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特開2024-120470芯なしトイレットペーパロールの連続製造方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120470
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】芯なしトイレットペーパロールの連続製造方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/16 20060101AFI20240829BHJP
   B65H 19/26 20060101ALI20240829BHJP
   B65H 19/28 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A47K10/16 D
B65H19/26
B65H19/28 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027287
(22)【出願日】2023-02-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】591084001
【氏名又は名称】株式会社清水製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】清水 明
(72)【発明者】
【氏名】清水 義貴
【テーマコード(参考)】
2D135
3F064
【Fターム(参考)】
2D135AA21
2D135AB02
2D135AD04
2D135AD26
3F064AA01
3F064CA10
3F064CA12
3F064CB07
3F064CB10
3F064DA01
(57)【要約】
【課題】ペーパ原紙をより高密度に圧縮して、順次供給されるシャフトに連続して安定的に巻取りできる芯なしトイレットペーパロールの連続製造方法及び装置を提供する。
【解決手段】下側の巻取りロール3は常時所定位置に固定し、上側の巻取りロール2は上下移動可能にして、回転可能に軸支された巻取りロール2、3の間に供給したシャフト6に上側の巻取りロール2の外周面に沿って搬送されるペーパ原紙Prの先端部を巻付けた後、シャフト6を各巻取りロール2、3とライダーロール4に挟まれた状態にした巻取り位置では、上側の巻取りロール2の位置を固定し、シャフト6をライダーロール4によって下側の巻取りロール3に向かって押圧してペーパ原紙Prを圧縮しつつ所定長さを巻き取ったシャフト6と上側の巻取りロール2との間でペーパ原紙Prを切断するとともに、巻取りロール2、3の間に次のシャフト6を供給する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転している上下一対の巻取りロールの間にシャフトを供給して回転させ、回転させている前記シャフトの外周面に上側の前記巻取りロールの外周面に沿って搬送されてくるペーパ原紙の先端部を巻付けた後、上下一対の前記巻取りロールとライダーロールに挟まれた状態の巻取り位置で回転させている前記シャフトに引き続き前記ペーパ原紙を巻き取って所定長さの前記ペーパ原紙を巻き取ると前記シャフトと上側の前記巻取りロールとの間で前記ペーパ原紙を切断して、所定長さの前記ペーパ原紙を巻き取った前記シャフトを前記巻取り位置から排出ガイドに沿って排出するとともに、回転している上下一対の前記巻取りロールの間に次のシャフトを供給する一連の作業工程を繰り返し連続して行う芯なしトイレットペーパロールの連続製造方法において、
上下一対の前記巻取りロールのうち、下側の前記巻取りロールは常時所定位置に固定して回転可能に軸支するとともに、上側の前記巻取りロールは上下移動可能にして回転可能に軸支し、
前記シャフトが前記巻取り位置にある時には、上側の前記巻取りロールの位置を固定して上下一対の前記巻取りロールの間隔を一定に維持するとともに、前記シャフトを前記ライダーロールによって下側の前記巻取りロールに向かって押圧して前記シャフトに巻き取られた前記ペーパ原紙を圧縮する芯なしトイレットペーパロールの連続製造方法。
【請求項2】
前記ライダーロールのロール長さおよび下側の前記巻取りロールのロール長さを、前記シャフトの長さの80%以上100%未満にする請求項1に記載の芯なしトイレットペーパロールの連続製造方法。
【請求項3】
