(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120431
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】冷蔵庫及び棚部材
(51)【国際特許分類】
F25D 25/02 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
F25D25/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027229
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100135356
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】千田 勇介
(72)【発明者】
【氏名】安 英蓮
(72)【発明者】
【氏名】岩上 栄生
(72)【発明者】
【氏名】石田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠太
(72)【発明者】
【氏名】栢野 悟朗
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 悠太
(57)【要約】
【課題】棚の高さの変更の容易化が図られた冷蔵庫を提供すること。
【解決手段】断熱箱体11と、断熱箱体11の内部に配置され被貯蔵物が載置される棚部材20と、断熱箱体11の内面に配置され、棚部材20を支持する支持部材30と、を備え、棚部材20は、支持部材30に当接して支持される被支持部を有し、支持部材30は、水平方向に延びて複数段設けられ、被支持部を下から支持する水平棚部33と、複数段の水平棚部33間を連通する連通路37と、被支持部の水平方向への移動を阻む上下延出部45と、を備える冷蔵庫である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱箱体と、
前記断熱箱体の内部に配置され被貯蔵物が載置される棚部材と、
前記断熱箱体の内面に配置され、前記棚部材を支持する支持部材と、を備え、
前記棚部材は、前記支持部材に当接して支持される被支持部を有し、
前記支持部材は、
水平方向に延びて複数段設けられ、前記被支持部を下から支持する水平棚部と、
複数段の前記水平棚部間を連通する連通路と、
前記被支持部の水平方向への移動を阻む上下延出部と、を備える冷蔵庫。
【請求項2】
前記連通路には、前記被支持部の上下方向の移動を抑制する上下移動抑制部が設けられている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記支持部材は、前記水平棚部に隣接して棚部飛び出し防止部を有している請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記支持部材は、前後に少なくとも2つ設けられ、前記棚部飛び出し防止部を、前側の前記支持部材に備えている請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
上下に隣接する前記水平棚部の間の空間の、前記水平棚部の先端部における高さは、前記水平棚部の基部における高さよりも高い請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記支持部材は、前後に少なくとも2つ設けられ、前記上下延出部を、後側の前記支持部材に備えている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記棚部材は、前記被貯蔵物が載置される棚部材板状部を有し、
前記棚部材板状部の側端部は、上下方向に延びる側部延出部を有する請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
断熱箱体と、
前記断熱箱体の内面に配置される支持部材と、
を備える冷蔵庫の、前記断熱箱体の内部において前記支持部材に支持されて配置され、被貯蔵物が載置される棚部材であって、
前記棚部材は、前記支持部材に当接して支持される被支持部を有し、
前記支持部材は、
水平方向に延びて複数段設けられ、前記被支持部を下から支持する水平棚部と、
複数段の前記水平棚部間を連通する連通路と、
前記被支持部の水平方向への移動を阻む上下延出部と、を備える、棚部材。
【請求項9】
前記被貯蔵物が載置される棚部材板状部を有し、
