(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120420
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】半導体記憶装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240829BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H10B43/27
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027212
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】東海林 一樹
(72)【発明者】
【氏名】井口 直
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA10
5F083JA04
5F083JA32
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA16
5F083PR03
5F083PR40
5F101BA45
5F101BB04
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH13
(57)【要約】
【課題】意図したワード線にコンタクトを確実に接続することができる半導体記憶装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本実施形態による半導体記憶装置は、第1方向に交互に積層された複数の第1絶縁膜と複数の第1導電膜とを含む第1積層体を備える。複数の第1柱状体は、第1積層体内を第1方向に延伸する第1半導体部、および、第1半導体部と第1積層体との間に設けられた第1絶縁体部を含む。複数の第1柱状体は、第1柱状体と第1積層体との交差点に対応してメモリセルが設けられている。複数の第2柱状体は、第1積層体内を第1方向に延伸し、第1導電膜に対応して設けられ、対応する第1導電膜に接続する導電体、および、導電体と第1積層体との間に設けられた第2~第4絶縁膜の積層膜を含む。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に交互に積層された複数の第1絶縁膜と複数の第1導電膜とを含む第1積層体と、
前記第1積層体内を前記第1方向に延伸する第1半導体部、および、該第1半導体部と前記第1積層体との間に設けられた第1絶縁体部を含む複数の第1柱状体であって、前記第1柱状体と前記第1積層体との交差点に対応してメモリセルが設けられた複数の第1柱状体と、
前記第1積層体内を前記第1方向に延伸し、前記第1導電膜に対応して設けられ、対応する前記第1導電膜に接続する導電体、および、前記導電体と前記第1積層体との間に設けられた第2~第4絶縁膜の積層膜を含む複数の第2柱状体と、を備える半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2および第4絶縁膜には、シリコン酸化膜が用いられ、
前記第3絶縁膜には、シリコン窒化膜またはアルミニウム酸化膜が用いられる、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1積層体内を前記第1方向に延伸し、前記第2柱状体の周囲に配置され、絶縁材料で構成された複数の第3柱状体をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記複数の第2柱状体の前記導電体の深さは、それぞれに対応する前記第1導電膜の位置である、請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記複数の第2柱状体の前記積層膜の深さは、それぞれに対応する前記第1導電膜の位置と該第1導電膜の直上の前記第1絶縁膜との間である、請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記積層膜は、前記第2および第4絶縁膜との間に複数の絶縁膜を設けた4層以上の積層膜である、請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記複数の第2柱状体は、それぞれに対応する前記第1導電膜に達するために他の前記第1導電膜を貫通する、請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
複数の第1絶縁膜と複数の第1犠牲膜とを第1方向に交互に積層して第1積層体を形成し、
前記第1積層体内を前記第1方向に延伸する第1半導体部と、該第1半導体部と前記第1積層体との間に設けられた第1絶縁体部とを含む第1柱状体を形成し、
前記第1積層体内を前記第1方向へ延伸し、前記複数の第1絶縁膜のそれぞれに達する複数のコンタクトホールを形成し、
前記コンタクトホールの内壁に、第2~第4絶縁膜を積層して積層膜を形成し、
前記コンタクトホール内の前記積層膜の内側に第2犠牲膜を埋め込み、
前記第1犠牲膜を第1導電膜に置換し、
前記第2犠牲膜を除去し、
前記コンタクトホールの底部にある前記積層膜のうち前記第3絶縁膜をストッパとして用いて前記第4絶縁膜を除去し、
前記コンタクトホールの底部にある前記積層膜のうち前記第2絶縁膜をストッパとして用いて前記第3絶縁膜を除去し、
前記コンタクトホールの底部にある前記第2絶縁膜および前記第1絶縁膜を除去して該第1絶縁膜の直下にある前記第1導電膜を露出させ、
前記コンタクトホール内に導電体を埋め込んで前記第1導電膜に接続するコンタクトを形成することを具備する、半導体記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2および第4絶縁膜には、シリコン酸化膜が用いられ、
