(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012048
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20240118BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240118BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H02J7/35 E
H02J3/32
H02J3/38 120
H02J7/35 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009457
(22)【出願日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2022113591
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.展示会名 国際物流総合展2022 2.開催日 令和4年9月13日~16日 3.開催場所 東京国際展示場(東京都江東区有明3丁目11-1) 4.発明の公開者名 レシップ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000144544
【氏名又は名称】レシップホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100150430
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 元
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 稔明
(72)【発明者】
【氏名】所 正臣
(72)【発明者】
【氏名】河合 惇
(72)【発明者】
【氏名】李 方威
(72)【発明者】
【氏名】岩津 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寛明
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】荒井 直樹
(72)【発明者】
【氏名】畑中 誠
(72)【発明者】
【氏名】市橋 辰彦
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HA04
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA03
5G503CA08
5G503CA12
5G503CC02
5G503DA04
5G503DA07
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
(57)【要約】
【課題】再生可能エネルギを用いて安定的に蓄電池を充電し得る充電装置を提供する。
【解決手段】充電装置20aでは、電圧変換部31は直流入力端子23から入力された直流電力をバッテリの充電電圧に変換する。AC/DC変換部32は商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する。スイッチ部33は蓄電装置から出力される蓄電系電力とAC/DC変換部32から出力される商用系電力との少なくとも一方を選択してバッテリに出力する。制御部38は、蓄電系電力と商用系電力のスイッチ部33による選択を制御して、バッテリの充電の開始前に少なくとも蓄電系電力を選択するように制御し、充電の開始後においては蓄電装置の蓄電残量が所定値以下である場合に商用系電力だけを選択するように制御する。充電中に蓄電装置の蓄電残量が所定値以下になった場合には商用電源からAC/DC変換部32を介して供給される商用系電力がバッテリに出力される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能エネルギを用いて発電された電力を蓄える蓄電装置から出力される直流電力である蓄電系電力を蓄電池に充電する充電装置であって、
商用電源から供給される交流電力を直流電力である商用系電力に変換して出力し得る電力変換部と、
前記蓄電装置から出力される前記蓄電系電力と前記電力変換部から出力される前記商用系電力との少なくとも一方を選択して前記蓄電池に出力する切替部と、
前記切替部による前記蓄電系電力と前記商用系電力の選択を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記蓄電池の充電の開始前に少なくとも前記蓄電系電力を選択するように前記切替部を制御し、前記蓄電池の充電の開始後に前記蓄電装置の蓄電残量が所定値以下である場合には前記商用系電力だけを選択するように前記切替部を制御する、ことを特徴とする充電装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記制御に優先して前記蓄電池の充電の開始前に、
前記蓄電池の定格容量から当該蓄電池の充電残量を差し引いた充電不足量が前記蓄電装置の蓄電残量よりも大きい場合、前記充電不足量が前記蓄電装置の蓄電残量以下になるまで前記商用系電力だけを選択するように前記切替部を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記発電された電力に相当する代替電力を前記電力変換部から前記蓄電装置に供給し得るように構成されており、前記再生可能エネルギを用いた発電が行われない場合、前記電力変換部から前記蓄電装置に前記代替電力が供給される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の充電装置。
【請求項4】
再生可能エネルギを用いて発電された電力を蓄える蓄電装置から出力される直流電力である蓄電系電力を蓄電池に充電する充電装置であって、
商用電源から供給される交流電力を直流電力である商用系電力に変換して出力し得る電力変換部と、
前記蓄電装置から出力される前記蓄電系電力と前記電力変換部から出力される前記商用系電力との少なくとも一方を選択して前記蓄電池に出力する切替部と、
前記切替部による前記蓄電系電力と前記商用系電力の選択を制御するとともに電力負荷が前記蓄電池に充電された直流電力を使用する所定長さの使用時間帯および使用しない所定長さの休止時間帯のスケジュール情報を保持または外部から取得する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記切替部を制御して少なくとも前記蓄電系電力を選択し前記蓄電池の充電を開始した後、
(1) 前記蓄電装置の蓄電残量が所定値以下かつ現時点が前記休止時間帯の直前でない前記使用時間帯に含まれる場合、前記商用系電力を選択するように前記切替部を制御し、
(2) 前記蓄電装置の蓄電残量が所定値以下かつ現時点が前記休止時間帯の直前である前記使用時間帯または前記休止時間帯に含まれる場合、前記商用系電力を選択することなく、前記所定値を超える前記蓄電装置の蓄電を待って前記蓄電池の充電を再開する、ことを特徴とする充電装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記(2) の場合において、
前記蓄電池の充電を再開する前もしくは再開した後、前記休止時間帯の直後である前記使用時間帯が始まるまでに前記蓄電池の充電が完了しないと判定したとき、または前記休止時間帯の直後である前記使用時間帯が始まる所定時間前までに前記蓄電装置の蓄電が完了しないと判定したときには、前記商用系電力を選択するように前記切替部を制御する、ことを特徴とする請求項4に記載の充電装置。
【請求項6】
前記切替部の出力側には、複数の蓄電池を接続し得る複数の出力部を選択可能な選択部が接続されており、
前記制御部は、前記出力部に接続された複数の蓄電池の充電状態に基づいて前記選択部を制御する、ことを特徴とする請求項1、2、4または5のいずれか一項に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能エネルギを用いて発電された電力を蓄える蓄電装置から出力される電力を蓄電池に充電する充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、再生可能エネルギの一種である太陽光で発電された直流電力を蓄電池に充電する蓄電システムが開示されている。この蓄電システムでは、太陽電池の出力電圧が所定の第1電圧値以上高くかつ所定の第2電圧値以下に低い場合に充電器を経由することのないバイパス回路を介して蓄電池を充電する。これにより、太陽電池の出力電圧がこのような場合には充電器を介さずに蓄電池に直接出力されるため、充電器による変換ロスを低減可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように太陽光や、風力、地熱、波力等といった自然界に定常的に存在する(または反復的に補充される)再生可能エネルギを用いて発電された電力は、発電状態が自然現象任せであることから、安定的な電力供給が難しく蓄電池等の蓄電装置は十分な蓄電が常に行われているとは限らない。そのため、蓄電が不十分な場合には蓄電装置から負荷に供給すべき電力が不足してしまう可能性もある。例えば、再生可能エネルギを用いて発電された電力を蓄える蓄電装置から出力される電力を蓄電池に充電する充電装置では、蓄電池の充電不足を招き得るという問題にある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、再生可能エネルギを用いて安定的に蓄電池を充電し得る充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載された請求項1に記載された充電装置は、再生可能エネルギを用いて発電された電力を蓄える蓄電装置から出力される直流電力である蓄電系電力を蓄電池に充電する充電装置であって、商用電源から供給される交流電力を直流電力である商用系電力に変換して出力し得る電力変換部と、前記蓄電装置から出力される前記蓄電系電力と前記電力変換部から出力される前記商用系電力との少なくとも一方を選択して前記蓄電池に出力する切替部と、前記切替部による前記蓄電系電力と前記商用系電力の選択を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記蓄電池の充電の開始前に少なくとも前記蓄電系電力を選択するように前記切替部を制御し、前記蓄電池の充電の開始後に前記蓄電装置の蓄電残量が所定値以下である場合には前記商用系電力だけを選択するように前記切替部を制御する、ことを技術的特徴とする。
【0007】
なお、所定値は、例えば、満蓄電時の蓄電量の5%前後(4~6%)であり、蓄電装置の蓄電残量が残り僅か(蓄電装置から蓄電系電力を出力できなくなる直前状態の蓄電量)であることを示す値である。また「前記蓄電装置から出力される前記蓄電系電力と前記電力変換部から出力される前記商用系電力との少なくとも一方を選択して」とは、蓄電系電力もしくは商用系電力、または蓄電系電力および商用系電力(蓄電系電力および/または商用系電力)を選択して、の意である。さらに「少なくとも前記蓄電系電力を選択する」とは、蓄電系電力だけが選択される場合と、蓄電系電力と商用系電力の両方が選択される場合のいずれをも含む意である。
【0008】
請求項1に記載の充電装置の発明では、充電装置は、電力変換部、切替部および制御部を備える。電力変換部は、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換して出力し得る。切替部は、蓄電装置から出力される蓄電系電力と電力変換部から出力される商用系電力との少なくとも一方を選択して蓄電池に出力する。制御部は、蓄電系電力と商用系電力の切替部による選択を制御して、蓄電池の充電の開始前に少なくとも蓄電系電力を選択するように制御し、蓄電池の充電の開始後においては蓄電装置の蓄電残量が所定値以下である場合に商用系電力だけを選択するように制御する。これにより、蓄電池の充電の開始前には蓄電系電力(または蓄電系電力と商用系電力)が選択されていても、充電の開始後に蓄電装置の蓄電残量が所定値以下になると商用系電力だけが選択される。そのため、蓄電池に蓄電系電力を出力中、つまり充電中に蓄電装置の蓄電残量が所定値以下になった場合には、制御部により、商用電源から電力変換部を介して供給される商用系電力が選択されて蓄電池に出力される。また、蓄電系電力と商用系電力の両方が選択されている場合には、蓄電池の充電時間が短縮されるので、蓄電池の高速充電が可能になる。
【0009】