前記棚部材板状部の側端部は、上下方向に延びる側部延出部を有する請求項8に記載の棚部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵庫及び棚部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、容易に棚の高さを変更することが可能な冷蔵庫が知られている(例えば、特許文献1参照)。冷蔵庫は、前側のレールと後側のレールとを備えており、これらの上に棚が載置される。棚の側部に形成された凹部に対してレールが通過できる構成とすることにより、棚を手前に引き出す距離を短くして、棚の高さの変更を容易とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来の冷蔵庫では、棚を引き出す際に、引き出し過ぎてしまい、又は、引き出し量が少なすぎて、棚の側部に形成された凹部とレールとを一致させにくく、棚の高さの変更の更なる容易化が求められていた。本開示は、棚の高さの変更の容易化が図られた冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本開示は、断熱箱体と、前記断熱箱体の内部に配置され被貯蔵物が載置される棚部材と、前記断熱箱体の内面に配置され、前記棚部材を支持する支持部材と、を備え、前記棚部材は、前記支持部材に当接して支持される被支持部を有し、前記支持部材は、水平方向に延びて複数段設けられ、前記被支持部を下から支持する水平棚部と、複数段の前記水平棚部間を連通する連通路と、前記被支持部の水平方向への移動を阻む上下延出部と、を備える冷蔵庫に関する。
【0006】
(1)の冷蔵庫によれば、棚部材の位置を変える際に前側へ引き出すときに、棚部材を引き出し過ぎてしまい棚部材が支持部材から外れたり、又は、引き出し量が少なすぎたりして、所望の水平棚部へ棚部材を載置させにくい状態となることを防止することが可能となる。このため、棚部材に収容物としての被貯蔵物を載置させたままの状態で棚部材を、一番下側に位置する棚部材から一番上側に位置する棚部材に至るまでの任意の水平棚部へ移動させることが可能となる。この結果、棚部材の高さの変更の容易化が図られた冷蔵庫を提供することができる。
【0007】
(2)前記連通路には、前記被支持部の上下方向の移動を抑制する上下移動抑制部が設けられている(1)に記載の冷蔵庫。
【0008】
(2)の冷蔵庫によれば、棚部材を上下へ移動させる際に、各水平棚部に載置可能な位置で、一旦被支持部の上下方向への移動を止めることができ、棚部材を載置させたい所望の水平棚部を通過してしまうことを防止できる。
【0009】
(3)前記支持部材は、前記水平棚部に隣接して棚部飛び出し防止部を有している(1)~(2)のいずれかに記載の冷蔵庫。
【0010】
(3)の冷蔵庫によれば、水平棚部に載置された被支持部が、容易に前側へ飛び出すことを抑えることが可能となる。
【0011】
(4)前記支持部材は、前後に少なくとも2つ設けられ、前記棚部飛び出し防止部を、前側の前記支持部材に備えている(1)~(3)のいずれかに記載の冷蔵庫。
【0012】
(4)の冷蔵庫によれば、冷蔵庫の外部から視認が容易な支持部材において、被支持部が棚部飛び出し防止部よりも後側の水平棚部に載置されているか否かを目視により確認することが容易となり、棚部材を水平棚部において前側へ飛び出しにくい位置に、確実に配置させることが容易となる。
【0013】
(5)上下に隣接する前記水平棚部の間の空間の、前記水平棚部の先端部における高さは、前記水平棚部の基部における高さよりも高い(1)~(4)のいずれかに記載の冷蔵庫。
【0014】
(5)の冷蔵庫によれば、水平棚部間への被支持部の挿入を容易に行うことができる。
【0015】
(6)前記支持部材は、前後に少なくとも2つ設けられ、前記上下延出部を、後側の前記支持部材に備えている(1)~(5)のいずれかに記載の冷蔵庫。
【0016】
(6)の冷蔵庫によれば、後側の前記支持部材が前側へ飛び出さない構成とされているため、棚部材を水平棚部へ載置する際に、前側の前記支持部材が上下延出部に当接することを認識しないで済み、棚部材の水平棚部への載置を容易とすることができる。
【0017】
(7)前記棚部材は、前記被貯蔵物が載置される棚部材板状部を有し、前記棚部材板状部の側端部は、上下方向に延びる側部延出部を有する(1)~(6)のいずれかに記載の冷蔵庫。
【0018】
