(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120472
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】基板処理方法と基板処理装置と処理液
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
H01L21/304 651Z
H01L21/304 651B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027289
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】國枝 省吾
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 悠太
(72)【発明者】
【氏名】魚波 公希
(72)【発明者】
【氏名】塙 洋祐
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA09
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB41
5F157AB49
5F157AB52
5F157AB90
5F157AC03
5F157AC26
5F157BB23
5F157BF22
5F157BF48
5F157BF54
5F157BF55
5F157BF56
5F157BF59
5F157BF60
5F157BF62
5F157BF72
5F157BF94
5F157CB03
5F157CB14
5F157CB15
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF60
5F157CF74
5F157CF99
5F157DA21
5F157DB33
(57)【要約】
【課題】基板を適切に乾燥できる基板処理方法と基板処理装置と処理液を提供する。
【解決手段】本発明は、基板処理方法と基板処理装置と処理液に関する。基板処理方法は、処理液供給工程と固化膜形成工程と昇華工程を備える。処理液供給工程では、処理液が基板に供給される。処理液は、昇華性物質と溶媒を含む。固化膜形成工程では、溶媒は基板上の処理液から蒸発する。固化膜形成工程では、固化膜が基板上に形成される。固化膜は、昇華性物質を含む。昇華工程では、固化膜は昇華する。固化膜の昇華により、基板は乾燥される。ここで、昇華性物質は、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルの少なくとも1つを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンが形成された基板を処理する基板処理方法であって、
昇華性物質と溶媒を含む処理液を前記基板に供給する処理液供給工程と、
前記基板上の前記処理液から前記溶媒を蒸発させて、前記昇華性物質を含む固化膜を前記基板上に形成する固化膜形成工程と、
前記固化膜を昇華させる昇華工程と、
を備え、
前記昇華性物質は、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルの少なくとも1つを含む
基板処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理方法において、
前記溶媒は、イソプロピルアルコールである
基板処理方法。
【請求項3】
基板処理装置であって、
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部によって保持される前記基板に昇華性物質と溶媒を含む処理液を供給する処理液供給部と、
を備え、
前記昇華性物質は、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルの少なくとも1つを含む
基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置において、
前記溶媒は、イソプロピルアルコールである
基板処理装置。
【請求項5】
パターンが形成された基板の乾燥に用いられる処理液であって、
前記処理液は、
昇華性物質と、
溶媒と、
を含み、
前記昇華性物質は、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルの少なくとも1つを含む
処理液。
【請求項6】
請求項5に記載の処理液において、
前記溶媒は、イソプロピルアルコールである
処理液。
【請求項7】
請求項5に記載の処理液において、
前記処理液は前記基板に供給され、前記基板上の処理液から前記溶媒が蒸発し、前記昇華性物質を含む固化膜が前記基板上に形成され、その後、前記固化膜が昇華する
処理液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理方法と基板処理装置と処理液に関する。基板は、例えば、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、有機EL(Electroluminescence)用基板、FPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基板を乾燥する基板処理方法を開示する。具体的には、特許文献1の基板処理方法は、処理液供給工程と、固化膜形成工程と、昇華工程を備える。処理液供給工程では、処理液は基板に供給される。処理液は、溶媒と昇華性物質を含む。昇華性物質は、シクロヘキサノンオキシムである。固化膜形成工程では、溶媒は蒸発し、固化膜が基板上に形成される。固化膜は、シクロヘキサノンオキシムを含む。昇華工程では、固化膜は昇華する。固化膜は、液体を経ずに、気体に変化する。特許文献1の基板処理方法によれば、基板を適切に乾燥できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の基板処理方法であっても、基板を適切に乾燥できない場合があった。例えば、従来の基板処理方法であっても、基板に形成されるパターンが倒壊する場合があった。例えば、パターンが微細であるとき、従来の基板処理方法はパターンの倒壊を十分に抑制できない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板を適切に乾燥できる基板処理方法と基板処理装置と処理液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明は、パターンが形成された基板を処理する基板処理方法であって、昇華性物質と溶媒を含む処理液を前記基板に供給する処理液供給工程と、前記基板上の前記処理液から前記溶媒を蒸発させて、前記昇華性物質を含む固化膜を前記基板上に形成する固化膜形成工程と、前記固化膜を昇華させる昇華工程と、を備え、前記昇華性物質は、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルの少なくとも1つを含む基板処理方法である。
【0007】
基板処理方法は、パターンが形成された基板を処理するためのものである。基板処理方法は、処理液供給工程と固化膜形成工程と昇華工程を備える。処理液供給工程では、処理液が基板に供給される。処理液は、昇華性物質と溶媒を含む。固化膜形成工程では、溶媒は基板上の処理液から蒸発する。固化膜形成工程では、固化膜が基板上に形成される。固化膜は、昇華性物質を含む。昇華工程では、固化膜は昇華する。固化膜の昇華により、基板は乾燥される。
【0008】
ここで、昇華性物質は、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルの少なくとも1つを含む。このため、固化膜形成工程では、固化膜は基板上に好適に形成される。
【0009】
固化膜は、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルの少なくとも1つを含む。このため、昇華工程では、固化膜は適切に昇華する。すなわち、昇華工程では、基板は適切に乾燥される。具体的には、昇華工程では、基板に形成されるパターンが好適に保護されつつ、基板は乾燥される。
【0010】