また、特許請求の範囲に記載された請求項2に記載された充電装置は、請求項1に記載の充電装置において、前記制御部は、前記制御に優先して前記蓄電池の充電の開始前に、前記蓄電池の定格容量から当該蓄電池の充電残量を差し引いた充電不足量が前記蓄電装置の蓄電残量よりも大きい場合、前記充電不足量が前記蓄電装置の蓄電残量以下になるまで前記商用系電力だけを選択するように前記切替部を制御する、ことを技術的特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の充電装置の発明では、制御部は、請求項1に記載された制御に優先して蓄電池の充電の開始前に、充電不足量(蓄電池の定格容量から当該蓄電池の充電残量を差し引いた量)が蓄電装置の蓄電残量よりも大きい場合、充電不足量が蓄電装置の蓄電残量以下になるまで商用系電力だけを選択するように切替部を制御する。これにより、蓄電装置の蓄電残量よりも蓄電池の充電不足量が大きい期間中は、商用系電力が蓄電池に出力されて蓄電池が充電されるので、当該時点の蓄電装置の蓄電残量では充電できない不足分を商用系電力による充電により補うことが可能になる。そのため、蓄電池の充電不足量が蓄電装置の蓄電残量以下になった後は、蓄電系電力だけが選択されて蓄電池に出力されても、当該時点の蓄電装置の蓄電残量だけで蓄電池の充電を完了させる(満充電状態にする)ことが可能になる。
【0011】
さらに、特許請求の範囲に記載された請求項3に記載された充電装置は、請求項1または2に記載の充電装置において、前記発電された電力に相当する代替電力を前記電力変換部から前記蓄電装置に供給し得るように構成されており、前記再生可能エネルギを用いた発電が行われない場合、前記電力変換部から前記蓄電装置部に前記代替電力が供給される、ことを技術的特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の充電装置の発明では、発電された電力に相当する代替電力を電力変換部から蓄電装置に供給し得るように構成されている。そして、再生可能エネルギを用いた発電が行われない場合、電力変換部から蓄電装置に代替電力が供給される。再生可能エネルギを用いた発電は、十分に発電できるか否か等の発電状態が自然現象任せである。そのため、再生可能エネルギを用いた発電が行われない場合には商用電源から電力変換部を介して代替電力が蓄電装置に供給されることによって、蓄電装置に電力を蓄えることが可能になる。つまり、再生可能エネルギを用いた発電ができない場合の蓄電装置の蓄電不足等をリカバリすることが可能になる。
【0013】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載された請求項4に記載された充電装置は、再生可能エネルギを用いて発電された電力を蓄える蓄電装置から出力される直流電力である蓄電系電力を蓄電池に充電する充電装置であって、商用電源から供給される交流電力を直流電力である商用系電力に変換して出力し得る電力変換部と、前記蓄電装置から出力される前記蓄電系電力と前記電力変換部から出力される前記商用系電力との少なくとも一方を選択して前記蓄電池に出力する切替部と、前記切替部による前記蓄電系電力と前記商用系電力の選択を制御するとともに電力負荷が前記蓄電池に充電された直流電力を使用する所定長さの使用時間帯および使用しない所定長さの休止時間帯のスケジュール情報を保持または外部から取得する制御部と、を備え、前記制御部は、前記切替部を制御して少なくとも前記蓄電系電力を選択し前記蓄電池の充電を開始した後、(1) 前記蓄電装置の蓄電残量が所定値以下かつ現時点が前記休止時間帯の直前でない前記使用時間帯に含まれる場合、前記商用系電力を選択するように前記切替部を制御し、(2) 前記蓄電装置の蓄電残量が所定値以下かつ現時点が前記休止時間帯の直前である前記使用時間帯または前記休止時間帯に含まれる場合、前記商用系電力を選択することなく、前記所定値を超える前記蓄電装置の蓄電を待って前記蓄電池の充電を再開する、ことを技術的特徴とする。
【0014】
なお、使用時間帯や休止時間帯の「所定長さ」は、例えば、24時間(1日間)を整数で除した値(6時間、8時間、12時間や24時間等)や、24時間(1日間)に整数を乗じた値(24時間、48時間、72時間や96時間等)であるが、時分秒まで詳細に設定された任意の長さでもよい。典型的には使用時間帯は休止時間帯よりも長いが、休止時間帯が使用時間帯よりも長くてもよいし、また両者が同じ長さでもよい。また、蓄電残量の「所定値」は、例えば、満蓄電時の蓄電量の5%前後(4~6%)であり、蓄電装置の蓄電残量が残り僅か(蓄電装置から蓄電系電力を出力できなくなる直前状態の蓄電量)であることを示す値である。さらに「少なくとも前記蓄電系電力を選択し」とは、蓄電系電力だけが選択される場合と、蓄電系電力と商用系電力の両方が選択される場合のいずれをも含む意である。
【0015】
請求項4に記載の充電装置の発明では、充電装置は、電力変換部、切替部および制御部を備える。電力変換部は、商用電源から供給される交流電力を直流電力である商用系電力に変換して出力し得る。切替部は、蓄電装置から出力される蓄電系電力と電力変換部から出力される商用系電力との少なくとも一方を選択して蓄電池に出力する。制御部は、切替部による蓄電系電力と商用系電力の選択を制御するとともに電力負荷が蓄電池に充電された直流電力を使用する所定長さの使用時間帯および使用しない所定長さの休止時間帯のスケジュール情報を保持または外部から取得する。そして、制御部は、切替部を制御して少なくとも蓄電系電力を選択し蓄電池の充電を開始した後、(1) 蓄電装置の蓄電残量が所定値以下かつ現時点が休止時間帯の直前でない使用時間帯に含まれる場合、商用系電力を選択するように切替部を制御し、(2) 蓄電装置の蓄電残量が所定値以下かつ現時点が休止時間帯の直前である使用時間帯または休止時間帯に含まれる場合、商用系電力を選択することなく、所定値を超える蓄電装置の蓄電を待って蓄電池の充電を再開する。
【0016】
これにより、少なくとも蓄電系電力が選択されて蓄電池の充電が開始された後、(1) 蓄電装置の蓄電残量が所定値以下かつ現時点が休止時間帯の直前でない使用時間帯に含まれる場合には、商用系電力が選択される。そのため、蓄電池に蓄電系電力を出力中、つまり充電中に蓄電装置の蓄電残量が所定値以下になり、かつ、その現時点が休止時間帯の直前でない使用時間帯に含まれる場合には、制御部により、商用電源から電力変換部を介して供給される商用系電力が選択されて蓄電池に出力される。また、蓄電系電力と商用系電力の両方が選択されている場合には、蓄電池の充電時間が短縮されるので、蓄電池の高速充電が可能になる。また、少なくとも蓄電系電力が選択されて蓄電池の充電が開始された後、(2) 蓄電装置の蓄電残量が所定値以下かつ現時点が休止時間帯の直前である使用時間帯または休止時間帯に含まれる場合には、所定値を超える蓄電装置の蓄電を待って蓄電池の充電が再開される。そのため、現時点が休止時間帯の直前である使用時間帯または休止時間帯に含まれるにもかかわらず商用系電力が選択されてしまうことを防止するので、休止時間帯に再生可能エネルギを用いて発電し蓄えられた蓄電系電力を無駄にしたり、不要な商用系電力を使用したりするのを抑制することが可能になる。
【0017】
また、特許請求の範囲に記載された請求項5に記載された充電装置は、請求項4に記載の充電装置において、前記制御部は、前記(2) の場合において、前記蓄電池の充電を再開する前もしくは再開した後、前記休止時間帯の直後である前記使用時間帯が始まるまでに前記蓄電池の充電が完了しないと判定したとき、または前記休止時間帯の直後である前記使用時間帯が始まる所定時間前までに前記蓄電装置の蓄電が完了しないと判定したときには、前記商用系電力を選択するように前記切替部を制御する、ことを技術的特徴とする。なお、所定時間前の「所定時間」は、例えば、休止時間帯に蓄電される予定の蓄電装置から出力される蓄電系電力により当該蓄電池を充電した場合に推定される充電所要時間のことである。
【0018】
請求項5に記載の充電装置の発明では、制御部は、少なくとも蓄電系電力が選択されて蓄電池の充電が開始された後、(2) 蓄電装置の蓄電残量が所定値以下かつ現時点が休止時間帯の直前である使用時間帯または休止時間帯に含まれる場合には、所定値を超える蓄電装置の蓄電を待って蓄電池の充電を再開するものの、蓄電池の充電を再開する前もしくは再開した後、休止時間帯の直後である使用時間帯が始まるまでに蓄電池の充電が完了しないと判定したときには、商用系電力を選択するように切替部を制御する。また、休止時間帯の直後である使用時間帯が始まる所定時間前までに蓄電装置の蓄電が完了しないと判定したときにも、商用系電力を選択するように切替部を制御する。つまり、使用時間帯が始まる時までに当該蓄電池の充電が間に合わないと推定し判定した場合には、商用系電力を選択して当該蓄電池を充電する。これにより、使用時間帯が始まっても当該蓄電池が充電できていないという事態の発生を防ぐことが可能になる。
【0019】
さらに、特許請求の範囲に記載された請求項6に記載された充電装置は、請求項1、2、4または5のいずれか一項に記載の充電装置において、前記切替部の出力側には、複数の蓄電池を接続し得る複数の出力部を選択可能な選択部が接続されており、前記制御部は、前記出力部に接続された複数の蓄電池の充電状態に基づいて前記選択部を制御する、ことを技術的特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の充電装置の発明では、制御部は、出力部に接続された複数の蓄電池の充電状態に基づいて選択部を制御する。蓄電池の充電状態とは、例えば、充電残量の多少や劣化度合いの大小等である。典型的には、充電残量が多い蓄電池は、充電残量が少ない蓄電池に比べて短時間で満充電になる。また典型的には、例えば、蓄電池は劣化が進むことにより充電容量が減少するため、劣化度合いが大きい蓄電池は、劣化度合いの小さい蓄電池に比べて短時間で満充電になる。これにより、充電残量が多い蓄電池を充電残量が少ない蓄電池よりも優先して充電したり、劣化度合いが大きい蓄電池を劣化度合いの小さい蓄電池よりも優先して充電したりすることによって、全体の充電時間を短縮させることが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の充電装置では、蓄電池に蓄電系電力を出力中(充電中)に蓄電装置の蓄電残量が所定値以下になった場合には、制御部により、商用系電力が選択されて蓄電池に出力される。したがって、充電不足のまま蓄電池の充電が終了することを防ぐことが可能になり、再生可能エネルギを用いて安定的に蓄電池を充電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の充電装置の第1実施形態~第3実施形態を含む充電システムの構成例を示す構成図である。
【
図2】第1実施形態および第2実施形態に係る充電装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態の充電装置において実行される制御処理(基本制御処理)の流れを示すフローチャートである。
【
図4】第1実施形態の充電装置による充電パターンの例を示す説明図である。
【
図5】第1実施形態の充電装置において実行される制御処理(バッテリアシスト付き制御処理)の流れを示すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態に係る充電装置の他の構成例を示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態の充電装置において実行される制御処理(補充充電付き制御処理)の流れを示すフローチャートである。
【
図8】第3実施形態に係る充電装置の構成例を示すブロック図である。
【
図9】第3実施形態に係る充電装置の他の構成例を示すブロック図である。
【
図10】本発明の充電装置の第4実施形態を含む充電システムの構成例を示す構成図である。
【
図11】第4実施形態に係る充電装置の構成例を示すブロック図である。
【
図12】フォークリフトの運転スケジュールに対する充電システムの蓄電や充電の例や充電装置による電力系統の切り替えの例、等を示す説明図である。
【
図13】第4実施形態の充電装置において実行される制御処理(基本制御処理)の流れを示すフローチャートである。
【
図14】
図13に表されている蓄電待ち処理の流れを示すフローチャートである。
【
図15】第4実施形態の充電装置において実行される制御処理(選択制御処理)の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の充電装置の実施形態について図を参照して説明する。
図1および
図2に示すように、本第1実施形態~本第3実施形態に係る充電装置20を含む充電システム10は、バッテリ式フォークリフト(以下「フォークリフト」という)50等、バッテリ51(蓄電池)から供給される電力で駆動する車両や作業機械の当該バッテリ51を充電するものである。フォークリフト50は、搭載したバッテリ51の電力で駆動する電動車両の一例であり、例えば、無人搬送車(AGV;Automated guided vehicle)、電動カート、電動車椅子、電動二輪車等が含まれる。作業機械には、例えば、電動工具や電動建設機械等が含まれる。なお、これらに搭載されてバッテリ51の電力で駆動される電動機は、特許請求の範囲に記載の「電力負荷」に相当し得るものである。
【0024】
図1に示すように、充電システム10は、主に、太陽光を利用して発電する太陽電池パネル11と、太陽電池パネル11が発電した電力を蓄える蓄電装置13と、この蓄電装置13と商用電源15とに接続されて直流電力および交流電力の供給を受ける充電装置20と、により構成されている。なお、図示されてないが、太陽電池パネル11と蓄電装置13の間には、蓄電装置13の充電や放電を制御することにより、太陽電池パネル11から供給される直流電力を効率良く蓄電装置13に蓄え得る充放電制御装置が介在している。