(7)の冷蔵庫によれば、棚部材を上下方向へ移動させているときに、側部延出部が支持部材に当接して、棚部材板状部が水平の状態から大きく傾斜することを抑えることが可能となる。この結果、棚部材の左右の端部において、異なる高さの水平棚部に前記支持部材が載置されることを防止することが可能となり、スムーズに棚部材を上下方向へ移動させることが可能となる。
【0019】
(8)本開示は、断熱箱体と、前記断熱箱体の内面に配置される支持部材と、を備える冷蔵庫の、前記断熱箱体の内部において前記支持部材に支持されて配置され、被貯蔵物が載置される棚部材であって、前記棚部材は、前記支持部材に当接して支持される被支持部を有し、前記支持部材は、水平方向に延びて複数段設けられ、前記被支持部を下から支持する水平棚部と、複数段の前記水平棚部間を連通する連通路と、前記被支持部の水平方向への移動を阻む上下延出部と、を備える、棚部材に関する。
【0020】
(8)の棚部材によれば、棚部材の位置を変える際に前側へ引き出すときに、棚部材を引き出し過ぎてしまい棚部材が支持部材から外れたり、又は、引き出し量が少なすぎたりして、所望の水平棚部へ棚部材を載置させにくい状態となることを防止することが可能となる。このため、棚部材に収容物としての被貯蔵物を載置させたままの状態で、棚部材を、一番下側に位置する棚部材から一番上側に位置する棚部材に至るまでの任意の水平棚部へ移動させることが可能となる。この結果、高さの変更の容易化が図られた冷蔵庫の棚部材を提供することができる。
【0021】
(9)被貯蔵物が載置される棚部材板状部を有し、前記棚部材板状部の側端部は、上下方向に延びる側部延出部を有する(8)に記載の棚部材。
【0022】
(9)の棚部材によれば、棚部材を上下方向へ移動させているときに、側部延出部が支持部材に当接して、棚部材板状部が水平の状態から大きく傾斜することを抑えることが可能となる。この結果、スムーズに棚部材を上下方向へ移動させることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、棚の高さの変更の容易化が図られた冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示の第1実施形態による冷蔵庫を示す正面図である。
【
図2】本開示の第1実施形態による冷蔵庫の支持部材を示す斜視図である。
【
図3】本開示の第1実施形態による冷蔵庫の支持部材に棚部材が支持されている様子を示す上方斜視図である。
【
図4】本開示の第1実施形態による冷蔵庫の支持部材に棚部材が支持されている様子を示す下方斜視図である。
【
図5】本開示の第1実施形態による冷蔵庫の棚部材を示す斜視図である。
【
図6】本開示の第2実施形態による冷蔵庫の支持部材に棚部材が支持されている様子を示す上方斜視図である。
【
図7】本開示の第2実施形態による冷蔵庫の支持部材に棚部材が支持されている様子を示す下方斜視図である。
【
図8】本開示の第2実施形態による冷蔵庫の棚部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の第1実施形態の冷蔵庫について、図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、冷蔵庫1の幅方向の
図1に示す左方向を左方向(L)と定義し、その反対方向を右方向(R)と定義する。また、冷蔵庫1の奥行方向(
図1に示す紙面の表から裏へ向かう方向)を後方向(Rr)と定義し、その反対方向を前方向(Fr)と定義する。また、冷蔵庫1の高さ方向の
図1に示す上方向を上方向(Up)と定義し、その反対方向を下方向(Dw)と定義する。
【0026】
図1に示すように、冷蔵庫1は、断熱箱体11と、上段左断熱扉12と、上段右断熱扉13と、下段左断熱扉14と、下段右断熱扉15と、を備える。冷蔵庫1は、上段左断熱扉12及び上段右断熱扉13によって開閉可能とされた上段部と、下段左断熱扉14及び下段右断熱扉15によって開閉可能とされた下段部と、の2段に区画された構造とされている。
【0027】
上段左断熱扉12、下段左断熱扉14は、それぞれ断熱箱体11の左側面の前端部の上部、下部に位置する軸心を中心として、中央から左側へ開くように回転可能とされた回転式の扉である。上段右断熱扉13、下段右断熱扉15は、それぞれ断熱箱体11の右側面の前端部の上部、下部に位置する軸心を中心として、中央から右側へ開くように回転可能とされた回転式の扉である。
【0028】
