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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120436
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】エアタービン駆動スピンドル
(51)【国際特許分類】
   F02C 1/02 20060101AFI20240829BHJP
   B23B 19/02 20060101ALI20240829BHJP
   B23Q 5/06 20060101ALI20240829BHJP
   F16C 32/06 20060101ALI20240829BHJP
   F01D 15/06 20060101ALI20240829BHJP
   B05B 5/04 20060101ALI20240829BHJP
   B05B 3/10 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F02C1/02
B23B19/02 A
B23Q5/06
F16C32/06 Z
F01D15/06
B05B5/04 A
B05B3/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027236
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591274059
【氏名又は名称】CFTランズバーグ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 照悦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 治
(72)【発明者】
【氏名】横溝 義治
(72)【発明者】
【氏名】中石 達也
【テーマコード(参考)】
3C045
3J102
4F033
4F034
【Fターム(参考)】
3C045FD15
3J102AA02
3J102BA03
3J102BA17
3J102CA02
3J102CA15
3J102EA02
3J102EA06
3J102EA09
3J102EA13
3J102EA24
3J102EA26
3J102EA29
3J102FA01
3J102FA04
3J102GA01
3J102GA10
4F033PA11
4F033PB02
4F033PB16
4F033PC07
4F033PD03
4F034BA22
4F034BB02
(57)【要約】
【課題】金属材料と樹脂材料とが高い強度で、かつ高い同軸度で接続された回転シャフトを備えるエアタービン駆動スピンドルを提供する。
【解決手段】回転シャフトRAは、金属主軸1と、その内側にあり金属主軸1から突出する樹脂主軸2とを有する。金属主軸1は第1金属テーパ部31mを有し、樹脂主軸2は第1樹脂テーパ部31rと、第2ネジ部とを有する。樹脂主軸2の第2ネジ部に螺合する固定ナット4Aを備える。回転シャフトRAには、第1樹脂テーパ部31rと第1金属テーパ部31mとの間に接触圧を有する第1テーパ部31が形成される。第1テーパ部31は、先端部AA側に向けて、中心軸Lからの距離が大きくなるよう傾斜する。樹脂主軸2内には抵抗部品30が埋め込まれている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部と、前記先端部とは反対側に位置する根元部とを含む回転シャフトを備え、
前記回転シャフトは、
金属主軸と、
径方向について前記金属主軸の内側に配置され、軸方向に対して前記金属主軸の前記先端部側から突出する樹脂主軸とを有し、
前記金属主軸は、軸方向に対して傾斜する金属テーパ部を有し、
前記樹脂主軸は、前記金属テーパ部に接する樹脂テーパ部と、前記根元部に形成されたネジ溝とを有し、
前記樹脂主軸の前記ネジ溝に螺合する固定ナットをさらに備え、
前記回転シャフトには、前記固定ナットの前記ネジ溝への螺合により前記樹脂テーパ部と前記金属テーパ部との間に接触圧を有する第1テーパ部が形成され、
前記第1テーパ部は、前記先端部側に向けて、中心軸からの距離が大きくなるよう傾斜し、
前記樹脂主軸内には抵抗部品が埋め込まれている、エアタービン駆動スピンドル。
【請求項2】
軸方向に沿う断面における前記第1テーパ部の角度は18°以下であり、
前記第1テーパ部の前記根元部側の端部から前記金属主軸の前記先端部側の端部までの軸方向に沿う距離は、前記金属主軸の前記先端部側の端部から前記樹脂主軸の前記先端部側の端部までの軸方向に沿う距離の15%以上である、請求項1に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【請求項3】
前記樹脂主軸および前記金属主軸の前記第1テーパ部には径方向に沿って孔部が形成され、
前記孔部内にはモールド剤が充填される、請求項1または2に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【請求項4】
前記樹脂主軸に形成される前記孔部の平面視でのサイズは、前記金属主軸に形成される前記孔部の平面視でのサイズより大きい、請求項3に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【請求項5】
前記金属主軸に形成される前記孔部と、前記樹脂主軸に形成される前記孔部とは、周方向について一部において重なり、他の一部において重ならないように配置される、請求項3に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【請求項6】
前記金属主軸および前記樹脂主軸には、前記金属テーパ部および前記樹脂テーパ部に形成されたネジ穴を繋ぐように雄ネジが螺合される、請求項1または2に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【請求項7】
先端部と、前記先端部とは反対側に位置する根元部とを含む回転シャフトを備え、
前記回転シャフトは、
金属主軸と、
径方向について前記金属主軸の内側に配置され、軸方向に対して前記金属主軸の前記先端部側から突出する樹脂主軸とを有し、
前記樹脂主軸の前記根元部側に形成されたネジ溝に螺合する固定ナットをさらに備え、
前記回転シャフトの前記根元部側には軸方向に対して傾斜する回転シャフトテーパ部を有し、
前記固定ナットには軸方向に対して傾斜するナットテーパ部を有し、
前記固定ナットが前記樹脂主軸の前記ネジ溝に螺合することで前記回転シャフトテーパ部と前記ナットテーパ部のうちの一方を含む部材が他方を含む部材の上に乗り上がり、前記回転シャフトテーパ部と前記ナットテーパ部との間に接触圧を有する第2テーパ部が形成される、エアタービン駆動スピンドル。
【請求項8】
前記樹脂主軸の外側から前記樹脂主軸を締め付けるために前記固定ナットの内周面に形成された第1ネジ部と、前記樹脂主軸の外周面に形成された前記ネジ溝としての第2ネジ部とが互いに螺合することにより、前記固定ナットは前記樹脂主軸に固定される、請求項7に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【請求項9】
前記一方を含む部材は前記固定ナットであり、
前記固定ナットの前記先端部側の端部には、周方向について間隔をあけて複数の分割先端部が配置されており、
前記複数の分割先端部に前記ナットテーパ部が形成され、
前記固定ナットは前記複数の分割先端部に径方向押圧部を含み、
前記径方向押圧部は、前記金属主軸および前記樹脂主軸のいずれかと径方向について互いに対向しながら接触し、前記金属主軸および前記樹脂主軸のいずれかを径方向に押圧する、請求項8に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【請求項10】
前記固定ナットは、前記金属主軸との間で互いに接触し前記金属主軸を軸方向の前記先端部側へ押圧する突き当て部を含む、請求項8または9に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【請求項11】
前記樹脂主軸の内側から前記樹脂主軸を締め付けるために前記固定ナットの外周面に形成された第1ネジ部と、前記樹脂主軸の内周面に形成された前記ネジ溝としての第2ネジ部とが互いに螺合することにより、前記固定ナットは前記樹脂主軸に固定される、請求項7に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【請求項12】
前記一方を含む部材は前記樹脂主軸であり、前記他方を含む部材は前記固定ナットであり、
前記樹脂主軸の前記根元部側の端部には、周方向について間隔をあけて複数の分割根元部が配置されており、
前記複数の分割根元部に前記回転シャフトテーパ部が形成され、
前記樹脂主軸は、前記金属主軸との間で互いに接触し前記金属主軸を軸方向の前記先端部側へ押圧する突き当て部を含む、請求項11に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【請求項13】
前記金属主軸は、軸方向に対して傾斜する金属テーパ部を有し、
前記樹脂主軸は、前記金属テーパ部に接する樹脂テーパ部を有し、
前記回転シャフトには、前記固定ナットの前記ネジ溝への螺合により前記樹脂テーパ部と前記金属テーパ部との間に接触圧を有する第1テーパ部が形成され、
前記第1テーパ部は前記第2テーパ部の前記先端部側に形成され、
前記第1テーパ部は、前記先端部側に向けて、中心軸からの距離が大きくなるよう傾斜する、請求項7または8に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアタービン駆動スピンドルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、精密加工機や静電塗装装置に用いられるエアタービン駆動スピンドル(以下、単にスピンドルとも呼ぶ)が知られている。たとえば特開平6-312303号公報(特許文献1)には、スピンドルの回転シャフトが、鉄系合金の中空軸と、中空軸とは別体である軽合金のスラスト板とから形成された、塗装機用のスピンドルが開示されている。中空軸の内部孔に軽合金のスラスト板が圧入嵌合され、中空軸とスラスト板とが一体に結合されている。これにより回転シャフトを軽量化し、慣性モーメントを小さくすることで、運転効率を向上させている。鉄系合金の中空軸は高い強度を確保し、軽合金のスラスト板は高速回転性能を高めている。
【0003】
他方、特開2007-57069号公報(特許文献2)に開示されるスピンドルは、回転シャフトが、鉄系合金からなるジャーナル軸受部と、軽合金からなるスラスト板部とからなる。ジャーナル軸受部と、スラスト板部とは、中空部分の壁面がツライチになるように、摩擦圧接により一体に接合されている。これにより製造コストが低減され、回転シャフトの中空部分の内径が大きくなり、さらに回転性能が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-312303号公報
【特許文献2】特開2007-57069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の各文献においてはいずれも、回転シャフトが、鉄軽合金および軽合金、つまり金属材料同士の接続により形成されている。工業塗装に広く採用されている回転霧化式静電塗装機にもスピンドルが使用されている。回転霧化式静電塗装機(以下「静電塗装機」と呼ぶ)は、スピンドルの先端部にカップが取り付けられる。静電塗装機は、高電圧発生器から-30kV~-90kVの高電圧を金属製スピンドル経由でカップに印加し、塗料供給源から塗料をカップに供給して誘導帯電させると同時に高速回転に伴う遠心力でカップから静電霧化させる。静電塗装機は以上の方法により、カップと接地した被塗物との間に形成される電界に、負極に帯電された塗料粒子を載せ、高い塗着効率で被塗物を塗装する。