【0025】
太陽電池パネル11は、太陽電池やソーラーパネル等と呼ばれる場合もあり、再生可能エネルギを用いて発電する発電装置の一例である。そのため、充電システム10では、太陽電池パネル11の代わりに、風力、波力、潮力、流水力、地熱、バイオマス由来エネルギ等を利用して発電する発電装置を用いることも可能である。
【0026】
蓄電装置13は、太陽電池パネル11から出力された直流電力を蓄える蓄電デバイスである。典型的には、鉛蓄電池、アルカリ二次電池、リチウム二次電池、NAS電池等の蓄電池で構成されるが、電気二重層コンデンサ等である場合もある。本第1~第3実施形態では、蓄電装置13は、例えば、12Vや24Vの直流電圧で充放電し得るように構成されている。本第1~第3実施形態では、蓄電装置13は、当該フォークリフト50のバッテリ51を充電するためには不十分な(不足する)蓄電容量、例えば230Ahに設定されている。なお、蓄電装置13から出力される直流電力は、特許請求の範囲に記載の「蓄電系電力」に相当し得るものである。
【0027】
商用電源15は、例えば、単相100Vや三相200Vの交流電力の供給源であり、これらの交流電力は電力会社等から供給されている。フォークリフト50に搭載されているバッテリ51は、例えば、リチウムイオン電池(リチウム二次電池)であり、公称電圧として24Vや48V等、定格容量として280Ahや450Ah等の直流電力を出力し得るように構成されている。なお、公称電圧(単位V)は、バッテリ51を通常の状態で使用した場合に得られる出力電圧のことである。定格容量(単位Ah)は、バッテリ51の満充電電圧から放電終止電圧に至るまでに得られる電気量のことである。
【0028】
なお、蓄電装置13と充電装置20の間は直流電源ライン14を介して、また商用電源15と充電装置20の間は交流電源ライン16を介して、それぞれ電気的に接続されている。フォークリフト50と充電装置20の間は充電ケーブル18を介して電気的に接続されることで、当該フォークリフト50に搭載されたバッテリ51を充電可能にしている。
【0029】
図2に示すように、充電装置20(20a)は、主に、電圧変換部31、AC/DC変換部32、スイッチ部33、制御部38、センサ41,42等により構成されており、これらは金属製の筐体21内に収容されている。筐体21には、例えば、蓄電装置13から供給される直流電力が入力される直流入力端子23、商用電源15から供給される交流電力が入力される交流入力端子24や充電ケーブル18が接続される充電出力端子25等が設けられている。なお、
図2においては、後述する他の構成例の充電装置20b等と区別するため、符号「20」の末尾に便宜的に「a」を付して充電装置20aにしている。
【0030】
電圧変換部31は、直流入力端子23から入力側に入力された直流電力の電圧を、降圧または昇圧してフォークリフト50のバッテリ51の充電に適した電圧に変換した後、出力側から出力する電圧コンバータである。電圧変換部31は、例えば、半導体スイッチング素子(IGBT等)とインダクタ等からなるチョッパ回路により構成されており、半導体スイッチング素子のスイッチング周波数を変化させることによって出力端から出力される電圧を制御し得るように構成されている。なお、蓄電装置13から出力される直流電力は蓄電系電力であることから、それが直流入力端子23を介して電圧変換部31の入力側に入力されて当該電圧変換部31に電圧変換されて出力される直流電力も、特許請求の範囲に記載の「蓄電系電力」に相当し得る。
【0031】
AC/DC変換部32は、交流入力端子24から入力側に入力された交流電力を直流電力に変換するとともにフォークリフト50のバッテリ51の充電に適した電圧に低下させて出力側から出力する直流電源ユニットである。AC/DC変換部32は、例えば、ドロッパタイプやスイッチングタイプ等の回路方式で構成されており、単相100Vや三相200Vの交流電圧を、バッテリ51を充電可能な24Vや48V等の直流電圧に変換して出力し得るように構成されている。なお、このAC/DC変換部32から出力される直流電力は、特許請求の範囲に記載の「商用系電力」に相当し得るものである。
【0032】
スイッチ部33は、2つの入出力に対してそれぞれオンオフ制御可能な2回路タイプのスイッチ33a,33bを有する切替部である。本第1~第3実施形態では、制御部38に接続されて電圧変換部31から出力される蓄電系電力とAC/DC変換部32から出力される商用系電力との選択を行う。そのため、一方のスイッチ33aの入力端には電圧変換部31の出力側が接続され、他方のスイッチ33bの入力端にはAC/DC変換部32の出力側が接続されている。これら両スイッチ33a,33bの出力端は、いずれも電圧ノード39に接続されて、電圧変換部31から出力された直流電力(蓄電系電力)やAC/DC変換部32から出力された直流電圧(商用系電力)を充電出力端子25に出力し得るように構成されている。
【0033】
電圧ノード39は、スイッチ部33(スイッチ33a,33b)の2つの出力端を接続するとともに充電出力端子25にも電気的に接続する接続部である。後述の第1実施形態では、スイッチ部33に対してスイッチ33a,33bのいずれか一方だけをオン(他方をオフ)にしたりオフ(他方をオン)にしたりする排他的な制御が行われる。つまり、両スイッチ33a,33bが同時にオンになることはないため、電圧ノード39は単なる電気的な接続点として構成される。これに対して、後述の改変例では、スイッチ33a,33bを同時にオンにする制御が行われ得るため、電圧ノード39は、電圧変換部31の出力電圧とAC/DC変換部32の出力電圧とを合成して出力することが可能な電圧合成回路として構成される。
【0034】
制御部38は、電圧変換部31やAC/DC変換部32の出力電圧や出力電流を制御し
たりスイッチ部33をオンオフ制御したりするコントローラであり、例えば、MPU、メモリ(RAM、EEPROM)、インタフェース等により構成されるマイコンモジュールである。そのため、制御部38には、電圧変換部31、AC/DC変換部32、スイッチ部33やセンサ41,42が電気的に接続されており、後述する各実施形態ではそれぞれ異なった制御処理が制御部38により行われる。
【0035】
センサ41,42は、電圧センサと電流センサの両機能を有する検出部である。本第1~第3実施形態では、センサ41は、蓄電装置13から出力されて直流入力端子23に入力される直流電力の電圧および電流を検出し得るように、直流入力端子23と電圧変換部31の間に介在するように設けられている。またセンサ42は、電圧ノード39から充電出力端子25を介して出力される直流電力の電圧および電流、つまり当該充電装置20aの出力電圧および出力電流や、充電出力端子25に充電ケーブル18を介して接続されているバッテリ51の端子電圧および端子電流を検出し得るように、電圧ノード39と充電出力端子25の間に介在するように設けられている。
【0036】
このように構成される充電装置20aでは、充電出力端子25に接続される充電ケーブル18を介して出力電力(出力電圧、出力電流)がバッテリ51に出力、つまり充電電力(充電電圧、充電電流)がバッテリ51に供給される。なお、図示されていないが、筐体21には、例えば、LEDを有する充電開始スイッチが設けられており、このスイッチがオンされることによって、制御部38により実行される各実施形態の制御処理が開始され当該処理の実行中はLEDが点灯し続ける。処理の終了によりLEDは消灯する。
【0037】
[第1実施形態]
図3および
図4に基づいて、第1実施形態の充電装置20aにより実行される基本的な制御処理(基本制御処理)の流れについて説明する。なお、この基本制御処理においては、バッテリ51の充電方式に関する制御処理の流れには言及しないが、ここではバッテリ51を定電流定電圧充電(CCCV(Constant Current,Constant Voltage))方式で充電する場合を前提に説明する。CCCV方式は、バッテリ51がリチウムイオン電池で構成されている場合に好適な充電方式であり、充電パターンの一例が
図4(A)に図示されている。
【0038】
この基本制御処理は、制御部38のメモリ(EEPROM)に記憶された基本制御プログラムを制御部38のMPUが実行することにより実現される。当該基本制御プログラム(基本制御処理)は、例えば、前述の充電開始スイッチがオンされることで制御部38により起動されて当該処理が開始される。また、CCCV方式(充電方式)に関する制御処理(図略)は、制御部38のMPUが別のタスク(スレッド、プロセス等)で実行しており、この制御処理は、電圧変換部31を起動する処理(S107)が実行されると、ほぼ同時に制御部38により起動されて開始される。
【0039】
図3に示すように、基本制御処理では、まずステップS101により所定の初期化処理が行われる。この処理では、例えば、制御部38のメモリ(RAM)の本処理用のワーク領域やフラグをクリアしたり、電圧変換部31、AC/DC変換部32やスイッチ部33に初期設定用の制御コマンドを送出したりする。基本制御処理では、スイッチ部33のデフォルト設定として、スイッチ33aをオン状態に、またスイッチ33bをオフ状態にそれぞれセットする。
【0040】
次にステップS103によりセンサ情報取得処理が行われる。この処理ではセンサ41,42により検出される電圧情報および電流情報を取得する。前述したように、センサ41では、蓄電装置13の出力電圧や出力電流の情報が検出され、またセンサ42では、当該充電装置20aの出力電圧や出力電流の情報に加えて充電出力端子25に接続されたバッテリ51の端子電圧や端子電流の情報が検出される。そのため、この処理ではこれらの電圧情報や電流情報が取得される。なお、充電ケーブル18等の電気抵抗に起因した電圧降下が大きい場合には、予め設定された標準的な降下電圧分が加算されたバッテリ51の端子電圧が取得される。
【0041】
続くステップS105では、バッテリ51の充電が必要であるか否か、換言するとバッテリ51の充電が完了しているか否かの判定処理が行われる。即ち、ステップS103により取得した端子電圧情報に基づいて、当該バッテリ51の端子電圧が所定の電圧値未満であるときには充電が必要であると判定し(S105;Yes)、所定の電圧値未満でない(所定の電圧値以上である)ときには充電が必要でない(充電が不要である)と判定する(S105;No)。
【0042】
そして、充電が必要でない(充電が不要である)と判定した場合には(S105;No)、当該バッテリ51は充電が完了していることになるため、ステップS106の電圧変換部等停止処理に移行した後、本基本制御処理を終了する。この電圧変換部等停止処理(S106)では、電圧変換部31やAC/DC変換部32が起動している場合にこれら電圧変換部31等に対して停止させる制御コマンドを送出したり、オン操作により点灯している充電開始スイッチのLEDを消灯させたりする制御が行われる。
【0043】
一方、ステップS105により充電が必要であると判定した場合には(S105;Yes)、次のステップS107により、電圧変換部起動処理が行われ電圧変換部31に対して起動コマンドや出力電流値の情報等が含まれる制御コマンドが送出される。またCCCV方式に関する制御処理(図略)も開始される。出力電流値の情報等は、CCCV方式を構成する定電流充電(CC充電)制御をバッテリ51に対して行う場合に必要な定電流値の情報であり、例えば、ステップS103で取得した蓄電装置13の出力電圧および出力電流の情報やバッテリ51の端子電圧および端子電流の情報に基づいて生成される。これにより、蓄電装置13から供給された直流電力は、電圧変換部31を介してバッテリ51に充電電力として出力されて定電流充電(CC充電)が開始される(
図4(A)参照)。
【0044】
続くステップS109では蓄電装置13の蓄電残量が所定値以上であるか否かの判定処理が行われる。蓄電残量の所定値は、蓄電装置13から直流電力を出力できなくなる直前状態の蓄電量、例えば、蓄電装置13の満蓄電時における蓄電量の5%前後(4~6%)に設定される。そのため、蓄電装置13の蓄電残量が所定値以上であると判定された場合には(S109;Yes)、蓄電残量は残り僅かではないことから、当該蓄電装置13は、直流電力の出力を継続し得る蓋然性が高い。したがって、この場合にはステップS103に戻って再度、センサ情報取得処理が行われる。これにより、最新の蓄電装置13の出力電圧や出力電流の情報が取得されたり、また最新の当該充電装置20aの出力電圧や出力電流(バッテリ51の端子電圧や端子電流)の情報が取得されたりする。
【0045】
なお、ステップS109による判定処理は、例えば、蓄電装置13の放電量やバッテリ51の充電量に基づいて判定を行ってもよい。蓄電装置13の放電量は、蓄電装置13から直流入力端子23に入力される入力電圧および入力電流から算出可能であり、またバッテリ51の充電量は、充電出力端子25からバッテリ51に出力される出力電圧および出力電流から算出可能である。そのため、ステップS109では、例えば、蓄電装置13の放電量またはバッテリ51の充電量が所定値未満であるか否かを判定する処理でもよい。蓄電装置13の放電量の所定値やバッテリ51の充電量の所定値は、例えば、蓄電装置13の満蓄電時における蓄電量の95%前後(94~96%)に相当する値に設定される。
