(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120442
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 59/042 20060101AFI20240829BHJP
A01D 34/43 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A01B59/042 A
A01D34/43
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027247
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 太秋
(72)【発明者】
【氏名】長畑 友之
【テーマコード(参考)】
2B041
2B083
【Fターム(参考)】
2B041AA11
2B041AB05
2B041AC09
2B041CA17
2B041CC02
2B041CG08
2B041HA04
2B041HA05
2B041HA12
2B041HA17
2B041HA22
2B083AA01
2B083BA06
2B083DA04
2B083HA06
2B083HA07
2B083HA08
2B083HA20
2B083HA60
(57)【要約】 (修正有)
【課題】演算処理の負担を増やすことなく、可動部の姿勢を把握することが可能な作業機を提供する。
【解決手段】第1ブーム411は、マストフレーム21に旋回可能に、第2ブーム413は、第1ブーム411の旋回方向と交差する方向に第1ブーム411に対して相対的に旋回可能に設ける。第2ブーム413の旋回角度に応じて、第1ブーム411に対して相対的な後退位置である第1旋回位置と、第1ブーム411に対して相対的な中間位置である第2旋回位置と、第1ブーム411に対して相対的な前進位置である第3旋回位置とに旋回可能である。制御部tは第2ブーム413が第2旋回位置および第3旋回位置から第1旋回位置に向かって旋回を開始させる指示を受けて第2ブーム413が旋回開始後の設定された経過時間内に第1スイッチSw1の検出信号に変化がないと判断した場合に、異常状態と判断して第2ブーム413の動作を停止させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回可能に設けた第1ブームと、
前記第1ブームの旋回方向と交差する方向に前記第1ブームに対して相対的に旋回可能に設け、旋回する角度に応じて、第1ブームに対して相対的な後退位置である第1旋回位置と中間位置である第2旋回位置と前進位置である第3旋回位置とに位置するように設けた第2ブームと、を有し、
前記第2ブームの中間位置である第2旋回位置を検出する第1スイッチと、
前記第2ブームの前進位置である第3旋回位置を検出する第2スイッチと、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチに接続し、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの検出信号を受領することで前記第2ブームの前記後退位置である第1旋回位置および前記中間位置である第2旋回位置および前記前進位置である第3旋回位置を認識可能な制御部と、を備え、
前記制御部は前記第2ブームが中間位置である第2旋回位置および前進位置である第3旋回位置から前記後退位置である第1旋回位置に向かって旋回を開始させる指示を受けて前記第2ブームが旋回開始後の設定された経過時間内に前記第1スイッチの検出信号に変化がないと判断した場合に、異常状態と判断して前記第2ブームの動作を停止させる、
ことを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記第1ブームおよび前記第2ブームに加えてさらに複数の可動部を有し、
前記制御部が前記異常状態と判断した場合に前記複数の可動部の全ての動作を停止させる、
ことを特徴とする請求項1記載の作業機。
【請求項3】
前記第1ブームおよび前記第2ブームに加えてさらに複数の可動部を有し、
前記制御部が前記正常状態と判断した場合に前記複数の可動部の動作を継続することを許可する、
ことを特徴とする請求項1記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のアームを連結させて、このアームに対地作業をする刈り払い具を取り付けた刈り払い装置が、特許文献1で提唱されている。この刈り払い装置は、アームや刈り払い具の位置や姿勢を検知するセンサを備え、センサで検知された情報を制御部で演算処理することによって、刈り払い具による刈り払い動作を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、センサから得られる情報である、位置や姿勢の情報を、直接的またはリニア的なものとして制御部に入力してしまうと、演算処理に係る負担が大きくなる。また、アームの可動箇所や方向の制御が増えれば増えるほど、演算処理に係る負担が必然的に大きくなる。多くの情報を演算処理しようとすると、処理能力を増加させなくてはならないため、演算処理を行う制御部の構成が高価になる問題がある。また、センサに発生した異常を起因として、このセンサから正確な信号を受領できなかった場合に、アーム類の動作制御を適正に行えなくなり、アーム類が意図しない動作をすることも考えられる。
本発明は、可動部の姿勢制御に係る演算負担を軽減しながらも、意図しない動作を未然に防ぐことが可能な作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、
旋回可能に設けた第1ブームと、
前記第1ブームの旋回方向と交差する方向に前記第1ブームに対して相対的に旋回可能に設け、旋回する角度に応じて、第1ブームに対して相対的な後退位置である第1旋回位置と中間位置である第2旋回位置と前進位置である第3旋回位置とに位置するように設けた第2ブームと、を有し、
前記第2ブームの中間位置である第2旋回位置を検出する第1スイッチと、
前記第2ブームの前進位置である第3旋回位置を検出する第2スイッチと、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチに接続し、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの検出信号を受領することで前記第2ブームの前記後退位置である第1旋回位置および前記中間位置である第2旋回位置および前記前進位置である第3旋回位置を認識可能な制御部と、を備え、
前記制御部は前記第2ブームが中間位置である第2旋回位置および前進位置である第3旋回位置から前記後退位置である第1旋回位置に向かって旋回を開始させる指示を受けて前記第2ブームが旋回開始後の設定された経過時間内に前記第1スイッチの検出信号に変化がないと判断した場合に、異常状態と判断して前記第2ブームの動作を停止させる、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【0006】
この発明は、
前記第1ブームおよび前記第2ブームに加えてさらに複数の可動部を有し、
前記制御部が前記異常状態と判断した場合に前記複数の可動部の全ての動作を停止させる、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【0007】
この発明は、更に、
前記第1ブームおよび前記第2ブームに加えてさらに複数の可動部を有し、
前記制御部が前記正常状態と判断した場合に前記複数の可動部の動作を継続することを許可する、
ことを特徴とする作業機、
に係る。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、可動部の姿勢制御に係る演算負担を軽減しながらも、意図しない動作を未然に防ぐことが可能な作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施例に係る作業機の正面図で、格納状態であって、進行方向後方からみた図である。第2ブームは、後退位置である第1旋回位置にある。
【
図2】この発明の実施例に係る作業機の展開時の正面図である。
【
図3】この発明の実施例に係る作業機の側面図であり、作業位置の一例である。実線は第2ブームが前進位置である第3旋回位置の作業部他を示す。二点鎖線部51―1は第2ブームが後退位置である第1旋回位置の作業部他をあらわし、51―2は第2ブームが中間位置である第2旋回位置の作業部他を示す。
【
図4】この発明の実施例に係る作業機の第3旋回軸の軸方向から見た第3旋回軸の近傍拡大図であって、第2ブームが後退位置である第1旋回位置にある。
【
図5】この発明の実施例に係る作業機の第3旋回軸の軸方向から見た第3旋回軸の近傍拡大図であって、第2ブームが中間位置である第2旋回位置にある。
【
図6】この発明の実施例に係る作業機の第3旋回軸の軸方向から見た第3旋回軸の近傍拡大図であって、第2ブームが前進位置である第3旋回位置にある。
【
図7】この発明の実施例に係る作業機の拡大図である。第3旋回軸の側面からみた拡大図であって、第2ブームが前進位置である第3旋回位置のときを示す。第1スイッチ、第2スイッチともに操作された状態である。
【
図9】この発明の実施例に係る作業機の操作部の斜視図である。
【
図10】この発明の実施例に係る作業機の構成をあらわすブロック図である。
【
図11】この発明の実施例に係る作業機の第2ブームが前進位置である第3旋回位置又は中間位置である第2旋回位置側から後退位置である第1旋回位置に向かって旋回指示を受けた場合をあらわすフロー図である。
【
図12】この発明の実施例に係る作業機の第2ブームが後退位置である第1旋回位置に位置した状態で、第1ブームが格納位置側に向かう旋回指示を受けた場合をあらわすフロー図である。
【
図13】この発明の実施例に係る作業機の第2ブームが後退位置である第1旋回位置に位置した状態で、第1ブームが格納位置側に向かう旋回指示を受けた場合をあらわすフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明に係る作業機の実施例の機械構造について、図に基づき、説明する。
Aは、作業機である。作業機Aは、この発明の実施例では、草刈等の作業を行う作業機に係る。作業機Aは、トラクタ等からなる走行機体に取り付け駆動する。
トラクタ等からなる走行機体は、作業機Aを後部に取付け、
図1では、作業機Aの奥側に位置する。図示はしないが、走行機体には走行機体及び作業機Aを操作する作業者が搭乗する。
【0011】
11は、主フレームである。主フレーム11は、作業機Aに取り付ける。主フレーム11は、走行機体の進行方向後方側に装着する。主フレーム11には、図示するように走行機体への装着用の装着部111、112を設ける。2個の111は下部に設ける装着部(ロア)、112は上部に設ける装着部(トップ)であり、3点で作業機Aを走行機体に装着する。
【0012】
図3に図示する22は、入力軸である。入力軸22は、取り付ける走行機体から駆動力を作業機Aに取り入れる。
変速部(図示せず)では、入力軸22により走行機体から入力した駆動力を変速する。
【0013】
図1乃至
図3に図示する24は、流体圧発生源である油圧ポンプである。油圧ポンプ24は、入力軸22により走行機体から入力し、変速機(図示せず)で変速した駆動力により、駆動する。油圧ポンプ24により、作業機Aの油圧で作動する油圧機器関係に油圧を配送する。
図1、
図2に図示する25は、方向制御弁であるバルブユニットである。バルブユニット25では、油圧の流れを切換制御する。