【0006】
2020年代に入り、さらに高効率で塗料を塗布させる目的で、従来は150mmを超え300mm以下であった塗装距離を150mm以下となるよう従来よりも短く設定した近接塗装法が普及し始めている。しかし近接塗装法で塗装距離を短く設定し、アース体の異常急速接近等により従来の高電圧電流監視による安全機能が作動しても静電塗装機の高電圧が印加されるカップ、スピンドルおよび導電体部品が有する静電エネルギーを安全なレベルまで下げる前に、放電が発生する可能性がある。
【0007】
そのため、静電塗装装置としてのスピンドルは、放電を防止する観点から、回転シャフトの特にカップ側の領域は絶縁性材料とすることが好ましい。絶縁性材料としては高機能エンジニアリングプラスチック(たとえばPEEK:Poly Ethe Ether Ketone)が選択される。
【0008】
金属材料と樹脂材料とを接続する場合、特開平6-312303号公報のような圧入嵌合では締め代のばらつきが大きくなり、接続強度が低くなる可能性がある。また特開2007-57069号公報のような摩擦圧接によれば、仕上げ加工ができる程度の十分に高い強度を得ることが出来ない。仕上げ加工が出来なければ、金属材料と樹脂材料との中心軸が一致し同軸となるよう両者を接合することが困難となる。金属材料と樹脂材料との中心軸の一致する程度を以下では同軸度と呼ぶ。両者の同軸度の精度が低下すれば、両者間がアンバランスとなり振動が発生する。このため回転シャフトは安定した高速回転を得ることが出来ず、高品質な塗装を実現できなくなる。
【0009】
本開示は上記の課題に鑑みなされたものである。本開示の目的は、金属材料と樹脂材料とが高い強度で、かつ高い同軸度で接続された回転シャフトを備えるエアタービン駆動スピンドルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の第1の側面に係るエアタービン駆動スピンドルは、回転シャフトを備える。回転シャフトは、先端部と、先端部とは反対側に位置する根元部とを含む。回転シャフトは、金属主軸と、樹脂主軸とを有する。樹脂主軸は、径方向について金属主軸の内側に配置され、軸方向に対して金属主軸の先端部側から突出する。金属主軸は、軸方向に対して傾斜する金属テーパ部を有する。樹脂主軸は、金属テーパ部に接する樹脂テーパ部と、根元部に形成されたネジ溝とを有する。樹脂主軸のネジ溝に螺合する固定ナットをさらに備える。回転シャフトには、固定ナットのネジ溝への螺合により樹脂テーパ部と金属テーパ部との間に接触圧を有する第1テーパ部が形成される。第1テーパ部は、先端部側に向けて、中心軸からの距離が大きくなるよう傾斜する。樹脂主軸内には抵抗部品が埋め込まれている。
【0011】
本開示の第2の側面に係るエアタービン駆動スピンドルは、回転シャフトを備える。回転シャフトは、先端部と、先端部とは反対側に位置する根元部とを含む。回転シャフトは、金属主軸と、樹脂主軸とを有する。樹脂主軸は、径方向について金属主軸の内側に配置され、軸方向に対して金属主軸の先端部側から突出する。樹脂主軸の根元部側に形成されたネジ溝に螺合する固定ナットをさらに備える。回転シャフトの根元部側には軸方向に対して傾斜する回転シャフトテーパ部を有する。固定ナットには軸方向に対して傾斜するナットテーパ部を有する。固定ナットが樹脂主軸のネジ溝に螺合することで回転シャフトテーパ部とナットテーパ部のうちの一方を含む部材が他方を含む部材の上に乗り上がり、回転シャフトテーパ部とナットテーパ部との間に接触圧を有する第2テーパ部が形成される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、金属材料と樹脂材料とが高い強度で、かつ高い同軸度で接続された回転シャフトを備えるエアタービン駆動スピンドルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係るスピンドルの断面模式図、および当該スピンドルを塗装装置に設置する場合の構成を説明する断面模式図である。
図2】実施の形態1に係るスピンドルの、金属主軸と樹脂主軸との固定態様を示す概略断面図である。
図3図2中の点線で囲まれた領域IIIの拡大概略断面図である。
図4】実施の形態1に係るスピンドルの固定ナットの概略拡大斜視図である。
図5】実施の形態1に係るスピンドルの第1テーパ部の角度および寸法を示す概略断面図である。
図6】実施の形態1に係るスピンドルの、固定ナットが取り付けられた部分の金属主軸を縦に半分に切断し、固定ナットを立体的に示す概略斜視図である。
図7】実施の形態2に係るスピンドルの固定ナットの概略拡大斜視図である。
図8】実施の形態2に係るスピンドルの、金属主軸と樹脂主軸との固定態様を示す概略断面図である。
図9図8中の点線で囲まれた領域IXの拡大概略断面図である。
図10】実施の形態3に係るスピンドルの、金属主軸と樹脂主軸との固定態様を示す概略断面図である。
図11図10中の点線で囲まれた領域XIの拡大概略断面図である。
図12】実施の形態3に係るスピンドルの固定ナットの概略拡大斜視図である。
図13】実施の形態4に係るスピンドルの、金属主軸と樹脂主軸との固定態様を示す概略断面図である。
図14図13中の点線で囲まれた領域XIVの拡大概略断面図である。
図15】実施の形態4に係るスピンドルの、固定ナットが取り付けられた部分の金属主軸および樹脂主軸を縦に半分に切断し、固定ナットを立体的に示す概略斜視図である。
図16】実施の形態4に係るスピンドルの固定ナットの概略拡大斜視図である。
図17】実施の形態5に係るスピンドルの第1例の、金属主軸と樹脂主軸との固定態様を示す概略断面図である。
図18】実施の形態5に係るスピンドルの第2例の、金属主軸と樹脂主軸との固定態様を示す概略断面図である。
図19図18のXIX-XIX線に沿う部分の概略断面図である。
図20】実施の形態5に係るスピンドルの第3例の、金属主軸と樹脂主軸との固定態様を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0015】
(実施の形態1)
<はじめに>
はじめに、本実施の形態に係るスピンドルの特徴について述べる。図2および図3を参照して、エアタービン駆動スピンドルは、回転シャフトRAを有する。回転シャフトRAは、金属主軸1と、樹脂主軸2とを有する。金属主軸1は、軸方向Tに対して傾斜する金属テーパ部31mを有する。樹脂主軸2は、金属テーパ部31mに接する樹脂テーパ部31rと、ネジ溝45Bとを有する。樹脂主軸2のネジ溝45Bに螺合する固定ナット4Aをさらに備える。回転シャフトRAには、第1樹脂テーパ部31rと金属テーパ部31mとの間に接触圧を有するよう接触によりたとえば接続する第1テーパ部31が形成される。第1テーパ部31は、回転シャフトRAの先端部側に向けて中心軸Lからの距離が大きくなるように傾斜している。樹脂主軸2内には抵抗部品30が埋め込まれている。以下、これについて詳細に説明する。
【0016】
<スピンドルの構成>
図1図6を参照して、本実施の形態に係るスピンドルを説明する。図1図6に示したスピンドルは、エアタービン駆動スピンドルである。
【0017】
図1は、実施の形態1に係るスピンドルの断面模式図、および当該スピンドルを塗装装置に設置する場合の構成を説明する断面模式図である。図1の右側(エアタービン駆動スピンドル)を参照して、スピンドル100は、回転シャフトRAと、固定ナット4と、ジャーナル軸受12と、スラスト軸受13と、ハウジングアッシ8と、カバー9と、先端部側Oリング11Aと、根元部側Oリング11Bと、給気部(タービン気体供給経路17およびタービンノズル18)とを主に備える。固定ナット4は、ラジアル方向(径方向R)について、回転シャフトRAの樹脂主軸2と金属主軸1との間に配置されている。
【0018】
ジャーナル軸受12は、回転シャフトRAをラジアル方向(径方向R)に支持する。スラスト軸受13は、回転シャフトRAをスラスト方向(軸方向T)に支持する。ハウジングアッシ8は、ジャーナル軸受12およびスラスト軸受13を介して、回転シャフトRAを回転可能に支持する。カバー9は、ハウジングアッシ8の外周側に位置する。先端部側Oリング11Aおよび根元部側Oリング11Bは、カバー9とハウジングアッシ8との間に配置されている。給気部は、回転シャフトRAに対し気体を噴出可能に設けられている。カバー9には、軸方向Tにおいて回転シャフトRAを覆うようにノズル板10が固定して設けられている。当該ノズル板10に、上記給気部が設けられている。ジャーナル軸受12およびスラスト軸受13は、たとえば静圧気体軸受として構成されている。
【0019】
回転シャフトRAのうちの金属主軸1は、筒形状を有する軸部1Aと、当該軸部1Aに対し径方向Rに延びるように形成されているスラスト板部1Bとを含む。スラスト板部1Bは、軸部1Aの軸方向Tにおける一方の端部に接続されている。以下、軸方向Tにおいてスラスト板部1Bが設けられている軸部1A(回転シャフトRA)の上記一方の端部を根元部BB、軸部1Aの軸方向Tにおいてスラスト板部1Bと反対側に位置する軸部1A(回転シャフトRA)の他方の端部を先端部AAという。
【0020】
回転シャフトRAのうちの樹脂主軸2は、金属主軸1の内側に配置されている。樹脂主軸2の内側には、軸方向Tに延びる貫通穴3が形成されている。この貫通穴3は、樹脂主軸2内から、金属主軸1のスラスト板部1B内に連なり、両者を貫通している。スピンドルが静電塗装機用に構成されている場合には、図1に示すように、回転シャフトRAの先端部AA側の端部に円錐形のカップ表面を有するカップ5が取り付けられる。また、貫通穴3の内部にはカップ5に塗料を供給するための塗料噴射ノズル28(図1の左側の塗装装置200内を参照)が配置される。スラスト板部1Bには、タービン翼19および当該タービン翼19の内周側に配置される回転検出部20が形成されている。
【0021】
金属主軸1は、軸部1Aの一部がハウジングアッシ8に収容されている。ハウジングアッシ8は、金属主軸1の軸部1Aの外周面およびスラスト板部1Bの先端部AA側の平面の各一部に面しており軸部1Aの一部を囲むように形成されている軸受スリーブ7を含む。さらに、ハウジングアッシ8は、径方向Rにおいて軸受スリーブ7よりも外周側に配置され、軸受スリーブ7と固定されているハウジング6を含む。
【0022】
ハウジングアッシ8は、たとえばハウジング6が根元部側Oリング11Bおよび先端部側Oリング11Aを介してカバー9と接続されている。先端部側Oリング11Aは、軸方向Tにおいて、軸受スリーブ7の中央より回転シャフトRAの先端部AA側の先端側領域に位置する。根元部側Oリング11Bは、軸方向Tにおいて、軸受スリーブ7の中央より回転シャフトRAの根元部BB側の後端側領域に位置する。根元部側Oリング11Bおよび先端部側Oリング11Aは、それぞれ中心軸L周りに周回するようにハウジング6の表面に形成された環状溝の内部に配置されている。
【0023】
先端部側Oリング11Aや根元部側Oリング11Bの材料としては、たとえば溶剤に対する耐性が高い材料を用いることが好適であり、たとえば当該材料として、フッ素系の樹脂であるパーフロロエラストマーを用いることができる。
【0024】
