(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120482
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】半導体装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20240829BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01L21/52 C
H01L21/52 A
H01L23/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027304
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 慎二
(72)【発明者】
【氏名】高桑 真樹
(72)【発明者】
【氏名】上原 修治
(72)【発明者】
【氏名】大場 隆之
【テーマコード(参考)】
5F047
5F136
【Fターム(参考)】
5F047AA03
5F047BA52
5F047BB16
5F136CC14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】金属ペーストパターンからの脱ガスを可能とする半導体装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】半導体チップ130を対象物110に接合した半導体装置100の製造方法であって、半導体チップと対象物との間における、半導体チップおよび対象物を互いに接合すべき接合領域に、複数の金属ペーストパターンを互いの間における厚み方向の少なくとも一部に隙間を設けて形成することと、半導体チップおよび対象物に挟まれた複数の金属ペーストパターンを、互いの間に隙間150がある状態で焼結し、複数の焼結金属パターン145を形成して半導体チップおよび対象物を接合するすることと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップを対象物に接合した半導体装置の製造方法であって、
前記半導体チップと前記対象物との間における、前記半導体チップおよび前記対象物を互いに接合すべき接合領域に、複数の金属ペーストパターンを互いの間における厚み方向の少なくとも一部に隙間を設けて形成することと、
前記半導体チップおよび前記対象物に挟まれた前記複数の金属ペーストパターンを、互いの間に隙間がある状態で焼結して前記半導体チップおよび前記対象物を接合することと
を含む製造方法。
【請求項2】
前記複数の金属ペーストパターンのうちの少なくとも1つの金属ペーストパターンは、他の少なくとも1つの金属ペーストパターンと比較して、前記半導体チップおよび前記対象物に対する接触面積が小さい請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記複数の金属ペーストパターンのうち、前記接合領域の縁部に位置する少なくとも1つの金属ペーストパターンは、前記接合領域の縁部に位置しない他の金属ペーストパターンと比較して、前記半導体チップおよび前記対象物に対する接触面積が小さい請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記複数の金属ペーストパターンのうち、前記接合領域における互いに対向する位置の2つ縁部に位置する2つの金属ペーストパターンは、前記接合領域の縁部に位置しない他の金属ペーストパターンと比較して、前記半導体チップおよび前記対象物に対する接触面積が小さい請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記複数の金属ペーストパターンのうち、前記接合領域の中央部分に位置する金属ペーストパターンは、前記接合領域の縁部に位置する少なくとも1つの金属ペーストパターンと比較して、前記半導体チップおよび前記対象物に対する接触面積が小さい請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
複数の前記半導体チップを接合する前記対象物である金属板を準備し、
前記複数の金属ペーストパターンの形成において、前記金属板における前記複数の半導体チップのそれぞれと接合すべき複数の前記接合領域のそれぞれに、前記複数の金属ペーストパターンを互いの間に前記隙間を設けて形成し、
前記半導体チップおよび前記対象物の接合において、前記複数の半導体チップのそれぞれと前記金属板とに挟まれた前記複数の金属ペーストパターンを焼結して前記複数の半導体チップのそれぞれと前記金属板とを接合し、
前記複数の半導体チップが接合された金属板を前記複数の半導体チップの間で切断して複数の前記半導体装置を個片化する
請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記複数の半導体チップを、互いの間に間隔を設けて支持基板上に配置し、
前記半導体チップおよび前記対象物の接合において、前記支持基板上に配置された前記複数の半導体チップと前記金属板とを接合し、
前記金属板に接合された前記複数の半導体チップから前記支持基板を剥離する
請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記金属板に接合されるべき前記複数の半導体チップのうち周縁に位置する半導体チップを接合するための前記複数の金属ペーストパターンは、少なくとも1つの金属ペーストパターンが他の少なくとも1つの金属ペーストパターンと比較して、接合する前記半導体チップおよび前記金属板に対する接触面積が小さい請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記対象物は、前記複数の金属ペーストパターンの間の前記隙間に対応する位置に、少なくとも1つの貫通孔を有する請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記対象物は、ベイパーチャンバーであり、
