(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120427
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】端末モジュール
(51)【国際特許分類】
H02K 3/50 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
H02K3/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027221
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】松永 雄太
(72)【発明者】
【氏名】舘 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】康村 晴子
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA05
5H604AA08
5H604BB08
5H604BB14
5H604BB16
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC13
5H604QB03
5H604QB15
(57)【要約】
【課題】コイルエンドにおいて、コイル線側接続端部を容易に位置決めできるようにすることを目的とする。
【解決手段】電機子を有する回転電機における端末モジュールであって、電機子の端部に配置される保持部材40を備え、保持部材が、電機子の端部に延出するコイル線側接続端部23を挿入可能な位置決め孔44を有し、位置決め孔が、位置決め基準内面45と、位置決め基準内面に対向する押付内面46とを有し、押付内面が部分的な突部47を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電機子を有する回転電機における端末モジュールであって、
前記電機子の端部に配置される保持部材を備え、
前記保持部材は、前記電機子の端部に延出するコイル線側接続端部を挿入可能な位置決め孔を有し、
前記位置決め孔は、位置決め基準内面と、前記位置決め基準内面に対向する押付内面とを有し、
前記押付内面は部分的な突部を有する、端末モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の端末モジュールであって、
前記電機子の端部に延出する前記コイル線側接続端部に接続されるバスバをさらに備え、
前記バスバは、前記コイル線側接続端部に接合されるバスバ側接続端部を有し、
前記保持部材は、前記バスバ側接続端部を露出させた状態で前記バスバを保持しており、
前記位置決め孔は、挿入された前記コイル線側接続端部を、前記バスバ側接続端部に向けて案内する方向に沿って形成されている、端末モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の端末モジュールであって、
前記保持部材は、前記バスバ側接続端部が、前記位置決め孔に対して前記電機子とは反対側に位置するように、前記バスバを保持する、端末モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の端末モジュールであって、
前記保持部材は、前記バスバ側接続端部のうち前記コイル線側接続端部に接続される面が、前記保持部材から離れた位置に配置されるように、前記バスバを保持する、端末モジュール。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の端末モジュールであって、
前記保持部材は、前記バスバ側接続端部のうち前記コイル線側接続端部に接続される面が、前記位置決め基準内面の延長上に配置されるように、前記バスバを保持する、端末モジュール。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端末モジュールであって、
前記位置決め基準内面と前記突部との間隔は、前記コイル線側接続端部の厚みよりも小さい、端末モジュール。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端末モジュールであって、
前記位置決め基準内面と前記突部との間隔は、前記コイル線側接続端部の厚みと同じである、端末モジュール。
【請求項8】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端末モジュールであって、
前記突部は、前記押付内面のうち前記位置決め孔の出口開口に隣接している、端末モジュール。