【0014】
図1乃至
図3に図示する21は、マストフレームである。211は、マストフレーム回動軸である。マストフレーム21は、マストフレーム回動軸211によって、主フレーム11に回動自在に取り付ける。
マストフレーム21は、作業機Aの、主フレーム11の進行方向左右に対する一端部あるいは中央部に設ける。実施例では、マストフレーム回動軸211を主フレーム11の一端部である中央部から進行方向左側方にややずれた位置に設け、マストフレーム21を主フレーム11の一端部である進行方向左側に配置している。
【0015】
マストフレーム21は、後述する伸縮手段41を、水平方向へ回動可能である。マストフレーム21は、伸縮手段41を鉛直軸周りであるマストフレーム回動軸211周りに回動可能である。マストフレーム21は、伸縮手段41をマストフレーム回動軸211周りに水平回動させることによって、進行方向の左右側方に伸縮手段41を位置させた通常位置と、進行方向の後方側に伸縮手段41を位置させた退避位置と、に姿勢変更ができる。
マストフレーム21は主フレーム11に対して旋回を不可能にさせるように固定可能である。
図1におけるマストフレーム21は、伸縮手段41の第1ブーム411の他端側を走行機体の進行方向に対する左右側方に向かって旋回可能となる位置で固定された状態を示す。
【0016】
31は、タンクである。タンク31は、実施例では、オイルタンクである。タンク31は、作業機Aの進行方向左右に対する主フレーム11の他端部に設ける。作業機Aに使用される各シリンダは油圧シリンダであるため、タンク31は各オイルシリンダ駆動用のオイルを貯蔵する。
【0017】
41は、伸縮手段である。伸縮手段41は、一端側を主フレーム11近傍で回動可能なマストフレーム21に連結する。伸縮手段41は、
図1に図示するように、作業部51に伸縮手段41を折り畳んで主フレーム11上に作業部51を位置させた格納状態と、
図2に図示するように、伸縮手段41を伸展させて、主フレーム11より進行方向に対する側方に位置させた作業部51の作業状態を取らせる。
【0018】
すなわち、伸縮手段41は、主フレーム11の近傍に折り畳んだ収納状態と、主フレーム11の側方に伸長させた伸張状態と、その中間状態に変更可能である。また、説明において、収納状態は格納状態、伸張状態は展開状態或いは作業状態と呼ぶことがある。
伸縮手段41は、第1ブーム411、第1連結体412、第2ブーム413、第2連結体414、第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418を有する。これら第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418等のシリンダは、ブームを旋回動作させる複動シリンダからなる。
【0019】
第1ブーム411は、マストフレーム21に一端部を連結し、上下方向へ回動可能に設ける。第1ブーム411は、マストフレーム21に旋回可能に設けてある。第1ブーム411は、他端側を走行機体の進行方向側方の遠方に位置させることが可能である。
連結体である第1連結体412は、第1ブーム411の他端側の先端部に一端部を連結し、第1ブーム411に対して上下方向へ回動可能に設ける。
第2ブーム413は、第1連結体412の他端側の先端部に一端部を連結し、マストフレーム21が通常位置において、進行方向に対して前後方向へ回動可能に設ける。つまり、第2ブーム413は、第1連結体412によって、第1ブーム411の回動方向と平行な上下方向への回動と、第1ブーム411の回動方向と交差する方向である進行方向に対する前後方向への回動が可能である。
【0020】
第2連結体414は、第2ブーム413の他端側の先端部に一端部を設け、マストフレーム21が通常位置において、第1連結体412と平行リンクを形成することによって進行方向前後に対する上下方向および左右方向の傾斜方向を変えずに、第1連結体412に対して前後方向へ並行に移動可能である。つまり、第2ブーム413の前後回動を行っても後述する第2連結体414が有する第4旋回軸418Aの軸方向を変えることがない。
第1シリンダ415は、油圧シリンダからなり、マストフレーム21と第1ブーム411とを、マストフレーム21と第1ブーム411を連結させた2つのアームからなるリンク機構42を介して連結する。第1シリンダ415は、第1ブーム411回動用であり、第1ブーム411に設け、伸縮すると同時に第1ブーム411共に回動して第1ブーム411を上下回動させる。
【0021】
第1シリンダ415は、伸縮手段41である第1ブーム411をマストフレーム21と第1ブーム411との間に設けた水平軸である第1旋回軸411A周りに回動駆動させる。
第1ブーム411は上下方向に、第1旋回軸411Aを回動中心として回動自在にマストフレーム21に連結される。
第1ブーム411は、水平軸である第1旋回軸411Aによって支持されるとともに水平軸411A周りに旋回自在である。第1ブーム411は、主フレーム11の上部に折り畳んだ収納状態と前記主フレーム11の側方に旋回させた展開状態とに変更可能である。
【0022】
第2旋回軸413Aは、第1ブーム411と、連結体である第1連結体412を連結させる軸であり、第1旋回軸411Aと平行に設ける。
連結体である第1連結体412は、一端側を第1旋回軸411Aと平行な第2旋回軸413Aによって、第1ブーム411の旋回方向と同じ方向に旋回可能に設ける。
連結体である第1連結体412の他端側には第3旋回軸417Aを設ける。第2ブーム413の一端側を第3旋回軸417Aに連結させることによって、第2ブーム413は第3旋回軸417A周りに旋回可能である。第3旋回軸417Aは、第1旋回軸411A及び第2旋回軸413Aと交差する方向に設ける。したがって、第2ブーム413は第3旋回軸417Aによって、第1ブーム411に対して交差する方向に向かって旋回が可能である。
【0023】
第2ブーム413は、連結体である第1連結体412を介して第2旋回軸413Aによって、第1ブーム411に対して平行な方向に旋回が可能である。換言すれば、第2旋回軸413Aおよび第3旋回軸417Aを介した第2ブーム413は第1ブーム411の旋回方向に対して、相対的に平行な方向と交差する方向のそれぞれ旋回が可能である。
第2ブーム413は、第1ブーム411の旋回方向と交差する方向に第1ブーム411に対して相対的に旋回可能に設けてある。第2ブーム413の旋回する角度に応じて、
図4に図示する第1ブーム411に対して相対的な後退位置である第1旋回位置と、
図5に図示する第1ブーム411に対して相対的な中間位置である第2旋回位置と、
図6に図示する第1ブーム411に対して相対的な前進位置である第3旋回位置とに位置するように旋回可能に設けてある。
【0024】
第2シリンダ416は、油圧シリンダからなり、第1ブーム411と第1連結体412の他端側とを連結する。第2シリンダ416は、第2旋回軸413Aを軸にした第1連結体412の上下回動用である。
第3シリンダ417は、前後回動シリンダであって、油圧シリンダからなり、第1連結体412と第2ブーム413とを連結する。
第3シリンダ417は、第2ブーム413の第1ブーム411に対する前後回動用である。第3シリンダ417は、ストロークの伸縮により、マストフレーム21が通常位置において、伸縮手段41を前後方向へ回動駆動させる。
【0025】
第4シリンダ418は、油圧シリンダからなり、第2連結体414と後述する作業部51とを連結する。第4シリンダ418は、作業部51の上下回動用である。
第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418の各シリンダは、
図8に図示するように、それぞれ、ロッド側室内(415b、416b、417b、418b)と、ボトム側室内(415a、416a、417a、418a)とを有する。
【0026】
51は、作業部である。作業部51は、第2連結体414の他端側の先端部且つ第2連結体414の進行方向に対する前方側に設ける。作業部51は、更に、第2連結体414に対して上下方向へ回動可能に設ける。
作業部51は、この実施例では、マストフレーム21が通常位置において、進行方向と直交する方向に向けたロータ軸である回転軸512に複数の刃部を配置し、複数の刃部を回転駆動させることで草刈等の対地作業を行う。
514は回転軸512の周囲を覆うカバーであり、作業状態の回転軸512の上方側を覆う。
【0027】
作業部51は第2連結体414を介して第2ブーム413に取り付けられている。また、作業部51は第2連結体414に備える進行方向前後に向けた作業部旋回軸である第4旋回軸418Aによって、第2連結体414に対して旋回が可能に設ける。第2連結体414は、第2ブーム413に備える図示しないリンク機構によって、第3旋回軸417A周りに第2ブーム413が旋回しても、進行方向に対する前後方向に傾斜することがない。すなわち、第4旋回軸418Aは常時進行方向に向かって平行に保たれているので、作業部51の左右端部は、進行方向に対する前後方向に傾斜することがない。作業部51は第2ブーム413に対して相対的に旋回動作が可能である。
【0028】
第1ブーム411は第1シリンダ415、第1連結体である連結体412は第2シリンダ416、第2ブーム413は第3シリンダ417、作業部51は第4シリンダ418によって、それぞれを旋回駆動可能にされている。
それぞれのシリンダは方向制御弁25に接続されている。方向制御弁25は、作業機Aに近接して配置する制御部tの指令信号を受領することによって、前述のシリンダ群をそれぞれ動作させる。
【0029】
図9に図示するuは、操作部である。操作部uは、走行機体に設け、制御部tを介して方向制御弁25を操作する。操作部uは、操作レバーu3と、操作レバーu3先端に設ける複数の第1ボタンB1、第2ボタンB2、第3ボタンB3、第4ボタンB4からなる操作ボタンBを設ける。操作部uには、圧力スイッチ作動スイッチu1およびフローティング手段であるフローティングスイッチu2を設ける。
操作レバーu3は、第1ブーム411および第1連結体412および第2ブーム413を動作させるための方向制御弁25を操作する。
【0030】
フローティング手段であるフローティングスイッチu2は、作業部51をフローティング作動状態であるフローティングモードあるいはフローティング作動解除状態にする。作業部51をフローティング作動状態にすると、展開状態の作業部51が操作レバーu3の操作によらず自由に上下動するので、進行と共に作業面の凹凸部に追従することができる。操作レバーu3は、方向制御弁25を動作させて、第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418のそれぞれを伸縮動作させることができる。
【0031】
図9に図示するように、操作部uは、操作レバーu3を、進行方向に対応する前(第1方向D1)、後(第2方向D2)、左(第3方向D3)、右(第4方向D4)に傾斜させる、又は、進行方向に対応する前ボタン(第1ボタンB1)、後ボタン(第2ボタンB2)、左ボタン(第3ボタンB3)、右ボタン(第4ボタンB4)の各操作ボタンBを操作することで、第1ブーム411の旋回動作、連結体である第1連結体412の旋回動作、第2ブーム413の旋回動作、作業部51の旋回動作をさせることができる。
【0032】
実施例では、操作レバーu3を前(第1方向D1)に倒すと、第1ブーム411が、格納側に第1旋回軸411A周りに旋回し、後(第2方向D2)に倒すと展開側に旋回する。また、操作レバーu3を左(第3方向D3)に倒すと、連結体である第1旋回軸411A及び第2ブーム413が第2旋回軸周りに展開側に旋回動作し、右(第4方向D4)に倒すと、格納側に旋回動作する。
