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特開2024-120444ゴム用添加剤、ゴム用添加剤の製造方法、およびゴム組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120444
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ゴム用添加剤、ゴム用添加剤の製造方法、およびゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20240829BHJP
   C08L 1/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
C08L21/00
C08L1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027249
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(71)【出願人】
【識別番号】510229474
【氏名又は名称】株式会社エー・ジー・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(74)【代理人】
【識別番号】100208708
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100215371
【弁理士】
【氏名又は名称】古茂田 道夫
(74)【代理人】
【識別番号】100187997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 厳輝
(72)【発明者】
【氏名】野口 徹
(72)【発明者】
【氏名】和田 博
(72)【発明者】
【氏名】野中 敬三
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AB012
4J002AC011
4J002AC021
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC071
4J002AC081
4J002AC091
4J002AC102
4J002AC141
4J002BB061
4J002BE031
4J002CD163
4J002EA016
4J002ED026
4J002ED036
4J002EH036
4J002EH096
4J002EH146
4J002EW046
4J002FD013
4J002FD022
4J002FD026
4J002GM00
4J002GM01
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】CNFの分散性に優れ、かつCNFによる補強効果に優れたゴム組成物を製造することができるゴム用添加剤を提供する。
【解決手段】ベースゴムと、セルロースナノファイバーと、可塑剤とを含有し、上記ベースゴム100質量部に対する上記セルロースナノファイバーの含有量が25質量部以上50質量部以下であり、上記ベースゴム100質量部に対する上記可塑剤の含有量が5質量部以上50質量部以下であるゴム用添加剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースゴムと、
セルロースナノファイバーと、
可塑剤と
を含有し、
上記ベースゴム100質量部に対する上記セルロースナノファイバーの含有量が25質量部以上50質量部以下であり、
上記ベースゴム100質量部に対する上記可塑剤の含有量が5質量部以上50質量部以下であるゴム用添加剤。
【請求項2】
上記セルロースナノファイバーが機械解繊されたものである請求項1に記載のゴム用添加剤。
【請求項3】
無水マレイン酸変性ポリマーをさらに含有する請求項1に記載のゴム用添加剤。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゴム用添加剤の製造方法であって、
セルロースナノファイバーの水分散体と可塑剤とを混合して乳化物を得る第1工程と、
上記第1工程により得られた乳化物とラテックス状態のベースゴムとを混合する第2工程と、
上記第2工程により得られた混合物から水を除去する第3工程と
を備えるゴム用添加剤の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゴム用添加剤と、
本体ゴムと
を含有するゴム組成物。
【請求項6】
