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特開2024-120475半導体装置、スイッチング電源装置、DC/DCコンバータ、車両及びモータ駆動装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120475
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】半導体装置、スイッチング電源装置、DC/DCコンバータ、車両及びモータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027295
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田古部 勲
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS05
5H730AS13
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730EE13
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】デッドタイム損失を削減する。
【解決手段】半導体装置(100)は、直列に接続されたハイサイドスイッチング素子(1)及びローサイドスイッチング素子(2)を相補的にON/OFF制御する制御回路(3)を有する。半導体装置(100)は、ハイサイドスイッチング素子(1)とローサイドスイッチング素子(2)との接続点の電圧(Vsw)から生成される出力電圧(Vout)を出力する。制御回路(3)が、ハイサイドスイッチング素子(1)、ローサイドスイッチング素子(2)がともにOFFに制御されるデッドタイムを接続点の電圧(Vsw)に基づいて、負荷(Z)が重いときに軽いときよりも短く制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイサイドスイッチング素子と、
前記ハイサイドスイッチング素子と直列に接続されるローサイドスイッチング素子と、
前記ハイサイドスイッチング素子及び前記ローサイドスイッチング素子を相補的にON/OFF制御可能に構成された制御回路と、を有し、
前記ハイサイドスイッチング素子と前記ローサイドスイッチング素子との接続点の電圧から生成される出力電圧を出力し、
前記制御回路が、前記ハイサイドスイッチング素子及び前記ローサイドスイッチング素子がともにOFFに制御されるデッドタイムを前記接続点の電圧に基づいて、前記出力電圧が供給される負荷が重いときに前記負荷が軽いときよりも短く制御する構成である半導体装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記ハイサイドスイッチング素子がターンOFFした後、前記ローサイドスイッチング素子がターンONするまでの時間を前記負荷が重いときに前記負荷が軽いときよりも短くするように制御する構成である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記ハイサイドスイッチング素子がOFFであるときに第1状態になるローサイド指令信号を一定の期間遅延させた第1ローサイド制御信号と、
第1状態の前記ローサイド指令信号が入力されているとともに、前記接続点の電圧が予め決められた電圧よりも小さくなったときに第1状態になる第2ローサイド制御信号と、を生成し、前記第1ローサイド制御信号及び前記第2ローサイド制御信号の少なくとも一方が第1状態のとき前記ローサイドスイッチング素子をターンONするように構成された請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記ハイサイドスイッチング素子がOFFであるときに第1状態になるローサイド指令信号を一定の期間遅延させた第1ローサイド制御信号を生成するように構成されたローサイド遅延回路と、
前記接続点の電圧が予め決められた電圧よりも小さいときに第1状態となるローサイド遅延時間決定信号を生成するように構成されたローサイド比較回路と、
前記ローサイド指令信号及び前記ローサイド遅延時間決定信号がともに第1状態であるとき第1状態となる第2ローサイド制御信号を生成するように構成されたローサイドAND回路と、
前記第1ローサイド制御信号と前記第2ローサイド制御信号の少なくとも一方が第1状態であるときに第1状態となり前記ローサイドスイッチング素子をONに制御するローサイド駆動信号を生成するように構成されたローサイドOR回路と、を有するように構成された請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記ハイサイドスイッチング素子がOFFであるときに第1状態になるローサイド指令信号を一定の期間遅延させた第1ローサイド制御信号を生成するように構成されたローサイド遅延回路と、
入力端子に前記接続点の電圧が入力されるとともに制御端子に前記ローサイド指令信号が入力されるように構成されたローサイド制御スイッチング素子と、
前記ローサイド制御スイッチング素子の出力端子に接続されて前記ローサイド制御スイッチング素子から出力された信号の電圧が予め決められた電圧よりも小さくなったときに第2ローサイド制御信号を生成するように構成されたインバータ回路と、
前記第1ローサイド制御信号と前記第2ローサイド制御信号の少なくとも一方が第1状態であるときに第1状態となり前記ローサイドスイッチング素子をONに制御するローサイド駆動信号を生成するように構成されたローサイドOR回路と、を有するように構成された請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記ローサイドスイッチング素子がターンOFFした後、前記ハイサイドスイッチング素子がターンONするまでの時間を前記負荷が重いときに前記負荷が軽いときよりも短くするように制御する構成である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記ローサイドスイッチング素子がOFFであるときに第1状態になるハイサイド指令信号を一定の期間遅延させた第1ハイサイド制御信号と、
前記ローサイドスイッチング素子をONに制御するローサイド駆動信号が入力されているとともに、前記接続点の電圧が予め決められた電圧よりも小さくなったときに第1状態になる第2ハイサイド制御信号と、を生成し、前記第1ハイサイド制御信号及び前記第2ハイサイド制御信号の少なくとも一方が第1状態のとき前記ハイサイドスイッチング素子をターンONするように構成された請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記ローサイドスイッチング素子がOFFであるときに第1状態になるハイサイド指令信号を一定の期間遅延させた第1ハイサイド制御信号を生成するように構成されたハイサイド遅延回路と、
前記接続点の電圧が予め決められた電圧よりも大きいときに第1状態となる比較結果信号を生成するように構成されたハイサイド比較回路と、
前記ローサイドスイッチング素子をONに制御するローサイド駆動信号及び前記比較結果信号の少なくとも一方が第1状態のとき第1状態となるリセット信号を生成するように構成された第1ハイサイドOR回路と、
前記ハイサイド指令信号がセット端子に、前記リセット信号がリセット端子に入力されてハイサイド遅延時間決定信号を生成するように構成されたRSラッチ回路と、
前記ハイサイド指令信号及び前記ハイサイド遅延時間決定信号がともに第1状態のときに第1状態となる第2ハイサイド制御信号を生成するハイサイドAND回路と、
前記第1ハイサイド制御信号と前記第2ハイサイド制御信号の少なくとも一方が第1状態であるときに第1状態となり前記ハイサイドスイッチング素子をONに制御するハイサイド駆動信号を生成するように構成された第2ハイサイドOR回路と、を有するように構成された請求項6に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記制御回路は、前記ローサイドスイッチング素子がOFFであるときに第1状態になるハイサイド指令信号を一定の期間遅延させた第1ハイサイド制御信号を生成するように構成されたハイサイド遅延回路と、
前記制御回路を駆動するための電源電圧が入力されるとともに反転されたハイサイド指令信号が制御端子に入力されるように構成された第1ハイサイド制御スイッチング素子と、
第1ハイサイド制御スイッチング素子と直列に接続され、前記接続点の電圧が入力端子に入力されるとともに前記ローサイドスイッチング素子をONに制御するローサイド駆動信号を反転させた信号が制御端子に入力される第2ハイサイド制御スイッチング素子と、
前記ハイサイド指令信号がセット端子に、第1ハイサイド制御スイッチング素子の入力端子の電圧がリセット端子に入力されてハイサイド遅延時間決定信号を生成するように構成されたRSラッチ回路と、
前記ハイサイド指令信号及び前記ハイサイド遅延時間決定信号がともに第1状態のときに第1状態となる第2ハイサイド制御信号を生成するハイサイドAND回路と、
第1ハイサイド制御信号及び第2ハイサイド制御信号の少なくとも一方が第1状態であるときに第1状態となり前記ハイサイドスイッチング素子をONに制御するハイサイド駆動信号を生成するように構成されたハイサイドOR回路と、を有する請求項6に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ハイサイドスイッチング素子及び前記ローサイドスイッチング素子の少なくとも一方がGaN半導体である請求項1から請求項9のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ハイサイドスイッチング素子及び戦機ローサイドスイッチング素子の少なくとも一方がSi系半導体である請求項1から請求項9のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の半導体装置を有するDC/DCコンバータ。
【請求項13】
請求項12に記載のDC/DCコンバータを有するスイッチング電源装置。
【請求項14】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の半導体装置を有する、車両。
【請求項15】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の半導体装置に備えられる1組のハイスイッチング素子及びロースイッチング素子を複数組備えるとともに、