上側の前記巻取りロールの外周面に沿って搬送されてくる前記ペーパ原紙を、上側の前記巻取りロールの外周面と回転するニップロールの外周面とで挟み、前記ニップロールの外周面を上側の前記巻取りロールの外周面よりも静止摩擦係数の大きい低摩擦材により形成して、前記ペーパ原紙を切断する際に前記ペーパ原紙に作用する引張力を増大させる請求項1または2に記載の芯なしトイレットペーパロールの連続製造方法。
【請求項4】
回転可能に軸支される上下一対の巻取りロールと、回転している上下一対の前記巻取りロールの間に順次供給されるシャフトと、前記シャフトを巻取り位置で上下一対の前記巻取りロールとによって挟んだ状態にするライダーロールとを有し、上下一対の前記巻取りロールの間に供給されて回転させている前記シャフトの外周面に上側の前記巻取りロールの外周面に沿って送られてくるペーパ原紙の先端部が巻付けられた後に前記巻取り位置で回転させている前記シャフトに引き続き前記ペーパ原紙が巻き取られて所定長さの前記ペーパ原紙が巻き取られると前記シャフトと上側の前記巻取りロールとの間で前記ペーパ原紙が切断される構成にして、所定長さの前記ペーパ原紙を巻き取った前記シャフトが前記巻取り位置から排出させる排出ガイドを有する芯なしトイレットペーパロールの連続製造装置において、
下側の前記巻取りロールは常時所定位置に固定されて回転可能に軸支され、上側の前記巻取りロールは上下移動可能にして回転可能に軸支されていて、
前記シャフトが前記巻取り位置にある時には、上側の前記巻取りロールの位置が固定されて上下一対の前記巻取りロールの間隔が一定に維持される構成であるとともに、前記シャフトが前記ライダーロールによって下側の前記巻取りロールに向かって押圧されて前記シャフトに巻き取られた前記ペーパ原紙が圧縮される芯なしトイレットペーパロールの連続製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯なしトイレットペーパロールを連続して製造する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
芯なしトイレットペーパロールを連続して製造する方法が知られている(特許文献1参照)。この製造方法では、まず、上下一対の巻取りロールを同じ方向に回転させ、これら巻取りロールの間にシャフトを供給して回転させる。回転させているシャフトの外周面には上側の巻取りロールの外周面に沿って搬送されてくる広幅のペーパ原紙の先端部が巻付けられる。このシャフトに巻付けられたペーパ原紙は、上下一対の巻取りロールおよびライダーロールに挟まれた状態の巻取り位置で、回転されるシャフトに引き続き巻き取られる。このシャフトに所定長さのペーパ原紙が巻き取られると、このシャフトと上側の巻取りロールとの間でペーパ原紙は切断され、所定長さのペーパ原紙が巻き取られたシャフトは巻取り位置から排出ガイドに沿って排出される。ペーパ原紙が所定長さに切断された時には、回転している上下一対の巻取りロールの間に次のシャフトが供給されて、切断されたペーパ原紙の新たな先端部が次のシャフトに巻付けられる。この次のシャフトに対しても先のシャフトと同様に巻取り位置で所定長さのペーパ原紙が巻き取られると排出ガイドに沿って排出される。このように上下一対の巻取りロールの間に順次供給されるシャフトに対して所定長さのペーパ原紙が巻き取られる一連の作業工程が繰り返し連続して行われる。シャフトに所定長さ巻き取られたペーパ原紙は、後工程にて1本のトイレットペーパロール幅単位に切断されることで、芯なしトイレットペーパロールになる。
【0003】
近年、ペーパがより高密度に圧縮されて巻回されることで1巻き当たりのペーパ長さを増大させたトイレットペーパロールが要望されている。このような仕様のトイレットペーパロールを製造するには、ペーパ原紙を巻取り位置でライダーロールによって一段と強く押圧しつつシャフトに巻き取る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-240218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の製造装置のように下側の巻取りロールが上下移動可能な製造装置では、シャフトに巻き取っているペーパ原紙をライダーロールによって一段と強く押圧すると、下側の巻取りロールが多少下方に移動することがある。