上記ベースゴムおよび上記本体ゴムの合計質量に対する上記ベースゴムの含有割合が35質量%以下である請求項5に記載のゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム用添加剤、ゴム用添加剤の製造方法、およびゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムの強度や弾性率を高めることを目的として、ゴムに、繊維幅が3~1000nm程度のセルロースナノファイバー(以下、「CNF」ともいう)を混合させてゴム組成物を得ることが知られている。上記ゴム組成物では、CNFによる補強効果を高めるために、CNFができる限りバラバラに分散されて、ナノネットワークを形成することが重要と言われている。
【0003】
CNFとしては、カルボキシ基やリン酸基を導入した変性CNFが知られている。変性CNFは、イオン性官能基の解離による静電気的反発力の作用により解繊が容易であるため、通常、平均繊維幅が2~4nm程度であり、シャープな繊維幅分布をとる。また、CNFとしては、機械解繊されたCNFも知られている。機械解繊されたCNFは、通常、平均繊維幅が10~1000nm程度であり、製法や解繊条件により繊維幅やその分布が異なる。
【0004】
CNFは、繊維同士の凝集を抑制するために、通常、水分散体(スラリー)の状態で販売されている。CNFの水分散体を直接、疎水性のゴムに添加して分散させる事はできないため、上記ゴム組成物の製造方法としては、通常、CNFの水分散体とゴム微粒子の水分散体であるゴムラテックスとを混合し、得られた混合物から水を除去した乾燥物をゴム用添加剤(マスターバッチ)とし、このゴム用添加剤を本体ゴムに添加混練することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-018918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、上述の製造方法において、上記ゴム組成物の補強を目的としてゴム用添加剤におけるCNFの含有割合を高めると、ゴム用添加剤と本体ゴムとを均一に混合することができず、その結果ゴム組成物におけるCNFの分散性を損ない、CNFによる補強効果を十分に発揮できないという問題が生じるという知見を得た。
【0007】
本発明の課題は、CNFの分散性に優れ、かつCNFによる補強効果に優れたゴム組成物を製造することができるゴム用添加剤、ゴム用添加剤の製造方法およびゴム組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、ベースゴム(以下、「[A]ベースゴム」ともいう)と、セルロースナノファイバー(以下、「[B]CNF」ともいう)と、可塑剤(以下、「[C]可塑剤」ともいう)とを含有し、上記ベースゴム100質量部に対する上記セルロースナノファイバーの含有量が25質量部以上50質量部以下であり、上記ベースゴム100質量部に対する上記可塑剤の含有量が5質量部以上50質量部以下であるゴム用添加剤である。
【0009】
上記課題を解決するためになされた別の発明は、上述の当該ゴム用添加剤の製造方法であって、セルロースナノファイバーの水分散体と可塑剤とを混合する第1工程と、上記第1工程により得られた混合物とラテックス状態のベースゴムとを混合する第2工程と、上記第2工程により得られた混合物から水を除去する第3工程とを備えるゴム用添加剤の製造方法である。
【0010】
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、上述の当該ゴム用添加剤と、本体ゴムとを含有するゴム組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のゴム用添加剤およびゴム用添加剤の製造方法によれば、CNFの分散性に優れ、かつCNFによる補強効果に優れたゴム組成物を製造することができる。本発明のゴム組成物は、CNFの分散性に優れ、かつCNFによる補強効果が十分に発揮されているため、優れた強度を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のゴム用添加剤、ゴム用添加剤の製造方法、およびゴム組成物について詳説する。
【0013】
<ゴム用添加剤>
当該ゴム用添加剤は、[A]ベースゴムと、[B]CNFと、[C]可塑剤とを含有する。当該ゴム用添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、[A]ベースゴム、[B]CNFおよび[C]可塑剤以外のその他の成分を含有していてもよい。
【0014】
当該ゴム用添加剤は、通常、固形物である。形状としては固体であれば特に制限されず、例えばシート状、フレーク状、ペレット状、粉末状が挙げられる。
【0015】