【請求項9】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端末モジュールであって、
前記押付内面は、前記突部を複数有し、
前記複数の突部は前記コイル線側接続端部の幅方向において間隔をあけて並ぶ、端末モジュール。
【請求項10】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端末モジュールであって、
前記保持部材は、前記位置決め孔から前記電機子に向って順次広がるように延びるガイド面を有する、端末モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、絶縁材料製の保持部材と、互いに間隔をおいて保持部材に保持されている複数のバスバとを有しているコイル接続装置を備え、保持部材は、固定子電機子の軸方向におけるコイル集合体の端部であるコイルエンド部に固定されている回転電機の固定子が開示されている。保持部材には、コイル間接続部が挿入される溝が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の保持部材の溝では、コイル線を一定位置に保つことは難しい。このため、コイル線を他の導体に接続する際には、別途位置決め治具が準備されることが考えられ、製造コストの増加を招く可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、コイルエンドにおいて、コイル線側接続端部を容易に位置決めできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の端末モジュールは、電機子を有する回転電機における端末モジュールであって、前記電機子の端部に配置される保持部材を備え、前記保持部材は、前記電機子の端部に延出するコイル線側接続端部を挿入可能な位置決め孔を有し、前記位置決め孔は、位置決め基準内面と、前記位置決め基準内面に対向する押付内面とを有し、前記押付内面は部分的な突部を有する、端末モジュールである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コイルエンドにおいて、コイル線側接続端部を容易に位置決めできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態に係る回転電機を示す斜視図である。
【
図3】
図3は端末モジュールの一端部を示す斜視図である。
【
図4】
図3は端末モジュールの一端部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の端子モジュールは、次の通りである。
【0011】
(1)電機子を有する回転電機における端末モジュールであって、前記電機子の端部に配置される保持部材を備え、前記保持部材は、前記電機子の端部に延出するコイル線側接続端部を挿入可能な位置決め孔を有し、前記位置決め孔は、位置決め基準内面と、前記位置決め基準内面に対向する押付内面とを有し、前記押付内面は部分的な突部を有する、端末モジュールである。
【0012】
本開示によると、コイル線側接続端部が位置決め孔に挿入された状態で、突部によってコイル線側接続端部を位置決め基準内面に押付けた状態とすることができる。これにより、コイルエンドにおいて、コイル線側接続端部を容易に位置決めできる。
【0013】
(2)(1)の端末モジュールであって、前記電機子の端部に延出する前記コイル線側接続端部に接続されるバスバをさらに備え、前記バスバは、前記コイル線側接続端部に接合されるバスバ側接続端部を有し、前記保持部材は、前記バスバ側接続端部を露出させた状態で前記バスバを保持しており、前記位置決め孔は、挿入された前記コイル線側接続端部を、前記バスバ側接続端部に向けて案内する方向に沿って形成されていてもよい。
【0014】
これにより、位置決め孔に挿入されたコイル線側接続端部をバスバ側接続端部に向けて案内することができる。
【0015】
(3)(2)の端末モジュールであって、前記保持部材は、前記バスバ側接続端部が、前記位置決め孔に対して前記電機子とは反対側に位置するように、前記バスバを保持してもよい。
【0016】
これにより、位置決め孔を抜出たコイル線側接続端部を、電機子とは反対側で、バスバ側接続端部に対して容易に接合できる。
【0017】
(4)(3)の端末モジュールであって、前記保持部材は、前記バスバ側接続端部のうち前記コイル線側接続端部に接続される面が、前記保持部材から離れた位置に配置されるように、前記バスバを保持してもよい。
【0018】
この場合、バスバ側接続端部とコイル線側接続端部とを接合する際の熱が保持部材に伝わり難い。
【0019】