断熱箱体11は、例えば鋼板が用いられたフレームと、フレームの内部に収容された真空断熱材とを有して構成されている。真空断熱材については、設けられていなくてもよい。冷蔵庫1の下段部を構成する断熱箱体11のフレームと真空断熱材との間には、図示しない圧縮機が収納された機械室が設けられており、冷蔵庫1の背面側を構成する断熱箱体11の部分には、図示しない蒸発器が収納された冷却室が形成されている。蒸発器および圧縮機は、図示しない膨張手段および凝縮器と冷媒配管を経由して接続されて、蒸気圧縮冷凍サイクルを構成する。冷却室の上部には送風機が配設されており、送風機は、蒸発器が冷却した冷却室の内部の冷気を、冷蔵庫1の上段部、下段部に送風する。蒸発器の下方には、蒸発器の着霜を融解するための図示しない除霜ヒータが配設されている。
【0029】
断熱箱体11の内面を構成する左右の側壁の内面には、一対の支持部材30、50が、それぞれ固定されている。支持部材30は、支持部材50に対して前側に配置されている。断熱箱体11の左側の側壁の一対の支持部材30、50は、
図3、
図4に示すように、断熱箱体11の内部に配置され被貯蔵物が載置される棚部材20の左端部を支持する。同様に、断熱箱体11の右側の側壁の一対の図示しない支持部材は、棚部材20の右端部を支持する。
【0030】
一対の支持部材30は、左右方向において鏡像対称に構成されている。また、一対の支持部材50は、左右方向において鏡像対称に構成されている。左側、右側のそれぞれにおいて、支持部材50は、後述の棚部飛び出し防止部32を備えていない点で、支持部材30とは構成が異なるが、この点以外の構成は同一である。このため、以下の説明においては、主として支持部材30について説明し、支持部材50については、支持部材30の各部について付した30番台、40番台の符号を、50番台、60番台の符号に代えて図示して、説明を省略する。
【0031】
棚部材20は、
図5に示すように、被貯蔵物が載置される棚部材板状部を構成する長方形状の板状部21と、板状部21の左右の端部に固定された一対の被支持部22と、を備えている。一対の被支持部22は、それぞれ挟持部221と、垂直板状部222と、を有している。垂直板状部222は、上下方向に延びる側部延出部を構成し、角がR面取りされた長方形状の板状を有している。一対の被支持部22における、互いに対向し合う垂直板状部222の面は、それぞれ上下に一対の挟持部221を備えている。上下に一対の挟持部221の間に、板状部21の左端部又は右端部が挿入されて固定されている。
【0032】
一対の被支持部22の垂直板状部222における、挟持部221を有している側とは反対の側は、それぞれ前側凸部223、及び、後側凸部223と、中央凸部224とを備えている。
【0033】
前側凸部223は、垂直板状部222の前端部よりも後側に後退した位置に配置されている。後側凸部223は、垂直板状部222の後端部から後側へ突出して配置されている。前側凸部223、及び、後側凸部223は、それぞれ側方視で外形が平行四辺形状を有しており、上下一対の水平面2231と、前側傾斜面2232と、後側傾斜面2233と、を有している。中央凸部224は、側方視で長方形状を有している。
【0034】
支持部材30は、
図3、
図4に示すように、それぞれ上下方向に所定の間隔で配置された、複数の棚部31と、複数の後方突出部41とを有している。棚部31は、前方へ向けて突出しており、棚部飛び出し防止部32と、水平棚部33と、下側傾斜面部34と、有している。水平棚部33は、平坦面により構成される上面を有しており、棚部材20の前側凸部223の下側の水平面2231に当接して、被支持部22を下から支持する。前側凸部223は、支持部材30に当接して支持される被支持部を構成する。
【0035】
棚部飛び出し防止部32は、水平棚部33に隣接して水平棚部33の前端部の前側に位置しており、水平棚部33の上面よりも上側へ突出している。これにより、水平棚部33に当接して載置された状態の棚部材20の前側凸部223が、棚部飛び出し防止部32に当接し、前方へ容易に移動することを抑制する。
【0036】
下側傾斜面部34は、棚部飛び出し防止部32の下端から斜め後方下側へ向かって延びており、垂直に延びる面である奥側面35の上端部に接続されている。このため、上下に隣接する水平棚部33の間の空間37の、水平棚部33の前端部における高さh1(支持部材50に図示されているh1参照)は、水平棚部33の基部(後端部)における高さh2(支持部材50に図示されているh2参照)よりも高い。奥側面35の下端部は、一つ下側に隣接して配置された棚部31の水平棚部33の後端部に接続されている。