タービン翼19は、スラスト板部1Bの外周端面の一部に形成された溝部に嵌合するように形成されている。回転シャフトRAは、タービン翼19が給気部から噴出された気体を受けることにより回転可能に設けられている。複数のタービン翼19は、回転シャフトRAの回転方向に互いに間隔を隔てて設けられている。好ましくは、複数のタービン翼19において隣り合うタービン翼19は等間隔に設けられている。タービン翼19の径方向Rの最外部は、スラスト板部1Bの外周端面よりも径方向Rの内側にあってもよい。
【0025】
スラスト板部1Bの根元部BBよりもさらに軸方向Tの後側(図1の左側)の面上には、回転検出部20が形成されている。回転検出部20は、回転シャフトRAの回転を光学的に検出するための任意の構成を採用できるが、たとえば回転方向において分割される複数の領域毎に異なる反射率となるように表面処理が施されていてもよい。具体的には、厚肉部において後側に位置する面のうち、回転シャフトRAの回転方向における半分の領域が、他の半分の領域よりもレーザ光などの光が照射されたときに反射光の強度が高くなるように設けられている。
【0026】
ハウジングアッシ8およびカバー9は、それぞれ軸受気体供給路15を有しており、それぞれの軸受気体供給路15は互いに接続されている。軸受気体供給路15の一方端は、ノズル板10の最後部の軸受気体供給口14と接続されている。軸受気体供給路15の他方端は、回転シャフトRAの軸部1Aと軸受スリーブ7との軸受隙間、および回転シャフトRAのスラスト板部1Bと軸受スリーブ7との軸受隙間に接続されている。軸受気体供給路15において軸受隙間と接続されている部分の孔径は軸受気体供給口14の孔径よりも小さく、軸受気体供給路15において軸受隙間と接続されている部分にはいわゆる絞りが形成されている。ジャーナル軸受12は、軸受気体供給口14から軸受気体供給路15に供給された気体が回転シャフトRAの軸部1Aと軸受スリーブ7との軸受隙間に供給されることにより構成される。スラスト軸受13は、軸受気体供給口14から軸受気体供給路15に供給された気体が回転シャフトRAのスラスト板部1Bと軸受スリーブ7との軸受隙間に供給されることにより発生する押圧力と、磁石16Mの吸引力とにより構成される。磁石16Mは、ハウジング6がスラスト板部1Bと軸方向Tにおいて対向する領域に配置されている。
【0027】
カバー9は、軸方向Tにおいてノズル板10と固定されている。ノズル板10は、回転シャフトRAにおいてハウジングアッシ8およびカバー9に収容されていない部分(スラスト板部1Bの径方向Rにおける外周端面)を囲むように形成されている。
【0028】
ノズル板10は、回転シャフトRAよりも後側にはみ出ている。ノズル板10の内部には、回転シャフトRAのスラスト板部1B上に形成されているタービン翼19に駆動用気体が供給・排気される際に、駆動用気体が流通する流通路が形成されている。駆動用気体は、たとえば圧縮空気である。
【0029】
ノズル板10には、タービン翼19に駆動用気体を供給するためのタービン気体供給経路17およびタービンノズル18が形成されている。タービン気体供給経路17は、その一方端がノズル板10の外周面上のタービン気体供給口16と接続されており、他方端がタービンノズル18に接続されている。タービンノズル18は、タービン翼19に対し、径方向Rにおいて回転シャフトRAの外側から内側に向かって駆動用気体を噴出可能に設けられている。タービン気体供給経路17およびタービンノズル18は、回転方向において互いに間隔を隔てて複数形成されていてもよい。つまり、タービン気体供給経路17およびタービンノズル18は、回転方向に任意の間隔を隔てて設けられているタービン翼19に対して、同一の回転方向に同時に駆動用気体を供給可能に設けられていてもよい。
【0030】
図1の左側(塗装装置200)を参照して、上述のようなスピンドル100は、図1の左側に示すようにスピンドルホルダ21に設置されて使用される。スピンドルホルダ21はスピンドル100を挿入固定するための凹部21Aが形成されている。当該凹部21Aの底部から突出するように塗料噴射ノズル28が設置されている。スピンドルホルダ21では、塗料噴射ノズル28の設置された底面から外周表面にまで延びる塗料供給孔25が形成されている。また、スピンドルホルダ21の凹部21Aの底部には、タービン翼19の駆動用気体の排気穴24が形成されている。スピンドルホルダ21の凹部21Aの底部には、スピンドル100のタービン気体供給口16と対向する位置にスピンドルホルダ21側のタービン気体供給口23が形成されている。また、スピンドルホルダ21には、スピンドルの軸受気体供給口14と対向する凹部21Aの内壁の部分から、スピンドルホルダ21の軸受気体供給口22まで延びる給気路が形成されている。
【0031】
その他、塗装装置200には、光学式センサ26が設置されている。光学式センサ26は、たとえばスピンドルホルダ21に設置された筒状のセンサホルダ27に収容されている。これにより、上述したスピンドルでは回転シャフトRAの回転数を光学的に測定できる。
【0032】
図2は、実施の形態1に係るスピンドルの、金属主軸と樹脂主軸との固定態様を示す概略断面図である。図3は、図2中の点線で囲まれた領域IIIの拡大概略断面図である。図1図2および図3を参照して、本実施の形態のスピンドル100の回転シャフトRAは、金属主軸1の径方向Rについての内側に樹脂主軸2が配置される。樹脂主軸2は、軸方向Tに対して金属主軸1の先端部AA側すなわち前側(図2の右側)から突出している。
【0033】
より具体的には、金属主軸1を構成する軸部1Aの、筒形状の内側に存在する空洞部に、樹脂主軸2が挿入されている。ただし樹脂主軸2は金属主軸1よりも軸方向Tに長い。このため樹脂主軸2の一部(根元部BB側)は軸部1Aに囲まれるよう軸部1Aの空洞内に配置されるが、樹脂主軸2の他の一部(先端部AA側)は軸部1Aに囲まれることなく、軸部1Aの外側にはみ出ている。金属主軸1の先端部AA側の端部は、そこから樹脂主軸2を挿入可能な開口部となっている。金属主軸1の根元部BB側の端部は、貫通穴3に連なるよう貫通する部分を有する。しかし金属主軸1の根元部BB側の端部は、樹脂主軸2の根元部BB側端部と接触しこれを固定(収納)可能な底部を有しており、底部の一部がスラスト板部1Bとなっている。樹脂主軸2は筒形状を有し、径方向Rの中央部に上述した貫通穴3が形成される。軸部1Aの空洞部を形成する内周面、および樹脂主軸2の外周面は、領域によって形状が異なっている。
【0034】
金属主軸1の軸部1Aは、挿入される樹脂主軸2と対向する内周面に、第1金属テーパ部31mを有している。第1金属テーパ部31mは、図2の中心軸Lを通る断面において、軸部1Aの内周面が軸方向T(中心軸Lの延びる方向)に対して傾斜する領域である。第1金属テーパ部31mは、軸部1Aのうち先端部AA側の領域に形成されている。軸部1Aの第1金属テーパ部31mよりも根元部BB側の領域における内周面は、軸方向Tに沿って延びている。
【0035】
樹脂主軸2は、挿入部2Aと、抵抗部品包埋部2Bと、カップ装着部2Cとを有している。挿入部2Aは、樹脂主軸2のうち最も根元部BB側の、軸部1Aの空洞部内に挿入される領域である。カップ装着部2Cは、樹脂主軸2のうち最も先端部AA側の、カップ5が装着される領域である。抵抗部品包埋部2Bは、挿入部2Aとカップ装着部2Cとの間に配置される領域である。抵抗部品包埋部2B内には、後述の抵抗部品30が埋め込まれている。
【0036】
樹脂主軸2のうち挿入部2Aの一部の領域には、第1樹脂テーパ部31rが形成されている。第1樹脂テーパ部31rは、樹脂主軸2(挿入部2A)が軸部1A内に挿入されたときに、第1金属テーパ部31mに接する領域である。このため第1樹脂テーパ部31rは、外周面が軸方向Tに対して、第1金属テーパ部31mと同様に傾斜している。第1樹脂テーパ部31rと第1金属テーパ部31mとは、中心軸Lに対する傾斜角度がほぼ同じであり、傾斜方向が同じである。回転シャフトRAには、金属主軸1への樹脂主軸2の挿入により第1樹脂テーパ部31rと第1金属テーパ部31mとの間に接触圧を有するように互いに接触(接続)する第1テーパ部31が形成されている。これは後述の固定ナット4Aのネジ溝への螺合によりなされる。第1テーパ部31は、先端部AA側に向けて、中心軸Lからの距離が大きくなるように傾斜している。
【0037】
再度図1図3を参照して、挿入部2Aのうち第1樹脂テーパ部31rの根元部BB側に隣接する領域では、外周面が軸方向Tに沿って延びる。ただし挿入部2Aの最も根元部BB側の領域の外周面には、特に図3に示すように、第2樹脂テーパ部32rおよび、ネジ溝としての第2ネジ部45Bが形成されている。第2ネジ部45Bは外周面に形成されるため、雄ネジが形成されている。
【0038】
スピンドル100は、樹脂主軸2のネジ溝(第2ネジ部45B)に螺合する固定ナット4Aを備えている。固定ナット4Aは、弾性変形が可能である限り、金属材料により形成されてもよい。ただし固定ナット4Aは樹脂材料により形成されてもよい。樹脂材料製の固定ナット4Aで締めれば、固定ナット4Aは金属製である場合に比べて弾性変形しやすく、固定ナット4Aの弾性変形が樹脂主軸の寸法公差のばらつきを吸収し少なくする。このためスピンドル100全体の寸法精度が向上する。
【0039】
図4は、実施の形態1に係るスピンドルの固定ナットの概略拡大斜視図である。図4および図1図3を参照して、固定ナット4Aは、軸方向Tに交差する断面形状が円形状である。固定ナット4Aは、分割先端部41と、固定部42と、段差部43とを有している。
【0040】
固定ナット4Aは、樹脂主軸2に取り付けられた状態における先端部AA側の端部に、分割先端部41が形成されている。分割先端部41は、円形の断面形状を有する固定ナット4Aの円周方向について間隔をあけて複数、形成されている。図4に示すように、一例として12個の分割先端部41が形成されてもよいが、分割先端部41の数はこれに限らず任意である。たとえば分割先端部41の数は8個であっても6個であってもよく、16個であってもよい。周方向Cに隣り合う1対の分割先端部41の間にはこれが存在しない間欠部41Cとなっている。複数の分割先端部41は、円環形状の一部を切り取った形状に近い形状となる。周方向Cについて、分割先端部41が間欠部41Cよりも長くてもよいし、分割先端部41と間欠部41Cとの長さが等しくてもよい。あるいは間欠部41Cが分割先端部41よりも長くてもよい。
【0041】
固定ナット4Aの、複数の分割先端部41のそれぞれには、ナットテーパ部32nが形成されている。ナットテーパ部32nは、固定ナット4Aが取り付けられた状態のスピンドル100の軸方向Tに対して傾斜している。ナットテーパ部32nは、径方向Rの内側を向いている。一方、回転シャフトRAの樹脂主軸2における挿入部2Aには、回転シャフトテーパ部32aとしての第2樹脂テーパ部32rが形成されている。回転シャフトRAの根元部BB側に有する回転シャフトテーパ部32a(第2樹脂テーパ部32r)は、軸方向Tに対して傾斜している。回転シャフトテーパ部32a(第2樹脂テーパ部32r)は、径方向Rの外側を向いており、ナットテーパ部32nと対向している。これらの傾斜角度はナットテーパ部32nおよび回転シャフトテーパ部32aの全体においてほぼ等しい。具体的には、当該傾斜角度はたとえば10°以上20°以下であることが好ましく、その中でも10°以上15°以下であることがより好ましい。
【0042】