【0046】
これに対して、蓄電装置13の蓄電残量が所定値以上でない(所定値未満である)と判定された場合には(S109;No)、蓄電残量は残り僅かであることから当該蓄電装置13は、短時間に直流電力の出力が困難になる蓋然性が高い。そのため、このような場合には、ステップS113に移行して(S111;No)、AC/DC変換部32を起動する処理が行われる。なお、ステップS111の判定処理は、既にAC/DC変換部32を起動している場合には(S111;Yes)、AC/DC変換部起動処理(S113)やスイッチ部切替処理(S115)を再度行うことを防ぐものである。
【0047】
ステップS113では、AC/DC変換部起動処理が行われ、AC/DC変換部32に対して起動コマンドや出力電流値の情報等が含まれる制御コマンドが送出される。この出力電流値の情報等も、前述した電圧変換部起動処理(S107)の場合と同様に、バッテリ51に対して定電流充電(CC充電)を行う場合に必要な定電流値の情報であり、例えば、ステップS103で取得した蓄電装置13の出力電圧および出力電流の情報やバッテリ51の端子電圧および端子電流の情報に基づいて生成される。
【0048】
続くステップS115ではスイッチ部切替処理が行われる。即ち、これまでは蓄電装置13から供給される直流電力を電圧変換部31が電圧変換して出力する蓄電系電力を充電出力端子25(電圧ノード39)に出力し得るようにスイッチ33aをオン状態(スイッチ33bをオフ状態)に設定していたスイッチ部33に対して、今度は商用電源15から供給される交流電力をAC/DC変換部32が電力変換して出力する商用系電力を充電出力端子25に出力し得るようにスイッチ33bをオン状態(スイッチ33aをオフ状態)に設定する。
【0049】
これにより、バッテリ51に供給される定電流充電(CC充電)の電流値が変動し得るため、
図4(B)に示すように、CC充電の期間内において階段状に電流が変化する。この
図4(B)に示す充電パターンの例では、CCaの期間Taが蓄電系電力によりバッテリ51を定電流充電(CC充電)している時間帯であり、CCbの期間(Tbの一部)が商用系電力によりバッテリ51を定電流充電(CC充電)している時間帯である。なお、蓄電系電力によりバッテリ51を定電流充電している電流値と、商用系電力によりバッテリ51を定電流充電している電流値とが同値である場合には、このような階段状の電流変化は生じることなく、例えば、
図4(A)に示すような充電パターンになる。
【0050】
スイッチ部切替処理(S115)によりスイッチ部33が切り替えられてバッテリ51に商用系電力が供給された後は、ステップS103に戻って、再びセンサ情報取得処理が行われる。これにより、最新の当該充電装置20aの出力電圧や出力電流(バッテリ51の端子電圧や端子電流)の情報が取得されて、これらの情報に基づいて別のタスクによるCCCV方式に関する制御処理が引き続き行われる。この制御処理では、バッテリ51の端子電圧が所定電圧Vcに到達すると、定電圧充電(CV充電)に切り替えて(
図4(B)参照)、さらに充電が進み端子電圧が所定範囲内において定電圧になり所定時間を経過した後、本基本制御処理を終了する。なお、AC/DC変換部起動処理(S113)とスイッチ部切替処理(S115)は、処理の順番を逆にしてもよい。
【0051】
図4(A)に示す充電パターンの例においては、期間Taが蓄電系電力によりバッテリ51を定電流充電(CC充電)している時間帯であり、また期間Tbが商用系電力によりバッテリ51を定電圧充電(CV充電)している時間帯である。一方、
図4(B)に示す充電パターンの例においては、期間Taが蓄電系電力によりバッテリ51を定電流充電(CC充電中のCCa)している時間帯であり、また期間Tbが商用系電力によりバッテリ51を定電流充電(CC充電中のCCb)や定電圧充電(CV充電)している時間帯である。なお、図示されていないが、蓄電装置13が定電流充電(CC充電)し得る期間を十分にカバーすることが可能な蓄電容量を有する場合には、定電圧充電(CV充電)の期間中にスイッチ部33による電力系統の切り替え、つまり蓄電系電力から商用系電力への切り替えが生じる可能性がある。
【0052】
[改変例]
次に本第1実施形態の改変例として、バッテリアシスト機能を有する制御処理(バッテリアシスト付き制御処理)について
図5を参照しながら説明する。
図5に示すバッテリアシスト付き制御処理においては、
図3に示す基本制御処理を構成する各処理(S101~S115)を含んでアルゴリズムが構成されている。そのため、これらの各処理(S101~S115)については説明を省略する。
【0053】
バッテリアシスト機能は、電圧変換部31から出力される蓄電系電力と、AC/DC変換部32から出力される商用系電力とを同時期に充電出力端子25に出力することによってバッテリ51の充電時間を短縮し得るものであり、例えば、オプション機能としてユーザニーズに応じて用意される。そのため、充電装置20aがバッテリアシスト機能付きの仕様である場合には、例えば、当該機能の有効や無効を指示する図略のアシストスイッチが筐体21に設けられる。
【0054】
図5に示すように、バッテリアシスト付き制御処理では、ステップS105により充電が必要であると判定された後(S105;Yes)、続くステップS121によりバッテリアシストが有るか否かの判定処理が行われる。アシストスイッチがオンにされている場合にはバッテリアシストが有ると判定し(S121;Yes)、次のステップS123に処理を移行する。これに対して、オフにされている場合にはバッテリアシストが無いと判定し(S121;No)、バッテリアシスト機能がない構成、つまり前述した基本制御処理と処理内容が同様になるため、ステップS107に移行した後、前述と同様に各処理(S107~S115)を実行する。
【0055】
ステップS123では電圧変換部等起動処理が行われる。即ち、この処理では、電圧変換部31とAC/DC変換部32をほぼ同時に起動させる。これにより、電圧変換部31からは蓄電系電力が出力され、AC/DC変換部32からは商用系電力が出力される。
【0056】
続くステップS125ではスイッチ部切替処理が行われる。初期化処理(S101)では、スイッチ部33は、スイッチ33aをオン状態に、またスイッチ33bをオフ状態にそれぞれセットしているため、この処理では、オフ状態のスイッチ33bをオン状態に切り替える制御をスイッチ部33に対して行う。これにより、スイッチ部33は、両スイッチ33a,33bがいずれもオン状態に設定される。なお、電圧変換部等起動処理(S123)とスイッチ部切替処理(S125)は、処理の順番を逆にしてもよい。
【0057】
スイッチ部切替処理(S125)によりスイッチ部33が切り替えられることによってバッテリ51には、蓄電系電力と商用系電力の両方が供給されることから、バッテリ51の充電時間を短縮することでき、バッテリ51の高速充電が可能になる。なお、蓄電装置13の蓄電量の減少により、電圧変換部31から出力される蓄電系電力の供給が停止した場合にはAC/DC変換部32から出力される商用系電力だけがバッテリ51に供給される。したがって、バッテリアシスト付き制御による充電パターンは、
図4(A)に示す充電パターンを時間軸方向に圧縮したような形状を有する充電電圧や充電電流のカーブになる。
【0058】
なお、バッテリアシスト付き制御処理を行う場合には、
図2に示した充電装置20aの構成を、例えば、
図6に示す構成(他の構成例)を有する充電装置20bに変更してもよい。即ち、充電装置20bでは、電圧変換部31およびAC/DC変換部32の出力側に設けられて蓄電系電力と商用系電力の選択スイッチとして機能していたスイッチ部33を廃止し、直流入力端子23から入力される蓄電装置13の直流電力(蓄電系電力)とAC/DC変換部32’から出力される直流電力(商用系電力)とが入力されるスイッチ部34を電圧変換部31’の入力側に設ける。このスイッチ部34は、制御部38に接続されて、直流入力端子23から入力される蓄電装置13の蓄電系電力と、AC/DC変換部32’から出力される商用系電力との選択を行い得るように構成される。
【0059】
このような充電装置20bを構成する電圧変換部31’やAC/DC変換部32’は、前述した電圧変換部31やAC/DC変換部32と次の点で構成が異なる。
【0060】
即ち、電圧変換部31’は、2系統の直流電力(蓄電装置13の直流電力とAC/DC変換部32’の直流電力)を入力可能に入力側が構成されており、入力された2系統の直流電力の少なくとも一方(いずれか一方または両方)の直流電力の電圧を、降圧または昇圧してフォークリフト50のバッテリ51の充電に適した電圧に変換した後、出力側から出力する機能を有する。つまり、入力側が2入力仕様である点が異なる。
【0061】
また、AC/DC変換部32’は、交流入力端子24から入力側に入力された交流電力を直流電力に変換するとともに蓄電装置13の満蓄電時における出力電圧に相当する電圧に低下させて出力側から出力する機能を有する。つまり、蓄電装置13の出力電圧相当に電圧変換する点が異なる。なお、このAC/DC変換部32’から出力される直流電力は、特許請求の範囲に記載の「商用系電力」に相当し得るものである。また直流入力端子23から入力される蓄電装置13の直流電力は、特許請求の範囲に記載の「蓄電系電力」に相当し得るものである。
【0062】
このように充電装置20bを構成することによって、前述した充電装置20aでは必要であった電圧ノード39が不要になり、本改変例で電圧ノード39に必要になる電圧合成回路も不要になるため、部品点数が削減でき充電装置20bの製品コストを低減することが可能になる。なお、この改変例に係る充電装置20bの構成を技術的思想の創作として捉えると、次のように表現することが可能になる。
【0063】
『再生可能エネルギを用いて発電された電力を蓄える蓄電装置から出力される直流電力である蓄電系電力を蓄電池に充電する充電装置であって、
商用電源から供給される交流電力を直流電力である商用系電力に変換して出力し得る電力変換部と、
前記蓄電装置から出力される前記蓄電系電力と前記電力変換部から出力される前記商用系電力との少なくとも一方を選択して出力する切替部と、
前記切替部から出力された直流電力を前記蓄電池の充電電圧に変換する電圧変換部と、
前記切替部による前記蓄電系電力と前記商用系電力の選択を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記蓄電池の充電の開始前に少なくとも前記蓄電系電力を選択するように前記切替部を制御し、前記蓄電池の充電の開始後に前記蓄電装置の蓄電残量が所定値以下である場合には前記商用系電力だけを選択するように前記切替部を制御する、ことを特徴とする充電装置。』
【0064】
なお、所定値は、例えば、満充電時の蓄電量の5%前後(4~6%)であり、蓄電装置の蓄電残量が残り僅か(蓄電装置から蓄電系電力を出力できなくなる直前状態の蓄電量)であることを示す値である。また「前記蓄電装置から出力される前記蓄電系電力と前記電力変換部から出力される前記商用系電力との少なくとも一方を選択して」とは、蓄電系電力もしくは商用系電力、または蓄電系電力および商用系電力(蓄電系電力および/または商用系電力)を選択して、の意である。さらに「少なくとも前記蓄電系電力を選択する」とは、蓄電系電力だけが選択される場合と、蓄電系電力と商用系電力の両方が選択される場合のいずれをも含む意である。
【0065】
上記『 』内の構成では、充電装置は、電力変換部、電圧変換部、切替部および制御部を備える。電力変換部は、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換して出力し得る。切替部は、蓄電装置から出力される蓄電系電力と電力変換部から出力される商用系電力との少なくとも一方を選択して出力する。電圧変換部は、切替部から出力された直流電力を蓄電池の充電電圧に変換する。制御部は、蓄電系電力と商用系電力の切替部による選択を制御して、蓄電池の充電の開始前に少なくとも蓄電系電力を選択するように制御し、蓄電池の充電の開始後においては蓄電装置の蓄電残量が所定値以下である場合に商用系電力だけを選択するように制御する。
【0066】
これにより、蓄電池の充電の開始前には蓄電系電力(または蓄電系電力と商用系電力)が選択されていても、充電の開始後に蓄電装置の蓄電残量が所定値以下になると商用系電力だけが選択される。そのため、電圧変換部に蓄電系電力を出力中、つまり充電中に蓄電装置の蓄電残量が所定値以下になった場合には、制御部により、商用電源から電力変換部を介して供給される商用系電力が選択されて電圧変換部に出力される。したがって、充電不足のまま蓄電池の充電が終了することを防ぐことが可能になり、再生可能エネルギを用いて安定的に蓄電池を充電することができる。また、蓄電系電力と商用系電力の両方が選択されている場合には、蓄電池の充電時間が短縮されるので、蓄電池の高速充電が可能になる。
【0067】