前記第3絶縁膜には、シリコン窒化膜またはアルミニウム酸化膜が用いられる、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NAND型フラッシュメモリ等の半導体記憶装置は、複数のメモリセルが三次元的に配置された立体型メモリセルアレイを有する場合がある。このような立体型メモリセルアレイでは、積層された複数の導電層によって複数のワード線が構成されている。複数の導電層は、積層方向に延伸する複数のワード線コンタクトのそれぞれに電気的に接続する。ワード線コンタクトは、それぞれに対応するワード線まで形成されるため、互いに深さが異なる。深さが異なるワード線コンタクトのコンタクトホールを形成する際、導電層に対するオーバーエッチング時間がコンタクトホールによって異なってくる。この場合、コンタクトホールが導電層を突き抜けるおそれがあり、ワード線コンタクトは、意図したワード線に接続することができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
意図したワード線にコンタクトを確実に接続することができる半導体記憶装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による半導体記憶装置は、第1方向に交互に積層された複数の第1絶縁膜と複数の第1導電膜とを含む第1積層体を備える。複数の第1柱状体は、第1積層体内を第1方向に延伸する第1半導体部、および、第1半導体部と第1積層体との間に設けられた第1絶縁体部を含む。複数の第1柱状体は、第1柱状体と第1積層体との交差点に対応してメモリセルが設けられている。複数の第2柱状体は、第1積層体内を第1方向に延伸し、第1導電膜に対応して設けられ、対応する第1導電膜に接続する導電体、および、導電体と第1積層体との間に設けられた第2~第4絶縁膜の積層膜を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示す図。
【
図2】第1実施形態に係る半導体記憶装置の備えるメモリセルアレイ10の回路構成の一例を示す図。
【
図3】半導体記憶装置の詳細な構成例を示す断面図。
【
図6】ワード線コンタクトおよび支持部の構成例を示す断面図。
【
図7】ワード線コンタクトおよび支持部の構成例を示す平面図。
【
図8】第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図9】
図8に続く、半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図10】
図9に続く、半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図11】
図10に続く、半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図12】
図11に続く、半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図13】
図12に続く、半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図14】
図13に続く、半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図15】
図14に続く、半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図16】
図15に続く、半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図17】
図16に続く、半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図18】
図17に続く、半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図19】
図18に続く、半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図20】
図19に続く、半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものである。明細書と図面において、同一の要素には同一の符号を付す。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の構成例を示す図である。半導体記憶装置1は、データを不揮発に記憶することが可能なNAND型フラッシュメモリである。半導体記憶装置1は、外部のメモリコントローラ2によって制御される。半導体記憶装置1とメモリコントローラ2との間の通信は、例えばNANDインターフェイス規格に準拠している。
【0009】
半導体記憶装置1は、例えばメモリセルアレイ10、コマンドレジスタ11、アドレスレジスタ12、シーケンサ13、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16を備えている。
【0010】
メモリセルアレイ10は、複数のブロックBLK(0)~BLK(n)(nは1以上の整数)を含んでいる。ブロックBLKは、データを不揮発に記憶することが可能な複数のメモリセルの集合であり、例えばデータの消去単位として使用される。また、メモリセルアレイ10には、複数のビット線及び複数のワード線が設けられる。各メモリセルは、例えば1本のビット線と1本のワード線とに関連付けられている。メモリセルアレイ10の詳細な構成については後述する。
【0011】
コマンドレジスタ11は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したコマンドCMDを保持する。コマンドCMDは、例えばシーケンサ13に読み出し動作、書き込み動作、消去動作等を実行させる命令を含んでいる。
【0012】
アドレスレジスタ12は、半導体記憶装置1がメモリコントローラ2から受信したアドレス情報ADDを保持する。アドレス情報ADDは、例えばブロックアドレスBA、ページアドレスPA、及びカラムアドレスCAを含んでいる。例えば、ブロックアドレスBA、ページアドレスPA、及びカラムアドレスCAは、それぞれブロックBLK、ワード線、及びビット線の選択に使用される。