固定ナット4Aは、樹脂主軸2に取り付けられた状態における根元部BB側の端部に、固定部42が形成されている。固定部42の内周面には、雌ネジである第1ネジ部45Aが形成されている。固定ナット4Aの第1ネジ部45Aが、挿入部2Aの雄ネジである第2ネジ部45Bに螺合することで、固定ナット4Aは樹脂主軸2に固定される。この螺合により、図3のように固定ナット4Aが樹脂主軸2の上に乗り上がる。具体的には、ナットテーパ部32nが回転シャフトテーパ部32a(第2樹脂テーパ部32r)の上に乗り上がる。これにより、ナットテーパ部32nと回転シャフトテーパ部32aとの間に接触圧を有するように互いに接触(接続)する第2テーパ部32が形成される。したがって第2テーパ部32は、第1テーパ部31よりも樹脂主軸2の根元部BB側に形成される。
【0043】
固定ナット4Aの分割先端部41は、中心軸Lを通る断面において、径方向R最外面であり次に詳述する径方向押圧部34と、径方向押圧部34と平行になるように径方向R内側に配置される部分とを有する形状であってもよい。あるいは固定ナット4Aの分割先端部41は、中心軸Lを通る断面において、上記径方向R内側に配置される面が、径方向押圧部34と平行な部分を有さず軸方向Tに対し傾斜方向に延びる部分のみを有する形状であってもよい。
【0044】
図3に示すように、径方向押圧部34は、分割先端部41の特に径方向Rの外側の面である。径方向押圧部34の面は、径方向Rにほぼ直交する。径方向押圧部34は、図4に示すように、周方向Cに沿って拡がるため、やや湾曲した曲面形状を有している。図3および図4に示すように、径方向押圧部34は、固定ナット4A全体のうち最も径方向Rの外側に配置される。したがって固定ナット4Aは、分割先端部41の径方向押圧部34において最も径方向Rの外側に突出している。径方向押圧部34は、金属主軸1の軸部1Aの内周面と径方向Rについて互いに対向しながら接触している。これにより径方向押圧部34は、金属主軸1の軸部1Aを径方向Rに押圧している。以上により、径方向押圧部34は、これが接触する軸部1Aの内周面のうち径方向押圧部34と接触する部分とほぼ同一の形状を有することがより好ましい。
【0045】
固定ナット4Aは、分割先端部41において、突き当て部33を含んでいる。突き当て部33は、本実施の形態においては、スピンドル100に設置された固定ナット4Aの分割先端部41に形成された、軸方向Tの最も先端部AA側の面である。突き当て部33の面は、軸方向Tにほぼ直交する。突き当て部33は、金属主軸1の内周面との間で互いに接触している。突き当て部33は、金属主軸1を軸方向Tの先端部AA側へ押圧する。このため突き当て部33が接触する軸部1Aの内周面の部分は、軸部1Aの内周面の他の部分(径方向Rを向く)とは異なり、軸方向Tの根元部BB側を向いている。軸部1Aの内周面は、突き当て部33が接触する部分において、突き当て部33が接触する部分以外の他の部分に対してほぼ直交するように屈曲している。
【0046】
次に、特に図4に示すように、固定ナット4Aの固定部42は、円環形状を有している。固定部42は、第1固定部42Aと、第2固定部42Bとを有している。第1固定部42Aと第2固定部42Bとの双方は、段差部43から軸方向Tに沿って延びている。第1固定部42Aは、第2固定部42Bに比べて、固定ナット4Aがスピンドル100に取り付けられた状態における軸方向Tの長さが長い。第1固定部42Aは第2固定部42Bの1.5倍以上の軸方向T長さを有してもよいし、2倍以上の軸方向T長さを有してもよい。また周方向Cについて、第1固定部42Aは第2固定部42Bよりも長いことが好ましい。
【0047】
第2固定部42Bを第1固定部42Aよりも軸方向Tに短くすることにより、第1固定部42Aおよび第2固定部42Bは、固定ナット4Aをネジ部45(図3参照)にて樹脂主軸2と螺合するために用いられるドライバなどの工具を引っ掛けるための溝を形成している。つまり、第2固定部42Bにおいて第1固定部42Aに対して軸方向Tについて欠けている部分である間欠部42Cが、固定ナット4Aの螺合用の工具が挿入される溝を形成している。したがって間欠部42Cすなわち第2固定部42Bは、次に述べる図6のように周方向Cについて90°間隔で4つ形成されてもよい。あるいは間欠部42Cすなわち第2固定部42Bは、180°間隔で2つ形成されてもよい。前者の場合はそれぞれの間欠部42Cにプラスドライバを挿入することにより、後者の場合はそれぞれの間欠部42Cにマイナスドライバを挿入することにより、固定ナット4Aを樹脂主軸2に締結できる。
【0048】
段差部43は、固定ナット4Aがスピンドル100に取り付けられた状態における軸方向Tについて、分割先端部41と固定部42との間に形成される。段差部43の軸方向Tの寸法は、分割先端部41および固定部42よりも短くてもよい。段差部43は、分割先端部41および固定部42と同様に、円環形状を有している。径方向Rの外周面が分割先端部41および固定部42に比べて内側に配置されているため、分割先端部41および固定部42との間で段差を形成している。段差部43において、固定ナット4Aは他の領域に比べて径方向Rの厚みが薄い。このため応力の付加により、たとえば段差部43を支点として複数の分割先端部41が径方向Rの外側向きに容易に曲がるように弾性変形させることができる。
【0049】
図5は、実施の形態1に係るスピンドルの第1テーパ部の角度および寸法を示す概略断面図である。図5を参照して、第1テーパ部31、すなわちこれを構成する第1樹脂テーパ部31rおよび第1金属テーパ部31mは、いずれもその全体において中心軸Lからの角度が等しくなるように傾斜することが好ましい。これにより、両者を広範囲において互いに高い接触圧を有するように接触(接続)させた第1テーパ部31を形成できる。軸方向Tに沿う断面(図5が示す断面)における第1テーパ部31の角度θは18°以下であることが好ましい。第1テーパ部31は中心軸Lに沿う断面において、中心軸Lに対して線対称である。このため中心軸Lに対する第1テーパ部31の角度は9°以下であることが好ましい。あるいは、金属主軸1に樹脂主軸2が挿入された状態のスピンドルにおいて、第1テーパ部31の根元部BB側の端部から金属主軸1の先端部AA側の端部までの軸方向Tに沿う距離L2は、金属主軸1の先端部AA側の端部から樹脂主軸2の先端部AA側の端部までの軸方向Tに沿う距離L1の15%以上であってもよい。
【0050】
図6は、実施の形態1に係るスピンドルの、固定ナットが取り付けられた部分の金属主軸を縦に半分に切断し、固定ナットを立体的に示す概略斜視図である。図6および図1図3を参照して、樹脂主軸2の抵抗部品包埋部2Bは、挿入部2Aに比べて径方向Rの外側に外周面を有するよう、径方向Rの寸法が大きくなっている。抵抗部品包埋部2Bの径方向Rの寸法は、金属主軸1の筒形状を有する軸部1Aの径方向Rの寸法よりも小さい。これにより、樹脂主軸2は軸受スリーブ7に収まり金属主軸1から突出する構成となる。抵抗部品包埋部2Bは、図6に示すように、円柱形状を有している。なお図2および図6に示すように、抵抗部品包埋部2Bは、挿入部2Aのうち第1樹脂テーパ部31rの最も先端部AA側の端部に隣接する(根元部BB側の)端部において、挿入部2Aの先端部AA側の端部と同じ一定の径を有する領域を有していてもよい。したがって抵抗部品包埋部2Bは、根元部BB側の端部において、抵抗部品30が包埋される領域(軸方向Tの中央部)とは外周面の位置が異なるよう、径方向Rの段差を有してもよい。
【0051】
抵抗部品包埋部2B内には、抵抗部品30が埋め込まれるように配置される。抵抗部品30は、周方向Cについて樹脂主軸2を1周するようにその全体に1つのみ配置されてもよい。しかし抵抗部品30は、たとえば直方体状(平板形状)の部材が、周方向Cについて間隔をあけて複数、配置されてもよい。抵抗部品30が1点のみからなるか複数点からなるかにかかわらず、抵抗部品30の全体が樹脂主軸2の内部に埋め込まれてもよい。
【0052】
抵抗部品包埋部2Bは、カップ装着部2Cのうち最も根元部BB側の端部に隣接する(先端部AA側の)端部において、カップ装着部2Cの根元部BB側の端部と同じ一定の径を有する領域を有していてもよい。したがって抵抗部品包埋部2Bは、先端部AA側の端部において、抵抗部品30が包埋される領域(軸方向Tの中央部)とは外周面の位置が異なるよう、径方向Rの段差を有してもよい。
【0053】
樹脂主軸2のカップ装着部2Cは、先端部AA側に向けて径が少しずつ小さくなるように、径方向Rの外周面がテーパ形状を有してもよい。このテーパ形状の外周面にカップ5が装着される。
【0054】
<製造方法>
固定ナット4Aは、たとえば径方向押圧部34などの径方向Rの外周面と、ナットテーパ部32nとが、高い同軸度となるように形成されることが好ましい。この観点から、1つのチャックを用いて、径方向押圧部34などの径方向Rの外周面と、ナットテーパ部32nとが形成されることが好ましい。
【0055】
金属主軸1および樹脂主軸2の第1テーパ部31は、次の各方法により加工される。第1の方法として、先に樹脂主軸2の第1樹脂テーパ部31rが加工された後、その角度と同一の角度となるように、第1樹脂テーパ部31rに対する当たり(接触具合)を確認しながら、金属主軸1の第1金属テーパ部31mが仕上げ加工される。このように現物同士を合わせながら位置を決定し、加工する方法は現合加工と呼ばれる。
【0056】
あるいは第2の方法として、1対のテーパ模範と呼ばれるゲージを用いて、金属主軸1の第1金属テーパ部31mおよび樹脂主軸2の第1樹脂テーパ部31rのそれぞれが現合加工されてもよい。
【0057】
<作用効果>
本実施の形態に従ったエアタービン駆動スピンドル100を第1の側面から見たものは、先端部AAと、先端部AAとは反対側に位置する根元部BBとを含む回転シャフトRAを備える。回転シャフトRAは、金属主軸1と、径方向Rについて金属主軸1の内側に配置され、軸方向に対して金属主軸1の先端部AA側から突出する樹脂主軸2とを有する。金属主軸1は、軸方向Tに対して傾斜する金属テーパ部(第1金属テーパ部31m)を有する。樹脂主軸2は、金属テーパ部(第1金属テーパ部31m)に接する樹脂テーパ部(第1樹脂テーパ部31r)と、根元部BBに形成されたネジ溝(第2ネジ部45B)とを有する。樹脂主軸2のネジ溝(第2ネジ部45B)に螺合する固定ナット4Aをさらに備える。回転シャフトRAには、固定ナット4Aのネジ溝への螺合により樹脂テーパ部(第1樹脂テーパ部31r)と金属テーパ部(第1金属テーパ部31m)との間に接触圧を有する第1テーパ部31が形成される。第1テーパ部31は、先端部AA側に向けて、中心軸Lからの距離が大きくなるよう傾斜する。樹脂主軸2内には抵抗部品30が埋め込まれている。
【0058】
図2および図3を参照して、金属主軸1に対して樹脂主軸2は各図の先端部AA側から根元部BB側へ挿入される。すると第1金属テーパ部31mと第1樹脂テーパ部31rとが第1テーパ部31にて接触する。第1テーパ部31は先端部AA側に向けて中心軸Lからの距離が大きくなるよう傾斜するため、第1樹脂テーパ部31rから第1金属テーパ部31mには力F1が加わり、その反作用として第1金属テーパ部31mから第1樹脂テーパ部31rには力F2が加わる。このため第1樹脂テーパ部31rと第1金属テーパ部31mとは互いに押圧し接触圧を有するように接触する。これにより金属主軸1と樹脂主軸2とが軸方向に組み合わされ、それぞれの中心軸が同軸になるように案内される(高い同軸度となる)。また金属主軸1と樹脂主軸2とが同軸になることにより、両者間のがたつきが排除される。同様の説明を繰り返さない観点から、本段落に記載した作用効果を、以降において、「作用効果A」と記載する場合がある。
【0059】
