(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120454
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】流体輸送配管の接続管
(51)【国際特許分類】
F16L 25/14 20060101AFI20240829BHJP
F16L 55/07 20060101ALI20240829BHJP
F16L 9/18 20060101ALI20240829BHJP
B23Q 11/00 20060101ALN20240829BHJP
【FI】
F16L25/14
F16L55/07 B
F16L9/18
B23Q11/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027264
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】根本 勤
(72)【発明者】
【氏名】我妻 伸一
(72)【発明者】
【氏名】大野 学
(72)【発明者】
【氏名】増田 純一
(72)【発明者】
【氏名】南雲 青葉
【テーマコード(参考)】
3H016
3H111
【Fターム(参考)】
3H016DA02
3H111CA13
3H111CB24
3H111CB28
3H111DB11
(57)【要約】
【課題】口径の異なる配管同士を接続する際の配管内の圧力損失を小さくすることができる流体輸送配管の接続管を提供すること。
【解決手段】口径の異なる配管同士を接続する接続管であって、流体の流れ方向に沿う一次側端部において少なくとも1本の第1の配管と接続され、流体の流れ方向に沿う二次側端部において1本の第2の配管と接続される接続管本体を有し、第1の配管の口径は、第2の配管の口径よりも小さく、接続管本体の一次側端部の開口断面積は、接続管本体の二次側端部の開口断面積に一致もしくは近似するように形成される、流体輸送配管の接続管である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口径の異なる配管同士を接続する接続管であって、
流体の流れ方向に沿う一次側端部において少なくとも1本の第1の配管と接続され、流体の流れ方向に沿う二次側端部において1本の第2の配管と接続される接続管本体を有し、
前記第1の配管の口径は、前記第2の配管の口径よりも小さく、
前記接続管本体の前記一次側端部の開口断面積は、前記接続管本体の前記二次側端部の開口断面積に一致もしくは近似するように形成される、流体輸送配管の接続管。
【請求項2】
前記接続管本体は、外周管部と、前記外周管部の内側に配置される内周管部と、を有する二重管構造であり、
前記外周管部は、前記二次側端部において、前記第2の配管との接続部を構成し、
前記内周管部は、前記一次側端部において、前記第1の配管を接続する少なくとも1つの接続部を有し、
前記外周管部と前記内周管部との間に、前記第2の配管の内部に向けて流体を流通可能な間隙部が形成される、請求項1に記載の流体輸送配管の接続管。
【請求項3】
前記間隙部に、周方向に間隔をおいて複数のフィンが設けられる、請求項1又は2に記載の流体輸送配管の接続管。
【請求項4】
前記複数のフィンは、前記間隙部内の流体の流れ方向に沿って周方向の同一方向に傾斜している、請求項3に記載の流体輸送配管の接続管。
【請求項5】
前記複数のフィンは、前記間隙部の軸方向の一方端部から他方端部にかけて周方向に1周する場合の前記フィンの傾斜角度を1回転と定義したとき、周方向の同一方向に0.1回転以上1.2回転以下の角度でそれぞれ傾斜している、請求項4に記載の流体輸送配管の接続管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体輸送配管の接続管に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の木工加工業界は、加工精度や生産性を高めるために、製品を専用の加工機によって加工することによって、様々な形状の加工及び市場のニーズに合わせた対応が可能である。その一方で、加工時に必ず発生する切粉の集塵処理能力は、加工機の性能に同期していない。そのため、切粉の飛散及び残留によって様々な問題が発生している。例えば、周囲に飛散した切粉の清掃及び製品に残留する切粉を除去する仕上げ作業によって、生産性及び加工機の稼働率が低下する。さらに、加工機の各部品に切粉が付着することによって、加工機の故障が発生し、加工機の耐用年数を低下させる要因となっている。
【0003】