当該ゴム用添加剤の水分率は3%以下が好ましく、1%以下がさらに好ましい。水分率の測定は、当該ゴム用添加剤を適量サンプリングして初期質量(W0)を測定し、100℃のオーブン中で24時間乾燥して乾燥後質量(W1)を測定し、下記式(1)により算出することができる。
(W0-W1)/W0×100・・・(1)
【0016】
当該ゴム用添加剤は、[A]ベースゴム、[B]CNFおよび[C]可塑剤を含有し、かつ[B]CNFが特定範囲の含有量であることにより、CNFの分散性に優れ、かつCNFによる補強効果に優れたゴム組成物を製造することができる。当該ゴム用添加剤が上記構成を備えることにより上述の効果を奏する理由としては、例えば以下のように推察できる。通常、ベースゴム中にCNFを高濃度([A]ベースゴム100質量部に対して[B]CNFが25質量部以上)で配合した場合、CNFのナノネットワーク効果により本体ゴムとの混練が困難になるが、[C]可塑剤を所定量([A]ベースゴム100質量部に対して[C]可塑剤が5質量部以上50質量部以下)配合することによりCNFが高濃度である場合であっても本体ゴムとの混練を容易に行うことができる結果、ゴム組成物におけるCNFの分散性が優れると考えられる。
【0017】
上述の通り、当該ゴム用添加剤を用いて製造されるゴム組成物はCNFによる補強効果が十分に発揮されることから、当該ゴム用添加剤は、ゴムの補強等を目的とした添加剤(マスターバッチ)として好適に用いることができる。また、当該ゴム用添加剤は、本体ゴムに対して添加されるように用いられるものである点で、上述のゴム組成物とは明確にその用途が異なるものである。
【0018】
以下、当該ゴム用添加剤が含有する各成分について説明する。
【0019】
[[A]ベースゴム]
[A]ベースゴムは、当該ゴム用添加剤の主成分である。主成分とは、当該ゴム用添加剤における含有割合が50質量%以上を占める成分をいう。[A]ベースゴムとしては、天然ゴム(NR)であってもよいし、合成ゴムであってもよい。天然ゴムとしては、変性天然ゴムであってもよい。合成ゴムとしては、例えばイソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、カルボキシ基変性SBR(X-SBR)、カルボキシ基変性NBR(X-NBR)、カルボキシ基変性水素添加NBR(X-HNBR)、クロロプレン(CR)、アクリルゴム(ACM)、エチレン-酢酸ビニル共重合体ゴム(EVA)が挙げられる。当該ゴム用添加剤は、1種または2種以上の[A]ベースゴムを含有することができる。
【0020】
[A]ベースゴムは、ゴムラテックスに由来するゴムであることが好ましい。「ゴムラテックスに由来する」とは、ゴムラテックスから水が除去されたゴムであることを意味する。
【0021】
[A]ベースゴムとしては、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、カルボキシ基変性NBR(X-NBR)、カルボキシ基変性水素添加NBR(X-HNBR)などのNBR系ゴムが好ましい。[B]CNFの分散性を高めることができ、さらに後述の[C]可塑剤との相溶性が高く、[C]可塑剤のブリードを抑制できるためである。
【0022】
当該ゴム用添加剤における[A]ベースゴムの含有割合の下限は、当該ゴム用組成物における全成分に対して、50質量%であり、55質量%が好ましい。上記含有割合の上限は、77質量%が好ましい。
【0023】
[[B]CNF]
[B]CNFとしては、非変性CNFであってもよいし、変性CNFであってもよい。変性CNFとしては、例えば2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル等のN-オキシル化合物を触媒として酸化反応させて得られるセルロースナノファイバー(TEMPO酸化セルロースナノファイバー)、セルロースをリン酸エステル化したアニオン変性セルロースナノファイバーが挙げられる。
【0024】
[B]CNFの平均繊維幅としては特に制限されず、例えば2~1000nmである。[B]CNFの平均繊維幅は、CNFの種類によって異なり、例えば非変性CNFである場合には10~1000nm程度であり、変性CNFである場合には2~4nm程度である。
【0025】
[B]CNFとしては非変性CNFが好ましい。変性CNFと比較して、[A]ベースゴムと均一に混合されやすく、また変色が起こりにくいためである。
【0026】
非変性CNFとしては、機械解繊されたCNFが好ましい。機械解繊されたCNFは平均繊維幅が数十~数百nmの範囲であり、[A]ベースゴムとより均一に混合されやすく、また変色がより起こりにくいためである。
【0027】
[B]CNFが機械解繊されたCNFである場合、その平均繊維幅の下限としては、10nmが好ましく、20nmがより好ましい。CNFの凝集を抑制でき、CNFの分散性に優れるゴム組成物を製造できるためである。上記平均繊維幅の上限としては、200nmが好ましく、100nmがより好ましい。
