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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120452
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20240829BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240829BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/139
H01M4/36 D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027259
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 善彦
(72)【発明者】
【氏名】吉川 桂介
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB11
5H050GA10
5H050GA29
5H050HA08
(57)【要約】
【課題】電池の品質を安定させる。
【解決手段】電池の製造方法は、複数の電極材料A~Cをそれぞれ予め定められた重量計量し容器31に入れる工程と、容器31に入れられた複数の電極材料A~Cを供給機40に入れる工程と、複数の電極材料A~Cを供給機40から二軸混練機50に供給する工程と、二軸混練機50で複数の電極材料A~Cを混練する工程とを含んでいる。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極材料をそれぞれ予め定められた重量計量し容器に入れる工程と、
前記容器に入れられた前記複数の電極材料を供給機に入れる工程と、
前記複数の電極材料を前記供給機から多軸混練機に供給する工程と、
前記多軸混練機で前記複数の電極材料を混練する工程と
を含む、電池の製造方法。
【請求項2】
前記供給機は、羽根と、前記羽根を回転駆動する駆動装置とを備えたサークルフィーダである、請求項1に記載された電池の製造方法。
【請求項3】
前記供給機は、攪拌部材をさらに有し、
前記供給する工程は、前記供給機に入れられた複数の材料を攪拌することを含んでいる、請求項2に記載された電池の製造方法。
【請求項4】
前記攪拌部材は、前記供給機の前記羽根に取り付けられている、請求項3に記載された電池の製造方法。
【請求項5】
前記複数の電極材料は、第1電極材料と、前記第1電極材料よりも密度が大きい第2電極材料とを備え、
前記容器に入れる工程では、前記第2電極材料の一部を前記容器に入れた後に前記第1電極材料を前記容器に入れ、さらに、前記第2電極材料の残りを前記容器に入れる、請求項1~4のいずれか一項に記載された電池の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011-233380号公報には、二次電池用の電極合材スラリーの製造装置が開示されている。製造装置には、計量器が接続されている。計量器は、製造装置の供給部に粉体電池材料を構成するそれぞれの材料に対応させて、材料の配合割合が予め定めた配合割合となるように材料を計量して製造装置の供給部へ投入する。かかる構成によって、粉体電池材料を予め定められた配合割合で、かつ、連続的に供給部に供給することが可能になるとされている。
【0003】
特開2011-233380号公報に開示されている実施形態では、定量フィーダが計量器として用いられている。製造装置には、2台の定量フィーダから原料が供給される。2台の定量フィーダのうち、一方の定量フィーダからは活物質が供給され、他方のフィーダからは導電助剤が供給される。定量フィーダからは、連続製造装置に対して予め定められた量の原料が供給される。定量フィーダは、原料を収容する原料ホッパと、原料を計量するロードセルと、原料を製造装置のフィード部へ向けて送り出すためのスパイラルフィーダと、スパイラルフィーダの粉体送出端に連通する連絡筒体とを備えている。連絡筒体は、製造装置の原料受入口の周縁部から立設されている。2台の定量フィーダのスパイラルフィーダからは、それぞれ予め設定された量の原料が送り出される。原料は、連絡筒体を介して製造装置のケージング内へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-233380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、電池の品質を安定させたいと考えている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示される電池の製造方法は、複数の電極材料をそれぞれ予め定められた重量計量し容器に入れる工程と、容器に入れられた複数の電極材料を供給機に入れる工程と、複数の電極材料を供給機から多軸混練機に供給する工程と、多軸混練機で複数の電極材料を混練する工程とを含んでいる。