前記少なくとも1つの貫通孔は、前記ベイパーチャンバーの内部空間と隔離される請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記半導体チップは、チップ基板と前記チップ基板の一方の面に形成された回路パターンとを含み、
前記半導体チップにおける、前記チップ基板における前記回路パターンが形成された面とは反対側の面に前記対象物を接合する
請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
前記複数の金属ペーストパターンのそれぞれは、10mm角以下のサイズで前記半導体チップおよび前記対象物に接する請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
前記複数の金属ペーストパターン同士の間の隙間は、前記複数の金属ペーストパターンのそれぞれの厚みの0.5倍以上100倍以下である請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
半導体チップと、
前記半導体チップが接合される対象物と、
前記半導体チップを前記対象物に接合する接合部材と
を備え、
前記接合部材は、前記半導体チップと前記対象物との間における前記半導体チップおよび前記対象物を互いに接合すべき接合領域に、厚み方向の少なくとも一部に隙間を設けて配置された複数の焼結金属パターンを有する
半導体装置。
【請求項15】
前記複数の焼結金属パターンのうちの少なくとも1つの焼結金属パターンは、他の少なくとも1つの焼結金属パターンと比較して、前記半導体チップおよび前記対象物に対する接触面積が小さい請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記対象物は、前記複数の焼結金属パターンの間の前記隙間に対応する位置に、少なくとも1つの貫通孔を有する請求項14に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「半導体素子101に対向する接合層104aの周囲、並びに絶縁回路基板裏面側の周辺部に位置する接合層104bの空隙率が大きいので、絶縁回路基板と放熱基板105を接合するための熱処理時に、接合用金属ペーストからの揮発物が接合層の外部へ放出され易くなったり、接合層が還元性雰囲気に十分さらされ易くなったりする」こと(段落0029)が記載されている。
【0003】
特許文献2には、「…基板2の表面に金属粒子含有ペーストを用いて、スクリーン印刷で接合材3を形成する。金属粒子含有ペーストとしては、例えばクックソンエレクトロニクス社製の焼結タイプのAgナノペースト(クックソンエレクトロニクス社製:SP2000)を用いることができる」こと(段落0012)が記載されている。
【0004】
特許文献3には、「リードフレーム(TO247)の半導体素子搭載面上に、厚さ200μmのステンレス板に6×6mm正方形の開口を有するメタルマスクを載せ、メタルスキージを用いたステンシル印刷により、工程aで得た焼結用銅ペーストを塗布した」こと(段落0087)が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2017-139345号公報
[特許文献2] 特開2011-216772号公報
[特許文献3] 特開2021-019038号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様においては、半導体チップを対象物に接合した半導体装置の製造方法であって、前記半導体チップと前記対象物との間における、前記半導体チップおよび前記対象物を互いに接合すべき接合領域に、複数の金属ペーストパターンを互いの間における厚み方向の少なくとも一部に隙間を設けて形成することと、前記半導体チップおよび前記対象物に挟まれた前記複数の金属ペーストパターンを、互いの間に隙間がある状態で焼結して前記半導体チップおよび前記対象物を接合することとを含む製造方法を提供する。
【0006】
上記の半導体装置の製造方法において、前記複数の金属ペーストパターンのうちの少なくとも1つの金属ペーストパターンは、他の少なくとも1つの金属ペーストパターンと比較して、前記半導体チップおよび前記対象物に対する接触面積が小さくてよい。
【0007】
上記のいずれかの半導体装置の製造方法において、前記複数の金属ペーストパターンのうち、前記接合領域の縁部に位置する少なくとも1つの金属ペーストパターンは、前記接合領域の縁部に位置しない他の金属ペーストパターンと比較して、前記半導体チップおよび前記対象物に対する接触面積が小さくてよい。
【0008】
上記のいずれかの半導体装置の製造方法において、前記複数の金属ペーストパターンのうち、前記接合領域における互いに対向する位置の2つ縁部に位置する2つの金属ペーストパターンは、前記接合領域の縁部に位置しない他の金属ペーストパターンと比較して、前記半導体チップおよび前記対象物に対する接触面積が小さくてよい。
【0009】
上記のいずれかの半導体装置の製造方法において、前記複数の金属ペーストパターンのうち、前記接合領域の中央部分に位置する金属ペーストパターンは、前記接合領域の縁部に位置する少なくとも1つの金属ペーストパターンと比較して、前記半導体チップおよび前記対象物に対する接触面積が小さくてよい。
【0010】
上記のいずれかの半導体装置の製造方法は、複数の前記半導体チップを接合する前記対象物である金属板を準備し、前記複数の金属ペーストパターンの形成において、前記金属板における前記複数の半導体チップのそれぞれと接合すべき複数の前記接合領域のそれぞれに、前記複数の金属ペーストパターンを互いの間に前記隙間を設けて形成し、前記半導体チップおよび前記対象物の接合において、前記複数の半導体チップのそれぞれと前記金属板とに挟まれた前記複数の金属ペーストパターンを焼結して前記複数の半導体チップのそれぞれと前記金属板とを接合し、前記複数の半導体チップが接合された金属板を前記複数の半導体チップの間で切断して複数の前記半導体装置を個片化してよい。
【0011】