また、固定ナット4Aを樹脂主軸2の第2ネジ部45Bに螺合することで、固定ナット4Aが先端部AA側に進むとともに、樹脂主軸2は根元部BB側に力F1のように引っ張られる。これにより樹脂主軸2は弾性変形し、たとえば第1テーパ部31にて金属主軸1と強固に固定される。このため金属主軸1と固定ナット4Aと樹脂主軸2とがすべて一体的に強固に連結される。このように、固定ナット4Aにより、金属主軸1と樹脂主軸2とが高い強度で連結される。同様の説明を繰り返さない観点から、本段落に記載した作用効果を、以降において、「作用効果B」と記載する場合がある。
【0060】
さらに、固定ナット4Aが樹脂主軸2を根元部BB側に力F1のように引っ張れば、樹脂主軸2が金属主軸1内に挿入された時点(固定ナット4Aの螺合前)において得られる力F1よりも大きな力F1、および反作用としての力F2が得られる。このため固定ナット4Aが第1テーパ部31における第1樹脂テーパ部31rと第1金属テーパ部31mとの接触圧を高める。この結果、金属主軸1と樹脂主軸2との同軸度をいっそう高めることができる。金属主軸1と樹脂主軸2との接触圧の強度(接続強度)および同軸度が高まるため、回転シャフトRAは安定した高速回転を得ることが出来、高品質な塗装を実現できる。
【0061】
なお樹脂主軸2の弾性変形を、樹脂主軸2と金属主軸1との強固な接続に用いる理由は次のとおりである。金属主軸1と樹脂主軸2とでは線膨張係数が異なるため、温度変化により両者の接続部の接続強度が変化する。金属主軸1および樹脂主軸2の温度が上昇すれば、軸方向の締め付けが弱くなる。このため樹脂主軸2の弾性変形を金属主軸1との接続に利用しない場合、両者間の強固な固定を維持することが困難である。金属主軸1および樹脂主軸2に温度変化が生じる状況としては、スピンドル100の使用前であれば輸送および倉庫での保管が考えられ、使用中であれば高速回転および停止の動作を繰り返すことによる温度変化が考えられる。高速回転中は空気との摩擦により温度が上昇するが、停止すれば室温まで温度が低下するためである。
【0062】
その他、金属主軸1から突出するように樹脂主軸2を設けることにより、静電塗装装置としてのエアタービン駆動スピンドル100のカップ5を被塗装物に近づけることによる両者間の放電を抑制できる。
【0063】
回転シャフトRAとして金属主軸1を含めることにより高い強度を得るとともに、樹脂主軸2を含めることにより、金属主軸1と抵抗部品30との間での放電を抑制できるとともに、たとえば樹脂主軸2内に包埋される複数の抵抗部品30の間での放電を抑制できる。また樹脂主軸2に抵抗部品30を埋め込むことにより、静電塗装機と被塗物との間の放電を抑制する効果が高められる。
【0064】
再度図5を参照して、上記エアタービン駆動スピンドル100において、軸方向Tに沿う断面における第1テーパ部31の角度θは18°以下である。第1テーパ部31の根元部BB側の端部から金属主軸1の先端部AA側の端部までの軸方向Tに沿う距離L2は、金属主軸1の先端部AA側の端部から樹脂主軸2の先端部AA側の端部までの軸方向Tに沿う距離L1の15%以上である。このようにすれば、上記の高い接続強度および同軸度を得る効果をいっそう高められる。
【0065】
本実施の形態に従ったエアタービン駆動スピンドル100を第2の側面から見たものは、先端部AAと、先端部AAとは反対側に位置する根元部BBとを含む回転シャフトRAを備える。回転シャフトRAは、金属主軸1と、径方向Rについて金属主軸1の内側に配置され、軸方向に対して金属主軸1の先端部AA側から突出する樹脂主軸2とを有する。樹脂主軸2の根元部BB側に形成されたネジ溝(第2ネジ部45B)に螺合する固定ナット4Aをさらに備える。回転シャフトRAの根元部BB側には軸方向Tに対して傾斜する回転シャフトテーパ部32a(第2樹脂テーパ部32r)を有する。固定ナット4Aには軸方向Tに対して傾斜するナットテーパ部32nを有する。固定ナット4Aが樹脂主軸2のネジ溝(第2ネジ部45B)に螺合することで回転シャフトテーパ部32a(第2樹脂テーパ部32r)とナットテーパ部32nのうちの一方を含む部材(固定ナット4A)または一方(ナットテーパ部32n)が、他方を含む部材(樹脂主軸2)または他方(第2樹脂テーパ部32r)の上に乗り上がり、回転シャフトテーパ部32aとナットテーパ部32nとの間に接触圧を有する第2テーパ部32が形成される。つまり回転シャフトテーパ部32aとナットテーパ部32nとが互いに高い接触圧を有するように接触(接続)される。
【0066】
これにより、エアタービン駆動スピンドル100を第1の側面から見たものと同様の効果が得られる。具体的には、上記の作用効果A,Bが得られる。さらに、再度図2および図3を参照して、たとえば固定ナット4Aを締めこむことでこれに先端部AA側への力F3を加えると、力F4のように、固定ナット4Aのナットテーパ部32nが、樹脂主軸2の第2樹脂テーパ部32rの上に乗り上げる。これにより固定ナット4Aは径方向Rの外周側に応力を受け、固定ナット4A(径方向押圧部34)と金属主軸1の内周面との径方向Rの隙間が少なくなる。径方向Rの隙間が少なくなるため、固定ナット4Aと金属主軸1(回転シャフトRA)との間のいっそう高い同軸度が得られる。固定ナット4A(径方向押圧部34)と金属主軸1の内周面との径方向Rの隙間がなくなり、両者が接触圧を有するように接触すれば、固定ナット4Aと金属主軸1(回転シャフトRA)との間のさらに高い同軸度が得られる。同様の説明を繰り返さない観点から、本段落に記載した作用効果を、以降において、「作用効果C」と記載する場合がある。
【0067】
上記エアタービン駆動スピンドル100において、樹脂主軸2の外側から樹脂主軸2を締め付けるために固定ナット4Aの内周面に形成された第1ネジ部45Aと、樹脂主軸2の外周面に形成されたネジ溝としての第2ネジ部45Bとが互いに螺合することにより、固定ナット4Aは樹脂主軸2に固定される。これにより上記の作用効果Bが得られる。
【0068】
上記エアタービン駆動スピンドル100において、一方を含む部材は固定ナット4Aである。図4を参照して、固定ナット4Aの先端部AA側の端部には、周方向Cについて間隔をあけて複数の分割先端部41が配置されている。複数の分割先端部41にナットテーパ部32nが形成される。固定ナット4Aは複数の分割先端部41に径方向押圧部34を含む。径方向押圧部34は、金属主軸1と径方向Rについて互いに対向しながら接触し、金属主軸1を径方向Rに押圧する。これにより、固定ナット4Aを締めこむと図2図3の力F4のように分割先端部41が径方向押圧部34側に押圧され変形する。金属主軸1の内周面と固定ナット4Aの径方向押圧部34とが接触圧を有するように接触し、両者間の径方向Rの隙間がなくなる。したがって固定ナット4Aと金属主軸1(回転シャフトRA)との間のさらに高い同軸度が得られる。言い換えれば上記の作用効果Cが得られる。
【0069】
固定ナット4Aを締めこむことで、複数の分割先端部41のそれぞれが弾性変形し、回転シャフトテーパ部32aの上(径方向Rについて外側)に乗り上げるように、径方向Rの外側に変形しやすくなる。これにより、分割先端部41と、その径方向Rの外側にある回転シャフトRAの金属主軸1の内周面との径方向Rの隙間が埋められるように小さくなるため、金属主軸1と樹脂主軸2との同軸度が高められる。
【0070】
上記第2の側面に係るエアタービン駆動スピンドル100において、固定ナット4Aは、金属主軸1との間で互いに接触し金属主軸1を軸方向Tの先端部AA側へ押圧する突き当て部33を含む。
【0071】
たとえば固定ナット4Aを締め付け径方向押圧部34が金属主軸1の内周面に接触した後、さらに固定ナット4Aを締めこむ。すると図2図3中の力F5に示すように、突き当て部33がこれに対向する金属主軸1の部分に接触し、これを突き当てるように押圧する。これにより軸方向Tについて金属主軸1には先端部AA側を向く力F2が加わり、第1テーパ部31にて力F2が樹脂主軸2を押圧する。するとその反作用として第1テーパ部31にて樹脂主軸2から金属主軸1への、根元部BB側を向く力F1が加わる。つまり樹脂主軸2は根元部BB側へ引っ張られる。第1テーパ部31での力F1および力F2より、金属主軸1と樹脂主軸2とのいっそう高い同軸度が得られ、両者間のがたつきがいっそう抑制される。同様の説明を繰り返さない観点から、本段落に記載した作用効果を、以降において、「作用効果D」と記載する場合がある。
【0072】
上記第2の側面に係るエアタービン駆動スピンドル100において、金属主軸1は、軸方向Tに対して傾斜する金属テーパ部31m(第1金属テーパ部)を有する。樹脂主軸2は、金属テーパ部(第1金属テーパ部31m)に接する樹脂テーパ部(第1樹脂テーパ部31r)を有する。回転シャフトRAには、固定ナット4Aのネジ溝への螺合により樹脂テーパ部(第1樹脂テーパ部31r)と金属テーパ部(第1金属テーパ部31m)との間に接触圧を有する第1テーパ部31が形成される。第1テーパ部31は第2テーパ部32の先端部AA側に形成される。第1テーパ部31は、先端部AA側に向けて、中心軸Lからの距離が大きくなるよう傾斜する。これにより上記の作用効果A、Bが得られる。
【0073】
その他、本実施の形態は以下の特徴を有し、作用効果を奏する。上記の第1の側面に係るエアタービン駆動スピンドル100において、固定ナット4Aは、金属主軸1との間で互いに接触し金属主軸1を軸方向Tの先端部AA側へ押圧する突き当て部33を含む。これにより上記の作用効果Dが得られる。
【0074】
上記エアタービン駆動スピンドル100において、回転シャフトRAの根元部BB側には軸方向Tに対して傾斜する回転シャフトテーパ部32a(第2樹脂テーパ部32r)を有する。固定ナット4Aには軸方向Tに対して傾斜するナットテーパ部32nを有する。固定ナット4Aが樹脂主軸2のネジ溝(第2ネジ部45B)に螺合することで回転シャフトテーパ部32a(第2樹脂テーパ部32r)とナットテーパ部32nのうちの一方(ナットテーパ部32n)またはそれを含む部材(固定ナット4A)が他方(第2樹脂テーパ部32r)またはそれを含む部材(樹脂主軸2)の上に乗り上がり、回転シャフトテーパ部32aとナットテーパ部32nとの間に接触圧を有する第2テーパ部32が形成される。第2テーパ部32は第1テーパ部31の根元部BB側に形成される。これにより、上記の作用効果Cが得られる。
【0075】
上記エアタービン駆動スピンドル100において、他方を含む部材は樹脂主軸2である。本実施の形態では、特に固定ナット4Aとその外側の金属主軸1との接触性を高めることで、固定ナット4Aと金属主軸1との中心軸Lの芯ずれを抑制できる。これにより径方向Rについての金属主軸1と樹脂主軸2との位置ずれが少なくなる。このため樹脂主軸2と金属主軸1の中心の位置を一致させることができ、芯ずれのない安定した接続を実現できる。
【0076】
上記エアタービン駆動スピンドル100の第2テーパ部32において、固定ナット4Aの締め付けにより、一方を含む部材(固定ナット4A)が他方を含む部材(樹脂主軸2)の上に乗り上げ、径方向Rについて一方を含む部材(固定ナット4A)の外側に隣接する金属主軸1に接触する。これにより、上記の作用効果Cが得られる。
【0077】
(実施の形態2)
<スピンドルの構成>
図8は、実施の形態2に係るスピンドルの、金属主軸と樹脂主軸との固定態様を示す概略断面図である。図9は、図8中の点線で囲まれた領域IXの拡大概略断面図である。図7は、実施の形態2に係るスピンドルの固定ナットの概略拡大斜視図である。図7図8および図9を参照して、本実施の形態のスピンドル100は大筋で実施の形態1のスピンドル100と同様の構成を有するため、同一の構成要素には同一の符号を付し、特に必要がない限りその説明を繰り返さない。
【0078】