【0033】
操作ボタンBの内、前ボタン(第1ボタンB1)を操作すると第2ブーム413が第3旋回軸417A周りに他端側が前進方向に旋回し、後ボタン(第2ボタンB2)を操作すると第2ブーム413の他端側が後進方向に旋回する。左ボタン(第3ボタンB3)を操作すると作業部51が作業部51の旋回軸である第4旋回軸418A周りに展開方向に旋回し、右ボタン(第4ボタンB4)を操作すると作業部51が第4旋回軸418A周りに格納方向に旋回する。
例示した旋回方向において、第1ブーム411の展開側とは、進行方向後方から見て第1旋回軸411Aを支点に左回転方向への旋回を指し、第1ブーム411の格納側とは進行方向後方から見て第1旋回軸411Aを支点に右回転方向への旋回を指す。また、例示した旋回方向において、第2ブーム413の展開側とは、進行方向後方から見て第2旋回軸413Aを支点に右回転方向への旋回を指し、第2ブーム413の格納側とは進行方向後方から見て第2旋回軸413Aを支点に左回転方向への旋回を指す。また、例示した旋回方向において、作業部51の展開側とは、進行方向後方から見て第4旋回軸418Aを支点に左回転方向への旋回を指し、作業部51の格納側とは進行方向後方から見て第4旋回軸418Aを支点に右回転方向への旋回を指す。
【0034】
この発明の実施例に係る油圧回路について、
図8に従って説明する。
cは第1リリーフ弁(第1パイロットリリーフ弁)である。
方向制御弁25は、第1シリンダ用方向制御弁251、第2シリンダ用方向制御弁252、第3シリンダ用方向制御弁253、第4シリンダ用方向制御弁254で構成する。方向制御弁25は、電気信号によって動作する弁であり、制御部tによって動作が制御されている。
方向制御弁25は、第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418に流出入させる流体を第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418が伸長する方向、又は、短縮する方向のそれぞれに切り替え制御する。
第1リリーフ弁cは、方向制御弁25に設ける。
第1リリーフ弁cは、設定圧で自動的に開き、圧力を下げる機能を備える。第1リリーフ弁cは、方向制御弁25内の回路内の流体に異常圧力が発生した時の圧力の逃がしあるいは、安全リリーフバルブである。
【0035】
タンク(オイルタンク)31から、油圧ポンプである流体圧発生源24を介して、方向制御弁25に接続する。方向制御弁25内では、第4シリンダ用方向制御弁254、第3シリンダ用方向制御弁253、第2シリンダ用方向制御弁252、第1シリンダ用方向制御弁251に順次接続する。
【0036】
方向制御弁25内の、第1シリンダ用方向制御弁251、第2シリンダ用方向制御弁252、第3シリンダ用方向制御弁253、第4シリンダ用方向制御弁254は、それぞれ、第1シリンダ415、第2シリンダ416、前後回動シリンダである第3シリンダ417、第4シリンダ418を、操作部uによる操作がない場合において、それぞれの第1シリンダ用方向制御弁251、第2シリンダ用方向制御弁252、第3シリンダ用方向制御弁253、第4シリンダ用方向制御弁254へ流入した流体をタンク(オイルタンク)31に戻すアンロード回路(無負荷回路)hに接続する。
第1シリンダ415は、第1シリンダ415に流出入させる流体を制御する方向制御弁251に接続する。第1シリンダ415は、方向制御弁251により、第1シリンダ415に流出入させる流体を制御する。
【0037】
第1リリーフ弁cの一端は、それぞれの方向制御弁25である第1シリンダ用方向制御弁251、第2シリンダ用方向制御弁252、第3シリンダ用方向制御弁253、第4シリンダ用方向制御弁254から操作部uの無操作時にタンク(オイルタンク)31側に流体を戻すアンロード回路hに接続する。第1リリーフ弁cの他端は、第1シリンダ用方向制御弁251、第2シリンダ用方向制御弁252、第3シリンダ用方向制御弁253、第4シリンダ用方向制御弁254から第1リリーフ弁c側に流体の流入を抑制可能である第1チェック弁251a、第2チェック弁252a、第3チェック弁253a、第4チェック弁254aを介して方向制御弁25である第1シリンダ用方向制御弁251、第2シリンダ用方向制御弁252、第3シリンダ用方向制御弁253、第4シリンダ用方向制御弁254に接続する。第1リリーフ弁cの他端は、タンク(オイルタンク)31にも接続する。
【0038】
図8に図示するように、第1シリンダ415は、ロッド側室内415bとボトム側室内415aとを有する。
第2シリンダ416は、ロッド側室内416bとボトム側室内416aとを有する。第3シリンダ417は、ロッド側室内417bとボトム側室内417aとを有する。第4シリンダ418は、ロッド側室内418bとボトム側室内418aとを有する。
【0039】
第1シリンダ用方向制御弁251は、第1シリンダ415のロッド側室内415bとボトム側室内415aとにそれぞれ接続する。第2シリンダ用方向制御弁252は、第2シリンダ416のロッド側室内416bとボトム側室内416aとにそれぞれ接続する。第3シリンダ用方向制御弁253は、第3シリンダ417のロッド側室内417bとボトム側室内417aとにそれぞれ接続する。第4シリンダ用方向制御弁254は、第4シリンダ418のロッド側室内418bとボトム側室内418aとにそれぞれ接続する。
【0040】
第1シリンダ用方向制御弁251は、第1シリンダ用方向制御弁251から第1シリンダ415へ向かう回路と、第1シリンダ用方向制御弁251からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。
【0041】
第2シリンダ用方向制御弁252は、第2シリンダ用方向制御弁252から第2シリンダ416へ向かう回路と、第2シリンダ用方向制御弁252からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。第3シリンダ用方向制御弁253は、第3シリンダ用方向制御弁253から第3シリンダ417へ向かう回路と、第3シリンダ用方向制御弁253からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。第4シリンダ用方向制御弁254は、第4シリンダ用方向制御弁254から第4シリンダ418へ向かう回路と、第4シリンダ用方向制御弁254からタンク(オイルタンク)31に向かう回路を接続可能に構成している。
【0042】
この実施例の第1シリンダ415乃至第4シリンダ418を制御する方向制御弁25である第1シリンダ用方向制御弁251、第2シリンダ用方向制御弁252、第3シリンダ用方向制御弁253、第4シリンダ用方向制御弁254は、操作部uによる切替操作がされない場合において、流体圧発生源24から移送された流体が、方向制御弁25である第1シリンダ用方向制御弁251、第2シリンダ用方向制御弁252、第3シリンダ用方向制御弁253、第4シリンダ用方向制御弁254を通じて第1シリンダ415乃至第4シリンダ418への流体の流出入ができないように、方向制御弁25である第1シリンダ用方向制御弁251、第2シリンダ用方向制御弁252、第3シリンダ用方向制御弁253、第4シリンダ用方向制御弁254内で回路を遮断する。
【0043】
操作部uによる切替操作がされると、流体圧発生源24から第1シリンダ415乃至第4シリンダ418への流体の流入、及び、第1シリンダ415乃至第4シリンダ418からタンク(オイルタンク)31への流体の流出が可能に構成する。
また、この実施例で使用する方向制御弁25である第1シリンダ用方向制御弁251、第2シリンダ用方向制御弁252、第3シリンダ用方向制御弁253、第4シリンダ用方向制御弁254のそれぞれは、非操作時の中立状態において、流体圧発生源24から常時移送される流体をアンロード回路hによってタンク31に回送する。
【0044】
第1シリンダ用方向制御弁251は、第1シリンダ用方向制御弁251からアンロード回路hとは異なるタンク31側に向かう回路と、第1シリンダ用方向制御弁251から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁251aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路hに接続する回路を有する。
第2シリンダ用方向制御弁252は、第2シリンダ用方向制御弁252からアンロード回路hとは異なるタンク31側に向かう回路と、第2シリンダ用方向制御弁252から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁252aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路hに接続する回路を有する。
【0045】
第3シリンダ用方向制御弁253は、第3シリンダ用方向制御弁253からアンロード回路hとは異なるタンク31側に向かう回路と、第3シリンダ用方向制御弁253から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁253aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路hに接続する回路を有する。
第4シリンダ用方向制御弁254は、第4シリンダ用方向制御弁254からアンロード回路hとは異なるタンク31側に向かう回路と、第4シリンダ用方向制御弁254から、第1リリーフ弁cの一端端側に流体の流入を抑制可能であるチェック弁254aを介して、第1リリーフ弁c及びアンロード回路hに接続する回路を有する。
【0046】
第1シリンダ415のロッド側室内415bと、第1シリンダ415のボトム側室内415aは、第1シリンダ用方向制御弁251にそれぞれ接続する。第1シリンダ415のロッド側室内415b及びボトム側室内415aは、第1シリンダ用方向制御弁251を切り換えることによって、いずれか一方をタンク31に接続する。
第1シリンダ415は、第1シリンダ用方向制御弁251を制御して、ストロークをストロークエンド方向に伸長するとボトム側室内415aに流体を引き込みロッド側室内415bから流体を押し出し、ストロークが短縮するとボトム側室内415aから流体を押し出しロッド側室内415bに流体を引き込む。
第1シリンダ415は、ストロークの伸縮により、伸縮手段41を構成する第1ブーム411を回動させて、作業部51を上昇あるいは下降させることができる。
第1シリンダ415の伸縮は第1リリーフ弁cを有した方向制御弁25によって制御される。
【0047】
第2シリンダ416のロッド側室内416bと、第2シリンダ416のボトム側室内416aは、第2シリンダ用方向制御弁252にそれぞれ接続する。第2シリンダ416のロッド側室内416b及びボトム側室内416aは、第2シリンダ用方向制御弁252を切り換えることによって、いずれか一方をタンク31に接続する。
第2シリンダ416は、第2シリンダ用方向制御弁252を制御して、ストロークをストロークエンド方向に伸長するとボトム側室内416aに流体を引き込みロッド側室内416bから流体を押し出し、ストロークが短縮するとボトム側室内416aから流体を押し出しロッド側室内416bに流体を引き込む。
第2シリンダ416は、ストロークの伸縮により、伸縮手段41を構成する第1連結体412を回動させて、作業部51を上昇あるいは下降させることができる。