上記のいずれかの半導体装置の製造方法は、前記複数の半導体チップを、互いの間に間隔を設けて支持基板上に配置し、前記半導体チップおよび前記対象物の接合において、前記支持基板上に配置された前記複数の半導体チップと前記金属板とを接合し、前記金属板に接合された前記複数の半導体チップから前記支持基板を剥離してよい。
【0012】
上記のいずれかの半導体装置の製造方法において、前記金属板に接合されるべき前記複数の半導体チップのうち周縁に位置する半導体チップを接合するための前記複数の金属ペーストパターンは、少なくとも1つの金属ペーストパターンが他の少なくとも1つの金属ペーストパターンと比較して、接合する前記半導体チップおよび前記金属板に対する接触面積が小さくてよい。
【0013】
上記のいずれかの半導体装置の製造方法において、対象物は、前記複数の金属ペーストパターンの間の前記隙間に対応する位置に、少なくとも1つの貫通孔を有してよい。
【0014】
上記の半導体装置の製造方法において、前記対象物は、ベイパーチャンバーであり、前記少なくとも1つの貫通孔は、前記ベイパーチャンバーの内部空間と隔離されてよい。
【0015】
上記のいずれかの半導体装置の製造方法において、前記半導体チップは、チップ基板と前記チップ基板の一方の面に形成された回路パターンとを含み、前記半導体チップにおける、前記チップ基板における前記回路パターンが形成された面とは反対側の面に前記対象物を接合してよい。
【0016】
上記のいずれかの半導体装置の製造方法において、前記複数の金属ペーストパターンのそれぞれは、10mm角以下のサイズで前記半導体チップおよび前記対象物に接してよい。
【0017】
上記のいずれかの半導体装置の製造方法において、前記複数の金属ペーストパターン同士の間の隙間は、前記複数の金属ペーストパターンのそれぞれの厚みの0.5倍以上100倍以下でよい。
【0018】
本発明の第2の態様においては、半導体装置を提供する。半導体装置は、半導体チップと、前記半導体チップが接合される対象物と、前記半導体チップを前記対象物に接合する接合部材とを備え、前記接合部材は、前記半導体チップと前記対象物との間における前記半導体チップおよび前記対象物を互いに接合すべき接合領域に、厚み方向の少なくとも一部に隙間を設けて配置された複数の焼結金属パターンを有する。
【0019】
上記の半導体装置において、前記複数の焼結金属パターンのうちの少なくとも1つの焼結金属パターンは、他の少なくとも1つの焼結金属パターンと比較して、前記半導体チップおよび前記対象物に対する接触面積が小さくてよい。
【0020】
上記のいずれかの半導体装置において、前記対象物は、前記複数の焼結金属パターンの間の前記隙間に対応する位置に、少なくとも1つの貫通孔を有してよい。
【0021】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係る半導体装置100の構成を示す。
【
図2A】本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における対象物110を準備する段階を示す。
【
図2B】本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における金属ペーストパターン200を形成する段階を示す。
【
図2C】
図2Bにおける個々の半導体チップ130に対応して形成される本実施形態に係る複数の金属ペーストパターン200の一例を示す。
【
図3A】本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における半導体チップ130を準備する段階を示す。
【
図3B】本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における半導体チップ130を支持基板320上に配置する段階を示す。
【
図3C】本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における半導体チップ130が配置された後の支持基板320を示す。
【
図4A】本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における複数の半導体チップ130のそれぞれと対象物110とを仮固定する段階を示す。
【
図4B】本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における半導体チップ130と対象物110とを接合する段階を示す。
【
図4C】本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における支持基板320を剥離する段階を示す。
【
図4D】本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における半導体装置100を個片化する段階を示す。
【
図5】本実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す。
【
図6】本実施形態に係る金属ペーストパターン200の第1変形例を示す。
【
図7】本実施形態に係る金属ペーストパターン200の第2変形例を示す。
【
図8】本実施形態に係る金属ペーストパターン200の第3変形例を示す。
【
図9】本実施形態に係る金属ペーストパターン200の第4変形例を示す。
【
図10A】本実施形態に係る金属ペーストパターン200の形成方法において、対象物110上にステンシル1000を配置する段階を示す。
【
図10B】本実施形態に係る金属ペーストパターン200の形成方法において、対象物110上にステンシル1000を用いて金属ペーストパターン200を形成する段階を示す。
【
図10C】本実施形態に係る金属ペーストパターン200の形成方法において、ステンシル1000を取り外す段階を示す。
【
図12A】本実施形態に係る金属ペーストパターン200の形成方法の第1変形例において、対象物110上に金属ペースト1010の層を配置する段階を示す。
【
図12B】本実施形態に係る金属ペーストパターン200の形成方法の第1変形例において、金属ペースト1010の層を形成した対象物110にインプリントマスク1200を押し当てる段階を示す。