このように、一対の巻取りロールのうち下側の巻取りロールが下方移動すると、ペーパ原紙を所定長さに切断する度に順次連続的に次のシャフトが供給される上下一対の巻取りロールのすき間が過大になるため、次のシャフトを上下一対の巻取りロールの間に円滑に供給するとともに、このシャフトにペーパ原紙の新たな先端部を確実に巻付けることが困難になる。そのため、ペーパ原紙を従来に比して高密度に圧縮して、順次供給されるシャフトに巻取るには改善の余地がある。そこで本発明の目的は、ペーパ原紙を従来に比して高密度に圧縮して、順次供給されるシャフトに連続して安定的に巻取ることができる芯なしトイレットペーパロールの製造方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の芯なしトイレットペーパロールの連続製造方法は、回転している上下一対の巻取りロールの間にシャフトを供給して回転させ、回転させている前記シャフトの外周面に上側の前記巻取りロールの外周面に沿って搬送されてくるペーパ原紙の先端部を巻付けた後、上下一対の前記巻取りロールとライダーロールに挟まれた状態の巻取り位置で回転させている前記シャフトに引き続き前記ペーパ原紙を巻き取って所定長さの前記ペーパ原紙を巻き取ると前記シャフトと上側の前記巻取りロールとの間で前記ペーパ原紙を切断して、所定長さの前記ペーパ原紙を巻き取った前記シャフトを前記巻取り位置から排出ガイドに沿って排出するとともに、回転している上下一対の前記巻取りロールの間に次のシャフトを供給する一連の作業工程を繰り返し連続して行う芯なしトイレットペーパロールの連続製造方法において、上下一対の前記巻取りロールのうち、下側の前記巻取りロールは常時所定位置に固定して回転可能に軸支するとともに、上側の前記巻取りロールは上下移動可能にして回転可能に軸支し、前記シャフトが前記巻取り位置にある時には、上側の前記巻取りロールの位置を固定して上下一対の前記巻取りロールの間隔を一定に維持するとともに、前記シャフトを前記ライダーロールによって下側の前記巻取りロールに向かって押圧して前記シャフトに巻き取られた前記ペーパ原紙を圧縮することを特徴とする。
【0007】
本発明の芯なしトイレットペーパロールの連続製造装置は、回転可能に軸支される上下一対の巻取りロールと、回転している上下一対の前記巻取りロールの間に順次供給されるシャフトと、前記シャフトを巻取り位置で上下一対の前記巻取りロールとによって挟んだ状態にするライダーロールとを有し、上下一対の前記巻取りロールの間に供給されて回転させている前記シャフトの外周面に上側の前記巻取りロールの外周面に沿って送られてくるペーパ原紙の先端部が巻付けられた後に前記巻取り位置で回転させている前記シャフトに引き続き前記ペーパ原紙が巻き取られて所定長さの前記ペーパ原紙が巻き取られると前記シャフトと上側の前記巻取りロールとの間で前記ペーパ原紙が切断される構成にして、所定長さの前記ペーパ原紙を巻き取った前記シャフトが前記巻取り位置から排出させる排出ガイドを有する芯なしトイレットペーパロールの連続製造装置において、下側の前記巻取りロールは常時所定位置に固定されて回転可能に軸支され、上側の前記巻取りロールは上下移動可能にして回転可能に軸支されていて、前記シャフトが前記巻取り位置にある時には、上側の前記巻取りロールの位置が固定されて上下一対の前記巻取りロールの間隔が一定に維持される構成であるとともに、前記シャフトが前記ライダーロールによって下側の前記巻取りロールに向かって押圧されて前記シャフトに巻き取られた前記ペーパ原紙が圧縮されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上下一対の前記巻取りロールのうち、下側の前記巻取りロールは常時所定位置に固定して回転可能に軸支するとともに、上側の前記巻取りロールは上下移動可能にして回転可能に軸支する。前記シャフトが前記巻取り位置にある時には、上側の前記巻取りロールの位置を固定して上下一対の前記巻取りロールの間隔を一定に維持するとともに、前記シャフトを前記ライダーロールによって下側の前記巻取りロールに向かって押圧して前記シャフトに巻き取られた前記ペーパ原紙を圧縮するので、前記シャフトに巻き取られた前記ペーパ原紙をより強く圧縮することが可能になる。しかも、前記ペーパ原紙をより強く圧縮しても下側の前記巻取りロールは、常時所定位置に固定されているので実質的に下方移動しない。そのため、ペーパ原紙を所定長さに切断する度に順次連続的に次の前記シャフトが供給される時の上下一対の前記巻取りロールのすき間が過大になることが回避される。その結果、ペーパ原紙を従来に比して高密度に圧縮して、順次供給されるシャフトに連続して安定的に巻取ることが可能になる。これに伴い、ペーパが従来に比して高密度に圧縮されて巻回された芯なしトイレットペーパロールを生産性よく製造するには有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】芯なしトイレットペーパロールの連続製造装置の実施形態を側面視で例示する説明図である。