【0007】
かかる電池の製造方法では、電池の品質が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、電池の製造方法のフローチャートである。
図2図2は、スラリー製造装置10の模式図である。
図3図3は、供給機40の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、ここで開示される技術の一実施形態について図面を参照して説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略される。
【0010】
〈電池の製造方法〉
図1は、電池の製造方法のフローチャートである。図1に示されているように、電池の製造方法は、複数の電極材料をそれぞれ予め定められた重量計量し容器に入れる工程S1と、容器に入れられた複数の電極材料を供給機に入れる工程S3と、複数の電極材料を供給機から多軸混練機に供給する工程S5と、多軸混練機で複数の電極材料を混練する工程S7とを含んでいる。以下では、電池の製造方法について、スラリー製造装置10を用いて電池を製造する方法を一例として説明する。
【0011】
〈スラリー製造装置10〉
図2は、スラリー製造装置10の模式図である。図2では、材料が供給または搬送される方向は、矢印で示されている。スラリー製造装置10では、電極材料と、溶媒とが混錬され、電極合材スラリーが製造される。この実施形態では、スラリー製造装置10では、正極合材を含んだ正極合材スラリーが製造される。図2に示されているように、スラリー製造装置10は、材料供給装置20と、反転投入機30と、供給機40と、二軸混練機50とを備えている。
【0012】
はじめに、複数の電極材料A~Cは、材料供給装置20においてそれぞれ予め定められた重量に計量し容器31に入れられる(S1)。
【0013】
〈材料供給装置20〉
材料供給装置20は、フィーダ21~23と、計量装置27~29とを備えている。フィーダ21~23からは、それぞれ粉体の電極材料A~Cが供給される。フィーダ21~23としては、一定量の粉体材料を供給可能な公知の装置が用いられうる。フィーダ21~23としては、サークルフィーダ、スクリューフィーダ、ロータリーフィーダ、ベルトフィーダ等が用いられうる。
【0014】
フィーダ21,23には、電極材料A,Cが収容されている。この実施形態では、電極材料A,Cは、正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物である。ここでは、電極材料Aは、平均粒子径4μmでありタップ密度2.2g/cmのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物である。電極材料Cは、平均粒子径17μmでありタップ密度2.4g/cmのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物である。フィーダ22には、電極材料Bが収容されている。この実施形態では、電極材料Bは、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF:PolyVinylidene DiFluoride)である。ここでは、電極材料Bは、密度1g/cmのPVDFである。
【0015】
なお、正極活物質およびバインダは、特に限定されず、従来からリチウムイオン二次電池の正極活物質およびバインダとして用いられる各種の材料を特に制限なく使用することができる。例えば、正極活物質としては、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn)や、これらの複合体(例えば、LiNi0.5Mn1.5、LiNi1/3Co1/3Mn1/3)などの、リチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)の粒子や、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)などの、リチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩の粒子などが用いられうる。バインダはとしては、例えば、(メタ)クリル酸エステル重合体などのアクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのハロゲン化ビニル樹脂、ポリエチレンオキサイド(PEO)などのポリアルキレンオキサイドなどが用いられうる。また、後の工程の攪拌および混練の容易性の観点から、フィーダから供給される粉体の電極材料の密度(またはタップ密度)は、0.5~3.0g/cmであることが好ましい。