以上説明したように、本第1実施形態に係る充電装置20a,20bでは、電圧変換部31,31’、AC/DC変換部32,32’、スイッチ部33,34および制御部38を備える。電圧変換部31は直流入力端子23から入力された直流電力を、また電圧変換部31’はスイッチ部34から出力された直流電力を、それぞれバッテリ51の充電電圧に変換する。AC/DC変換部32,32’は、商用電源15から供給される交流電力を直流電力に変換して出力する。スイッチ部33,34は、蓄電装置13から出力される蓄電系電力とAC/DC変換部32から出力される商用系電力との少なくとも一方を選択してバッテリ51や電圧変換部31’に出力する。制御部38は、蓄電系電力と商用系電力のスイッチ部33,34による選択を制御して、バッテリ51の充電の開始前に少なくとも蓄電系電力を選択するように制御し、バッテリ51の充電の開始後においては蓄電装置13の蓄電残量が所定値以下である場合に商用系電力だけを選択するように制御する。
【0068】
これにより、バッテリ51の充電の開始前には電圧変換部31,31’から出力される蓄電系電力が選択されていても、充電の開始後に蓄電装置13の蓄電残量が所定値以下になると(S109;No)、AC/DC変換部32,32’から出力される商用系電力だけが選択される(S115)。そのため、バッテリ51に蓄電系電力を出力中(充電中)に蓄電装置13の蓄電残量が所定値以下になった場合には(S109;No)、制御部38により、商用電源15からAC/DC変換部32,32’を介して供給される商用系電力が選択されてバッテリ51に出力される。したがって、充電不足のままバッテリ51の充電が終了することを防ぐことが可能になり、再生可能エネルギを用いて安定的にバッテリ51を充電することができる。また、電圧変換部31,31’から出力される蓄電系電力とAC/DC変換部32,32’から出力される商用系電力の両方が選択されている場合には(S121;Yes)、バッテリ51の充電時間が短縮されるため、バッテリ51の高速充電が可能になる。
【0069】
[第2実施形態]
続いて第2実施形態として、補充充電機能を有する制御処理(補充充電付き制御処理)について
図7を参照しながら説明する。
図7に示す補充充電付き制御処理も、前述した第1実施形態の改変例と同様に、
図3に示す基本制御処理を構成する各処理(S101~S115)を含んでアルゴリズムが構成されている。そのため、これらの各処理(S101~S115)については説明を省略する。なお、補充充電付き制御処理は、充電装置20a,20bにより行うことが可能である。
【0070】
上述した第1実施形態の基本制御処理では、
図4(A)や
図4(B)に表されている充電パターンに示されているように、蓄電装置13から出力される直流電力(蓄電系電力)によりバッテリ51を定電流充電(CC充電)した後、AC/DC変換部32,32’から出力される直流電力(商用系電力)によりバッテリ51を定電圧充電(CV充電)した。つまり、蓄電装置13が当該時点で蓄えている蓄電残量(蓄電装置13の当該時点蓄電残量)により供給可能な蓄電系電力を使い切ってから、AC/DC変換部32,32’の商用系電力でバッテリ51の充電不足分を充電していた。
【0071】
そこで、本第2実施形態では、第1実施形態の基本制御処理とは逆に、蓄電装置13の当該時点蓄電残量では不足するバッテリ51の充電不足量だけを、先にAC/DC変換部32,32’の商用系電力で定電流充電(CC充電)した後、蓄電装置13の当該時点蓄電残量による蓄電系電力でバッテリ51を定電流充電(CC充電)したり定電圧充電(CV充電)したりするようにアルゴリズムを構成した。つまり、蓄電装置13の当該時点蓄電残量による蓄電系電力だけではバッテリ51を充電しきれない残りの充電不足量分について先にAC/DC変換部32,32’の商用系電力で補充充電することにした。
【0072】
図7に示すように、補充充電付き制御処理では、ステップS105により充電が必要であると判定された後(S105;Yes)、続くステップS131により充電不足量算出処理が行われる。この処理では、バッテリ51の定格容量からその充電残量を減算することにより、当該バッテリ51の充電不足量を求める演算が行われる。例えば、バッテリ51の定格容量が450Ahであり、充電残量が10Ahである場合には、当該バッテリ51の充電不足量として、440Ah(=450Ah-10Ah)が求められる。
【0073】
次のステップS133では、ステップS131で算出されたバッテリ51の充電不足量に基づいて、バッテリ51の補充充電が必要であるか否かの判定処理が行われる。即ち、バッテリ51の充電不足量が蓄電装置13の当該時点蓄電残量よりも大きい(当該時点蓄電残量がバッテリ51の充電不足量よりも小さい)か否かを判定する処理が行われる。そして、バッテリ51の充電不足量が蓄電装置13の当該時点蓄電残量よりも大きい場合には(S133;Yes)、当該時点蓄電残量による蓄電系電力だけでは充電を完了することができないことから、バッテリ51は充電不足になり得る。そのため、この場合には続くステップS135に処理を移行する。
【0074】
これに対して、バッテリ51の充電不足量が蓄電装置13の当該時点蓄電残量よりも大きくない場合(当該時点蓄電残量以下である場合)、つまりバッテリ51の補充充電が必要でないと判定された場合には(S133;No)、バッテリ51に対して補充充電を行わなくても、蓄電装置13の当該時点蓄電残量による蓄電系電力だけでバッテリ51の充電を完了し得ることから、補充充電機能が不要になる。この場合には(S133;No)、前述した基本制御処理と処理内容が同様になるため、ステップS107に移行した後、前述と同様に各処理(S107~S115)を実行する。
【0075】
ステップS135ではAC/DC変換部起動処理が行われる。この処理では、AC/DC変換部32,32’に対して起動コマンドや出力電流値の情報等が含まれる制御コマンドが送出される。この出力電流値の情報等は、バッテリ51に対して定電流充電(CC充電)を行う場合に必要な定電流値の情報であり、例えば、ステップS103で取得した蓄電装置13の出力電圧および出力電流の情報やバッテリ51の端子電圧および端子電流の情報に基づいて生成される。
【0076】
続くステップS137ではスイッチ部切替処理が行われる。初期化処理(S101)では、スイッチ部33,34は、スイッチ33a,34aをオン状態に、またスイッチ33b,34bをオフ状態にそれぞれセットしているため、この処理では、スイッチ33a,34aをオフ状態に、スイッチ33b,33bをオン状態に切り替える制御をスイッチ部33,34に対して行う。これにより、AC/DC変換部32,32’の商用系電力を充電出力端子25に出力したり(充電装置20a)、電圧変換部31’に出力したり(充電装置20b)、することが可能になる。
【0077】
スイッチ部切替処理(S137)によりスイッチ部33,34が切り替えられることによってバッテリ51には商用系電力が供給されることから、ステップS139によるセンサ情報取得処理によりバッテリ51の端子電圧や端子電流の情報等が取得される。これにより、バッテリ51の充電残量等を得ることが可能になるので、再度、ステップS133に戻った際に補充充電の要否判定を行い得る。なお、AC/DC変換部起動処理(S135)とスイッチ部切替処理(S137)は、処理の順番を逆にしてもよい。
【0078】
先の例では、蓄電装置13の蓄電残量が200Ahである場合には、当該蓄電残量はバッテリ51の充電不足量440Ahよりも小さいことから、ステップS133の補充充電の要否判定処理においては補充充電が必要であると判定される(S133;Yes)。そのため、ステップS135のAC/DC変換部起動処理により起動されたAC/DC変換部32,32’によってバッテリ51には商用系電力が供給されて充電される。
【0079】
これにより、時間の経過とともに当該バッテリ51の充電残量が増加して充電不足量が減少する。そして、やがてバッテリ51の充電不足量と蓄電装置13の蓄電残量とが近づいたり大小関係逆転したりすることで、充電不足量は充電不足量200Ahとほぼ等しいかまたはそれよりも小さくなる(充電不足量≦蓄電残量)。したがって、このような場合にはステップS133の補充充電の要否判定処理によりバッテリ51の補充充電は不要である(必要でない)と判定されるため(S133;No)、この場合にはステップS107に移行して前述と同様に各処理(S107~S115)が行われる。
【0080】
このように本第2実施形態の補充充電付き制御処理では、バッテリ51の充電不足量をAC/DC変換部32から出力される商用系電力による充電により補うことが可能になる。そのため、バッテリ51の充電不足量が蓄電装置13の蓄電残量以下になった後は、蓄電系電力だけが選択されてバッテリ51に出力されても、当該時点の蓄電装置13の蓄電残量だけバッテリ51の充電を完了させる(満充電状態にする)ことが可能になる。したがって、蓄電系電力によりバッテリ51を充電した後、再度、商用系電力によりバッテリ51が充電されることはない。
【0081】
なお、本第2実施形態では、商用系電力によりバッテリ51を補充充電した後に蓄電系電力によりバッテリ51を充電するというように、第1実施形態の基本制御処理(蓄電系電力で充電後に商用系電力で充電)とは順番を逆にした充電が行われる。そのため、補充充電付き制御による充電パターンは、
図4(A)や
図4(B)に示す形状とほぼ同様の充電電圧や充電電流のカーブになるが、期間Taが商用系電力によりバッテリ51を補充充電している時間帯になり、期間Tbが蓄電系電力によりバッテリ51を充電している時間帯になる点が第1実施形態の基本制御処理による充電パターンと異なる。
【0082】
以上説明したように、本第2実施形態に係る充電装置20a,20bでは、蓄電装置13の蓄電残量よりもバッテリ51の充電不足量が大きい期間中は、AC/DC変換部32,32’から出力される商用系電力がバッテリ51に出力されてバッテリ51が充電されるので、当該時点の蓄電装置13の蓄電残量では充電できない不足分を商用系電力による充電により補うことが可能になる。そのため、バッテリ51の充電不足量が蓄電装置13の蓄電残量以下になった後は、電圧変換部31,31’から出力される蓄電系電力だけが選択されてバッテリ51に出力されても、当該時点の蓄電装置13の蓄電残量だけでバッテリ51の充電を完了させる(満充電状態にする)ことが可能になる。
【0083】
[第3実施形態]
次に第3実施形態として、
図8および
図9を参照しながら、代替充電機能を有する充電装置20c,20dの構成について説明する。代替充電機能は、日照状態の都合によって太陽電池パネル11が発電していない場合や、故障等により太陽電池パネル11から直流電力の供給を受けられない場合等において、太陽電池パネル11から供給されるべき直流電力に代えて、充電装置20c,20dから代替電力として直流電力を蓄電装置13に供給し得るものである。
【0084】
図8に示すように充電装置20cは、前述した第1実施形態の充電装置20a(
図2)に対してスイッチ部35を追加した構成を採る。そのため、
図8においては、第1実施形態の充電装置20aと実質的に同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。充電装置20cでは、AC/DC変換部32は、出力側をスイッチ部33だけではなく、直流入力端子23にもスイッチ部35のスイッチ35bを介して接続される。
【0085】
このスイッチ部35は、2つの入出力に対して排他的にオンオフ制御可能なスイッチ35a,35bを有する切替部である。一方のスイッチ35aは、直流入力端子23と電圧変換部31の入力側との間に介在してこれらの間の導通をオンオフ制御し、また他方のスイッチ35bは、直流入力端子23とAC/DC変換部32の出力側との間に介在してこれらの間の導通をオンオフ制御する。このスイッチ部35は、制御部38に接続されて次のように制御される。
【0086】
例えば、スイッチ35aがオン状態に制御されるとスイッチ35bがオフ状態に制御されるため、直流入力端子23から入力される蓄電装置13の直流電力(蓄電系電力)がスイッチ35aを介して電圧変換部31に出力されるとともに、AC/DC変換部32の出力側と直流入力端子23との間の導通が遮断される。またスイッチ35bがオン状態に制御されるとスイッチ35aがオフ状態に制御されるため、AC/DC変換部32から出力される直流電力(商用系電力)がスイッチ35bを介して直流入力端子23に出力されるとともに、直流入力端子23と電圧変換部31の入力側との間の導通が遮断される。
【0087】
このように充電装置20cが構成されることによって、AC/DC変換部32から出力された商用系電力をスイッチ部35のスイッチ部35を介して直流入力端子23に接続された蓄電装置13に供給することが可能になる。即ち、蓄電装置13から出力されて直流入力端子23に入力される蓄電系電力とは逆方向の経路で、AC/DC変換部32から出力された商用系電力が直流入力端子23から出力されて蓄電装置13に入力される。これにより、蓄電装置13は、太陽電池パネル11から供給されるべき直流電力に代えて、充電装置20cから代替電力が供給されるため、その直流電力を蓄えることが可能になる。