【
図12C】本実施形態に係る金属ペーストパターン200の形成方法の第1変形例において、インプリントマスク1200を取り外す段階を示す。
【
図13】本実施形態に係る金属ペーストパターン200の形成方法の第2変形例を示す。
【
図14A】本実施形態の変形例に係る、貫通孔1400を有する対象物110の一例を示す。
【
図14B】本実施形態の変形例に係る、貫通孔1400を有する対象物110に金属ペーストパターン200を形成する工程を示す。
【
図14C】本実施形態の変形例に係る、金属ペーストパターン200が形成された対象物110を示す。
【
図15A】本実施形態の変形例に係るベイパーチャンバー1500の斜視図を示す。
【
図15B】本実施形態の変形例に係るベイパーチャンバー1500の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0024】
図1は、本実施形態に係る半導体装置100の構成を示す。ここで、本図に示した半導体装置100は、製造途中の形態であってよく、製品として出荷される形態であってもよい。半導体装置100は、対象物110と、支持基板120と、1または複数の半導体チップ130と、接合部材140とを備える。
【0025】
対象物110は、半導体チップ130を接合する対象となる部品である。対象物110は、金属板または放熱器等であってよく、半導体チップ130を物理的に固定すること、または半導体チップ130を冷却すること等の目的で設けられる。対象物110は、銅またはその他の金属で形成されてよい。対象物110は、半導体チップ130等の半導体装置100の各部品を搭載する部品搭載面(本図中上側の面)を有する。
【0026】
支持基板120は、1または複数の半導体チップ130を搭載する。支持基板120は、半導体チップ130等の半導体装置100の各部品を搭載するチップ搭載面(本図下側の面)を有する。
【0027】
半導体チップ130は、チップ基板と、チップ基板の一方の面に形成された回路パターン132とを含む。半導体チップ130における回路パターン132が設けられた面の反対側の面は、回路パターン132に対して電気的に絶縁されてよい。
【0028】
接合部材140は、各半導体チップ130における回路パターン132が形成された面と反対側の面を対象物110に接合する。接合部材140は、各半導体チップ130について、半導体チップ130と対象物110との間における半導体チップ130および対象物110を互いに接合すべき接合領域に複数の焼結金属パターン145を有する。各焼結金属パターン145は、銅ペースト、銀ペーストまたはその他の金属ペーストを焼結することにより形成されてよい。
【0029】
複数の焼結金属パターン145は、隣り合う焼結金属パターン145同士の間において、厚み方向の少なくとも一部に隙間150を設けて配置される。複数の焼結金属パターン145は、隣り合う焼結金属パターン145同士の間において、厚み方向の全てに隙間150が設けられて複数の焼結金属パターン145同士の間が完全に分離されてよい。これに代えて、複数の焼結金属パターン145は、隣り合う焼結金属パターン145同士の間において、厚み方向の一部に隙間150を有するが厚み方向の残りの部分で互いにつながっていてもよい。
【0030】
図2A~B、
図3A~C、および
図4A~Dは、本実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す。半導体装置100の製造方法は、
図2A~Bに示した対象物110上に金属ペーストパターン200を形成する工程と、
図3A~Cに示した支持基板320上に半導体チップ130を配置する工程と、
図4A~Dに示した対象物110および半導体チップ130を金属ペーストパターン200の焼結によって接合する工程とを備える。
【0031】
図2Aは、本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における対象物110を準備する段階を示す。本図において、対象物110はウェハ形状の金属板である。本図の対象物110は、半導体装置100の製造後に
図1に示した対象物110となる。本工程において、対象物110の表面に存在する段差が後の工程で形成される金属ペーストパターン200の厚みの1/10以下となるよう、対象物110の表面処理を行ってよい。本工程において、表面酸化物除去処理等の対象物110の洗浄処理を行ってよい。
【0032】
図2Bは、本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における金属ペーストパターン200を形成する段階を示す。本工程において、個々の半導体チップ130に対応して複数の金属ペーストパターン200が形成される。各金属ペーストパターン200は、銅ペースト、銀ペーストまたはその他の金属ペーストで形成されてよい。このような金属ペーストは、溶媒を含みうる。本工程においては、対象物110上に金属ペーストパターン200を配置し、アニール処理によって溶媒の一部を気化することで後に半導体チップ130を接合可能な金属ペーストパターン200を形成してよい。また、このとき対象物110表面に金属ペースト溶媒を塗布することで金属ペーストパターン200との接合界面を改善する処理を行ってもよい。
【0033】
図2Cは、
図2Bにおける個々の半導体チップ130に対応して形成される複数の金属ペーストパターン200の一例を示す。
図2Bにおいては、本図に示したように各半導体チップ130と対象物110との間における、各半導体チップ130および対象物110を互いに接合すべき接合領域に、複数の金属ペーストパターン200を互いの間における厚み方向の少なくとも一部に隙間150を設けて形成する。
【0034】
本図において、各半導体チップ130に対応して形成される複数の金属ペーストパターン200は、正方形の格子状に規則的に配置される。このように、複数の金属ペーストパターン200は、正方形以外の格子状(三角格子、四角格子、六角格子等)等のように規則的に配列されてよい。これに代えて、複数の金属ペーストパターン200は、不規則に配列されてもよい。