【0016】
計量装置27~29は、フィーダ21~23から供給される電極材料A~Cを計量する装置である。計量装置27~29には、それぞれフィーダ21~23から供給される電極材料A~Cが入れられる容器31が載せられている。容器31は、インデックステーブル25に配置されている。インデックステーブル25には、複数(図2に示されている実施形態では、6つ)の容器31が配置可能である。インデックステーブル25は、軸25aに接続された駆動装置25bによって予め定められた方向に、予め定められたタイミングで回転駆動される。インデックステーブル25が回転することによって、容器31は、フィーダ21~23から電極材料A~Cが供給される位置を順次移動する。この際、計量装置27~29によって、容器31に供給される電極材料A~Cの重量がそれぞれ計量される。容器31が、電極材料A~Cが供給される位置を移動する際には、他の容器31も同じ方向、同じタイミングで移動する。1の容器31に材料が供給されると、当該容器31に続く他の容器31にも順次材料が供給される。
【0017】
計量装置27~29では、電極材料A~Cは、それぞれ予め定められた重量計量される。計量装置27~29としては、例えば、天秤、ロードセル等が用いられうる。はじめに、容器31は、電極材料Aが供給される位置に移動する。容器31は、計量装置27にセットされる。計量装置27によって、フィーダ21から容器31に供給される電極材料Aの重量が計量される。次に、容器31は、電極材料Bが供給される位置に移動する。容器31は、計量装置28にセットされる。計量装置28によって、フィーダ22から容器31に供給される電極材料Bの重量が計量される。次に、容器31は、電極材料Cが供給される位置に移動する。容器31は、計量装置29にセットされる。計量装置29によって、フィーダ23から容器31に供給される電極材料Cの重量が計量される。
【0018】
計量装置27~29で計量される電極材料A~Cの重量は、目的の電極合材スラリーの組成に応じて適宜設定される。正極合材スラリーに含まれる正極活物質とバインダと導電材の重量比は、例えば、正極活物質:バインダ:導電材=96.0~99.0:0.5~2.0:0.5~2.0程度に設定されうる。この実施形態では、正極合材スラリーに含まれる正極活物質とバインダと導電材の重量比は、正極活物質:バインダ:導電材=97.5:1.0:1.5に設定されている。計量装置27~29では、各容器24~26の電極材料A~C重量比が、電極材料A(正極活物質):電極材料B(バインダ):電極材料C(正極活物質)=48.75:1.0:48.75になるように計量されている。なお、この実施形態では、導電材としてアセチレンブラック(AB)が用いられる。導電材としてのアセチレンブラックは、ペーストの状態で後述する二軸混練機50に入れられる。
【0019】
この実施形態では、電極材料A、電極材料B、電極材料Cの順で容器31に入れられている。容器31には、容器31の底から開口に向かって順に、電極材料A(正極活物質)、電極材料B(バインダ)、電極材料C(正極活物質)が入れられている。容器31に入れる工程S1では、相対的に密度の大きい正極活物質を容器31に入れた後に相対的に密度の小さいバインダを容器31に入れ、さらに、相対的に密度の大きい正極活物質を容器31に入れている。
【0020】
なお、電極材料A~Cを反転投入機30に入れる方法は特に限定されない。電極材料A~Cは、例えば、異なる容器で計量された後に容器31に入れられてもよい。また、電極材料A~Cを容器31に入れる順番は、上述した形態に限定されない。例えば、電極材料C、電極材料B、電極材料Aの順で容器31に入れられてもよい。容器31に材料を入れる順番は、材料の物性、数等に応じて適宜設定されてもよい。
【0021】
〈反転投入機30〉
反転投入機30は、アーム32と、駆動装置33とを備えている。アーム32は、容器31を把持できるように構成されている。駆動装置33は、アーム32に設定された支点32aを軸としてアーム32を駆動する装置である。駆動装置33は、例えば、モータ、スプロケット等によって実現されうる。
【0022】
容器31に入れられた電極材料A~Cは、反転投入機30によって供給機40に入れられる(S3)。
【0023】