以上の通り、本基板処理方法によれば、基板は適切に乾燥される。
【0011】
上述の基板処理方法において、前記溶媒は、イソプロピルアルコールであることが好ましい。イソプロピルアルコールは、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルを好適に溶解する。したがって、基板は、一層適切に乾燥される。
【0012】
本発明は、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部によって保持される前記基板に昇華性物質と溶媒を含む処理液を供給する処理液供給部と、を備え、前記昇華性物質は、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルの少なくとも1つを含む基板処理装置である。
【0013】
基板処理装置は、基板保持部と処理液供給部を備える。基板保持部は、基板を保持する。処理液供給部は、基板保持部によって保持される基板に処理液を供給する。処理液は、昇華性物質と溶媒を含む。
【0014】
ここで、昇華性物質は、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルの少なくとも1つを含む。このため、処理液が基板に供給されたとき、固化膜は基板上に好適に形成される。
【0015】
固化膜は、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルの少なくとも1つを含む。このため、固化膜は、適切に昇華する。すなわち、基板は適切に乾燥される。具体的には、基板に形成されるパターンが好適に保護されつつ、基板は乾燥される。
【0016】
以上の通り、本基板処理装置によれば、基板は適切に乾燥される。
【0017】
上述の基板処理装置において、前記溶媒は、イソプロピルアルコールであることが好ましい。イソプロピルアルコールは、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルを好適に溶解する。したがって、基板は、一層適切に乾燥される。
【0018】
本発明は、パターンが形成された基板の乾燥に用いられる処理液であって、前記処理液は、昇華性物質と、溶媒と、を含み、前記昇華性物質は、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルの少なくとも1つを含む処理液である。
【0019】
処理液は、パターンが形成された基板の乾燥に用いられる。処理液は、具体的には、乾燥補助液である。処理液は、昇華性物質と溶媒を含む。
【0020】
ここで、昇華性物質は、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルの少なくとも1つを含む。このため、処理液を基板に供給することによって、固化膜は基板上に好適に形成される。さらに、固化膜は適切に昇華する。すなわち、基板は適切に乾燥される。具体的には、基板に形成されるパターンが好適に保護されつつ、基板は乾燥される。
【0021】
以上の通り、処理液を用いて、基板は適切に乾燥される。基板を乾燥させるために、処理液は有用である。
【0022】
上述の処理液において、前記溶媒は、イソプロピルアルコールであることが好ましい。イソプロピルアルコールは、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルを好適に溶解する。このため、処理液を用いて、基板は一層適切に乾燥される。基板を乾燥させるために、処理液は一層有用である。
【0023】
上述の処理液において、前記処理液は前記基板に供給され、前記基板上の処理液から前記溶媒が蒸発し、前記昇華性物質を含む固化膜が前記基板上に形成され、その後、前記固化膜が昇華することが好ましい。処理液がこのように使用されるとき、基板は一層適切に乾燥される。処理液がこのように使用されるとき、基板を乾燥させるために処理液は一層有用である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の基板処理方法と基板処理装置と処理液によれば、基板は適切に乾燥される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】実施形態の基板処理装置の内部を示す平面図である。
【
図4】処理ユニットおよび第1供給源の構成を示す図である。
【
図5】実施形態の基板処理方法の手順を示すフローチャートである。
【
図6】処理液供給工程における基板を模式的に示す図である。
【
図7】固化膜形成工程における基板を模式的に示す図である。
【
図8】固化膜形成工程における基板を模式的に示す図である。
【
図9】昇華工程における基板を模式的に示す図である。
【
図10】昇華工程における基板を模式的に示す図である。
【
図11】変形実施形態の処理ユニットおよび第1供給源の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の基板処理方法と基板処理装置と処理液を説明する。
【0027】
<1.基板>
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、有機EL(Electroluminescence)用基板、FPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板である。基板Wは、薄い平板形状を有する。基板Wは、平面視で略円形状を有する。
【0028】
図1は、基板Wの一部を模式的に示す図である。基板Wは、パターンPを有する。パターンPは、基板Wの表面に形成される。
【0029】
パターンPは、例えば、凹凸形状を有する。パターンPは、例えば、凸部W1と凹部Aを有する。凸部W1は、基板Wの一部である。凸部W1は、構造体である。凸部W1は、例えば、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiN)およびポリシリコン膜の少なくともいずれかで構成される。凸部W1は、例えば、基板Wの表面から上方に隆起する。凹部Aは、凸部W1の側方に隣接する。凹部Aは、空間である。凹部Aは、例えば、上方に開放されている。凸部W1は、凹部Aを区画する壁に相当する。
【0030】
<2.処理液(乾燥補助液)>
本明細書では、基板Wの乾燥に用いられる処理液を、単に、「処理液」と呼ぶ。処理液は、基板Wを乾燥させることを補助する機能を有する。処理液は、乾燥補助液と言い換えることができる。
【0031】
処理液は、昇華性物質を含む。昇華性物質は、昇華性を有する。「昇華性」とは、単体、化合物若しくは混合物が、液体を経ずに、固体から気体、又は気体から固体へと相転移する特性である。
【0032】
昇華性物質は、例えば、化合物a、b、c、d、e、fである。
化合物a:o-アセトアニシジド(N-(2-Methoxyphenyl)acetamide)
化合部b:N-エチル-p-トルエンスルホンアミド(N-Ethyl-p-toluenesulfonamide)
化合物c:4-クロロフェニル酢酸(4-Chlorophenylacetic acid)
化合物d:4-メトキシフェニル酢酸(4-Methoxyphenylacetic acid)
化合物e:2-クロロフェニル酢酸(2-Chlorophenylacetic acid)
化合物f:イソフタル酸ジメチル(Dimethyl isophthalate)
【0033】
N-エチル-p-トルエンスルホンアミドは、N-ethyl-4-methylbenzenesulfonamideとも呼ばれる。4-クロロフェニル酢酸は、2-(4-chlorophenyl)acetic acidとも呼ばれる。4-メトキシフェニル酢酸は、2-(4-methoxyphenyl)acetic acidとも呼ばれる。2-クロロフェニル酢酸は、2-(2-chlorophenyl)acetic acidとも呼ばれる。イソフタル酸ジメチルは、dimethyl benzene-1,3-dicarboxylateとも呼ばれる。
【0034】
昇華性物質は、化合物a、b、c、d、e、fの少なくとも1つを含む。例えば、昇華性物質は、化合物aを含む。例えば、昇華性物質は、化合物aと化合物bを含む。例えば、昇華性物質は、化合物a-fを含む。