(5)(2)から(4)のいずれか1つの端末モジュールであって、前記保持部材は、前記バスバ側接続端部のうち前記コイル線側接続端部に接続される面が、前記位置決め基準内面の延長上に配置されるように、前記バスバを保持してもよい。
【0020】
これにより、位置決め基準内面によって位置決めされるコイル線側接続端部が、バスバ側接続端部に面接触するように位置決めされる。
【0021】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの端末モジュールであって、前記位置決め基準内面と前記突部との間隔は、前記コイル線側接続端部の厚みよりも小さくてもよい。
【0022】
この場合、コイル線側接続端部を位置決め孔に挿入すると、突部を潰しつつ、コイル線側接続端部を位置決め基準内面に押付けて位置決めできる。
【0023】
(7)(1)から(5)のいずれか1つの端末モジュールであって、前記位置決め基準内面と前記突部との間隔は、前記コイル線側接続端部の厚みと同じであってもよい。
【0024】
この場合、突部によってコイル線側接続端部を位置決め基準内面に押付けた状態とすることができる。これにより、コイルエンドにおいて、コイル線側接続端部を容易に位置決めできる。また、突部を潰さなくてもよいので、コイル線側接続端部を位置決め孔に挿入する際の挿入力を小さくできる。
【0025】
(8)(1)から(7)のいずれか1つの端末モジュールであって、前記突部は、前記押付内面のうち前記位置決め孔の出口開口に隣接していてもよい。
【0026】
これにより、位置決め孔の出口でコイル線側接続端部を位置決め基準内面に押付けることができ、コイル線側接続端部のうち位置決め孔から出る部分をより正確に位置決めし易い。
【0027】
(9)(1)から(8)のいずれか1つの端末モジュールであって、前記押付内面は、前記突部を複数有し、前記複数の突部は前記コイル線側接続端部の幅方向において間隔をあけて並んでもよい。
【0028】
これにより、複数の突部によって、コイル線側接続端部を位置決め基準内面に安定して押付けることができる。
【0029】
(10)(1)から(9)のいずれか1つの端末モジュールであって、前記保持部材は、前記位置決め孔から前記電機子に向って順次広がるように延びるガイド面を有してもよい。
【0030】
この場合、コイル線側接続端部がガイド面によって位置決め孔に向って案内されるため、コイル線側接続端部を位置決め孔に容易に挿入できる。
【0031】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の端末モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0032】
[実施形態]
以下、実施形態に係る端末モジュールについて説明する。本実施形態では、端末モジュールが回転電機に組込まれた例が説明される。
【0033】
<全体構成>
回転電機の全体構成について説明する。
図1は回転電機を示す斜視図である。
【0034】
回転電機10は、機器ケース12、電機子20及び界磁18を備える。回転電機10は、電動機であってもよいし、発電機であってもよい。
【0035】
機器ケース12は、有底筒状のケース本体13と、蓋部14とを備える。ケース本体13内に、ステータとしての電機子20が収納されている。界磁18は、ロータとして電機子20内に配置されている。
【0036】
電機子20がコイルを含み、界磁18が永久磁石を含む。電機子20が発生させる磁界によって界磁18が回転軸Xを中心として回転し、又は、界磁18の回転によって電機子20が起電力を発生させる。
【0037】
電機子20は、環状に形成されている。電機子20は、コイル線22を含む。コイル線22は、銅線等によって構成された線状導電部材である。
【0038】
コイル線22は、電機子コア24に巻回されていてもよい。例えば、電機子コア24は、複数のティースを含む。当該複数のティースが回転軸Xを囲むように設けられることで、電機子コア24が環状をなす。回転軸Xの周りにおいて、複数のティース間には、隙間が設けられている。コイル線22は、回転軸Xに対して平行な方向に延びるように、複数のティース間に配置される。
【0039】
コイル線22の端部は、ティースの間から出て電機子20の端部に延出するコイル線側接続端部23である。コイル線側接続端部23の一部は、ティース間のコイル線22がコイルをなすように、他のコイル線側接続端部23に接続されることがある。例えば、コイル線22のうちティース間から出たコイル線側接続端部23が曲げられて、接続対象となる他のコイル線側接続端部23に重ね合される。そして、複数のコイル線側接続端部23同士が接続される。例えば、コイル線側接続端部23同士は、溶接等されることで繋がってもよいし、一体形成されることで直接繋がって形成されていてもよいし、電機子コア24の端部に設けられた導電部材を介して繋がっていてもよい。
