回ラップチップシール63Cの脱落を生じさせることはない。
【0064】
図8(b)は、第4状態S4を示す。第4状態S4は、第3状態S3から旋回ラップ63が反時計回りにさらに45度だけ旋回した状態である。第1状態S1を基準とすると、回転角度は135度である。
【0065】
第4状態S4であるとき、旋回ラップ63と中間短絡流路部56との関係は、第3状態S3と同じである。つまり、第4状態S4であるときも、旋回ラップ63は、接触状態SA1(図5(b)参照)である。第4状態S4であるとき、旋回ラップ63と先端短絡流路部57との関係も、第3状態S3と同じである。つまり、第4状態S4であるとき、旋回ラップ63は、非接触状態SB2(図6(b)参照)である。したがって、流路部F2には、旋回ラップ先端部632を回り込んで移動する作動流体W57aと、先端短絡流路部57を経由して移動する作動流体W57bと、が流入する。
【0066】
図9(a)は、第5状態S5を示す。第5状態S5は、第4状態S4から旋回ラップ63が反時計回りにさらに45度だけ旋回した状態である。第1状態S1を基準とすると、回転角度は180度である。
【0067】
第5状態S5であるとき、旋回ラップ先端部632は、固定ラップ外側基点部53pから最も離間する。その一方で、固定ラップ53と旋回ラップ63との接触点PSは、反時計回りにさらに移動する。その結果、流路部F2の領域がさらに拡大する。第5状態S5から第8状態S8までの期間は「旋回ラップ外周円弧部63rが中間短絡流路部56に重複する期間」に対応する。
【0068】
第5状態S5であるとき、旋回ラップ63の旋回ラップ外周円弧部63rは、中間短絡流路部56に重複する。具体的には、旋回ラップ外周円弧部63rは、第1流路溝561に重複する。つまり、第5状態S5であるときに、旋回ラップ63は、非接触状態SB1(図5(c)参照)である。つまり、旋回ラップ63の旋回ラップ外周円弧部63rは、第1流路溝561に重複するという状態は、旋回ラップ63と固定ラップ53との間に形成される流路部F2に第1流路溝561が重複する状態であるとも言える。
【0069】
一方、第5状態S5であるとき、旋回ラップ先端部632は、先端短絡流路部57と重複しない。第5状態S5であるとき、旋回ラップ63と先端短絡流路部57との関係は、第1状態S1と同じである。つまり、第5状態S5であるとき、旋回ラップ63は、接触状態SA2(図6(a)参照)である。
【0070】
その結果、第5状態S5では、流路部F2には、中間短絡流路部56を経由する作動流体W56と、旋回ラップ先端部632を通過する作動流体W57と、が流入する。「旋回ラップ先端部632を通過する」とは、作動流体Wが旋回ラップ先端部632を回り込んで移動することと、作動流体Wが先端短絡流路部57を経由して移動することとの双方を含む。よって、作動流体W57は、作動流体W57a及び作動流体W57bを含む。
【0071】
ここで、第5状態S5であるときは、旋回ラップ63は、固定取込口54には重複しない。つまり、固定取込口54から直接に流路部F2に作動流体Wが移動することはない。作動流体Wは、第1流路溝561を経由して流路部F2に移動する。そうすると、第1流路溝561は、旋回ラップ63が固定取込口54に重複するよりも前に、旋回ラップ63と重複する。したがって、第1流路溝561は、作動流体Wが流路部F2に直接に移動するタイミングを早めるものであるとも言える。この「作動流体Wが流路部F2に直接に移動する」とは、旋回ラップ先端部632を通過することなく、流路部F2に移動することを意味する。
【0072】
固定スクロール5S及び旋回スクロール6Sは、作動流体Wを圧縮する。圧縮された作動流体Wは、シャルルの法則に従って温度が上昇する。その結果、固定スクロール5S及び旋回スクロール6Sの温度も上昇する。この固定スクロール5S及び旋回スクロール6Sの温度の上昇は、取り入れた作動流体Wの温度を上昇させ、ひいては作動流体Wの体積を増加(膨張)させてしまう可能性がある。このような現象は、スクロール流体機械1の性能低下の原因となり得る。
【0073】
