(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120478
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】カラオケ装置
(51)【国際特許分類】
G10K 15/04 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027300
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直紀
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208CG09
(57)【要約】
【課題】利用者に対して効果的にカラオケルームの利用時間の延長を推奨することが可能なカラオケ装置を提供する。
【解決手段】第1の所定楽曲を示す楽曲識別情報と当該第1の所定楽曲に連続してカラオケ演奏を行うことが推奨される第2の所定楽曲を示す楽曲識別情報とを対応付けて記憶する情報記憶部、第1の所定楽曲のカラオケ演奏の終了後、当該カラオケ演奏がカラオケルームの利用時間における最後のカラオケ演奏であるか否かを判定する第1の判定部、最後のカラオケ演奏であると判定された場合、利用時間の延長が可能か否かを判定する第2の判定部、利用時間の延長が可能と判定された場合、利用時間の延長、及びカラオケ演奏された第1の所定楽曲に対応する第2の所定楽曲のカラオケ演奏を利用者に対して推奨する推奨部を有するカラオケ装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケルームに設置されるカラオケ装置であって、
第1の所定楽曲を示す楽曲識別情報と、当該第1の所定楽曲に連続してカラオケ演奏を行うことが推奨される第2の所定楽曲を示す楽曲識別情報とを対応付けて記憶する情報記憶部と、
第1の所定楽曲のカラオケ演奏の終了後、当該カラオケ演奏が前記カラオケルームの利用時間における最後のカラオケ演奏であるか否かを判定する第1の判定部と、
前記第1の判定部により最後のカラオケ演奏であると判定された場合、前記利用時間の延長が可能か否かを判定する第2の判定部と、
前記第2の判定部により利用時間の延長が可能と判定された場合、利用時間の延長、及びカラオケ演奏された前記第1の所定楽曲に対応する第2の所定楽曲のカラオケ演奏を利用者に対して推奨する推奨部と、
を有するカラオケ装置。
【請求項2】
前記第1の判定部は、前記第1の所定楽曲のカラオケ演奏の終了から、前記カラオケルームの利用時間の終了までの時間が所定条件を満たす場合、当該第1の所定楽曲のカラオケ演奏が当該利用時間における最後のカラオケ演奏であると判定することを特徴とする請求項1記載のカラオケ装置。
【請求項3】
前記情報記憶部は、アーティストのライブにおける本編の最後に歌唱されるラスト楽曲を示す楽曲識別情報を第1の所定楽曲を示す楽曲識別情報として記憶し、当該アーティストのライブにおけるアンコールで歌唱されるアンコール楽曲を示す楽曲識別情報を当該第1の所定楽曲に対応する第2の所定楽曲を示す楽曲識別情報として記憶することを特徴とする請求項1または2記載のカラオケ装置。
【請求項4】
前記推奨部は、アーティストのライブにおいて観衆がアンコール楽曲の歌唱を要求する際に発する音声を模擬したアンコールデータに基づく演出を行うことを特徴とする請求項3記載のカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ店舗の経営者はカラオケルームやカラオケ装置の稼働率向上を目指している。また、カラオケ事業者はカラオケ装置における楽曲の演奏度数の向上を目指している。
【0003】
ここで、たとえば特許文献1には、利用者が予約した部屋の利用時間が所定時間以下となった時、カラオケ店舗全体の空き部屋状況と新規利用者の予約状況に応じて他の空き部屋への移動を含む延長案内の実施を判定する技術が開示されている。また、特許文献2には、利用開始からの時間経過に応じた楽曲を推奨する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-029575号公報