【0040】
端末モジュール30が電機子コア24の一端面上に位置する。コイル線側接続端部23の他の一部は、端末モジュール30を介して外部機器に接続されることがある。外部機器は、例えば、回転電機10を制御するインバータ機器である。コイル線側接続端部23の他の一部は、端末モジュール30を介して、別のコイル線側接続端部23に接続されてもよい。
【0041】
ケース本体13が電機子20の周囲及び他端側を囲む。ケース本体13は、電機子20の一端側で開口している。電機子20の一端側に上記端末モジュール30が配置される。蓋部14が、端末モジュール30側から電機子20を覆う。
【0042】
端末モジュール30に接続された外部引出端子28がケース本体13又は蓋部14を貫通して外部に露出する。インバータ機器が外部引出端子28及び端末モジュール30を介してコイル線22に接続される。
【0043】
上記したように、電機子20の端部にコイル線側接続端部23が延出している。本実施形態では、コイル線22は、横断面(延在方向に対して直交する面における断面)が一方向に長い長方形状である平角導体である。コイル線側接続端部23は、斜め部分23aと、直線部23bとを含む。斜め部分23aは、電機子コア24から出た部分で、電機子コア24の周方向に沿って回転軸Xに対して交差するように曲っている部分である。直線部23bは、斜め部分23aよりも先端側で回転軸Xに沿って延びる部分である。
【0044】
直線部23bは、平角導体部分の一部である。従って、直線部23bは、断面における一対の長辺に対応する一対の長辺側面23bf1と、一対の短辺に対応する一対の短辺側面23bf2とを有する(
図3参照)。つまり、コイル線側接続端部23の直線部23bは、回転軸Xと平行な方向に沿って延び出る、細長い直方体を呈している。上記斜め部分23aは省略されてもよい。長辺側面23bf1と短辺側面23bf2とは角をなして繋がっていてもよいし、曲面を描きつつ繋がっていてもよい。
【0045】
上記したように、コイル線側接続端部23の少なくとも一部は、上記端末モジュール30を介して他のコイル線側接続端部23に接続されたり、外部引出端子28に接続されたりする。
【0046】
以下、端末モジュール30を中心とした説明がなされる。
【0047】
<端末モジュールについて>
図2は端末モジュール30を示す斜視図である。
図2において端末モジュール30に接続されるコイル線側接続端部23が図示されている。
【0048】
端末モジュール30は、電機子20の端部に配置される保持部材40を備える。保持部材40は、樹脂によって金型成型された部品である。保持部材40は、電機子20の端部に配置可能な板状に形成されている。ここでは、保持部材40は、電機子20の環状端部に沿うように弧状をなす板状に形成されている。保持部材40は、例えば、コイル線側接続端部23によって、電機子20の端部外側の一定位置に保持される。
【0049】
保持部材40に、コイル線側接続端部23を挿入可能な位置決め孔44が形成されている。位置決め孔44は、回転軸X方向に沿って延びる孔であり、保持部材40の両面側に貫通している。コイル線側接続端部23が位置決め孔44に挿入されることで、コイル線側接続端部23が精度よく一定位置に保持される。
【0050】
本実施形態では、端末モジュール30は、コイル線側接続端部23に接続されるバスバ50U、50V、50W、60を備える。バスバ50U、50V、50W、60は、金属板材をプレス加工等することによって形成される導電部品である。
【0051】
バスバ50U、50V、50Wは、それぞれコイル線22のU相、V相、W相に対応するバスバである。バスバ60は、コイル線22を中性点で結線するためのバスバである。
【0052】
より具体的には、バスバ50Uは、バスバ側接続端部50Uaと、外部接続端部50Ubと、中間接続部50Ucとを有する。中間接続部50Ucは、保持部材40内において当該保持部材40に沿って配置可能な弧状に形成されている(
図5参照)。バスバ側接続端部50Uaは、中間接続部50Ucの端部又は延在方向中間部から分岐するように延び出る細長い板状部分である。本実施形態では、複数のバスバ側接続端部50Uaが、中間接続部50Ucから延び出て、接続対象となるコイル線側接続端部23と接触可能な位置に配置される。外部接続端部50Ubは、中間接続部50Ucの端部又は延在方向中間部から電機子20とは反対側に延び出る部分である。
【0053】