前記ハイサイドスイッチング素子と前記ローサイドスイッチング素子との接続点の電圧をモータに供給可能に構成されているモータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関するものであり、半導体装置を用いたスイッチング電源装置、DC・DCコンバータ、車両及びモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直列に接続されたスイッチング素子を相補的に動作させる半導体装置において、両スイッチング素子が短絡し、大電流が流れることを防止するため、両スイッチング素子が同時にOFF状態になるデッドタイムを設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019―204997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の半導体装置において、デッドタイムにおける損失の削減が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本開示は、半導体装置であって、ハイサイドスイッチング素子と、前記ハイサイドスイッチング素子と直列に接続されるローサイドスイッチング素子と、前記ハイサイドスイッチング素子及び前記ローサイドスイッチング素子を交互にON/OFF制御可能に構成された制御回路と、を有する。半導体装置は、前記ハイサイドスイッチング素子と前記ローサイドスイッチング素子との接続点の電圧から生成される出力電圧を出力する。前記制御回路が、前記ハイサイドスイッチング素子及び前記ローサイドスイッチング素子がともにOFFに制御されるデッドタイムを前記接続点の電圧に基づいて、前記出力電圧が供給される負荷が重いときに前記負荷が軽いときよりも短く制御する構成である。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、デッドタイムにおける損失を削減できる半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るスイッチング電源装置の全体構成図である。
図2図2は、ハイサイドドライブ回路の内部構成を示す図である。
図3図3は、ローサイドドライブ回路の内部構成を示す図である。
図4図4は、スイッチング電源装置の動作を示すタイミングチャートである。
図5図5は、負荷が軽いときのスイッチ電圧を示す図である。
図6図6は、負荷が重いときのスイッチ電圧を示す図である。
図7図7は、負荷が軽負荷であるときのハイサイドドライブ回路のタイミングチャートである。
図8図8は、負荷が重負荷であるときのハイサイドドライブ回路のタイミングチャートである。
図9図9は、負荷が軽負荷であるときにローサイドドライブ回路のタイミングチャートである。
図10図10は、負荷が重負荷であるときにローサイドドライブ回路のタイミングチャートである。
図11図11は、第1変形例のスイッチング電源装置の内部構成を示す図である。
図12図12は、変形例のハイサイドドライブ回路の内部構成を示す図である。
図13図13は、変形例のローサイドドライブ回路の内部構成を示す図である。
図14図14は、負荷が軽負荷であるときのハイサイドドライブ回路のタイミングチャートである。
図15図15は、負荷が重負荷であるときのハイサイドドライブ回路のタイミングチャートである。
図16図16は、負荷が軽負荷であるときのローサイドドライブ回路のタイミングチャートである。
図17図17は、負荷が重負荷であるときのローサイドドライブ回路のタイミングチャートである。
図18図18は、第2変形例の半導体装置を用いたモータ駆動装置の全体構成図である。
図19図19は、発光装置が搭載される車両の外観図(前面)である。
図20図20は、発光装置が搭載される車両の外観図(背面)である。
図21図21は、LEDヘッドライトモジュールの外観図である。
図22図22は、LEDターンランプモジュールの外観図である。
図23図23は、LEDリアランプモジュールの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、MOS(Metal Oxide Semiconductor)電界効果トランジスタとは、ゲートの構造が、「導電体または抵抗値が小さいポリシリコン等の半導体からなる層」、「絶縁層」、及び「Pチャンネル型、Nチャンネル型、又は真性の半導体層」の少なくとも3層からなるトランジスタをいう。つまり、MOS電界効果トランジスタのゲートの構造は、金属、酸化物、及び半導体の3層構造に限定されない。
【0009】
以下、本開示の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。
【0010】
まず、本開示の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明する。ラインとは電気信号が伝播又は印加される配線を指す。グラウンドとは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する基準導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。基準導電部は金属等の導体にて形成される。0Vの電位をグラウンド電位と称することもある。本開示の実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧は、グラウンドから見た電位を表す。
【0011】
「レベル」とは電位のレベルを指し、任意の信号又は電圧についてHiレベルとはLoレベルよりも高い電位を有する。任意のデジタル信号はHiレベル又はLoレベルの信号レベルをとる。任意の注目した信号又は電圧について、信号又は電圧がHiレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがHiレベルにあることを意味し、信号又は電圧がLoレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがLoレベルにあることを意味するものとする。信号についてのレベルは信号レベルと表現されることがあり、電圧についてのレベルは電圧レベルと表現されることがある。任意の注目した信号について、当該信号がHiレベルであるとき、当該信号の反転信号はLoレベルをとり、当該信号がLoレベルであるとき、当該信号の反転信号はHiレベルをとる。なお、Hiレベルを第1状態と称する場合がある。
【0012】
Hiレベル又はLoレベルの信号レベルをとる任意の信号において、当該信号のレベルがHiレベルとなる期間をHiレベル期間と称する。また、同様の信号において、当該信号のレベルがLoレベルとなる期間をLoレベル期間と称する。Hiレベル又はLoレベルの電圧レベルをとる任意の電圧についても同様である。
【0013】
MOS電界効果トランジスタを含む電界効果トランジスタとして構成された任意のトランジスタについて、ON状態とは、トランジスタのドレイン及びソース間が導通している状態を指す。また、OFF状態とは、トランジスタのドレイン及びソース間が非導通となっている状態(遮断状態)を指す。電界効果トランジスタに分類されないトランジスタについても同様である。以下に示される任意のMOS電界効果トランジスタにおいて、特に記述無き限り、バッグゲートはソースに接続されているものとする。
【0014】
以下の説明において、スイッチング素子がON状態のとき、スイッチの両端間が導通となる。一方で、スイッチング素子がOFF状態のとき、スイッチの両端間が非導通となる。以下、スイッチング素子について、ON状態、OFF状態を、単に、ON、OFFと表現することもある。また、スイッチング素子がON状態となっている期間をON期間と称することがあり、スイッチング素子がOFF状態となっている期間をOFF期間と称することがある。また、スイッチング素子がOFF状態のときON状態に切り替わることをターンONと称することがあり、ON状態のときOFF状態切り替わることをターンOFFと称することがある。
【0015】
任意の回路素子、配線(ライン)、ノードなど、回路を形成する複数の部位間について「接続」とは、機械的に接続される場合を含むとともに、電気的に接続される、換言すると、電気が流れる状態になる場合も含まれるものとする。つまり、「接続する」は、「電気的に接続する」場合を含むものである。
【0016】
<スイッチング電源装置A>
図1は、本開示の一実施形態に係るスイッチング電源装置Aの全体構成図である。図1に示す、スイッチング電源装置Aは、入力電圧Vinから入力電圧Vinよりも低い出力電圧Voutを生成する降圧型DC/DCコンバータで構成される。入力電圧Vin及び出力電圧Voutは、正の直流電圧である。スイッチング電源装置Aは、半導体装置100と、平滑化回路200と、を有する。
【0017】
<半導体装置100>
図1に示すように、半導体装置100は、内部に電気回路を有し複数の電子素子を集積したIC(Integrated Circuit)である。半導体装置100は、ハーフブリッジ型のインバータであり、ハイサイドスイッチング素子1と、ローサイドスイッチング素子2と、制御回路3と、電源回路4と、を有する。
【0018】
ハイサイドスイッチング素子1は、ここでは、nチャンネル型MOSトランジスタである。ローサイドスイッチング素子2は、ここでは、nチャンネル型MOSトランジスタである。電源回路4は、入力電圧Vinを受けて、制御回路3の駆動な電圧を生成する。電源回路4は、例えば、12VのVinから、5Vの駆動電圧Vregを生成する。なお、Vinとして、制御回路3を駆動するための駆動電圧Vregと同じ電流が供給される構成の場合、電源回路4を省略してもよい。
【0019】
半導体装置100は、外部との電気的な接続を確立するために、第1外部接続端子Tm1、第2外部接続端子Tm2、第3外部接続端子Tm3及び第4外部接続端子Tm4を有する。第1外部接続端子Tm1、第2外部接続端子Tm2、第3外部接続端子Tm3及び第4外部接続端子Tm4は、それ自体、導電性を有する。
【0020】
半導体装置100の第1外部接続端子Tm1は、入力電圧Vinが供給される端子である。ハイサイドスイッチング素子1のドレインは、半導体装置100内で第1外部接続端子Tm1に接続される。つまり、ハイサイドスイッチング素子1のドレインには、第1外部接続端子Tm1を介して入力電圧Vinが供給される。
【0021】
半導体装置100内において、ハイサイドスイッチング素子1のソースと、ローサイドスイッチング素子のドレインとは接続点P1で接続されており、接続点P1は、第2外部接続端子Tm2に接続される。接続点P1には、スイッチ電圧Vswが生成される。
【0022】
ローサイドスイッチング素子2のソースは、半導体装置100内で第3外部接続端子Tm3に接続される。半導体装置100の第3外部接続端子Tm3は、グラウンド電位GNDに接続される。つまり、ローサイドスイッチング素子2のソースは、第3外部接続端子Tm3を介してグラウンド電位GNDに接続される。
【0023】
第2外部接続端子Tm2は、平滑化回路200に接続される。平滑化回路200は、インダクタL1及びコンデンサC1を有する。平滑化回路200において、インダクタL1の第1端は第2外部接続端子Tm2に接続される。半導体装置100内において、接続点P1は、第2外部接続端子Tm2を介してインダクタL1の第1端に接続される。そして、インダクタL1の第2端及びコンデンサC1の第1端は、負荷Zに接続される。図1に示すように、半導体装置100のスイッチ電圧Vswが平滑化回路200で整流及び平滑化されて出力電圧Voutとして負荷Zに供給される。インダクタL1には、インダクタ電流ILが流れる。
【0024】