第2シリンダ416の伸縮は第1リリーフ弁cを有した方向制御弁25によって制御される。
【0048】
第3シリンダ417のロッド側室内417bと、第3シリンダ417のボトム側室内417aは、第3シリンダ用方向制御弁253にそれぞれ接続する。第3シリンダ417のロッド側室内417b及びボトム側室内417aは、第3シリンダ用方向制御弁253を切り換えることによって、いずれか一方をタンク31に接続する。
第3シリンダ417は、第3シリンダ用方向制御弁253を制御して、ストロークをストロークエンド方向に伸長するとボトム側室内417aに流体を引き込みロッド側室内417bから流体を押し出し、ストロークが短縮するとボトム側室内417aから流体を押し出しロッド側室内417bに流体を引き込む。
第3シリンダ417は、ストロークの伸縮により、マストフレーム21が通常状態において、伸縮手段41を構成する第2ブーム413を前後方向へ回動駆動させる。
第3シリンダ417の伸縮は第1リリーフ弁cを有した方向制御弁25によって制御される。
【0049】
第4シリンダ418のロッド側室内418bと、第4シリンダ418のボトム側室内418aは、第4シリンダ用方向制御弁254にそれぞれ接続する。第4シリンダ418のロッド側室内418b及びボトム側室内418aは、第4シリンダ用方向制御弁254を切り換えることによって、いずれか一方をタンク31に接続する。
第4シリンダ418は、第4シリンダ用方向制御弁254を制御して、ストロークをストロークエンド方向に伸長するとボトム側室内418aに流体を引き込みロッド側室内418bから流体を押し出し、ストロークが短縮するとボトム側室内418aから流体を押し出しロッド側室内418bに流体を引き込む。
第4シリンダ418は、ストロークの伸縮により、マストフレーム21が通常状態において、作業部51を第2連結体414に対して上下方向へ回動駆動させる。
第4シリンダ418の伸縮は第1リリーフ弁cを有した方向制御弁25によって制御される。
【0050】
第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418は、第1リリーフ弁cを共通して使用している。
方向制御弁25は、第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418が伸長する方向、又は、短縮する方向のそれぞれに切り替えることで、第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418側にポンプ24から発生させた流体圧を圧送し、各シリンダを伸長及び短縮駆動することが可能である。
【0051】
さらに方向制御弁25は、ポンプ24からの圧送流体をタンク31側の返送回路に戻して、流体をアンロードするとともに、この返送回路にシリンダ415のボトム側室内415a及びロッド側室内415bに接続するとともにタンク31に連通する回路を有した中立位置を設けていてもよい。
【0052】
方向制御弁25内の回路にタンク31に連通する中立位置である中立回路を設けた場合、シリンダ415内のロッド側室内415bとボトム側室内415aの流体がそれぞれ互いの室内に自由に往来可能になるので、シリンダ415は伸縮自在な状態にできる。フローティングスイッチu2の操作によって、フローティング作動状態にした場合に、第1ブーム411が自由に上下動するので、作業部51が進行と共に作業面の凹凸部に追従できる。
【0053】
図10に図示する制御部tは、第1シリンダ用方向制御弁251、第2シリンダ用方向制御弁252、第3シリンダ用方向制御弁253、第4シリンダ用方向制御弁254を含む方向制御弁25に接続し、これらの動作を制御する。
図10に図示するように、制御部tは、報知部q、受信部o、第1センサSe1、第2センサSe2、第1スイッチSw1、第2スイッチSw2に接続する。
制御部tは、操作部uから発信した人為操作された操作レバーu3および操作ボタンBの作動による操作信号を受信部oで受信したのち、この操作信号を操作信号として入力として、方向制御弁25へ方向制御弁25を動作させる動作信号を出力する。
【0054】
方向制御弁25は、制御部tから出力された動作信号を受信すると、操作レバーu3および操作ボタンBの操作に基いて、第1シリンダ用方向制御弁251、第2シリンダ用方向制御弁252および第3シリンダ用方向制御弁253および第4シリンダ用方向制御弁254を動作させ、第1シリンダ415および第2シリンダ416および第3シリンダ417および第4シリンダ418に流出入させる流体を制御する。制御部tは、操作部uの操作を受けて発信される信号を受信すると、制御部tを介して、方向制御弁25の作動を制御する。
【0055】
操作レバーu3および操作ボタンBを人為的に操作した場合、操作部uから発信された操作信号は、受信部oで受信するとともに、制御部tに送られ、制御部tに入力される。
操作信号を受領した制御部tは、次に他の構成部材を動作させる動作信号を出力する。
制御部tによって出力した動作信号は、伸縮手段41の端側を上昇させる方向あるいは下降させる方向に動かすように方向制御弁25の動作を制御する。また動作信号は、伸縮手段41の端側を進行方向に対する左方向および右方向および前進方向および後進方向に動かすように方向制御弁25の動作を制御する。
方向制御弁25、電気信号によって動作する弁であり、これら弁は、制御部tによって動作が制御されている。
操作部uは、無線送信によって制御部tを介し、各種弁を操作するように図示しているが、有線であっても良い。
【0056】
操作信号を受信した制御部tは、方向制御弁25を動作させる動作信号を出力する。この動作信号を受けた方向制御弁25は、伸縮手段41の他端に備えた作業部51を上昇又は下降、又は、進行方向に対する左移動又は進行方向に対する右移動、又は、前進側への移動、又は、後進側への移動、又は、進行方向から見た左旋回、又は、進行方向から見た右旋回をさせるべく、第1シリンダ415、第2シリンダ416、第3シリンダ417、第4シリンダ418に流体を送るように回路を切り換える。
作業状態の実施例においては、作業部51の上昇は、方向制御弁251からボトム側室内415aに流体を圧送するように回路を切り換え、作業部51の下降は、方向制御弁251からロッド側室内415bに流体を圧送するように回路を切り換える。
【0057】
また、作業部51の左移動は、方向制御弁252からボトム側室内416aに流体を圧送するように回路を切り換え、作業部51の右移動は、方向制御弁252からロッド側室内416bに流体を圧送するように回路を切り換えることで行われる。
また、作業部51の前進側への移動は、方向制御弁253からボトム側室内417aに流体を圧送するように回路を切り換え、作業部51の後進側への移動は、方向制御弁253からロッド側室内417bに流体を圧送するように回路を切り換えることで行われる。
また、作業部51の進行方向後方から見て第4旋回軸418A周りの左旋回は、方向制御弁254からボトム側室内418aに流体を圧送するように回路を切り換え、作業部51の進行方向後方から見て第4旋回軸418A周りの右旋回は、方向制御弁254からロッド側室内418bに流体を圧送するように回路を切り換えることで行われる。
【0058】
制御部tは、前記の各種弁をはじめ、電気制御が必要な部材に動作信号を送ることが可能である。伝送された動作信号により、報知部(スピーカ等の音響機器)qや表示部(図示せず。ディスプレイ装置やランプ類)等を動作させる信号を送ることが可能である。
第1ブーム411には第1センサSe1を備える。第1センサSe1はポテンショメータからなり、マストフレーム21に対する第1ブーム411の第1旋回軸411A周りに旋回する旋回角度を常時検出する。
【0059】
Se11は、第1センサアームである。第1センサアームSe11は、第1センサSe1から突出させる。第1センサSe1は、第1ブーム411に連結された第1センサアームSe11の回動によって、第1ブーム411が動作した量である回動角度の変位量を検出し、検出値として出力可能な角度測定装置である。
実施例での第1センサSe1は、第1センサSe1に回動自在な角度検出のための第1センサアームSe11を設け、この先端部に長孔状の第1検出孔Se13を有する。第1検出孔Se13内にマストフレーム21に固定した第1ピン状部Se12を位置させることで、第1ブーム411の旋回に伴って第1センサアームSe11が第1センサSe1周りに回動し、第1ブーム411の旋回角度を検出する。
【0060】
第1センサSe1は検出した第1角度信号を制御部tに送信可能に設ける。第1ブーム411はマストフレーム21を介して主フレーム11に取り付けていることから、第1センサSe1は、第1旋回軸411A周りに旋回する第1ブーム411の主フレーム11に対する旋回角度を検出する。
第1センサSe1は、マストフレーム21に対する第1ブーム411の相対角度を常時検出する。
【0061】
第1連結体412の第2旋回軸413A付近に第2センサSe2を備える。Se21は、第2センサアームである。第2センサアームSe21は、第2センサSe2から突出させる。第2センサSe2は、第1ブーム411に連結された第2センサアームSe21の回動によって、第1ブーム411が動作した量である回動角度の変位量を検出し、検出値として出力可能な角度測定装置である。
【0062】
第2センサSe2はポテンショメータからなり、第1ブーム411に対する第2旋回軸413A周りに旋回する第1連結体412の旋回角度を常時検出する。実施例での第2センサSe2は、第2センサSe2に対して回動自在な角度検出のための第2センサアームSe21を設け、この先端部に長孔状の第2検出孔Se23を有する。
第2検出孔Se23内に第1ブーム411の他端側の先端部に固定した第2ピン状部Se22を位置させることで、第1連結体412が第2旋回軸413A周りの旋回に伴って、第2センサアームSe21が第2センサSe2周りに回動し、第2センサSe2は第1連結体412の第1ブーム411に対する旋回角度を検出する。第2センサSe2は検出した第2角度信号を制御部tに送信する。
第2センサSe2は、第1ブーム411に対する第1連結体412及び第2ブーム413の相対角度を常時検出することが可能である。
【0063】
実施例に係る作業機Aの第3旋回軸417Aの軸方向から見た第3旋回軸417Aの近傍拡大図である
図4乃至
図6にしたがって第1スイッチSw1及び第2スイッチSw2を説明する。
第1連結体412の第3旋回軸417Aの近傍に、第1スイッチSw1及び第2スイッチSw2を設ける。第1スイッチSw1及び第2スイッチSw2はそれぞれリミットスイッチで構成し、物理的な接触によって回路の開閉を行う。第1スイッチSw1及び第2スイッチSw2は、第1連結体412に設けた取付台Sw3に取り付ける。
この回路の開閉動作によって、第1スイッチSw1は第1接触信号、第2スイッチSw2は第2接触信号を制御部tに送信することが可能である。第2スイッチSw2は第1スイッチSw1より、第3旋回軸417Aの半径方向に対して放射方向に離れた位置に配置する。第1スイッチSw1と第2スイッチSw2は、第3旋回軸417Aの円周方向に対する位置はほぼ同じに配置する。制御部uは、第1スイッチSw1及び第2スイッチSw2から送信される第1接触信号及び第2接触信号の有無、及び、その組み合わせによって、
図4乃至
図6に図示する第2ブーム413の後進位置である第1旋回位置、中間位置である第2旋回位置、前進位置である第3旋回位置を検出することができる。
【0064】
図4乃至
図6に基づいて、第1作用部F1と第2作用部F2について説明する。
図4乃至