図2図1の下側の巻取りロール、ライダーロールおよび押込みロールの周辺を一部切り欠いて平面視で例示する説明図である。
図3】製造された芯なしトイレットペーパロールを例示する斜視図である。
図4図1のシャフトを巻取り位置で回転させてペーパ原紙を巻き取っている工程を側面視で例示する説明図である。
図5図4のシャフトにペーパ原紙をさらに巻き取っている工程を側面視で例示する説明図である。
図6図5の下側の巻取りロール、シャフトおよびライダーロールを正面視で例示する説明図である。
図7図5のシャフトに巻き取ったペーパ原紙を所定長さに切断するとともに、上下一対の巻取りロールの間に供給された次のシャフトに切断されたペーパ原紙の新たな先端部を巻付ける工程を側面視で例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、芯なしトイレットペーパロールの連続製造方法および装置を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0011】
図1図2に例示する芯なしトイレットペーパロールの連続製造装置1(以下、製造装置1という)を用いることにより、図3に例示する芯なしトイレットペーパロールR(以下、ペーパロールRという)が製造される。このペーパロールRは、ペーパPが従来に比して高密度で圧縮して巻回されている。
【0012】
個々のペーパロールRのペーパ幅W、ロール外径D、中心内径dは任意に設定することができ、従来のトイレットペーパロール(従来品)と同じ(同等)にすることも、より大きく、或いは、より小さくすることもできる。1本のペーパロールRに巻回されているペーパ長さも任意に設定できるが、従来品よりも長くすることが可能であり、例えば従来品の120%以上或いは150%以上にすることも可能である。
【0013】
製造装置1の実施形態は、支軸2a、3aにそれぞれ回転可能に軸支される上下一対の巻取りロール2、3と、支軸4aに回転可能に軸支されるライダーロール4と、ペーパ原紙Prが巻付けられて巻き取られるシャフト6と、ペーパ原紙Prにミシン目Sを付与する一対のミシン目付与ロール5a、5bと、回転している上下一対の巻取りロール2、3の間にシャフト6を順次供給する押込みレバー9と、所定長さのペーパ原紙Prを巻き取ったシャフト6を巻取り位置から排出させる排出ガイド19とを有している。上下一対の巻取りロール2、3およびライダーロール4は同じ方向に回転する。シャフト6に所定長さ巻き取られたペーパ原紙Prが1本のトイレットペーパロール幅単位に切断されることで図3に例示するペーパロールRが製造される。したがって、それぞれのシャフト6に巻き取られるペーパ原紙Prの所定長さは、製造される1本のペーパロールRに巻回されているペーパ長さになる。
【0014】
上下一対の巻取りロール2、3、ライダーロール4およびシャフト6は、例えば炭素鋼などの金属製の円筒体である。ペーパ原紙Prは、原反ロールから一対のミシン目付与ロール5a、5bの間を通過してフリーロール12に掛け回された後に、回転する上側の巻取りロール2の外周面に向かって搬送されてシャフト6に巻き取られる。
【0015】
この製造装置1は、その他に、エアノズル7、押込みカム8、霧ノズル10、ライダー巻径制御カム11、ニップロール13、ロールストッパ15、シャフト供給部16、アクチュエータ17a、17b、17c、17dを有し、これら構成部品の動きと、上下一対の巻取りロール2、3、ライダーロール4、ミシン目付与ロール5a、5bの動きとが制御されることで、上下一対の巻取りロール2、3の間に順次供給されるシャフト6に連続的に所定長さのペーパ原紙Prが巻き取られる。アクチュエータ17a、17b、17c、17dとしては例えばエアシリンダなどの流体シリンダ類が用いられる。
【0016】