【0035】
例えば、昇華性物質は、化合物a-fの少なくともいずれかのみからなる。例えば、昇華性物質は、化合物aのみからなる。例えば、昇華性物質は、化合物aと化合物bのみからなる。例えば、昇華性物質は、化合物a-fのみからなる。
【0036】
例えば、昇華性物質は、化合物a-fの少なくともいずれかである。例えば、昇華性物質は、化合物aである。例えば、昇華性物質は、化合物aと化合物bである。例えば、昇華性物質は、化合物a―fである。
【0037】
処理液は、溶媒を含む。溶媒は、昇華性物質を溶解する。処理液中の昇華性物質は、溶媒に溶解されている。すなわち、処理液は、溶媒と、溶媒に溶解された昇華性物質を含む。昇華性物質は、処理液の溶質に相当する。
【0038】
溶媒は、常温において比較的に高い蒸気圧を有する。例えば、常温における溶媒の蒸気圧は、常温における昇華性物質の蒸気圧よりも高いことが好ましい。
【0039】
ここで、常温は、室温を含む。常温は、例えば、5℃以上で35℃以下の範囲内の温度である。常温は、例えば、10℃以上で30℃以下の範囲内の温度である。常温は、例えば、20℃以上で25℃以下の範囲内の温度である。
【0040】
溶媒は、例えば、有機溶剤である。溶媒は、例えば、アルコールである。
【0041】
溶媒は、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)を含む。溶媒は、例えば、イソプロピルアルコールのみからなる。溶媒は、例えば、イソプロピルアルコールである。
【0042】
処理液は、例えば、昇華性物質と溶媒のみからなる。
【0043】
処理液は、例えば、化合物aとイソプロピルアルコールのみからなる。処理液は、例えば、化合物a―fとイソプロピルアルコールのみからなる。
【0044】
処理液に含まれる昇華性物質の体積は、処理液に含まれる溶媒の体積よりも小さい。例えば、処理液の体積比RVは、1[Vol%]以上、かつ、20[Vol%]以下であることが好ましい。ここで、処理液の体積比RVは、処理液に含まれる溶媒の体積に対する処理液に含まれる昇華性物質の体積の割合である。言い換えれば、処理液の体積比RVは、次式によって、規定される。
RV=(処理液に含まれる昇華性物質の体積)/(処理液に含まれる溶媒の体積)*100 [Vol%]
【0045】
<3.基板処理装置の概要>
図2は、実施形態の基板処理装置1の内部を示す平面図である。基板処理装置1は、基板Wに処理を行う。基板処理装置1における処理は、乾燥処理を含む。
【0046】
基板処理装置1は、インデクサ部3と処理ブロック7を備える。処理ブロック7はインデクサ部3に接続される。インデクサ部3は、処理ブロック7に基板Wを供給する。処理ブロック7は、基板Wに処理を行う。インデクサ部3は、処理ブロック7から基板Wを回収する。
【0047】
本明細書では、便宜上、インデクサ部3と処理ブロック7が並ぶ方向を、「前後方向X」と呼ぶ。前後方向Xは水平である。前後方向Xのうち、処理ブロック7からインデクサ部3に向かう方向を「前方」と呼ぶ。前方と反対の方向を「後方」と呼ぶ。前後方向Xと直交する水平方向を、「幅方向Y」と呼ぶ。「幅方向Y」の一方向を適宜に「右方」と呼ぶ。右方とは反対の方向を「左方」と呼ぶ。水平方向に対して垂直な方向を「鉛直方向Z」と呼ぶ。各図では、参考として、前、後、右、左、上、下を適宜に示す。
【0048】
インデクサ部3は、複数(例えば、4つ)のキャリア載置部4を備える。各キャリア載置部4はそれぞれ、1つのキャリアCを載置する。キャリアCは、複数枚の基板Wを収容する。キャリアCは、例えば、FOUP(Front Opening Unified Pod)、SMIF(Standard Mechanical Interface)、または、OC(Open Cassette)である。
【0049】
インデクサ部3は、搬送機構5を備える。搬送機構5は、キャリア載置部4の後方に配置される。搬送機構5は、基板Wを搬送する。搬送機構5は、キャリア載置部4に載置されるキャリアCにアクセス可能である。搬送機構5はハンド5aとハンド駆動部5bを備える。ハンド5aは、基板Wを支持する。ハンド駆動部5bは、ハンド5aに連結される。ハンド駆動部5bは、ハンド5aを移動させる。ハンド駆動部5bは、例えば、前後方向X、幅方向Yおよび鉛直方向Zにハンド5aを移動させる。ハンド駆動部5bは、例えば、水平面内においてハンド5aを回転させる。
【0050】
処理ブロック7は、搬送機構8を備える。搬送機構8は、基板Wを搬送する。搬送機構8と搬送機構5は、相互に、基板Wを受け渡し可能である。搬送機構8は、ハンド8aとハンド駆動部8bを備える。ハンド8aは、基板Wを支持する。ハンド駆動部8bは、ハンド8aに連結される。ハンド駆動部8bは、ハンド8aを移動させる。ハンド駆動部8bは、例えば、前後方向X、幅方向Yおよび鉛直方向Zにハンド8aを移動させる。ハンド駆動部8bは、例えば、水平面内においてハンド8aを回転させる。
【0051】
処理ブロック7は、複数の処理ユニット(チャンバ)11を備える。処理ユニット11は、搬送機構8の側方に配置される。各処理ユニット11は、基板Wに処理を行う。
【0052】
処理ユニット11は、基板保持部13を備える。基板保持部13は、基板Wを保持するように構成されている。基板保持部13は、バキュームチャック、ベルヌーイチャック、およびチャックピン等の少なくともいずれかを備える。バキュームチャックおよびベルヌーイチャックはそれぞれ、基板Wを吸着保持する。バキュームチャックは、例えば、基板Wの中央を吸着保持する。ベルヌーイチャックも、例えば、基板Wの中央を吸着保持する。チャックピンは、基板Wを把持する。チャックピンは、例えば、基板Wの端面を把持する。
【0053】
搬送機構8は、各処理ユニット11にアクセス可能である。搬送機構8は、基板保持部13に基板Wを渡すことができる。搬送機構8は、基板保持部13から基板Wを取ることができる。
【0054】
図3は、基板処理装置1の制御ブロック図である。基板処理装置1は、制御部10を備える。制御部10は、搬送機構5、8および処理ユニット11と通信可能である。制御部10は、搬送機構5、8と処理ユニット11を制御する。
【0055】
制御部10は、各種処理を実行する中央演算処理装置(CPU)、演算処理の作業領域となるRAM(Random-Access Memory)、固定ディスク等の記憶媒体等によって実現されている。制御部10は、記憶媒体に予め格納される各種の情報を有する。制御部10が有する情報は、例えば、搬送機構5、8を制御するための搬送条件情報である。制御部10が有する情報は、例えば、処理ユニット11を制御するための処理条件情報である。処理条件情報は、処理レシピとも呼ばれる。
【0056】
図2を参照する。基板処理装置1の動作例を簡単に説明する。
【0057】
搬送機構5、8は、キャリアCから処理ユニット11に基板Wを搬送する。具体的には、搬送機構5は、キャリアCから基板Wを搬出する。そして、搬送機構5は、キャリアCから搬送機構8に基板Wを搬送する。搬送機構8は、搬送機構5から処理ユニット11に基板Wを搬送する。搬送機構8は、処理ユニット11の基板保持部13に基板Wを渡す。
【0058】
処理ユニット11は、基板Wを処理する。処理ユニット11は、基板保持部13によって保持された基板Wを処理する。処理ユニット11は、例えば、基板Wに乾燥処理を行う。
【0059】
処理ユニット11が基板Wを処理した後、搬送機構5、8は、各処理ユニット11からキャリアCに基板Wを搬送する。具体的には、搬送機構8は、処理ユニット11の基板保持部13から基板Wを取る。搬送機構8は、処理ユニット11から搬送機構5に基板Wを搬送する。搬送機構8は、搬送機構5からキャリアCに搬送する。搬送機構8は、キャリアCに基板Wを搬入する。
【0060】
<4.処理ユニット11の構成>
図4は、処理ユニット11の構成を示す図である。各処理ユニット11は、同一の構造を有する。処理ユニット11は、枚葉式に分類される。すなわち、各処理ユニット11は、一度に1枚の基板Wのみを処理する。
【0061】
処理ユニット11は、筐体12を備える。筐体12は、略箱形状を有する。基板Wは、筐体12の内部において、処理される。