バスバ50Uは、バスバ側接続端部50Ua及び外部接続端部50Ubを外部に露出させた状態で、保持部材40によって保持されている。バスバ50Uが保持部材40によって保持された状態で、バスバ側接続端部50Uaがコイル線側接続端部23に接続される。
【0054】
コイル線側接続端部23がバスバ側接続端部50Uaに接続されると共に、外部接続端部50Ubに外部引出端子28が接続されることで、コイル線22が、バスバ50U及び外部引出端子28を介してインバータ機器のU相端子に接続される。
【0055】
バスバ50V、50Wも、バスバ側接続端部及び外部接続端部の配置関係を除き、バスバ50Uと同様に構成されている。なお、本実施形態で示されるバスバ50U、50V、50Wの3相の対応関係は例示であり、例えば、バスバ50Uと例示されている位置に存在するバスバは、V相用のバスバであってもよいし、W相用のバスバであってもよい。後に説明されるコイル線側接続端部23がバスバ側接続端部50Uaとの接続構造は、バスバ50V、50Wのバスバ側接続端部とコイル側接続端部との接続構造に適用され得る。
【0056】
バスバ60は、バスバ側接続端部60aと、中間接続部60cとを有する。中間接続部60cは、保持部材40内において当該保持部材40に沿って配置可能な弧状に形成されている(
図5参照)。バスバ側接続端部60aは、中間接続部60cの端部又は延在方向中間部から分岐するように延び出る細長い板状部分である。本実施形態では、複数のバスバ側接続端部60aが、中間接続部60cから延び出て、接続対象となるコイル線側接続端部23と接触可能な位置に配置される。
【0057】
バスバ60は、バスバ側接続端部60aを外部に露出させた状態で、保持部材40によって保持されている。バスバ60が保持部材40によって保持された状態で、バスバ側接続端部60aがコイル線側接続端部23に接続される。
【0058】
複数のコイル線側接続端部23のそれぞれが、対応する複数のバスバ側接続端部60aに接続されることで、複数のコイル線側接続端部23がバスバ60を介して中性点で結線される。
【0059】
バスバ50Uの複数のバスバ側接続端部50Uaと、バスバ50V、50Wのそれぞれの複数のバスバ側接続端部と、バスバ60のバスバ側接続端部60aとが、保持部材40の内周側及び外周側のそれぞれにおいて、弧状に並んでいる。バスバ50Uの複数のバスバ側接続端部50Uaと、バスバ50V、50Wのそれぞれの複数のバスバ側接続端部と、バスバ60のバスバ側接続端部60aとのそれぞれに対応する位置に、位置決め孔44が形成されている。
【0060】
位置決め孔44は、挿入されたコイル線側接続端部23を、バスバ側接続端部50Ua、60a等に向けて案内する方向に沿って形成されている。例えば、軸方向に沿って見た場合に、位置決め孔44は、いずれかのバスバ側接続端部50Ua、60a等の隣に位置している。これにより、位置決め孔44に挿入されたコイル線側接続端部23は、保持部材40を抜出てバスバ側接続端部50Ua、60a等に向けて案内される。
【0061】
端末モジュール30の一端部に着目して、位置決め孔44と、バスバ側接続端部50Ua及びバスバ側接続端部60aとの関係についてより具体的に説明する。
【0062】
図3及び
図4は端末モジュール30の一端部を示す斜視図である。
図3は電機子20とは反対側から見た斜視図であり、
図4は電機子20側から見た斜視図である。
図3及び
図4において、挿入前のコイル線側接続端部23が示されている。
図5は
図3のV-V線断面図である。
図6は
図3のV-V線部分断面においてコイル線側接続端部23とバスバ側接続端部50Uaとが接続された状態を示す図である。
図6において潰れる前の突部47の形状が2点鎖線で図示されている。
【0063】
上記したように、位置決め孔44は、コイル線側接続端部23を挿入可能な貫通孔である。コイル線側接続端部23は、横断面が長方形をなす平角形状である。よって、位置決め孔44は、コイル線側接続端部23を挿入可能なように、一方向に長い長方形が連続する角孔状であることが想定される。位置決め孔44の内周面の角は、直角であってもよいし、曲面をなしていてもよい。
【0064】
位置決め孔44の内周面は、一対の長辺側の面と、一対の短辺側の辺とで囲まれた形状である。一対の長辺側の面のうち一方が位置決め基準内面45であり、他方が位置決め基準内面45に対向する押付内面46である。
【0065】
位置決め基準内面45は、平面であってもよい。例えば、位置決め基準内面45は、回転軸Xと平行な平面であってもよい。
【0066】
押付内面46は、部分的な突部47を有する。より具体的には、押付内面46は、主内面46fと、突部47とを有する。主内面46fは、位置決め基準内面45に対して間隔をあけて対向する平面である。主内面46fと位置決め基準内面45とは平行な位置関係であってもよい。