本実施の形態においては、固定ナット4Bの突き当て部33が、実施の形態1の固定ナット4Aの突き当て部33に対して傾斜している。具体的には、本実施の形態の突き当て部33の面は、軸方向Tに直交する面と、径方向Rに直交する面とのいずれに対しても傾斜角を有する。
【0079】
本実施の形態の固定ナット4Bは、実施の形態1の固定ナット4Aの径方向押圧部34と同様に、分割先端部41の径方向Rの外側の面を有している。しかしこの面は、径方向Rについて対向する金属主軸1の軸部1Aの内周面と接触していない。このため本実施の形態の固定ナット4Bは、分割先端部41の径方向Rの外側の面が径方向押圧部34として機能していない。
【0080】
<作用効果>
本実施の形態によれば、突き当て部33がその面に垂直な方向に、金属主軸1に向けて及ぼす力の径方向Rの成分を、軸方向T先端部AA側を向く力と、実施の形態1の径方向押圧部34が軸部1Aの内周面に及ぼす力とに分解できる。前者は実施の形態1の力F5(力F2)と同様に、後者は実施の形態1の径方向押圧部34が径方向に及ぼす力と同様に機能させることができる。このため本実施の形態の突き当て部33は、実施の形態1の突き当て部33としての機能と、径方向押圧部34としての機能とを兼用可能である。言い換えれば固定ナット4Bの突き当て部33は、実施の形態1の固定ナット4Aの突き当て部33であるとともに、径方向押圧部34でもある。このため本実施の形態によれば、固定ナット4Bは固定ナット4Aの突き当て部33および径方向押圧部34による効果と同等の効果を、回転シャフトRAに接する面の数を固定ナット4Aよりも少なくする(突き当て部33の1つのみ)ことにより得ることができる。したがって実施の形態1よりもスピンドル100の構成を単純化させつつ実施の形態1と同等の効果が得られる。
【0081】
(実施の形態3)
<スピンドルの構成>
図10は、実施の形態3に係るスピンドルの、金属主軸と樹脂主軸との固定態様を示す概略断面図である。図11は、図10中の点線で囲まれた領域XIの拡大概略断面図である。図12は、実施の形態3に係るスピンドルの固定ナットの概略拡大斜視図である。図10図11および図12を参照して、本実施の形態のスピンドル100は大筋で実施の形態1または2のスピンドル100と同様の構成を有するため、同一の構成要素には同一の符号を付し、特に必要がない限りその説明を繰り返さない。
【0082】
本実施の形態では、実施の形態1,2と同様に、固定ナット4Cの第1ネジ部45Aが、挿入部2Aの第2ネジ部45Bに螺合することで、固定ナット4Cは樹脂主軸2に固定される。この螺合により、図11のように固定ナット4Cが金属主軸1の上に乗り上がる。具体的には、ナットテーパ部32nが回転シャフトテーパ部32a(第2金属テーパ部32m)の内側に乗り上がる。これにより、ナットテーパ部32nと回転シャフトテーパ部32aとの間に接触圧を有するように互いに接触(接続)する第2テーパ部32が形成される。
【0083】
本実施の形態においては、固定ナット4Cの突き当て部33の面が、実施の形態2の固定ナット4Bの突き当て部33の面と同様に、軸方向Tに直交する面と、径方向Rに直交する面とのいずれに対しても傾斜角を有する。この突き当て部33の面が、実施の形態2の固定ナット4Bのナットテーパ部32nと同一である。言い換えれば固定ナット4Cの突き当て部33は、突き当て部33であるとともに、ナットテーパ部32nでもある。ナットテーパ部32nは、径方向Rの外側を向いている。回転シャフトテーパ部32a(第2金属テーパ部32m)は、径方向Rの内側を向いており、ナットテーパ部32nと対向している。このため乗り上がりが可能となる。
【0084】
本実施の形態においては、固定ナット4Cは、分割先端部41において、径方向押圧部34を含んでいる。径方向押圧部34は、スピンドル100に設置された固定ナット4Cの、段差部43よりも軸方向Tの先端部AA側である分割先端部41における、径方向Rの内側を向いた面である。径方向押圧部34の面は、径方向Rにほぼ直交する。径方向押圧部34は、図12に示すように、周方向Cに沿って延びるため、やや湾曲した曲面形状を有している。図11,12に示すように、径方向押圧部34よりも、段差部43における径方向Rの最も内側の面の方がより径方向Rの内側に突出していてもよい。径方向押圧部34は、樹脂主軸2の外周面と径方向Rについて互いに対向しながら接触している。これにより径方向押圧部34は、樹脂主軸2を径方向Rに押圧している。以上により、径方向押圧部34は、これが接触する樹脂主軸2の外周面のうち径方向押圧部34と接触する部分とほぼ同一の形状を有することがより好ましい。
【0085】
<作用効果>
本実施の形態に従ったエアタービン駆動スピンドル100を第1の側面から見たものは、基本的に実施の形態1と同様である。このため実施の形態1での力F1を図10の力F6に置き換え、実施の形態1での力F2を図10の力F7に置き換えれば、本実施の形態でも作用効果A,Bが得られるといえる。
【0086】
本実施の形態に従ったエアタービン駆動スピンドル100を第2の側面から見たものは、概ね実施の形態1と同様である。ただし第2の側面では、回転シャフトRAの根元部BB側には軸方向Tに対して傾斜する回転シャフトテーパ部32a(第2金属テーパ部32m)を有する。固定ナット4Cには軸方向Tに対して傾斜するナットテーパ部32nを有する。固定ナット4Cが樹脂主軸2のネジ溝(第2ネジ部45B)に螺合することで回転シャフトテーパ部32a(第2金属テーパ部32m)とナットテーパ部32nのうちの一方を含む部材(固定ナット4C)または一方(ナットテーパ部32n)が、他方を含む部材(金属主軸1)または他方(第2金属テーパ部32m)の上に乗り上がり、回転シャフトテーパ部32aとナットテーパ部32nとの間に接触圧を有する第2テーパ部32が形成される。
【0087】
図11を参照して、実施の形態1での力F4を図11の力F8に置き換える。これにより固定ナット4C(径方向押圧部34)と樹脂主軸2の外周面との径方向Rの隙間が少なくなる(もしくは両者が接触して隙間がなくなる)。このため固定ナット4Cと樹脂主軸2(回転シャフトRA)との間の高い同軸度が得られ、作用効果Cと同様の効果が得られる。また実施の形態1での力F5を図11の力F9に置き換える。これにより作用効果Dと同様の効果が得られる。
【0088】
上記エアタービン駆動スピンドル100において、一方を含む部材は固定ナット4Aである。固定ナット4Aの先端部AA側の端部には、周方向Cについて間隔をあけて複数の分割先端部41が配置されている。複数の分割先端部41にナットテーパ部32nが形成される。固定ナット4Cは複数の分割先端部41に径方向押圧部34を含む。径方向押圧部34は、樹脂主軸2と径方向Rについて互いに対向しながら接触し、樹脂主軸2を径方向Rに押圧する。これにより、固定ナット4Cを締めこむと図11の力F8のように分割先端部41が径方向押圧部34側に押圧され変形する。樹脂主軸2の外周面と固定ナット4Cの径方向押圧部34とが接触し、両者間の径方向Rの隙間がなくなる。したがって固定ナット4Cと樹脂主軸2(回転シャフトRA)との間のさらに高い同軸度が得られる。言い換えれば上記の作用効果Cが得られる。
【0089】
上記エアタービン駆動スピンドル100において、他方を含む部材は金属主軸1である。本実施の形態では、特に固定ナット4Cとその内側の樹脂主軸2との接触性を高めることで、固定ナット4Cと樹脂主軸2との中心軸Lの芯ずれを抑制できる。これにより径方向Rについての金属主軸1と樹脂主軸2との位置ずれが少なくなる。このため樹脂主軸2と金属主軸1の中心の位置を一致させることができ、芯ずれのない安定した接続を実現できる。
【0090】
その他、本実施の形態の突き当て部33は、実施の形態1の突き当て部33としての機能と、ナットテーパ部32nとしての機能とを兼用可能である。このため本実施の形態によれば、固定ナット4Cは固定ナット4Aの突き当て部33および第2テーパ部32による効果と同等の効果を、回転シャフトRAに接する面の数を固定ナット4Aよりも少なくする(突き当て部33の1つのみ)ことにより得ることができる。したがって実施の形態1よりもスピンドル100の構成を単純化させつつ実施の形態1と同等の効果(作用効果D,C)が得られる。
【0091】
(実施の形態4)
<スピンドルの構成>
図13は、実施の形態4に係るスピンドルの、金属主軸と樹脂主軸との固定態様を示す概略断面図である。図14は、図13中の点線で囲まれた領域XIVの拡大概略断面図である。図15は、実施の形態4に係るスピンドルの、固定ナットが取り付けられた部分の金属主軸および樹脂主軸を縦に半分に切断し、固定ナットを立体的に示す概略斜視図である。なお図15では、固定ナットが取り付けられる前の態様を示している。図15中の矢印に示すように、第1ネジ部45Aと第2ネジ部45Bとが螺合することで、固定ナットがスピンドルに取り付けられる。図16は、実施の形態4に係るスピンドルの固定ナットの概略拡大斜視図である。図13図14図15および図16を参照して、本実施の形態のスピンドル100は大筋で実施の形態1,2または3のスピンドル100と同様の構成を有するため、同一の構成要素には同一の符号を付し、特に必要がない限りその説明を繰り返さない。
【0092】
本実施の形態では、固定ナット4Dは、径方向Rについて、金属主軸1の内側でありかつ樹脂主軸2の内側に配置されている。言い換えれば、樹脂主軸2が、径方向Rについて、金属主軸1と固定ナット4Dとの間に配置されている。具体的には、挿入部2Aの根元部BB側の領域の内周面に、第2樹脂テーパ部32rおよび、ネジ溝としての第2ネジ部45Bが形成されている。第2ネジ部45Bは内周面に形成されるため、雌ネジが形成されている。これにより、固定ナット4Dと金属主軸1とは非接触である。
【0093】
固定ナット4Dは、第1ネジ部45Aと、固定部42と、段差部43とを有している。固定ナット4Dは、樹脂主軸2に取り付けられた状態における先端部AA側の端部の外周面に、雄ネジである第1ネジ部45Aが形成されている。また固定ナット4Dには貫通穴3Aが形成されている。この貫通穴3Aは樹脂主軸2の貫通穴3に連なる。
【0094】
固定ナット4Dは、樹脂主軸2に取り付けられた状態における根元部BB側の端部に、固定部42が形成されている。固定部42は、第1固定部42Aと、第2固定部42Bとを有している。第1固定部42Aは、第2固定部42Bに比べて、固定ナット4Dがスピンドル100に取り付けられた状態における軸方向Tの長さが長い。第1固定部42Aは第2固定部42Bの3倍以上の軸方向T長さを有してもよいし、5倍以上の軸方向T長さを有してもよい。
【0095】
特に図15図16に示すように、固定ナット4Dの第1固定部42Aは、段差部43から軸方向Tに沿って延びている。第1固定部42Aは、先端部AA側の方が根元部BB側よりもやや径が小さい、円錐を切断した形状に近い形状を有している。これにより、第1固定部42Aの外周面には、軸方向Tに対して傾斜するナットテーパ部32nが形成されている。ナットテーパ部32nは、径方向Rの外側を向いている。第2固定部42Bは、第1固定部42Aの根元部BB側の端部から軸方向Tに沿って第1固定部42Aと反対側向きに延びている。第2固定部42Bは周方向Cについて部分的に欠けている間欠部42Cを有する。この間欠部42Cが、固定ナット4Dの螺合用の工具が挿入される溝を形成している。このため周方向Cについて、第2固定部42Bが配置される領域は間欠部42Cよりも長いことが好ましい。
【0096】