上側の巻取りロール2は、下側の巻取りロール3の真上に配置することもできるが、真上に配置されている必要はなく、支軸2a、3aどうしを結ぶ直線と鉛直線とがなす角度(鋭角)を例えば30°以下、より好ましく15°以下にする。上下一対の巻取りロール2、3は、同じ1つのモータで回転駆動され、このモータと例えば下側の巻取りロール3との間には変速機が介在している。したがって、上側の巻取りロール2に対して下側の巻取りロール3を所望の回転比で回転駆動させることができる。ライダーロール4は、上下一対の巻取りロール2、3とは別のモータで回転駆動され所望の回転速度で回転駆動される。ライダーロール4も上下一対の巻取りロール2、3と同じ1つのモータで回転駆動される仕様にして、このモータとライダーロール4との間に変速機を介在させてライダーロール4を所望の回転速度で回転駆動することもできる。
【0017】
図2に例示するように、支軸3aの両端部は固設された軸受け3bにより支持されている。このようにして、下側の巻取りロール3は両持ち梁状態で、常時所定位置に固定されて回転可能に軸支されている。下側の巻取りロール3のロール長さL1、ロール外径は必要に応じて適切な範囲に設定される。
【0018】
上側の巻取りロール2は、支点2bを介してアクチュエータ17aに接続されていて、アクチュエータ17aの作動に応じて支点2bを中心にして上下に揺動する。即ち、上側の巻取りロール2は、所定位置に固定して軸支されている下側の巻取りロール3に近接離反するように揺動する。支軸2aの両端部は軸受けにより支持されている。上側の巻取りロール2の寸法は例えば、下側の巻取りロール3と同じにする。
【0019】
ライダーロール4は、支点14a、14bに回転可能に接続されたリンク体であるレバー14に接続されている。レバー14の上端部は、ライダー巻径制御カム11の外周面を転動する転動輪11aに支持されている。回転するライダー巻径制御カム11の外周面を転動輪11aが転動することで、ライダーロール4は支点14bを中心にして上下に揺動して、上下一対の巻取りロール2、3に対して近接離反する。支軸4aの両端部は軸受けにより支持されている。ライダーロール4のロール長さL2、ロール外径は必要に応じて適切な範囲に設定される。この実施形態では、ライダーロール4の外径は、巻取りロール2、3の外径よりも小さく設定されている。
【0020】
シャフト6のシャフト長さL3、シャフト外径は必要に応じて適切な範囲に設定される。シャフト外径は、ペーパロールRの中心内径dと実質的に同じ寸法である。シャフト外径は、巻取りロール2、3およびライダー4の外径よりも小さく設定されている。
【0021】
それぞれのミシン目付与ロール5a、5bは、外周面にミシン目刃5cを有している。一方のミシン目付与ロール5aは、他方のミシン目付与ロール5bに対して近接離反するように揺動する。他方のミシン目付与ロール5bは、中心軸回りに回転することでそのミシン目刃5cも回転移動する。ミシン目付与ロール5a、5bの間をペーパ原紙Prが通過している時に互いのミシン目刃5cどうしが合致した際に、ペーパ原紙Prにミシン目Sが付与される。
【0022】
フリーロール12は、上側の巻取りロール2の上方位置に配置されていて、ミシン目付与ロール5a、5bの間を通過したペーパ原紙Prがその外周面に掛け回される。こペーパ原紙Prは、フリーロール12に掛け回されることで向きを変えて上側の巻取りロール2に掛け回される。フリーロール12は外周面に掛け回されたペーパ原紙Prが上側の巻取りロール2に向かって搬送されることでフリーロール12の中心軸回りに回転する。
【0023】
上側の巻取りロール2の側方にはニップロール13が配置されている。ニップロール13は、支点13aを介してアクチュエータ17cに接続されていて、アクチュエータ17cの作動に応じて支点13aを中心にして上側の巻取りロール2に近接離反するように揺動する。上側の巻取りロール2の外周面に沿って搬送されてくるペーパ原紙Prは、上側の巻取りロール2の外周面と回転するニップロール13の外周面とに挟まれて両者の間を通過する。この実施形態では、ニップロール13の外周面が上側の巻取りロール2の外周面(例えば金属面)よりも静止摩擦係数の大きい低摩擦材(例えばゴム材)により形成されている。
【0024】
下側の巻取りロール3の側方から下側の巻取りロール3に向かってシャフト供給部16が延在している。シャフト供給部16は、シャフト6を順次、下側の巻取りロール3の近傍に移動させる。シャフト供給部16としては、傾斜ガイドレールやベルトコンベヤ装置が用いられる。