【0013】
シーケンサ13は、半導体記憶装置1全体の動作を制御する。例えば、シーケンサ13は、コマンドレジスタ11に保持されたコマンドCMDに基づいて、ドライバモジュール14、ロウデコーダモジュール15、及びセンスアンプモジュール16等を制御して、読み出し動作、書き込み動作、消去動作等を実行する。
【0014】
ドライバモジュール14は、読み出し動作、書き込み動作、消去動作等で使用される電圧を生成する。そして、ドライバモジュール14は、例えばアドレスレジスタ12に保持されたページアドレスPAに基づいて、選択されたワード線に対応する信号線に生成した電圧を印加する。
【0015】
ロウデコーダモジュール15は、複数のロウデコーダを備える。ロウデコーダは、アドレスレジスタ12に保持されたブロックアドレスBAに基づいて、対応するメモリセルアレイ10内の1つのブロックBLKを選択する。そして、ロウデコーダは、例えば選択されたワード線に対応する信号線に印加された電圧を、選択されたブロックBLK内の選択されたワード線に転送する。
【0016】
センスアンプモジュール16は、書き込み動作において、メモリコントローラ2から受信した書き込みデータDATに応じて、各ビット線に所望の電圧を印加する。また、センスアンプモジュール16は、読み出し動作において、ビット線の電圧に基づいてメモリセルに記憶されたデータを判定し、判定結果を読み出しデータDATとしてメモリコントローラ2に転送する。
【0017】
以上で説明した半導体記憶装置1及びメモリコントローラ2は、それらの組み合わせにより1つの半導体装置を構成しても良い。このような半導体装置としては、例えばSDTMカードのようなメモリカードや、SSD(solid state drive)等が挙げられる。
【0018】
図2は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の備えるメモリセルアレイ10の回路構成の一例を示す図である。メモリセルアレイ10に含まれた複数のブロックBLKのうち1つのブロックBLKが
図2に示されている。
図2に示すように、ブロックBLKは、複数のストリングユニットSU(0)~SU(k)(kは1以上の整数)を含んでいる。
【0019】
各ストリングユニットSUは、ビット線BL(0)~BL(m)(mは1以上の整数)にそれぞれ関連付けられた複数のNANDストリングNSを含んでいる。各NANDストリングNSは、例えばメモリセルMC(0)~MC(15)、並びに選択トランジスタST(1)及びST(2)を含んでいる。メモリセルMCは、制御ゲート及び電荷蓄積層を含み、データを不揮発に保持する。選択トランジスタST(1)及びST(2)のそれぞれは、各種動作時におけるストリングユニットSUの選択に使用される。
【0020】
各NANDストリングNSにおいて、メモリセルMC(0)~MC(15)は、直列接続される。選択トランジスタST(1)のドレインは、関連付けられたビット線BLに接続され、選択トランジスタST(1)のソースは、直列接続されたメモリセルMC(0)~MC(15)の一端に接続される。選択トランジスタST(2)のドレインは、直列接続されたメモリセルMC(0)~MC(15)の他端に接続される。選択トランジスタST(2)のソースは、ソース線SLに接続される。
【0021】
同一のブロックBLKにおいて、メモリセルMC(0)~MC(15)の制御ゲートは、それぞれワード線WL(0)~WL(15)に共通接続される。ストリングユニットSU(0)~SU(k)内のそれぞれの選択トランジスタST(1)のゲートは、それぞれ選択ゲート線SGD(0)~SGD(k)に共通接続される。選択トランジスタST(2)のゲートは、選択ゲート線SGSに共通接続される。
【0022】
以上で説明したメモリセルアレイ10の回路構成において、ビット線BLは、各ストリングユニットSUで同一のカラムアドレスが割り当てられたNANDストリングNSによって共有される。ソース線SLは、例えば複数のブロックBLK間で共有される。
【0023】
1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルMCの集合は、例えばセルユニットCUと称される。例えば、それぞれが1ビットデータを記憶するメモリセルMCを含むセルユニットCUの記憶容量が、「1ページデータ」として定義される。セルユニットCUは、メモリセルMCが記憶するデータのビット数に応じて、2ページデータ以上の記憶容量を有し得る。
【0024】
尚、第1実施形態に係る半導体記憶装置1が備えるメモリセルアレイ10は、以上で説明した回路構成に限定されない。例えば、各NANDストリングNSが含むメモリセルMC並びに選択トランジスタST(1)及びST(2)の個数は、それぞれ任意の個数に設計され得る。各ブロックBLKに含まれるストリングユニットSUの個数は、任意の個数に設計され得る。
【0025】
図3は、半導体記憶装置1の詳細な構成例を示す断面図である。半導体記憶装置1は、メモリセルアレイ層110、120と、制御回路層130とを備えている。
【0026】
メモリセルアレイ層110とメモリセルアレイ層120とは、第1面110aと第3面120aとにおいて貼合されている。メモリセルアレイ層110とメモリセルアレイ層120との貼合面において、ソース層SL1、SL2が互いに接合されている。これにより、ソース層SL1、SL2は、一体の共通ソース層SL1、SL2として機能する。メモリセルアレイMCA1、MCA2は、共通ソース層SL1、SL2に電気的に接続される。尚、メモリセルアレイ10の一例として、メモリセルMCが三次元的に配列された立体型のメモリセルアレイMCA1、MCA2を示す。
【0027】
また、メモリセルアレイ層110とメモリセルアレイ層120との貼合面において、メモリセルアレイ層110のパッド215とメモリセルアレイ層120のパッド225とが接合されている。パッド225は、メモリセルアレイ層110の多層配線層114およびパッド112等を介して制御回路層130のトランジスタTr等のいずれかの半導体素子に電気的に接続される。