【0088】
また、
図9に示すように充電装置20dは、前述した第1実施形態の改変例の充電装置20b(
図6)に対してスイッチ部36を追加した構成を採るものである。そのため、
図9においては、同改変例の充電装置20bと実質的に同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。充電装置20dでは、AC/DC変換部32’は、出力側をスイッチ部34だけではなく、直流入力端子23にもスイッチ部36を介して接続される。
【0089】
このスイッチ部36は、制御部38に接続されて1回路のスイッチをオンオフ制御可能な切替部である。例えば、スイッチ部36のスイッチがオン状態に制御されるとスイッチ部34のスイッチ34a,34bがいずれもオフ状態に制御される。そのため、AC/DC変換部32’から出力される直流電力(商用系電力)がスイッチ部36を介して直流入力端子23に出力されるとともに、直流入力端子23と電圧変換部31’の一方の入力側との間の導通が遮断され、またAC/DC変換部32’の出力側と電圧変換部31’の他方の入力側との間の導通が遮断される。
【0090】
このように充電装置20dが構成されることによって、AC/DC変換部32’から出力された商用系電力をスイッチ部36を介して直流入力端子23に接続された蓄電装置13に供給することが可能になる。即ち、蓄電装置13から出力されて直流入力端子23に入力される蓄電系電力とは逆方向の経路で、AC/DC変換部32’から出力された商用系電力が直流入力端子23から出力されて蓄電装置13に入力される。これにより、蓄電装置13は、太陽電池パネル11から供給されるべき直流電力に代えて、充電装置20dから代替電力が供給されるため、その直流電力を蓄えることが可能になる。
【0091】
以上説明したように、本第3実施形態に係る充電装置20c,20dでは、太陽電池パネル11により発電された電力に相当する代替電力をAC/DC変換部32,32’から蓄電装置13に供給し得るように構成されている。そして、太陽電池パネル11が発電を行わない場合には、AC/DC変換部32,32’から蓄電装置13に代替電力が供給される。太陽電池パネル11等の再生可能エネルギを用いた発電は、十分に発電できるか否か等の発電状態が自然現象任せである。そのため、太陽電池パネル11等が発電を行わない場合には商用電源15からAC/DC変換部32,32’を介して代替電力が蓄電装置13に供給されることにより、蓄電装置13に電力を蓄えることが可能になる。これにより、再生可能エネルギを用いた発電ができない場合の蓄電装置13の蓄電不足等をリカバリすることが可能になる。
【0092】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の充電装置70を含む充電システム60について
図10~
図15を参照しながら説明する。
図10に示すように、第4実施形態の充電装置70を含む充電システム60は、充電装置70が複数のフォークリフト50a~50cを充電可能に構成されている点と、これらのフォークリフト50a~50cの運転スケジュールの情報を、管理コンピュータ80から取得する点が第1実施形態の充電システム10と主に相違する。そのため、第1実施形態の充電システム10や充電装置20と実質的に同一の構成部分には同一符号を付して説明を省略する。なお、フォークリフト50a~50cは、第1実施形態の充電システム10で説明したフォークリフト50と同様に構成されており、またバッテリ51a~51cもフォークリフト50のバッテリ51と同様に構成されている。そのため、これらについても説明を省略する。
【0093】
図11に示すように、充電装置70は、主に、電圧変換部31、AC/DC変換部32、スイッチ部33,76、制御部78、電圧ノード39、センサ41,42等により構成されており、これらは金属製の筐体71内に収容されている。筐体71には、例えば、蓄電装置13から供給される直流電力が入力される直流入力端子73、商用電源15から供給される交流電力が入力される交流入力端子74、管理コンピュータ80が接続される情報入出力端子75や、複数の充電ケーブル18を接続可能な充電出力端子群77等が設けられている。第1実施形態の充電装置20に対して、充電装置70は、情報入出力端子75、スイッチ部76、充電出力端子群77や、本第4実施形態に特有の制御を行う制御部78が設けられている点が異なる。充電装置20と同一の符号が付されている電圧変換部31やAC/DC変換部32等はそれぞれ実質的に同一である。また、直流入力端子73や交流入力端子74も、充電装置20の直流入力端子23や交流入力端子24とそれぞれ実質的に同一である。
【0094】
情報入出力端子75は、管理コンピュータ80の本体81と接続可能に構成されている入出力コネクタであり、例えば、USBやRS-232C等のシリアルバス規格に準拠したものである。本第4実施形態では、制御部78の入出力ポートに接続されている。
【0095】
スイッチ部76は、1つの入力端に対して選択可能な複数の出力端を有する選択部であり、電圧ノード39のセンサ42に接続されている側、つまり出力側と充電出力端子群77との間に介在するように設けられている。本第4実施形態では、充電出力端子群77が3つの充電出力端子77a~77cを備えていることに対応して、スイッチ部76は3つの出力端を有しそれらが充電出力端子77a~77cに接続されている。スイッチ部76は、出力端の選択を制御可能に制御部78に接続されている。
【0096】
充電出力端子群77は、複数の充電出力端子77a等を備えている。本第4実施形態では、3台のフォークリフト50a~50cにそれぞれ接続される3本の充電ケーブル18を同時に接続し得るように、充電出力端子群77は3つの充電出力端子77a~77cを備えている。充電出力端子は4つ以上でも2つでもよい。なお、複数のフォークリフト50a等を充電装置70に接続する必要がない場合、つまり1台のフォークリフト50だけを接続し得るように充電装置70を構成する場合には第1実施形態の充電装置20のように、スイッチ部76および充電出力端子群77を省略しこれらに替えて充電出力端子25を電圧ノード39に直接、接続してもよい。この場合、第1実施形態の充電装置20に対する充電装置70の構成の相違は、情報入出力端子75を有する点と、制御部78が本第4実施形態に特有の制御を行う点になる。
【0097】
制御部78は、前述した充電装置20の制御部38とハードウェア的にはほぼ同様に構成されているが、情報入出力端子75を介して管理コンピュータ80の本体81と情報通信可能に構成されている点と、カレンダ情報と時間情報から現時点の年月日時分秒の情報を取得可能な時計モジュールを備えている点と、フォークリフト50a~50cの運転スケジュールの情報を管理コンピュータ80の本体81から取得して後述する制御処理を行う点が前述の充電装置20の制御部38と異なる。このような制御処理は、制御部78が有するメモリ(EEPROM等)に格納されておりMPUが実行することにより行われる。なお、制御部78においても、充電装置20の制御部38と同様に、電圧変換部31やAC/DC変換部32に対する制御処理が行われる。
【0098】
管理コンピュータ80は、典型的には、本体81、ディスプレイ82、キーボード83、マウス85等で構成されるパーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という)であり、その本体81に前述したフォークリフト50a~50cの運転スケジュールの情報を記憶、記録、格納または保持(以下「記憶等」という)している。本第4実施形態では、管理コンピュータ80は、データ通信装置87および図略のISP(Internet Service Provider)を介してインターネット100に接続されている。そのため、管理コンピュータ80は、例えば、当該充電システム60が存在する地域の気象情報や、フォークリフト50a~50cに搭載されているバッテリ51a~51cに関する履歴情報(バッテリ51a等の充電回数、過去の充電電流や放電電流等を蓄積したデータ等)等をインターネット100上の情報提供サーバ120から取得することが可能であり、取得した当該地域の気象情報等を充電装置70に提供(出力)することも可能である。
【0099】
このように構成される充電装置70では、フォークリフト50a~50cの運転スケジュールの情報を管理コンピュータ80から取得することによって、第1実施形態の充電装置20とは異なる制御処理(基本制御処理)を実行する。ここで、本第4実施形態の充電装置70により実行される基本制御処理と、第1実施形態の充電装置20により実行される基本制御処理と、の違いを明確にするため、
図12を参照しながら説明する。
図12(A)には、フォークリフト50の運転スケジュールに対する充電システム10の蓄電や充電の例や充電装置20による電力系統の切り替えの例、また
図12(B)~
図12(D)には、フォークリフト50a等の運転スケジュールに対する充電システム60の蓄電や充電の例や充電装置70による電力系統の切り替えの例、がそれぞれ図示されている。
【0100】
なお、
図12(A)~
図12(D)において、「使用時間帯(*)」(*はイ、ロ、ホ、ヘ)はフォークリフト50等の運転期間や運転日(例えば月曜日~金曜日)を表し、「休止時間帯(※)」(※はハ、ニ)はフォークリフト50等の休止期間や休止日(例えば土曜日と日曜日)を表す。なお、運転期間や運転日は稼動期間や稼動日ともいい、休止期間や休止日は非稼動期間や非稼動日ともいう。「充電」は充電装置20,70によるバッテリ51,51a等の充電期間を表し、「蓄電○○%」は太陽電池パネル11等による蓄電装置13の蓄電期間とその蓄電量○○%を表す。「再生」と矢印は蓄電系電力による充電期間を表し、「商用」と矢印は商用系電力による充電期間を表す。また矩形枠中の×印は充電装置20,70が充電を行わないことを表す。さらに「ts」はフォークリフト50等の運転開始時刻を表し、「te」はフォークリフト50等の運転終了時刻を表す。
【0101】
第1実施形態の充電装置20による基本制御処理では、
図3を参照しながら説明したように、フォークリフト50のバッテリ51の充電の開始前には電圧変換部31から出力される蓄電系電力を制御部38が選択していても、充電の開始後に蓄電装置13の蓄電残量が所定値以下になると(S109;No)、AC/DC変換部32から出力される商用系電力だけを制御部38が選択するように構成した(S115)。これにより、
図12(A)に示す期間(c)や期間(e)のように、バッテリ51に蓄電系電力を出力中(充電中)に蓄電装置13の蓄電残量が所定値以下になった場合には商用系電力を選択してバッテリ51に出力することにより、充電不足のままバッテリ51の充電が終了することを防いで、再生可能エネルギを用いて安定的にバッテリ51を充電できるようにした。
【0102】
ところが、使用時間帯(ロ)のように、充電中に蓄電装置13の蓄電残量が所定値以下になったその現時点が休止時間帯(ハ)の直前である使用時間帯である場合(例えば、土曜日(休止日)の前日である金曜日の場合)や、その現時点が休止時間帯(ハ)である場合(例えば土曜日(休止日)である場合)には、
図12(A)に示す期間(f)のように、当該休止時間帯(ハ)において太陽電池パネル11等の再生可能エネルギを用いる発電装置が発電し蓄電装置13が蓄電される可能性がある。即ち、使用時間帯(ロ)における商用系電力を選択して行われたバッテリ51の充電は、休止時間帯(ハ)において蓄電装置13に蓄電された蓄電系電力による充電に置き換えられた可能性が高い。この例では、使用時間帯(ロ)において不要な商用系電力を使用したり、休止時間帯(ハ)に蓄えられた蓄電系電力を無駄にしたりしてしまった可能性がある。
【0103】
そこで、
図12(B)や
図12(C)に示すように、本第4実施形態の充電装置70による基本制御処理では、このようなフォークリフト50a~50cの運転スケジュールの情報を管理コンピュータ80から充電装置70が取得することによって、使用時間帯(ロ)のように、充電中に蓄電装置13の蓄電残量が所定値以下になったその現時点が休止時間帯(ハ)の直前である使用時間帯である場合や休止時間帯(ハ)や(ニ)である場合には、制御部78が商用系電力を選択することなく、蓄電装置13の蓄電残量が100%や50%になるのを待ってバッテリ51a等の充電を再開するように構成した。これにより、蓄電装置13に蓄えられた蓄電系電力を無駄にしたり、不要な商用系電力を使用したりすることを抑制することが可能になる。
【0104】
このような充電装置70による基本制御処理の流れは
図13および
図14に図示されているので、ここからはこれらの図も参照しながら説明する。
図13には、本第4実施形態の充電装置70において実行される基本制御処理の流れを示すフローチャートが図示されている。また
図14には、
図13に表されている蓄電待ち処理の流れを示すフローチャートが図示されている。なお、第1実施形態の充電装置20において実行される基本制御処理(
図3)と実質的に同一の処理内容のステップについては同一符号を付して説明を省略するものもある。
【0105】