半導体装置100では、制御回路3によって、ハイサイドスイッチング素子1とローサイドスイッチング素子2が、相補的にON/OFFに制御することで、入力電圧Vinをスイッチ電圧Vswに降圧する。なお、「相補的」とは、ハイサイドスイッチング素子1とローサイドスイッチング素子2のON/OFFが交互に入れ替わる状態を指す。さらに説明すると、完全に入れ替わっている場合だけでなく、例えば、ハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2がともにOFFであるデッドタイムを含む。
【0025】
制御回路3は、ハイサイドスイッチング素子1のゲートにハイサイド駆動信号HGを供給し、ローサイドスイッチング素子2のゲートにローサイド駆動信号LGを供給する。ハイサイドスイッチング素子1はハイサイド駆動信号HGがハイレレベルのときON状態になり、LoレベルのときOFF状態になる。また、ローサイドスイッチング素子2はローサイド駆動信号LGがHiレベルのときON状態になり、LoレベルのときOFF状態になる。
【0026】
制御回路3は、信号生成回路31と、ハイサイドドライブ回路32と、ローサイドドライブ回路33と、ブートストラップ回路34と、を有する。
【0027】
信号生成回路31は、PWM(Pulse Width Modulation)制御にて、ハイサイド指令信号DIN_Hをハイサイドドライブ回路32に供給する。また、制御回路3は、ローサイド指令信号DIN_Lをローサイドドライブ回路33に供給する。ハイサイド指令信号DIN_H及びローサイド指令信号DIN_Nは、Hiレベル又はLoレベルに制御される信号である。
【0028】
ハイサイド指令信号DIN_Hは、ハイサイドスイッチング素子1をONに制御しようとする期間、Hiレベル期間である。ローサイド指令信号DIN_Lは、ローサイドスイッチング素子2をONに制御しようとする期間、Hiレベル期間である。つまり、ハイサイド指令信号DIN_H及びローサイド指令信号DIN_Lは、デッドタイムを含まないように、ハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2のON/OFFの期間を決定する信号である。なお、デッドタイムを含むことを考慮すると、ハイサイド指令信号DIN_Hは、ローサイドスイッチング素子2がOFFの期間、Hiレベルになるといえる。また、ローサイド指令信号DIN_Lは、ハイサイドスイッチング素子1がOFFの期間、Hiレベルになるといえる。
【0029】
ハイサイドドライブ回路32は、ハイサイド指令信号DIN_Hに基づいて、ハイサイド駆動信号HGをハイサイドスイッチング素子1のゲートに供給する。ローサイドドライブ回路33は、ローサイド指令信号DIN_Lに基づいて、ローサイド駆動信号LGをローサイドスイッチング素子2のゲートに供給する。ハイサイドドライブ回路32及びローサイドドライブ回路33の詳細については、後述する。
【0030】
ブートストラップ回路34は、ハイサイドドライブ回路32にブートストラップ電圧Vbstを供給する。ブートストラップ電圧Vbstはハイサイドスイッチング素子1の駆動に必要な電圧を生成するための回路である。ブートストラップ回路34は、従来周知の回路であり、詳細な説明を省略する。
【0031】
<ハイサイドドライブ回路32>
ハイサイドドライブ回路32について図面を参照して説明する。図2は、ハイサイドドライブ回路32の内部構成を示す図である。図2に示すようにハイサイドドライブ回路32には、信号生成回路31からのハイサイド指令信号DIN_Hと、ローサイドスイッチング素子2をON/OFFに制御するローサイド駆動信号LGと、スイッチ電圧Vswと、が入力される。
【0032】
図2に示すようにハイサイドドライブ回路32は、ハイサイド遅延回路321と、ハイサイド比較回路322と、第1ハイサイドOR回路323と、第2ハイサイドOR回路324と、RSラッチ回路325と、ハイサイドAND回路326と、を有する。
【0033】
ハイサイド遅延回路321は、ハイサイド指令信号DIN_Hを一定の期間遅延させる。なお、ハイサイド遅延回路321が遅延する期間を第1ハイサイド遅延時間Td1とする。ハイサイド遅延回路321は、ONディレイ回路であり、ハイサイド指令信号DIN_HがLoレベルからHiレベルに切り替わるタイミングを遅延させる。そして、ハイサイド遅延回路321は、ハイサイド指令信号DIN_HのLoレベルからHiレベルへの切換のタイミングを第1ハイサイド遅延時間Td1遅延させた第1ハイサイド制御信号NH1を出力する。第1ハイサイド遅延時間Td1の詳細については、後述する。
【0034】
ハイサイド比較回路322の反転入力端子には、スイッチ電圧Vswが供給される。また、非反転入力端子には、基準電圧Vrefが供給される。ハイサイド比較回路322は、スイッチ電圧Vswと基準電圧Vrefとの比較結果に基づく比較結果信号SHcを出力する。つまり、比較結果信号SHcは、スイッチ電圧Vswが基準電圧Vrefよりも高いときにHiレベルとなる。なお、本実施形態の半導体装置100において基準電圧Vrefは、制御回路3を駆動するための駆動電圧Vregの半分である。しかしながら、これに限定されず、別途設定された電圧であってもよい。
【0035】
第1ハイサイドOR回路323は、ローサイドスイッチング素子2を駆動するローサイド駆動信号LGと、比較結果信号SHcと、を入力信号として受け、リセット信号SHrを出力する。第1ハイサイドOR回路323は、ローサイド駆動信号LG又は比較結果信号SHcの少なくとも一方がHiレベルのときHiレベルのリセット信号SHrを出力する。つまり、リセット信号SHrは、ローサイド駆動信号LG又は比較結果信号SHcの少なくとも一方がHiレベルのときHiレベルとなる。
【0036】
RSラッチ回路325では、セット端子にハイサイド指令信号DIN_Hが入力され、リセット端子にリセット信号SHrが入力されて、ハイサイド遅延時間決定信号SHtが出力される。ハイサイド遅延時間決定信号SHtは、ハイサイド指令信号DIN_HがHiレベルでリセット信号SHrがLoレベルのときHiレベルとなる。
【0037】
具体的には、RSラッチ回路325は、2つのNAND回路3251、3252と、NOT回路3253とを有する。NAND回路3251には、ハイサイド指令信号DIN_H及びNAND回路3252の出力信号を2つの入力信号として受け、ハイサイド指令信号DIN_H及びNAND回路3252の出力信号の少なくとも一方がLoレベルのときHiレベルの出力信号を出力する。また、NAND回路3252には、リセット信号SHr及びNAND回路3251の出力信号を2つの入力信号として受け、リセット信号SHr及びNAND回路3251の出力信号の少なくとも一方がLoレベルのときHiレベルの出力信号を出力する
【0038】
そして、NAND回路3251の出力信号がNOT回路3253に入力され、NOT回路3253の出力信号が、ハイサイド遅延時間決定信号SHtである。つまり、RSラッチ回路325は、ハイサイド指令信号DIN_HがHiレベルであるとともにリセット信号SHrがLoレベルのとき、Hiレベルのハイサイド遅延時間決定信号SHtを出力する。また、RSラッチ回路325は、リセット信号SHrがHiレベルのとき、Loレベルのハイサイド遅延時間決定信号SHtを出力する。なお、ハイサイド遅延時間決定信号SHtは、デッドタイムの長さを決定するための信号である。
【0039】
ハイサイドAND回路326は、ハイサイド指令信号DIN_Hと、ハイサイド遅延時間決定信号SHtと、を入力信号として受け、第2ハイサイド制御信号NH2を出力する。ハイサイドAND回路326は、ハイサイド指令信号DIN_H及びハイサイド遅延時間決定信号SHtがともにHiレベルのとき、Hiレベルの第2ハイサイド制御信号NH2を出力する。第2ハイサイド制御信号NH2は、ハイサイド指令信号DIN_H及びハイサイド遅延時間決定信号SHtがともにHiレベルのときHiレベルとなる。
【0040】
第2ハイサイドOR回路324は、第1ハイサイド制御信号NH1と、第2ハイサイド制御信号NH2と、を入力信号として受け、ハイサイド駆動信号HGを出力する。第2ハイサイドOR回路324は、第1ハイサイド制御信号NH1及び第2ハイサイド制御信号NH2の少なくとも一方がHiレベルのとき、Hiレベルのハイサイド駆動信号HGを出力する。ハイサイド駆動信号HGは、第1ハイサイド制御信号NH1及び第2ハイサイド制御信号NH2の少なくとも一方がHiレベルのときHiレベルとなる。
【0041】
<ローサイドドライブ回路33>
ローサイドドライブ回路33について図面を参照して説明する。図3は、ローサイドドライブ回路33の内部構成を示す図である。図3に示すようにローサイドドライブ回路33には、信号生成回路31からのローサイド指令信号DIN_Lと、スイッチ電圧Vswと、が入力される。
【0042】
図3に示すようにローサイドドライブ回路33は、ローサイド遅延回路331と、ローサイド比較回路332と、ローサイドOR回路333と、ローサイドAND回路334と、を有する。
【0043】
ローサイド遅延回路331は、ローサイド指令信号DIN_Lを一定の期間遅延させる。なお、ローサイド遅延回路331が遅延する期間を第1ローサイド遅延時間Tf1とする。ローサイド遅延回路331は、ONディレイ回路であり、ローサイド指令信号DIN_LがLoレベルからHiレベルに切り替わるタイミングを遅延させる。そして、ローサイド遅延回路331は、ローサイド指令信号DIN_LのLoレベルからHiレベルへの切換のタイミングを第1ローサイド遅延時間Tf1遅延させた第1ローサイド制御信号NL1を出力する。第1ローサイド制御信号NL1は、後述する第2ローサイド制御信号NL2とともに、ローサイドOR回路333に入力される。
【0044】
ローサイド比較回路332の反転入力端子には、基準電圧源335が接続されており、基準電圧源335により生成された基準電圧Vrefが供給される。なお、基準電圧Vrefは、ハイサイド比較回路322に供給される基準電圧Vrefと同じであるが、異なる電圧であってもよい。また、非反転入力端子には、スイッチ電圧Vswが供給される。ローサイド比較回路332は、スイッチ電圧Vswと基準電圧Vrefとの比較結果に基づくローサイド遅延時間決定信号SLtを出力する。つまり、ローサイド遅延時間決定信号SLtは、スイッチ電圧Vswが基準電圧Vrefよりも低いときにHiレベルとなる。
【0045】
ローサイドAND回路334は、ローサイド指令信号DIN_Lと、ハイサイド遅延時間決定信号SHtと、を入力信号として受け、第2ローサイド制御信号NL2を出力する。ローサイドAND回路334は、ローサイド指令信号DIN_L及びローサイド遅延時間決定信号SLtがともにHiレベルのとき、Hiレベルの第2ローサイド制御信号NL2を出力する。第2ローサイド制御信号NL2は、ローサイド指令信号DIN_L及びローサイド遅延時間決定信号SLtがともにHiレベルのときHiレベルとなる。
【0046】