【特許文献2】特開2012-215611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、利用者に対して効果的にカラオケルームの利用時間の延長を推奨することが可能なカラオケ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための一の発明は、カラオケルームに設置されるカラオケ装置であって、第1の所定楽曲を示す楽曲識別情報と、当該第1の所定楽曲に連続してカラオケ演奏を行うことが推奨される第2の所定楽曲を示す楽曲識別情報とを対応付けて記憶する情報記憶部と、第1の所定楽曲のカラオケ演奏の終了後、当該カラオケ演奏が前記カラオケルームの利用時間における最後のカラオケ演奏であるか否かを判定する第1の判定部と、前記第1の判定部により最後のカラオケ演奏であると判定された場合、前記利用時間の延長が可能か否かを判定する第2の判定部と、前記第2の判定部により利用時間の延長が可能と判定された場合、利用時間の延長、及びカラオケ演奏された前記第1の所定楽曲に対応する第2の所定楽曲のカラオケ演奏を利用者に対して推奨する推奨部と、を有するカラオケ装置である。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、利用者に対して効果的にカラオケルームの利用時間の延長を推奨することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るカラオケ装置を示す図である。
【
図2】実施形態に係るカラオケ本体を示す図である。
【
図3】実施形態に係る情報記憶部が記憶するテーブルを示す図である。
【
図4】実施形態に係るカラオケ装置の処理を示すフローチャートである。
【
図5】変形例1に係る情報記憶部が記憶するテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
図1~
図4を参照して、実施形態に係るカラオケ装置について説明する。
【0010】
==カラオケ装置==
カラオケ装置は、楽曲のカラオケ演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。カラオケ装置は、カラオケ店舗のカラオケルームに設置される。カラオケ装置は、カラオケ店舗に設置されているコンピュータやローカルサーバ(いずれも図示なし。以下、コンピュータ等)と通信可能に接続されている。コンピュータ等は、カラオケルームの予約情報を記憶している。予約情報は、たとえばカラオケルームの利用状況(利用中か否か)、予約状況(他の予約が入っているか否か)、利用開始時刻、利用終了時刻、利用人数のような、カラオケルーム毎の予約に関する情報である。
【0011】
図1に示すように、カラオケ装置KはカラオケルームRに設置される。カラオケ装置Kは利用者Uが利用する。カラオケ装置Kは、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、マイク40、及びリモコン装置50を備える。
【0012】
カラオケ本体10は、選曲された楽曲のカラオケ演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク40を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ演奏やカラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ20はカラオケ本体10からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置30はカラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク40は利用者が発した音声をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。リモコン装置50は、カラオケ本体10に対する各種操作をおこなうための装置である。
【0013】