従来の切粉処理方法としては、大型の集塵機を設置し、配管を介して集塵機と加工機とを接続することによって、切粉の集塵処理を行う方法が一般的である。飛散し易い加工点については、回転刃の周囲に渦状の気流を発生させることによって、粉塵の排除能力を高める対策が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加工点の集塵技術は上記のように進歩しているが、加工機に接続される配管の口径と集塵機に接続される配管の口径とが相違することによる課題については着目されていない。すなわち、一般に、加工機に接続される配管の口径は、集塵機に接続される配管の口径よりも小さいため、これらの配管同士は、両端部が異なる径に形成された異形接続管を使用して接続される。しかしながら、異形接続管を使用した場合、配管内の圧力損失が大きくなって切粉の吸引能力が低下し、異形接続管の二次側の配管内に切粉が残留する、という課題がある。
【0006】
本開示は、口径の異なる配管同士を接続する際の配管内の圧力損失を小さくすることができる流体輸送配管の接続管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、口径の異なる配管同士を接続する接続管であって、流体の流れ方向に沿う一次側端部において少なくとも1本の第1の配管と接続され、流体の流れ方向に沿う二次側端部において1本の第2の配管と接続される接続管本体を有し、前記第1の配管の口径は、前記第2の配管の口径よりも小さく、前記接続管本体の前記一次側端部の開口断面積は、前記接続管本体の前記二次側端部の開口断面積に一致もしくは近似するように形成される、流体輸送配管の接続管に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る加工設備の概略構成を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る接続管の
図3中のA-A線に沿う縦断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る接続管の作用を説明する図である。
【
図6】第2実施形態に係る加工設備の概略構成を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る接続管の
図8中のB-B線に沿う縦断面図である。
【
図10】第3実施形態に係る加工設備の概略構成を示す図である。
【
図11】第3実施形態に係る接続管の斜視図である。
【
図12】第3実施形態に係る接続管の平面図である。
【
図13】第3実施形態に係る接続管の
図12中のC-C線に沿う縦断面図である。
【
図14】第3実施形態に係る接続管の
図12中のD-D線に沿う縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、第1実施形態に係る加工設備の概略構成を示す。
図1に示す加工設備は、1台の加工機1及び1台の集塵機2を備える。
【0010】
加工機1は、例えば、図示しない回転刃を有し、木材もしくはアルミ等の金属材からなるワークに対して切除及び切断等の加工を行う。加工機1には、加工点で発生した切粉を集塵機2の吸引力によって吸引して輸送する1本の加工機側配管11が接続される。集塵機2は、図示しない吸引ファン等の吸引手段を備える。集塵機2には、加工機1において発生した切粉を吸引して輸送する1本の集塵機側配管21が接続される。加工機側配管11は第1の配管に対応する。集塵機側配管21は第2の配管に対応する。
【0011】
図中に示す矢印100は、集塵機2によって吸引される流体の流れ方向を示す。矢印100で示されるように、流体は、加工機1から加工機側配管11、接続管3及び集塵機側配管21を順番に流れて、集塵機2に流入する。本開示において、矢印100で示す流体の流れ方向の上流側を一次側、流体の流れ方向の下流側を二次側と定義する。流体は、主として、加工機1の加工点で発生した切粉等を含む空気である。
【0012】
加工機側配管11と集塵機側配管21とは、口径が異なる。加工機側配管11の口径は、集塵機側配管21の口径よりも小さい。例えば、加工機側配管11は、直径75mmの口径を有し、集塵機側配管21は、直径100mmの口径を有する。加工機側配管11と集塵機側配管21とは、接続管3によって接続される。
【0013】
図2~
図4に示すように、接続管3は、二重管構造の接続管本体30を有する。詳しくは、接続管本体30は、円筒状の外周管部31と、円筒状の内周管部32と、を有する。内周管部32は、外周管部31の内側に同芯状に配置される。外周管部31及び内周管部32は、それぞれ軸方向に沿って直管状に延びている。