【0062】
筐体12の内部は、常温に保たれる。筐体12の内部における気体の温度は、常温に保たれる。このため、基板Wは、常温の環境の下で、処理される。
【0063】
筐体12の内部は、常圧に保たれる。筐体12の内部における気体の圧力は、常圧に保たれる。このため、基板Wは、常圧の環境の下で、処理される。
【0064】
ここで、常圧は、標準大気圧(1気圧、101325Pa)を含む。常圧は、例えば、0.7気圧以上で、1.3気圧以下の範囲内の気圧である。本明細書では、圧力の値は、絶対真空を基準とした絶対圧力で、示される。
【0065】
上述した基板保持部13は、筐体12の内部に設置される。基板保持部13は、1枚の基板Wを保持する。基板保持部13は、基板Wを略水平姿勢で保持する。
【0066】
基板保持部13は、基板保持部13が保持する基板Wの下方に位置する。基板保持部13は、基板Wの下面および基板Wの周縁部の少なくともいずれかと接触する。基板Wの下面は、基板Wのバックサイドとも呼ばれる。基板保持部13は、基板Wの上面と接触しない。
【0067】
処理ユニット11は、回転駆動部14を備える。回転駆動部14の少なくとも一部は、筐体12の内部に設置される。回転駆動部14は、基板保持部13に連結される。回転駆動部14は、基板保持部13を回転させる。基板保持部13によって保持される基板Wは、基板保持部13と一体に回転する。基板保持部13によって保持される基板Wは、回転軸線B回りに回転する。回転軸線Bは、例えば、基板Wの中心を通り、鉛直方向Zに延びる。
【0068】
処理ユニット11は、供給部15を備える。供給部15は、基板保持部13によって保持される基板Wに、液体または気体を供給する。具体的には、供給部15は、基板保持部13によって保持される基板Wの上面に、液体または気体を供給する。
【0069】
供給部15は、第1供給部15aと第2供給部15bと第3供給部15cと第4供給部15dと第5供給部15eを備える。第1供給部15aは、上述の処理液を供給する。第2供給部15bは、薬液を供給する。第3供給部15cは、リンス液を供給する。第4供給部15dは、置換液を供給する。第5供給部15eは、乾燥ガスを供給する。
【0070】
第1供給部15aは、本発明における処理液供給部の例である。
【0071】
上述の通り、筐体12の内部は、常温および常圧である。このため、処理液は、常温の環境の下で、使用される。処理液は、常圧の環境の下で、使用される。
【0072】
第2供給部15bによって供給される薬液は、例えば、エッチング液である。エッチング液は、例えば、フッ化水素酸(HF)およびバッファードフッ酸(BHF)の少なくともいずれかを含む。
【0073】
第3供給部15cによって供給されるリンス液は、例えば、脱イオン水(DIW)である。
【0074】
第4供給部15dによって供給される置換液は、例えば、有機溶剤である。置換液は、例えば、イソプロピルアルコールである。
【0075】
第5供給部15eによって供給される乾燥ガスは、例えば、エアおよび不活性ガスの少なくともいずれかである。エアは、例えば、圧縮エアである。不活性ガスは、例えば、窒素ガスである。乾燥ガスは、常温よりも低い露点を有することが好ましい。
【0076】
第1供給部15aは、ノズル16aを備える。同様に、第2-第5供給部15b-15eはそれぞれ、ノズル16b-16eを備える。ノズル16a-16eはそれぞれ、筐体12の内部に設置される。ノズル16aは、処理液を吐出する。ノズル16bは、薬液を吐出する。ノズル16cは、リンス液を吐出する。ノズル16dは、置換液を吐出する。ノズル16eは、乾燥ガスを吐出する。
【0077】
第1供給部15aは、配管17aと弁18aを備える。配管17aは、ノズル16aに接続される。弁18aは、配管17aに設けられる。弁18aが開くとき、ノズル16aは処理液を吐出する。弁18aが閉じるとき、ノズル16aは処理液を吐出しない。同様に、第2-第5供給部15b-15eはそれぞれ、配管17b-17eと弁18b-18eを備える。配管17b-17eはそれぞれ、ノズル16b-16eに接続される。弁18b-18eはそれぞれ、配管17b-17eに設けられる。弁18b-18eはそれぞれ、薬液、リンス液、置換液および乾燥ガスの吐出を制御する。
【0078】
配管17aの少なくとも一部は、筐体12の外部に設けられてもよい。配管17b-17eも、配管17aと同様に配置されてもよい。弁18aは、筐体12の外部に設けられてもよい。弁18b-18eも、弁18aと同様に配置されてもよい。
【0079】
基板処理装置1は、第1供給源19aを備える。第1供給源19aは、第1供給部15aに接続される。第1供給源19aは、例えば、配管17aに接続される。第1供給源19aは、第1供給部15aに連通する。第1供給源19aは、第1供給部15aに処理液を送る。
【0080】
第2供給部15bは、第2供給源19bに接続される。例えば、配管17bは、第2供給源19bに接続される。第2供給部15bは、第2供給源19bに連通する。第2供給源19bは、第2供給部15bに薬液を送る。同様に、第3-第5供給部15c-15eはそれぞれ、第3-第5供給源19c-19eに接続される。例えば、配管17c-17eはそれぞれ、第3-第5供給源19c-19eに接続される。第3-第5供給部15c-15eはそれぞれ、第3-第5供給源19c-19eに連通する。第3供給源19cは、第3供給部15cにリンス液を送る。第4供給源19dは、第4供給部15dに置換液を送る。第5供給源19eは、第5供給部15eに乾燥ガスを送る。
【0081】
第1供給源19aは、筐体12の外部に設けられる。同様に、第2-第5供給源19b-19eはそれぞれ、筐体12の外部に設けられる。
【0082】
第1供給源19aは、複数の処理ユニット11に対して、処理液を供給してもよい。あるいは、第1供給源19aは、1つの処理ユニット11のみに、処理液を供給してもよい。第2-第5供給源19b-19eについても、同様である。
【0083】
第2供給源19bは、基板処理装置1の要素であってもよい。例えば、第2供給源19bは、基板処理装置1が備える薬液槽であってもよい。あるいは、第2供給源19bは、基板処理装置1の要素でなくてもよい。例えば、第2供給源19bは、基板処理装置1の外部に設置されるユーティリティ設備であってもよい。同様に、第3-第5供給源19c-19eはそれぞれ、基板処理装置1の要素であってもよい。あるいは、第3-第5供給源19c-19eはそれぞれ、基板処理装置1の要素でなくてもよい。
【0084】
処理ユニット11は、さらに、不図示のカップを備えてもよい。カップは、筐体12の内部に設置される。カップは、基板保持部13の周囲に配置される。カップは、基板保持部13に保持される基板Wから飛散した液体を受け止める。
【0085】
図3を参照する。制御部10は、回転駆動部14を制御する。制御部10は、供給部15を制御する。制御部10は、弁18a-18eを制御する。
【0086】
<5.第1供給源19aの構成>
図4を、参照する。第1供給源19aは、さらに、処理液を生成する。
【0087】
第1供給源19aの構成例を例示する。第1供給源19aは、生成ユニット21と圧送ユニット31に区分される。生成ユニット21は、処理液を生成する。圧送ユニット31は、処理液を第1供給部15aに送る。
【0088】
生成ユニット21は、槽22と供給部23a、23bを備える。供給部23aは、昇華性物質を槽22に供給する。供給部23bは、溶媒を槽22に供給する。昇華性物質と溶媒は、槽22において、混合される。昇華性物質と溶媒は、槽22において、処理液gになる。
【0089】
槽22は、常温の環境の下に、設置される。槽22は、常圧の環境の下に、設置される。このため、処理液gは、常温の環境の下で、生成される。処理液gは、常圧の環境の下で、生成される。
【0090】
さらに、生成ユニット21は、処理液gを保管する。具体的には、処理液gは、槽22において、保管される。このため、処理液gは、常温の環境の下で、保管される。処理液gは、常圧の環境の下で、保管される。
【0091】