そうすると、圧縮がなされるポケット(流路部F2)には、取り入れたときの温度が維持された作動流体Wを取り入れることが望まれる。固定取込口54から流路部F2へ至る経路が長くなるほど、温度が上昇した固定スクロール5S及び旋回スクロール6Sと作動流体Wとが接する接触時間が長くなる。接触時間は、固定取込口54から流路部F2に至る経路による。例えば、経路として、固定取込口54から流路部F1を経由し、さらに、旋回ラップ先端部632を通過したのちに、流路部F2に至る経路が挙げられる。この経路によれば、この間に作動流体Wは、温度が上昇した固定スクロール5S及び旋回スクロール6Sに一定の期間だけさらされてしまう。
【0074】
一方、非接触状態SB1によれば、作動流体Wは、流路部F1を経由することなく、固定取込口54から流路部F2に直接に移動できる。したがって、温度が上昇した固定スクロール5S及び旋回スクロール6Sに作動流体Wが接しないので、作動流体Wの温度の上昇が抑制される。その結果、スクロール流体機械1の性能低下を抑制することができる。
【0075】
さて、旋回ラップ63が先端短絡流路部57に重複する状態は、旋回ラップ先端部632が固定ラップ53から離れていく動きをするときに効果を発揮する。つまり、旋回ラップ先端部632が固定ラップ53から離れていく第1状態S1から第5状態S5であるときに効果を発揮する。したがって、旋回ラップ先端部632が固定ラップ53に近づいていく動きをするときには効果を発揮する必要がない。つまり、旋回ラップ先端部632が固定ラップ53に近づいていく第5状態S5から第8状態S8に至る期間は、先端短絡流路部57の効果を発揮する必要がない。
【0076】
図9(b)は、第6状態S6を示す。第6状態S6は、第5状態S5から旋回ラップ63が反時計回りにさらに45度だけ旋回した状態である。第1状態S1を基準とすると、回転角度は225度である。第5状態S5から第6状態S6に移行するとき、旋回ラップ先端部632は、固定ラップ外側基点部53pに近づき始める。従って、第5状態S5から第8状態S8までの期間は「旋回ラップ先端部632が固定ラップ最外周面53sへ近づく方向に移動する期間」に対応する。
【0077】
第6状態S6であるとき、旋回ラップ63の旋回ラップ外周円弧部63rは、中間短絡流路部56及び固定取込口54に重複する。具体的には、旋回ラップ外周円弧部63rは、第1流路溝561、第2流路溝562及び固定取込口54に重複する。つまり、第6状態S6であるときも、旋回ラップ63は、非接触状態SB1(図5(c)参照)である。
【0078】
一方、第6状態S6であるとき、旋回ラップ先端部632は、先端短絡流路部57に重複しない。そうすると、第6状態S6であるとき、旋回ラップ63と先端短絡流路部57との関係は、第1状態S1と同じである。つまり、第6状態S6であるとき、旋回ラップ63は、接触状態SA2(図6(a)参照)である。
【0079】
その結果、第5状態S5のときと同様に、流路部F2には、旋回ラップ先端部632を回り込んで移動する作動流体W57と、中間短絡流路部56を経由して移動する作動流体W56と、が流入する。
【0080】
図10(a)は、第7状態S7を示す。第7状態S7は、第6状態S6から旋回ラップ63が反時計回りにさらに45度だけ旋回した状態である。第1状態S1を基準とすると、回転角度は270度である。第6状態S6から第7状態S7に移行するとき、旋回ラップ先端部632は、固定ラップ外側基点部53pにさらに近づく。
【0081】
第7状態S7であるとき、旋回ラップ63の旋回ラップ外周円弧部63rは、中間短絡流路部56の第1溝外面561c、取込口外面54c及びの第2溝外面562cに重複する。この状態では、旋回ラップ外周円弧部63rは、中間短絡流路部56及び固定取込口54に重複しているとは言えない。換言すると、旋回ラップ外周円弧部63rは、第1溝底面561d及び第2溝底面562dに重複しているとは言えない。しかし、中間短絡流路部56の全体及び固定取込口54の全体は、流路部F2に重複している。つまり、第7状態S7であるときも、旋回ラップ63は、非接触状態SB1(図5(c)参照)と同様の効果を奏する状態である。
【0082】
一方、第7状態S7であるとき、旋回ラップ先端部632は、第6状態S6と同様に、先端短絡流路部57に重複しない。そうすると、第7状態S7であるときも、旋回ラップ63と先端短絡流路部57との関係は、第1状態S1と同じである。つまり、第7状態S7であるとき、旋回ラップ63は、接触状態SA2(図6(a)参照)である。
【0083】
その結果、内側ポケットである流路部F2には、旋回ラップ先端部632を回り込んで移動する作動流体W57と、中間短絡流路部56を経由して移動する作動流体W56と、固定取込口54から直接に移動する作動流体と、が流入する。