この実施形態では、駆動装置33は、支点32aを軸にして供給機40に向かってアーム32を回転させる。駆動装置33は、アーム32を約180度回転させたところで停止させる。これによって、容器31の開口は、上方に向けられた状態(図2において破線で示されている)から、下方に向けられた状態に反転される。反転投入機30および供給機40の位置は、供給機40のホッパ41(図3参照)の上で容器31が反転する位置に設定されている。ホッパ41の上部には、材料が投入される投入口41a(図3参照)が設けられている。電極材料A~Cは、反転した容器31から落ち、投入口41aからホッパ41に入れられる。容器31からは、電極材料C、電極材料B、電極材料Aの順でホッパ41に投入される。なお、電極材料A~Cを供給機40に入れる際には、反転投入機30以外の装置が用いられてもよい。例えば、昇降軸に沿って容器が昇降され反転される、昇降式の反転投入機が用いられていてもよい。
【0024】
電極材料A~Cが供給機40に入れられた後は、アーム32は、駆動装置33によって逆方向に駆動される。容器31は、インデックステーブル25に戻される。その後、容器31は、インデックステーブル25の回転によって移動する。このとき、反転投入機30には、計量された電極材料A~Cが入れられた容器31が、新たに送られる。これが繰り返されることによって、電極材料A~Cが入れられた容器31が一定間隔で反転供給機30に送られる。
【0025】
電極材料A~Cは、反転投入機30によって間欠的に供給機40へ投入される。材料供給装置20での電極材料A~Cの計量と、反転投入機30による電極材料A~Cの反転投入は、連動して実行されうる。この実施形態では、約30秒のサイクルで、反転投入機30の容器31への電極材料A~Cの投入と、反転投入機30から供給機40への反転投入が繰り返される。このため、供給機40には、略一定の量の電極材料A~Cが略一定の間隔で投入される。換言すると、電極材料A~Cを計量し容器31に入れる工程S1と、容器31に入れられた電極材料A~Cを供給機40に入れる工程S3は、繰り返し実施される。供給機40内には、重量比が調整された電極材料A~Cが予め定められた間隔で供給されうる。電極材料A~Cは、供給機40内へ投入される度に計量されているので、供給機40内の電極材料A~Cの重量比が安定しやすい。複数の電極材料A~Cが用いられる場合にも、供給機40に投入される混合粉体材料の配合比が保証されやすい。
【0026】
〈供給機40〉
図3は、供給機40の模式図である。図3では、電極材料A~Cが送られる方向および攪拌部材45が回転する方向は、矢印で示されている。図3では、供給機40の高さ方向に沿った断面が模式的に示されている。この実施形態では、供給機40として、予め定められた分量の材料を連続的に供給する定量供給機(以下、定量供給機40と称する。)が用いられている。図3に示されているように、定量供給機40は、ホッパ41,42と、羽根43,44と、攪拌部材45と、駆動装置46とを備えている。この実施形態では、定量供給機40は、いわゆるサークルフィーダである。
【0027】
ホッパ41,42は、電極材料A~Cを収容する部位である。この実施形態では、定量供給機40には、2つのホッパ41,42が設けられている。ホッパ41には、羽根43と、攪拌部材45とが設けられている。ホッパ42には、羽根44が設けられている。羽根43,44には、駆動装置46が接続されている。
【0028】
ホッパ41は、略円筒状である。ホッパ41の上部には、電極材料A~Cが投入される投入口41aが形成されている。ホッパ41の底部41bの一部には、開口41b1が形成されている。ホッパ41は、開口41b1を介してホッパ42と接続されている。開口41b1の上方には、中間プレート41cが設けられている。中間プレート41cは、一部に形成された開口41c1を除いて略円盤状である。中間プレート41cは、少なくとも開口41b1の上方を覆う寸法である。中間プレート41cの開口41c1と、底部41bの開口41b1とは、平面視において異なる位置に形成されている。中間プレート41cの開口41c1と、底部41bの開口41b1とは、底部41bの略中央部に設けられた羽根43の軸43aを挟んで反対側に設けられている。
【0029】
羽根43は、軸43aと、軸43aに取り付けられた送り羽根43b,43cとを備えている。軸43aは、底部41bの略中央部から上方に延びている。送り羽根43bは、中間プレート41cの上面に沿って軸43aから径方向外側に向かって延びている。この実施形態では、軸43aからは、2本の送り羽根43bが延びている。送り羽根43cは、底部41bに沿って軸43aから径方向外側に向かって延びている。この実施形態では、軸43aからは、4本の送り羽根43cが延びている。軸43aには、駆動装置46が接続されている。駆動装置46は、例えば、モータである。駆動装置46は、減速機、変速機等を介して軸43aに接続されていてもよい。駆動装置46が軸43aを回転駆動することによって、送り羽根43b,43cは、回転する。