供給部23aは、例えば、配管24aと弁25aを備える。配管24aは、槽22に接続される。配管24aは、槽22に連通する。弁25aは、配管24aに設けられる。弁25aが開くとき、供給部23aは槽22に昇華性物質を供給する。弁25aが閉じるとき、供給部23aは槽22に昇華性物質を供給しない。同様に、供給部23bは、配管24bと弁25bを備える。配管24bは、槽22に接続される。配管24bは、槽22に連通する。弁25bは、配管24bに設けられる。弁25bは、槽22に対する溶媒の供給を制御する。
【0092】
さらに、槽22における昇華性物質の量は、弁25aによって制御される。槽22における溶媒の量は、弁25bによって制御される。よって、槽22内の処理液gの体積比RVは、弁25a、25bによって制御される。
【0093】
弁25a、25bはそれぞれ、例えば、流量調節弁を含んでもよい。弁25a、25bはそれぞれ、例えば、流量調節弁と開閉弁を含んでもよい。
【0094】
供給部23aは、供給源26aに接続される。例えば、配管24aは、供給源26aに接続される。供給部23aは、供給源26aに連通する。供給源26aは、供給部23aに昇華性物質を送る。同様に、供給部23bは、供給源26bに接続される。例えば、配管24bは、供給源26bに接続される。供給部23bは、供給源26bに連通する。供給源26bは、供給部23bに溶媒を送る。
【0095】
圧送ユニット31は、配管32と継ぎ手33を備える。配管32は、槽22に接続される。配管32は、槽22に連通する。継ぎ手33は、配管32に接続される。継ぎ手33は、さらに、配管17aに接続される。配管32は、継ぎ手33を介して、配管17aに接続される。配管32は、継ぎ手33を介して、配管17aに連通する。このため、槽22は、配管32および継ぎ手33を介して、第1供給部15aに接続される。槽22は、配管32および継ぎ手33を介して、第1供給部15aに連通する。よって、槽22は、ノズル16aに接続される。槽22は、ノズル16aに連通する。
【0096】
圧送ユニット31は、さらに、ポンプ34とフィルタ35を備える。ポンプ34は、配管32に設けられる。ポンプ34が運転するとき、ポンプ34は槽22から第1供給部15aに処理液gを送る。ポンプ34が運転を停止するとき、ポンプ34は槽22から第1供給部15aに処理液gを送らない。フィルタ35は、配管32に設けられる。処理液gは、フィルタ35を通過する。フィルタ35は、処理液gを濾過する。フィルタ35は、処理液gから異物を除去する。
【0097】
図3を参照する。制御部10は、第1供給源19aと通信可能である。制御部10は、第1供給源19aを制御する。制御部10は、生成ユニット21を制御する。制御部10は、供給部23a、23bを制御する。制御部10は、弁25a、25bを制御する。制御部10は、圧送ユニット31を制御する。制御部10は、ポンプ34を制御する。
【0098】
制御部10は、第1供給源19aを制御するための処理液条件情報を有する。処理液条件情報は、例えば、処理液gの体積比RVに関する目標値を含む。処理液条件情報は、制御部10の記憶媒体に予め記憶されている。
【0099】
<6.第1供給源19aおよび処理ユニット11の動作例>
図5は、実施形態の基板処理方法の手順を示すフローチャートである。基板処理方法は、ステップS1とステップS11-S18を備える。ステップS1は、第1供給源19aによって実行される。ステップS11-S18は、実質的に処理ユニット11によって実行される。ステップS1は、ステップS11-S18と並行して実行される。第1供給源19aおよび処理ユニット11は、制御部10の制御にしたがって、動作する。
【0100】
適宜に
図4を参照して、各ステップS1、S11-S18を説明する。
【0101】
ステップS1:処理液生成工程
処理液生成工程では、処理液gが生成される。
【0102】
生成ユニット21は、処理液gを生成する。具体的には、供給部23aは、昇華性物質を槽22に供給する。供給部23bは、溶媒を槽22に供給する。昇華性物質と溶媒は、槽22において混合される。すなわち、処理液gは、槽22において生成される。処理液gは、槽22に貯留される。
【0103】
制御部10は、弁25a、25bを制御する。これにより、制御部10は、槽22内における処理液gの体積比RVを、処理液条件情報に規定される目標値に調整する。
【0104】
ステップS11:回転開始工程
基板保持部13は、基板Wを保持する。基板Wは、略水平姿勢で保持される。回転駆動部14は、基板保持部13を回転させる。これにより、基板保持部13に保持される基板Wは、回転を開始する。
【0105】
後述のステップS12-S17では、基板Wは、例えば、回転し続ける。
【0106】
ステップS12:薬液供給工程
薬液供給工程では、薬液が基板Wに供給される。
【0107】
第2供給部15bは、基板保持部13によって保持される基板Wに薬液を供給する。具体的には、弁18bは開く。ノズル16bは薬液を吐出する。薬液は、基板Wの上面に供給される。例えば、薬液は、基板Wをエッチングする。例えば、薬液は、基板Wから自然酸化膜を除去する。
【0108】
その後、第2供給部15bは、基板Wに対する薬液の供給を停止する。具体的には、弁18bは閉じる。ノズル16bは、薬液の吐出を停止する。
【0109】
ステップS13:リンス液供給工程
リンス液供給工程では、リンス液が基板Wに供給される。
【0110】
第3供給部15cは、基板保持部13によって保持される基板Wにリンス液を供給する。具体的には、弁18cは開く。ノズル16cは、リンス液を吐出する。リンス液は、基板Wの上面に供給される。例えば、リンス液は、基板Wを洗浄する。例えば、リンス液は、基板Wから薬液を除去する。
【0111】
その後、第3供給部15cは、基板Wに対するリンス液の供給を停止する。具体的には、弁18cは閉じる。ノズル16cは、リンス液の吐出を停止する。
【0112】
ステップS14:置換液供給工程
置換液供給工程では、置換液が基板Wに供給される。
【0113】
第4供給部15dは、基板保持部13によって保持される基板Wに置換液を供給する。具体的には、弁18dは開く。ノズル16dは、置換液を吐出する。置換液は、基板Wの上面に供給される。置換液は、基板Wからリンス液を除去する。基板W上のリンス液は置換液に置き換えられる。
【0114】
その後、第4供給部15dは、基板Wに対する置換液の供給を停止する。具体的には、弁18dは閉じる。ノズル16dは、置換液の吐出を停止する。
【0115】
ステップS15:処理液供給工程
処理液供給工程では、処理液gが基板Wに供給される。
【0116】
圧送ユニット31は、処理液gを第1供給部15aに供給する。第1供給部15aは、基板保持部13によって保持される基板Wに処理液gを供給する。具体的には、ポンプ34は、槽22から第1供給部15aに、処理液gを送る。弁18aは開く。ノズル16aは、処理液gを吐出する。処理液gは、基板Wの上面に供給される。処理液gは、基板Wから置換液を除去する。基板W上の置換液は、処理液gに置き換えられる。
【0117】
その後、圧送ユニット31は、第1供給部15aに対する処理液gの供給を停止する。第1供給部15aは、基板Wに対する処理液gの供給を停止する。具体的には、ポンプ34は停止する。弁18aは閉じる。ノズル16aは、処理液gの吐出を停止する。
【0118】
図6は、処理液供給工程における基板Wを模式的に示す図である。基板Wが基板保持部13に保持されるとき、パターンPは基板Wの上面に位置する。基板Wが基板保持部13に保持されるとき、パターンPは上方を向く。基板Wが基板保持部13に保持されるとき、凸部W1は上方に延びる。
【0119】
基板W上の処理液gは、液膜Gを形成する。液膜Gは、基板W上に位置する。液膜Gは、基板Wと接する。液膜Gは、基板Wを覆う。液膜Gは、基板Wの上面を覆う。
【0120】
パターンPの全部は、液膜Gに浸漬される。凸部W1の全部は、液膜Gに浸漬される。凹部Aは、液膜Gで満たされる。凹部Aの全部は、液膜Gのみで満たされる。
【0121】
液膜Gは、上面G1を有する。上面G1は、パターンPよりも高い位置に位置する。上面G1の全部は、パターンPの全部よりも高い位置に位置する。上面G1は、パターンPと交わらない。具体的には、上面G1は、凸部W1よりも高い位置に位置する。上面G1の全部は、凸部W1の全部よりも高い位置に位置する。上面G1は、凸部W1と交わらない。