図2に示すように、本実施形態に係るカラオケ本体10は、記憶手段10a、通信手段10b、入力手段10c、演奏手段10d、及び制御手段10eを備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0014】
[記憶手段]
記憶手段10aは、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。記憶手段10aは、楽曲データを記憶する。
【0015】
楽曲データは、個々の楽曲を特定するための楽曲識別情報が付与されている。楽曲識別情報は、楽曲を識別するための楽曲ID等、各楽曲に固有の情報である。楽曲データは、伴奏データ、リファレンスデータ等を含む。伴奏データは、カラオケ演奏音の元となるデータである。リファレンスデータは、カラオケ演奏された楽曲の歌唱旋律を示すデータであって、利用者によるカラオケ歌唱を評価する際に用いられるデータである。
【0016】
記憶手段10aは、各楽曲に対応する歌詞をカラオケ演奏に合わせて表示装置30等に表示させるための歌詞テロップデータ、及びカラオケ演奏時に表示装置30等に表示される背景映像等の背景映像データ、及び楽曲の属性情報(楽曲名、歌手名、ジャンル、演奏時間等)を記憶する。
【0017】
本実施形態において記憶手段10aの記憶領域の一部は、情報記憶部100として機能する。
【0018】
(情報記憶部)
情報記憶部100は、第1の所定楽曲を示す楽曲識別情報と、第2の所定楽曲を示す楽曲識別情報とを対応付けて記憶する。
【0019】
第1の所定楽曲は、カラオケ装置Kでカラオケ演奏が可能な楽曲の中から、予め設定されている楽曲である。第2の所定楽曲は、第1の所定楽曲に連続してカラオケ演奏を行うことが推奨される楽曲である。たとえば第1の所定楽曲は、あるアーティストの最新ヒット曲のような場が盛り上がる楽曲である。また、第2の所定楽曲は、当該あるアーティストが過去に大ヒットさせたスタンダード曲であり、第1の所定楽曲と続けて歌唱することで更に場が盛り上がる楽曲である。
【0020】
第1の所定楽曲及び第2の所定楽曲は、たとえば日本全国のカラオケ装置における演奏履歴に基づいて決定することができる。この場合、外部のサーバ装置(図示なし)は、日本全国のカラオケ装置から演奏履歴を収集する。サーバ装置は、収集した演奏履歴を解析することで第1の所定楽曲及び第2の所定楽曲を特定する。
【0021】
たとえば楽曲Xのカラオケ演奏に連続して楽曲Yのカラオケ演奏が行われるという演奏履歴が所定数(たとえば1000)以上得られた場合、サーバ装置は、楽曲Xを第1の所定楽曲とし、楽曲Yを第2の所定楽曲とする。サーバ装置は、楽曲Xの楽曲IDと、楽曲Yの楽曲IDとを対応付けてカラオケ装置Kに送信する。カラオケ装置Kの情報記憶部100は、受信した楽曲Xの楽曲IDと楽曲Yの楽曲IDとを対応付けて記憶する。
【0022】
図3は、情報記憶部100に記憶されているテーブルを示す図である。
図3の例において、第1の所定楽曲である楽曲X1を示す楽曲ID***X1には、第2の所定楽曲である楽曲Y1を示す楽曲ID***Y1が対応付けられており、第1の所定楽曲である楽曲X2を示す楽曲ID***X2には、第2の所定楽曲である楽曲Y2を示す楽曲ID***Y2が対応付けられている。
【0023】
一方、第1の所定楽曲である楽曲X3を示す楽曲ID***X3には、第2の所定楽曲である楽曲Y3を示す楽曲ID***Y3及び第2の所定楽曲である楽曲Z3を示す楽曲ID***Z3が対応付けられている。すなわち、第1の所定楽曲を示す楽曲識別情報に対して、複数の第2の所定楽曲を示す楽曲識別情報が対応付けられていてもよい。
【0024】
[通信手段・入力手段]
通信手段10bは、リモコン装置50との通信を行うためのインターフェースを提供する。入力手段10cは、利用者が各種の操作入力を行うための構成である。入力手段10cは、カラオケ本体10に設けられたボタン等である。或いは、リモコン装置50が入力手段10cとして機能してもよい。
【0025】
[演奏手段]
演奏手段10dは、制御手段10eの制御に基づき、楽曲のカラオケ演奏、及びマイク40を通じて入力された音声信号の処理を行う。演奏手段10dは、音源、ミキサ、アンプ等を含む(いずれも図示なし)。
【0026】
[制御手段]