【0028】
メモリセルアレイ層110と制御回路層130とは、第2面110bと第5面130aとにおいて貼合されている。メモリセルアレイ層110と制御回路層130との貼合面において、メモリセルアレイ層110のパッド112と制御回路層130のパッド132とが接合されている。パッド132は、多層配線層134を介して制御回路層130のトランジスタTr等の半導体素子に電気的に接続される。
【0029】
メモリセルアレイ層120と多層配線層140とは、第4面120bと第8面140bとにおいて貼合されている。メモリセルアレイ層120と多層配線層140との貼合面において、メモリセルアレイ層120のパッド122と多層配線層140のパッド142とが接合されている。パッド142は、配線144に電気的に接続されており、かつ、メモリセルアレイ層120のパッド122および多層配線層124を介してメモリセルアレイMCA2に電気的に接合されている。
【0030】
このように、メモリセルアレイ層110のメモリセルアレイMCA1は、多層配線層114、134およびパッド112、132を介して制御回路層130のCMOS回路131に電気的に接続される。メモリセルアレイ層120のメモリセルアレイMCA2は、多層配線層140、114、124、134およびパッド112、122、132、142を介して制御回路層130のCMOS回路131に電気的に接続される。
【0031】
これにより、制御回路層130は、メモリセルアレイ層110、120に共有されており、メモリセルアレイMCA1、MCA2の両方を制御することができる。また、ソース層SL1、SL2も、多層配線層114等を介してCMOS回路131に電気的に接続され、さらに、多層配線層114、124、134、140を介して、図示しない外部電源に接続され得る。これにより、外部からのソース電圧をソース層SL1、SL2に伝達することができる。
【0032】
メモリセルアレイMCA1、MCA2は、基本的に同一の構成でよい。従って、以下、メモリセルアレイMCA1の構成のみを説明する。
【0033】
メモリセルアレイMCA1は、積層体S1を備えている。積層体S1は、Z方向に沿って複数の電極膜23および複数の絶縁膜34を交互に積層して構成されている。積層体S1は、メモリセルアレイを構成する。電極膜23には、例えば、タングステン等の導電膜が用いられる。絶縁膜34には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。絶縁膜34は、電極膜23同士を絶縁する。すなわち、複数の電極膜23は、相互に絶縁状態で積層されている。電極膜23および絶縁膜34のそれぞれの積層数は、任意である。絶縁膜34は、例えば、ポーラス絶縁膜またはエアギャップであってもよい。
【0034】
積層体S1のZ方向の上端および下端の1つまたは複数の電極膜23は、それぞれ選択トランジスタST(1)、ST(2)として機能する。選択トランジスタST(1)、ST(2)との間の電極膜23は、ワード線WLとして機能する。ワード線WLは、メモリセルMCのゲート電極である。
図2に示すように、ドレイン側の選択トランジスタST(1)のゲートは、ドレイン側選択ゲート線SGDに接続されている。選択トランジスタST(1)は、積層体S1のビット線BL側に設けられる。ソース側の選択トランジスタST(2)のゲートは、ソース側選択ゲート線SGSに接続されている。選択トランジスタST(2)は、積層体S1のソース層SL1側に設けられる。
【0035】
メモリセルアレイMCA1は、選択トランジスタST(1)と選択トランジスタST(2)との間に直列に接続された複数のメモリセルMCを有する。選択トランジスタST(1)、選択トランジスタST(2)およびメモリセルMCが直列に接続されNANDストリングを構成する。メモリストリングは、例えば、多層配線層114を介してビット線BLに接続される。ビット線BLは、積層体S1の下方に設けられ、X方向に延在している配線である。
【0036】
積層体S1内には、複数の柱状体CLが設けられている。柱状体CLは、積層体S1内において積層体S1の積層方向(Z方向)に該積層体S1を貫通するように延在し、ビット線BLに接続された多層配線層114からソース層SL1まで設けられている。柱状体CLと電極膜23との交差点には、メモリセルMCが設けられている。柱状体CLの内部構造は後述する。なお、本実施形態においては、柱状体CLは高アスペクト比であるため、Z方向に2段に分けて形成している。柱状体CLは1段または3段以上であっても問題無い。
【0037】
また、積層体S1内には、複数のスリットSTが設けられている。スリットSTは、X方向に延伸し、かつ、積層体S1の積層方向(Z方向)に該積層体S1を貫通している。スリットST内には、シリコン酸化膜等の絶縁膜が充填されており、絶縁膜は板状に構成される。スリットSTは、積層体S1の電極膜23を電気的に分離している。また、スリットSTは、側壁に設けられた絶縁膜とその絶縁膜の内側に設けられた導電膜とを有する配線であってもよい。スリットST内の導電膜は、電極膜23から電気的に絶縁されている。これにより、スリットSTは、積層体S1の電極膜23を電気的に分離しつつ、ソース層SL1,SL2に電気的に接続されるソース配線として機能することもできる。
【0038】
積層体S1の上には、ソース層SL1が設けられている。ソース層SL1には、例えば、ドープドポリシリコン、銅、アルミニウム、または、タングステン等の低抵抗金属材料が用いられる。
【0039】
複数のワード線コンタクトCCは、メモリセルアレイMCA1の端部において、積層体S1内をZ方向に延伸している。ワード線コンタクトCCは、複数の電極膜23に対応して設けられている。ワード線コンタクトCCは、それに対応する電極膜23まで延伸しており、その電極膜23に電気的に接続する。尚、ワード線コンタクトCCは、メモリセルアレイMCAの端部以外の中央部分等に設けることもできる。ワード線コンタクトCCの構成については後で詳細に説明する。