図6に図示するように、第2ブーム413の一端側に、第1作用部F1と第2作用部F2を設ける。第1作用部F1は、第2ブーム413の一端側から第3旋回軸417Aの半径方向に対する放射方向に突出した部位で、第2ブーム413が第3旋回軸417A周りに旋回することによって、第1スイッチSw1に接触することが可能である。
第1作用部F1は、先端が突起している。第1作用部F1の第1スイッチSw1への接触は、第1作用部F1の突起部分の第1作用部F1への接触のみならず、突起部分の裾野部分、根本部分の第1作用部F1への接触も含む。
【0065】
第2作用部F2は、第2ブーム413の一端側から第3旋回軸417Aの半径方向に対する放射方向に突出した部位で、第1作用部F1より、第3旋回軸417Aの半径方向に対する放射方向に離れた位置に配置する。第2作用部F2は、第1作用部F1に対して、第3旋回軸417Aの円周方向に対する位置とは異なるように配置する。
【0066】
第1作用部F1と第1スイッチSw1の接触、非接触、第2作用部F2は第2スイッチSw2の接触、非接触について説明する。
前述のように、第2ブーム413は、第1ブーム411の旋回方向と交差する方向に第1ブーム411に対して相対的に旋回可能に設けてある。第2ブーム413の旋回する角度に応じて、
図4に図示する第1ブーム411に対して相対的な後退位置である第1旋回位置と、
図5に図示する第1ブーム411に対して相対的な中間位置である第2旋回位置と、
図6に図示する第1ブーム411に対して相対的な前進位置である第3旋回位置とに位置するように旋回可能に設けてある。
【0067】
図4に図示する第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置にあるときは、第1作用部F1は第1スイッチSw1と接触せず、第2作用部F2は第2スイッチSw2と接触していない。
第2ブーム413の第1連結体412に対する第3旋回軸417A周りの旋回によって、
図5に図示する第2ブーム413が中間位置である第2旋回位置にあるときは、第1作用部F1は第1スイッチSw1と接触し、第2作用部F2は接触していない。
第2ブーム413の
図5に図示する状態から第1連結体412に対する第3旋回軸417A周りの旋回によって、
図6に図示する第2ブーム413が前進位置である第3旋回位置にあるときは、第1作用部F1は第1スイッチSw1と接触し、第2作用部F2は第2スイッチSw2と接触する。
【0068】
第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置から前進位置である第3旋回位置に向けて旋回する場合において、第1スイッチSw1が中間位置である第2旋回位置で第1作用部F1との接触によって操作された後は、前進位置である第3旋回位置に向けて旋回している間は引き続き操作され続ける。
第2作用部F2と第1作用部F1を第3旋回軸417Aの円周方向に対する位置が異なるように配置しているので、第1スイッチSw1が接触して第1接触信号を発する第2ブーム413の旋回角度と、第2スイッチSw2が接触して第2接触信号を発する第2ブーム413の第3旋回軸417A周りの旋回角度を異なるようにすることができる。
【0069】
実施例では、第1スイッチSw1と第2スイッチSw2を、第3旋回軸417Aの円周方向に対する位置はほぼ同じに配置し、第1作用部F1と第2作用部F2を第3旋回軸417Aの円周方向に対する位置が異なるように配置しているものとして説明した。この例に限定はされない。第2ブーム413の第3旋回軸417A周りの旋回によって、第1作用部F1と第2作用部F2による、第1スイッチSw1と第2スイッチSw2の操作される角度が異なればよい。例えば、第1スイッチSw1と第2スイッチSw2を、第3旋回軸417Aの円周方向に対して異なる位置に配置し、第1作用部F1と第2作用部F2を第3旋回軸417Aの円周方向に対してほぼ同じ位置に配置することで、対応させてもよい。
説明において、第1スイッチSw1が第1作用部F1に接触している状態をONまたはオンまたはON状態、第1スイッチSw1が第1作用部F1に接触していない状態を第1スイッチSw1がOFFまたはオフまたはOFF状態ともいうことがある。また、第2スイッチSw2が第2作用部F2に接触している状態を第2スイッチSw2がONまたはオンまたはON状態、第2スイッチSw2が第2作用部F2に接触していない状態を第2スイッチSw2がOFFまたはオフまたはOFF状態ともいうことがある。
【0070】
作業機Aの格納姿勢について説明する。
格納姿勢は、第1ブーム411がマストフレーム21あるいは主フレーム11の上部に水平に倒れた状態、且つ、第1ブーム411に対して折り重なるあるいは折り畳むように第2ブーム413を位置させた状態、第2ブーム413を
図1、
図4に図示するように第1旋回位置(後退位置)に旋回させた状態、且つ、第2ブーム413に対して折り重なるあるいは折り畳むように作業部51を位置させた状態をいう。
図1に示す正面視において、格納姿勢の作業部51は、回転軸512を第1ブーム411および第2ブーム413と平行に設ける。また、作業時におけるカバー514の天面は、第4旋回軸周りの旋回によって第2ブーム413に向ける。格納姿勢は格納位置ともいうことがある。
【0071】
本発明の説明で用いる水平面とは、例示した図面と照らし合わせて説明するために、走行機体の走行面を便宜的に表現するために用いたものであって、いわゆる重力方向に対して用いる水平面とは異なる。
作業機Aの格納姿勢では、実施例に係る作業機Aの格納姿勢作業部51は、走行機体後部に折りたたんで収納される。
【0072】
作業機Aの展開姿勢について説明する。
作業機Aの展開姿勢とは、以下の状態からなる。
(1)格納姿勢の第1ブーム411を第1旋回軸411A周りに旋回させて、マストフレーム21あるいは主フレーム11に対して起き上がらせるように展開側に旋回させて、第1ブーム411の他端側がマストフレーム21あるいは主フレーム11に対して側方に位置させた状態
(2)第2ブーム413を第1ブーム411に対して折り畳んだ状態から第2旋回軸413A周りに展開側に旋回させて互いの角度を広げた状態
(3)第2ブーム413を第3旋回軸417A周りに旋回させて、
図3実線で表し、
図6、
図7に図示した前進位置である第3旋回位置に位置させた状態
(4)作業部51を第4旋回軸418A周りに旋回させて、第2ブーム413を一端側から他端側に向かって延長させた方向である展開側に旋回させた状態
をいう。
展開姿勢は展開位置またはホームポジションと呼称することもある。
【0073】
作業機Aの展開姿勢は、作業機Aの側面では、
図3に図示するように、第3旋回位置(前進位置)であり、第2ブーム413は、実線であらわす作業部51位置(51―3)にある。
第1旋回位置(後退位置)では、第2ブーム413は、二点鎖線部51―1の作業部51位置にある。第2旋回位置(中間位置)では、第2ブーム413は、二点鎖線部51―2の作業部位置にある。
作業位置では、作業者は第2ブーム413を後退位置である第1旋回位置、中間位置である第2旋回位置、前進位置である第3旋回位置、のそれぞれに自由に選んで作業をすることができる。
【0074】
図4乃至
図6にしたがって、第3旋回軸417Aの軸方向から見た第3旋回軸417Aの近傍における、後退位置である第1旋回位置(後退位置)乃至前進位置である第3旋回位置の変化を説明する。
図4に図示するのは、実施例に係る作業機Aの第3旋回軸417Aの軸方向から見た第3旋回軸417Aの近傍拡大図で、第2ブーム413が第1旋回位置(後退位置)にある。
第1旋回位置(後退位置)では、第1スイッチSw1の第1作用部F1との接触、及び、第2スイッチSw2の第2作用部F2との接触が無い。つまり、制御部tは、第1接触信号及び第2接触信号のいずれも受領していない。この状態を、第2ブーム413が第1旋回位置(後退位置)であると判断するように制御部tを構成する。
【0075】
図5に図示するのは、実施例に係る作業機Aの第3旋回軸417Aの軸方向から見た第3旋回軸417Aの近傍拡大図で、第2ブーム413が第2旋回位置(中間位置)にある。
第2旋回位置(中間位置)では、第1スイッチSw1が第1作用部F1と接触し、且つ、第2スイッチSw2が第2作用部F2と接触していない。つまり、制御部tは、第1接触信号を受領し、第2接触信号は受領していない。この状態を、第2ブーム413が第2旋回位置(中間位置)であると判断するように制御部tを構成する。
【0076】
図6に図示するのは、実施例に係る作業機Aの第3旋回軸417Aの軸方向から見た第3旋回軸417Aの近傍拡大図であって、第2ブーム413が前進位置である第3旋回位置にある。
図7に図示するのは、実施例に係る作業機Aの第3旋回軸417Aの側面からみた拡大図であって、第2ブーム413が前進位置である第3旋回位置のときを示す。第1スイッチSw1、第2スイッチSw2ともに操作された状態である。
前進位置である第3旋回位置では、第1スイッチSw1の第1作用部F1との接触、且つ、第2スイッチSw2の第2作用部F2との接触がされている。つまり、制御部tは、第1接触信号及び第2接触信号の双方を受領している。この状態を、第2ブーム413が前進位置である第3旋回位置であると判断するように制御部を構成する。
【0077】
制御部tは、第1スイッチSw1の第2スイッチSw2のスイッチング動作のみを検出するように構成している。これによって、第3旋回軸417A周りに旋回する第2ブーム413の旋回位置を、簡易的な構成で認識させることができる。2つのスイッチSw1、Sw2の回路開閉及びこの組み合わせを認識することによって、第2ブーム413の3つの旋回位置を把握できるようになる。
【0078】
第1スイッチSw1の第2スイッチSw2を用いた検出方法によって、第1センサSe1を用いた第1ブーム411の旋回角度の検出方法、及び、第2センサSe2を用いた第1連結体412の旋回角度の検出方法のように、可動部すべての旋回角度を常時検出し、演算処理することがないので、制御部tに掛かる演算負担を減らすことができる。結果として、制御部t内の演算に係る装置群をより簡素なものにすることができる。
【0079】
図示した実施例では、第1作用部F1と第2作用部F2が第2ブーム413の支点部付近に一体化したものとして示したが、別体として取り付け自在に設けてもよい。
【0080】
この発明の実施例に係る、「可動部の姿勢制御に係る演算負担を軽減しながらも、意図しない動作を未然に防ぐことが可能な作業機」の作用、効果について説明する。
前述のように、第2ブーム413は、第1ブーム411の旋回方向と交差する方向に第1ブーム411に対して相対的に旋回可能に設けてある。第2ブーム413の旋回する角度に応じて、
図4に図示する第1ブーム411に対して相対的な後退位置である第1旋回位置と、
図5に図示する第1ブーム411に対して相対的な中間位置である第2旋回位置と、
図6に図示する第1ブーム411に対して相対的な前進位置である第3旋回位置とに位置するように旋回可能に設けてある。
【0081】
図6に図示する前進位置である第3旋回位置にある第2ブーム413は、第1作用部F1で第1スイッチSw1を、第2作用部F2で第2スイッチSw2をそれぞれ押圧している。
図4に図示する第2ブーム413を後退位置である第1旋回位置以外の場所から後退位置である第1旋回位置に向かって旋回させようと作業者が操作部を操作すると、制御部tは第2ブーム413を後退位置である第1旋回位置である後進側に向かって旋回させるように、方向制御弁を切り替えてシリンダ(第3シリンダ417)を動作させる。
【0082】
第2ブーム413が