【0122】
なお、置換液は、既に、処理液gによって、基板Wから除去された。このため、置換液は、基板W上に存在しない。置換液は、凹部Aに残らない。
【0123】
気体Jは、液膜Gの上方に存在する。パターンPは、気体Jと接しない。パターンPは、気体Jに露出しない。凸部W1は、気体Jと接しない。凸部W1は、気体Jに露出しない。
【0124】
気体Jは、液膜Gと接する。気体Jは、上面G1と接する。上面G1は、液膜Gと気体Jの間の気液界面に相当する。したがって、パターンPは、液膜Gと気体Jの間の気液界面と交わらない。凸部W1は、液膜Gと気体Jの間の気液界面と交わらない。このため、パターンPは、処理液gの表面張力を受けない。凸部W1は、処理液gの表面張力を受けない。
【0125】
処理液供給工程では、さらに、上面G1の高さ位置を調整してもよい。例えば、ノズル16aが処理液gを基板Wに供給しながら、上面G1の高さ位置を調整してもよい。例えば、ノズル16aが処理液gの供給を停止した後に、上面G1の高さ位置を調整してもよい。例えば、基板Wの回転速度を調節することによって、上面G1の高さ位置を調整してもよい。例えば、基板Wの回転時間を調節することによって、上面G1の高さ位置を調整してもよい。
【0126】
ここで、上面G1の高さ位置を調整することは、液膜Gの厚みHを調整することに相当する。液膜Gの厚みHは、例えば、凸部W1の下端W1aと上面G1との間の鉛直方向Zにおける距離である。
【0127】
ステップS16:固化膜形成工程
固化膜形成工程では、溶媒は基板W上の処理液gから蒸発する。固化膜形成工程では、固化膜が基板W上に形成される。固化膜は昇華性物質を含む。
【0128】
図7は、固化膜形成工程における基板Wを模式的に示す図である。上述の通り、溶媒は、比較的に高い蒸気圧を有する。常温において、溶媒の蒸気圧は、昇華性物質の蒸気圧よりも高い。このため、溶媒は、円滑に、基板W上の処理液gから蒸発する。溶媒は、円滑に、液体から気体に変化する。
【0129】
溶媒が基板W上の処理液gから蒸発するとき、溶媒は基板W上の処理液gから去る。溶媒が基板W上の処理液gから蒸発するにしたがって、液膜Gに含まれる溶媒の量は減少する。液膜Gに含まれる溶媒の量が減少するにしたがって、液膜Gの体積比RVは上昇する。
【0130】
やがて、液膜G中の昇華性物質は基板W上において析出し始める。すなわち、昇華性物質は、処理液gの溶質から、固相の昇華性物質に変わる。固相の昇華性物質は、固化膜Kを形成する。固化膜Kは、溶媒を含まない。固化膜Kは、固体である。固化膜Kは、基板W上に形成される。
【0131】
昇華性物質の析出によって、液膜Gは徐々に固化膜Kに変わる。溶媒の蒸発および昇華性物質の析出によって、液膜Gは徐々に減少する。昇華性物質の析出によって、固化膜Kは徐々に増大する。
【0132】
まず、液膜Gの上部が、固化膜Kに変わる。固化膜Kは、液膜Gの上方に位置する。固化膜Kは、液膜Gの上面G1を覆う。
【0133】
固化膜Kが上面G1の全部を覆ったとき、固化膜Kは液膜Gを気体Jから隔てる。液膜Gは固化膜Kと接する。気体Jは固化膜Kと接する。液膜Gは、気体Jと接しない。上面G1は、気体Jと接しない。液膜Gと気体Jの間の気液界面は、消失する。
【0134】
このため、パターンPは、気液界面と交わらない。凸部W1は、気液界面と交わらない。よって、パターンPは、処理液gの表面張力を受けない。凸部W1は、処理液gの表面張力を受けない。
【0135】
固化膜Kが増大するにしたがって、上面G1の高さ位置は徐々に低くなる。固化膜Kが増大するにしたがって、液膜Gの厚みHは徐々に小さくなる。液膜Gが凸部W1に有意な力を作用することなく、液膜Gは減少する。溶媒が凸部W1に有意な力を作用することなく、溶媒は基板Wから去る。
【0136】
図8は、固化膜形成工程における基板Wを模式的に示す図である。
図8は、例えば、固化膜形成工程の終了時における基板Wを模式的に示す。固化膜形成工程の終了時、液膜Gの全部は基板W上から消失する。液膜Gは凹部Aに残らない。溶媒の全部は基板W上から消失する。溶媒も凹部Aに残らない。
【0137】
固化膜形成工程の終了時、固化膜Kのみが基板W上に存在する。凹部Aは、固化膜Kで満たされる。凹部Aの全部は、固化膜Kのみで満たされる。パターンPは、固化膜Kと接する。固化膜Kは、パターンPを支持する。固化膜Kは、パターンPを保護する。例えば、パターンPが倒壊することを、固化膜Kは防止する。凸部W1は、固化膜Kと接する。固化膜Kは、凸部W1を支持する。固化膜Kは、凸部W1を保護する。例えば、凸部W1が倒壊することを、固化膜Kは防止する。
【0138】
ステップS17:昇華工程
昇華工程では、固化膜Kは昇華する。
【0139】
第5供給部15eは、基板保持部13によって保持される基板Wに乾燥ガスを供給する。具体的には、弁18eは開く。ノズル16eは、乾燥ガスを吐出する。ノズル16eは、基板Wに乾燥ガスを吹き出す。乾燥ガスは、基板Wの上面に供給される。乾燥ガスは、固化膜Kに供給される。固化膜Kは、乾燥ガスに晒される。これにより、固化膜Kは昇華する。固化膜Kは、液体を経ずに、気体に変化する。固化膜Kの昇華によって、固化膜Kは基板Wから除去される。
【0140】
その後、第5供給部15eは、固化膜Kに対する乾燥ガスの供給を停止する。具体的には、弁18eは閉じる。ノズル16eは、乾燥ガスの吹き出しを停止する。
【0141】
図9は、昇華工程における基板Wを模式的に示す図である。固化膜Kが昇華するに従って、固化膜Kは徐々に減少する。固化膜Kが昇華するに従って、固化膜Kは徐々に薄くなる。パターンPは、気体Jに露出し始める。凸部W1は、気体Jに露出し始める。
【0142】
固化膜が昇華するとき、固化膜Kは、パターンPに有意な力を作用しない。固化膜KがパターンPに有意な力を作用することなく、固化膜Kは基板Wから去る。固化膜が昇華するとき、固化膜Kは、凸部W1に有意な力を作用しない。固化膜Kが凸部W1に有意な力を作用することなく、固化膜Kは基板Wから去る。
【0143】
固化膜Kが昇華するとき、固化膜Kは液体に変化しない。このため、昇華工程では、液体は、基板W上に発生しない。昇華工程では、液体は、基板W上に存在しない。昇華工程では、液体は、凹部Aに存在しない。昇華工程では、気液界面は、パターンPの近傍に発生しない。よって、昇華工程では、パターンPは、気液界面と交わらない。昇華工程では、凸部W1は、気液界面と交わらない。
【0144】
図10は、昇華工程における基板Wを模式的に示す図である。
図10は、例えば、昇華工程の終了時における基板Wを模式的に示す。昇華工程の終了時、固化膜Kの全部は、基板W上から消失する。固化膜Kは、基板W上に存在しない。液体も、基板W上に存在しない。パターンPの全部は、気体Jに露出する。凸部W1の全部は、気体Jに露出する。凹部Aの全部は、気体Jのみで満たされる。基板Wは、乾燥される。
【0145】
上述した処理液供給工程、固化膜形成工程および昇華工程における処理は、乾燥処理の例である。上述した処理液供給工程、固化膜形成工程および昇華工程における処理は、処理液gの使用例に相当する。処理液gの使用例を、改めて、以下にまとめる。処理液gは基板Wに供給され、基板W上の処理液gから溶媒が蒸発し、昇華性物質を含む固化膜Kが基板W上に形成され、その後、固化膜Kが昇華する。処理液gは、常温の環境の下で、使用される。処理液gは、常圧の環境の下で、使用される。
【0146】
ステップS18:回転停止工程
回転駆動部14は、基板保持部13の回転を停止する。基板保持部13に保持される基板Wは、回転を停止する。基板Wは、静止する。処理ユニット11は、基板Wに対する処理を終了する。
【0147】
<7.処理液gの技術的意義>
実施例1-6によって、処理液gの技術的意義を説明する。
【0148】
実施例1の条件を説明する。実施例1では、薬液供給工程とリンス液供給工程と置換液供給工程と処理液供給工程と固化膜形成工程と昇華工程を含む一連の処理を、基板Wは受ける。
【0149】
薬液供給工程で使用される薬液は、フッ化水素酸である。フッ化水素酸は、フッ化水素と水の混合液である。フッ化水素と水の体積比は、以下の通りである。