【0040】
図4および
図5は、メモリセルMCの構成例を示す模式断面図である。尚、柱状体CLは、メモリセルアレイMCA1、MCA2において同様の構成を有する。
【0041】
図4に示すように、柱状体CLは、メモリセルアレイMCA1内において積層された電極膜23(以下、ワード線WLともいう)内に設けられたメモリホールMH内に設けられている。柱状体CLは、ワード線WLの積層体の上端から下端に渡ってZ方向に貫通している。柱状体CLは、半導体ボディ25、メモリ膜235、および、コア層26を含む。柱状体CLは、その中心部に設けられたコア層26、該コア層26の周囲に設けられた半導体ボディ(半導体部材)25、および、該半導体ボディ25の周囲に設けられたメモリ膜(電荷蓄積部材)235を含む。半導体ボディ25は、ワード線WLの積層体内において、積層方向(Z方向)に延在している。半導体ボディ25の一端は、ソース層SL1に電気的に接続されている。半導体ボディ25の他端は、ビット線BLに電気的に接続される。メモリ膜235は、半導体ボディ25とワード線WLとの間に設けられ、電荷捕獲部を有する。
【0042】
図5に示すように、X-Y平面におけるメモリホールMHの形状は、例えば、円または楕円である。ワード線WLと絶縁膜34との間には、メモリ膜235の一部を構成するブロック絶縁膜224aが設けられていてもよい。ブロック絶縁膜224aは、例えば、シリコン酸化物膜または金属酸化物膜である。金属酸化物の1つの例は、アルミニウム酸化物である。
図4に示すように、ワード線WLと絶縁膜34との間、および、ワード線WLとメモリ膜235との間には、ブロック絶縁膜224aおよびバリア膜24bが設けられていてもよい。バリア膜24bは、ワード線WLがタングステンである場合、例えば、窒化チタン(TiN)とチタン(Ti)との積層構造膜でよい。ブロック絶縁膜224aは、ワード線WLからメモリ膜235側への電荷のバックトンネリングを抑制する。バリア膜24bは、ワード線WLとブロック絶縁膜224aとの密着性を向上させる。
【0043】
半導体ボディ25の形状は、例えば、筒状である。半導体ボディ25には、例えば、ポリシリコン等の半導体材料が用いられる。半導体ボディ25は、例えば、アンドープドシリコンである。また、半導体ボディ25は、p型シリコンであってもよい。半導体ボディ25は、メモリセルMCのそれぞれのチャネルとして機能する。
【0044】
メモリ膜235においては、ブロック絶縁膜224a以外の部分が、メモリホールMHの内壁と半導体ボディ25との間に設けられている。メモリ膜235の形状は、例えば、筒状である。複数のメモリセルMCは、半導体ボディ25と、ワード線WLとの間に記憶領域を有し、Z方向に積層されている。メモリ膜235は、例えば、
図4のカバー絶縁膜38、電荷捕獲膜37、および、トンネル絶縁膜236を含む。半導体ボディ25、電荷捕獲膜37、および、トンネル絶縁膜236のそれぞれはZ方向に延伸している。
【0045】
カバー絶縁膜38は、絶縁膜34と電荷捕獲膜37との間に設けられている。カバー絶縁膜38は、例えば、シリコン酸化物を含む。カバー絶縁膜38は、犠牲膜(図示せず)をワード線WLにリプレースするとき(リプレース工程)、電荷捕獲膜37がエッチングされないように保護する。カバー絶縁膜38は、リプレース工程において、ワード線WLとメモリ膜235との間から除去されてもよい。この場合、ワード線WLと電荷捕獲膜37との間には、例えば、ブロック絶縁膜224aが設けられなくなる。また、ワード線WLの形成に、リプレース工程を利用しない場合には、カバー絶縁膜38は、設けられなくてもよい。
【0046】
電荷捕獲膜37は、ブロック絶縁膜224aおよびカバー絶縁膜38とトンネル絶縁膜236との間に設けられている。電荷捕獲膜37は、例えば、シリコン窒化物(SiN)を含み、膜中に電荷をトラップするトラップサイトを有する。電荷捕獲膜37のうち、ワード線WLと半導体ボディ25との間に挟まれた部分は、電荷捕獲部としてメモリセルMCの記憶領域を構成する。メモリセルMCの閾値電圧は、電荷捕獲部中の電荷の有無、または、電荷捕獲部中に捕獲された電荷の量によって変化する。これにより、メモリセルMCは、情報を保持する。
【0047】
トンネル絶縁膜236は、半導体ボディ25と電荷捕獲膜37との間に設けられている。トンネル絶縁膜236は、例えば、シリコン酸化物、または、シリコン酸化物とシリコン窒化物とを含む。トンネル絶縁膜236は、半導体ボディ25と電荷捕獲膜37との間の電位障壁である。例えば、半導体ボディ25から電荷捕獲部へ電子を注入するとき(書き込み動作)、および、半導体ボディ25から電荷捕獲部へ正孔を注入するとき(消去動作)、電子および正孔が、それぞれトンネル絶縁膜236の電位障壁を通過(トンネリング)する。
【0048】
コア層26は、筒状の半導体ボディ25の内部スペースを埋め込む。コア層26の形状は、例えば、柱状である。コア層26は、例えば、シリコン酸化物を含み、絶縁性である。
【0049】
図6は、ワード線コンタクトCCおよび支持部HRの構成例を示す断面図である。尚、
図6は、
図3に対して積層体S1の上下を逆に表示している。また、メモリセルアレイMCA2の積層体も積層体S1と同じ構成を有する。
【0050】
積層体S1の任意の位置に、ワード線コンタクトCC0~CC7および支持部HRが設けられている。ワード線コンタクトCC0~CC7が設けられている領域には、柱状体CLは設けられていない。即ち、ワード線コンタクトCC0~CC7は、積層体S1のうち、メモリセルアレイMCA1が設けられていない任意の領域に設けられている。尚、ワード線コンタクトCC0~CC7は、メモリセルアレイMCA1の端部でも良いし、端部以外の中央部分等に設けてもよい。
【0051】
尚、
図6には、便宜的に、ワード線コンタクトCC0、CC3、CC6のみが示されている。また、ワード線WLの数およびワード線コンタクトCCの数は、限定せず、