段差部43は、固定ナット4Dがスピンドル100に取り付けられた状態における軸方向Tについて、第1ネジ部45Aと固定部42との間に形成される。段差部43の軸方向Tの寸法は、第1ネジ部45Aおよび固定部42よりも短くてもよく、第2固定部42Bよりも短くてもよい。段差部43は径方向Rの寸法が第1ネジ部45Aおよび固定部42よりも小さくてもよい。
【0097】
特に図14図15に示すように、回転シャフトRAの樹脂主軸2における挿入部2Aには、回転シャフトテーパ部32aとしての第2樹脂テーパ部32rが形成されている。回転シャフトRAの根元部BB側に有する回転シャフトテーパ部32a(第2樹脂テーパ部32r)は、ナットテーパ部32nと同様に、軸方向Tに対して傾斜している。回転シャフトテーパ部32a(第2樹脂テーパ部32r)は、径方向Rの内側を向いており、ナットテーパ部32nと対向している。これらの傾斜角度はナットテーパ部32nおよび回転シャフトテーパ部32aの全体においてほぼ等しい。具体的には、当該傾斜角度はたとえば5°以上10°以下であることが好ましく、その中でも6°以上9°以下であることがより好ましい。
【0098】
図13図16に示すように、固定ナット4Dの第1ネジ部45Aが、挿入部2Aの第2ネジ部45Bに螺合することで、固定ナット4Dは樹脂主軸2に固定される。この螺合により、図13図14のように樹脂主軸2が固定ナット4Dの上に乗り上がる。具体的には、第2樹脂テーパ部32rがナットテーパ部32nの上に乗り上がる。これにより、ナットテーパ部32nと回転シャフトテーパ部32aとが互いに接続する(両者の間に接触圧を有する)第2テーパ部32が形成される。
【0099】
ここで、特に図15に示すように、樹脂主軸2の根元部BB側の端部には、周方向Cについて間隔をあけて複数の分割根元部29が形成されている。分割根元部29はたとえば12本形成されてもよいが、その数は任意である。たとえば8本の分割根元部29が形成されてもよいし、10本形成されても、16本形成されても、それら以外の本数だけ形成されてもよい。それぞれの分割根元部29は、ナットテーパ部32nと同様に、先端部AA側から根元部BB側に向けて漸次、径が大きくなっている。複数の分割根元部29のそれぞれの径方向R内側を向く面に、第2樹脂テーパ部32r(回転シャフトテーパ部32a)が形成される。
【0100】
樹脂主軸は、突き当て部33を含んでいる。突き当て部33は、金属主軸1との間で互いに接触し金属主軸1を軸方向Tの先端部AA側へ押圧する。突き当て部33は、本実施の形態においては、実施の形態2にて固定ナット4Bに形成される突き当て部33と同様に、軸方向Tに直交する面と、径方向Rに直交する面とのいずれに対しても傾斜角を有する。このため本実施の形態の突き当て部33は、実施の形態2の突き当て部33と同様に、径方向押圧部34でもあると考えることもできる。
【0101】
<作用効果>
本実施の形態に従ったエアタービン駆動スピンドル100を第1の側面から見たものは、基本的に実施の形態1と同様である。このため実施の形態1での力F1を図13の力F11に置き換え、実施の形態1での力F2を図13の力F12に置き換えれば、本実施の形態でも作用効果A,Bが得られるといえる。
【0102】
本実施の形態に従ったエアタービン駆動スピンドル100を第2の側面から見たものは、概ね実施の形態1と同様である。ただし第2の側面では、回転シャフトRAの根元部BB側には軸方向Tに対して傾斜する回転シャフトテーパ部32a(第2樹脂テーパ部32r)を有する。固定ナット4Dには軸方向Tに対して傾斜するナットテーパ部32nを有する。固定ナット4Dが樹脂主軸2のネジ溝(第2ネジ部45B)に螺合することで回転シャフトテーパ部32a(第2樹脂テーパ部32r)とナットテーパ部32nのうちの一方を含む部材(樹脂主軸2)または一方(第2樹脂テーパ部32r)が他方を含む部材(固定ナット4D)または他方(ナットテーパ部32n)の上に乗り上がり、回転シャフトテーパ部32aとナットテーパ部32nとの間に接触圧を有する第2テーパ部32が形成される。
【0103】
図14を参照して、実施の形態1での力F4を図14の力F13に置き換え、力F5を図14の力F14に置き換える。これにより樹脂主軸2の外周面と金属主軸1の内周面との径方向Rの隙間が少なくなる(もしくは両者が接触して隙間がなくなる)。このため樹脂主軸2と金属主軸1との間の高い同軸度が得られ、作用効果Cと同様の効果が得られる。
【0104】
上記第2の側面に係るエアタービン駆動スピンドル100において、樹脂主軸2の内側から樹脂主軸2を締め付けるために固定ナット4Dの外周面に形成された第1ネジ部45Aと、樹脂主軸2の内周面に形成されたネジ溝としての第2ネジ部45Bとが互いに螺合することにより、固定ナット4Dは樹脂主軸2に固定される。これにより上記の作用効果Bが得られる。
【0105】
上記エアタービン駆動スピンドル100において、一方を含む部材は樹脂主軸2であり、他方を含む部材は固定ナット4Dである。樹脂主軸2の根元部BB側の端部には、周方向Cについて間隔をあけて複数の分割根元部29が配置されている。複数の分割根元部29に第2樹脂テーパ部32r(回転シャフトテーパ部32a)が形成される。上記第2の側面に係るエアタービン駆動スピンドル100において、樹脂主軸2は、金属主軸1との間で互いに接触し金属主軸1を軸方向Tの先端部AA側へ押圧する突き当て部33を含む。同様に、上記の第1の側面に係るエアタービン駆動スピンドル100において、樹脂主軸2は、金属主軸1との間で互いに接触し金属主軸1を軸方向Tの先端部AA側へ押圧する突き当て部33を含む。これにより、力F14から力F12、および力F11が生じることで、作用効果D(およびC)が得られる。
【0106】
固定ナット4Dを締めこむことで、複数の分割根元部29のそれぞれが弾性変形し、ナットテーパ部32nの上(径方向Rについて外側)に乗り上げるように、径方向Rの外側に変形しやすくなる。これにより、分割根元部29と、その径方向Rの外側にある回転シャフトRA(金属主軸1)との径方向Rの隙間が埋められるように小さくなるため、金属主軸1と樹脂主軸2との同軸度が高められる。なお、分割根元部29が周方向に分割される本数は、ナットテーパ部32n上にこれが乗り上げたときに径方向Rの外側に拡がりやすい程度の数としている。分割根元部29の本数が多くなればこれが径方向Rの外側に拡がりやすくなり、金属主軸1との径方向Rの隙間を埋めやすくなる。本数が多くなれば個々の分割根元部29が細くなることから変形しやすくなるためである。ただし分割根元部29の本数が過剰に多くなれば、分割根元部29の加工が煩雑となるため、過剰に多くならないことが好ましい。以上に基づき分割根元部29は、たとえば上述した本数とすることが好ましい。
【0107】
上記エアタービン駆動スピンドル100の第2テーパ部32において、固定ナット4Dの締め付けにより、一方を含む部材(樹脂主軸2)が他方を含む部材(固定ナット4D)の上に乗り上げ、径方向Rについて一方を含む部材(樹脂主軸2)の外側に隣接する金属主軸1に(たとえば突き当て部33にて)接触する。これにより、上記の作用効果Cが得られる。
【0108】
(実施の形態5)
<スピンドルの構成>
実施の形態5の各例においては、固定ナット4と樹脂主軸2、金属主軸1との固定態様は実施の形態1~4のいずれであってもよい。すなわち本実施の形態では、固定ナット4A~4Dのいずれが適用されてもよい。図17は、実施の形態5に係るスピンドルの第1例の、金属主軸と樹脂主軸との固定態様を示す概略断面図である。図17を参照して、本実施の形態の第1例に係るスピンドル100は、樹脂主軸2および金属主軸1の第1テーパ部31において、径方向Rに沿って延びる孔部51が形成される。具体的には、樹脂主軸2の第1樹脂テーパ部31rから、径方向Rの内側に延びるように、孔部51Aが形成される。金属主軸1の第1金属テーパ部31mから、径方向Rの外側に延びるように、孔部51Bが形成される。孔部51A,51B内にはモールド剤52が充填される。孔部51Bは、径方向Rの金属主軸1の最外部から最内部までこれを貫通するように形成されてもよい。孔部51Aは、径方向Rの樹脂主軸2の最外部から、樹脂主軸2の内部の位置まで径方向Rに延びるように形成されてもよい。これにより、たとえば孔部51Bの最外部の穴から孔部51A,51B内にモールド剤52を注入できる。なお本明細書でのモールド剤52は、レジンまたは接着剤など、充填後または塗布後に硬化して機能を発揮する物質を意味するものとする。
【0109】
孔部51(51A,51B)は、第1テーパ部31の周方向C、軸方向Tについての一部の領域のみから深さ方向(径方向)に掘られるようにドット状に形成される。図17に示すように、孔部51のうち、(金属主軸1よりも径方向Rの内側に配置される)樹脂主軸2に形成される孔部51Aを径方向Rから平面視したときのサイズは、金属主軸1に形成される孔部51Bを径方向Rから平面視したときのサイズより大きい。ここでの平面視したときのサイズは、たとえば孔部51A,51Bが円形であれば直径を意味する。孔部51A,51Bは1つずつのみ形成されてもよいが、間隔を変えて複数個ずつ形成されてもよい。
【0110】
図18は、実施の形態5に係るスピンドルの第2例の、金属主軸と樹脂主軸との固定態様を示す概略断面図である。図19は、図18のXIX-XIX線に沿う部分の概略断面図である。図18および図19を参照して、金属主軸1に形成される孔部51Bと、樹脂主軸2に形成される孔部51Aとは、周方向Cについて一部において重なり、他の一部において重ならないように配置されてもよい。すなわち図19に示すように、周方向Cにおける孔部51Aの左側の部分および孔部51Bの右側の部分は互いに他の孔部と径方向に重なっていない。つまり周方向Cについて、孔部51Aと孔部51Bとは部分的に位置がずれている。孔部51Aの左側の部分はその径方向R外側が金属主軸1の本体に塞がれている。孔部51Bの右側の部分はその径方向R内側が樹脂主軸2の本体に塞がれている。
【0111】
図20は、実施の形態5に係るスピンドルの第3例の、金属主軸と樹脂主軸との固定態様を示す概略断面図である。図20を参照して、金属主軸1および樹脂主軸2には、第1金属テーパ部31mおよび第1樹脂テーパ部31rに形成されたネジ穴53を繋ぐように雄ネジ54が螺合されている。具体的には、第1例および第2例における孔部51A,51Bと同様に、樹脂主軸2の第1樹脂テーパ部31rから、径方向Rの内側に延びるように、また金属主軸1の第1金属テーパ部31mから、径方向Rの外側に延びるように、ネジ穴53が形成される。ネジ穴53には雌ネジが形成されている。金属主軸1のネジ穴53と樹脂主軸2のネジ穴53とを跨ぐように、雄ネジ54が螺合される。
【0112】
<作用効果>
上記第1の側面に係るエアタービン駆動スピンドル100において、樹脂主軸2および金属主軸1の第1テーパ部31には径方向Rに沿って孔部51が形成される。孔部51内にはモールド剤52が充填される。モールド剤52の固化により、周方向Cについて金属主軸1と樹脂主軸2とが互いに相対的に移動しないように固定できる。つまり金属主軸1および樹脂主軸2の間の回転方向(周方向C)についての意図せぬ滑りおよび位置ずれを抑制できる。また樹脂主軸2に軸方向Tについて曲がる(曲げ方向の)力が加わった場合でも、モールド剤52により、曲げ方向についての金属主軸1と樹脂主軸2との間の滑りおよび位置ずれを抑制できる。
【0113】
上記エアタービン駆動スピンドル100において、樹脂主軸2に形成される孔部51Aの平面視でのサイズは、金属主軸1に形成される孔部51Bの平面視でのサイズより大きい。このようにすれば、樹脂主軸2内のモールド剤52が、回転シャフトRAの回転により生じる遠心力により径方向R外側に飛び出し、主軸同士の固定効果が損なわれる不具合を抑制できる。孔部51Aの径方向R外側の少なくとも一部が、孔部51Bと重ならず、金属主軸1の本体に塞がれるためである。