図4に示すように、接続管本体30は、流体の流れ方向の上流側に一次側端部30aを有し、流体の流れ方向の下流側に二次側端部30bを有する。
【0014】
接続管本体30の一次側端部30aにおいて、内周管部32に、1本の管状の一次側配管接続部33が設けられる。一次側配管接続部33は、内周管部32を、流体の流れ方向の上流側に向けて延出させることによって形成される。一次側配管接続部33は、外周管部31の一次側の端部31aよりも上流側に円筒状に突出する。一次側配管接続部33は、内周管部32と同一の外径及び内径を有し、内周管部32と同軸状に直管状に延びている。
【0015】
図5に示すように、加工機側配管11は、一次側配管接続部33に接続される。加工機側配管11は、一次側配管接続部33に外嵌合し、締結バンド111によって一次側配管接続部33に締結される。集塵機側配管21は、外周管部31に接続される。接続管3において、外周管部31は二次側配管接続部を構成する。集塵機側配管21は、接続管本体30の二次側端部30bにおいて外周管部31に外嵌合し、締結バンド211によって外周管部31に締結される。
【0016】
これによって、加工機側配管11の内部を流れる流体は、接続管3において、加工機側配管11から一次側配管接続部33の内部に流入する。一次側配管接続部33に流入した流体は、
図4に示す内周管部32の一次側の開口32aから内周管部32の内部に流入する。内周管部32の内部を流れる流体は、
図3及び
図4に示す内周管部32の二次側の開口32bから、外周管部31に接続される集塵機側配管21の内部に向けて流出する。
図5では、加工機側配管11、集塵機側配管21及び締結バンド111,211は断面で示されている。
【0017】
接続管本体30は、外周管部31と内周管部32との間に間隙部34を有する。間隙部34は、外周管部31と内周管部32との径の差分によって形成される。間隙部34は、
図4に示すように、一次側端部30aに開口34aを有し、二次側端部30bに開口34bを有する。間隙部34において、一次側の開口34aから二次側の開口34bに向けて流体が流通可能である。したがって、間隙部34の一次側の開口34aから流入した流体は、間隙部34の二次側の開口34bから、外周管部31に接続される集塵機側配管21の内部に流入する。
【0018】
接続管本体30の一次側端部30aの開口断面積は、内周管部32の一次側の開口32aの断面積と間隙部34の一次側の開口34aの断面積の和である。接続管本体30の二次側端部30bの開口断面積は、内周管部32の二次側の開口32bの断面積と間隙部34の二次側の開口34bの断面積との和である。接続管本体30の一次側端部30aの開口断面積と二次側端部30bの開口断面積とは、実質的に一致する。別の見方をすれば、接続管本体30の一次側端部30aの開口断面積は、外周管部31に接続される集塵機側配管21の開口断面積に近似するということができる。「近似する」というのは、接続管本体30の一次側端部30aの開口断面積は、集塵機側配管21の開口断面積に対して、接続管本体30を構成する管壁の厚み分だけ小さくなるからである。具体的には、接続管本体30の一次側端部30aの開口断面積は、集塵機側配管21の開口断面積の90%以上100%未満であることが好ましい。
【0019】
間隙部34は、一次側配管接続部33に接続される加工機側配管11の開口断面積と、外周管部31に接続される集塵機側配管21の開口断面積と、の差分を補ってそれぞれの開口断面積を合わせるように調整する開口断面積の調整部として機能する。例えば、直径75mmの加工機側配管11の開口断面積が4416mm2であり、直径100mmの集塵機側配管21の開口断面積が7850mm2である場合、間隙部34は、その差分である3434mm2の開口断面積を有するように形成される。接続管本体30に間隙部34が設けられることによって、接続管本体30において流体が流通する一次側及び二次側の開口断面積が実質的に一致する。
【0020】
間隙部34には、間隙部34内の流体を整流する複数のフィン35が設けられる。複数のフィン35は、間隙部34において、外周管部31と内周管部32とを同芯状に連結する。複数のフィン35は、間隙部34の周方向に等間隔をおいて配置されている。
図3に示すように、本実施形態の間隙部34には、6枚のフィン35が設けられているが、フィン35の枚数は、間隙部34の開口断面積、集塵機2の吸引力等の条件に応じて適宜増減可能である。
【0021】
フィン35は、
図2及び
図5において破線で示すように、間隙部34の一次側の開口34aから二次側の開口34bにかけて、間隙部34の周方向の同一方向に傾斜している。そのため、間隙部34の一次側の開口34aから流入した流体は、二次側の開口34bに向けて、フィン35の傾斜に案内されながら、間隙部34の周方向の同一方向に旋回するように整流される。さらに、フィン35は、