ローサイドOR回路333は、第1ローサイド制御信号NL1と、第2ローサイド制御信号NL2と、を入力信号として受け、ローサイド駆動信号LGを出力する。ローサイドOR回路333は、第1ローサイド制御信号NL1及び第2ローサイド制御信号NL2の少なくとも一方がHiレベルのとき、Hiレベルのローサイド駆動信号LGを出力する。ローサイド駆動信号LGは、第1ローサイド制御信号NL1及び第2ローサイド制御信号NL2の少なくとも一方がHiレベルのときHiレベルとなる。
【0047】
<スイッチング電源装置Aの動作>
スイッチング電源装置Aは、以上示した構成を有している。次に、スイッチング電源装置Aの動作を、図面を参照して説明する。図4は、スイッチング電源装置Aの動作を示すタイミングチャートである。図4では、ハイサイド指令信号DIN_H、ローサイド指令信号DIN_L、ハイサイド駆動信号HG、ローサイド駆動信号LG、ハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2の動作、スイッチ電圧Vsw、インダクタL1を流れるインダクタ電流ILのそれぞれの状態を示している。スイッチング電源装置Aは、ハイサイドスイッチング素子1とローサイドスイッチング素子2とが同期して動作することで入力電圧を整流する、同期整流型スイッチング電源装置である。
【0048】
スイッチング電源装置Aにおいて、出力電圧Voutは、ハイサイドスイッチング素子のON期間の長さによって、出力電圧Voutによって決定される。制御回路3の信号生成回路31は、ハイサイドスイッチング素子1のON期間に基づいてハイサイド指令信号DIN_HのHiレベル期間を決定する。また、信号生成回路31は、ハイサイド指令信号DIN_HがLoレベル期間のとき、Hiレベル期間となるようにローサイド指令信号DIN_Lを決定する。
【0049】
図4に示すように、ハイサイド指令信号DIN_H及びローサイド指令信号DIN_Lは、それぞれ、一方がHiレベル期間のとき他方がLoレベル期間である。ハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2は、駆動信号に基づいて、ターンPN又はターンOFFする。ハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2がターンON又はターンOFFするとき、遅延が生ずる場合があり、その遅延によって、短絡状態になる場合がある。
【0050】
制御回路3は、ハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2が短絡状態になるのを抑制するため、デッドタイム期間Dt(図4参照)を設ける。つまり、ハイサイドドライブ回路32及びローサイドドライブ回路33は、ハイサイド指令信号DIN_H及びローサイド指令信号DIN_Lからデッドタイム期間Dtが発生するようにハイサイド駆動信号HG及びローサイド駆動信号LGを生成する。
【0051】
一方、同期整流型の降圧型DC/DCコンバータを用いたスイッチング電源装置Aでは、ハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2がともにOFF状態になると、ローサイドスイッチング素子2のボディーダイオードの順方向電圧と負荷電流とにより、損失(デッドタイム損失Pd1、Pd2)が発生する。ここで、スイッチング電源装置Aのデッドタイム期間Dtの損失について説明する。スイッチング電源装置Aにおけるデッドタイム期間Dtにおいて、ハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2がともにOFFになると、ローサイドスイッチング素子2の寄生ダイオードによるデッドタイム損失Pd1、Pd2は、負荷Zの軽重によって変化する。なお、スイッチ電圧Vswが立ち上がるときのデッドタイム期間による損失をPd1、立ち下がるときのデッドタイム期間による損失をPd2とする。
【0052】
図5は、負荷Zが軽いときのスイッチ電圧Vswを示す図である。図6は、負荷Zが重いときのスイッチ電圧Vswを示す図である。なお、負荷Zが軽いとは、デッドタイム期間Dt中にインダクタL1の回生電流によりVswが持ち上がるZVS(Zero Volte Switching)動作になる負荷であることを示す。また、負荷Zが重いとは、軽い場合よりも重いものを示す。
【0053】
図5に示すように、スイッチ電圧Vswが0からVinに変化(この変化をスイッチ電圧Vswの立ち上がりとする)する場合において、ローサイドスイッチング素子2がOFFに切り替わった時点、換言すると、ローサイド駆動信号LGが一定のレベル以下に到達したときに、減少し始める。
【0054】
負荷Zが軽負荷のときのスイッチ電圧Vswが立ち上がるときは、デッドタイム期間Dt時、ZVS動作となる。そのため、立ち上がり時のスイッチ電圧Vswは、緩やかに増加し、デッドタイム期間Dtの終了時に入力電圧Vinとなる。そのため、デッドタイム損失Pd1が発生しない。なお、ZVS動作が行われるように設定した、デッドタイム期間Dtの長さTdが、第1ハイサイド遅延時間Td1である。軽負荷の負荷Zが接続されている状態のときにデッドタイム損失Pd1が発生しないようにするため、第1ハイサイド遅延時間Td1は、ある程度長い時間が必要である。
【0055】
図5に示すように、負荷Zが軽負荷の場合のスイッチ電圧VswがVinから0に変化(この変化をスイッチ電圧Vswの立下りとする)する場合において、ハイサイドスイッチング素子1がOFFに切り替わった時点、換言すると、ハイサイド駆動信号HGが一定のレベル以下に到達したときに、減少し始める。
【0056】
負荷Zが軽負荷のときのスイッチ電圧Vswが立ち下がるときも、ZVS動作になるように、デッドタイム期間Dtの時間が決定される。なお、ZVS動作が行われるように設定した、デッドタイム期間Dtの長さTfが、第1ローサイド遅延時間Tf1である。軽負荷の負荷Zが接続されている状態のときにデッドタイム損失Pd2が発生しないようにするため、第1ローサイド遅延時間Tf1は、ある程度長い時間が必要である。
【0057】
一方、立ち上がり時のデッドタイム期間Dtにおいて、負荷Zが重負荷の場合、ハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2がOFF状態になると、インダクタL1の回生電流によってスイッチ電圧Vswは低下する。ローサイドスイッチング素子2のドレイン電圧がソース電圧よりも低くなる。このソースドレイン間の電圧がローサイドスイッチング素子2のボディーダイオードの順方向電圧Vfとなる。このとき、ローサイドスイッチング素子2には、ソースからドレインに向かって電流が流れる。子の順方向電圧Vfと電流によって、ローサイドスイッチング素子2で損失(デッドタイム損失)が発生する。
【0058】
なお、GaNデバイスを用いる場合、ボディーダイオードは存在しないが、ドレイン電圧に対してゲート電圧高くなり、閾値を超えると、チャネルが形成されてボディーダイオードと同等に振る舞い、ソースからドレインに電流が流れる。このときのソースドレイン間の電圧も順方向電圧Vfとする。デッドタイム損失Pdは、次の式で表される。
Pd1=Td×Vf×IL×Fsw
Td:デッドタイム期間の長さ
Fsw:スイッチング周波数
負荷Zが重負荷の場合において、第1ハイサイド遅延時間Td1を短くすることで、デッドタイム損失Pdを小さくすることが可能である。
【0059】
立ち下がり時も同様に、デッドタイム期間Dtにおいて、負荷Zが重負荷の場合、ハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2がOFF状態になると、インダクタL1の回生電流によってスイッチ電圧Vswは低下する。ローサイドスイッチング素子2のドレイン電圧がソース電圧よりも低くなる。このソースドレイン間の電圧がローサイドスイッチング素子2のボディーダイオードの順方向電圧Vfとなる。このとき、ローサイドスイッチング素子2には、ソースからドレインに向かって電流が流れる。子の順方向電圧Vfと電流によって、ローサイドスイッチング素子2で損失(デッドタイム損失)が発生する。
【0060】
GaNについては、上述のとおりであり、チャネルが形成されるときのソースドレイン間の電圧を順方向電圧Vfとして説明する。このとき、デッドタイム損失Pdは、次の式で表される。
Pd2=Tf×Vf×IL×Fsw
Tf:デッドタイム期間の長さ
Fsw:スイッチング周波数
負荷Zが重負荷の場合において、第1ローサイド遅延時間Tf1を短くすることで、デッドタイム損失Pdを小さくすることが可能である。
【0061】
制御回路3がハイサイドドライブ回路32及びローサイドドライブ回路33を有することで、負荷Zが軽負荷である場合でも重負荷である場合でもデッドタイム損失を低く抑えることができる。ここで、ハイサイドドライブ回路32及びローサイドドライブ回路33の動作の詳細について、図面を参照して説明する。まず、ハイサイドドライブ回路32によるハイサイド駆動信号HGの生成について図面を参照して説明する。
【0062】
<ハイサイドドライブ回路32の動作>
図7は、負荷Zが軽負荷であるときのハイサイドドライブ回路32のタイミングチャートである。図8は、負荷Zが重負荷であるときのハイサイドドライブ回路32のタイミングチャートである。なお、ハイサイドドライブ回路32は、ハイサイドスイッチング素子1の動作を制御する回路であり、ハイサイドドライブ回路32が決定するデッドタイムは、スイッチ電圧Vswが立ち上がるときのデッドタイムである。
【0063】
また、ローサイドドライブ回路33のローサイド遅延回路331は、ローサイド指令信号DIN_LがHiレベルからLoレベルに変化したときには、遅延させない。つまり、ローサイド指令信号DIN_LがLoレベルに立ち下がるとすぐに、ローサイド駆動信号LGは、Loレベルに立ち下がり始める。
【0064】
ハイサイドドライブ回路32において、基準電圧Vrefはスイッチ電圧VswがインダクタL1の回生電流により持ち上がらないときを想定している。本実施形態のハイサイドドライブ回路32では、制御回路3の駆動電圧Vregの半分を想定している。しかしながら、基準電圧Vrefは、この値に限定されず、インダクタL1の回生電流によりスイッチ電圧Vswの持ち上がりを抑制できる電圧を広く採用することができる。
【0065】
まず、ハイサイドドライブ回路32において、Hiレベルのハイサイド指令信号DIN_Hが入力されると、ハイサイド遅延回路321は、Hiレベルに立ち上がる時間を第1ハイサイド遅延時間Td1だけ遅延させた第1ハイサイド制御信号NH1を出力する。
【0066】
軽負荷の負荷Zが接続されているとき、スイッチ電圧Vswは緩やかに増加する。その増加の開始は、ローサイド駆動信号LGがLoレベルに達する前である。そして、ハイサイド指令信号DIN_HがHiレベルに切り替わった後、ハイサイド比較回路322では、スイッチ電圧Vswは基準電圧Vrefよりも高くなる。その結果、Hiレベルの比較結果信号SHcが出力される。図7に示すように、スイッチ電圧Vswが基準電圧Vrefよりも高くなるタイミングは、ローサイド駆動信号LGがLoレベルになる前である。
【0067】