【0025】
シャフト供給部16の下側の巻取りロール3の近傍位置には、押込みロール9aが配置されている。押込みロール9aは、押込みレバー9の先端部に回転可能に軸支されている。押込みレバー9は、支点9bに支持されていて、押込みカム8の外周面を転動する転動輪8aを有し、アクチュエータ17bが接続されている。回転する押込みカム8の外周面を転動輪8aが転動することで、押込みレバー9は支点9bを中心にして上下に揺動し、これに伴い上下移動する押込みロール9aはシャフト6を上下一対の巻取りロール2、3の間に押し込む。
【0026】
霧ノズル10は、下側の巻取りロール3の側方に配置されている。霧ノズル10は、上側の巻取りロール2と下側の巻取りロール3との間に供給されたシャフト6に向かって水分を噴霧する。
【0027】
エアノズル7およびカッター18は、下側の巻取りロール3の上方位置に配置されている。エアノズル7は、上下一対の巻取りロール2、3の間に供給されたシャフト6の近傍にエアを噴射する。カッター18は、シャフト6に巻き取られるペーパ原紙Prを所定長さに切断する。
【0028】
排出ガイド19は、下側の巻取りロール3の上端側方から斜め下方に傾斜して下側の巻取りロール3から離反する方向に延在している。排出ガイド19には所定長さのペーパ原紙Prが巻き取られたシャフト6が載置されて、このシャフト6を後工程に排出する。
【0029】
ロールストッパ15は、排出ガイド19の上方位置に配置されている。ロールストッパ15は、所定長さのペーパ原紙Prが巻き取られたシャフト6を排出ガイド19の上で一時的に保持する。ロールストッパ15は、シャフト6に巻き取られた所定長さのペーパ原紙Prに当接するプレート15aと、支点15bとを有している。プレート15aにはアクチュエータ17dが接続されている。アクチュエータ17dの作動に応じて支点15bを中心にしてプレート15aが左右に揺動する。
【0030】
以下、この製造装置1を用いてペーパロールRを製造する手順の一例を説明する。
【0031】
最初のセッティングでは、図1に示すように、一対のミシン目付与ロール5a、5bに広幅のペーパ原紙Prを通過させてミシン目Sを入れ、フリーロール12に掛け回した後に、上側の巻取りロール2とニップロール13の間を通過させて上側の巻取りロール2の下方まで導く。ここで、シャフト供給部16によって下側の巻取りロール3の近傍にあるシャフト6を、押込レバー9の先端部に配置されている押込みロール9aによって上下一対の巻取りロール2、3の間に供給して、ペーパ原紙Prの先端部をシャフト6に巻付けた状態にする。ペーパ原紙Prの先端部に対しては、霧ノズル10から水分を噴射してペーパ原紙Prをシャフト6に巻き始める。ペーパ原紙Prの必要長さに水分を噴射した後は噴霧を停止する。
【0032】
次いで、図4に例示するように製造装置1を始動させて、上下一対の巻取りロール2、3およびライダーロール4を同じ方向に回転(右回転)させる。その際に、下側の巻取りロール3の回転速度を上側の巻取りロール2の回転速度よりも若干遅くしてシャフト6に対して左方に移動する力を付与する。この時、上側の巻取りロール2を少し上方に移動させて上下一対の巻取りロール2、3間にシャフト6を通過させてより奥(左方)に移動させ、ペーパ原紙Prが巻付けられたシャフト6が、上下一対の巻取りロール2、3およびライダーロール4に挟まれた状態になる巻取り位置に移動させる。シャフト6を巻取り位置に移動させると上側の巻取りロール2を元に位置に下方移動させる。
【0033】
シャフト6が巻取り位置にある時は、上側の巻取りロール2(支軸2a)の位置も固定して上下一対の巻取りロール2、3の間隔を一定に維持し、上下一対の巻取りロール2、3およびライダーロール4の外周面の周速は同速度に維持される。これにより、シャフト6は上下一対の巻取りロール2、3およびライダーロール4により押圧された状態で、これらロール2、3、4とは反対方向に回転し続けて、ペーパ原紙Prを引き続き巻き取る。この時にシャフト6に巻き取られるペーパ原紙Prの搬送速度(巻取り速度)は例えば500m/分~600m/分である。
【0034】
図5に例示するように、巻取り位置でシャフト6を回転させてペーパ原紙Prを巻取り続けると、シャフト6でのペーパ原紙Prの巻径が増大する。そこで、この巻径の増大に対応させて転動輪11aがライダー巻径制御カム11の外周面を転動することで、ライダーロール4を支点14bを中心にして上方に移動させる。