【0028】
当該ゴム用添加剤における[B]CNFの含有量は、[A]ベースゴム100質量部に対して25質量部以上50質量部以下である。[A]ベースゴムおよび[B]CNFの含有量は固形分の質量である。[B]CNFの含有量が上記範囲内であることが、CNFの分散性に優れ、かつCNFによる補強効果に優れたゴム組成物を製造できる要因の一つである。上記含有量が25質量部以上であることにより、ゴム組成物におけるCNFの含有量を多くしたい場合であっても、当該ゴム用添加剤の添加量を少なくすることができ、ゴム組成物における[A]ベースゴムの影響を小さくすることができる。上記含有量が50質量部以下であることにより、当該ゴム用添加剤の流動性を向上でき、[E]本体ゴムとの混練を行うことができる。
【0029】
[B]CNFの含有量の下限としては、[A]ベースゴム100質量部に対して、25質量部であり、30質量部が好ましい。上記含有量の上限としては、50質量部であり、45質量部が好ましい。
【0030】
[[C]可塑剤]
[C]可塑剤としては、ゴム用の可塑剤として用いられるものであれば特に制限されず、[A]ベースゴムとの相溶性などに応じて適宜選択することができる。[C]可塑剤としては、例えばジブチルフタレート(DBP)、ジ2-エチルヘキシルフタレート(DOP)などのフタル酸エステル系可塑剤;ジ2-エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジブチルセパケート(DBS)、ジ2-エチルヘキシルセバケート(DBS)、ジ2-エチルヘキシルアゼレート(DOZ)などの脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;トリ2-エチルヘキシルトチメリテート(TOTM)、トリデシルトリメリテート(TDTM)などのトリメリット酸エステル系可塑剤;エポキシ化脂肪酸モノエステル、エポキシ化大豆油(ESBO)、エポキシ化亜麻仁油(RLSO)などのエポキシ系可塑剤;トリクレジルホスフェート(TCP)、トリ2-エチルヘキシルホスフェート(TOP)、トリブトキシエチルホスフェート(TBXP)などのリン酸エステル系可塑剤;トリエチレングリコールジ2-エチルブチレート(3GH)、ジブチルカルビトールアジペート(TP-95)、ジブチルカルビトールホルマール(TP-90B)などのエーテル系可塑剤;アジピン酸ポリエステル、セバシン酸ポリエステル、アゼライン酸ポリエステルなどのポリエステル系司塑剤;塩素化脂肪酸エステル、塩素化パラフィンなどの塩素系可塑剤;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどのプロセスオイルが挙げられる。
【0031】
[C]可塑剤の選択基準としては、例えば[A]ベースゴムの極性を基準とすることが挙げられる。例えば[A]ベースゴムがNBRである場合、トリメリット酸エステル系可塑剤を選択することができる。
【0032】
当該ゴム用添加剤における[C]可塑剤の含有量は、[A]ベースゴム100質量部に対して5質量部以上50質量部以下である。[A]ベースゴムは固形分の質量である。[C]可塑剤の含有量が上記範囲内であることが、CNFの分散性に優れ、かつCNFによる補強効果に優れたゴム組成物を製造できる要因の一つである。上記含有量が5質量部以上であることにより、[C]可塑剤による当該ゴム用添加剤の可塑化効果を十分に発揮できる。上記含有量が50質量部以下であることにより、当該ゴム用添加剤の表面への[C]可塑剤のブリードを抑制できる。
【0033】
当該ゴム用添加剤における[C]可塑剤の含有量の下限は、[A]ベースゴム100質量部に対して、5質量部であり、10質量部が好ましく、20質量部がより好ましい。[C]可塑剤による当該ゴム用添加剤の可塑化効果をより十分に発揮できるためである。
【0034】
[その他の成分]
その他の成分としては、例えば[D]無水マレイン酸変性ポリマーが挙げられる。無水マレイン酸変性ポリマーを含有することで、CNFの分散性により優れるゴム組成物を製造することができる。当該ゴム用添加剤におけるその他の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分の配合目的等に応じて適宜決定することができる。
【0035】
<ゴム用添加剤の製造方法>
当該ゴム用添加剤の製造方法は、上述の当該ゴム用添加剤を製造する方法であって、セルロースナノファイバーの水分散体と可塑剤とを混合して乳化物を得る第1工程と、上記第1工程により得られた乳化物とラテックス状態のベースゴムとを混合する第2工程と、上記第2工程により得られた混合物から水を除去する第3工程とを備える。