図3に示すように、外周管部31から内周管部32にかけて、間隙部34の周方向の同一方向に傾斜している。これによって、フィン35は、より効果的に間隙部34内の流体を整流させることができる。
【0022】
次に、接続管3の作用について説明する。
図5に示すように、接続管3の一次側配管接続部33に加工機側配管11が接続され、外周管部31に集塵機側配管21が接続される。集塵機2の駆動によって吸引力が発生すると、加工機側配管11内の流体FL1は、集塵機側配管21内の流体が集塵機2に吸引されることによって、一次側配管接続部33から内周管部32に流入し、内周管部32の二次側の開口32bから集塵機側配管21内に流入する。
【0023】
集塵機側配管21は、外周管部31に外嵌合しているため、集塵機側配管21内の流体が吸引されると、加工機側配管11内の流体FL1と一緒に、間隙部34から接続管3の外部の流体FL2が吸引される。流体FL2は、間隙部34の一次側の開口34aから間隙部34に流入し、間隙部34の二次側の開口34bから集塵機側配管21内に流入する。接続管本体30の一次側端部30aの開口断面積は、集塵機側配管21の開口断面積に近似しているため、吸引時の接続管3の一次側と二次側との間に、開口断面積の相違に起因する大きな圧力差は生じない。そのため、加工機側配管11から接続管3を経由して集塵機側配管21に向かう流体FL1の流れに大きな圧力損失が生じることはなく、集塵機2の吸引能力の低下は抑制される。加工機側配管11内の流体FL1は、集塵機2に向けて集塵機側配管21内を円滑に流れるため、接続管3の二次側の集塵機側配管21内に切粉が残留するおそれはない。
【0024】
間隙部34には複数のフィン35が設けられるため、間隙部34に流入した流体FL2は、複数のフィン35に案内されて整流される。そのため、集塵機側配管21内に乱流が発生することが抑制される。複数のフィン35は傾斜状に設けられるため、間隙部34に流入した流体FL2は、傾斜状の複数のフィン35に案内されて周方向の同一方向に旋回するように整流される。整流された流体FL2は、間隙部34の二次側の開口34bから集塵機側配管21内に流入した後、集塵機側配管21の管壁内面に沿って流れる螺旋状の旋回流となる。加工機側配管11から内周管部32を介して集塵機側配管21内に流入する流体FL1は、流体FL2の旋回流に巻き込まれることによって、流体FL2と一緒に螺旋状に旋回しながら集塵機2に向けて流れる。そのため、集塵機側配管21内の乱流の発生がさらに抑制され、集塵機2による集塵力が向上する。
【0025】
集塵機側配管21内の流体の流心の速度は、間隙部34の一次側の開口34aから二次側の開口34bに亘るフィン35の傾斜角度及びフィン35の枚数によって変化する。フィン35の傾斜角度が大きくなると、接続管3を通過する流体の流心の速度が上がる。フィン35の枚数が多くなると、接続管3を通過する流体の流心の速度が上がる。具体的な傾斜角度及び枚数は限定されないが、集塵機2の吸引能力を効果的に発揮する観点から、例えば、次のように設定することができる。間隙部34の軸方向の一方端部から他方端部にかけて周方向に1周する場合のフィン35の傾斜角度を1回転と定義したとき、フィン35は、周方向の同一方向に0.1回転以上1.2回転以下の角度で傾斜するように設けることができる。同様の観点から、フィン35の枚数は、1枚以上8枚以下とすることができる。フィン35の傾斜角度及び枚数は、間隙部34の開口断面積、集塵機2の吸引力等の条件に応じて適宜増減可能である。
【0026】
図6は、第2実施形態に係る加工設備の概略構成を示す。
図6に示す加工設備は、2台の加工機1,1及び1台の集塵機2を備える。2台の加工機1,1には、それぞれの加工点で発生した切粉を集塵機2の吸引力によって吸引して輸送する1本ずつの加工機側配管11,11が接続される。2本の加工機側配管11,11と1本の集塵機側配管21とは、接続管3Aによって接続される。
【0027】
第2実施形態において、2本の加工機側配管11,11の口径は、第1実施形態における加工機側配管11の口径よりも小さい。2本の加工機側配管11,11の口径は同一であり、例えば、それぞれ直径50mmの口径を有する。
【0028】
以下、第2実施形態に係る接続管3Aの構成について説明する。第2実施形態に係る接続管3Aについて、上述した第1実施形態に係る接続管3と同一符号の部位は、同一構成もしくは同一機能を有する部位を示す。そのため、それらについての説明は、上記説明を援用し、以下において省略する場合がある。
【0029】
図7~