なお、図示されていないが、充電装置70の筐体71には、充電装置20の筐体21と同様に、例えば、LEDを有する充電開始スイッチが設けられており、このスイッチがオンされることによって、制御部78による基本制御処理が開始されて当該処理の実行中はLEDが点灯し続ける。処理の終了によりLEDは消灯する。またここでは、後述する選択制御処理により、3本の充電ケーブル18を介して充電装置70に接続された3台のフォークリフト50a~50cの中から特定の1台として選択されたフォークリフト50aのバッテリ51aを当該充電装置70が充電する場合を例示して説明する。
【0106】
図13に示すように、本第4実施形態の基本制御処理では充電装置70の制御部78によって、まずステップS101による所定の初期化処理が行われた後、ステップS103によりセンサ情報取得処理が行われて、それにより取得した電圧情報や電流情報に基づいてステップS105によりバッテリ51aの充電が必要であるか否かの判定が行われる。そして、充電が必要でない(充電が不要である)と判定された場合には(S105;No)、当該バッテリ51aは充電が完了していることになるため、ステップS106の電圧変換部等停止処理に移行した後、本基本制御処理を終了する。
【0107】
一方、ステップS105により充電が必要であると判定された場合には(S105;Yes)、次のステップS107により、電圧変換部起動処理が行われ電圧変換部31に対して起動コマンドや出力電流値の情報等が含まれる制御コマンドが送出されてCCCV方式に関する制御処理(図略)も開始される。これにより、蓄電装置13から供給された直流電力は、電圧変換部31を介して当該バッテリ51aに充電電力として出力されて定電流充電(CC充電)が開始される。
【0108】
続くステップS109の判定処理により、蓄電装置13の蓄電残量が所定値(例えば、蓄電装置13の満蓄電時における蓄電量の5%前後(4~6%))以上であると判定された場合には(S109;Yes)、蓄電残量は残り僅かではないことから、ステップS103に戻って再度、センサ情報取得処理が行われる。これに対して、蓄電装置13の蓄電残量が所定値以上でない(所定値未満である)と判定された場合には(S109;No)、蓄電残量は残り僅かであることから当該蓄電装置13は、短時間に直流電力の出力が困難になる蓋然性が高い。
【0109】
このため、このような場合には、ステップS110に移行して現時点が休止時間帯の直前等であるか否かの判定が行われる。即ち、現時点が休止時間帯の直前である使用時間帯である場合(例えば、土曜日(休止日)の前日である金曜日の場合)や、その現時点が休止時間帯である場合(例えば土曜日(休止日)である場合)には、直ちに商用系電力を選択することなく、蓄電装置13が所定の蓄電量まで蓄電されるのを待つ。そのため、現時点が休止時間帯の直前等である場合には(S110;Yes)、ステップS200に処理を移行する。
【0110】
一方、現時点が休止時間帯の直前等でない場合、即ち、現時点が休止時間帯の直前でない使用時間帯である場合(例えば、月曜日、火曜日、水曜日または木曜日の使用日である場合)には、それらの使用時間帯の直後も使用時間帯であり休止時間帯ではない。そのため、第1実施形態の場合と同様に、ステップS113に移行して(S111;No)、AC/DC変換部32を起動する処理が行われる。なお、ステップS111の判定処理は、既にAC/DC変換部32を起動している場合には(S111;Yes)、AC/DC変換部起動処理(S113)やスイッチ部切替処理(S115)を再度行うことを防ぐものである。また、AC/DC変換部起動処理(S113)やスイッチ部切替処理(S115)の内容については、第1実施形態の場合と同様であるので説明を省略する。
【0111】
ステップS200では蓄電待ち処理が行われる。これについては、
図14に処理の流れが図示されているので、ここからは同図も参照しながら説明する。
図14に示すように、蓄電待ち処理では、まずステップS201によりセンサ情報等取得処理が行われる。この処理では、センサ41により検出される蓄電装置13の出力電圧や出力電流の情報、充電出力端子77aに接続されてセンサ42により検出される当該バッテリ51aの端子電圧や端子電流の情報や、管理コンピュータ80から提供される当該地域の気象情報(日照時間、風速や風向等の情報)や当該バッテリ51aに関する履歴情報等が取得される。
【0112】
続くステップS203では蓄電所要時間等の算出等処理が行われる。例えば、ステップS201により取得された蓄電装置13の出力電圧等の情報や当該地域の気象情報等に基づいて、当該蓄電装置13が予め定められた所定の蓄電量を蓄えるまでに必要な時間(蓄電所要時間)を算出したり推定したりする処理が行われる。また、ステップS201により取得された当該バッテリ51aの端子電圧や端子電流の情報に基づいて、当該バッテリ51aの充電状態(例えば、充電残量の多少や劣化度合いの大小等)の情報を算出したり推定したりする処理が行われる。
【0113】
所定の蓄電量は、前述した蓄電装置13の蓄電残量の所定値(例えば、蓄電装置13の満蓄電時における蓄電量の5%前後(4~6%))を超える蓄電量であればよく、例えば、蓄電装置13の満蓄電時における蓄電量の95%前後(94~96%)以上や、満蓄電時における蓄電量の70%前後(68~72%)以上等に設定される。
【0114】
このような蓄電所要時間の算出や推定は、例えば、太陽電池パネル11等、再生可能エネルギを用いて発電する発電装置の電気的な特性、過去の発電実績を蓄積したデータや、当該地域の気象情報(日照時間、風速や風向等の情報)等に基づいて行われる。また、当該バッテリ51aの充電状態の算出や推定は、例えば、当該バッテリ51aの充電回数、過去の充電電流や放電電流等を蓄積したデータ、同種のバッテリの典型的な充放電特性の情報等、管理コンピュータ80から提供される履歴情報に基づいて行われる。
【0115】
次のステップS205では、ステップS203により算出等された当該蓄電装置13の蓄電所要時間に基づいて、使用時間帯が始まる使用開始時刻の所定時間前までに、当該蓄電装置13の蓄電が完了するか否かを判定する処理が行われる。即ち、蓄電装置13が所定の蓄電量を蓄電した後、その蓄電系電力による当該バッテリ51aの充電が完了するまでに必要となる時間と、現時点の年月日時分秒の時刻情報とから「使用開始時刻の所定時間前」を超えることが推定される場合には、当該バッテリ51aの充電完了は使用時間帯が始まる使用開始時刻には間に合わない。そのため、このように判定される場合には(S205;No)、現状の蓄電装置13から供給される蓄電系電力では当該バッテリ51aの充電は難しいことから、本蓄電待ち処理を中途終了して(RET2)、前述の基本制御処理のステップS111に戻る。そして、ステップS113に移行して(S111;No)、AC/DC変換部32を起動する。
【0116】
一方、使用時間帯が始まる使用開始時刻の所定時間前までに当該蓄電装置13の蓄電が完了すると判定される場合には(S205;Yes)、続くステップS207に処理を移行して、ステップS203により算出等された当該バッテリ51aの充電状態の情報に基づいて、使用時間帯が始まる使用開始時刻の前までに当該バッテリ51aの充電が完了するか否かを判定する処理が行われる。
【0117】
即ち、蓄電された蓄電装置13から供給される蓄電系電力による当該バッテリ51aの充電が完了するまでに必要となる時間と、現時点の年月日時分秒の時刻情報とから「使用開始時刻の前」を超えることが推定される場合には、当該バッテリ51aの充電完了は使用時間帯が始まる使用開始時刻には間に合わない。そのため、このように判定される場合にも(S207;No)、現状の蓄電装置13から供給される蓄電系電力では当該バッテリ51aの充電は難しいことから、本蓄電待ち処理を中途終了して(RET2)、前述の基本制御処理のステップS111に戻る。そして、ステップS113に移行して(S111;No)、AC/DC変換部32を起動する。
【0118】
これに対して、使用時間帯が始まる使用開始時刻の前までに当該バッテリ51aの充電が完了すると判定される場合には(S207;Yes)、続くステップS209により当該蓄電装置13が所定の蓄電量まで蓄電したか否かを判定する処理が行われる。この判定は、ステップS201で既に取得されている蓄電装置13の出力電圧や出力電流の情報により算出された当該蓄電装置13の蓄電量に基づいて行われる。そして、当該蓄電装置13が所定の蓄電量まで蓄電したと判定されない(蓄電していない判定される)場合には(S209;No)、ステップS201に戻って再びセンサ情報等取得処理が行われる。
【0119】
ステップS209により当該蓄電装置13が所定の蓄電量まで蓄電したと判定された場合には(S209;Yes)、本蓄電待ち処理を終了して(RET1)、前述の基本制御処理のステップS103に戻る。これにより、所定の蓄電量まで蓄電されている蓄電装置13によるバッテリ51aの充電が可能になることから、例えば、
図12(B)に示す期間(j)、
図12(C)に示す期間(h)や
図12(D)に示す期間(g)や(j)におけるバッテリ51aの充電が可能になる。なお、
図12(B)に示す例は、前述した所定の蓄電量を満充電に近い値(蓄電量の95%前後(94~96%))に設定した場合であり、また
図12(C)や
図12(D)に示す例は、所定の蓄電量を満充電のほぼ半値(蓄電量の50%前後(48~52%))に設定した場合である。
【0120】
なお、
図12(A)~
図12(D)における使用時間帯(ホ)は、休止時間帯の直前でない使用時間帯(例えば月曜日)であることから、蓄電装置13による蓄電系電力ではバッテリ51aを充電完了まで充電することができない場合には、第1実施形態の場合と同様に、ステップS113に移行して(S111;No)、AC/DC変換部32を起動する処理が行われる。これにより、
図12(D)に示す期間(n)のように、充電が完了するまで商用系電力でバッテリ51aが充電される。
【0121】
このような基本制御処理を行う充電装置70では、
図15に示す選択制御処理を行うことによって、充電出力端子群77の充電出力端子77a~77cに複数の充電ケーブル18を介して接続されるフォークリフト50a~50cのうち、所定の充電順位決定処理により選択されたフォークリフト50a等のバッテリ51a等に充電電力(充電電圧、充電電流)を供給する。
【0122】
図15に示すように、本第4実施形態の選択制御処理では充電装置70の制御部78によって、まずステップS501による所定の初期化処理が行われる。この処理では、例えば、制御部78のメモリ(RAM)の本処理用のワーク領域をクリアしたり充電フラグを全てオフにしたり、またスイッチ部76に初期設定用の制御コマンドを送出したりする。例えば、スイッチ部76のデフォルト設定として、所定の出力端を選択して入力端と当該所定の出力端を接続する。充電フラグは、複数のバッテリ51a等の個々に関連付けられており、オフはバッテリ51a等が未充電である旨、オンはバッテリ51a等が充電済みである旨を示す。
【0123】
次のステップS503ではバッテリ情報取得処理が行われる。この処理では、例えば、スイッチ部76を順次切り替えながら、センサ42により検出されるバッテリ51a等の端子電圧や端子電流の情報が当該センサ42から取得される。これにより、充電出力端子77a~77cにそれぞれ接続されているバッテリ51a~51cのバッテリ情報が取得される。また、管理コンピュータ80から提供されるバッテリ51a~51cに関する履歴情報(バッテリ51a等の充電回数、過去の充電電流や放電電流等を蓄積したデータ等)が当該管理コンピュータ80から取得される。
【0124】
このため、ステップS503では、これらのバッテリ51a等の端子電圧や端子電流の情報とバッテリ51a等に関する履歴情報とに基づいて、当該バッテリ51a等の充電状態(例えば、充電残量の多少や劣化度合いの大小等)の情報を算出したり推定したりもする。これにより得られたバッテリ51a~51cの充電状態の情報は、次のステップS505による充電順位決定処理に用いられる。
【0125】
ステップS505の充電順位決定処理では、例えば、バッテリ51a~51c全体の充電時間を短縮させることが可能な順番でこれらバッテリ51a等を充電する。例えば、充電残量が多いバッテリ51a等は、充電残量が少ないバッテリ51a等に比べて短時間で満充電になる。また例えば、バッテリ51a等は劣化が進むことにより充電容量が減少するため、劣化度合いが大きいバッテリ51a等は、劣化度合いの小さいバッテリ51a等に比べて短時間で満充電になる。
【0126】
このため、例えば、充電残量がバッテリ51c→バッテリ51a→バッテリ51bの順番に多い場合には、この順位で重み付けを行う。また劣化度合いがバッテリ51a→バッテリ51c→バッテリ51bの順番に大きい場合には、この順位で重み付けを行う。そして、これら両方の重み付けを加算した結果が大きいものから順番に充電を開始するようにバッテリ51a等の充電順位を決定する。
【0127】
続くステップS507では、ステップS505の充電順位決定処理により決定された順番に従って、該当するバッテリ51a等を充電し得るようにスイッチ部76を切り替えて選択する。充電順位決定処理(S505)により、例えば、バッテリ51c→バッテリ51b→バッテリ51aの順番で充電する場合には、まずバッテリ51cが接続されている充電出力端子77cを選択するようにスイッチ部76を制御する。