【0035】
個々の金属ペーストパターン200は、正方形、長方形、三角形、六角形、円形、またはその他の任意の形状の薄膜であってよい。複数の金属ペーストパターン200のそれぞれは、均一に焼結できるよう十分小さい面積、例えば10mm角以下のサイズで半導体チップ130および対象物110に接してよい。複数の金属ペーストパターン200は、半導体チップ130および対象物110との接触面積が同一であってよいし、異なってもよい。複数の金属ペーストパターン200の厚みは、20~100μm、例えば30μm前後であってよい。複数の金属ペーストパターン200同士の間の隙間150は、複数の金属ペーストパターン200のそれぞれの厚みの0.5倍以上100倍以下であってよい。
【0036】
図3Aは、本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における半導体チップ130を準備する段階を示す。本図の例においては、複数の半導体チップ130は、フレーム302にフィルム304が固定されたフィルムフレーム300上に、各半導体チップ130の回路パターン132が上側となる向きで互いに間隔を空けて配置される。これに代えて、複数の半導体チップ130はチップトレイに配列されて供給されてもよい。本工程において、フィルムフレーム300上に配置された複数の個片化された半導体チップ130は、チップハンドラ装置のピッカー310等を用いて一つずつピックアップされて
図3Bに示す工程に引き渡される。
【0037】
図3Bは、本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における半導体チップ130を支持基板320上に配置する段階を示す。支持基板320は、ウェハ形状であっても、矩形形状であってもよい。
図3Aに示した工程によりピックアップされた各半導体チップ130は、本工程において、ピッカー310を用いて上下反転されて、支持基板320上に載置される。これにより、複数の半導体チップ130は、回路パターン132を支持基板320側に向けて支持基板320に仮止めされる。複数の半導体チップ130は、
図2Bに示した金属ペーストパターン200同士と同じ間隔で支持基板320上に配置される。
【0038】
図3Cは、本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における半導体チップ130が配置された後の支持基板320を示す。
図3Aおよび
図3Bに示したように複数の半導体チップ130をフィルムフレーム300から支持基板320へと再配列することにより、複数の半導体チップ130は、互いに間に間隔を設けて支持基板320上に配置される。
【0039】
図4Aは、本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における複数の半導体チップ130のそれぞれと対象物110とを仮固定する段階を示す。本工程において、複数の金属ペーストパターン200が配置された対象物110と、複数の半導体チップ130が配置された支持基板320とを、それぞれの半導体チップ130に対応する金属ペーストパターン200が重なるように貼り合わせる。この時、半導体チップ130における回路パターン132が形成されていない面と、対象物110における金属ペーストパターン200が形成された面とを貼り合わせる。
【0040】
図4Bは、本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における半導体チップ130と対象物110とを接合する段階を示す。本工程において、複数の半導体チップ130および対象物110に挟まれた複数の金属ペーストパターン200を、互いの間に隙間150がある状態で焼結することによって、支持基板320上に配置された複数の半導体チップ130と対象物110を接合する。各金属ペーストパターン200に含まれる溶媒等は、焼結の過程で揮発して金属ペーストパターン200間の隙間等を通って雰囲気中に抜けていく。複数の金属ペーストパターン200は、焼結処理によって半導体チップ130および対象物110の間を接合する複数の焼結金属パターン145となる。
【0041】
図4Cは、本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における支持基板320を剥離する段階を示す。本工程において、対象物110に接合された複数の半導体チップ130から支持基板320を剥離する。
【0042】
図4Dは、本実施形態に係る半導体装置100の製造方法における半導体装置100を個片化する段階を示す。本工程において、複数の半導体チップ130が接合された対象物110を複数の半導体チップ130の間で切断して、複数の半導体装置100を個片化する。複数の半導体チップ130と支持基板120との接合には、Chip on Wafer(COW)法において用いられる方法を用いてよい。
【0043】
図5は、本実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す。
図2~4に示した、複数の半導体チップ130を対象物110に接合してから半導体装置100を個片化する製造方法に代えて、本図においては、金属ペーストパターン200を形成した対象物500上に、1つの個片化した半導体チップ130を設置する。この後、半導体チップ130および対象物500に挟まれた複数の金属ペーストパターン200を、互いの間に隙間150がある状態で焼結して半導体チップ130および対象物500を接合することで、半導体装置100を得る。本図において、半導体チップ130における回路パターン132が形成されていない面と、対象物500における金属ペーストパターン200が形成された面が接合される。
【0044】
これらのように、金属ペーストパターン200に隙間150を設けることによって、より多くの金属ペーストを用いてより大きな接合領域を接合させる場合でも、接合領域全体で金属ペーストパターン200からの脱ガスが可能となる。したがって、より大きな半導体チップ130を半導体装置100に搭載することが可能となる。