制御手段10eは、カラオケ装置Kにおける各種の制御を行う。制御手段10eは、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0027】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段10eは、第1の判定部200、第2の判定部300、及び推奨部400として機能する。
【0028】
(第1の判定部)
第1の判定部200は、第1の所定楽曲のカラオケ演奏の終了後、当該カラオケ演奏がカラオケルームの利用時間における最後のカラオケ演奏であるか否かを判定する。
【0029】
判定は様々な方法により行うことができる。たとえば、第1の判定部200は、第1の所定楽曲のカラオケ演奏の終了から、カラオケルームの利用時間の終了までの時間が所定条件を満たす場合、当該第1の所定楽曲のカラオケ演奏が当該利用時間における最後のカラオケ演奏であると判定することができる。所定条件は、たとえば3分以下、5分未満のように予め一の条件が設定されている。
【0030】
カラオケ装置Kは、カラオケ店舗に設置されているコンピュータ等からカラオケルームRの予約情報を予め取得する。第1の判定部200は、第1の所定楽曲のカラオケ演奏の終了時刻と予約情報に含まれる利用終了時刻とに基づいて、第1の所定楽曲のカラオケ演奏の終了からカラオケルームRの利用時間の終了までの時間を求める。第1の判定部200は、求めた時間が所定条件を満たすかどうかを確認する。求めた時間が所定条件を満たす場合、第1の判定部200は、第1の所定楽曲のカラオケ演奏が利用時間における最後のカラオケ演奏であると判定する。この場合、第1の判定部200は、判定結果を第2の判定部300に出力する。一方、求めた時間が所定条件を満たさない場合、第1の判定部200は、第1の所定楽曲のカラオケ演奏が利用時間における最後のカラオケ演奏ではないと判定する。この場合、第1の判定部200は、判定結果を第2の判定部300に出力しない。よって、カラオケ装置Kは以降の処理を実行しない。
【0031】
或いは、第1の判定部200はカラオケ演奏の予約の有無により判定を行ってもよい。具体的に、第1の判定部200は、第1の所定楽曲のカラオケ演奏の終了後、他の楽曲のカラオケ演奏が予約されているかどうかを確認する。第1の判定部200は、他の楽曲のカラオケ演奏が予約されていない場合に、第1の所定楽曲のカラオケ演奏がカラオケルームの利用時間における最後のカラオケ演奏であると判定する。
【0032】
なお、第1の判定部200は、カラオケ演奏される楽曲が第1の所定楽曲でない場合、上述の処理を実行しない。具体的に、第1の判定部200は、所定のタイミング(たとえば楽曲のカラオケ演奏が終了したタイミング、楽曲のカラオケ演奏が予約されたタイミング、楽曲のカラオケ演奏が開始されたタイミング)において、カラオケ演奏される楽曲が情報記憶部100に第1の所定楽曲として記憶されているかどうかを確認する。第1の所定楽曲として記憶されている場合、第1の判定部200は、カラオケ演奏の終了後に上述の処理を実行する。一方、第1の所定楽曲として記憶されていない場合、第1の判定部200は、上述の処理を実行しない。
【0033】
(第2の判定部)
第2の判定部300は、第1の判定部200により最後のカラオケ演奏であると判定された場合、利用時間の延長が可能か否かを判定する。
【0034】
第1の判定部200から判定結果が出力された場合、第2の判定部300は、予め取得したカラオケルームRの予約情報を参照し、カラオケルームRの利用時間の延長が可能か否かを判定する。たとえば、第2の判定部300は、予約情報に含まれる予約状況を参照し、他の予約が入っているかどうかを確認する。他の予約が入っていない場合、第2の判定部300は、利用時間の延長が可能であると判定する。この場合、第2の判定部300は、判定結果を推奨部400に出力する。一方、他の予約が入っている場合、第2の判定部300は、利用時間の延長ができないと判定する。この場合、第2の判定部300は、判定結果を推奨部400に出力しない。よって、カラオケ装置Kは以降の処理を実行しない。
【0035】
(推奨部)