【0030】
この実施形態では、羽根43の軸43aの上部には、攪拌部材45が設けられている。このため、攪拌部材45は、羽根43の回転に伴って回転する。攪拌部材45は、軸45aと、攪拌板45bとを有している。軸45aは、羽根43の軸43aの上端から上方に向かって延びている。軸45aには、2枚のらせん状の攪拌板45bが巻かれている。2枚のらせん状の攪拌板45bは、それぞれ軸45aの基端から先端に向かって一周巻かれている。攪拌板45bは、上下方向において、中間プレート41cと底部41bの端部を除いて覆う寸法に設定されている。なお、攪拌部材45は、かかる形態に限定されず、例えば、軸45aに取り付けられた棒状の部材であってもよく、板状の部材であってもよい。攪拌部材45の角度、数量等は、特に限定されない。
【0031】
ホッパ42は、ホッパ41よりも低い略円筒状である。ホッパ42には、羽根44が設けられている。羽根44は、軸44aと、軸44aに取り付けられた送り羽根44bとを備えている。軸44aは、底部42aの略中央部から上方に延びている。送り羽根44bは、底部42aに沿って軸44aから径方向外側に向かって湾曲して延びている。かかる形状の送り羽根44bによって、電極材料A~Cを送る量が安定しやすい。送り羽根44bは、径方向外側に向かうに従って高さが低くなっている。この実施形態では、軸44aからは、4本の送り羽根44bが延びている。なお、送り羽根44bの形状、枚数等は、特に限定されず、材料の種類等によって適宜設定されうる。軸44aには、駆動装置46が接続されている。このため、羽根43,44は、同じタイミングで回転する。ホッパ42の底部42aには、排出口42a1が形成されている。以下、電極材料A~Cの定量供給機40への供給と、定量供給機40からの排出について説明する。
【0032】
ホッパ41の上方で容器31が反転されることによって、投入口41aから投入された電極材料A~Cは、容器31に入れられた順番とは逆の順番(この実施形態では、電極材料C,B,Aの順番)で定量供給機40に投入される。投入された電極材料A~Cは、回転する攪拌部材45によって攪拌される。これによって、電極材料A~Cは、定量供給機40内で均一に分散しやすくなる。電極材料A~Cは、攪拌部材45の回転に伴いホッパ41の外壁41d側に向かって送られる。中間プレート41cに達した電極材料A~Cは、送り羽根43bによって中間プレート41cの開口41c1に向かって徐々に送られる。
【0033】
中間プレート41cの開口41c1を通った電極材料A~Cは、ホッパ41の底部41bに落ちる。電極材料A~Cは、送り羽根43cによって底部41bの開口41b1に向かって徐々に送られる。電極材料A~Cは、開口41b1を通ってホッパ42に送られる。ホッパ42に送られた電極材料A~Cは、送り羽根44bによって排出口42a1に向かって徐々に送られ、定量供給機40から排出される。排出口42a1から排出される電極材料A~Cの量は、羽根43,44の回転数に応じて設定される。駆動装置46によって羽根43,44が一定速度で回転駆動されることで、排出口42a1からは、略一定量の電極材料A~Cが連続的に排出されうる。羽根43,44の回転数は、特に限定されないが、電極材料A~Cが反転投入される間隔、量等に応じて適宜設定されうる。
【0034】
このように、定量供給機40では、羽根43,44および攪拌部材45が回転することにより、ホッパ41,42内の電極材料A~Cの攪拌と、定量供給機40からの電極材料A~Cの排出が同時に行われる。
【0035】
電極材料A~Cは、定量供給機40の排出口42a1から排出され、二軸混練機50に供給される(S5)。
【0036】
〈二軸混練機50〉
二軸混練機50(図2参照)は、電極材料A~Cにせん断力をかけつつ混練するための装置である。電極材料A~Cは、二軸混練機50内を搬送方向に沿って搬送されつつ混練される。図2に示されているように、二軸混練機50は、バレル51と、バレル51内に設けられたシャフト52と、シャフト52を駆動する駆動装置53とを備えている。二軸混練機50には、バレル51内の材料の温度を測定するための温度計、バレル51内の材料の温度を調整するためのチラー等が設けられていてもよい。なお、電極材料を混練する装置は、二軸混練機に限られず、例えば、四軸混練機等の多軸混練機であってもよい。
【0037】