【0045】
図6は、本実施形態に係る金属ペーストパターン200の第1変形例を示す。
図2Cにおいては、1つの半導体チップ130に対して設けられる複数の金属ペーストパターン200は、互いに同一の面形状を有する。これに代えて、複数の金属ペーストパターン200のうちの少なくとも1つの金属ペーストパターン600は、他の少なくとも1つの金属ペーストパターン200と比較して、半導体チップ130および対象物110に対する接触面積が小さくてよい。
【0046】
本図においては、接合領域における互いに対向する位置の2つの縁部に位置する2つの金属ペーストパターン600は、その他の金属ペーストパターン200と比較して、半導体チップ130および対象物110に対する接触面積が小さい。これにより、
図4B等に示した焼結において、比較的小さい金属ペーストパターン600は、比較的大きい他の金属ペーストパターン200よりも早く焼結する。したがって、半導体チップ130に対する対象物110の重なり位置を少数の金属ペーストパターン600によって早期に仮固定してから、他の金属ペーストパターン200により半導体チップ130および対象物110を接合することができるので、半導体チップ130および対象物110に熱膨張率の差がある等によって焼結中に半導体チップ130および対象物110の間に位置ずれが生じるのを防ぐことができる。
【0047】
本図の例においては、複数の金属ペーストパターン200のうち、接合領域の縁部に位置する少なくとも1つの金属ペーストパターン600は、接合領域の縁部に位置しない他の金属ペーストパターン200と比較して、半導体チップ130および対象物110に対する接触面積が小さくなる。本図の例においては、金属ペーストパターン600は接合領域における互いに対向に位置する2つの縁部のそれぞれ中央に1つずつ配置されるが、これに代わって金属ペーストパターン600は接合領域における対角に1つずつ配置されてもよい。本図の例においては、金属ペーストパターン600は2つあるが、2つよりも多くあってもよい。例えば、四角形の接合領域において、4つの金属ペーストパターン600が各縁部の中央に1つずつ配置されてもよいし、各頂点に1つずつ配置されてもよい。
【0048】
このようにして製造された半導体装置100においては、複数の金属ペーストパターン200および600を焼結した複数の焼結金属パターン145のうち少なくとも1つの焼結金属パターン145は、他の少なくとも1つの焼結金属パターン145と比較して、半導体チップ130および対象物110に対する接触面積が小さくなる。
【0049】
図7は、本実施形態に係る金属ペーストパターン200の第2変形例を示す。
図6に代えて、本図においては、接合領域の中央部分に位置する金属ペーストパターン700は、接合領域の縁部に位置する少なくとも1つの金属ペーストパターン200と比較して、半導体チップ130および対象物110に対する接触面積が小さい。これにより、
図4B等に示した焼結において、比較的小さい金属ペーストパターン700は、比較的大きい他の金属ペーストパターン200よりも早く焼結する。したがって、半導体チップ130に対する対象物110の重なり位置を金属ペーストパターン700によって早期に仮固定してから、他の金属ペーストパターン200により半導体チップ130および対象物110を接合することができるので、半導体チップ130および対象物110に熱膨張率の差がある等によって焼結中に半導体チップ130および対象物110の間に位置ずれが生じるのを防ぐことができる。
【0050】
図8は、本実施形態に係る金属ペーストパターン200の第3変形例を示す。本図において、接合領域の中央部分に位置する金属ペーストパターン800は、接合領域の縁部に位置する少なくとも1つの金属ペーストパターン200と焼結条件(温度、時間等)が異なるペーストから成る。例えば、接合領域の縁部に位置する金属ペーストパターン200はCuペーストから成り、接合領域の中央部分に位置する金属ペーストパターン800はAgペーストから成ってよい。これに代えて、接合領域の縁部に位置する金属ペーストパターン200と接合領域の中央部分に位置する金属ペーストパターン800は、互いに特性の異なるCuペーストを用いたものであってよい。
図4B等に示した焼結において、接合領域の中央部分に位置する金属ペーストパターン800は、接合領域の縁部に位置する少なくとも1つの金属ペーストパターン200と比べ、早く焼結してよい。これにより、半導体チップ130に対する対象物110の重なり位置を金属ペーストパターン800によって早期に仮固定してから、他の金属ペーストパターン200により半導体チップ130および対象物110を接合することができるので、半導体チップ130および対象物110に熱膨張率の差がある等によって焼結中に半導体チップ130および対象物110の間に位置ずれが生じるのを防ぐことができる。接合領域の縁部に位置する金属ペーストパターン200と接合領域の中央部分に位置する金属ペーストパターン800は、接合する半導体チップ130および対象物110との接触面積が実質的に同一であっても、異なっていてもよい。
【0051】
図9は、本実施形態に係る金属ペーストパターン200の第4変形例を示す。本図において、接合領域における互いに対向する位置の2つの縁部に位置する2つの金属ペーストパターン900は、その他の金属ペーストパターン200と比較して、接合領域の縁部に位置する少なくとも1つの金属ペーストパターン200と焼結条件(温度、時間等)が異なるペーストから成る。例えば、接合領域の縁部に位置しない金属ペーストパターン200はCuペーストから成り、接合領域の縁部に位置する金属ペーストパターン900はAgペーストから成ってよい。これに代えて、接合領域の縁部に位置しない金属ペーストパターン200と接合領域の縁部に位置する金属ペーストパターン900は、互いに特性の異なるCuペーストを用いたものであってもよい。