推奨部400は、第2の判定部300により利用時間の延長が可能と判定された場合、利用時間の延長、及びカラオケ演奏された第1の所定楽曲に対応する第2の所定楽曲のカラオケ演奏を利用者に対して推奨する。
【0036】
推奨は様々な方法により行うことができる。たとえば推奨部400は、表示装置30の表示画面に「まもなく利用時間が終了します。利用時間を延長してもう1曲歌いませんか。楽曲Xの次には楽曲Yがお勧めです。」といったメッセージを表示させることができる。また、推奨部400は、上記のようなメッセージの表示と合わせて或いはメッセージを表示する代わりに、スピーカ20から当該メッセージに対応する音声を放音させることができる。
【0037】
第2の判定部300により利用時間の延長が可能という判定結果が出力された場合、推奨部400は、情報記憶部100を参照し、カラオケ演奏された第1の所定楽曲の楽曲IDに基づいて、対応する第2の所定楽曲を特定する。推奨部400は、特定した第2の所定楽曲のカラオケ演奏を利用時間の延長と合わせて利用者に推奨する。
【0038】
ここで、上述の通り、情報記憶部100において、カラオケ演奏された第1の所定楽曲を示す楽曲識別情報に対して複数の第2の所定楽曲を示す楽曲識別情報が対応付けられている場合がある。この場合、推奨部400は、いずれか一つの第2の所定楽曲のカラオケ演奏を推奨してもよいし、全ての第2の所定楽曲のカラオケ演奏を推奨してもよい。或いは、推奨部400は、利用時間中にカラオケ演奏された楽曲の履歴に基づいて、複数の第2の所定楽曲のうち、未だカラオケ演奏されていない楽曲を第2の所定楽曲とし、当該楽曲のカラオケ演奏を推奨することができる。
【0039】
なお、推奨に応じて利用者が利用時間を延長した場合、カラオケ装置Kは、推奨した第2の所定楽曲の演奏時間または曲数に基づいて延長料金を算出することができる。この場合、カラオケ装置Kは、算出した延長料金をカラオケ店舗のコンピュータ等に送信する。コンピュータ等は、予め設定されている利用料金に対して受信した延長料金を加算した額を利用者に提示する。
【0040】
==カラオケ装置Kの動作について==
次に、
図4を参照して本実施形態におけるカラオケ装置Kの動作の具体例について述べる。
図4は、カラオケ装置Kの動作例を示すフローチャートである。この例において、情報記憶部100は、
図3に示すテーブルを記憶しているとする。また利用者Uが、カラオケルームRに設置されているカラオケ装置Kを利用するものとする。またこの例では利用者Uが選曲した楽曲は第1の所定楽曲であるとする。
【0041】
利用者Uは、リモコン装置50を操作し、カラオケ歌唱を希望する第1の所定楽曲を選曲する(第1の所定楽曲を選曲。ステップ10)。カラオケ装置Kは、記憶手段10aから選曲された第1の所定楽曲の伴奏データを読み出し、第1の所定楽曲のカラオケ演奏を開始する(第1の所定楽曲のカラオケ演奏開始。ステップ11)。利用者Uは、第1の所定楽曲のカラオケ演奏に合わせてカラオケ歌唱を行う。
【0042】
第1の判定部200は、第1の所定楽曲のカラオケ演奏の終了後、当該カラオケ演奏がカラオケルームRの利用時間における最後のカラオケ演奏であるか否かを判定する(カラオケ演奏終了後、最後のカラオケ演奏であるか否かを判定。ステップ12)。
【0043】
第1の判定部200により最後のカラオケ演奏であると判定された場合(ステップ13でYの場合)、第2の判定部300は、利用時間の延長が可能か否かを判定する(利用時間の延長が可能か否かを判定。ステップ14)。
【0044】
第2の判定部300により利用時間の延長が可能と判定された場合(ステップ15でYの場合)、推奨部400は、利用時間の延長、及びカラオケ演奏された第1の所定楽曲に対応する第2の所定楽曲のカラオケ演奏を利用者に対して推奨する(利用時間の延長及び第2の所定楽曲のカラオケ演奏を推奨。ステップ16)。
【0045】
具体的に、カラオケ装置Kは、カラオケ店舗に設置されているコンピュータ等からカラオケルームRの予約情報を予め取得する。予約情報には、利用者U以外の予約が入っていない旨の予約状況、利用開始時刻Ts、利用終了時刻Teが含まれていたとする。また、この例において所定条件は「5分未満」であるとする。
【0046】