【0067】
突部47は、主内面46fに対して部分的に突出している。位置決め基準内面45及び主内面46fは、位置決め孔44の長辺側の面全体に広がっており、突部47は、長辺側の面から部分的に突出している。よって、保持部材40が同一の樹脂によって形成される部品であることを踏まえると、部分的な突部47は、位置決め基準内面45よりも容易に押潰され得る。
【0068】
位置決め孔44の短辺方向の寸法は、押付内面46の主内面46fと、位置決め基準内面45との間隔である。当該短辺方向の寸法は、コイル線側接続端部23の短辺方向の寸法と同じであってもよいし、大きくてもよい。位置決め孔44の短辺方向の寸法は、コイル線側接続端部23の短辺方向の寸法よりも大きいことが好ましい。
【0069】
位置決め孔44の長辺方向の寸法は、コイル線側接続端部23の長辺方向の寸法と同じであってもよいし、大きくてもよい。位置決め孔44の長辺方向の寸法は、コイル線側接続端部23をその長辺方向においてがたつき無く支持できる程度の大きさであってもよい。
【0070】
上記突部47の形状は任意である。突部47は、例えば、次の形状であってもよい。突部47は、回転軸Xに沿って延びる細長い突起形状であってもよい。突部47のうち電機子20側の端部は、電機子に向うのにつれて徐々に高さ寸法が低くなる乗上げ形状部分47a(
図5参照)に形成されていてもよい。これにより、コイル線側接続端部23が電機子20側から突部47上に乗上げ易くなる。
【0071】
突部47の横断面形状は、任意であり、三角形状であってもよいし、四角形状であってもよいし、半円形状であってもよい。
【0072】
突部47の形成位置は任意である。突部47は、押付内面46のうち位置決め孔44の出口開口に隣接していてもよい。位置決め孔44の出口開口とは、位置決め孔44の両端開口のうちコイル線側接続端部23が出ていく側の開口であり、電機子20とは反対側の開口である。突部47が位置決め孔44の出口開口に隣接するとは、例えば、突部47のうち当該出口側の端面が、保持部材40のうち位置決め孔44の出口開口を囲む端面に連なっていることをいう。
【0073】
突部47が押付内面46のうち位置決め孔44の出口開口に隣接していれば、位置決め孔44を出ていくコイル線側接続端部23の位置を規制し易い。
【0074】
突部47の突出長は任意である。位置決め基準内面45と突部47との間隔Gは、コイル線側接続端部23の厚みTよりも小さいことが好ましい(
図5参照)。この場合、コイル線側接続端部23を位置決め孔44に挿入すると、突部47が押潰されて、コイル線側接続端部23が位置決め基準内面45によって位置決めされ易い。
【0075】
位置決め基準内面45と突部47との間隔Gは、コイル線側接続端部23の厚みTと同じであってもよい。この場合でも、コイル線側接続端部23を位置決め孔44に挿入すると、突部47によってコイル線側接続端部23が位置決め基準内面45に向けて押されて、当該位置決め基準内面45によって位置決めされ得る。
【0076】
押付内面46に形成される突部47の数は任意である。押付内面46は、複数の突部47を有しており、当該複数の突部47は、コイル線側接続端部23の幅方向において間隔をあけて並んでいてもよい。
【0077】
この場合、複数の突部47が、コイル線側接続端部23の幅方向において異なる箇所で当該コイル線側接続端部23を位置決め基準内面45に向けて押すことができる。これにより、コイル線側接続端部23が位置決め基準内面45に面接触し易くなり、コイル線側接続端部23がより確実に位置決め基準内面45によって一定位置に位置決めされる。本実施形態では、2つの突部47が押付内面46の幅方向において間隔をあけて並ぶ。2つの突部47は、押付内面46の幅方向において左右対称位置に配置されていることが好ましい。
【0078】
保持部材40は、位置決め孔44から電機子20に向って順次広がるように延びるガイド面48を有していてもよい。ガイド面48は、角孔状をなす位置決め孔44の全ての側面から延びていてもよいし、一部の側面から延びていてもよい。本実施形態では、位置決め孔44の4つの側面からガイド面48が延びている。
【0079】
位置決め孔44の4つの側面から延びるガイド面48は同じ長さであってもよいし、異なる長さであってもよい。本実施形態では、位置決め孔44の4つの側面から延びる4つのガイド面48のうち保持部材40の幅方向中央側のガイド面48は、他のガイド面よりも短い。
【0080】
ガイド面48によって、コイル線側接続端部23が位置決め孔44に導かれる。これにより、コイル線側接続端部23が位置決め孔44に容易に挿入される。