図4B等に示した焼結において、接合領域の縁部に位置する金属ペーストパターン900は、接合領域の縁部に位置しない少なくとも1つの金属ペーストパターン200と比べ、早く焼結してよい。これにより、半導体チップ130に対する対象物110の重なり位置を金属ペーストパターン900によって早期に仮固定してから、他の金属ペーストパターン200により半導体チップ130および対象物110を接合することができるので、半導体チップ130および対象物110に熱膨張率の差がある等によって焼結中に半導体チップ130および対象物110の間に位置ずれが生じるのを防ぐことができる。接合領域の縁部に位置する金属ペーストパターン900と接合領域の縁部に位置しない金属ペーストパターン200は、接合する半導体チップ130および対象物110との接触面積が実質的に同一であっても、異なっていてもよい。
【0052】
また、本図の例においては、金属ペーストパターン900は接合領域における互いに対向に位置する2つの縁部のそれぞれ中央に1つずつ配置されるが、これに代わって金属ペーストパターン900は接合領域における対角に1つずつ配置されてもよい。本図の例においては、金属ペーストパターン900は2つあるが、2つよりも多くあってもよい。例えば、四角形の接合領域において、4つの金属ペーストパターン900が各縁部の中央に1つずつ配置されてもよいし、各頂点に1つずつ配置されてもよい。
【0053】
図6~9においては1つの接合領域内における位置に応じて金属ペーストパターン200を変化させる変形例を示したが、これらに代えて、対象物110上の位置に応じて金属ペーストパターン200を変化させてもよい。
図2Bにおいて、対象物110に接合されるべき複数の半導体チップ130のうち周縁に位置する半導体チップ130を接合するための複数の金属ペーストパターン200は、少なくとも1つの金属ペーストパターン200が他の少なくとも1つの金属ペーストパターン200と比較して、接合する半導体チップ130および対象物110に対する接触面積が小さくてよい。この場合、周縁部に位置しない半導体チップ130と接合するための複数の金属ペーストパターン200は、接合する半導体チップ130および対象物110に対する接触面積が実質的に同一であってよい。
【0054】
図3~4においては複数の半導体チップ130のみを対象物110に接合する方法を示した。これに代えて、
図3Bに示した支持基板320の周縁に、半導体チップ130の代わりに仮押さえ用のチップを配置してよい。仮押さえ用のチップは、シリコンで形成されてよい。後の工程で仮押さえ用チップと対象物110を接合する複数の金属ペーストパターン200のうち少なくとも1つの金属ペーストパターン200が、半導体チップ130と対象物110を接合する複数の金属ペーストパターン200のうちの少なくとも1つの金属ペーストパターン200と比較して、接合する仮押さえ用のチップもしくは半導体チップ130および対象物110に対する接触面積が小さくてよい。この場合、半導体チップ130と接合するための複数の金属ペーストパターン200は、接合する半導体チップ130および対象物110に対する接触面積が実質的に同一であってよい。
【0055】
図10A~10Cは、
図2Bの金属ペーストパターン200を形成する段階等において、ステンシル1000を用いて金属ペーストパターン200を形成する方法を示す。
図10Aは、本実施形態に係る金属ペーストパターン200の形成方法において、対象物110上にステンシル1000を配置する段階を示す。本工程において、対象物110上にステンシル1000を重ねて配置する。ステンシル1000は、ステンレスおよびアルミニウム等の金属により形成されてよい。ステンシル1000は、形成しようとする金属ペーストパターン200の形状に応じた貫通孔を有する薄板である。ステンシル1000は、形成しようとする金属ペーストパターン200の厚みと同程度の厚みを有する。
【0056】
図10Bは、本実施形態に係る金属ペーストパターン200の形成方法において、対象物110上にステンシル1000を用いて金属ペーストパターン200を形成する段階を示す。本工程において、ステンシル1000が重ねられた対象物110の面上に金属ペースト1010を広げることにより、対象物110上に金属ペーストパターン200を形成する。本工程において、金属ペースト1010をスキジーとしての薄板1020によって広げてよい。ここで、金属ペースト1010の消費量を抑えるために、金属ペースト1010は、最終的な金属ペーストパターン200の塗布量に近い量を用いて上に広げてよい。
【0057】
図10Cは、本実施形態に係る金属ペーストパターン200の形成方法において、ステンシル1000を取り外す段階を示す。本工程において対象物110からステンシル1000を取り外すことによって、対象物110上にステンシル1000に応じた金属ペーストパターン200が形成される。
図4A~Bに示す半導体チップ130と対象物110とを接合する工程の前に、金属ペーストパターン200のプレベーク処理を行ってよい。プレベーク処理は、80℃で10分間行ってよい。
【0058】
図11は、ステンシル1000の一例を示す。本図において、ステンシル1000は、対向する頂点間の距離が3.7mm程度の正六角形の貫通孔を100μm程度の間隔で規則的に並べたハニカム構造を有する。ステンシル1000は、20~100μmの厚みであってよい。ステンシル1000は、
図10Bにて示した薄板1020によって金属ペースト1010を広げる工程を滞りなく行うため、断面の面取りが行われてよい。
【0059】
図12A~12Cは、
図2Bの金属ペーストパターン200を形成する段階等において、インプリントマスク1200を用いて金属ペーストパターン200を形成する方法を示す。
図12Aは、本実施形態に係る金属ペーストパターン200の形成方法の第1変形例において、対象物110上に金属ペースト1010の層を配置する段階を示す。本工程において、対象物110の表面上に、金属ペースト1010が塗布等によって個々の金属ペーストパターン200よりも広い面積で配置される。金属ペースト1010は、形成しようとする金属ペーストパターン200の厚みよりも薄く形成されてよい。後の工程でインプリントマスク1200を押し当てた際に、インプリントマスク1200の凸部に位置する金属ペースト1010がインプリントマスク1200の凹部に移動するため、形成される金属ペーストパターン200の厚みは金属ペースト1010の厚みより大きくなるためである。