フッ化水素:水=1:10(体積比)
【0150】
リンス液供給工程で使用されるリンス液は、脱イオン水である。
【0151】
置換液供給工程で使用される置換液は、イソプロピルアルコールである。
【0152】
処理液供給工程で使用される処理液gは、昇華性物質と溶媒からなる。昇華性物質は、化合物aである。具体的には、昇華性物質は、o-アセトアニシジドである。溶媒は、イソプロピルアルコールである。処理液gの体積比RVは、2.5[Vol%]である。
【0153】
固化膜形成工程では、1500rpmの回転速度で、基板Wを回転する。
【0154】
昇華工程では、1500rpmの回転速度で、基板Wを回転しつつ、乾燥ガスを基板Wに供給する。
【0155】
実施例2の条件を説明する。実施例2では、昇華性物質は、化合物bである。具体的には、実施例2では、昇華性物質は、N-エチル-p-トルエンスルホンアミドである。これ以外の条件については、実施例2は実施例1と同じである。
【0156】
実施例3の条件を説明する。実施例3では、昇華性物質は、化合物cである。具体的には、実施例3では、昇華性物質は、4-クロロフェニル酢酸である。これ以外の条件については、実施例3は実施例1と同じである。
【0157】
実施例4の条件を説明する。実施例4では、昇華性物質は、化合物dである。具体的には、実施例4では、昇華性物質は、4-メトキシフェニル酢酸である。これ以外の条件については、実施例4は実施例1と同じである。
【0158】
実施例5の条件を説明する。実施例5では、昇華性物質は、化合物eである。具体的には、実施例5では、昇華性物質は、2-クロロフェニル酢酸である。これ以外の条件については、実施例5は実施例1と同じである。
【0159】
実施例6の条件を説明する。実施例6では、昇華性物質は、化合物fである。具体的には、実施例6では、昇華性物質は、イソフタル酸ジメチルである。これ以外の条件については、実施例6は実施例1と同じである。
【0160】
実施例1-6で処理された各基板Wは、平均倒壊率Eaによって、評価された。
【0161】
平均倒壊率Eaは、以下のようにして求められる。平均倒壊率Eaは、複数の局所倒壊率Eiの平均値である。局所倒壊率Eiは、局所エリアFiにおける倒壊率である。iは、1からNFまでの任意の自然数である。数NFは、局所エリアFiの数である。数NFは、2以上の自然数である。各局所エリアFiは、基板Wの微小領域である。各局所エリアFiは、例えば、走査型電子顕微鏡によって50,000倍に拡大される。観察者は、各局所エリアFiにおけるパターンPを観察する。観察者は、各局所エリアFiにおける凸部W1を1つずつ観察する。観察者は、各局所エリアFiにおける凸部W1を1つずつ評価する。観察者は、各局所エリアFiにおける凸部W1を1つずつ判定する。具体的には、観察者は、凸部W1が倒壊したか否かを、各凸部W1について、判定する。観察者は、各凸部W1を、倒壊した凸部W1および倒壊してない凸部W1のいずれかに分類する。ここで、局所エリアFiにおいて観察された凸部W1の数を、NAiとする。局所エリアFiにおいて倒壊した凸部W1の数を、NBiとする。数NBiは、数NAi以下である。局所倒壊率Eiは、数NAiに対する数NBiの割合である。局所倒壊率Eiは、例えば、次式によって、規定される。
Ei=NBi/NAi*100 (%)
平均倒壊率Eaは、各局所倒壊率Eiの和を、数NFで除した値である。
【0162】
実施例1では、平均倒壊率Eaは1.35%であった。実施例2では、平均倒壊率Eaは1.95%であった。実施例3では、平均倒壊率Eaは3.14%であった。実施例4では、平均倒壊率Eaは2.12%であった。実施例5では、平均倒壊率Eaは1.93%であった。実施例6では、平均倒壊率Eaは4.70%であった。
【0163】
実施例1-6の平均倒壊率Eaは、十分に低い。このため、実施例1-6では、パターンPの倒壊は好適に抑制された。言い換えれば、実施例1-6では、パターンPは好適に保護された。よって、実施例1-6では、基板Wは適切に乾燥された。具体的には、基板Wに形成されるパターンPが好適に保護されつつ、基板Wは乾燥された。
【0164】
<8.実施形態の効果>
実施形態の基板処理方法は、パターンPが形成された基板Wを処理するためのものである。基板処理方法は、処理液供給工程と固化膜形成工程と昇華工程を備える。処理液供給工程では、処理液gが基板Wに供給される。処理液gは、昇華性物質と溶媒を含む。固化膜形成工程では、溶媒は基板W上の処理液gから蒸発する。固化膜形成工程では、固化膜Kが基板W上に形成される。固化膜Kは、昇華性物質を含む。昇華工程では、固化膜Kは昇華する。固化膜Kの昇華により、基板Wは乾燥される。
【0165】
ここで、昇華性物質は、化合物a-fの少なくとも1つを含む。具体的には、昇華性物質は、o-アセトアニシジド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、4-クロロフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、2-クロロフェニル酢酸、および、イソフタル酸ジメチルの少なくとも1つを含む。このため、固化膜形成工程では、固化膜Kは基板W上に好適に形成される。
【0166】
固化膜Kは、化合物a-fの少なくとも1つを含む。このため、昇華工程では、固化膜Kは適切に昇華する。すなわち、昇華工程では、基板Wは適切に乾燥される。具体的には、昇華工程では、基板Wに形成されるパターンPが好適に保護されつつ、基板Wは乾燥される。
【0167】
以上の通り、本基板処理方法によれば、基板Wは適切に乾燥される。
【0168】
溶媒は、イソプロピルアルコールである。イソプロピルアルコールは、化合物aを好適に溶解する。同様に、イソプロピルアルコールは、化合物b―fを好適に溶解する。このため、処理液gを使用することは、容易である。具体的には、処理液供給工程において処理液gを基板Wに供給することは、容易である。よって、処理液gは、基板Wに適切に供給される。したがって、基板Wは、一層適切に乾燥される。
【0169】
基板処理方法は、処理液生成工程を備える。処理液生成工程では、処理液gが生成される。このため、処理液gは好適に準備される。よって、処理液gを使用することは、一層容易である。
【0170】
処理液生成工程では、昇華性物質と溶媒を混合することによって、処理液gを生成する。このため、処理液gを生成することは、容易である。
【0171】
処理液生成工程では、処理液gは、槽22に貯留される。このため、処理液gを保管することは、容易である。よって、処理液gを使用することは、一層容易である。
【0172】
上述の通り、溶媒はイソプロピルアルコールである。このため、処理液の取り扱いは、容易である。処理液の取り扱いは、処理液の準備、処理液の生成、処理液の保管および処理液の使用の少なくとも1つを含む。
【0173】
基板処理装置1は、基板保持部13と第1供給部15aを備える。基板保持部13は、基板Wを保持する。第1供給部15aは、基板保持部13によって保持される基板Wに処理液gを供給する。処理液gは、昇華性物質と溶媒を含む。
【0174】
ここで、昇華性物質は、化合物a-fの少なくとも1つを含む。このため、固化膜Kは基板W上に好適に形成される。
【0175】
固化膜Kは、化合物a-fの少なくとも1つを含む。このため、固化膜Kは、適切に昇華する。すなわち、基板Wは適切に乾燥される。具体的には、基板Wに形成されるパターンPが好適に保護されつつ、基板Wは乾燥される。
【0176】
以上の通り、基板処理装置1によれば、基板Wは適切に乾燥される。
【0177】
溶媒は、イソプロピルアルコールである。上述の通り、イソプロピルアルコールは、化合物a-fを好適に溶解する。このため、処理液gを使用することは、容易である。具体的には、第1供給部15aが基板保持部13によって保持される基板Wに処理液gを供給することは、容易である。よって、処理液gは、基板Wに適切に供給される。したがって、基板Wは、一層適切に乾燥される。
【0178】
処理液gは、パターンPが形成された基板Wの乾燥に用いられる。処理液gは、具体的には、乾燥補助液である。処理液gは、昇華性物質と溶媒を含む。
【0179】