【0036】
当該ゴム用添加剤の製造方法によれば、上述の当該ゴム用添加剤を簡便な方法により製造することができる。
【0037】
以下、当該ゴム用添加剤の製造方法が備える各工程について説明する。
【0038】
[第1工程]
第1工程では、セルロースナノファイバーの水分散体と可塑剤とを混合して乳化物を得る。本工程で得られる乳化物は、CNFと可塑剤との乳化物(水分散体)である。CNFおよび可塑剤は、上述の[[B]CNF]および「[C]可塑剤」の項においてそれぞれ説明している。
【0039】
第1工程で用いるCNFの水分散体は、CNFの水分散体の原液そのままの濃度で使用してもよいし、水で希釈して薄めた濃度で使用してもよい。
【0040】
本工程で乳化に用いる装置としては、例えば高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザー等の乳化装置、高速ブレンダーが挙げられる。
【0041】
[第2工程]
本工程では、第1工程により得られた乳化物とラテックス状態のベースゴムとを混合する。本工程により、CNFと可塑剤とベースゴムとの混合物(水分散体)が得られる。ベースゴムは、上述の[[A]ベースゴム]の項において説明している。
【0042】
上記混合物とラテックス状態のベースゴムとの混合方法としては特に制限されず、例えばラテックス状態のベースゴムに上記混合物を添加することができる。混合には、第1工程と同様に、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザー等の乳化装置や高速ブレンダーを用いてもよいし、プロペラ式の撹拌装置を用いてもよい。粘度が高い場合や、泡立ちが問題になる場合には、自公転ミキサーを用いてもよい。
【0043】
また、本工程では、製造されるゴム用添加剤におけるCNFの濃度を調整することを目的として、ラテックス状態のベースゴムを混合する際に、CNFの水分散体をさらに混合してもよい。
【0044】
[第3工程]
本工程では、第2工程により得られた混合物から水を除去する。本工程により、上記混合物から水が除去され、固形物が得られる。この固形物は上述の当該ゴム用添加剤に相当する。
【0045】
上記混合物から水を除去する方法としては特に制限されず、例えば上記混合物を表面積の大きな容器に入れ、オーブン内で加熱する方法が挙げられる。
【0046】
上記混合物から水を除去する際の条件としては特に制限されず、適宜決定することができる。例えばオーブン内で加熱する場合、加熱温度を40~100℃、加熱時間を10~80時間程度とすることができる。
【0047】
なお、水の除去は、例えば混合物の質量を追跡して質量減少が見られなくなった時点で水が除去されたと判断することができる。
【0048】
また、当該ゴム用添加剤の製造方法は、第3工程で得られた固形物と無水マレイン酸変性ポリマーとを混練する工程をさらに備えていてもよい。混練温度としては、例えば100℃以上180℃以下とすることができる。
【0049】
また、当該ゴム用添加剤の製造方法は、第2工程と第3工程とを同一装置内で行うこともできる。例えば、上記第1工程により得られた乳化物とラテックス状態のベースゴムとを連続的に2軸スクリュー式の押出装置に投入し、混合しながら加熱して水分を蒸発させる方法が挙げられる。
【0050】
<ゴム組成物>
当該ゴム組成物は、上述の当該ゴム用添加剤と、本体ゴム(以下、「[E]本体ゴム」ともいう)とを含有する。当該ゴム組成物は、上述のゴム組成物であり、[E]本体ゴムおよび[A]ベースゴムから構成されるマトリックスゴム中にCNFが分散している。当該ゴム組成物は、[E]本体ゴムに対して、上述の当該ゴム用添加剤を添加することにより、CNFの分散性に優れ、かつCNFによる補強効果が十分に発揮されている。
【0051】
[E]本体ゴムとしては、上記[[A]ベースゴム]の項で例示したものが挙げられる。[E]本体ゴムは、固体の形態であり、固形物であるゴム用添加剤と混練されてゴム組成物中に存在している。
【0052】
当該ゴム組成物における[A]ベースゴムの含有割合は、[A]ベースゴムおよび[E]本体ゴムの合計質量に対して、35質量%以下が好ましい。ゴム組成物から得られる架橋ゴムの特性における[A]ベースゴムの影響を抑制できるためである。[A]ベースゴムが影響を与え得る架橋ゴムの特性としては、例えば耐水性(吸水性)、反発弾性、動的粘弾性(tanδ)、高温特性(引張特性の温度依存性)、圧縮永久歪み、耐熱性(熱老化性)が挙げられる。
【0053】