【0060】
図12Bは、本実施形態に係る金属ペーストパターン200の形成方法の第1変形例において、金属ペースト1010の層を形成した対象物110にインプリントマスク1200を押し当てる段階を示す。本工程において、対象物110における金属ペースト1010の層が配置された表面に、インプリントマスク1200を押し当てる。インプリントマスク1200は、ステンレスおよびアルミニウム等の金属により形成されてよい。インプリントマスク1200は、形成したい金属ペーストパターン200の形状に応じた凹凸を有する板である。
【0061】
図12Cは、本実施形態に係る金属ペーストパターン200の形成方法の第1変形例において、インプリントマスク1200を取り外す段階を示す。本工程において、対象物110からインプリントマスク1200を取り外すことによって、対象物110上にインプリントマスク1200に応じた金属ペーストパターン200が形成される。
【0062】
図13は、本実施形態に係る金属ペーストパターン200の形成方法の第2変形例を示す。本図において、対象物110上に配置された金属ペースト1010をけがき針1300でけがくことによって互いの間に隙間150がある複数の領域に分割することによって、複数の金属ペーストパターン200を形成する。
【0063】
なお、金属ペーストパターン200の形成方法は、インクジェット技術によるダイレクト塗布としてもよい。この時、ステンシル1000およびインプリントマスク1200等を用いずに、対象物110上に金属ペーストパターン200を直接形成する。
【0064】
図14Aは、本実施形態の変形例に係る、貫通孔1400を有する対象物110の一例を示す。半導体装置100は、本図に示した対象物110を用いて実現されてよい。本図に示した対象物110は、規則的または不規則に配置された複数の貫通孔1400を有する。複数の貫通孔1400のそれぞれは、対象物110上に形成されるべき金属ペーストパターン200の隙間に対応する位置に設けられる。複数の貫通孔1400のそれぞれのサイズは、後に形成される複数の金属ペーストパターン200間の隙間150と同程度であってもよいし、隙間150より小さくてもよい。複数の貫通孔1400のそれぞれは、実質的に同一のサイズであってよく、少なくとも1つが他の貫通孔1400と異なるサイズを有してもよい。
【0065】
図14Bは、本実施形態の変形例に係る、貫通孔1400を有する対象物110に金属ペーストパターン200を形成する工程を示す。本図において、金属ペーストパターン200は、貫通孔1400と重ならないように形成される。これにより、貫通孔1400は、対象物110における、複数の金属ペーストパターン200の間の隙間150に対応する位置に設けられることになる。
【0066】
図14Cは、本実施形態の変形例に係る、金属ペーストパターン200が形成された対象物110を示す。このような対象物110に金属ペーストパターン200を介して半導体チップ130を重ねて
図4Bに示したように焼結処理を行うと、加熱によって複数の金属ペーストパターン200から発生するガスの少なくとも一部は、貫通孔1400を通って対象物110における半導体チップ130とは反対側の面から抜けていくので効率良く脱ガスを行うことができる。なお、焼結処理後の対象物110は、複数の焼結金属パターン145の間の隙間150に対応する位置に、少なくとも1つの貫通孔1400を有する。
【0067】
図15Aは、本実施形態の変形例に係るベイパーチャンバー1500の斜視図を示す。半導体装置100は、
図1に示したような板状の対象物110に代えて、ベイパーチャンバー1500を対象物110として用いてよい。ベイパーチャンバー1500は、銅またはアルミニウムなどの熱伝導性が比較的高い材料で形成されてよい。ベイパーチャンバー1500は、中空構造を有し、内部に冷却液を有する。ベイパーチャンバー1500の内部は真空であってよい。ベイパーチャンバー1500は、内壁に溝を有してよい。ベイパーチャンバー1500は、少なくとも1つの貫通孔1400を有する。本図において、貫通孔1400は100μm以下であってよい。なお、ベイパーチャンバー1500を対象物110として用いる場合、半導体装置100の製造において必要となる加熱工程の後に、ベイパーチャンバー1500の内部に冷却液を注入し、ベイパーチャンバー1500を密封することで、加熱工程でベイパーチャンバー1500が破裂することを防ぐことができる。
【0068】
図15Bは、本実施形態の変形例に係るベイパーチャンバー1500の断面図を示す。本図は、
図15Aの点線で裁断した場合の断面図である。本図のように、少なくとも1つの貫通孔1400はベイパーチャンバー1500の内部空間と隔離される。このような少なくとも1つの貫通孔1400を設けることによって、ベイパーチャンバー1500の気密性を保ちながら、半導体チップ130を接合する際に貫通孔1400を通じて脱ガスを行うことができる。
【0069】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0070】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0071】
100 半導体装置、110 対象物、120 支持基板、130 半導体チップ、132 回路パターン、140 接合部材、145 焼結金属パターン、150 隙間、200 金属ペーストパターン、300 フィルムフレーム、302 フレーム、304 フィルム、310 ピッカー、320 支持基板、500 対象物、600 金属ペーストパターン、700 金属ペーストパターン、800 金属ペーストパターン、900 金属ペーストパターン、1000 ステンシル、1010 金属ペースト、1020 薄板、1200 インプリントマスク、1300 けがき針、1400 貫通孔、1500 ベイパーチャンバー