図4に図示する後退位置である第1旋回位置に向かうにしたがって、
図5に図示する中間位置である第2旋回位置を経由して、
図4に示す後退位置である第1旋回位置に向かう。中間位置である第2旋回位置では第1作用部F1で第1スイッチSw1の押圧を継続しているが、第2作用部F2で第2スイッチSw2の押圧は解除されている。そして、さらに第2ブーム413の旋回を継続させて第2ブーム413が
図4に図示する後退位置である第1旋回位置に達すると、第1作用部F1での第1スイッチSw1の押圧が解除される。なお、実施例での後退位置である第1旋回位置では、第3シリンダ417の伸縮のストロークエンドを設けたり、第3旋回軸付近に旋回規制を設けたりして、第2ブーム413が
図4に図示する後退位置である第1旋回位置から物理的に後方側に移動できないように設けている。
【0083】
制御部tは、第1スイッチSw1を押圧した検出信号を受領したまま第2スイッチSw2の検出信号が押圧解除の信号に切り替わったことで第2ブーム413が中間位置である第2旋回位置と判断させている。さらに中間位置である第2旋回位置と認識したまま、第2ブーム413を旋回させて第2スイッチSw2が押されると、第2スイッチSw2の検出信号が押圧の信号に切り替わり前進位置である第3旋回位置と判断させる。
そして、中間位置である第2旋回位置と認識したまま、第2ブーム413を旋回させて第1スイッチSw1の押圧を解除すると、第1スイッチSw1の検出信号が押圧状態から解除状態の信号に切り替わり、制御部tに
図4に図示する後退位置である第1旋回位置と判断させる。また実施例での制御部tは、少なくとも第1スイッチSw1の押圧が解除されると、第2ブーム413が
図4に図示する後退位置である第1旋回位置に位置していると認識させていて、信号処理の簡素化を図っている。
【0084】
なお、第2ブーム413は
図4に図示する後退位置である第1旋回位置から前進位置である第3旋回位置の間で旋回を中止させると、制御部tが第1スイッチSw1および第2スイッチSw2の押圧の状態から検出される検出信号をもとにして、第2ブーム413の位置を記憶する。そして、再度第2ブーム413を動作させる際に自己の位置がどこであるかを判断できる。
【0085】
(1)
図4に図示する後退位置である第1旋回位置の認識不良を想定について説明する。
上記構成のときに、第1スイッチSw1から制御部tまでの回路の断線や第1スイッチSw1の内部不良や第2ブーム413の物理的な異常等で、制御部tが第1スイッチSw1の押圧及び押圧の解除による信号の切り替わりを認識できない場合を想定する。
【0086】
図4に図示する後退位置である第1旋回位置から中間位置である第2旋回位置に位置するように旋回させた場合に第1スイッチSw1の検出信号が切り替わらないため、目標地点である中間位置である第2旋回位置を超過してしまう不都合が生じ得る。
反対に、中間位置である第2旋回位置又は前進位置である第3旋回位置から、
図4に図示する後退位置である第1旋回位置に向かって旋回させた場合に、第1スイッチSw1の信号の切り替わりが適正に行われないために、制御部tが、本来、第2ブーム413が
図4に図示する後退位置である第1旋回位置に位置していないにもかかわらず、制御部tが後退位置である第1旋回位置に位置しているものと誤認するおそれがある。
制御部tによる
図4に図示する後退位置である第1旋回位置の誤認は大きな不都合であり、現実には後退位置である第1旋回位置ではないにもかかわらず、制御部tで誤認した後退位置である第1ブーム411を格納位置側に旋回させた場合に、第2ブーム413および第2ブーム413先端側に取り付けた作業部51が、主フレーム11前方に位置した走行機体(トラクタ)に過剰に近接または接触するおそれがある。
【0087】
上記問題の解決策について説明する。
上記不都合を解消するべく本発明では、以下のような制御方法で第2ブーム413を制御する。まず、第2ブーム413が
図4に図示する後退位置である第1旋回位置以外の旋回位置にある場合であって、操作部から第2ブーム413を後方側である第1旋回位置に向かって動作させる操作指令を受けると、制御部tで
図11に示す制御フローが開始される。
【0088】
S11で、制御部tは、第2ブーム413が
図4に図示する後退位置である第1旋回位置に向かって動作を開始させると同時に、タイマーを起動させる。このタイマーは設定された残時間である経過時間計測する。実施例では、第2ブーム413が
図4に図示する前進位置である第3旋回位置から後退位置である第1旋回地までの物理的能力の旋回時間である8秒に設定している。このタイマーで設定する経過時間は、作業機の仕様や能力によって自由に変更できる。タイマーの起動中、第2ブーム413は
図4に図示する後退位置である第1旋回位置に向かって旋回している。
【0089】
S12では、次に、制御部tは、タイマーで設定する経過時間内に第1スイッチSw1の検出信号に変化があったかどうかを判断する。
実施例での制御部tは、第2ブーム413が
図4に図示する後退位置である第1旋回位置に達すると、第1作用部F1が第1スイッチSw1を押圧することが解除されたことを認識するように設けており、第1スイッチSw1が押圧状態から押圧解除状態になったことによる検出信号の変化を制御部tが受領することで、信号の変化を認識する。
すなわち、第2ブーム413が
図4に図示する後退位置である第1旋回位置に到達したのであれば、第1スイッチSw1の検出信号が押圧状態から押圧解除状態に変化するので、制御部tは検出信号の変化を認識し、この変化の有無を判断する。
【0090】
S13では、制御部tがS12で経過時間内に検出信号の変化があったと判断した場合、スイッチ自体及び制御部tからスイッチ(第1スイッチSw1)に到達する回路が正常、および、第1作用部F1を含む第2ブーム413自体が正常、および、第2ブーム413を駆動させる構成部材部材(シリンダ、方向制御弁、ポンプ類)が正常である正常状態であるものとして処理する。
【0091】
S13における正常状態の判定は、次工程の第2ブーム413を含む他の複数の可動部が動作可能である許可の合図となるフラグを生成して、処理を終了する。この判定によって、他の制御が可能となる。
【0092】
S14で、S12によって制御部tが検出信号に経過時間内に検出信号に変化がなかったと判断した場合、スイッチ(第1スイッチSw1)自体及び制御部tからスイッチ(第1スイッチSw1)に到達する回路が異常、および、第1作用部F1を含む第2ブーム413が異常、および、第2ブーム413を駆動させる構成部材部材(シリンダ、方向制御弁、ポンプ類)が異常状態として処理する。異常状態の判定によって異常であるフラグを生成する。
【0093】
S14で、異常状態であると判断した場合、異常のフラグによって、制御部tは第2ブーム413の動作を停止させるとともに警告を発する報知信号を発するように命令する。さらに、第2ブーム413の動作以外にも、他の複数の可動部を有しているので、異常のフラグを合図にして、S15で、これら他の複数の可動部の動作も停止、及び、動作を不可能にさせる禁止命令を出して、処理を終了する。
【0094】
上記の制御方法により、制御部tに第2ブーム413の物理的な旋回時間である経過時間内に
図4に図示する後退位置である第1旋回位置に到達の有無を判断させることで、第1スイッチSw1及び第2ブーム413およびこの駆動装置が異常状態であると限定できる。第1スイッチSw1及び第2スイッチSw2を用いることで、第2ブーム413の位置を判断させる構成部材を簡素なものにして、これらの演算処理に係る負荷を低減させながらも、異常が発生した場合でも作業者が不良個所を特定しやすくなる。このため、修理に要する作業時間を短縮させることができる。
【0095】
さらに、異常状態と判定した場合は、すべての可動部の動作が停止するように設けているので、第2ブーム413を含む可動部を不用意に動作させて、走行機体等に異常近接、あるいは接触させることを未然に防ぐことができる。
【0096】
この制御によって、制御開始前に制御部tで記憶した第2ブーム413の位置から
図4に図示する後退位置である第1旋回位置に移動させるにあたって、少なくとも第1スイッチSw1の健全性を確認できる。さらに広義には、第2ブーム413およびこれを動作させる駆動装置の健全性をも確認することができる。このため、第2ブーム413を
図4に図示する後退位置である第1旋回位置に位置させる場合に第1スイッチSw1の動作が確実に行われていることを担保でき、第1スイッチSw1の動作不良による誤作動を未然に防ぐことが可能となる。
【0097】
説明した第2ブーム413の動作とは、操作レバーu3によって第2ブーム413を単独で操作した場合だけではなく、自動ですべての可動部を動作させるボタン操作によって自動動作させた場合にも適用される。つまり、第2ブーム413が
図4に図示する後退位置である第1旋回位置以外の場所から後退位置である第1旋回位置に向かって旋回する動作のすべてに適用される。
【0098】
なお、制御動作中に操作部uによる操作を解除すると、本発明の制御動作は解除されるように設けている。
本発明は、第2ブーム413の動作時に制御部tが第1スイッチSw1の検出信号の変化を正しく認識していない状態になった場合で、特に格納位置側に動作させた場合に、走行機体に近接するような状況を未然に防ぐことが可能である。
【0099】
したがって、この発明の実施例では、
第1ブーム411は、マストフレーム21に旋回可能に設けてあり、第2ブーム413は、第1ブーム411の旋回方向と交差する方向に第1ブーム411に対して相対的に旋回可能に設けてある。第2ブーム413の旋回する角度に応じて、
図4に図示する第1ブーム411に対して相対的な後退位置である第1旋回位置と、
図5に図示する第1ブーム411に対して相対的な中間位置である第2旋回位置と、
図6に図示する第1ブーム411に対して相対的な前進位置である第3旋回位置とに位置するように旋回可能に設けてある。
【0100】
第1スイッチSw1は、
図5に図示する第2ブーム413の中間位置である第2旋回位置を検出する。
第2スイッチSw2は、
図6に図示する第2ブーム413の前進位置である第3旋回位置を検出する。
制御部tは、第1スイッチSw1および第2スイッチSw2に接続し、第1スイッチSw1および第2スイッチSw2の検出信号を受領することで第2ブーム413の後退位置である第1旋回位置および中間位置である第2旋回位置および前進位置である第3旋回位置を認識可能である。
【0101】
制御部tは第2ブーム413が中間位置である第2旋回位置および前進位置である第3旋回位置から後退位置である第1旋回位置に向かって旋回を開始させる指示を受けて第2ブーム413が旋回開始後の設定された経過時間内に第1スイッチSw1の検出信号に変化がないと判断した場合に、異常状態と判断して第2ブーム413の動作を停止させる。
【0102】
この発明の実施例では、更に、第1ブーム411および前記第2ブーム413に加えてさらに複数の可動部を有し、
制御部tが前記異常状態と判断した場合に前記複数の可動部の全ての動作を停止させる。
【0103】
この発明の実施例では、更に、第1ブーム411および第2ブーム413に加えてさらに複数の可動部を有し、
制御部tが正常状態と判断した場合に前記複数の可動部の動作を継続することを許可する。
【0104】
(2)更に他の、
図4に図示する後退位置である第1旋回位置の認識不良を想定について説明する。
前述の上記構成のときに、第1スイッチSw1から制御部tまでの回路の断線や第1スイッチSw1の内部不良や第2ブーム413の物理的な異常等で、制御部tが第1スイッチSw1による後退位置である第1旋回位置を正しく認識できない場合を想定する。