バレル51は、筒状であり、内部に電極材料、溶媒等が入れられる空間を有する。バレル51の一方の端部には、電極材料A~Cが供給される粉体供給口51aが設けられている。粉体供給口51aは、定量供給機40の排出口42a1と接続されている。粉体供給口51aよりも下流側には、複数の溶媒供給口51bが設けられている。溶媒供給口51bには、溶媒供給装置55が接続されている。溶媒供給装置55には、吐出量を一定にするためのモーノポンプが接続されていてもよい。溶媒供給口51bからは、一定の吐出量の溶媒が連続的に供給される。溶媒としては、例えば、溶媒として、水、N-メチル-2-ピロリドン(N-methylpyrrolidone、NMP)等が用いられる。複数の溶媒供給口51bの下流側には、ペースト投入口51cが設けられている。ペースト投入口51cには、ペースト供給装置56が接続されている。ペースト供給装置56には、溶媒供給装置55と同様、吐出量を一定にするためのモーノポンプが接続されていてもよい。モーノポンプには、供給される溶媒およびペーストの流量を計測する流量計が設けられていてもよい。吐出量を安定させるために、流量計で計測される流量に応じてモーノポンプのローターの回転が制御されていてもよい。ペースト投入口51cからは、一定の吐出量のペーストが連続的に供給される。この実施形態では、ペースト投入口51cからは、ペースト状の導電材(この実施形態では、アセチレンブラック)が入れられる。このように、バレル51内には、電極材料A~C、溶媒、導電材の順で正極合材スラリーの材料が供給される。ペースト投入口51cの下流には、排出口51dが設けられている。排出口51dは、バレル51において、粉体供給口51aとは反対側の端部に設けられている。排出口51dからは、完成した正極合材スラリーが排出される。
【0038】
バレル51内には、搬送方向に沿って延びるシャフト52が設けられている。シャフト52には、スクリュー52aと、パドル52bとが設けられている。スクリュー52aと、パドル52bとは、搬送方向に沿って複数設けられている。スクリュー52aと、パドル52bとは、シャフト52の外周面に設けられている。スクリュー52aは、らせん状に巻かれた羽根を有している。パドル52bは、幅広面を搬送方向に向けた板状の部材である。特に限定されないが、パドル52bは、角部が曲線状に形成された多角形状(例えば、三角形、四角形、六角形等)である。パドル52bの側周面も曲線状に形成されていてもよい。パドル52bの側周面とバレル51の内周面には、所定の隙間が形成されている。
【0039】
駆動装置53は、シャフト52を回転駆動するモータ等でありうる。シャフト52が回転することによって、スクリュー52aおよびパドル52bは、シャフト52の周方向に沿って回転する。バレル51内の材料は、スクリュー52aの羽根に押されて搬送方向に沿って搬送される。バレル51内の材料は、パドル52bの側周面とバレル51の内周面との間で、せん断力がかけられる。二軸混練機50には、バレル51内の圧力を計測する圧力計が設けられていてもよい。圧力計によって計測されるバレル51内の圧力が所要の圧力範囲になるように、駆動装置53の駆動が制御されていてもよい。
【0040】
電極材料A~Cは、上述した二軸混練機50を用いて混練される(S7)。
【0041】
定量供給機40内で攪拌された電極材料A~Cは、粉体供給口51aから二軸混練機50のバレル51内に供給される。バレル51内には、定量供給機40によって単位時間あたり略一定量の電極材料A~Cが連続的に供給される。
【0042】
電極材料A~Cは、スクリュー52aによって搬送方向に搬送される。電極材料A~Cは、パドル52bの側周面とバレル51の内周面との間を通過する際にせん断力がかけられつつ、搬送される。バレル51内を搬送される電極材料A~Cは、溶媒供給口51bから供給される溶媒と混ぜられる。溶媒は、搬送方向に沿って設けられた複数の溶媒供給口51bから分けてバレル51内に入れられる。このため、電極材料A~Cと溶媒は、段階的に混ぜられる。これによって、混練される材料内のムラが生じにくい。バレル51内を搬送される材料(ここでは、電極材料A~Cと溶媒)は、ペースト状の導電材と混ぜられる。ペースト状の導電材は、ペースト投入口51cからバレル51内に入れられる。電極材料A~C、溶媒、導電材が混練されつつ搬送され、正極合材スラリーが完成する。製造された正極合材スラリーは、排出口51dから排出される。
【0043】
製造された正極合材スラリーを用いて公知の方法で電池を製造することができる。例えば、正極合材スラリーを正極集電体の両面に塗布し、乾燥させる。これを所定のサイズに切り取り、ロールプレスで圧延することにより、正極集電体の両面に正極活物質層を備えた正極シートを準備する。負極合材スラリーを製造し、正極シートを準備した手順と同様の手順で負極活物質を備えた負極シートを準備する。正極シートと負極シートとを、セパレータシートを介して積層し、電極体を作製する。電極体を電池ケースに収容し、電池組立体を作製する。電池組立体に電解液を注液し、初期充電およびエージング処理を実施し、電池が製造される。