【0081】
保持部材40は、バスバ側接続端部50Ua、60aが、位置決め孔44に対して電機子20とは反対側に位置するように、バスバ50U、60を保持している。
【0082】
より具体的には、中間接続部50Ucは、回転軸Xに対して直交する方向に沿って延在している。中間接続部50Ucは、内周側の位置決め孔44よりも外周側に位置している。バスバ側接続端部50Uaは、当該中間接続部50Ucの内周側の側部で電機子20とは反対側に曲って回転軸Xに沿う方向に延在する(
図5参照)。これにより、バスバ側接続端部50Uaが位置決め孔44に対して電機子20とは反対側に位置する。
【0083】
中間接続部60cも、回転軸Xに対して直交する方向に沿って延在している。中間接続部60cは、外周側の位置決め孔44よりも内周側に位置している。バスバ側接続端部60aは、当該中間接続部60cの内周側の側部で電機子20とは反対側に曲って回転軸Xに沿う方向に延在する(
図5参照)。これにより、バスバ側接続端部60aが位置決め孔44に対して電機子20とは反対側に位置する。
【0084】
バスバ側接続端部50Ua、60aのうちコイル線側接続端部23に接続される面は、位置決め基準内面45の延長上に配置されていることが好ましい(
図5のラインL参照)。例えば、バスバ側接続端部50Uaのうちコイル線側接続端部23に接続される面50Uafは、バスバ側接続端部50Uaのうち中間接続部50Ucに対して曲って回転軸Xに沿って延びる端部であって、内周側の面である。
【0085】
これにより、位置決め基準内面45によって位置決めされたコイル線側接続端部23が、バスバ側接続端部50Ua、60aの面50Uaf等に安定して面接触するように案内される(
図5のラインL参照)。
【0086】
なお、製造誤差等の事情によって、許容される公差範囲内(例えば、±0.2mm)で、バスバ側接続端部50Ua、60aの面50Uafと、位置決め基準内面45とがずれてもよい。
【0087】
また、バスバ側接続端部50Ua、60aの面50Uaf等が、位置決め基準内面45の延長面よりも押付内面46側に位置していてもよい。この場合、位置決め基準内面45に押付けられたコイル線側接続端部23がバスバ側接続端部50Ua、60aの面50Uaf等に押付けられ易い。
【0088】
バスバ側接続端部50Uaのうちコイル線側接続端部23に接続される面50Uafは、保持部材40から離れた位置に配置されていてもよい。例えば、バスバ側接続端部50Uaは、中間接続部50Ucに対して弧を描きつつ曲って回転軸Xに沿う状態となる。バスバ側接続端部50Uaは、回転軸Xに沿う面50Uafの基端側に弧を描きつつ曲る部分50Uavを有している。当該弧を描きつつ曲る部分50Uavが、保持部材40のうち位置決め孔44の出口開口側の面から離れるように曲っており、その先端側に位置する面50Uafは、保持部材40から離れている。
【0089】
この場合、位置決め孔44の出口近くでは、バスバ側接続端部50Uaのうちの曲る部分50Uavとコイル線側接続端部23との間に隙間が設けられる。そして、バスバ側接続端部50Uaのうち先端側の面50Uafとコイル線側接続端部23とが保持部材40から離れた位置で接触し合う。
【0090】
バスバ側接続端部50Uaのうち先端側の面50Uafとコイル線側接続端部23とが接合される。接合は、例えば、抵抗溶接、超音波接合又は半田付等によってなされる。接合箇所は保持部材40から離れて位置するため、当該接合箇所に、接合のための熱エネルギーが加えられたとしても、当該熱が保持部材40に伝わり難い。これにより、接合時の熱が保持部材40に影響することが抑制される。
【0091】
もっとも、上記のように、バスバ側接続端部とコイル線側接続端部との接合箇所が保持部材から離れていることは必須ではない。
【0092】
なお、バスバ側接続端部のうちコイル線側接続端部と接続される面は、バスバ側接続端部の外周面であってもよいし、バスバ側接続端部の端面であってもよい。
【0093】
<効果等>
以上のように構成された端末モジュール30によると、位置決め孔44が位置決め基準内面45と押付内面46とを有し、押付内面46が部分的な突部47を有する。このため、コイル線側接続端部23が位置決め孔44に挿入された状態で、突部47によってコイル線側接続端部23を位置決め基準内面45に押付けた状態とすることができる。これにより、電機子20に含まれるコイルの端部、即ち、コイルエンドにおいて、コイル線側接続端部23を容易に位置決めできる。コイル線側接続端部23を容易に位置決めできれば、当該コイル線側接続端部23を他の導電部材に接続する作業が容易に行われ得る。