ここで、昇華性物質は、化合物a-fの少なくとも1つを含む。このため、処理液gを基板Wに供給することによって、固化膜Kは基板W上に好適に形成される。さらに、固化膜Kは適切に昇華する。すなわち、基板Wは適切に乾燥される。具体的には、基板Wに形成されるパターンPが好適に保護されつつ、基板Wは乾燥される。
【0180】
以上の通り、処理液gを用いて、基板Wは適切に乾燥される。基板Wを乾燥させるために、処理液gは有用である。
【0181】
溶媒は、イソプロピルアルコールである。上述の通り、イソプロピルアルコールは、化合物a-fを好適に溶解する。このため、処理液gを使用することは、容易である。よって、処理液gを用いて、基板Wは一層適切に乾燥される。基板Wを乾燥させるために、処理液gは一層有用である。
【0182】
さらに、処理液gの取り扱いは、容易である。例えば、処理液gを準備することは、容易である。例えば、処理液gを生成することは、容易である。例えば、処理液gを保管することは、容易である。例えば、処理液gを使用することは、容易である。
【0183】
処理液gは基板Wに供給される。基板W上の処理液gから溶媒が蒸発する。昇華性物質を含む固化膜Kが基板W上に形成される。その後、固化膜Kが昇華する。処理液gがこのように使用されるとき、基板Wは一層適切に乾燥される。処理液gがこのように使用されるとき、基板Wを乾燥させるために処理液gは一層有用である。
【0184】
<9.変形実施形態>
本発明は、実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0185】
(1)実施形態では、処理液gが第1供給部15aに供給される前に、処理液gは生成された。実施形態では、第1供給源19aは、槽22において、処理液を生成した。但し、これに限られない。例えば、処理液gが第1供給部15aに供給されるときに、処理液gは生成されてもよい。例えば、第1供給源19aは、処理液gを第1供給部15aに供給する流路で、処理液gを生成してもよい。
【0186】
図11は、変形実施形態の処理ユニット11および第1供給源19aの構成を示す図である。なお、実施形態と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0187】
第1供給源19aは、第1槽41と第2槽42を備える。第1槽41は、昇華性物質を貯留する。例えば、第1槽41は、昇華性物質とともに溶媒を貯留してもよい。第2槽42は、溶媒を貯留する。例えば、第2槽42は、溶媒のみを貯留する。
【0188】
第1供給源19aは、混合部44を備える。混合部44は、第1槽41と第2槽42に接続される。混合部44は、第1槽41と第2槽42に連通する。混合部44は、処理液gを生成する。混合部44は、さらに、第1供給部15aに接続される。混合部44は、第1供給部15aに連通する。混合部44は、処理液gを第1供給部15aに供給する。
【0189】
具体的には、混合部44は、配管45a、45bと継ぎ手46を備える。配管45aは、第1槽41に接続される。配管45aは、第1槽41に連通する。配管45bは、第2槽42に接続される。配管45bは、第2槽42に連通する。継ぎ手46は、配管45a、45bに接続される。継ぎ手46は、配管45a、45bに連通する。継ぎ手46は、さらに、配管17aに接続される。継ぎ手46は、さらに、配管17aに連通する。配管45a、45bは、継ぎ手46を介して、配管17aに接続される。配管45a、45bは、継ぎ手46を介して、配管17aに連通する。
【0190】
混合部44は、ポンプ47a、47bを備える。ポンプ47a、47bはそれぞれ、配管45a、45bに設けられる。ポンプ47aは、配管45aを通じて、第1槽41から継ぎ手46に昇華性物質を送る。ポンプ47bは、配管45bを通じて、第2槽42から継ぎ手46に溶媒を送る。
【0191】
混合部44は、フィルタ48a、48bを備える。フィルタ48a、48bはそれぞれ、配管45a、45bに設けられる。昇華性物質は、フィルタ48aを通過する。フィルタ48aは、昇華性物質を濾過する。溶媒は、フィルタ48bを通過する。フィルタ48bは、溶媒を濾過する。
【0192】
混合部44は、弁49a、49bを備える。弁49a、49bはそれぞれ、配管45a、45bに設けられる。弁49aは、配管45aを流れる昇華性物質の流量を調整する。弁49bは、配管45bを流れる溶媒の流量を調整する。弁49a、49bはそれぞれ、例えば、流量調節弁を含んでもよい。弁49a、49bはそれぞれ、例えば、流量調節弁と開閉弁を含んでもよい。
【0193】
変形実施形態における第1供給源19aの動作例を説明する。処理液供給工程では、第1供給源19aは、処理液gを生成し、処理液gを第1供給部15aに送る。具体的には、弁49a、49bは、開く。ポンプ47aは、第1槽41から継ぎ手46に昇華性物質を送る。ポンプ47bは、第2槽42から継ぎ手46に溶媒を送る。昇華性物質と溶媒は、継ぎ手46において、混合される。昇華性物質と溶媒は、継ぎ手46において、処理液gになる。さらに、処理液gは、継ぎ手46から第1供給部15aに流れる。ノズル16aは、処理液gを吐出する。
【0194】
本変形実施形態によれば、処理液gが第1供給部15aに供給される前に、処理液gを保管することを要しない。このため、処理液の体積比RVは、精度良く管理される。よって、基板Wは一層適切に乾燥される。
【0195】
さらに、第1供給源19aは槽22を備えない。よって、第1供給源19aの構造は好適に簡素化される。第1供給源19aは好適に小型化される。
【0196】
(2)実施形態の基板処理方法は、薬液供給工程、リンス液供給工程および置換液供給工程を備えた。但し、これに限られない。例えば、薬液供給工程、リンス液供給工程および置換液供給工程の少なくともいずれかを省略してもよい。例えば、薬液供給工程、リンス液供給工程および置換液供給工程の全部を省略してもよい。
【0197】
(3)実施形態では、処理液供給工程を実行するとき、液体(例えば、置換液)が、基板W上に存在した。すなわち、処理液供給工程では、乾燥していない状態の基板Wに、処理液gが供給された。但し、これに限られない。例えば、処理液供給工程を実行するとき、液体(例えば、置換液)は、基板W上に存在しなくてもよい。例えば、処理液供給工程では、乾燥した状態の基板Wに処理液gが供給されてもよい。
【0198】
(4)実施形態の処理液供給工程では、処理液gは、基板Wから置換液を除去した。但し、これに限られない。例えば、処理液供給工程では、処理液gは、基板Wを洗浄してもよい。例えば、処理液供給工程では、処理液gは、基板Wに付着する異物を除去してもよい。例えば、処理液供給工程では、処理液gは、基板Wに付着する異物を溶解してもよい。異物は、例えば、レジスト残渣である。
【0199】
(5)実施形態の固化膜形成工程では、乾燥ガスは基板Wに供給されなかった。但し、これに限られない。固化膜形成工程では、乾燥ガスが基板Wに供給されてもよい。固化膜形成工程では、乾燥ガスが基板W上の処理液gに供給されてもよい。本変形実施形態によれば、固化膜形成工程において、基板W上の処理液gは、乾燥ガスに晒される。このため、固化膜形成工程では、溶媒は、基板W上の処理液gから、効率良く蒸発する。固化膜形成工程では、固化膜Kは、基板W上に効率良く形成される。
【0200】
(6)実施形態において、例えば、処理ユニット11が基板Wを処理する前に、基板W上のパターンPは基板Wに形成されてもよい。あるいは、処理ユニット11が基板Wを処理するときに、パターンPは基板Wに形成されてもよい。パターンPは、例えば、薬液供給工程(ステップS12)において、基板Wに形成されてもよい。
【0201】
(7)実施形態および上記(1)から(6)で説明した各変形実施形態については、さらに各構成を他の変形実施形態の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0202】
1 … 基板処理装置
10 … 制御部
11 … 処理ユニット
13 … 基板保持部
15 … 供給部
15a … 第1供給部(処理液供給部)
19a … 第1供給源
A … 凹部
g … 処理液
G … 処理液の液膜
K … 固化膜
P … パターン
W … 基板
W1 … 凸部