利用者Uは、リモコン装置50を操作し、カラオケ歌唱を希望する第1の所定楽曲として楽曲X1を選曲する。カラオケ装置Kは、記憶手段10aから選曲された楽曲X1の伴奏データを読み出し、カラオケ演奏を行う。利用者Uは、楽曲X1のカラオケ演奏に合わせてカラオケ歌唱を行う。
【0047】
第1の判定部200は、楽曲X1のカラオケ演奏が終了した時刻T1と予約情報に含まれる利用終了時刻Teとに基づいて、カラオケルームRの利用時間の終了までの時間として「10分」を求めたとする。第1の判定部200は、求めた時間「10分」が所定条件を満たすかどうかを確認する。この例において、求めた時間「10分」は所定条件を満たさない。よって、第1の判定部200は、判定結果を第2の判定部300に出力しない。
【0048】
一方、利用者Uは、リモコン装置50を操作し、カラオケ歌唱を希望する第1の所定楽曲として楽曲X2を選曲する。カラオケ装置Kは、記憶手段10aから選曲された楽曲X2の伴奏データを読み出し、カラオケ演奏を行う。利用者Uは、楽曲X2のカラオケ演奏に合わせてカラオケ歌唱を行う。
【0049】
第1の判定部200は、楽曲X2のカラオケ演奏が終了した時刻T2と予約情報に含まれる利用終了時刻Teとに基づいて、カラオケルームRの利用時間の終了までの時間として「3分」を求めたとする。第1の判定部200は、求めた時間「3分」が所定条件を満たすかどうかを確認する。この例において、求めた時間「3分」は所定条件を満たす。よって、第1の判定部200は、判定結果を第2の判定部300に出力する。
【0050】
第1の判定部200から判定結果が出力された場合、第2の判定部300は、予め取得したカラオケルームRの予約情報を参照し、カラオケルームRの利用時間の延長が可能か否かを判定する。上述の通りこの例では利用者U以外の予約が入っていない。従って、第2の判定部300は、利用時間の延長が可能であると判定し、判定結果を推奨部400に出力する。
【0051】
第2の判定部300により利用時間の延長が可能という判定結果が出力された場合、推奨部400は、情報記憶部100を参照し、カラオケ演奏された楽曲X2の楽曲IDに基づいて、対応する第2の所定楽曲として楽曲Y2を特定する。推奨部400は、特定した楽曲Y2のカラオケ演奏を利用時間の延長と合わせて利用者に推奨する。
【0052】
==第1実施形態のまとめ==
以上から明らかなように、本実施形態に係るカラオケ装置Kは、カラオケルームRに設置される。カラオケ装置Kは、第1の所定楽曲を示す楽曲識別情報と、当該第1の所定楽曲に連続してカラオケ演奏を行うことが推奨される第2の所定楽曲を示す楽曲識別情報とを対応付けて記憶する情報記憶部100と、第1の所定楽曲のカラオケ演奏の終了後、当該カラオケ演奏がカラオケルームRの利用時間における最後のカラオケ演奏であるか否かを判定する第1の判定部200と、第1の判定部200により最後のカラオケ演奏であると判定された場合、利用時間の延長が可能か否かを判定する第2の判定部300と、第2の判定部300により利用時間の延長が可能と判定された場合、利用時間の延長、及びカラオケ演奏された第1の所定楽曲に対応する第2の所定楽曲のカラオケ演奏を利用者に対して推奨する推奨部400と、を有する。
【0053】
このようなカラオケ装置Kによれば、カラオケルームの利用時間が延長可能な場合には、第1の所定楽曲に連続してカラオケ演奏を行うことが推奨される第2の所定楽曲のカラオケ演奏を推奨することができる。このような楽曲を利用時間の延長と合わせて推奨することにより、利用者は利用時間の延長を行いやすくなる。すなわち、本実施形態に係るカラオケ装置Kによれば、利用者に対して効果的にカラオケルームの利用時間の延長を推奨することができる。その結果、カラオケルーム及びカラオケ装置の稼働率向上や、カラオケ装置における楽曲の演奏度数の向上に寄与することができる。
【0054】
また本実施形態に係るカラオケ装置Kにおいて第1の判定部200は、第1の所定楽曲のカラオケ演奏の終了から、カラオケルームRの利用時間の終了までの時間が所定条件を満たす場合、当該第1の所定楽曲のカラオケ演奏が当該利用時間における最後のカラオケ演奏であると判定することができる。このような構成によれば、カラオケルームの利用時間に応じて最後のカラオケ演奏であるかどうかを判定できる。