【0094】
保持部材40がバスバ側接続端部50Ua、60a等を露出させた状態で、バスバ50U、50V、50W、60を保持しており、位置決め孔44がコイル線側接続端部23を、バスバ側接続端部50Ua、60a等に向けて案内する。この場合、バスバ50U、50V、50W、60の保持部材40とは別に、位置決め治具を用いなくても、バスバ側接続端部50Ua、60a等とコイル線側接続端部23とを容易に接合できる。これにより、複数のコイル線側接続端部23と、バスバ側接続端部50Ua、60a等との接合を容易かつ正確に行えると共に、製造コストを低減できる。
【0095】
また、保持部材40は、バスバ側接続端部50Ua、60a等が、位置決め孔44に対して電機子20とは反対側に位置するように、バスバ50U、50V、50W、60を保持する。このため、バスバ側接続端部が電機子側に位置する場合と比較して、バスバ側接続端部50Ua、60a等と、コイル線側接続端部23とを電機子20とは反対側で容易に接合できる。
【0096】
また、保持部材40は、バスバ側接続端部50Ua、60a等のうちコイル線側接続端部23に接続される面50Uaf等が、保持部材40から離れた位置に配置されるように、バスバ50U、50V、50W、60を保持する。このため、バスバ側接続端部50Ua、60a等とコイル線側接続端部23を接合する際の熱が保持部材40に伝わり難くなり、保持部材40に対する熱の影響が抑制される。
【0097】
また、バスバ側接続端部50Ua、60a等のうちコイル線側接続端部23に接続される面50Uaf等が、位置決め基準内面45の延長上に配置されるように、保持部材40がバスバ50U、50V、50W、60を保持する。このため、位置決め基準内面45によって位置決めされるコイル線側接続端部23が、バスバ側接続端部50Ua、60a等に安定して面接触するように位置決めされる。
【0098】
また、位置決め基準内面45と突部47との間隔Gが、コイル線側接続端部23の厚みTよりも小さい。このため、コイル線側接続端部23を位置決め孔44に挿入すると、位置決め基準内面45よりも押潰され易い突部47を潰しつつ、コイル線側接続端部23を位置決め基準内面45に押付けて位置決めできる。このため、コイル線側接続端部23がより確実に位置決め基準内面45を基準として位置決めされる。
【0099】
また、位置決め基準内面45と突部47との間隔Gが、コイル線側接続端部23の厚みTと同じであってもよい。この場合、コイル線側接続端部23を位置決め孔44に挿入すると、突部47によってコイル線側接続端部23を位置決め基準内面45に押付けて位置決めできる。このため、コイル線側接続端部23が位置決め基準内面45を基準として位置決めされる。また、突部47を潰さなくてもよいので、コイル線側接続端部23を位置決め孔44に挿入する際の挿入力を小さくできる。
【0100】
また、突部47が押付内面46のうち位置決め孔44の出口開口に隣接しているため、位置決め孔44の出口でコイル線側接続端部23を位置決め基準内面45に押付けることができる。これにより、位置決め孔44から出るコイル線側接続端部23をより正確に位置決めし易い。
【0101】
また、複数の突部47がコイル線側接続端部23の幅方向において間隔をあけて並んでいる。このため、コイル線側接続端部23を位置決め基準内面45に安定して押付けることができる。
【0102】
また、保持部材40が位置決め孔44から電機子20に向って順次広がるように延びるガイド面48を有する。このため、コイル線側接続端部23がガイド面48によって、位置決め孔44に向けて案内される。よって、コイル線側接続端部23を位置決め孔44に容易に挿入できる。
【0103】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0104】
10 回転電機
12 機器ケース
13 ケース本体
14 蓋部
18 界磁
20 電機子
22 コイル線
23 コイル線側接続端部
23a 斜め部分
23b 直線部
23bf1 長辺側面
23bf2 短辺側面
24 電機子コア
28 外部引出端子
30 端末モジュール
40 保持部材
44 位置決め孔
45 位置決め基準内面
46 押付内面
46f 主内面
47 突部
47a 乗上げ形状部分
48 ガイド面
50U、50V、50W、60 バスバ
50Ua、60a バスバ側接続端部
50Uaf バスバ側接続端部のうちコイル線側接続端部に接続される面
50Uav 曲る部分
50Ub 外部接続端部
50Uc、60c 中間接続部
60a バスバ側接続端部
G 位置決め基準内面と突部との間隔
L 位置決め基準内面の延長ライン
T コイル線側接続端部の厚み
X 回転軸