当該ゴム組成物は、[D]無水マレイン酸変性ポリマーをさらに含有することが好ましい。CNFの分散性をより向上できるためである。当該ゴム組成物における[D]無水マレイン酸変性ポリマーの含有量としては、[A]ベースゴムおよび[E]本体ゴムの合計100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下が好ましい。
【0054】
当該ゴム組成物は、架橋剤などを添加し、架橋を行うことで架橋ゴムに成型される。架橋剤としては特に制限されず、例えばイオウ加硫系の架橋剤(イオウ、加硫促進剤、酸化亜鉛とステアリン酸)、パーオキサイド加硫系の架橋剤(有機過酸化物と共架橋剤)が挙げられる。
【0055】
当該ゴム組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、上述の成分以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば架橋ゴムを製造する際に使用される各種添加剤が挙げられる。このような添加剤としては、例えばカーボンブラック、シリカ、クレーなどの補強性充填剤、ステアリン酸、タッキファイヤーなどの加工助剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、老化防止剤が挙げられる。当該ゴム組成物における他の成分の含有割合としては、用いる成分の種類に応じて、本発明の効果を損なわない範囲において適宜設定することができる。
【0056】
当該ゴム組成物を架橋して得られる架橋ゴムは、CNFによる補強効果が十分に発揮されており、CNFを含有しない架橋ゴムと比較して優れた強度を有する。また、変形時のエネルギーロスの小さいものであり、変色が抑制されており、密度が低い。したがって、このような架橋ゴムは、例えば繰返し歪みを受ける伝動ベルトやコンベアベルト、自動車用タイヤ、シューズなどの素材として非常に有用である。特に、シューズ等の履物用途では、白色で、軽く、反発弾性が高いこと等が要求されるため、当該ゴム組成物を用いて製造される架橋ゴムはこのような要求に応えることができる優れたものである。
【実施例0057】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0058】
実施例および比較例で用いた[A]ベースゴム、[B]CNF、[C]可塑剤、[D]無水マレイン酸変性ポリマー、[E]本体ゴムおよびその他の成分の詳細を以下に示す。
【0059】
[[A]ベースゴム]
・(A-1):アクリロニトリル・ブタジエンゴムラテックス(日本ゼオン(株)の「Nipol(登録商標) LX513」、固形分濃度:45質量%)
・(A-2):カルボキシ基変性水素化ニトリルゴムラテックス(日本ゼオン(株)の「Zetpol(登録商標) 2230LX」、固形分濃度:40.5質量%)
【0060】
[[B]CNF]
・(B-1):機械解繊CNF水分散体((株)スギノマシンの「ビンフィスWFo-10005」、固形分濃度:6質量%、平均繊維幅:10~50nm)
・(B-2):リン酸エステル化CNF水分散体(王子ホールディングス(株)の「AUROVISCO(高粘度品)」、固形分濃度:2質量%、平均繊維幅:3~4nm)
【0061】
[[C]可塑剤]
・(C-1):トリメリット酸トリオクチル(三菱ケミカル(株)の「TOTM」)
【0062】
[[D]無水マレイン酸変性ポリマー]
・(D-1):アルケマ社の「ボンダイン5500」
【0063】
[[E]本体ゴム]
・(E-1):アクリロニトリルブタジエンゴム(日本ゼオン(株)の「Nipol(登録商標) 1052J」)
・(E-2):水素化ニトリルゴム(日本ゼオン(株)の「Zetpol(登録商標) 2010」)
【0064】
[その他の成分]
・架橋剤:日油(株)の「ペロキシモンF-40」
・酸化亜鉛:正同化学工業(株)の「酸化亜鉛1種」
・ステアリン酸:日油(株)の「粉末ステアリン酸さくら」
【0065】
<ゴム用添加剤の調製>
[実施例1-1]ゴム用添加剤(M-1)の調製
本実施例では、下記の第1工程から第3工程に従って、[A]ベースゴムとしての(A-1)100質量部に対して[B]CNFとしての(B-1)50質量部および[C]可塑剤としての(C-1)25質量部を含有するゴム用添加剤(M-1)を調製した。
【0066】
(第1工程)
[B]CNFとしての(B-1)50質量部と、蒸留水300質量部とを混合し、ブレンダー(ワーリング社の「MX1100XTSLJ」)を用いて回転数21,000rpmで3分間撹拌して0.86質量%のCNF水分散体を得た。得られたCNF水分散体に[C]可塑剤としての(C-1)150質量部を添加し、上記と同様の条件で3分間撹拌して乳化物を得た。
【0067】
(第2工程)