【0128】
そして、前述した
図13に示す基本制御処理を起動した後、ステップS509によってセンサ情報取得処理が行われる。この処理では、現在、基本制御処理により充電され得るバッテリ51cの端子電圧や端子電流の情報をセンサ42から取得する。そして、この取得した端子電圧等の情報に基づいて、ステップS511により当該バッテリ51cの充電が完了したか否かの判定が行われ、充電がまだ完了していないと判定した場合には(S511;No)、ステップS509に戻って、再度、センサ情報取得処理が行われる。
【0129】
これに対して、当該バッテリ51cの充電が完了したと判定した場合には(S511;Yes)、ステップS513により当該バッテリ51cに関連付けられている充電フラグをオンに設定して当該バッテリ51cが充電済みであることを記録する。この後、ステップS515の判定処理を移行して、充電出力端子群77に接続されている全てのバッテリ51a等の充電が完了するまでステップS503~S513の各処理を繰り返し行う(S515;No)。この判定は充電フラグに基づいて行われる。そして、充電出力端子群77に接続されている全てのバッテリ51a等の充電が完了したと判定すると(S515;Yes)、
図13に示す基本制御処理を終了させた後、本選択制御処理を終了する。なお、基本制御処理は、充電が完了すると(
図15;S105;No)、終了する。
【0130】
以上説明したように、本第4実施形態に係る充電装置70では、電圧変換部31、AC/DC変換部32、スイッチ部33および制御部78を備える。電圧変換部31は、直流入力端子73から入力された直流電力をバッテリ51の充電電圧に変換する。AC/DC変換部32は、商用電源15から供給される交流電力を直流電力に変換して出力する。スイッチ部33は、蓄電装置13から出力される蓄電系電力とAC/DC変換部32から出力される商用系電力との少なくとも一方を選択してバッテリ51a~51cに出力する。制御部78は、スイッチ部33による蓄電系電力と商用系電力の選択を制御するとともにフォークリフト50a~50cの電動機(電力負荷)がバッテリ51a~51cに充電された直流電力を使用する所定長さの使用時間帯および使用しない所定長さの休止時間帯のフォークリフト50a~50cの運転スケジュールの情報を管理コンピュータ80(外部)から取得する。そして、制御部78は、スイッチ部33を制御して少なくとも蓄電系電力を選択しバッテリ51a等の充電を開始した後、(1) 蓄電装置13の蓄電残量が所定値以下かつ現時点が休止時間帯の直前でない使用時間帯に含まれる場合、商用系電力を選択するようにスイッチ部33を制御し、(2) 蓄電装置13の蓄電残量が所定値以下かつ現時点が休止時間帯の直前である使用時間帯または休止時間帯に含まれる場合、商用系電力を選択することなく、所定値を超える蓄電装置13の蓄電を待ってバッテリ51a等の充電を再開する。
【0131】
これにより、少なくとも蓄電系電力が選択されてバッテリ51a等の充電が開始された後、(1) 蓄電装置13の蓄電残量が所定値以下かつ現時点が休止時間帯の直前でない使用時間帯に含まれる場合には、商用系電力が選択される。そのため、バッテリ51a等に蓄電系電力を出力中、つまり充電中に蓄電装置13の蓄電残量が所定値以下になり、かつ、その現時点が休止時間帯の直前でない使用時間帯に含まれる場合には、制御部78により、商用電源からAC/DC変換部32を介して供給される商用系電力が選択されてバッテリ51a等に出力される。また、蓄電系電力と商用系電力の両方が選択されている場合には、バッテリ51a等の充電時間が短縮されるので、バッテリ51a等の高速充電が可能になる。また、少なくとも蓄電系電力が選択されてバッテリ51a等の充電が開始された後、(2) 蓄電装置13の蓄電残量が所定値以下かつ現時点が休止時間帯の直前である使用時間帯または休止時間帯に含まれる場合には、所定値を超える蓄電装置13の蓄電を待ってバッテリ51a等の充電が再開される。そのため、現時点が休止時間帯の直前である使用時間帯または休止時間帯に含まれるにもかかわらず商用系電力が選択されてしまうことを防止するので、休止時間帯に再生可能エネルギを用いて発電し蓄えられた蓄電系電力を無駄にしたり、不要な商用系電力を使用したりするのを抑制することが可能になる。
【0132】
また、本第4実施形態に係る充電装置70では、制御部78は、少なくとも蓄電系電力が選択されてバッテリ51a等の充電が開始された後、(2) 蓄電装置13の蓄電残量が所定値以下かつ現時点が休止時間帯の直前である使用時間帯または休止時間帯に含まれる場合には、所定値を超える蓄電装置13の蓄電を待ってバッテリ51a等の充電を再開するものの、バッテリ51a等の充電を再開する前もしくは再開した後、休止時間帯の直後である使用時間帯が始まるまでにバッテリ51a等の充電が完了しないと判定したときには、商用系電力を選択するようにスイッチ部33を制御する。また、休止時間帯の直後である使用時間帯が始まる所定時間前までに蓄電装置13の蓄電が完了しないと判定したときにも、商用系電力を選択するようにスイッチ部33を制御する。つまり、使用時間帯が始まる時までに当該バッテリ51a等の充電が間に合わないと推定し判定した場合には、商用系電力を選択して当該バッテリ51a等を充電する。これにより、使用時間帯が始まっても当該バッテリ51a等が充電できていないという事態の発生を防ぐことが可能になる。
【0133】
さらに、本第4実施形態に係る充電装置70では、制御部78は、充電出力端子77a~77cに接続された複数のバッテリ51a~51cの充電状態に基づいてスイッチ部76を制御する。バッテリ51a~51cの充電状態とは、例えば、充電残量の多少や劣化度合いの大小等である。典型的には、充電残量が多いバッテリ51a等は、充電残量が少ないバッテリ51a等に比べて短時間で満充電になる。また典型的には、例えば、バッテリ51a等は劣化が進むことにより充電容量が減少するため、劣化度合いが大きいバッテリ51a等は、劣化度合いの小さいバッテリ51a等に比べて短時間で満充電になる。これにより、充電残量が多いバッテリ51a等を充電残量が少ないバッテリ51a等よりも優先して充電したり、劣化度合いが大きいバッテリ51a等を劣化度合いの小さいバッテリ51a等よりも優先して充電したりすることによって、全体の充電時間を短縮させることが可能になる。
【0134】
なお、上述した第4実施形態では、例えば、所定長さの使用時間帯として1日単位(24時間単位)の稼働日を月曜日から金曜日までの5日間、また所定長さの休止時間帯として1日単位の非稼働日を土曜日と日曜日の2日間をそれぞれスケジュール情報として設定した場合を例示して説明したが、本発明において想定されるスケジュール情報の「所定長さの使用時間帯」や「所定長さの休止時間帯」はこれに限られない。例えば、第4実施形態の例とは逆に、所定長さの使用時間帯として1日単位の稼働日を土曜日と日曜日の2日間、所定長さの休止時間帯として1日単位の非稼働日を月曜日から金曜日までの5日間をそれぞれスケジュール情報として設定してもよい。また、暦の曜日に関係なく、例えば、所定長さの使用時間帯として1日単位の稼働日を4日間連続させ、その後に所定長さの休止時間帯として1日単位の非稼働日を1日間繋げた合計5日間を1セットにしてこのセットを繰り返すようにスケジュール情報を設定してもよい。さらに、例えば、所定長さの使用時間帯として12時間単位の稼働時間と、それに続く所定長さの休止時間帯として12時間単位の非稼働時間とを、交互に繰り返すようにスケジュール情報を設定してもよい。
【0135】
また、上述した第4実施形態では、充電装置70の制御部78が基本制御処理において用いるフォークリフト50a~50cの運転スケジュールの情報(使用時間帯および休止時間帯のスケジュール情報)として、外部としての管理コンピュータ80から取得する構成を例示して説明したが、本発明ではこのような構成に限られることはなく、例えば、充電装置70の制御部78がアクセス可能なHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の情報記憶装置にこのようなスケジュール情報を記憶等させて充電装置70内に収容したり充電装置70の外部に取り付けたりしてもよいし、また制御部78を構成するメモリ(EEPROM等)にこのようなスケジュール情報を記憶等させてもよい。
【0136】
さらに、上述した第4実施形態では、第1実施形態の充電装置20aにおいて休止時間帯の直前等であるか否かの判定処理(S110)や蓄電待ち処理(S200)を追加した場合を例示して説明したが、本発明ではこのようなアルゴリズムに限られることはない。例えば、第1実施形態の充電装置20bによるバッテリアシスト付き制御処理(
図5)や、第2実施形態の充電装置20a,20bによる補充充電付き制御処理(
図7)においても、休止時間帯の直前等であるか否かの判定処理(S110)や蓄電待ち処理(S200)を追加した場合には、上述と同様に、現時点が休止時間帯の直前である使用時間帯または休止時間帯に含まれるにもかかわらず商用系電力が選択されてしまうことを防止するので、休止時間帯に再生可能エネルギを用いて発電し蓄えられた蓄電系電力を無駄にしたり、不要な商用系電力を使用したりするのを抑制することが可能になる。
【0137】
また、上述した第4実施形態では、基本制御処理(
図13,14)を行う充電装置70が
図15に示す選択制御処理を実行する場合を例示して説明したが、本発明の適用はこれに限られることはなく、例えば、第1実施形態の基本制御処理(
図3)、第1実施形態のバッテリアシスト付き制御処理(
図5)や、第2実施形態の補充充電付き制御処理(
図7)を行う充電装置20(20a,20b)が、
図15に示す選択制御処理を実行してもよい。これらの場合には、例えば、各制御処理(
図3,
図5,
図7)を起動した後にステップS509のセンサ情報取得処理を行う。なお、これらの制御処理(
図3,
図5,
図7)は、充電が完了すると(各図;S105;No)、終了する。
【0138】
なお、上述した各実施形態では、バッテリ51,51a,51b,51c(蓄電池)がリチウムイオン電池で構成されているため、当該バッテリ51,51a等を充電装置20(20a~20d),70によりCCCV方式で充電する場合を例示して説明したが、本発明の適用はこれに限られることはない。例えば、バッテリ51,51a等が鉛蓄電池で構成されている場合には、鉛蓄電池に適した準定電圧充電方式で当該バッテリ51,51a等を充電装置20,70により充電するように、別のタスク(スレッド、プロセス等)で準定電圧充電方式に関する制御処理を実行するように構成してもよい。また、本発明は、他の充電方式でバッテリ(蓄電池)を充電する場合にも適用することができる。
【0139】
また、上述した各実施形態では、蓄電装置13と充電装置20(20a~20d),70は、別体に構成されている場合を例示して説明したが、これらは一体に構成されていてもよい。例えば、蓄電装置13と充電装置20,70の両方が別の筐体内に収容されていたり、充電装置20,70の筐体21内に蓄電装置13が収容されていたり、蓄電装置13内に充電装置20,70が収容されていたりしてもよい。
【0140】
さらに、上述した各実施形態では、蓄電池として、フォークリフト50,50a等のバッテリ51,51a等は充電ケーブル18を介して充電装置20(20a~20d),70の充電出力端子25に電気的に接続する場合を例示して説明したが、このような充電ケーブル18を介在させることなく、例えば、フォークリフト50,50a等からバッテリ51,51a等が着脱自在に構成されている場合には、当該バッテリ51,51a等を充電装置20,70の充電出力端子25に直接接続し得るように充電装置20,70を構成してもよい。また、充電ケーブル18等を用いることなく、例えば、電磁誘導コイル等を用いた非接触給電方式を用いてバッテリ51,51a等(蓄電池)に充電を行い得るように充電装置20(20a~20d),70を構成してもよい。
【0141】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上述した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示し得るものである。
【符号の説明】
【0142】
10,60…充電システム
11…太陽電池パネル
13…蓄電装置
15…商用電源
20,20a,20b,20c,20d,70…充電装置
21,71…筐体
23,73…直流入力端子
24,74…交流入力端子
25,77a,77b,77c…充電出力端子
31,31’…電圧変換部
32,32’…AC/DC変換部(電力変換部)
33,34…スイッチ部(切替部)
35,36…スイッチ部
38,78…制御部
39…電圧ノード(切替部)
41,42…センサ
50,50a,50b,50c…フォークリフト
51,51a,51b,51c…バッテリ(蓄電池)
76…スイッチ部(選択部)
77…充電出力端子群
80…管理コンピュータ(外部)
100…インターネット
120…情報提供サーバ