これにより、第1ハイサイドOR回路323に入力されるローサイド駆動信号LG及び比較結果信号SHcは、少なくとも一方がHiレベルである。そのため、第1ハイサイドOR回路323は、Hiレベルのリセット信号Shrを出力し続ける(図7参照)。
【0068】
このとき、RSラッチ回路325のセット端子にはHiレベルのハイサイド指令信号DIN_Hが入力され、リセット端子にはHiレベルのリセット信号SHrが入力される。これにより、RSラッチ回路325は、Loレベルのハイサイド遅延時間決定信号SHtを出力し続ける。
【0069】
そして、ハイサイドAND回路326には、Hiレベルのハイサイド指令信号DIN_H及びLoレベルのハイサイド遅延時間決定信号SHtが入力される。これにより、ハイサイドAND回路326は、Loレベルの第2ハイサイド制御信号NH2を出力する。
【0070】
第2ハイサイドOR回路324には、第1ハイサイド制御信号NH1及び第2ハイサイド制御信号NH2が入力される。第2ハイサイド制御信号NH2はLoレベルである。また、第1ハイサイド制御信号NH1は、ハイサイド指令信号DIN_HがHiレベルに切り替わって、第1ハイサイド遅延時間Td1経過した後、Hiレベルに切り替わる。
【0071】
そのため、第2ハイサイドOR回路324は、ハイサイド指令信号DIN_HがHiレベルに切り替わって、第1ハイサイド遅延時間Td1が経過するまで、Loレベルのハイサイド駆動信号HGを出力する。そして、第2ハイサイドOR回路324は、ハイサイド指令信号DIN_HがHiレベルに切り替わって、第1ハイサイド遅延時間Td1経過した後、Hiレベルのハイサイド駆動信号HGを出力する(図7参照)。
【0072】
スイッチング電源装置Aにおいて、制御回路3は、接続された負荷Zが軽負荷の場合、予め決められた第1ハイサイド遅延時間Td1が経過した後、ハイサイド駆動信号HGがHiレベルになり、ハイサイドスイッチング素子1がターンONされる。ハイサイドドライブ回路32は、デッドタイム期間Dtの長さを、予め決められた第1ハイサイド遅延時間Td1とするようにハイサイド駆動信号HGを出力する。
【0073】
次に負荷Zが重負荷の場合のハイサイドドライブ回路32の動作について説明する。図8に示すように、ハイサイド遅延回路321が出力する第1ハイサイド制御信号NH1は、軽負荷のときと同じである。
【0074】
図8に示すように、ローサイド駆動信号LGがHiレベルのとき、スイッチ電圧Vswは、基準電圧Vrefよりも低い。そのため、ハイサイドドライブ回路32において、ローサイド駆動信号LGがHiレベルの間、ハイサイド比較回路322は、Loレベルの比較結果信号SHcを出力し続ける。スイッチ電圧Vswが立ち上がり、基準電圧Vrefよりも高くなるまで、比較結果信号SHcはLoレベルに維持される。
【0075】
そして、ローサイド駆動信号LGは、ハイサイド指令信号DIN_HがHiレベルになると同時に立下がり始める。図8に示すように、ローサイド駆動信号LGは、HiレベルからLoレベルへ、一定の時間かけて順次減少する。なお、第1ハイサイドOR回路323は、ローサイド駆動信号LGが一定のレベルよりも低くなったとき、Loレベルに切り替わったとみなすような回路であってもよい。
【0076】
第1ハイサイドOR回路323には、ローサイド駆動信号LGが、Loレベルになるまで、Hiレベルのローサイド駆動信号LGとLoレベルの比較結果信号SHcが入力される。その結果、第1ハイサイドOR回路323は、ローサイド駆動信号LGがHiレベルのとき、Hiレベルのリセット信号SHrを出力し、ローサイド駆動信号LGがLoレベルになったとき、Loレベルのリセット信号SHrを出力する。第1ハイサイドOR回路323は、ローサイド駆動信号LGがLoレベルであるとともに、スイッチ電圧Vswが基準電圧Vref以下であることを確認したときに、Loレベルのリセット信号SHrを出力する。
【0077】
RSラッチ回路325のセット端子には、ハイサイド指令信号DIN_Hが入力され、リセット端子にはリセット信号SHrが入力される。図8において、ハイサイド指令信号DIN_HはHiレベルであり、リセット信号SHrは最初Hiレベルである。そのため、リセット信号SHrがHiレベルの間、RSラッチ回路325は、Loレベルのハイサイド遅延時間決定信号SHtを出力する。そして、リセット信号SHrがLoレベルになったとき、すなわち、スイッチ電圧Vswが基準電圧Vrefであるときに、ローサイド駆動信号LGがLoレベルに切り替わったとき、RSラッチ回路325は、Hiレベルのハイサイド遅延時間決定信号SHtを出力する。
【0078】
そして、ハイサイドAND回路326には、Hiレベルのハイサイド指令信号DIN_H及びLoレベルからHiレベルに切り替わるハイサイド遅延時間決定信号SHtが入力される。これにより、ハイサイドAND回路326は、LoレベルからHiレベルに切り替わる第2ハイサイド制御信号NH2を出力する。
【0079】
第2ハイサイドOR回路324には、第1ハイサイド制御信号NH1及び第2ハイサイド制御信号NH2が入力される。第2ハイサイド制御信号NH2は、LoレベルからHiレベルに切り替わる。
【0080】
そのため、第2ハイサイドOR回路324は、第1ハイサイド制御信号NH1がHiレベルに切り替わるか、第2ハイサイド制御信号NH2がHiレベルに切り替わることでLoレベルからHiレベルに切り替わるハイサイド駆動信号HGを出力する。上述したとおり、負荷Zが重負荷の場合、ローサイド駆動信号LGが完全にLoレベルに達したタイミングで、第2ハイサイド制御信号NH2がLoレベルからHiレベルに切り替わる。
【0081】
なお、ハイサイド駆動信号HGは、ハイサイドスイッチング素子1を駆動するゲート電圧であるため、スイッチ電圧Vswが一定の電圧に上がるまで、一定の電圧レベルで推移するプラトー領域が発生する。ハイサイド駆動信号HGは、スイッチ電圧Vswが絶ち下がる場合も同様に、一定の電圧レベルで推移するプラトー領域が発生する。
【0082】
ハイサイドスイッチング素子1は、ハイサイド駆動信号HGが一定のレベル以上の電圧レベルになったとき、ONに切り替わる。ハイサイド駆動信号HGの立ち上がりも、ローサイド駆動信号LGの立下りと同様、一定の時間の間に順次増加する。そのため、ローサイド駆動信号LGが完全にLoレベルになったとき、ハイサイド駆動信号HGが立ち上がり始めるように制御した場合でも、ハイサイドスイッチング素子1とローサイドスイッチング素子2とが、同時にOFFになるデッドタイム期間Dtを確保することができる。なお、ハイサイド指令信号DIN_HがHiレベルに切り替わった時点から、ローサイド駆動信号LGが完全にLoレベルに切り替わり始めるまでの時間が第2ハイサイド遅延時間Td2である。
【0083】
図8に示すように、負荷Zが軽負荷のときよりも重負荷の場合、スイッチ電圧Vswが第2ハイサイド遅延時間Td2は、第1ハイサイド遅延時間Td1よりも短くなる。つまり、ハイサイドドライブ回路32は、重負荷のときには、インダクタL1の回生電流によって、スイッチ電圧Vswが持ち下げられることを利用して、第2ハイサイド遅延時間Td2を第1ハイサイド遅延時間Td1よりも短くなるように、構成されている。
【0084】
すなわち、ハイサイドドライブ回路32は、デッドタイム期間Dtの長さを予め決められた第1ハイサイド遅延時間Td1よりも短い第2ハイサイド遅延時間Td2にするようなハイサイド駆動信号HGを出力する。
【0085】
これにより、上述した、デッドタイム損失Pd1の式の、デッドタイム期間の長さTdの項が、第1ハイサイド遅延時間Td1よりも小さい第2ハイサイド遅延時間Td2に置き換わるため、デッドタイム損失Pd1を減らすことができる。
【0086】
以上示したように、制御回路3が上述したハイサイドドライブ回路32を用いることで、負荷Zの負荷にかかわらず、スイッチング電源装置Aのスイッチ電圧Vswの立ち上がり時のデッドタイム損失を減らすことができる。
【0087】
<ローサイドドライブ回路33の動作>
図9は、負荷Zが軽負荷であるときにローサイドドライブ回路33のタイミングチャートである。図10は、負荷Zが重負荷であるときにローサイドドライブ回路33のタイミングチャートである。なお、ローサイドドライブ回路33は、ローサイドスイッチング素子2の動作を制御する回路であり、ローサイドドライブ回路33が決定するデッドタイムは、スイッチ電圧Vswが立ち下がるときのデッドタイムである。
【0088】
また、ハイサイドドライブ回路32のハイサイド遅延回路321は、ハイサイド指令信号DIN_HがHiレベルからLoレベルに変化したときには、遅延させない。つまり、ハイサイド指令信号DIN_HがLoレベルに立ち下がるとすぐに、ハイサイド駆動信号HGは、Loレベルに立ち下がり始める。
【0089】
ローサイドドライブ回路33においても、基準電圧Vrefを駆動電圧Vregの半分としている。しかしながら、これに限定されない。
【0090】
まず、ローサイドドライブ回路33において、Hiレベルのローサイド指令信号DIN_Lが入力されると、ローサイド遅延回路331は、Hiレベルに立ち上がる時間を第1ローサイド遅延時間Tf1だけ遅延させた第1ローサイド制御信号NL1を出力する。
【0091】
軽負荷の負荷Zが接続されているとき、スイッチ電圧Vswは緩やかに減少する。そのため、ローサイド指令信号DIN_LがHiレベルに切り替わった後、ローサイド比較回路332は、スイッチ電圧Vswは基準電圧Vrefよりも高くなる。その結果、Loレベルのローサイド遅延時間決定信号SLtが出力される。なお、ローサイド比較回路332は、スイッチ電圧VswがVrefになるタイミング、つまり、第1ローサイド遅延時間Tf1が経過した後、Hiレベルに切り替わる。さらに説明すると、負荷Zが軽負荷の場合、デッドタイム期間Dtの間、Loレベルのローサイド遅延時間決定信号SLtを出力する(図9参照)。
【0092】
そして、ローサイドAND回路334には、Hiレベルのローサイド指令信号DIN_L及びLoレベルのローサイド遅延時間決定信号SLtが入力される。これにより、ローサイドAND回路334は、Loレベルの第2ローサイド制御信号NL2を出力する。
【0093】
ローサイドOR回路333には、第1ローサイド制御信号NL1及び第2ローサイド制御信号NL2が入力される。第2ローサイド制御信号NL2は、少なくともデッドタイム期間Dtの間、Loレベルである。また、第1ローサイド制御信号NL1は、ローサイド指令信号DIN_LがHiレベルに切り替わって、第1ローサイド遅延時間Tf1経過した後、Hiレベルに切り替わる。
【0094】
そのため、ローサイドOR回路333は、ローサイド指令信号DIN_LがHiレベルに切り替わって、第1ローサイド遅延時間Tf1経過した後、Hiレベルのローサイド駆動信号LGを出力する。
【0095】
スイッチング電源装置Aにおいて、制御回路3は、接続された負荷Zが軽負荷の場合、予め決められた第1ローサイド遅延時間Tf1が経過した後、ローサイド駆動信号LGがHiレベルになり、ローサイドスイッチング素子2がターンONされる。ローサイドドライブ回路33は、軽負荷の負荷Zが接続されているとき、デッドタイム期間Dtの長さを予め決められた第1ローサイド遅延時間Tf1とするような、ローサイド駆動信号LGを出力する。