【0105】
第2ブーム413の後退位置である第1旋回位置を正しく認識できない状態で、第1ブーム411を展開位置側から格納位置側に向かって旋回させた場合に、第2ブーム413および第1ブーム411より前方に位置した状態であるために、主フレーム11の前方に位置する走行機体に異常近接又は接触することがある。例えば、
図3に示すように、第2ブーム413が前方に旋回した状態である第3旋回位置51-3であるにも関わらず、制御部tが後方側に位置した第1旋回位置51-1であると誤認した状態で、第1ブーム411を格納位置側に旋回させると、上記不都合が生じ得る。
【0106】
また、初期状態では後退位置である第1旋回位置に位置していたとしても、第1ブーム411が格納動作中に制御部tが第1スイッチSw1での後退位置である第1旋回位置を誤認した場合に、上記不都合が生じ得る。例えば、第1ブーム411の格納動作中に、第2ブーム413が不意に動作して後退位置である第1旋回位置から動いた場合に、正しく認識しないために、第2ブーム413を含む他の複数の可動部が意図しない動作をするおそれがある。
【0107】
上記問題の解決策について説明する。
上記不都合を解消するべく本発明では、以下のような制御方法で第1ブーム411および第2ブーム413を制御する。
まず、第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置にある場合であって、操作部uから第1ブーム411を格納位置側に向かって動作させる操作指令を受けると、制御部tでフロー図である
図12に示す制御フローが開始される。
【0108】
図12において、S21で、制御部tは、第1ブーム411が格納位置に向かって動作する指令を受けると、タイマーを起動させる(仮に第2タイマーとも呼ぶ)。このタイマーは設定された残時間である経過時間計測する。実施例では2秒に設定している。タイマーである経過時間は作業機の仕様や能力によって、自由に変更できる。
【0109】
S22で、このタイマーが起動後に、第2ブーム413を前進位置である第3旋回位置に向かって旋回させる。
【0110】
S23で、次に制御部tは、上記のように第2ブーム413を旋回開始後から経過した時間内に、第1スイッチSw1が第2ブーム413の第1作用部によって押圧が解除されたかを判断する。
すなわち、制御部tは第1スイッチSw1が押圧解除状態から押圧状態に変化したことによる検出信号の変化を、受領したかどうかを判断する。第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置以外に旋回したのであれば、第1スイッチSw1の検出信号が押圧解除状態から押圧状態の信号に変化するので、制御部tは検出信号の変化の有無を判断する。
【0111】
S24で、制御部tが経過時間内に検出信号の変化があったと判断した場合、再度タイマーを起動させる(仮に第3タイマーとも呼ぶ)。このタイマーは設定された残時間である経過時間計測する。
この実施例において、検出信号を判断後のタイマー時間は、上記同様の2秒に設定している。タイマーである経過時間は作業機の仕様や能力によって自由に変更することができるし、制御開始直後のタイマーの設定時間と異なるように設定することもできる。
【0112】
S25で、第3タイマーが起動後に、第2ブーム413を後退位置である第1旋回位置に向かって旋回させる。このときの旋回動作は、第3タイマーの残時間が0になるまで動作するように方向制御弁25に指令する。
【0113】
S26では、第2ブーム413をタイマー残時間が0になるまで動作させた後に、制御部tはスイッチ(第1スイッチSw1)自体及び制御部tからスイッチ(第1スイッチSw1)に到達する回路が正常、および、第1作用部を含む第2ブーム413自体が正常、および、第2ブーム413を駆動させる構成部材部材(シリンダ、方向制御弁、ポンプ類)が正常である正常状態であるものとして処理する。
【0114】
正常状態の判定は、次工程の第2ブーム413を含む他の複数の可動部が動作可能である許可の合図となるフラグを立てて、処理を終了する。この判定によって、他の制御が可能となる。
【0115】
制御部tは、検出信号の変化があったと判断後、さらに第2ブーム413を後退位置である第1旋回位置に向かって旋回後に正常状態の判定を出す。つまり、動作開始時の第2ブーム413位置である後退位置である第1旋回位置への配置を復元したのちに、次工程の動作許可フラグを立てる。この実施例の場合の次工程は第1ブーム411を格納位置側に動作させることである。このようにすることで、第1ブーム411は第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置に位置した状態で、格納位置側に動作させることができる。
【0116】
この発明の実施例では、S27で、第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置に復帰前にフラグを生成するのではなく、第2ブーム413を後退位置である第1旋回位置に復帰後に次工程の動作許可フラグを生成する。これにより、仮に操作者が、第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置に復帰前に、操作部uの操作を解除して、操作部uによる操作を解除した場合を考慮しながらも、簡素な構成で次工程の動作許可フラグを立てることを防止できる。
【0117】
そして次工程の動作である第1ブーム411の格納位置側への旋回を、第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置に位置した状態で、格納位置側に動作させることができる。
【0118】
S28で、制御部tがタイマー経過時間内に検出信号に変化がなかったとS23にて判断した場合、スイッチ(第1スイッチSw1)自体及び制御部tからスイッチ(第1スイッチSw1)に到達する回路が異常、および、第1作用部を含む第2ブーム413が異常、および、第2ブーム413を駆動させる構成部材部材(シリンダ、方向制御弁、ポンプ類)が異常状態として処理する。異常状態の判定によって異常であるフラグを生成する。
【0119】
このフラグの合図によって、S29では、制御部tは第2ブーム413の動作を停止させるとともに警告を発する報知信号を発するように命令する。さらに、第2ブーム413の動作以外にも、実施例では、他の複数の可動部を有しているので、これら他の複数の可動部の動作も停止、及び、動作を不可能にさせる禁止命令を出して、処理を終了する。
【0120】
上記の制御方法により、第2ブーム413が制御部tに記憶された後退位置である第1旋回位置から第1ブーム411を格納位置側に動作させる場合において、第1ブーム411を格納位置側に動作させる前に、第2ブーム413を一旦前進方向である中間位置である第2旋回位置側に移動させて第1スイッチSw1の健全性を確認する。そして、異常であれば即刻すべての可動部を停止させ、正常であった場合には再度第2ブーム413を後退位置である第1旋回位置に復帰させてから、正常状態であるフラグを生成する。正常状態であるフラグを生成した時点で、第2ブーム413は確実に後退位置である第1旋回位置にあるので、第1ブーム411を格納位置側に動作させても、第2ブーム413および第2ブーム413先端部の作業部51が、前進方向に位置する走行機体に異常近接することがない。
【0121】
第2ブーム413を指定時間だけ動作させることによって、第1スイッチSw1が動作しているかの健全性を明確に確認できる。このため、少なくとも第2ブーム413の位置を判断させる第1スイッチSw1の動作の健全性を確保可能となる。また、第1スイッチSw1を押圧する第2ブーム413および第2ブーム413の駆動装置の健全性までも検証することができる。
【0122】
第2ブーム413の位置を判断させる機構を簡素なものにして、これらの演算処理に係る負荷を低減させながらも、異常が発生した際に作業者が不良個所を特定しやすくなる。このため、修理に要する作業時間を短縮させることができる。
【0123】
さらに、異常状態と判定した場合は、すべての可動部の動作が停止するように設けているので、第1ブーム411、第2ブーム413を含むすべての可動部を不用意に動作させて、走行機体等に異常近接、あるいは接触させることを未然に防ぐことができる。
【0124】
この制御によって、制御開始前に制御部tで、第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置にあるものとして記憶した状態から、第1ブーム411を格納位置に旋回移動させるにあたって、少なくとも第1スイッチSw1の健全性を確認できる。さらに、第2ブーム413およびこれを動作させる駆動装置の健全性をも確認することができるともいえる。このため、第1ブーム411を格納位置側に動作させる場合に、第1スイッチSw1の動作が確実に行われている、且つ、第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置にあることを担保でき、第1スイッチSw1の動作不良による誤作動を未然に防ぐことが可能となる。
【0125】
この発明の実施例の説明で述べた第2ブーム413の動作とは、操作レバーu3によって第2ブーム413を単独で操作した場合だけではなく、自動ですべての可動部を動作させるボタン操作によって自動動作させた場合にも適用される。つまり、第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置以外の場所から後退位置である第1旋回位置に向かって旋回する動作のすべてに適用される。
【0126】
なお、制御動作中に操作部uによる操作を解除すると、本発明の制御動作は解除されるように設けている。
【0127】
本発明の実施例では、第2ブーム413の動作時に制御部tが第1スイッチSw1の検出信号の変化を正しく認識していない状態になった場合で、特に格納位置側に動作させた場合に、走行機体に近接するような状況を未然に防ぐことが可能である。
【0128】
変形例についてフロー図である
図13に基づき説明する。
図13に示すように、S36で、検出信号の変化の有無を判断するポイントを追加させることもできる。
上記実施例の通り、第2ブーム413を一旦、中間位置である第2旋回位置側に移動して、検出信号の変化があったと判断後、再度後退位置である第1旋回位置側に復帰するように移動するものである。フロー図である
図13に示す変形例では、さらに、S35、S36で、第2ブーム413が指定時間内に後退位置である第1旋回位置に復帰して、第1スイッチSw1の検出信号に変化があったかどうかを判断するポイントを追加している。
すなわち、第2ブーム413が往路側に移動した際と復路側に移動した際の双方で、第1スイッチSw1検出信号の変化があったと判断して初めて、正常状態であると制御部tに認識させフラグを生成させる。第2ブーム413の往路側又は復路側のいずれか一方でも異常があれば、異常状態であるとしてフラグを生成する。
【0129】
すなわち、S31で、制御部tは、第1ブーム411が格納位置に向かって動作する指令を受けると、タイマーを起動させる(仮に第2タイマーとも呼ぶ)。このタイマーは設定された残時間である経過時間計測する。実施例では2秒に設定している。タイマーである経過時間は作業機の仕様や能力によって、自由に変更できる。
【0130】
S32で、このタイマーが起動後に、第2ブーム413を前進位置である第3旋回位置に向かって旋回させる。
【0131】