図2に示すように、16個であってもよく、それ以上であっても、それ以下であってもよい。
【0052】
ワード線コンタクトCC0~CC7は、それぞれ積層体S1内をZ方向に延伸し、ワード線WL0~WL7のそれぞれに対応している。ワード線コンタクトCC0~CC7は、それぞれに対応するワード線WL0~WL7の深さまで延伸しており、その対応するワード線WL0~WL7に電気的に接続されている。即ち、ワード線コンタクトCC0~CC7の導電体44の深さは、それぞれに対応するワード線WL0~WL7の位置となっている。ワード線コンタクトCC0~CC7の積層膜40の深さは、それぞれに対応するワード線WL0~WL7の位置とその直上の絶縁膜34との間である。例えば、ワード線コンタクトCC0の導電体44の下端部は、それに対応するワード線WL0の位置となっている。ワード線コンタクトCC0の積層膜40の下端部は、それに対応するワード線WL0の位置とその直上の絶縁膜34との間にある。例えば、ワード線コンタクトCC3の導電体44の下端部は、それに対応するワード線WL3の位置となっている。ワード線コンタクトCC3の積層膜40の下端部は、それに対応するワード線WL3の位置とその直上の絶縁膜34との間にある。これにより、ワード線コンタクトCC0~CC7の導電体44は、それぞれに対応するワード線WL0~WL7に電気的に接続され、それ以外のワード線からは電気的に分離される。ワード線コンタクトCCk(k=0~7)の数は、ワード線WLkの数と同じである。
【0053】
ワード線コンタクトCC0~CC7は、それぞれに対応するワード線WL0~WL7に達するために他のワード線を貫通する。例えば、ワード線コンタクトCC0は、それに対応するワード線WL0に接続するために、他のワード線WL1~WL7をZ方向に貫通している。ワード線コンタクトCC0の導電体44は、積層膜40によってワード線WL1~WL7から電気的に分離されている。ワード線コンタクトCC3は、それに対応するワード線WL3に接続するために、ワード線WL3より上にある他のワード線WL4~WL7をZ方向に貫通している。ワード線コンタクトCC3の導電体44は、積層膜40によってワード線WL4~WL7から電気的に分離されている。
【0054】
支持部HRは、ワード線コンタクトCC0~CC7が設けられている領域にワード線コンタクトCC0~CC7間に設けられている。支持部HRは、積層体S1をZ方向に延伸し、積層体S1を貫通する柱状体として設けられる。支持部HRは、後述するリプレース工程において、積層体S1(メモリセルアレイMCA1)の倒壊を抑制する支柱として機能する。したがって、支持部HRは、倒壊を抑制し得る間隔以下の間隔で配置されている。支持部HRは、柱状を有し、絶縁体36からソース層SL1に到達するように、Z方向に延びている。
【0055】
支持部HRには、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料が用いられている。よって、ワード線コンタクトCC0~CC7は、その先端がワード線WL0~WL7のそれぞれに接続している限りは、支持部HRの一部に接触しても差し支えない。
【0056】
図7は、メモリセルアレイMCA、ワード線コンタクトCC3および支持部HRの構成例を示す平面図である。支持部HRは、積層体S1の任意の位置において、所定値以下の間隔で設けられる。Z方向から見た平面視において、支持部HRは、ワード線コンタクトCC3の周囲に配置されており、例えば、六角形の頂点に配置される。ワード線コンタクトCC3は、互いに隣接する6つの支持部HR間に設けられている。
【0057】
ワード線コンタクトCC3は、接続領域TAPに設けられており、メモリセルアレイMCAの形成領域には設けられていない。
【0058】
Z方向から見た平面視において、ワード線コンタクトCC3は、略四角形の形状を有してもよく、略円形、略楕円形でもよい。
【0059】
Z方向から見た平面視において、ワード線コンタクトCC3の上端は、
図7に示すように、支持部HRに重複してもよい。しかし、
図8に示すように、ワード線コンタクトCC3の下端は、ワード線WLに短絡しないように、支持部HRには重複しないことが好ましい。他のワード線コンタクトCC0~CC2,CC4~CC7の平面構成もワード線コンタクトCC3の平面構成と同じでよい。
【0060】
メモリセルアレイMCAの形成領域には、複数の柱状体CL(メモリホールMH)が支持部HRよりも密に配置されている。複数の柱状体CLは、支持部RHよりも小さな径を有する。
【0061】
図8は、ワード線コンタクトCC3の構成例を示す断面図である。
図8は、
図7の8-8線に沿った断面を示す。ワード線コンタクトCC0~CC2,CC4~CC7は、ワード線コンタクトCC3と深さにおいて異なるものの(接続するワード線が異なるものの)、ワード線コンタクトCC3と同じ構成を有する。従って、ワード線コンタクトCC3の構成を説明し、ワード線コンタクトCC0~CC2,CC4~CC7の説明は省略する。
【0062】
ワード線コンタクトCC3は、互いに隣接する支持部HR間に設けられており、積層体S1内をZ方向に延伸するように設けられている。ワード線コンタクトCC3は、コンタクトホールCHの内壁に積層された複数の絶縁膜41~43を含む積層膜40と、コンタクトホールCH内において積層膜40の内側に埋め込まれた導電体44とを備える。導電体44は、積層体S1内をZ方向に延伸し、ワード線WL3に対応して設けられ、ワード線WL3に接続する。積層膜40は、ワード線WL3の直上まで設けられており、導電体44の外周を被覆しているスペーサ膜である。積層膜40は、導電体44と積層体S1との間に積層された絶縁膜41~43を含む。これにより、導電体44は、ワード線WL4~WL7および選択トランジスタST(1)のゲートから電気的に絶縁されたまま、ワード線WL3に電気的に接続される。導電体44は、ビアVを介して配線50に接続されており、配線50を介してワード電圧をワード線WL3に印加する。