【0096】
次に負荷Zが重負荷の場合のローサイドドライブ回路33の動作について説明する。ローサイド遅延回路331が出力する第1ローサイド制御信号NL1は、軽負荷のときと同じである。
【0097】
負荷Zが重負荷の場合、インダクタL1の回生電流によってスイッチ電圧Vswは急激に低下する。そして、スイッチ電圧Vswが基準電圧Vrefよりも低くなったとき、ローサイド比較回路332は、Hiレベルのローサイド遅延時間決定信号SLtを出力する。なお、スイッチ電圧Vswは、デッドタイム期間Dtが終了した後、次の立ち上がりまでの間、Loレベル(ここでは、0V)に維持される。そのため、ローサイド遅延時間決定信号SLtは、次の立ち上がりまで間、Hiレベルとなる。
【0098】
そして、ローサイドAND回路334には、Hiレベルのローサイド指令信号DIN_L及びLoレベルからHiレベルに切り替わるローサイド遅延時間決定信号SLtが入力される。これにより、ローサイドAND回路334は、LoレベルからHiレベルに切り替わる第2ローサイド制御信号NL2を出力する。
【0099】
ローサイドOR回路333には、第1ローサイド制御信号NL1及び第2ローサイド制御信号NL2が入力される。第2ローサイド制御信号NL2は、スイッチ電圧Vswが基準電圧Vref以下になったとき、LoレベルからHiレベルに切り替わる。また、第1ローサイド制御信号NL1は、ローサイド指令信号DIN_LがHiレベルに切り替わって、第1ローサイド遅延時間Tf1経過した後、Hiレベルに切り替わる。
【0100】
上述したとおり、負荷Zが重負荷の場合、スイッチ電圧Vswが基準電圧Vref以下になったとき、第2ローサイド制御信号NL2がLoレベルからHiレベルに切り替わる。ローサイド指令信号DIN_LがHiレベルに切り替わった時点から、スイッチ電圧Vswが基準電圧Vref以下になるまでの時間が第2ローサイド遅延時間Tf2である。
【0101】
そして、負荷Zが軽負荷のときよりも重負荷の場合、第2ローサイド遅延時間Tf2は、第1ローサイド遅延時間Tf1よりも短くなる。そのため、上述した、デッドタイム損失Pd2の式の、デッドタイム期間の長さTfの項が、第1ローサイド遅延時間Tf1よりも小さい第2ローサイド遅延時間Tf2に置き換わるため、デッドタイム損失Pd2を減らすことができる。
【0102】
以上示したように、制御回路3が上述したローサイドドライブ回路33を用いることで、負荷Zの負荷にかかわらず、スイッチング電源装置Aのスイッチ電圧Vswの立ち下がり時のデッドタイム損失を減らすことができる。
【0103】
上述したとおり、スイッチング電源装置Aでは、スイッチ電圧Vswの立ち上がり時におけるデッドタイム損失Pd1及び立下り時におけるデッドタイム損失Pd2を低減するようにデッドタイム期間Dtの長さを負荷Zの軽重に応じて調整できる。
【0104】
<第1変形例>
本開示の第1変形例について図面を参照して説明する。図11は、第1変形例のスイッチング電源装置Bの内部構成を示す図である。第1変形例のスイッチング電源装置Bでは、制御回路3aのハイサイドドライブ回路32a及びローサイドドライブ回路33aがスイッチング電源装置Aの制御回路3と異なる。スイッチング電源装置Bのこれ以外の点は、スイッチング電源装置Aと実質上同じ部分は、同じ符号を付すとともに、詳細な説明を省略する。
【0105】
制御回路3aは、ハイサイドドライブ回路32a及びローサイドドライブ回路33aを有する。以下に、ハイサイドドライブ回路32aの詳細について説明する。
【0106】
<ハイサイドドライブ回路32a>
図12は、変形例のハイサイドドライブ回路32aの内部構成を示す図である。図12に示すように、ハイサイドドライブ回路32aには、ハイサイド指令信号DIN_H、ローサイド駆動信号LG、スイッチ電圧Vsw及びブートストラップ電圧Vbstが入力される。
【0107】
図12に示すように、ハイサイドドライブ回路32aは、ハイサイド遅延回路321と、第2ハイサイドOR回路324と、RSラッチ回路325と、ハイサイドAND回路326と、第1ハイサイド制御スイッチング素子3281と、第2ハイサイド制御スイッチング素子3282と、反転回路3291、3292と、を有する。
【0108】
ハイサイド遅延回路321と、第2ハイサイドOR回路324と、RSラッチ回路325と、ハイサイドAND回路326と、は、ハイサイドドライブ回路32のそれらと同じ構成を有する。そのため、これらの回路の構成の詳細な説明は省略する。
【0109】
第1ハイサイド制御スイッチング素子3281は、ここでは、pチャンネル型MOSトランジスタである。第1ハイサイド制御スイッチング素子3281のソースには、抵抗32Rを介して、ブートストラップ回路34から供給されるブートストラップ電圧Vbstが供給される。本実施形態では、ブートストラップ回路34からのブートストラップ電圧Vbstとしているが、これに限定されず、ハイサイドドライブ回路32aを駆動するための電圧を広く採用することができる。
【0110】
また、第1ハイサイド制御スイッチング素子3281のドレインは、第2ハイサイド制御スイッチング素子3282と直列に接続される。そして、第1ハイサイド制御スイッチング素子3281のゲートには、反転回路3291を介してハイサイド指令信号DIN_Hが入力される。第1ハイサイド制御スイッチング素子3281は、ハイサイド指令信号DIN_HがHiレベルのときにONに制御され、LoレベルのときにOFFに制御される。
【0111】
第2ハイサイド制御スイッチング素子3282は、ここでは、nチャンネル型MOSトランジスタである。第2ハイサイド制御スイッチング素子3282のドレインには、スイッチ電圧Vswが入力される。第2ハイサイド制御スイッチング素子3282のソースは、第1ハイサイド制御スイッチング素子3281のドレインが接続される。そして、第2ハイサイド制御スイッチング素子3282のゲートには、反転回路3292を介してローサイド駆動信号LGが入力される。第2ハイサイド制御スイッチング素子3282は、ローサイド駆動信号LGがLoレベルのときにONに制御され、HiレベルのときにOFFに制御される。
【0112】
RSラッチ回路325のセット端子にはハイサイド指令信号DIN_Hが入力され、リセット端子には、第1ハイサイド制御スイッチング素子3281のソースと抵抗32Rとの接続点P2の電圧Vp2が入力される。RSラッチ回路325は、セット端子にHiレベルの信号が入力され、リセット端子にLoレベルの信号が入力されたときに、Hiレベルのハイサイド遅延時間決定信号SHtを出力する。
【0113】
ハイサイド指令信号DIN_HがHiレベルになるとき、第1ハイサイド制御スイッチング素子3281がターンONされる。また、ローサイド駆動信号LGがLoレベルのとき第2ハイサイド制御スイッチング素子3282がON状態なる。このとき、スイッチ電圧Vswが0Vになると、接続点P2の電圧Vp2がLoレベルになり、Hiレベルのハイサイド遅延時間決定信号SHtが出力される。
【0114】
<ローサイドドライブ回路33a>
図13は、変形例のローサイドドライブ回路33aの内部構成を示す図である。図13に示すように、ローサイドドライブ回路33aには、ローサイド指令信号DIN_L及びスイッチ電圧Vswが入力される。
【0115】
図13に示すように、ローサイドドライブ回路33aは、ローサイド遅延回路331と、ローサイドOR回路333と、ローサイド制御スイッチング素子336と、インバータ回路337とを有する。
【0116】
ローサイド遅延回路331と、ローサイドOR回路333と、は、ローサイドドライブ回路33のそれらと同じ構成を有する。そのため、これらの回路の構成の詳細な説明は省略する。
【0117】
ローサイド制御スイッチング素子336は、nチャンネル型MOSトランジスタである。ローサイド制御スイッチング素子336のドレインには、スイッチ電圧Vswが入力される。また、ローサイド制御スイッチング素子336のソースは、インバータ回路337に接続される。そして、ローサイド制御スイッチング素子336のゲートには、ローサイド指令信号DIN_Lが入力される。ローサイド制御スイッチング素子336は、ローサイド指令信号DIN_LがHiレベルのとき、ON状態である。
【0118】
インバータ回路337には、ローサイド制御スイッチング素子336のソース電圧VsLが供給される。インバータ回路337は、ソース電圧VsLが閾値電圧Vth以下になった時、Hiレベルの第2ローサイド制御信号NL2を出力する。なお、ここでは、閾値電圧Vthを0Vとしている。第2ローサイド制御信号NL2は、第1ローサイド制御信号NL1とともに、ローサイドOR回路333に入力される。
【0119】
<ハイサイドドライブ回路32aの動作>
図14は、負荷Zが軽負荷であるときのハイサイドドライブ回路32aのタイミングチャートである。図15は、負荷Zが重負荷であるときのハイサイドドライブ回路32aのタイミングチャートである。なお、ハイサイドドライブ回路32aの動作のハイサイドドライブ回路32と同じ動作の詳細な説明は省略する。
【0120】
上述したとおり、ハイサイドドライブ回路32aでは、ハイサイド指令信号DIN_HがHiレベルの間、第1ハイサイド制御スイッチング素子3281は、ON状態に維持される。一方で、負荷Zが軽負荷の場合、スイッチ電圧は時間をかけて順次増加する。そのため、接続点P2の電圧Vp2は、Loレベルにならず、RSラッチ回路325は、常にLoレベルのハイサイド遅延時間決定信号SHtを出力する。その結果、軽負荷の負荷Zが接続されている場合、デッドタイムにおける第2ハイサイド制御信号NH2は、Loレベルである。
【0121】
軽負荷の負荷Zが接続されている場合において、ハイサイドドライブ回路32aは、デッドタイム期間Dtを、予め決められた第1ハイサイド遅延時間Td1とするようなHiレベルのハイサイド駆動信号HGを出力する。
【0122】
また、重負荷の負荷Zが接続されている場合、ローサイド駆動信号LGがLoレベルに切り替わったとき、第2ハイサイド制御スイッチング素子3282がターンONされる。図15に示すように、このとき、スイッチ電圧VswはLoレベルであり、接続点P2の電圧Vp2がLoレベルになる。そのため、RSラッチ回路325のセット端子には、Hiレベルのハイサイド指令信号DIN_Hが入力され、リセット端子にはLoレベルの電圧Vp2が入力される。
【0123】
これにより、RSラッチ回路325は、Hiレベルのハイサイド遅延時間決定信号SHtを出力する。Hiレベルのハイサイド遅延時間決定信号SHtが出力されることで、ハイサイドAND回路326が、Hiレベルの第2ハイサイド制御信号NH2を出力し、第2ハイサイドOR回路324が、Hiレベルのハイサイド駆動信号HGを出力する。このようにすることで、デッドタイム期間Dtを、第1ハイサイド遅延時間Td1よりも短い第2ハイサイド遅延時間Td2とすることができる。なお、スイッチ電圧Vswは、ハイサイドスイッチング素子1がON状態になったとき、順次増加する。そのため、接続点P2の電圧Vp2も上昇するが、リセット端子にHiレベルの電圧Vp2が入力されることで、Hiレベルのハイサイド遅延時間決定信号SHtが維持される。