図9に示すように、接続管3Aは、接続管3と同様に、外周管部31と内周管部32とからなる二重管構造の接続管本体30を有する。接続管本体30の一次側端部30aにおいて、内周管部32には、2本の管状の一次側配管接続部331,332が設けられる。詳しくは、内周管部32の内部は、
図8及び
図9に示すように、仕切り壁321によって2つの内部空間322,322に分割されている。2つの内部空間322,322は、それぞれ内周管部32の一次側から二次側への流体の流通が可能である。一次側配管接続部331,332は、内周管部32において対応する内部空間322,322の一次側の開口322a,322aにそれぞれ連通し、流体の流れ方向の上流側に向けて突出するように設けられる。一次側配管接続部331,332には、
図5に示す接続管3の場合と同様に、それぞれ加工機側配管11,11が外嵌合し、締結バンド111によって締結される。
【0030】
接続管3Aは、間隙部34内に8枚のフィン35を有する。フィン35は、間隙部34の一次側の開口34aから二次側の開口34bにかけて、間隙部34の周方向の同一方向に傾斜している。さらに、フィン35は、外周管部31から内周管部32にかけて、間隙部34の周方向の同一方向に傾斜している。但し、接続管3Aのフィン35の傾斜角度及び枚数も、間隙部34の開口断面積、集塵機2の吸引力等の条件に応じて適宜増減可能である。
【0031】
接続管3Aにおいて、接続管本体30の一次側端部30aの開口断面積は、内周管部32の一次側の開口322a,322aの断面積と間隙部34の一次側の開口34aの断面積の和である。接続管本体30の二次側端部30bの開口断面積は、内周管部32の二次側の開口322b,322bの断面積と間隙部34の二次側の開口34bの断面積との和である。この接続管3Aも、第1実施形態に係る接続管3と同様に、接続管本体30の一次側端部30aの開口断面積と二次側端部30bの開口断面積とは、実質的に一致する。間隙部34は、一次側配管接続部331,332に接続される加工機側配管11,11の開口断面積と、外周管部31に接続される集塵機側配管21の開口断面積と、の差分を補ってそれぞれの開口断面積を合わせるように調整する開口断面積の調整部として機能する。そのため、この接続管3Aも、第1実施形態に係る接続管3と同様の効果を奏する。
【0032】
図7及び
図9に示すように、一次側配管接続部331,332は、傾斜管部3311,3321をそれぞれ有する。傾斜管部3311,3321は、一次側配管接続部331,332において、内周管部32の一次側の開口322a,322aとの接続側の端部に配置される。傾斜管部3311,3321は、開口322a,322aから流体の流れ方向の上流側に向かい、且つ互いに離れる方向に傾斜している。
【0033】
図8及び
図9に示すように、各傾斜管部3311,3321の軸線方向d1,d2は、互いに交差する方向であり、且つ、内周管部32の中心からずれて斜めに交差する方向を指向している。そのため、
図8に示すように、各一次側配管接続部331,332内を流れてそれぞれ内周管部32内に流入する2つの流体FL11,FL12は、それぞれ螺旋状に旋回しながら、内周管部32の二次側の開口322b,322bから二次側に接続される図示しない集塵機側配管21内に流入する。
【0034】
図8に示すように、2つの流体FL11,FL12の旋回方向は、同一方向である。流体FL11,FL12は、仕切り壁321を挟んで隣り合う2つの内部空間322,322を螺旋状に旋回しながら流れるため、2つの流体FL11,FL12が互いに干渉し合うことはない。2つの流体FL11,FL12の旋回方向は、間隙部34を通過する際に、複数の傾斜状のフィン35によって整流される流体の旋回方向と同一方向である。そのため、この接続管3Aによれば、第1実施形態に係る接続管3が奏する効果に加えて、2本の加工機側配管11,11からそれぞれ流体FL11,FL12の吸引を行う場合でも、各流体FL11,FL12を、間隙部34から集塵機側配管21内に流入する旋回流と一緒に、同時に効率良く吸引することができる。
【0035】
一次側配管接続部331,332の端部は、傾斜管部3311,3321によって、互いに間隔をおいて離間するように配置される。一次側配管接続部331,332は、
図8に示すように、接続管本体30の径方向の外側にはみ出すように配置される。一次側配管接続部331,332と加工機側配管11,11との接続時に、2本の加工機側配管11,11同士が互いに干渉することがない。そのため、接続管3Aに対する配管接続作業を容易に行うことができる。
【0036】
図10は、第3実施形態に係る加工設備の概略構成を示す。