【0114】
上記エアタービン駆動スピンドル100において、金属主軸1に形成される孔部51Bと、樹脂主軸2に形成される孔部51Aとは、周方向Cについて一部において重なり、他の一部において重ならないように配置される。このようにすれば、樹脂主軸2内のモールド剤52が、回転シャフトRAの回転により生じる遠心力により径方向R外側に飛び出し、主軸同士の固定効果が損なわれる不具合を抑制できる。孔部51Aの径方向R外側の少なくとも一部が、孔部51Bと重ならず、金属主軸1の本体に塞がれるためである。
【0115】
上記エアタービン駆動スピンドル100において、金属主軸1および樹脂主軸2には、金属テーパ部(第1金属テーパ部31m)および樹脂テーパ部(第1樹脂テーパ部31r)に形成されたネジ穴53を繋ぐように雄ネジ54が螺合されてもよい。また、ネジ穴53と雄ネジ54との噛み合わせ部の隙間を埋めるようにモールド剤が併用されてもよい。ネジ穴53および雄ネジ54によっても、孔部51およびモールド剤52を用いた場合と同様の、樹脂主軸2と金属主軸1との間の滑りを抑制する効果が得られる。
【0116】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態(各実施例)の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【0117】
<付記>
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0118】
(付記1)
先端部と、前記先端部とは反対側に位置する根元部とを含む回転シャフトを備え、
前記回転シャフトは、
金属主軸と、
径方向について前記金属主軸の内側に配置され、軸方向に対して前記金属主軸の前記先端部側から突出する樹脂主軸とを有し、
前記金属主軸は、軸方向に対して傾斜する金属テーパ部を有し、
前記樹脂主軸は、前記金属テーパ部に接する樹脂テーパ部と、前記根元部に形成されたネジ溝とを有し、
前記樹脂主軸の前記ネジ溝に螺合する固定ナットをさらに備え、
前記回転シャフトには、前記固定ナットの前記ネジ溝への螺合により前記樹脂テーパ部と前記金属テーパ部との間に接触圧を有する第1テーパ部が形成され、
前記第1テーパ部は、前記先端部側に向けて、中心軸からの距離が大きくなるよう傾斜し、
前記樹脂主軸内には抵抗部品が埋め込まれている、エアタービン駆動スピンドル。
【0119】
(付記2)
軸方向に沿う断面における前記第1テーパ部の角度は18°以下であり、
前記第1テーパ部の前記根元部側の端部から前記金属主軸の前記先端部側の端部までの軸方向に沿う距離は、前記金属主軸の前記先端部側の端部から前記樹脂主軸の前記先端部側の端部までの軸方向に沿う距離の15%以上である、付記1に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【0120】
(付記3)
前記樹脂主軸および前記金属主軸の前記第1テーパ部には径方向に沿って孔部が形成され、
前記孔部内にはモールド剤が充填される、付記1または2に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【0121】
(付記4)
前記樹脂主軸に形成される前記孔部の平面視でのサイズは、前記金属主軸に形成される前記孔部の平面視でのサイズより大きい、付記3に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【0122】
(付記5)
前記金属主軸に形成される前記孔部と、前記樹脂主軸に形成される前記孔部とは、周方向について一部において重なり、他の一部において重ならないように配置される、付記3に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【0123】
(付記6)
前記金属主軸および前記樹脂主軸には、前記金属テーパ部および前記樹脂テーパ部に形成されたネジ穴を繋ぐように雄ネジが螺合される、付記1または2に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【0124】
(付記7)
先端部と、前記先端部とは反対側に位置する根元部とを含む回転シャフトを備え、
前記回転シャフトは、
金属主軸と、
径方向について前記金属主軸の内側に配置され、軸方向に対して前記金属主軸の前記先端部側から突出する樹脂主軸とを有し、
前記樹脂主軸の前記根元部側に形成されたネジ溝に螺合する固定ナットをさらに備え、
前記回転シャフトの前記根元部側には軸方向に対して傾斜する回転シャフトテーパ部を有し、
前記固定ナットには軸方向に対して傾斜するナットテーパ部を有し、
前記固定ナットが前記樹脂主軸の前記ネジ溝に螺合することで前記回転シャフトテーパ部と前記ナットテーパ部のうちの一方を含む部材が他方を含む部材の上に乗り上がり、前記回転シャフトテーパ部と前記ナットテーパ部との間に接触圧を有する第2テーパ部が形成される、エアタービン駆動スピンドル。
【0125】
(付記8)
前記樹脂主軸の外側から前記樹脂主軸を締め付けるために前記固定ナットの内周面に形成された第1ネジ部と、前記樹脂主軸の外周面に形成された前記ネジ溝としての第2ネジ部とが互いに螺合することにより、前記固定ナットは前記樹脂主軸に固定される、付記7に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【0126】
(付記9)
前記一方を含む部材は前記固定ナットであり、
前記固定ナットの前記先端部側の端部には、周方向について間隔をあけて複数の分割先端部が配置されており、
前記複数の分割先端部に前記ナットテーパ部が形成され、
前記固定ナットは前記複数の分割先端部に径方向押圧部を含み、
前記径方向押圧部は、前記金属主軸および前記樹脂主軸のいずれかと径方向について互いに対向しながら接触し、前記金属主軸および前記樹脂主軸のいずれかを径方向に押圧する、付記8に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【0127】
(付記10)
前記固定ナットは、前記金属主軸との間で互いに接触し前記金属主軸を軸方向の前記先端部側へ押圧する突き当て部を含む、付記8または9に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【0128】
(付記11)
前記樹脂主軸の内側から前記樹脂主軸を締め付けるために前記固定ナットの外周面に形成された第1ネジ部と、前記樹脂主軸の内周面に形成された前記ネジ溝としての第2ネジ部とが互いに螺合することにより、前記固定ナットは前記樹脂主軸に固定される、付記7に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【0129】
(付記12)
前記一方を含む部材は前記樹脂主軸であり、前記他方を含む部材は前記固定ナットであり、
前記樹脂主軸の前記根元部側の端部には、周方向について間隔をあけて複数の分割根元部が配置されており、
前記複数の分割根元部に前記回転シャフトテーパ部が形成され、
前記樹脂主軸は、前記金属主軸との間で互いに接触し前記金属主軸を軸方向の前記先端部側へ押圧する突き当て部を含む、付記11に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【0130】
(付記13)
前記金属主軸は、軸方向に対して傾斜する金属テーパ部を有し、
前記樹脂主軸は、前記金属テーパ部に接する樹脂テーパ部を有し、
前記回転シャフトには、前記固定ナットの前記ネジ溝へ螺合により前記樹脂テーパ部と前記金属テーパ部との間に接触圧を有する第1テーパ部が形成され、
前記第1テーパ部は前記第2テーパ部の前記先端部側に形成され、
前記第1テーパ部は、前記先端部側に向けて、中心軸からの距離が大きくなるよう傾斜する、付記7~12、付記C、付記Dのいずれか1項に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【0131】
(付記A)
前記固定ナットおよび前記樹脂主軸のいずれかは、前記金属主軸との間で互いに接触し前記金属主軸を軸方向の前記先端部側へ押圧する突き当て部を含む、付記1~6のいずれか1項に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【0132】
(付記B)
前記回転シャフトの前記根元部側には軸方向に対して傾斜する回転シャフトテーパ部を有し、
前記固定ナットには軸方向に対して傾斜するナットテーパ部を有し、
前記固定ナットが前記樹脂主軸の前記ネジ溝に螺合することで前記回転シャフトテーパ部と前記ナットテーパ部のうちの一方(を含む部材)が他方(を含む部材)の上に乗り上がり、前記回転シャフトテーパ部と前記ナットテーパ部との間に接触圧を有する第2テーパ部が形成され、
前記第2テーパ部は前記第1テーパ部の前記根元部側に形成される、付記1~6のいずれか1項に記載のエアタービン駆動スピンドル(付記Aに記載されてもよい)。
【0133】
(付記C)
前記他方を含む部材は前記樹脂主軸である、付記8~10のいずれか1項に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【0134】
(付記D)
前記他方を含む部材は前記金属主軸である、付記8~10のいずれか1項に記載のエアタービン駆動スピンドル。
【0135】
(付記E)
前記第2テーパ部において、前記固定ナットの締め付けにより、前記一方を含む部材が前記他方を含む部材の上に乗り上げ、径方向について前記一方を含む部材の外側に隣接する前記金属主軸に接触する、付記7~13のいずれか1項に記載のエアタービン駆動スピンドル(付記C,付記Dのいずれか1項に記載されてもよい)。
【符号の説明】
【0136】
1 金属主軸、1A 軸部、1B スラスト板部、2 樹脂主軸、2A 被挿入部、2B 抵抗部品包埋部、2C カップ装着部、3 貫通穴、4,4A,4B,4C,4D 固定ナット、5 カップ、6 ハウジング、7 軸受スリーブ、8 ハウジングアッシ、9 カバー、11A 先端部側Oリング、11B 根元部側Oリング、12 ジャーナル軸受、13 スラスト軸受、14 軸受気体供給口、15 軸受気体供給路、16 タービン気体供給口、16M 磁石、17 タービン気体供給経路、18 タービンノズル、19 タービン翼、20 回転検出部、21 スピンドルホルダ、21A 凹部、22 軸受気体供給口、23 タービン気体供給口、24 排気穴、25 塗料供給孔、26 光学式センサ、27 センサホルダ、28 塗料噴射ノズル、29 分割根元部、30 抵抗部品、31 第1テーパ部、31m 第1金属テーパ部、31r 第1樹脂テーパ部、32 第2テーパ部、32a 回転シャフトテーパ部、32m 第2金属テーパ部、32r 第2樹脂テーパ部、33 突き当て部、34 径方向押圧部、41 分割先端部、41C,42C 間欠部、42 固定部、42A 第1固定部、42B 第2固定部、43 段差部、45 ネジ部、45A 第1ネジ部、45B 第2ネジ部(ネジ溝)、51,51A,51B 孔部、52 モールド剤、53 ネジ穴、54 雄ネジ、100 スピンドル、200 塗装装置、AA 先端部、BB 根元部、C 周方向、R 径方向、RA 回転シャフト、T 軸方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16
図17
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図19
図20