【0124】
以上示したハイサイドドライブ回路32aを用いても、負荷Zが軽負荷のときよりも重負荷の場合、第2ハイサイド遅延時間Td2が、第1ハイサイド遅延時間Td1よりも短くなる。そのため、上述した、デッドタイム損失Pd1の式の、デッドタイム期間の長さTdの項が、第1ハイサイド遅延時間Td1よりも小さい第2ハイサイド遅延時間Td2に置き換わるため、デッドタイム損失Pd1を減らすことができる。
【0125】
以上示したように、制御回路3aが上述したハイサイドドライブ回路32aを用いることで、負荷Zの負荷にかかわらず、スイッチング電源装置Bのスイッチ電圧Vswの立ち上がり時のデッドタイム損失を減らすことができる。
【0126】
<ローサイドドライブ回路33aの動作>
図16は、負荷Zが軽負荷であるときのローサイドドライブ回路33aのタイミングチャートである。図17は、負荷Zが重負荷であるときのローサイドドライブ回路33aのタイミングチャートである。なお、ローサイドドライブ回路33aの動作のローサイドドライブ回路33と同じ動作の詳細な説明は省略する。
【0127】
上述したとおり、ローサイドドライブ回路33aでは、ローサイド指令信号DIN_LがHiレベルの間、ローサイド制御スイッチング素子336は、ON状態に維持される。一方で、負荷Zが軽負荷の場合、スイッチ電圧Vswは時間をかけて順次減少する。そのため、デッドタイム期間Dtにおいて、ローサイド制御スイッチング素子336のソース電圧VsLはインバータ回路337の閾値電圧Vthよりも高くなり、インバータ回路337は、Loレベルの第2ローサイド制御信号NL2を出力する。
【0128】
そして、ローサイド指令信号DIN_LがLoレベルからHiレベルに切り替わった時点から、第1ローサイド遅延時間Tf1経過した時点で、スイッチ電圧Vswが0Vとなる。これにより、ローサイド制御スイッチング素子336のソース電圧VsLはインバータ回路337の閾値電圧Vth以下になる。その結果、インバータ回路337は、Hiレベルの第2ローサイド制御信号NL2を出力する。つまり、第2ローサイド制御信号NL2は、第1ローサイド制御信号NL1と同じタイミングでLoレベルからHiレベルに切り替わる。ローサイドドライブ回路33aは、デッドタイム期間Dtの長さを、予め決められた第1ローサイド遅延時間Tf1とするように調整されたローサイド駆動信号LGが出力される。
【0129】
次に負荷Zが重負荷の場合のローサイドドライブ回路33aの動作について説明する。ローサイド遅延回路331が出力する第1ローサイド制御信号NL1は、軽負荷のときと同じである。
【0130】
スイッチ電圧Vswは、急激に減少し、一旦、0V以下になる。スイッチ電圧Vswが0以下になったとき、インバータ回路337は、Hiレベルの第2ローサイド制御信号NL2を出力する。
【0131】
ローサイドOR回路333は、第1ローサイド制御信号NL1がHiレベルに切り替わるか、第2ローサイド制御信号NL2がHiレベルに切り替わることでLoレベルからHiレベルに切り替わったハイサイド駆動信号を出力する。
【0132】
上述したとおり、負荷Zが重負荷の場合、インバータ回路337の閾値電圧Vth以下のとき、インバータ回路337はHiレベルの第2ローサイド制御信号NL2を出力する。ローサイド指令信号DIN_LがHiレベルに切り替わった時点から、スイッチ電圧Vswがインバータ回路337の閾値電圧Vth以下になるまでの時間が第2ローサイド遅延時間Tf2である。
【0133】
そして、負荷Zが軽負荷のときよりも重負荷の場合、第2ローサイド遅延時間Tf2は、第1ローサイド遅延時間Tf1よりも短くなる。そのため、上述した、デッドタイム損失Pd2の式の、デッドタイム期間の長さTfの項が、第1ローサイド遅延時間Tf1よりも小さい第2ローサイド遅延時間Tf2に置き換わるため、デッドタイム損失Pd2を減らすことができる。
【0134】
以上示したように、制御回路3が上述したローサイドドライブ回路33aを用いることで、負荷Zの負荷にかかわらず、スイッチング電源装置Bのスイッチ電圧Vswの立ち下がり時のデッドタイム損失を減らすことができる。
【0135】
上述したとおり、スイッチング電源装置Bでは、スイッチ電圧Vswの立ち上がり及び立下り時におけるデッドタイム損失Pd1、Pd2を低減するようにデッドタイム期間Dtの長さを負荷Zの軽重に応じて調整できる。
【0136】
本開示の構成において、ハイサイドスイッチング素子として、nチャンネル型MOSトランジスタを用いているが、これに限定されず、pチャンネル型MOSトランジスタを用いてもよい。この場合、ブートストラップ回路34を省略可能である。そして、第1変形例において、ブートストラップ電圧Vbstを供給していた端子には、入力電圧Vinを供給してもよいし、別途電源回路で形成した電圧を供給するようにしてもよい。
【0137】
スイッチング電源装置A、Bにおいて、電力密度を向上する目的で、高周波で高降圧比(例えば、48Vから3V~5Vへの変換)を実現できるナノパルスコントロールを実行可能である。また、スイッチング電源装置A、Bでは、高周波で動作するため、デッドタイム損失を低減するように動作することで、損失を低減することができる。なお、デッドタイム損失は、Si系のデバイスでも損失を低減する効果があるが、高周波及び大電流のスイッチング制御を行うときに、用いられるGaNデバイスでは、Si系の順方向電圧Vf(例えば、約0.7V)に比べて、大きい順方向電圧Vf(例えば、約2.5V)が発生する。そのため、GaNデバイスを用いる場合には、Si系のデバイスを用いる場合に比べて、損失を低減する効果をより高めることが可能である。
【0138】
<第2変形例>
図18は、第2変形例の半導体装置100bを用いたモータ駆動装置300の全体構成図である。図18に示すモータ駆動装置300の半導体装置100bは、DCブラシレスモータ500を駆動するモータ駆動回路として用いられる。
【0139】
DCブラシレスモータ500には、U相コイル5U、V相コイル5V及びW相コイル5Wを有する。そして、半導体装置100bは、U相ハイサイドスイッチング素子1U、U相ローサイドスイッチング素子2U、V相ハイサイドスイッチング素子1V、V相ローサイドスイッチング素子2V、W相ハイサイドスイッチング素子1W、W相ローサイドスイッチング素子2W、制御回路6を有する。
【0140】
1組のU相ハイサイドスイッチング素子1U及びU相ローサイドスイッチング素子2Uは、半導体装置100のハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2と同様の構成を有し、U相コイル5Uに接続される。同様に、1組のV相ハイサイドスイッチング素子1V及びV相ローサイドスイッチング素子2Vは、半導体装置100のハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2と同様の構成を有し、V相コイル5Vに接続される。1組のW相ハイサイドスイッチング素子1W及びW相ローサイドスイッチング素子2Wは、半導体装置100bのハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2と同様の構成を有し、W相コイル5Wに接続される。つまり、半導体装置100bは、半導体装置100が有するハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2を1組として、3組のハイサイドスイッチング素子1及びローサイドスイッチング素子2を有する。
【0141】
制御回路6は、信号生成回路61と、ハイサイドドライブ回路62と、ローサイドドライブ回路63と、を有する。信号生成回路61は、ハイサイド指令信号DIN_HU、DIN_HV、DIN_HWをハイサイドドライブ回路62に供給する。また、信号生成回路61は、ローサイド指令信号DIN_LU、DIN_LV、DIN_LWをローサイドドライブ回路63に供給する。
【0142】
ハイサイドドライブ回路62は、上述のハイサイドドライブ回路32又は32aと同様の構成を有し、ハイサイド指令信号DIN_HU、DIN_HV、DIN_HWから生成されたハイサイド駆動信号HGU、HGV、HGWをハイサイドスイッチング素子1U、1V、1Wに供給する。ハイサイドドライブ回路62は、各相のハイサイドスイッチング素子及びローサイドスイッチング素子から各コイルに供給される電圧の立ち上がり時のデッドタイム期間が形成されるようにハイサイド駆動信号HGU、HGV、HGWを生成する。
【0143】
ローサイドドライブ回路63は、上述のローサイドドライブ回路33又は33aと同様の構成を有し、ローサイド指令信号DIN_LU、DIN_LV、DIN_LWから生成されたローサイド駆動信号LGU、LGV、LGWをローサイドスイッチング素子2U、2V、2Wに供給する。ローサイドドライブ回路63は、各相のハイサイドスイッチング素子及びローサイドスイッチング素子から各コイルに供給される電圧の立ち下がり時のデッドタイム期間が形成されるようにローサイド駆動信号LGU、LGV、LGWを生成する。
【0144】
<用途>
先述した半導体装置100を用いたスイッチング電源装置Aは、負荷ZとしてLEDを採用した発光装置とすることができる。このような発光装置は、例えば、図19及び図20で示す通り、車両X10のヘッドライト(ハイビーム/ロービーム/スモールランプ/フォグランプなどを適宜含む)X11、白昼夜走行(DRL)用光源X12、テールランプ(スモールランプやバックランプなどを適宜含む)X13、ストップランプX14、及び、ターンランプX15などの発光装置として好適に用いることができる。
【0145】
なお、先述した発光装置は、モジュール(図21のLEDヘッドライトモジュールY10、図22のLEDターンランプモジュールY20、及び、図23のLEDリアランプモジュールY30など)の発光装置として提供されてもよい。また、半導体装置100を、LEDの発光を制御する発光制御装置の形態で提供されてもよい。
【0146】
また、発光装置に用いられる半導体装置は、半導体装置100に限定されず、半導体装置100aを用いてもよい。
【0147】
<その他>
上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0148】
上記の実施形態では、PWM信号が用いられたが、PWM信号の代わりにPWM信号以外のパルス信号が用いられてもよい。PWM信号以外のパルス信号としては、例えばPFM(Pulse Frequency Modulation)信号、PDM(Pulse Density Modulation)信号などを挙げることができる。
【0149】