追加の[B]CNFとしての(B-1)247.5質量部と、蒸留水285質量部とを混合し、上記ブレンダーを用いて回転数21,000rpmで1分間撹拌し、2.85質量%のCNF水分散体を得た。得られたCNF水分散体に[A]ベースゴムとしての(A-1)66.7質量部を添加し、上記ブレンダーを用いて回転数16,000rpmの条件で1分間撹拌して混合物を得た。この混合物に、上記第1工程で得られた乳化物25質量部を添加し、上記と同様の条件で2分間撹拌した。さらに、自公転ミキサー((株)シンキーの「ARV-930TWIN」)に移し、減圧なし、1サイクル目は公転のみ1,400rpmで30秒間、2サイクル目は自公転1,800rpmで30秒間を連続して行い、撹拌および脱泡を行った。
【0068】
(第3工程)
上記第2工程により得られた混合物をトレイに移し、40℃のオーブンで96時間乾燥して水を除去することで、ゴム用添加剤(M-1)を得た。
【0069】
[実施例1-2、1-4、1-5および比較例1-1~1-5]ゴム用添加剤(M-2)、(M-4)、(M-5)および(CM-1)~(CM-5)の調製
下記表1に示す種類の成分を用い、配合量を適宜調整したこと以外は実施例1-1と同様にして、下記表1に示す配合のゴム用添加剤(M-2)、(M-4)、(M-5)および(CM-1)~(CM-5)を得た。
【0070】
[実施例1-3]ゴム用添加剤(M-3)の調製
本実施例では、下記の方法に従って、[A]ベースゴム100質量部に対して[B]CNF50質量部、[C]可塑剤25質量部および[D]無水マレイン酸変性ポリマー15質量部を含有するゴム用添加剤(M-3)を調製した。
【0071】
実施例1-2で得られたゴム用添加剤(M-2)40質量部と、[D]無水マレイン酸変性ポリマーとしての(D-1)3質量部とを、ゴム用2本ロールを用い、ロール温度100℃で5分間混練を行った。その後、ロール温度を50℃に設定し、ロール間隙を絞り、薄通しを5回行い、ゴム用添加剤(M-3)を得た。
【0072】
[実施例1-6]ゴム用添加剤(M-6)の調製
本実施例では、下記の第1工程から第3工程に従って、[A]ベースゴムとしての(A-2)100質量部に対して[B]CNFとしての(B-2)28.8質量部および[C]可塑剤としての(C-1)14.3質量部を含有するゴム用添加剤(M-6)を調製した。
【0073】
(第1工程)
[B]CNFとしての(B-2)100質量部と、蒸留水300質量部とを混合し、上記ブレンダーを用いて回転数21,000rpmで3分間撹拌して0.5質量%のCNF水分散体を得た。得られたCNF水分散体に[C]可塑剤としての(C-1)150質量部を添加し、上記と同様の条件で3分間撹拌して固形分濃度27.3質量%の乳化物を得た。
【0074】
(第2工程)
追加の[B]CNFとしての(B-2)429質量部と、蒸留水285質量部とを混合し、上記ブレンダーを用いて回転数21,000rpmで1分間撹拌し、1.2質量%のCNF水分散体を得た。得られたCNF水分散体に[A]ベースゴムとしての(A-2)74質量部を添加し、上記ブレンダーを用いて回転数16,000rpmの条件で1分間撹拌して混合物を得た。この混合物に、上記第1工程で得られた乳化物14.3質量部を添加し、上記と同様の条件で2分間撹拌した。さらに、上記自公転ミキサーに移し、減圧なし、1サイクル目は公転のみ1,400rpmで30秒間、2サイクル目は自公転1,800rpmで30秒間を連続して行い、撹拌および脱泡を行った。
【0075】
(第3工程)
上記第2工程により得られた混合物をトレイに移し、40℃のオーブンで96時間乾燥して水を除去することで、ゴム用添加剤(M-6)を得た。
【0076】
[比較例1-6および1-7]ゴム用添加剤(CM-6)および(CM-7)の調製
下記表1に示す種類の成分を用い、配合量を適宜調整したこと以外は実施例1-6と同様にして、下記表1に示す配合のゴム用添加剤(CM-6)および(CM-7)を得た。
【0077】
<ブリードの有無の評価>
上記調製したゴム用添加剤の表面における[C]可塑剤のブリードの有無を目視で観察した。結果を下記表1に示す。
【0078】
下記表1中、「[C]可塑剤」および「[D]無水マレイン酸変性ポリマー」の列における「-」は該当する成分を使用していないことを示し、「ブリードの有無」の列における「-」は[C]可塑剤を配合していないためブリードの有無を評価していないことを示す。
【0079】
【表1】
【0080】
実施例1-1~1-6では[C]可塑剤のブリードが確認されなかった。一方、比較例1-1では[C]可塑剤の含有量が多量であったため、ブリードが確認された。
【0081】
<ゴム組成物の調製>
[実施例2-1]ゴム組成物(R-1)の調製