【0035】
ペーパPが従来に比して高密度に圧縮されて巻回されたペーパロールRを製造するには、図6に例示するように、シャフト6をライダーロール4によって下側の巻取りロール3に向かってより強く押圧してシャフト6に巻き取られたペーパ原紙Prを従来に比して高密度に圧縮する。この製造装置1では、下側の巻取りロール3は常時所定位置に固定されて回転可能に軸支され、シャフト6が巻取り位置にある時は上側の巻取りロール2の位置も固定されて上下一対の巻取りロール2、3の間隔が一定に維持されるので、シャフト6に巻き取られたペーパ原紙Prをより強く圧縮することが可能になる。しかも、ライダーロール4によってペーパ原紙Prをより強く圧縮しても下側の巻取りロール3は、常時所定位置に固定されているので実質的に下方移動しない。これにより、シャフト6に巻き取られたペーパ原紙Prを常に強固に圧縮しつつ、ペーパ原紙Prをシャフト6に巻き取る。
【0036】
このようにして、巻取り位置でペーパ原紙Prをライダーロール4によって強く圧縮しつつ所定長さをシャフト6に巻き取ると、図7に例示するように、ペーパ原紙Prを巻き取ったシャフト6と上側の巻取りロール2との間でペーパ原紙Prを切断する。例えば、シャフト6に所定長さのペーパ原紙Prが巻き取られて、ミシン目Sがシャフト6と上側の巻取りロール2との間に到達すると、突出移動させたカッター18によってペーパ原紙Prをミシン目Sに沿って切断する。
【0037】
所定長さのペーパ原紙Prを巻き取ったシャフト6は、巻取り位置から排出ガイド19に沿って排出される。排出されたシャフト6は、ロールストッパ15のプレート15aを当接させて排出ガイド19の上で一時的に保持される。このシャフト6は、所定長さのペーパ原紙Prを巻き取った次のシャフト6が排出ガイド19に排出される前に、ロールストッパ15による保持が解除されて次工程に送られる。次工程では、シャフト6に所定長さ巻き取られたペーパ原紙Prが1本のトイレットペーパロール幅単位に切断される。
【0038】
シャフト6と上側の巻取りロール2との間でペーパ原紙Prが切断される時には、回転している上下一対の巻取りロール2、3の間に、先のシャフト6と同様に次のシャフト6が押込みロール9aによって供給される。切断されたペーパ原紙Prの新たな先端部に対してはエアノズル7からエアが噴射される。これにより、ペーパ原紙Prの新たな先端部を次のシャフト6に巻付けた状態にする。ペーパ原紙Prの新たな先端部に対しては、霧ノズル10から水分を噴射してペーパ原紙Prを次のシャフト6に巻き始める。このペーパ原紙Prの必要長さに水分を噴射した後は噴霧を停止する。
【0039】
シャフト6は例えば40℃~90℃に加温した状態で上下一対の巻取りロール2、3の間に供給するとよい。これにより、霧ノズル10から噴霧された水分がより早期に蒸発するので、水分が噴射されたペーパ原紙Prの部分がより早期固化してシャフト6にペーパ原紙Prをより安定して巻き取るには有利になる。
【0040】
このシャフト6も先のシャフト6と同様に、下側の巻取りロール3の回転速度を上側の巻取りロール2の回転速度よりも若干遅くして左方に移動する力を付与し、この時、上側の巻取りロール2を少し上方に移動させて上下一対の巻取りロール2、3間にシャフト6を通過させてより奥(左方)の巻取り位置に移動させる。シャフト6を巻取り位置に移動させると上側の巻取りロール2を元に位置に下方移動させる。そして、先のシャフト6と同様に所定長さのペーパ原紙Prを巻き取った後に、巻取り位置から排出ガイド19に沿って排出する。
【0041】
上述のように、この製造装置1では、上下一対の巻取りロール2、3の間に供給したシャフト6を巻取り位置に移動させて所定長さのペーパ原紙Prを巻き取った後に、シャフト6と上側の巻取りロール2との間でペーパ原紙Prを切断して、このシャフト6を巻取り位置から排出するとともに、回転している上下一対の巻取りロール2、3の間に次のシャフト6を供給して巻取り位置に移動させる一連の作業工程を繰り返し連続して行う。この製造装置1では、下側の巻取りロール3が常時所定位置に固定されて回転可能に軸支されているので、ライダーロール4によって下側の巻取りロール3に向かってシャフト6を押圧することでシャフト6に巻き取られたペーパ原紙Prをより強く圧縮することが可能になる。
【0042】