【0037】
後方突出部41は、奥側面35の前方に設けられている。このため、
図3等に示すように、後方突出部41は、
図3等に示すように、上下方向に隣接して配置された棚部31の間の空間37に向かって後方へ向けて延びるような形状を有している。後方突出部41の後端部は、棚部31の前端部よりも、前後方向における前側に位置しているが、前後方向における後方突出部41の後端部と、棚部31の前端部との間は、同方向における前側凸部223の長さよりも短い。このため、この間から上下方向へ前側凸部223が水平の状態を維持したまま通過することができないように構成されている。
【0038】
後方突出部41は、上側傾斜面43と、下側傾斜面44と、有している。上側傾斜面43の後端部と、下側傾斜面44の後端部とは接続されて楔形状を構成している。上側傾斜面43の前端部は、垂直に延びる面である前側面45の下端部に接続されている。前側面45の前端部は、一つ上側に隣接して配置された後方突出部41の下側傾斜面部44の下端部に接続されている。
【0039】
上下方向における、下側傾斜面44の後端部と、棚部飛び出し防止部32の上端部との間の距離は、同方向における前側凸部223の厚みよりも僅かに長い。このため、前側凸部223は、この間を前後方向へ移動可能である。前側凸部223は、前方向へ移動してゆき前側面45に当接することにより、前方向への移動が規制され、後方向へ移動してゆき奥側面35に当接することにより、後方向への移動が規制される。
【0040】
前後方向における、後方突出部41の後端部と奥側面35との間の距離は、同方向における前側凸部223の長さよりも長い。このため、前側凸部223は、この間を上下方向へ移動可能である。前側凸部223は、上方向へ移動してゆき下側傾斜面部34に当接することにより、上方向への移動が規制され、下方向へ移動してゆき水平棚部33に当接することにより、下方向への移動が規制される。
【0041】
前後方向における、棚部飛び出し防止部32の前端部と前側面45との間の距離は、同方向における前側凸部223の長さよりも長い。このため、前側凸部223は、この間を上下方向へ移動可能である。前側凸部223は、上方向へ移動してゆき下側傾斜面44に当接することにより、上方向への移動が規制され、下方向へ移動してゆき上側傾斜面43に当接することにより、下方向への移動が規制される。
【0042】
即ち、水平棚部33に載置されている前側凸部223を持ち上げて、前方向へ移動させ、上側傾斜面43の上側へ移動させ、棚部飛び出し防止部32の前端部と前側面45との間を上方向へ移動させて後方向へ移動させることにより、一段上の水平棚部33に、前側凸部223と一体で棚部材20を移動させることが可能である。
【0043】
また、水平棚部33に載置されている前側凸部223を持ち上げて、前方向へ移動させ、下側傾斜面44の下側へ移動させ、棚部飛び出し防止部32の前端部と前側面45との間を下方向へ移動させて後方向へ移動させることにより、一段下の水平棚部33に、前側凸部223と一体で棚部材20を移動させることが可能である。以上を繰り返すことにより、最下段の水平棚部33から最上段の水平棚部33に至るまでのうちの所望の水平棚部33に、凸部223と一体で棚部材20を移動させて載置させることが可能である。
【0044】
棚部飛び出し防止部32と、水平棚部33と、下側傾斜面部34と、奥側面35とにより囲まれる空間37、及び、上側傾斜面43と、下側傾斜面44と、前側面45とにより囲まれる空間47は、複数の棚部31間を連通する連通路を構成する。奥側面35は、棚部材20の後側凸部223の水平方向後側への移動を阻む上下延出部を構成する。前側面45は、棚部材20の前側凸部223の水平方向前側への移動を阻む上下延出部を構成する。上側傾斜面43、下側傾斜面44は、連通路において前側凸部223の上下方向の移動を抑制する上下移動抑制部を構成する。
【0045】
上記構成の本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、以下のような効果を得ることができる。
冷蔵庫1の支持部材30は、水平方向に延びて複数段設けられ、被支持部としての前側凸部223を下から支持する水平棚部33と、複数段の水平棚部33間を連通する連通路を形成する空間37、空間47と、前側凸部223の水平方向への移動を阻む上下延出部としての奥側面35、前側面45と、を備える。