【0063】
絶縁膜41、43には、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)が用いられる。絶縁膜41、43の膜厚は、例えば、約50nmである。絶縁膜41と絶縁膜43との間の絶縁膜42には、例えば、シリコン窒化膜(Si3N4)および/またはアルミニウム酸化膜(AlO3)が用いられる。絶縁膜42の膜厚は、例えば、10nm~20nmである。このように、積層膜40が絶縁膜41~43の積層膜で構成されることによって、後述するように、ワード線コンタクトの形成の際に、ワード線のオーバーエッチングを抑制し、導電体44を対応するワード線に確実に接続することができる。
【0064】
積層膜40は、複数の絶縁膜41~43(ONO膜)の3層膜であってもよい。しかし、積層膜40は、絶縁膜41と絶縁膜43との間に複数の絶縁膜を設けた4層以上の積層膜であってもよい。
【0065】
ワード線コンタクトCC3上には、配線50が設けられている。配線50は、
図3の制御回路層130のいずれかの回路に接続され、読出し動作または書込み動作において、ワード線WL3にワード電圧を印加するために用いられる。
【0066】
次に、半導体記憶装置1の製造方法について説明する。
【0067】
図9~
図20は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の製造方法の一例を示す断面図である。
図9~
図20は、積層体S1におけるワード線コンタクトCCの領域を図示している。
【0068】
まず、
図9に示すように、導電体21上に犠牲膜22a~24aおよび絶縁膜33~35をz軸方向に交互に積層した積層体S1aを形成する。導電体21は、ソース層SL1として機能する。導電体21には、例えば、ドープドポリシリコン等の導電性材料が用いられる。絶縁膜33~35には、例えば、シリコン酸化膜が用いられ、犠牲膜22a~24aには、例えば、シリコン窒化膜が用いられる。なお、導電体21下には、図示しない基板が設けられている。
【0069】
次に、積層体S1a内をZ方向に延伸する柱状体CLを形成する。柱状体CLは、導電体21に達するメモリホールを形成し、そのメモリホールの内側にカバー絶縁膜38、電荷捕獲膜37、トンネル絶縁膜236、半導体ボディ25、コア層26を堆積することによって形成される。尚、
図10以降において、柱状体CLの図示を省略する。
【0070】
次に、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、支持部HRの形成領域にホールを形成する。ホールは、積層体S1a内をZ方向に延伸し、積層体S1aを貫通するように形成される。このホール内にシリコン酸化膜等の絶縁材料を埋め込むことによって、
図10に示すように、支持部HRが形成される。積層体S1aおよび支持部HR上には、絶縁体36が形成される。
【0071】
次に、絶縁体36上にハードマスク70の材料を形成する。ハードマスク70の材料には、例えば、シリコン窒化膜が用いられる。次に、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、ワード線コンタクトCCの形成領域にあるハードマスク70の材料を除去するように加工する。
【0072】
次に、ハードマスク70をマスクとして用いて、絶縁体36、犠牲膜24aをRIE(Reactive Ion Etching)法等で加工する。これにより、ワード線コンタクトCCの形成領域にコンタクトホールCH0~CH7が形成される。
【0073】
コンタクトホールCH0~CH7の深さをそれぞれ相違させるために、リソグラフィ技術およびエッチング技術を繰り返し実行する。
【0074】
例えば、リソグラフィ技術を用いて、コンタクトホールCH0~CH7に1つ置きにレジスト膜71を充填する。レジスト膜71をマスクとして用いて、絶縁体35および犠牲膜23aの最上層を加工する。これにより、
図12に示す構造が得られる。
【0075】
次に、リソグラフィ技術を用いて、コンタクトホールCH0~CH7に2つ置きにレジスト膜71を充填する。レジスト膜71をマスクとして用いて、絶縁体34および犠牲膜23aを1層ずつ加工する。これにより、
図13に示す構造が得られる。
【0076】
次に、リソグラフィ技術を用いて、コンタクトホールCH0~CH7に3つ置きにレジスト膜71を充填する。レジスト膜71をマスクとして用いて、絶縁体34および犠牲膜23aをさらに1層ずつ加工する。これにより、
図14に示す構造が得られる。
【0077】
レジスト膜71を除去すると、
図15に示すように、深さの異なるコンタクトホールCH0~CH7が積層体S1aに形成される。コンタクトホールCH0~CH7は、積層体S1a内をZ方向へ延伸し、それぞれに対応する絶縁膜34に達する。コンタクトホールCH0~CH7の底部には、それぞれに対応する高さの犠牲膜23aの直上にある絶縁膜34が露出されている。尚、コンタクトホールの個数は特に限定しない。
【0078】
図16~
図20を参照して、コンタクトホールCH3に着目してワード線コンタクトCC3の形成工程をさらに説明する。ワード線コンタクトCC0~CC2、CC4~CC7は、ワード線コンタクトCC3と同様に形成されるので、ワード線コンタクトCC0~CC2、CC4~CC7の形成工程の説明は省略する。
【0079】
図16に示すように、コンタクトホールCH3が形成された後、コンタクトホールCH3の内壁に絶縁膜41が形成される。絶縁膜41には、例えば、シリコン酸化膜が用いられる。次に、コンタクトホールCH3の内壁の絶縁膜41上に絶縁膜42が形成される。絶縁膜42には、例えば、シリコン窒化膜またはアルミニウム酸化膜が用いられる。次に、コンタクトホールCH3の内壁の絶縁膜42上に絶縁膜43が形成される。絶縁膜43には、例えば、シリコン酸化膜が用いられる。次に、コンタクトホールCH3内の絶縁膜43の内側に犠牲膜44aが埋め込まれる。犠牲膜44aには、例えば、ポリシリコン膜が用いられる。