【0084】
図10(b)及び図13は、第8状態S8を示す。第8状態S8は、第7状態S7から旋回ラップ63が反時計回りにさらに45度だけ旋回した状態である。第1状態S1を基準とすると、回転角度は315度である。第7状態S7から第8状態S8に移行するとき、旋回ラップ先端部632は、固定ラップ外側基点部53pにさらに近づく。
【0085】
第7状態S7であるとき、旋回ラップ63の旋回ラップ外周円弧部63rは、中間短絡流路部56及び固定取込口54に重複する。つまり、中間短絡流路部56の一部及び固定取込口54の一部は、流路部F2に重複する。つまり、第8状態S8であるときも、旋回ラップ63は、非接触状態SB1(図5(c)参照)である。
【0086】
一方、第8状態S8であるとき、旋回ラップ先端部632は、先端短絡流路部57に依然として重複しない。そうすると、第8状態S8であるときも、旋回ラップ63と先端短絡流路部57との関係は、第1状態S1と同じである。つまり、第8状態S8であるとき、旋回ラップ63は、接触状態SA2(図6(a)参照)である。
【0087】
第8状態S8から旋回ラップ63が反時計回りにさらに45度だけ旋回すると、第1状態S1に戻る。
【0088】
スクロール流体機械1は、固定主面52から起立する渦巻き状の固定ラップ53及び作動流体Wの固定取込口54が設けられた固定スクロール5Sと、固定スクロール5Sに対して旋回運動する旋回スクロール6Sであって、固定ラップ53が摺動可能である旋回主面62から起立すると共に固定主面52に対して摺動可能な渦巻き状の旋回ラップ63が設けられた旋回スクロール6Sと、を備える。固定主面52のうち、固定ラップ53において最も外側に位置する固定ラップ最外周面53sより外側の領域52sには、旋回ラップ63の旋回ラップ端面63tが接する摺動面部と、摺動面部521に対して窪むと共に旋回ラップ63を超えて作動流体Wを流すための中間短絡流路部56と、固定取込口54と、が設けられている。旋回ラップ63の旋回ラップ先端部632が固定ラップ最外周面53sに接触しない期間は、旋回ラップ63が中間短絡流路部56に重複することにより、旋回ラップ63を超えて作動流体Wが流れる期間を含む。
【0089】
旋回ラップ先端部632が固定ラップ最外周面53sに接触する期間は、旋回ラップ63が中間短絡流路部56に重複することにより、旋回ラップ63を超えて作動流体Wが流れる期間を含まない。
【0090】
固定ラップ53は、旋回ラップ先端部632が接触可能な固定ラップ外側基点部53pと、旋回ラップ先端部632が固定ラップ外側基点部53pに接触したときに、固定ラップ最外周面53sにおいて旋回ラップ先端部632とは別の部位が接触可能な固定ラップ内側基点部53rと、を含む。旋回ラップ63は、固定ラップ内側基点部53rに接触可能な旋回ラップ接触部63uと、旋回ラップ接触部63uから旋回ラップ先端部632の間に延びる旋回ラップ外周円弧部63rと、を含む。旋回ラップ先端部632が固定ラップ最外周面53sに接触しない期間は、旋回ラップ外周円弧部63rが中間短絡流路部56に重複することにより、旋回ラップ63を超えて作動流体Wが流れる期間を含む。
【0091】
中間短絡流路部56は、固定取込口54とつながっている。
【0092】
上記の構成を備えるスクロール流体機械1は、固定主面52のうち、固定ラップ最外周面53sよりも外側の領域52sには、中間短絡流路部56と、固定取込口54とが設けられている。これにより、固定取込口54から固定ラップ最外周面53sよりも外側の領域52sに作動流体Wが流れ込む。また、旋回ラップ先端部632が固定ラップ最外周面53sに接触しないとき、旋回ラップ63の回転軸線方向から見て旋回ラップ63は中間短絡流路部56に重複する期間を含む。旋回ラップ63の回転軸線方向から見て旋回ラップ63が中間短絡流路部56に重複する期間に、流れ込んだ作動流体Wの一部は中間短絡流路部56と旋回ラップ63との間を通過し、固定ラップ最外周面53sと旋回ラップ63との間の流路部F2に流れ込む。この場合、作動流体Wの一部は、短絡流路部56を経由する経路を流れることによって、旋回ラップ先端部632を通過する経路よりも短い経路を経て、固定ラップ最外周面53sと旋回ラップ63との間に移動する。これにより、作動流体Wの全部が固定主面上を流れ、旋回ラップ先端部632を通過して、固定ラップ最外周面53sと旋回ラップ63との間に移動する場合と比較して、スクロール流体機械1の効率が向上する。その結果、スクロール流体機械の効率を向上することができる。