【0046】
これにより、棚部材20の位置を変える際に棚部材20を前側へ引き出すときに、引き出し過ぎてしまい棚部材20が支持部材30から外れたり、又は、引き出し量が少なすぎたりして、所望の棚部31へ棚部材20を載置させにくい状態となることを防止することが可能となる。このため、棚部材20に収容物としての被貯蔵物を載置させたままの状態で棚部材20を、一番下側に位置する棚部材20から一番上側に位置する棚部材20に至るまでの任意の水平棚部33へ、棚部材20が支持部材30から外れたり落下したりすることなく、移動させることが可能となる。この結果、棚部材20の高さの変更の容易化が図られた冷蔵庫を提供することができる。
【0047】
連通路には、前側凸部223の上下方向の移動を抑制する上下移動抑制部としての上側傾斜面43が設けられている。これにより、棚部材20を上下へ移動させる際に、各水平棚部33に前側凸部223を載置可能な位置で、一旦前側凸部223の上方向又は下方向への移動を止めることができ、棚部31を載置させたい所望の水平棚部33を通過してしまうことを防止できる。
【0048】
支持部材30は、水平棚部33に隣接して棚部飛び出し防止部32を有している。これにより、水平棚部33に載置された前側凸部223が、容易に前側へ飛び出すことを抑えることが可能となる。
【0049】
支持部材30、50は、前後に少なくとも2つ設けられ、棚部飛び出し防止部32を、前側の支持部材30に備えている。これにより、冷蔵庫1の外部から視認が容易な支持部材30において、前側凸部223が棚部飛び出し防止部32よりも後側の水平棚部33に載置されているか否かを目視により確認することが容易となり、棚部材20を棚部31において前側へ飛び出しにくい位置に、確実に配置させることが容易となる。
【0050】
上下に隣接する水平棚部33、53の間の空間37、57の、水平棚部33、53の先端部である前端部における高さh1は、水平棚部33、53の基部における高さh2よりも高い。これにより、空間37、57への前側凸部223、後側凸部223の挿入を容易に行うことができる。
【0051】
棚部材20は、被貯蔵物が載置される棚部材板状部としての板状部21を有し、板状部21の側端部は、上下方向に延びる側部延出部としての垂直板状部222を有する。これにより、棚部材20を上下方向へ移動させているときに、垂直板状部222が支持部材30に当接して、板状部21が水平の状態から大きく傾斜することを抑えることが可能となる。この結果、棚部材20の左右の端部において、異なる高さの水平棚部33に前側凸部223が載置されることを防止することが可能となり、スムーズに棚部材20を上下方向へ移動させることが可能となる。
【0052】
次に、本発明の第2実施形態の冷蔵庫1Aについて、図面を参照しながら説明する。第2実施形態の冷蔵庫1Aにおいては、支持部材30A、50Aの構成が、第1実施形態における支持部材30、50の構成とは異なり、これに伴い、棚部材20Aの構成が、第1実施形態における棚部材20の構成とは異なる。これら以外の構成については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0053】
棚部材20Aは、
図8に示すように、被貯蔵物が載置される棚部材板状部を構成する長方形状の板状部21と、板状部21の左右の端部に固定された一対の被支持部22Aと、を備えている。一対の被支持部22は、それぞれ四角柱形状の一部に、一対の直方体形状の切り欠き224が形成された形状を有しており、挟持部221Aを有している。挟持部221Aは、コの字形状に切り欠かれた形状を有しており、板状部21の左端部又は右端部が挿入されて固定されている。
【0054】
一対の被支持部22Aにおける挟持部221Aを有している側とは反対の側は、それぞれ前側凸部223A、及び、後側凸部223Aと、中央凸部225とを備えている。
【0055】
前側凸部223Aは、被支持部22Aの前端部により構成されている。後側凸部223Aは、被支持部22Aの後端部により構成されている。中央凸部225は、被支持部22Aの長手方向における中央位置であって一対の直方体形状の切り欠き224の間の部分により構成されている。
【0056】
前側凸部223Aの後端部、後側凸部223Aの後端部は、それぞれ下側に突出して前端面が垂直面により構成されるフック形状を有する被係止部2232Aを有している。中央凸部225の前端部は、下方向に延びる垂直延出部226を有している。