【0055】
<変形例1>
アーティストのライブにおいて歌唱される楽曲に基づいて、第1の所定楽曲及び第2の所定楽曲を決定することができる。
【0056】
(情報記憶部)
本変形例に係る情報記憶部100は、ラスト楽曲を示す楽曲識別情報を第1の所定楽曲を示す楽曲識別情報として記憶し、アンコール楽曲を示す楽曲識別情報を当該第1の所定楽曲に対応する第2の所定楽曲を示す楽曲識別情報として記憶する。
【0057】
ラスト楽曲は、アーティストのライブの本編の最後に歌唱される楽曲である。アンコール楽曲は、アーティストのライブのアンコールで歌唱される楽曲である。
【0058】
ラスト楽曲及びアンコール楽曲は、たとえばアーティスト毎の最新のライブにおけるセットリスト(ライブで歌唱する楽曲の一覧を順番に記したもの。本編とアンコールに分けて記されていることが一般的である)に基づいて決定することができる。この場合、外部のサーバ装置(図示なし)は、アーティスト毎に最新のライブにおけるセットリストを記憶する。カラオケ装置Kは、外部のサーバ装置にアクセスし、セットリストを取得する。カラオケ装置Kは、取得したセットリストからラスト楽曲及びアンコール楽曲を特定する。たとえば、あるアーティストの最新ライブのセットリストにおいて、本編として15曲、アンコールとして1曲が記されていたとする。この場合、カラオケ装置Kは、本編の最後の楽曲(15曲目)をラスト楽曲として特定し、アンコールの楽曲をアンコール楽曲として特定する。情報記憶部100は、本編の最後の楽曲を示す楽曲IDを第1の所定楽曲を示す楽曲IDとして記憶し、アンコールの楽曲を示す楽曲IDを第2の所定楽曲を示す楽曲IDとして記憶する。
【0059】
図5は、情報記憶部100に記憶されているテーブルを示す図である。
図5の例において、アーティストAのライブのセットリストから特定された、第1の所定楽曲である楽曲X4を示す楽曲ID***X4に、第2の所定楽曲である楽曲Y4を示す楽曲ID***Y4が対応付けられており、アーティストBのライブのセットリストから特定された、第1の所定楽曲である楽曲X5を示す楽曲ID***X5に、第2の所定楽曲である楽曲Y5を示す楽曲ID***Y5が対応付けられている。
【0060】
一方、アーティストCのライブのセットリストから特定された、第1の所定楽曲である楽曲X6を示す楽曲ID***X6には、第2の所定楽曲である楽曲Y6を示す楽曲ID***Y6及び第2の所定楽曲である楽曲Z6を示す楽曲ID***Z6が対応付けられている。たとえばアーティストによってはアンコールに応じて複数の楽曲を歌唱する場合もありうる。このような場合、複数のアンコール楽曲がラスト楽曲に対応付けられる。
【0061】
また、アーティストDのライブの一のセットリストから特定された、第1の所定楽曲である楽曲X7を示す楽曲ID***X7に、第2の所定楽曲である楽曲Y7を示す楽曲ID***Y7が対応付けられている。同様に、アーティストDのライブの他のセットリストから特定された、第1の所定楽曲である楽曲X8を示す楽曲ID***X8に、第2の所定楽曲である楽曲Y8を示す楽曲ID***Y8が対応付けられている。アーティストによってはライブ毎にセットリストを変更する場合がある。このような場合、一のアーティストについて複数のラスト楽曲及びアンコール楽曲の組み合わせに応じた楽曲IDが記憶される。
【0062】
以上から明らかなように、本変形例に係る情報記憶部100は、アーティストのライブにおける本編の最後に歌唱されるラスト楽曲を示す楽曲識別情報を第1の所定楽曲を示す楽曲識別情報として記憶し、当該アーティストのライブにおけるアンコールで歌唱されるアンコール楽曲を示す楽曲識別情報を当該第1の所定楽曲に対応する第2の所定楽曲を示す楽曲識別情報として記憶する。
【0063】
このようなカラオケ装置Kによれば、カラオケルームの利用時間が延長可能な場合には、第2の所定楽曲としてアーティストのライブで歌唱されたアンコール楽曲のカラオケ演奏を推奨することができる。このような楽曲をカラオケ歌唱することによりアーティストのライブを模擬することができるため、利用者は利用時間の延長をより行いやすくなる。