【0093】
さらに、スクロール流体機械1は、固定主面52から起立する渦巻き状の固定ラップ53及び作動流体Wの固定取込口54が設けられた固定スクロール5Sと、固定スクロール5Sに対して旋回運動する旋回スクロール6Sであって、固定ラップ53が摺動可能である旋回主面62から起立すると共に固定主面52に対して摺動可能な渦巻き状の旋回ラップ63が設けられた旋回スクロール6Sと、を備える。固定主面52のうち、固定ラップ53において最も外側に位置する固定ラップ最外周面53sより外側の領域52sには、旋回ラップ63の旋回ラップ端面63tが接する摺動面部と、摺動面部521に対して窪むと共に旋回ラップ63を超えて作動流体Wを流すための先端短絡流路部57と、固定取込口54と、が設けられている。旋回ラップ63の旋回ラップ先端部632が固定ラップ最外周面53sに接触しない期間は、旋回ラップ63が先端短絡流路部57に重複することにより、旋回ラップ63を超えて作動流体Wが流れる期間を含む。
【0094】
旋回ラップ先端部632が固定ラップ最外周面53sに接触しない期間は、旋回ラップ先端部632が先端短絡流路部57に重複する期間を含む。
【0095】
旋回ラップ先端部632が固定ラップ最外周面53sに接触しない期間は、旋回ラップ先端部632が固定ラップ最外周面53sから離間する方向に移動する期間と、旋回ラップ先端部が固定ラップ最外周面53sへ近づく方向に移動する期間と、を含む。離間する方向に移動する期間は、旋回ラップ先端部632が先端短絡流路部57に重複する期間を含む。
【0096】
この構成によれば、旋回ラップ63と固定ラップ53との間に形成される流路部F2の拡大に対応するように、十分な量の作動流体Wを流路部F2に移動させることができる。その結果、拡大する流路部F2における圧力の低下が抑制されるので、スクロール流体機械1の効率を向上することができる。
【0097】
本発明の一形態であるスクロール流体機械1は、前述した第1実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記のような種々の変形が可能である。
【0098】
第1実施形態のスクロール流体機械1は、中間短絡流路部56と、先端短絡流路部57と、を備えていた。そして、中間短絡流路部56は、流路部F2への経路を短縮する。その結果、中間短絡流路部56は、作動流体Wの温度上昇に起因する密度変化を抑制するという効果を奏した。さらに、先端短絡流路部57は、旋回ラップ先端部632が固定ラップ外側基点部53pから離間するときに、新たに形成される流路部F2に対して十分な量の作動流体Wを与える。その結果、先端短絡流路部57は、流路部F2の拡大に起因する圧力低下を抑制する効果を奏した。
【0099】
中間短絡流路部56の効果と、先端短絡流路部57の効果とは、それぞれ独立して奏することによっても、スクロール流体機械1の効率の向上に寄与する。つまり、スクロール流体機械は、中間短絡流路部56及び先端短絡流路部57を両方備えていてもよいし、中間短絡流路部56のみを備え、先端短絡流路部57を備えていなくてもよいし、中間短絡流路部56を備えておらず先端短絡流路部57のみを備えていてもよい。
【0100】
図14に示すように、変形例1のスクロール流体機械1Aの固定スクロールモジュール5Aは、中間短絡流路部56のみを備え、先端短絡流路部57を備えていない。変形例1のスクロール流体機械1Aによれば、流路部F2への経路を短縮することによって、作動流体Wの温度上昇に起因する密度変化を抑制するという効果を奏することができる。
【0101】
なお、実施形態及び変形例1に係るスクロール流体機械1、1Aでは、固定スクロールモジュール5、5Aは、第1流路溝561及び第2流路溝562を有していたが、例えば、第1流路溝561及び第2流路溝562のうちの一方を有していてもよい。
【0102】
また、第1流路溝561は、固定取込口54と連結されていたが、固定取込口54と離間していてもよい。
【0103】