図10に示す加工設備は、3台の加工機1,1,1及び1台の集塵機2を備える。3台の加工機1,1,1には、それぞれの加工点で発生した切粉を集塵機2の吸引力によって吸引して輸送する1本ずつの加工機側配管11,11,11が接続される。3本の加工機側配管11,11,11と1本の集塵機側配管21とは、接続管3Bによって接続される。
【0037】
第3実施形態において、3本の加工機側配管11,11,11の口径は、第1実施形態における加工機側配管11の口径よりも小さい。3本の加工機側配管11,11,11の口径は同一であり、例えば、それぞれ直径50mmの口径を有する。
【0038】
以下、第3実施形態に係る接続管3Bの構成について説明する。第3実施形態に係る接続管3Bについて、上述した第1実施形態に係る接続管3及び第2実施形態に係る接続管3Aと同一符号の部位は、同一構成もしくは同一機能を有する部位を示す。そのため、それらについての説明は、上記説明を援用し、以下において省略する場合がある。
【0039】
図11~
図14に示すように、接続管3Bは、接続管3,3Aと同様に、外周管部31と内周管部32とからなる二重管構造の接続管本体30を有する。接続管本体30の一次側端部30aにおいて、内周管部32には、3本の管状の一次側配管接続部331,332,333が設けられる。詳しくは、内周管部32の二次側には、
図12~
図14に示すように、3本の一次側配管接続部331,332,333に対応する3つの開口32a1,32a2,32a3が設けられている。3つの開口32a1,32a2,32a3は、互いに分離しておらず、互いに隣接する1つの大きな開口として形成されている。一次側配管接続部331,332,333は、内周管部32における対応する開口32a1,32a2,32a3にそれぞれ連通し、流体の流れ方向の上流側に向けて突出するように設けられる。一次側配管接続部331,332,333には、
図5に示す接続管3の場合と同様に、それぞれ加工機側配管11,11,11が外嵌合し、締結バンド111によって締結される。
【0040】
接続管3Bは、間隙部34内に6枚のフィン35を有する。フィン35は、間隙部34の一次側の開口34aから二次側の開口34bにかけて、間隙部34の周方向の同一方向に傾斜している。さらに、フィン35は、外周管部31から内周管部32にかけて、間隙部34の周方向の同一方向に傾斜している。但し、接続管3Bのフィン35の傾斜角度及び枚数も、間隙部34の開口断面積、集塵機2の吸引力等の条件に応じて適宜増減可能である。
【0041】
接続管3Bにおいて、接続管本体30の一次側端部30aの開口断面積は、内周管部32の一次側の開口32a1,32a2,32a3の断面積と間隙部34の一次側の開口34aの断面積の和である。接続管本体30の二次側端部30bの開口断面積は、内周管部32の二次側の開口32bの断面積と間隙部34の二次側の開口34bの断面積との和である。この接続管3Bも、第1実施形態に係る接続管3及び第2実施形態に係る接続管3Bと同様に、接続管本体30の一次側端部30aの開口断面積と二次側端部30bの開口断面積とは、実質的に一致する。間隙部34は、一次側配管接続部331,332,333に接続される加工機側配管11,11,11の開口断面積と、外周管部31に接続される集塵機側配管21の開口断面積と、の差分を補ってそれぞれの開口断面積を合わせるように調整する開口断面積の調整部として機能する。そのため、この接続管3Bも、第1実施形態に係る接続管3及び第2実施形態に係る接続管3Bと同様の効果を奏する。
【0042】
図11~
図14に示すように、一次側配管接続部331,332,333は、傾斜管部3311,3321,3331をそれぞれ有する。傾斜管部3311,3321,3331は、一次側配管接続部331,332,333において、内周管部32の一次側の開口32a1,32a1,32a3との接続側の端部に配置される。傾斜管部3311,3321,3331は、開口32a1,32a2,32a3から流体の流れ方向の上流側に向かい、且つ互いに離れる方向に傾斜している。
【0043】
図12~
図14に示すように、各傾斜管部3311,3321,3331の軸線方向d1,d2,d3は、互いに交差する方向であり、且つ、内周管部32の中心からずれて斜めに交差する方向を指向している。そのため、
図12に示すように、各一次側配管接続部331,332,333内を流れてそれぞれ内周管部32内に流入する3つの流体FL11,FL12,FL13は、それぞれ螺旋状に旋回しながら、内周管部32の二次側の開口32bから二次側に接続される図示しない集塵機側配管21内に流入する。
【0044】