【0057】
支持部材30Aは、後述の上下延出部としての前壁61Aと、凸部62Aとを備えていない点で、支持部材50Aとは構成が異なるが、この点以外の構成は同一であるため、以下の説明においては、主として支持部材50Aについて説明し、支持部材30Aについては、支持部材50の各部について付した50A番台の符号を、30A番台の符号に代えて図示して、説明を省略する。
【0058】
支持部材50Aは、
図6、
図7に示すように、それぞれ上下方向に所定の間隔で配置された、複数の棚部51Aと、上下延出部としての前壁61Aと、上下移動抑制部としての凸部62Aとを有している。棚部51Aは、前方へ向けて突出して側方視で長方形状を有しており、棚部飛び出し防止部52Aと、係止凹部53Aと、下側傾斜面部54Aと、有している。
【0059】
係止凹部53Aは、棚部51Aの上部の後端部に下側へ窪んだ凹部により構成されている。棚部飛び出し防止部52Aは、係止凹部53Aが形成されていない棚部51Aの部分により構成されており、係止凹部53Aが形成されている棚部51Aの部分に対して一段高い、平坦面により構成され水平棚部を構成する上面を有している。この上面には、後側凸部223Aが載置されて支持され、係止凹部53Aには、被係止部2232Aが係止される。これにより、棚部材20の後側凸部223が、棚部51Aに載置された状態で、前方へ容易に移動することが抑制される。
【0060】
前壁61Aは、支持部材50Aの前端部を構成する。前壁61Aと、上下方向に隣接し合う棚部51Aと、奥側面55Aとにより囲まれる空間57Aは、複数の棚部51A間を連通する連通路を構成する。連通路は、支持部材30A、支持部材50Aの上端部において、上側へ開口している。
【0061】
凸部62Aは、棚部飛び出し防止部52Aの上面と、前壁61Aとの間に設けられている。凸部62Aは、上下方向において棚部飛び出し防止部52Aの上面と面一となる高さの上面を有する長尺のリブ状に形成されている。左右方向における凸部62Aの突出量は、同方向における棚部51A、前壁61Aよりも小さく、左右方向における、左側の支持部材50Aの凸部62Aと右側の支持部材50Aの凸部62Aとの間の距離は、同方向における棚部材20Aの、左側の後側凸部223Aの左端部から右側の後側凸部223Aの右端部までの長さよりも僅かに長い。
【0062】
このため、棚部51Aに載置されている状態の後側凸部223Aの被係止部2232Aが、持ち上げられて係止凹部53Aから取り外されて、上下方向において隣接する棚部51A間の空間57Aにおいて前方向へ移動させられてきた後側凸部223Aが、一時的に凸部62Aに載って引っかかり、下方向に落下することが抑えられる。
【0063】
前後方向における前壁61Aと棚部51Aの前端部との間の距離は、同方向における後側凸部223Aの長さよりも長い。このため、後側凸部223Aは、一時的に凸部62Aに引っかかるものの、この間を上下方向へ移動可能である。以上のように後側凸部223Aを、前壁61Aと棚部51Aとの間において上下方向へ移動させて、後方向へ移動させて空間57に挿入し、後側凸部223Aの被係止部2232Aを係止凹部53Aに係止させ後側凸部223Aを棚部飛び出し防止部52Aの上面に載置することにより、後側凸部223Aを所望の棚部51Aに載置させた状態とすることが可能である。
【0064】
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。
例えば、棚部材、支持部材の構成は、本実施形態の構成に限定されない。また、支持部材は、本実施形態においては前後に2つ(支持部材30、50)設けられたが、これに限定されない。支持部材は、少なくとも前後に2つ設けられればよく、3つ以上設けられてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1、1A…冷蔵庫 11…断熱箱体 20、20A…棚部材 21…板状部(棚部材板状部) 30、30A…支持部材 32…棚部飛び出し防止部 33…水平棚部 35…奥側面(上下延出部) 37、37A…空間(連通路) 43…上側傾斜面(上下移動抑制部) 44…下側傾斜面部(上下移動抑制部) 45…前側面(上下延出部) 50、50A…支持部材 52A…棚部飛び出し防止部 57、57A…空間(連通路) 61A…前壁(上下延出部) 222…垂直板状部(側部延出部) 226…垂直延出部(側部延出部)