図15に示すように、変形例2のスクロール流体機械1Bの固定スクロールモジュール5Bは、先端短絡流路部57のみを備え、中間短絡流路部56を備えていない。変形例2のスクロール流体機械1Bによれば、新たに形成される流路部F2に対して十分な量の作動流体Wを与えることによって、流路部F2の拡大に起因する圧力低下を抑制するという効果を奏することができる。
【0104】
上記の実施形態及び各変形例では、固定スクロール5Sは、固定取込口54を1つ備えるが、固定取込口54を複数備えてもよい。なお、上記の実施形態及び各変形例のように、固定スクロール5Sが固定取込口54を1つ備えることで、固定取込口54を複数備える場合よりもコストを低減しつつ、中間短絡流路部56及び/又は先端短絡流路部57によってスクロール流体機械1の効率を向上させることができる。
【0105】
〔付記〕
本開示は、以下の構成を含む。
【0106】
本開示は、[1]「固定主面から起立する渦巻き状の固定ラップ及び作動流体の固定取込口が設けられた固定スクロールと、
前記固定スクロールに対して旋回運動する旋回スクロールであって、前記固定ラップが摺動可能である旋回主面から起立すると共に前記固定主面に対して摺動可能な渦巻き状の旋回ラップが設けられた前記旋回スクロールと、を備え、
前記固定主面のうち、前記固定ラップにおいて最も外側に位置する固定ラップ最外周面より外側には、前記旋回ラップの旋回ラップ端面が接する摺動面部と、前記摺動面部に対して窪むと共に前記旋回ラップを超えて前記作動流体を流すための短絡流路部と、前記固定取込口と、が設けられており、
前記旋回ラップの旋回ラップ先端部が前記固定ラップ最外周面に接触しない期間は、前記旋回ラップが前記短絡流路部に重複することにより、前記旋回ラップを超えて前記作動流体が流れる期間を含む、スクロール流体機械。」である。
【0107】
本開示は、[2]「前記旋回ラップ先端部が前記固定ラップ最外周面に接触する期間は、前記旋回ラップが前記短絡流路部に重複することにより、前記旋回ラップを超えて前記作動流体が流れる期間を含まない、上記[1]に記載のスクロール流体機械。」である。
【0108】
本開示は、[3]「前記固定ラップは、前記旋回ラップ先端部が接触可能な固定ラップ外側基点部と、前記旋回ラップ先端部が前記固定ラップ外側基点部に接触したときに、前記固定ラップ最外周面において前記旋回ラップ先端部とは別の部位が接触可能な固定ラップ内側基点部と、を含み、
前記旋回ラップは、前記固定ラップ内側基点部に接触可能な旋回ラップ接触部と、前記旋回ラップ接触部から前記旋回ラップ先端部の間に延びる旋回ラップ外周円弧部と、を含み、
前記旋回ラップ先端部が前記固定ラップ最外周面に接触しない期間は、前記旋回ラップ外周円弧部が前記短絡流路部に重複することにより、前記旋回ラップを超えて前記作動流体が流れる期間を含む、上記[1]又は[2]に記載のスクロール流体機械。」である。
【0109】
本開示は、[4]「前記短絡流路部は、前記固定取込口とつながっている、上記[1]~[3]の何れか一項に記載のスクロール流体機械。」である。
【0110】
本開示は、[5]「前記旋回ラップ先端部が前記固定ラップ最外周面に接触しない期間は、前記旋回ラップ先端部が前記短絡流路部に重複することにより、前記旋回ラップを超えて前記作動流体が流れる期間を含む、上記[1]に記載のスクロール流体機械。」である。
【0111】
本開示は、[6]「前記旋回ラップ先端部が前記固定ラップ最外周面に接触しない期間は、前記旋回ラップ先端部が前記固定ラップ最外周面から離間する方向に移動する期間と、前記旋回ラップ先端部が前記固定ラップ最外周面へ近づく方向に移動する期間と、を含み、
前記離間する方向に移動する期間は、前記旋回ラップ先端部が前記短絡流路部に重複することにより、前記旋回ラップを超えて前記作動流体が流れる期間を含む、上記[5]に記載のスクロール流体機械。
」である。
【符号の説明】
【0112】
1,1A,1B…スクロール流体機械、5S…固定スクロール、52…固定主面、521…摺動面部、52s…固定ラップ最外周面よりも外側の領域、53…固定ラップ、53p…固定ラップ外側基点部、53r…固定ラップ内側基点部、53s…固定ラップ最外周面、54…固定取込口、56…中間短絡流路部、57…先端短絡流路部、6S…旋回スクロール、62…旋回主面、63…旋回ラップ、63r…旋回ラップ外周円弧部、63t…旋回ラップ端面、632…旋回ラップ先端部、W…作動流体

図1
図2
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