図12に示すように、3つの流体FL11,FL12,FL13の旋回方向は、同一方向である。流体FL11,FL12,FL13は、内周管部32内を螺旋状に旋回しながら流れるため、3つの流体FL11,FL12,FL13が互いに干渉し合うことはない。3つの流体FL11,FL12,FL13の旋回方向は、間隙部34を通過する際に、複数の傾斜状のフィン35によって整流される流体の旋回方向と同一方向である。そのため、この接続管3Bによれば、第1実施形態に係る接続管3が奏する効果に加えて、3本の加工機側配管11,11,11からそれぞれ流体FL11,FL12,FL13の吸引を行う場合でも、各流体FL11,FL12,FL13を、間隙部34から集塵機側配管21内に流入する旋回流と一緒に、同時に効率良く吸引することができる。
【0045】
一次側配管接続部331,332,333の端部は、傾斜管部3311,3321,3331によって、互いに間隔をおいて離間するように配置される。一次側配管接続部331,332,333は、
図12に示すように、接続管本体30の径方向の外側にはみ出すように配置される。一次側配管接続部331,332,333と加工機側配管11,11,11との接続時に、3本の加工機側配管11,11,11同士が互いに干渉することがない。そのため、接続管3Bに対する配管接続作業を容易に行うことができる。
【0046】
以上説明した各実施形態に示す接続管3,3A,3Bは、樹脂材もしくはアルミ等の金属材によって一体成形される。具体的な成形方法は限定されず、例えば、3Dプリンターを使用した積層造形法、射出成形機を使用した射出成形法等を採用することができる。
【0047】
以上の実施形態に示す接続管3,3A,3Bによれば、以下の効果を奏する。
【0048】
(1) 口径の異なる配管同士を接続する接続管3,3A,3Bであって、流体の流れ方向に沿う一次側端部30aにおいて少なくとも1本の第1の配管としての加工機側配管11と接続され、流体の流れ方向に沿う二次側端部30bにおいて1本の第2の配管としての集塵機側配管21と接続される接続管本体30を有し、加工機側配管11の口径は、集塵機側配管21の口径よりも小さく、接続管本体30の一次側端部30aの開口断面積は、接続管本体30の二次側端部30bの開口断面積に一致もしくは近似するように形成される。
【0049】
これによれば、接続管3,3A,3Bにおける接続管本体30の一次側端部30aの開口断面積が、接続管本体30の二次側端部30bの開口断面積に一致もしくは近似するため、口径の異なる加工機側配管11と集塵機側配管21とを接続しても、配管内の圧力損失を小さくすることができる。集塵機による吸引能力の低下が抑制されるため、接続管3,3A,3Bの二次側に接続される集塵機側配管21内に、吸引した切粉が残留することが抑制される。
【0050】
(2) 上記(1)に記載の接続管3,3A,3Bにおいて、接続管本体30は、外周管部31と、外周管部31の内側に配置される内周管部32と、を有する二重管構造であり、外周管部31は、二次側端部30bにおいて、集塵機側配管21との接続部を構成し、内周管部32は、一次側端部30aにおいて、加工機側配管11を接続する少なくとも1つの一次側配管接続部33,331,332,333を有し、外周管部31と内周管部32との間に、集塵機側配管21の内部に向けて流体を流通可能な間隙部34が形成される。
【0051】
これによれば、接続管3,3A,3Bは、間隙部34からも集塵機側配管21内に流体を吸引することができる。間隙部34は、加工機側配管11の開口断面積と、外周管部31に接続される集塵機側配管21の開口断面積と、の差分を補ってそれぞれの開口断面積を合わせるように調整する開口断面積の調整部として機能し、接続管本体30の一次側端部30aの開口断面積を、接続管本体30の二次側端部30bの開口断面積に容易に一致もしくは近似させることができる。
【0052】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の接続管3,3A,3Bにおいて、間隙部34に、周方向に間隔をおいて複数のフィン35が設けられる。
【0053】
これによれば、間隙部34から流入する流体を、複数のフィン35によって整流することができる。そのため、集塵機側配管21内に乱流が発生することを抑制することができる。
【0054】
(4) 上記(3)に記載の接続管3,3A,3Bにおいて、複数のフィン35は、間隙部34内の流体の流れ方向に沿って周方向の同一方向に傾斜している。
【0055】