【0064】
<変形例2>
変形例1において、カラオケ装置Kは、第2の所定楽曲のカラオケ演奏を推奨する際にアンコールデータに基づく演出を行うことができる。
【0065】
(推奨部)
本変形例に係る推奨部400は、アンコールデータに基づく演出を行う。
【0066】
アンコールデータは、アーティストのライブにおいて観衆がアンコール楽曲の歌唱を要求する際に発する音声を模擬したデータである。音声を模擬したデータは、ライブにおいて観衆が発した音声(声援や鳴り物による音声)を録音したデータや、公知技術(たとえば特開平7-311586号公報)を用いて生成したデータである。アンコールデータは、記憶手段10aに予め記憶されている。なお、アンコールデータは、全ての第1の所定楽曲及び第2の所定楽曲に共通であってもよいし、第1の所定楽曲及び第2の所定楽曲毎に設定されていてもよい。
【0067】
演出は様々な方法により行うことができる。たとえば推奨部400は、第2の所定楽曲として、アンコール楽曲のカラオケ演奏を推奨するタイミングで、スピーカ20からアンコールデータに基づく音声を放音する演出を行うことができる。また、推奨部400は、上記のような音声の放音と合わせて或いは音声を放音する代わりに、表示装置30の表示画面に利用時間の延長を促すメッセージや第2の所定楽曲の楽曲名と合わせて「アンコール!アンコール!」のようなメッセージを表示させることができる。
【0068】
以上から明らかなように、本変形例に係る推奨部400は、アーティストのライブにおいて観衆がアンコール楽曲の歌唱を要求する際に発する音声を模擬したアンコールデータに基づく演出を行うことができる。
【0069】
このようなカラオケ装置Kによれば、第2の所定楽曲としてアーティストのライブで歌唱されたアンコール楽曲のカラオケ演奏を推奨する際、当該アンコール楽曲のカラオケ歌唱を促すような演出を行うことができる。よって、利用者は利用時間の延長をより行いやすくなる。
【0070】
なお、推奨部400は、アンコールデータに基づく演出を行った後、利用時間の延長がなされなかった場合にはブーイングデータに基づく演出を行うことができる。
【0071】
利用時間の延長がなされたか否かは、カラオケルームに設置された撮影手段により撮影された映像の解析結果やリモコン装置50を介したログアウト操作の有無により判断することができる。ブーイングデータは、利用時間の延長を行わない利用者に対して不満を表す音声(所謂、ブーイング)を模擬したデータである。演出はアンコールデータに基づく方法と同様の方法を用いることができる。ブーイングデータは、記憶手段10aに予め記憶されている。なお、ブーイングデータは、全ての第1の所定楽曲及び第2の所定楽曲に共通であってもよいし、第1の所定楽曲及び第2の所定楽曲毎に設定されていてもよい。
【0072】
たとえば推奨部400は、アンコールデータに基づく演出を行った後、カラオケルームに設置された撮影手段により撮影された映像を解析する。映像中の利用者が立ち上がっている場合、利用者は利用時間を延長することなく退出しようとしていると判断できる。この場合、推奨部400は、利用時間の延長がなされなかったとして、記憶手段10aからブーイングデータを読み出す。推奨部400は、読み出したブーイングデータに基づく演出を行う。
【0073】
或いは、推奨部400は、アンコールデータに基づく演出を行った後、利用者によるリモコン装置50の操作を監視する。リモコン装置50においてログアウト操作が行われた場合、利用者は利用時間を延長することなく退出しようとしていると判断できる。この場合、推奨部400は、利用時間の延長がなされなかったとして、記憶手段10aからブーイングデータを読み出す。推奨部400は、読み出したブーイングデータに基づく演出を行う。
【0074】
このようなブーイングデータに基づく演出により、利用時間の延長をしないと決めた利用者を翻意させることが可能となる。
【0075】
<その他>
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
100 情報記憶部
200 第1の判定部
300 第2の判定部
400 推奨部
K カラオケ装置