【0080】
次に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法等を用いて、絶縁膜41~42および犠牲膜44aを研磨し、平坦化する。次に、絶縁膜39を絶縁膜41~42および犠牲膜44a上に形成する。これにより、
図17に示す構造が得られる。
【0081】
次に、
図18に示すように、犠牲膜23aを電極膜23に置換する(リプレース工程)。このとき、選択トランジスタST(1)のゲートも電極膜23と同じ材料で置換される。これにより、ワード線WL0~WL7が形成される。また、選択トランジスタST(1)のゲートも形成される。このリプレース工程において、犠牲膜23aが除去されたときに、支持部HRは、絶縁膜34を支持する。これにより、犠牲膜23aが除去されることによって絶縁膜34間に空洞ができても、支持部HRが絶縁膜34を支持するので、絶縁膜34は陥没しない。
【0082】
次に、絶縁膜39および犠牲膜44aを除去する。さらに、RIE法等のエッチング技術を用いて、コンタクトホールCH3の底部を異方的にエッチバックする。これにより、
図19に示すように、コンタクトホールCH3の底部の絶縁膜43(例えば、シリコン酸化膜)が除去され、絶縁膜42(例えば、シリコン窒化膜)が露出される。このとき、絶縁膜42は、シリコン酸化膜のエッチングに対して耐性のあるシリコン窒化膜で形成されているので、エッチングストッパとして機能することができる。
【0083】
次に、RIE法等のエッチング技術を用いて、コンタクトホールCH3の底部を異方的にエッチバックする。これにより、コンタクトホールCH3の底部の絶縁膜42(例えば、シリコン窒化膜)が除去され、絶縁膜41(例えば、シリコン酸化膜)が露出される。このとき、絶縁膜41は、シリコン窒化膜のエッチングに対して耐性のあるシリコン酸化膜で形成されているので、エッチングストッパとして機能することができる。
【0084】
さらに、RIE法等のエッチング技術を用いて、コンタクトホールCH3の底部を異方的にエッチバックする。これにより、
図20に示すように、コンタクトホールCH3の底部の絶縁膜43(例えば、シリコン酸化)および絶縁膜34が除去され、電極膜23(例えば、タングステン)が露出される。
【0085】
ここで、コンタクトホールCH0~CH7の底部には、絶縁膜41~43を積層した積層膜40が設けられている。絶縁膜42は、絶縁膜41、43に対してエッチング選択比の異なる材料で形成されており、絶縁膜43に対するエッチングストッパとして機能する。よって、コンタクトホールCH0~CH7の深さが互いに異なっていても、コンタクトホールCH0~CH7の底部から絶縁膜43を等しく除去することができる。また、絶縁膜41は、絶縁膜42に対するエッチングストッパとして機能する。よって、コンタクトホールCH0~CH7の深さが互いに異なっていても、コンタクトホールCH0~CH7の底部から絶縁膜42を等しく除去することができる。よって、コンタクトホールCH0~CH7の底部において電極膜23(ワード線WL0~WL7)を露出させるためのエッチングは、絶縁膜41および絶縁膜34を除去するだけでよい。
【0086】
その後、
図8に示すように、コンタクトホールCH3内の積層膜40の内側に導電体44を埋め込む。これにより、ワード線WL3に接続するワード線コンタクトCC3が形成される。ワード線コンタクトCC0~CC2,CC4~CC7もワード線コンタクトCC3と同様に形成され得る。さらに、導電体44上に配線50を形成する。その後、層間絶縁膜および多層配線層を形成することによって、本実施形態によるメモリセルアレイMCA1が完成する。
【0087】
もし、積層膜40に代えて、単層膜が用いられた場合、コンタクトホールCH0~CH7は、それらの底部にある比較的厚い絶縁膜を一度に同時にエッチングする必要がある。コンタクトホールCH0~CH7の深さは、互いに異なるため、コンタクトホールCH0~CH7の底部にある比較的厚い絶縁膜を同時にエッチングすると、アンダエッチングによりコンタクトホールCH0~CH7の底部に絶縁膜が残ったり、逆に、過剰なオーバーエッチングによりコンタクトホールCH0~CH7の底部で電極膜23が削られてしまう。これは、ワード線コンタクトCC0~CC7が、意図したワード線WL0~WL7に接続されず、あるいは、意図しないワード線WL0~WL7に短絡するおそれがある。
【0088】
これに対し、本実施形態によれば、コンタクトホールCH0~CH7の底部には、絶縁膜41~43を積層した積層膜40が設けられている。絶縁膜42は、絶縁膜43に対するエッチングストッパとして機能する。よって、コンタクトホールCH0~CH7の深さが互いに異なっていても、コンタクトホールCH0~CH7の底部から絶縁膜43を、過剰なオーバーエッチングなしに等しく除去することができる。また、絶縁膜41は、絶縁膜42に対するエッチングストッパとして機能する。よって、コンタクトホールCH0~CH7の深さが互いに異なっていても、コンタクトホールCH0~CH7の底部から絶縁膜42を、過剰なオーバーエッチングなしに等しく除去することができる。よって、コンタクトホールCH0~CH7の底部において電極膜23(ワード線WL0~WL7)を露出させるためのエッチングは、比較的薄い絶縁膜41および絶縁膜34を除去するだけでよい。これにより、コンタクトホールCH0~CH7の深さが異なっていても、過剰なオーバーエッチングを抑制し、意図したワード線WL0~WL7を露出することができる。その結果、本実施形態は、ワード線コンタクトCC0~CC7が、意図したワード線WL0~WL7のそれぞれに確実に接続することができる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0090】
1 半導体記憶装置
10,MCA1,MCA2 メモリセルアレイ
S1 積層体
WL ワード線
CC ワード線コンタクト
HR 支持部
23 電極膜
33~35 絶縁体
41~43 絶縁膜
40 積層膜