しかも、ライダーロール4によってペーパ原紙Prをより強く圧縮しても下側の巻取りロール3は実質的に下方移動しないので、ペーパ原紙Prを所定長さに切断する度に順次連続的に次のシャフト6が供給される時の上下一対の巻取りロール2、3のすき間が過大になることが回避される。そのため、順次供給されるシャフト6を上下一対の巻取りロール2、3の間に円滑に供給するとともに、このシャフト6にペーパ原紙Prの新たな先端部を確実に巻付けて巻取り位置に移動させるには有利になる。その結果、ペーパ原紙Prを従来に比して高密度に圧縮して、順次供給されるシャフト6に連続して安定的に巻取ることが可能になる。これに伴い、図3に例示するペーパPが従来に比して高密度に圧縮されて巻回されたペーパロールRを生産性よく製造するには有利になる。
【0043】
下側の巻取りロール3のロール長さL1、ライダーロール4のロール長さL2、シャフト6の長さL3の大小関係は、必要に応じて適切に設定される。図6に例示するようにシャフト6の長さL3は、ライダーロール4のロール長さL2および下側の巻取りロール3のロール長さL1よりも長くするとよい。ペーパ原紙Prを巻き取る際に、シャフト6の振れを軽減させるためシャフト6の両端を回転可能に保持(チャック)するので、この長さL3を長さL1および長さL2よりも大きくすると、シャフト6の両端を保持し易くなる。さらに、この長さL1、L2、L3の差をあまり大きくせずに、例えば長さL1および長さL2を、長さL3の80%以上にするとよい。このように、長さL1および長さL2を、長さL3の80%以上100%未満にして互いの差を小さくすることで、シャフト6をライダーロール4と下側の巻取りロール3との間に挟んでライダーロール4によってペーパ原紙Prを押圧して強く圧縮しつつシャフト6に巻き取る場合であっても、下側の巻取りロール3、ライダーロール4およびシャフト6が局部的に変形する抑制される。その結果、シャフト6に巻き取られているペーパ原紙Prを全幅に渡って均一に強く圧縮するには有利になる。
【0044】
シャフト6に所定長さのペーパ原紙Prが巻き取れた時にペーパ原紙Prを切断するには、カッター18を用いるだけでなく、ライダーロール4の回転速度を一瞬だけ加速してペーパ原紙Prに過度の張力を付与して切断することもできる。或いは、このようにライダーロール4の回転速度を一瞬だけ加速するとともに、カッター18を用いてペーパ原紙Prを切断することもできる。
【0045】
この実施形態では、上側の巻取りロール2の外周面に沿って搬送されてくるペーパ原紙Prが、巻取りロール2の外周面と回転するニップロール13の外周面とで挟まれている。そして、ニップロール13の外周面は、上側の巻取りロール2の外周面よりも静止摩擦係数の大きい低摩擦材により形成されている。そのため、ペーパ原紙Prをカッター18やライダーロール4の回転速度を一瞬だけ加速して切断するときに、上側の巻取りロール2とニップロール13との間でペーパ原紙Prのずれ移動が抑制される。これに伴い、ペーパ原紙Prを切断する際にペーパ原紙Prに作用する引張力が増大するので、ペーパ原紙Prを確実に所望の位置で切断するには有利になる。
【0046】
この製造装置1では、巻取り位置でシャフト6にペーパ原紙Prを巻き取る際に、ライダーロール4による押圧力を低減することで、ペーパ原紙Prを従来同様の密度に圧縮、或いは、従来よりも低密度に圧縮してシャフト6に巻き取ることもできる。したがって、この製造装置1を用いて、ペーパPが従来同様の密度、或いは、従来に比して低密度に圧縮されて巻回されたペーパロールRを生産性よく製造することもできる。
【符号の説明】
【0047】
1 製造装置
2 上側の巻取りロール
2a 支軸
2b 支点
3 下側の巻取りロール
3a 支軸
3b 軸受け
4 ライダーロール
4a 支軸
5a、5b ミシン目付与ロール
5c ミシン目刃
6 シャフト
7 エアノズル
8 押込みカム
8a 転動輪
9 押込みレバー
9a 押込みロール
9b 支点
10 霧ノズル
11 ライダー巻径制御カム
11a 転動輪
12 フリーロール
13 ニップロール
13a 支点
14 レバー(リンク体)
14a、14b 支点
15 ロールストッパ
15a プレート
15b 支点
16 シャフト供給部
17a、17b、17c、17d アクチュエータ
18 カッター
19 排出ガイド
Pr ペーパ原紙
P ペーパ
R ペーパロール
S ミシン目
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7