これによれば、間隙部34に流入した流体は、傾斜状の複数のフィン35に案内されて周方向の同一方向に旋回するように整流され、集塵機側配管21内において旋回流を生成する。加工機側配管11から集塵機側配管21内に流入する流体は、間隙部34から流入する旋回流に巻き込まれることによって、一緒に螺旋状に旋回しながら集塵機2に向けて流れる。そのため、集塵機側配管21内の乱流の発生がさらに抑制され、集塵機2による集塵力が向上する。
【0056】
(5) 上記(4)に記載の接続管3,3A,3Bにおいて、複数のフィン35は、間隙部34の軸方向の一方端部から他方端部にかけて周方向に1周する場合のフィン35の傾斜角度を1回転と定義したとき、周方向の同一方向に0.1回転以上1.2回転以下の角度でそれぞれ傾斜している。
【0057】
これによれば、間隙部34を通過して流体によって、集塵機側配管21内に効果的に旋回流を生成することができる。そのため、集塵機2の吸引能力をさらに効果的に発揮することができる。
【0058】
本開示の接続管は上記の実施形態に限定されず、本開示の要旨に逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、外周管部31の端部31aは、間隙部34からの流体の吸引時の騒音を低減するため、径方向外側に向けて拡開するテーパー状に形成されてもよい。
【0059】
本開示の接続管は、加工機と集塵機とを繋ぐ配管同士を接続するものに限定されない。本開示の接続管は、例えば、口径の異なる空調用のダクト同士を接続する場合にも適用可能である。
【実施例0060】
以下、実施例によって本開示の接続管の効果について例証する。但し、本開示の接続管は、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
図15に示すように、配管200の一方端部に、第1実施形態に係る接続管3を接続した。配管200は、接続管3の外周管部31に外嵌合している。接続管3の外周管部31は、直径約100mmである。接続管3の一次側配管接続部33は、直径約50mmである。配管200は、直径100mmのストレート管である。配管200の他方端部側は、図示しない吸引手段に接続されている。吸引手段の駆動時、配管200内の流体は、矢印100に示す方向に流れる。このときの流体の風速を、測定点1、2の2か所でそれぞれ測定した。測定点1は、接続管3の一次側配管接続部33の開口の位置である。測定点2は、測定点1から流体の流れ方向の下流側に500mm離れた位置である。
【0062】
測定の結果、測定点1の風速は、22.68m/sであったのに対し、測定点2の風速は、19.84m/sであった。測定点1の風速に対する測定点2の風速の低下率は、12.53%であった。
【0063】
(比較例1)
図16に示すように、実施例1と同一の配管200の一方端部に、市販の異形接続管4を接続した。異形接続管4は、口径の大きい大径部41と口径の小さい小径部42とを、テーパー部43によって接続した構造を有する。配管200は、異形接続管4の大径部41に外嵌合している。異形接続管4の大径部41は、直径約100mmである。異形接続管4の小径部42は、直径約50mmである。吸引手段を実施例1と同じ条件で駆動した際の流体の風速を、測定点1、2の2か所でそれぞれ測定した。測定点1は、異形接続管4の小径部42の開口の位置である。測定点2は、測定点1から流体の流れ方向の下流側に500mm離れた位置である。
【0064】
測定の結果、測定点1の風速は、24.40m/sであったのに対し、測定点2の風速は、10.40m/sであった。測定点1の風速に対する測定点2の風速の低下率は、57.40%であった。
【0065】
(参考例)
図17に示すように、実施例1と同一の配管200のみを使用して、吸引手段を実施例1と同じ条件で駆動した際の流体の風速を、測定点1、2の2か所でそれぞれ測定した。測定点1は、配管200の一次側の開口の位置である。測定点2は、測定点1から流体の流れ方向の下流側に500mm離れた位置である。
【0066】
測定の結果、測定点1の風速は、20.00m/sであったのに対し、測定点2の風速は、17.54m/sであった。測定点1の風速に対する測定点2の風速の低下率は、12.30%であった。
【0067】
以上の結果、本開示の接続管によれば、異形接続管に比べて、接続管の二次側の風速の低下率が大幅に改善された。特に、参考例との比較から明らかなように、本開示の接続管は、二次側に接続される配管内に、接続管を使用しない場合のストレート管内の風速と同等の風速を維持することができた。
3,3A,3B 接続管、 30 接続管本体、 30a 一次側端部、 30b 二次側端部、 31 外周管部、 32 内周管部、 33,331,332,333 一次側配管接続部、 34 間隙部、 35 フィン、 11 加工機側配管(第1の配管)、 21 集塵機側配管(第2の配管)