【0044】
ところで、本発明者は、電池の品質を安定させるために、電極合材スラリーに含まれる材料の均一性を向上させたいと考えている。電池の品質を安定させるためには、電極合材スラリーに含まれる材料の混合比を精度よく調整する必要がある。また、本発明者の知見によると、多軸混練機のバレル内の限られた空間で材料を混練することによって、材料に高いせん断力をかけつつ材料を混合し、溶媒等に希釈することができる。その結果、材料の均一性が高いスラリーが製造される。しかしながら、例えば、電極合材スラリーに含まれる材料には、電極合材スラリー内に均一に分散しにくい材料が含まれる場合がある。均一に分散しにくい材料としては、例えば、バインダ、増粘剤等が挙げられる。これらの材料を電極合材スラリー内に均一に分散させるためには、これらの材料に対して高いせん断力をかけて混練する必要がある。しかしながら、多軸混練機内の材料に高いせん断力をかける場合には、シャフトにかかる負荷も大きくなりうる。多軸混練機のシャフトの長さが長い場合には、シャフトは、かかる負荷に耐えられない懸念がある。
【0045】
上述した実施形態では、複数の電極材料A~Cをそれぞれ予め定められた重量計量し容器31に入れる工程S1と、容器31に入れられた複数の電極材料A~Cを定量供給機40に入れる工程S3と、複数の電極材料A~Cを定量供給機40から二軸混練機50に供給する工程S5と、二軸混練機50で複数の電極材料A~Cを混練する工程S7とを含んでいる。電極材料A~Cそれぞれが予め定められた重量計量され、容器31に入れられ、次いで、定量供給機40に入れられる。このため、定量供給機40の電極材料A~Cの重量比は、精度よく調整されている。二軸混練機50には、重量比が精度よく調整された電極材料A~Cが単位時間あたり略一定量ずつ連続的に供給される。これによって、二軸混練機50内では、目的の混合比に調整された電極材料A~Cが混練されやすい。その結果、材料が均一に分散されたスラリーが調整されやすく、電池の品質が安定する。また、電極材料A~Cは、容器31に入れられ、一度に二軸混練機50に投入される。
【0046】
上述した実施形態では、電極材料A~Cは、定量供給機40から二軸混練機50の粉体供給口51aに供給されている。換言すると、二軸混練機50では、電極材料A~Cは、一箇所からまとめて供給されている。このため、例えば、複数箇所に分けて電極材料が供給される多軸混練機を含んだスラリー製造装置と比較して、二軸混練機50のバレル51およびシャフト52の長さを短くすることができる。シャフト32を短くすることによって、電極材料A~Cに高いせん断力をかけた場合にもシャフト32への負荷が低減される。その結果、電極材料がA~Cに高いせん断力をかけることができ、スラリーに含まれる材料を均一に分散させやすくなる。
【0047】
なお、複数の電極材料A~Cをそれぞれ予め定められた重量計量し容器31に入れる工程S1は、電極材料A~Cを計量する工程と、計量された電極材料A~Cを容器31に入れる工程とを含んでいてもよい。
【0048】
上述した実施形態では、定量供給機40は、羽根43,44と、羽根43,44を回転駆動する駆動装置46とを備えたサークルフィーダである。サークルフィーダを用いることによって、二軸混練機50に対して連続的に電極材料A~Cが供給される。これによって、電極材料A~Cの供給量が安定しうる。また、例えば、スクリューフィーダ等を用いた場合と比較して設備が小型化されうる。
【0049】
上述した実施形態では、定量供給機40は、攪拌部材45をさらに有している。供給する工程S5は、定量供給機40に入れられた電極材料A~Cを攪拌することを含んでいる。これによって、電極材料A~Cは、二軸混練機50で混練される前に、定量供給機40内で予備的に混合される。これによって、正極合材スラリーに含まれる電極材料A~Cが均一に分散されやすくなる。また、攪拌部材45は、定量供給機40の羽根43に取り付けられている。このため、電極材料A~Cを攪拌するための設備を別途設ける必要がなく、設備が小型化されうる。
【0050】
上述した実施形態では、複数の電極材料A~Cは、第1電極材料(この実施形態では、電極材料BとしてのPVDF)と、第1電極材料よりも密度が大きい第2電極材料(この実施形態では、電極材料A,Cとしての正極活物質)とを備えている。容器31に入れる工程では、第2電極材料の一部(電極材料A)を容器31に入れた後に第1電極材料(電極材料B)を容器31に入れ、さらに、第2電極材料の残り(電極材料C)を容器31に入れる。容器31内では、相対的に密度の小さい電極材料Bは、相対的に密度の大きい電極材料A,Cで挟まれている。これによって、容器31への電極材料A~Cの投入時、および、容器31から定量供給機40への電極材料A~Cの投入時に、電極材料Bの舞い上がりが低減されうる。その結果、二軸混練機50に供給される電極材料A~Cの重量比が安定しやすい。