S33で、次に制御部tは、上記のように第2ブーム413を旋回開始後から経過した時間内に、第1スイッチSw1が第2ブーム413の第1作用部によって押圧が解除されたかを判断する。
すなわち、制御部tは第1スイッチSw1が押圧解除状態から押圧状態に変化したことによる検出信号の変化を、受領したかどうかを判断する。第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置以外に旋回したのであれば、第1スイッチSw1の検出信号が押圧解除状態から押圧状態の信号に変化するので、制御部tは検出信号の変化の有無を判断する。
【0132】
S34で、制御部tが経過時間内に検出信号の変化があったと判断した場合、再度タイマーを起動させる(仮に第3タイマーとも呼ぶ)。このタイマーは設定された残時間である経過時間計測する。
この実施例において、検出信号を判断後のタイマー時間は、上記同様の2秒に設定している。タイマーである経過時間は作業機の仕様や能力によって自由に変更することができるし、制御開始直後のタイマーの設定時間と異なるように設定することもできる。
【0133】
S35で、第3タイマーが起動後に、第2ブーム413を後退位置である第1旋回位置に向かって旋回させる。このときの旋回動作は、第3タイマーの残時間が0になるまで動作するように方向制御弁に指令する。
【0134】
S36で、第2ブーム413が指定時間内に後退位置である第1旋回位置に復帰して、第1スイッチSw1の検出信号に変化があったかどうかを判断する。
【0135】
S37では、第2ブーム413をタイマー残時間が0になるまで動作させた後に、制御部tはスイッチ(第1スイッチSw1)自体及び制御部tからスイッチ(第1スイッチSw1)に到達する回路が正常、および、第1作用部を含む第2ブーム413自体が正常、および、第2ブーム413を駆動させる構成部材部材(シリンダ、方向制御弁、ポンプ類)が正常である正常状態であるものとして処理する。
【0136】
正常状態の判定は、次工程の第2ブーム413を含む他の複数の可動部が動作可能である許可の合図となるフラグを立てて、処理を終了する。この判定によって、他の制御が可能となる。
【0137】
制御部tは、検出信号の変化があったと判断後、さらに第2ブーム413を後退位置である第1旋回位置に向かって旋回後に正常状態の判定を出す。つまり、動作開始時の第2ブーム413位置である後退位置である第1旋回位置への配置を復元したのちに、次工程の動作許可フラグを立てる。この実施例の場合の次工程は第1ブーム411を格納位置側に動作させることである。このようにすることで、第1ブーム411は第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置に位置した状態で、格納位置側に動作させることができる。
【0138】
S38では、実施例では、第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置に復帰前にフラグを生成するのではなく、第2ブーム413を後退位置である第1旋回位置に復帰後に次工程の動作許可フラグを生成する。これにより、仮に操作者が、第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置に復帰前に、操作部uの操作を解除して、操作部uによる操作を解除した場合を考慮しながらも、簡素な構成で次工程の動作許可フラグを立てることを防止できる。
【0139】
そして次工程の動作である第1ブーム411の格納位置側への旋回を、第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置に位置した状態で、格納位置側に動作させることができる。
【0140】
S39で、制御部tがタイマー経過時間内に検出信号に変化がなかったと判断した場合、スイッチ(第1スイッチSw1)自体及び制御部tからスイッチ(第1スイッチSw1)に到達する回路が異常、および、第1作用部を含む第2ブーム413が異常、および、第2ブーム413を駆動させる構成部材部材(シリンダ、方向制御弁、ポンプ類)が異常状態として処理する。異常状態の判定によって異常であるフラグを生成する。
【0141】
このフラグの合図によって、S40では、制御部tは第2ブーム413の動作を停止させるとともに警告を発する報知信号を発するように命令する。さらに、第2ブーム413の動作以外にも、実施例では、他の複数の可動部を有しているので、これら他の複数の可動部の動作も停止、及び、動作を不可能にさせる禁止命令を出して、処理を終了する。
【0142】
上記の制御方法により、第2ブーム413が制御部tに記憶された後退位置である第1旋回位置から第1ブーム411を格納位置側に動作させる場合において、第1ブーム411を格納位置側に動作させる前に、第2ブーム413を一旦前進方向である中間位置である第2旋回位置側に移動させて第1スイッチSw1の健全性を確認する。そして、異常であれば即刻すべての可動部を停止させ、正常であった場合には再度第2ブーム413を後退位置である第1旋回位置に復帰させてから、正常状態であるフラグを生成する。正常状態であるフラグを生成した時点で、第2ブーム413は確実に後退位置である第1旋回位置にあるので、第1ブーム411を格納位置側に動作させても、第2ブーム413および第2ブーム413先端部の作業部51が、前進方向に位置する走行機体に異常近接することがない。
【0143】
第2ブーム413を指定時間だけ動作させることによって、第1スイッチSw1が動作しているかの健全性を明確に確認できる。このため、少なくとも第2ブーム413の位置を判断させる第1スイッチSw1の動作の健全性を確保可能となる。また、第1スイッチSw1を押圧する第2ブーム413および第2ブーム413の駆動装置の健全性までも検証することができる。
【0144】
第2ブーム413の位置を判断させる機構を簡素なものにして、これらの演算処理に係る負荷を低減させながらも、異常が発生した際に作業者が不良個所を特定しやすくなる。このため、修理に要する作業時間を短縮させることができる。
【0145】
さらに、異常状態と判定した場合は、すべての可動部の動作が停止するように設けているので、第1ブーム411、第2ブーム413を含むすべての可動部を不用意に動作させて、走行機体等に異常近接、あるいは接触させることを未然に防ぐことができる。
【0146】
この制御によって、制御開始前に制御部tで、第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置にあるものとして記憶した状態から、第1ブーム411を格納位置に旋回移動させるにあたって、少なくとも第1スイッチSw1の健全性を確認できる。さらに、第2ブーム413およびこれを動作させる駆動装置の健全性をも確認することができるともいえる。このため、第1ブーム411を格納位置側に動作させる場合に、第1スイッチSw1の動作が確実に行われている、且つ、第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置にあることを担保でき、第1スイッチSw1の動作不良による誤作動を未然に防ぐことが可能となる。
【0147】
実施例の説明で述べた第2ブーム413の動作とは、操作レバーu3によって第2ブーム413を単独で操作した場合だけではなく、操作部uの自動ですべての可動部を動作させるボタン操作によって自動動作させた場合にも適用される。つまり、第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置以外の場所から後退位置である第1旋回位置に向かって旋回する動作のすべてに適用される。
【0148】
なお、制御動作中に操作部uによる操作を解除すると、本発明の制御動作は解除されるように設けている。
【0149】
本発明は、第2ブーム413の動作時に制御部tが第1スイッチSw1の検出信号の変化を正しく認識していない状態になった場合で、特に第2ブーム413が後退位置である第1旋回位置にあるものとして記憶した位置から格納位置側に動作させた場合に、走行機体に近接するような状況を未然に防ぐことが可能である。
【0150】
加えて、変形例の制御とすることで、第1スイッチSw1の健全性の確認をさらに確実にでき、加えて、第2ブーム413およびこれを動作させる駆動装置の健全性の確認がさらに確実なものとできる。
【0151】
したがって、この発明の実施例では、
主フレームに対して展開位置から格納位置の間で相対的に旋回することが可能な第1ブーム411と、
前記第1ブーム411に対して相対的な後退位置である第1旋回位置と中間位置である第2旋回位置と前進位置である第3旋回位置とに位置するように旋回可能に設けた第2ブーム413と、
前記第2ブーム413の中間位置である第2旋回位置を検出し検出信号を発する第1スイッチSw1と、
前記第1スイッチSw1に接続し、第2ブーム413の後退位置である第1旋回位置と中間位置である第2旋回位置を認識可能な制御部tと、を備え、
【0152】
前記制御部tは前記第2ブーム413が前記後退位置である第1旋回位置に位置している状態で前記第1ブーム411が格納位置側に向かって旋回させる指示を受けて、前記第2ブーム413を前記中間位置である第2旋回位置側の方向に旋回させ第1スイッチSw1からの検出信号の変化しない場合に、第1スイッチ異常状態と判断して前記第1ブーム411の動作を停止させる、ことを特徴とする作業機である。
【0153】
更に、この発明の実施例では、
前記制御部tは前記第2ブーム413が前記第1格納位置に位置している状態で前記第1ブーム411が格納位置側に向かって旋回させる指示を受けて、前記第2ブーム413を前記中間位置である第2旋回位置側の方向に旋回させ第1センサ第1スイッチSw1からの検出信号が変化した場合に、前記第2ブーム413を前記後退位置である第1旋回位置側の方向に旋回させたのちに第1スイッチSw1からの検出信号が変化すると第1スイッチ正常状態と判断する。
【0154】
更に、この発明の実施例では、
前記制御部tは前記第1スイッチ正常状態と判定したのちに前記第1ブーム411を格納位置側に旋回させる。
【0155】
更に、この発明の実施例では、
前記第1ブーム411および前記第2ブーム413に加えてさらに複数の可動部を有し、前記制御部tが前記第1スイッチ異常状態と判断した場合に前記複数の可動部の全ての動作を停止させる。
【0156】
更に、この発明の実施例では、
前記第1ブーム411および前記第2ブーム413に加えてさらに複数の可動部を有し、
前記制御部tが前記第1スイッチ異常状態と判断した場合に、前記複数の可動部の全ての動作を停止させる、
前記制御部tが前記正常状態と判断した場合に前記複数の可動部の全ての動作を継続することを許可する。
本発明は、第2ブーム413の動作時に制御部tが第1スイッチSw1の検出信号の変化を正しく認識していない状態になった場合で、特に格納位置側に動作させた場合に、走行機体に近接するような状況を未然に防ぐことが可能である。
【符号の説明】
【0157】
11 主フレーム
111 装着用装着部(ロワ)
112 装着用装着部(トップ)
21 マストフレーム
24 流体圧発生源(油圧ポンプ)
31 タンク(オイルタンク)
41 伸縮手段
411 第1ブーム
411A 第1旋回軸(水平軸)
412 第1連結体
413 第2ブーム
414 第2連結体
415 第1シリンダ
416 第2シリンダ
417 第3シリンダ
418 第4シリンダ
42 リンク機構
51 作業部
512 回転軸
A 作業機
t 制御部
u 操作部
u3 操作レバー
Se1 第1センサ
Se2 第2センサ
Sw1 第1スイッチ
Sw2 第2スイッチ