本実施例では、下記の方法に従って、ゴム成分([A]ベースゴムおよび[E]本体ゴム)100質量部に対して、[B]CNFを10質量部および[D]無水マレイン酸変性ポリマー3質量部を含有するゴム組成物(R-1)を調製した。下記表2には、ゴム成分([A]ベースゴムおよび[E]本体ゴム)を100質量部とした場合のゴム用添加剤、[E]本体ゴムおよび[D]無水マレイン酸変性ポリマーの配合割合を示した。
【0082】
ゴム用添加剤(M-1)35質量部と、[E]本体ゴムとしての(E-1)80質量部と、[D]無水マレイン酸変性ポリマーとしての(D-1)3質量部とを、ゴム用2本ロールを用い、ロール温度を105~115℃となるように調整しながら5分間混練を行った。得られた混練物をロールから外し、室温放置して冷却を行った。ロール温度を室温にして、上記混練物をロールに巻き付かせ、酸化亜鉛3.00質量部とステアリン酸0.30質量部を添加し、混練した。次いで、架橋剤8.01質量部を添加して混練を行った。その後、ロール間隙を絞り、薄通しを5回行い、ゴム組成物(R-1)を得た。
【0083】
[実施例2-2および比較例2-1~2-4]ゴム組成物(R-2)および(CR-1)~(CR-4)の調製
下記表2に示す種類および配合量の各成分を用いたこと以外は実施例2-1と同様にしてゴム組成物(R-2)および(CR-1)~(CR-4)を得た。
【0084】
[実施例2-3~2-6および比較例2-5、2-6]ゴム組成物(R-3)~(R-6)および(CR-5)、(CR-6)の調製
下記表2に示す種類および配合量の各成分を用い、かつ混練時のロール温度を室温としたこと以外は実施例2-1と同様にしてゴム組成物(R-3)~(R-6)および(CR-5)、(CR-6)を得た。
【0085】
[比較例2-7]
下記表2に示す種類および配合量の各成分を用いたこと以外は実施例2-1と同様にしてゴム組成物を調製しようとしたところ、ゴムのロール巻き付き性が悪く、混練を行うことができなかった。
【0086】
<CNF分散性の評価>
上記調製したゴム組成物を用い、下記の方法によりCNFの分散性を評価した。上記調製したゴム組成物0.5gを100℃で30秒間熱プレスして、厚さ約200μmの試験体フィルムを得た。得られた試験体フィルムの外観を目視で観察し、CNF分散性を評価した。評価基準は以下の通りであり、「B」評価以上をCNFの分散性に優れると評価した。結果を下記表2に示す。
・A:凝集物は確認されなかった。
・B:凝集物が少量しか確認されなかった。
・C:小さな凝集物が確認された。
・D:大きな凝集物が確認された。
【0087】
下記表2中、「[C]可塑剤」および「[D]無水マレイン酸変性ポリマー」の列の「-」は該当する成分を使用していないことを示す。「評価」の列における「-」は、ゴム組成物を調製することができなかったため、評価を行っていないことを示す。
【0088】
【表2】
【0089】
表2の結果から、実施例2-1~2-6は、比較例2-1~2-6と比較して、ゴム組成物におけるCNFの分散性に優れていた。
【0090】
<架橋ゴムシートの作製>
[実施例3-1]架橋ゴムシート(G-1)の作製
上記調製したゴム組成物(R-1)をゴムロールを用いて厚さ1.05~1.2mmのシートに圧延した。圧延シートを所定の寸法に裁断し、金型に投入し、170℃で20分間プレス架橋を行い、厚さ1mmの架橋ゴムシート(G-1)を得た。
【0091】
[実施例3-2~3-6および比較例3-1~3-6]架橋ゴムシート(G-2)~(G-7)および(CG-1)~(CG-6)の作製
下記表3に示す種類のゴム組成物を用いたこと以外は実施例3-1と同様にして、架橋ゴムシート(G-2)~(G-6)および(CG-1)~(CG-6)を得た。
【0092】
<引張特性の評価>
上記作製した架橋ゴムシートについて、6号ダンベルで打ち抜き、引張試験機(島津製作所(株)の「SHIMADZU AUTOGRAPH AGS-X 5kN」)を用い、引張速度500mm/分で引張試験を行い、引張強さ(Tb)、引張伸び(Eb)および引張応力(M50)を測定した。また、対照として、CNFを含有しないこと以外は上記作製した各架橋ゴムシートと同様の条件で作製した架橋ゴムシート(以下、「CNF非含有架橋ゴムシート」という)についても引張強さ(Tb)、引張伸び(Eb)および引張応力(M50)を測定した。引張特性の評価は、架橋ゴムシートの各種引張特性を、対応するCNF非含有架橋ゴムシートの引張特性で除することで各種引張特性の倍率を算出した。引張強さ(Tb)の倍率が1.00より大きく、かつ引張応力(M50)の倍率が2.00より大きい場合をCNFによる補強効果が優れると評価した。
【0093】
【表3】
【0094】
表3の結果から、実施例3-1~3-6は、比較例3-1~3-6と比較して、CNFによる補強効果が優れていた。また、実施例3-1~3-6は、比較例3-1~3-6と比較して、引張伸びの低下が同等程度または抑制されていた。