以上説明した半導体装置(100、100a)は、ハイサイドスイッチング素子(1)と、ハイサイドスイッチング素子(1)と直列に接続されるローサイドスイッチング素子(2)と、ハイサイドスイッチング素子(1)及びローサイドスイッチング素子(2)を相補的にON/OFF制御可能に構成された制御回路(3、3a)と、を有する。半導体装置(100)は、ハイサイドスイッチング素子(1)とローサイドスイッチング素子(2)との接続点(P1)の電圧(Vsw)から生成される出力電圧(Vout)を出力する。制御回路(3、3a)が、ハイサイドスイッチング素子U(1)及びローサイドスイッチング素子(2)がともにOFFに制御されるデッドタイムDtを接続点(P1)の電圧(Vsw)に基づいて、出力電圧(Vout)が供給される負荷(Z)が重いときに負荷(Z)が軽いときよりも短く制御する構成(第1の構成)である。
【0150】
上記第1の構成の半導体装置(100、100a)において、制御回路(3、3a)は、ハイサイドスイッチング素子(1)がターンOFFした後、ローサイドスイッチング素子(2)がターンONするまでの時間を負荷(Z)が重いときに負荷(Z)が軽いときよりも短くするように制御する構成(第2の構成)であってもよい。
【0151】
上記第2の構成の半導体装置(100、100a)において、制御回路(3、3a)は、ハイサイドスイッチング素子(1)がOFFであるときに第1状態になるローサイド指令信号(DIN_L)を一定の期間(Tf1)遅延させた第1ローサイド制御信号(NL1)と、第1状態のローサイド指令信号(DIN_L)が入力されているとともに、接続点(P1)の電圧(Vsw)が予め決められた電圧(Vref)よりも小さくなったときに第1状態になる第2ローサイド指令信号(NL2)と、を生成し、第1ローサイド制御信号(NL1)及び第2ローサイド制御信号(NL2)の少なくとも一方が第1状態のときローサイドスイッチング素子(2)をターンONする構成(第3の構成)であってもよい。
【0152】
上記第2の構成又は第3の構成の半導体装置において、制御回路(3)は、ハイサイドスイッチング素子(1)がOFFであるときに第1状態になるローサイド指令信号(DIN_L)を一定の期間(Tf1)遅延させた第1ローサイド制御信号(NL1)を生成するように構成されたローサイド遅延回路(331)と、接続点(P1)の電圧(Vsw)が予め決められた電圧(Vref)よりも小さいときに第1状態となるローサイド遅延時間決定信号(SLt)を生成するように構成されたローサイド比較回路(332)と、ローサイド指令信号(DIN_L)及びローサイド遅延時間決定信号(SHt)がともに第1状態であるとき第1状態となる第2ローサイド制御信号(NL2)を生成するように構成されたローサイドAND回路(334)と、第1ローサイド制御信号(NL1)と第2ローサイド制御信号(NL2)の少なくとも一方が第1状態であるときに第1状態となりローサイドスイッチング素子(2)をONに制御するローサイド駆動信号(LG)を生成するように構成されたローサイドOR回路(333)と、を有する構成(第4の構成)であってもよい。
【0153】
上記第2の構成又は第3の構成の半導体装置において、制御回路(3a)は、ハイサイドスイッチング素子(1)がOFFであるときに第1状態になるローサイド指令信号(DIN_L)を一定の期間(Tf1)遅延させた第1ローサイド制御信号(NL1)を生成するように構成されたローサイド遅延回路(331)と、入力端子に接続点(P1)の電圧(Vsw)が入力されるとともに制御端子にローサイド指令信号(DIN_L)が入力されるように構成されたローサイド制御スイッチング素子(336)と、ローサイド制御スイッチング素子(336)の出力端子に接続されてローサイド制御スイッチング素子(336)から出力された電圧(VsL)が予め決められた電圧(Vth)よりも小さくなったときに第2ローサイド制御信号(NL2)を生成するように構成されたインバータ回路(337)と、第1ローサイド制御信号(NL1)と第2ローサイド制御信号(NL2)の少なくとも一方が第1状態であるときに第1状態となりローサイドスイッチング素子(2)をONに制御するローサイド駆動信号(LG)を生成するように構成されたローサイドOR回路(333)と、を有する構成(第5の構成)である。
【0154】
上記第1の構成から第5の構成のいずれかの半導体装置(100、100a)において、制御回路(3、3a)は、ローサイドスイッチング素子(2)がターンOFFした後、ハイサイドスイッチング素子(1)がターンONするまでの時間を負荷(Z)が重いときに負荷(Z)が軽いときよりも短くするように制御する構成(第6の構成)である。
【0155】
上記第6の構成の半導体装置(100、100a)において、制御回路(3、3a)は、ローサイドスイッチング素子(2)がOFFであるときに第1状態になるハイサイド指令信号(DIN_H)を一定の期間(Td1)遅延させた第1ハイサイド制御信号(Nh1)と、ローサイドスイッチング素子(2)をONに制御するローサイド駆動信号(LG)が入力されているとともに、接続点(P1)の電圧(Vsw)が予め決められた電圧(Vref)よりも小さくなったときに第1状態になる第2ハイサイド指令信号(NH2)と、を生成し、第1ハイサイド制御信号(NH1)及び第2ハイサイド制御信号(NH2)の少なくとも一方が第1状態のときハイサイドスイッチング素子(1)をターンONする構成(第7の構成)である。
【0156】
上記第6の構成又は第7の構成の半導体装置(100)において、制御回路(3)は、ローサイドスイッチング素子(2)がOFFであるときに第1状態になるハイサイド指令信号(DIN_H)を一定の期間(Td1)遅延させた第1ハイサイド制御信号(NH1)を生成するように構成されたハイサイド遅延回路(321)と、接続点(P1)の電圧(Vsw)が予め決められた電圧(Vref)よりも大きいときに第1状態となる比較結果信号(SHc)を生成するように構成されたハイサイド比較回路(322)と、ローサイドスイッチング素子(2)をONに制御するローサイド駆動信号(LG)及び比較結果信号(SHc)の少なくとも一方が第1状態のとき第1状態となるリセット信号(SHr)を生成するように構成された第1ハイサイドOR回路323と、ハイサイド指令信号(DIN_H)がセット端子に、リセット信号(SHr)がリセット端子に入力されてハイサイド遅延時間決定信号(SHt)を生成するように構成されたRSラッチ回路(325)と、ハイサイド指令信号(DIN_H)及びハイサイド遅延時間決定信号(SHt)がともに第1状態のときに第1状態となる第2ハイサイド制御信号(NH2)を生成するハイサイドAND回路(326)と、第1ハイサイド制御信号(NH1)と第2ハイサイド制御信号(NH2)の少なくとも一方が第1状態であるときに第1状態となりハイサイドスイッチング素子(1)をONに制御するハイサイド駆動信号(HG)を生成するように構成された第2ハイサイドOR回路(324)と、を有する構成(第8の構成)である。
【0157】
上記第6の構成又は第7の構成の半導体装置(100a)において、制御回路(3a)は、ローサイドスイッチング素子(2)がOFFであるときに第1状態になるハイサイド指令信号(DIN_H)を一定の期間(Td1)遅延させた第1ハイサイド制御信号(NH1)を生成するように構成されたハイサイド遅延回路(321)と、制御回路(3a)を駆動するための電源電圧(Vbst)が入力されるとともに反転されたハイサイド指令信号(DIN_H)が制御端子に入力されるように構成された第1ハイサイド制御スイッチング素子(3281)と、第1ハイサイド制御スイッチング素子(3281)と直列に接続され、接続点(P1)の電圧(Vsw)が入力端子に入力されるとともにローサイドスイッチング素子(2)をONに制御するローサイド駆動信号(LG)を反転させた信号が制御端子に入力される第2ハイサイド制御スイッチング素子(3282)と、ハイサイド指令信号(DIN_H)がセット端子に、第1ハイサイド制御スイッチング素子(3281)の入力端子(P2)の電圧(Vp2)がリセット端子に入力されてハイサイド遅延時間決定信号(SHt)を生成するように構成されたRSラッチ回路(325)と、ハイサイド指令信号(DIN_H)及びハイサイド遅延時間決定信号(SHt)がともに第1状態のときに第1状態となる第2ハイサイド制御信号(NH2)を生成するハイサイドAND回路(326)と、第1ハイサイド制御信号(NH1)及び第2ハイサイド制御信号(NH2)の少なくとも一方が第1状態であるときに第1状態となりハイサイドスイッチング素子(1)をONに制御するハイサイド駆動信号(HG)を生成するように構成されたハイサイドOR回路(324)と、を有する構成(第9の構成)である。
【0158】
上記第1の構成から第9の構成のいずれかの半導体装置(100、100a)において、ハイサイドスイッチング素子(1)及びローサイドスイッチング素子(2)の少なくとも一方がGaN半導体である構成(第10の構成)である。
【0159】
上記第1の構成から第10の構成のいずれかの半導体装置(100、100a)において、ハイサイドスイッチング素子(1)及びローサイドスイッチング素子(2)の少なくとも一方がSi系半導体である構成(第11の構成)である。
【0160】
上記第1の構成から第11の構成のいずれかの半導体装置(100、100a)を有するDC/DCコンバータを有する構成(第12の構成)である。
【0161】
上記第12の構成のDC/DCコンバータを有するスイッチング電源装置(A、B)を有する構成(第13の構成)である。
【0162】
上記第1の構成から第11の構成のいずれかの半導体装置(100、100a)を有する車両(X10)を有する構成(第14の構成)である。
【0163】
上記第1の構成から第11の構成のいずれかの半導体装置(100、100b)に備えられる1組のハイサイドスイッチング素子(1U、1V、1W)及びローサイドスイッチング素子(2U、2V、2W)を複数組備えるとともに、ハイサイドスイッチング素子(1U、1V、1W)とローサイドスイッチング素子(2U、2V、2W)との接続点の電圧をモータ500に供給可能な構成(第15の構成)である。
【符号の説明】
【0164】
A、B スイッチング電源装置
100、100a、100b 半導体装置
200 平滑化回路
500 DCブラシレスモータ
1、1U、1V、1W ハイサイドスイッチング素子
2、2U、2V、2W ローサイドスイッチング素子
3、3a 制御回路
31 信号生成回路
32、32a ハイサイドドライブ回路
321 ハイサイド遅延回路
322 ハイサイド比較回路
323 第1ハイサイドOR回路
324 第2ハイサイドOR回路
325 RSラッチ回路
3251 NAND回路
3252 NAND回路
3253 NOT回路
326 ハイサイドAND回路
3281 第1ハイサイド制御スイッチング素子
3282 第2ハイサイド制御スイッチング素子
3291 反転回路
3292 反転回路
32R 抵抗
33、33a ローサイドドライブ回路
331 ローサイド遅延回路
332 ローサイド比較回路
333 ローサイドOR回路
334 ローサイドAND回路
336 ローサイド制御スイッチング素子
337 インバータ回路
34 ブートストラップ回路
5U U相コイル
5V V相コイル
5W W相コイル
6 制御回路
61 信号生成回路
62 ハイサイドドライブ回路
63 ローサイドドライブ回路
C1 コンデンサ
L1 インダクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23