【0051】
なお、ここでは、正極合材スラリーを製造する方法を一例として説明したが、かかる形態に限定されない。スラリー製造装置10では、負極合材スラリーが製造されてもよい。
【0052】
負極合材スラリーには、例えば、負極活物質と、増粘剤と、バインダとが含まれうる。負極合材スラリーに含まれる材料は、特に限定されず、従来からリチウムイオン二次電池の材料として用いられる各種の材料を特に制限なく使用することができる。負極活物質としては、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、アモルファスカーボンおよびこれらの複合体(例えばアモルファスカーボンコートグラファイト)などに代表される炭素材料、あるいは、シリコン(Si)などのリチウムと合金を形成する材料、シリコン化合物(SiOなど)などのリチウム貯蔵性化合物が用いられうる。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)が用いられうる。バインダとしては、例えば、スチレンブタジエンラバー(SBR)等が用いられうる。負極合材スラリーに含まれる負極活物質と増粘剤とバインダの重量比は、例えば、負極活物質:増粘剤:バインダ=96.0~99.0:0.5~2.0:0.5~2.0程度に設定されうる。
【0053】
負極合材スラリーを製造する場合には、材料供給装置20の容器24,26には、負極活物質が入れられ、容器25には、増粘剤としてのCMCが入れられうる。バインダとしてのSBRは、正極合材スラリーを製造する時のペースト状のアセチレンブラックと同様、ペースト投入口51cから投入されうる。負極合材スラリーを製造する工程は、正極合材スラリーを製造する工程と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0054】
以上、ここで開示される技術について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた実施形態などは本発明を限定しない。また、ここで開示される技術は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【0055】
また、本明細書は、以下の各項に記載の開示を含んでいる。
【0056】
項1:
複数の電極材料をそれぞれ予め定められた重量計量し電極材料を容器に入れる工程と、
前記容器に入れられた前記複数の電極材料を供給機に入れる工程と、
前記複数の電極材料を前記供給機から多軸混練機に供給する工程と、
前記多軸混練機で前記複数の電極材料を混練する工程と
を含む、電池の製造方法。
【0057】
項2:
前記供給機は、羽根と、前記羽根を回転駆動する駆動装置とを備えたサークルフィーダである、項1に記載された電池の製造方法。
【0058】
項3:
前記供給機は、攪拌部材をさらに有し、
前記供給する工程は、前記供給機に入れられた複数の材料を攪拌することを含んでいる、項2に記載された電池の製造方法。
【0059】
項4:
前記攪拌部材は、前記供給機の前記羽根に取り付けられている、項3に記載された電池の製造方法。
【0060】
項5:
前記複数の電極材料は、第1電極材料と、前記第1電極材料よりも密度が大きい前記第2電極材料とを備え、
前記容器に入れる工程では、前記第2電極材料の一部を前記容器に入れた後に前記第1電極材料を前記容器に入れ、さらに、前記第2電極材料の残りを前記容器に入れる、項1~4のいずれか一項に記載された電池の製造方法。
【符号の説明】
【0061】
10 スラリー製造装置
20 材料供給装置
21~23 フィーダ
25 インデックステーブル
27~29 計量装置
30 反転投入機
31 容器
32 アーム
33 駆動装置
40 定量供給機(供給機)
41,42 ホッパ
41a 投入口
41b,42a 底部
41b1,41c1 開口
41c 中間プレート
42a1 排出口
43,44 羽根
43a,44a,45a 軸
43b,43c 送り羽根
45 攪拌部材
45b 攪拌板
46 駆動装置
50 二軸混練機
51 バレル
51a 粉体供給口
51b 溶媒供給口
51c ペースト投入口
51d 排出口
52 シャフト
52a スクリュー
52b パドル
53 駆動装置
55 溶媒供給装置
56 ペースト供給装置
A~C 電極材料
図1
図2
図3