(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120483
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】部品供給装置およびこれを備えた組立装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/00 20060101AFI20240829BHJP
B23P 19/06 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B23P19/00 301K
B23P19/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027305
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂本 大和
【テーマコード(参考)】
3C030
【Fターム(参考)】
3C030AA20
(57)【要約】
【課題】本発明は、部品の誤投入を防止可能な部品供給装置を提供する。
【解決手段】
内部に所定の部品Sを多数貯留可能な貯留ユニット20と、この貯留ユニット20から前記部品Sを取り出して搬送する搬送ユニット30と、前記貯留ユニット20の開口部分を閉鎖する閉鎖蓋41と、前記閉鎖蓋41の開閉を規制可能なロック機構50を備え、前記ロック機構50は、前記閉鎖蓋41を閉じた状態で固定可能な開閉駆動源51と、前記貯留ユニット20に投入する部品Sの識別情報を入力可能な入力手段55と、前記入力手段55に入力された識別情報が予め記録された識別情報と一致するか判断する判別手段56とを有し、前記判別手段56は、前記識別情報が一致すると前記開閉駆動源51を駆動させて前記閉鎖蓋41の規制を解除することを特徴とする部品供給装置10による。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の部品を多数貯留可能な貯留ユニットと、この貯留ユニットから前記部品を取り出して搬送する搬送ユニットと、前記貯留ユニットの開口部分を閉鎖する閉鎖蓋と、前記閉鎖蓋の開閉を規制可能なロック機構を備え、
前記ロック機構は、前記閉鎖蓋を閉じた状態で固定可能な開閉駆動源と、前記貯留ユニットに投入する部品の識別情報を入力可能な入力手段と、前記入力手段に入力された識別情報が予め記録された識別情報と一致するか判断する判別手段とを有し、
前記判別手段は、前記識別情報が一致すると前記開閉駆動源を駆動させて前記閉鎖蓋の規制を解除することを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記閉鎖蓋は、ロック機構に向けて伸びる嵌合突起を有し、
前記ロック機構は、前記開閉駆動源の駆動を受けて駆動可能かつ、前記嵌合突起と嵌合可能なチャック爪を有することを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記チャック爪を常時嵌合突起と嵌合する方向に付勢する閉鎖ばねを有することを特徴とする請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記ロック機構には、前記閉鎖蓋に対する規制状態または閉鎖蓋の開閉状態を通知する通知手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記閉鎖蓋には、把持部が設けられており、前記通知手段は、前記閉鎖蓋が閉鎖された状態において前記把持部の下方に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の部品供給装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5に記載の部品供給装置と、この部品供給装置が供給した部品を受け取り可能に構成された作業機とを有する組立装置において、
前記作業機は、前記部品供給装置の閉鎖蓋が開いている時、駆動しないよう構成されていることを特徴とする組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の位置に部品を供給する部品供給装置およびこの部品供給装置を備えた組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品をねじ締め機等の所定の作業機に供給する部品供給装置として、特許文献1に記載のものが知られている。この部品供給装置は、内部に部品を多数貯留可能なホッパを有し、当該ホッパから部品を一列に整列搬送するとともに、整列搬送した部品を1個ずつ所定の供給位置まで分離搬送可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の部品供給装置は、投入される部品が正しいか確認する手段を有さず、異なる部品が誤投入された場合であってもねじ締め機等まで供給してしまうという問題があった。
【0005】
そのため、本発明は、ねじの誤投入を防止可能な部品供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて創成されたものであり、所定の部品を多数貯留可能な貯留ユニットと、この貯留ユニットから前記部品を取り出して搬送する搬送ユニットと、前記貯留ユニットの開口部分を閉鎖する閉鎖蓋と、前記閉鎖蓋の開閉を規制可能なロック機構を備え、前記ロック機構は、前記閉鎖蓋を閉じた状態で固定可能な開閉駆動源と、前記貯留ユニットに投入する部品の識別情報を入力可能な入力手段と、前記入力手段に入力された識別情報が予め記録された識別情報と一致するか判断する判別手段とを有し、前記判別手段は、前記識別情報が一致すると前記開閉駆動源を駆動させて前記閉鎖蓋の規制を解除することを特徴とする。なお、前記閉鎖蓋は、ロック機構に向けて伸びる嵌合突起を有し、前記ロック機構は、前記開閉駆動源の駆動を受けて駆動可能かつ、前記嵌合突起と嵌合可能なチャック爪を有することが好ましい。また、前記ロック機構は、前記チャック爪を常時嵌合突起と嵌合する方向に付勢する閉鎖ばねを有することが好ましい。さらに、前記ロック機構には、前記閉鎖蓋に対する規制状態または閉鎖蓋の開閉状態を通知する通知手段を有していることが好ましい。しかも、前記閉鎖蓋には、把持部が設けられており、前記通知手段は、前記閉鎖蓋が閉鎖された状態において前記把持部の下方に設けられていることが好ましい。
【0007】
また、本発明の第2の目的は、上記部品供給装置を備えた組立装置の提供を目的とし、この組立装置は、前記部品供給装置と、この部品供給装置が供給した部品を受け取り可能に構成された作業機とを有し、前記作業機は、前記部品供給装置の閉鎖蓋が開いている時、駆動しないよう構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記発明によれば、閉鎖蓋がロック機構によって規制されており、当該ロック機構による閉鎖蓋の規制を解除するため、部品投入前に投入する部品の識別情報を入力手段に入力して正しい部品か否か確認する工程が生まれる。このため、異なった部品を投入することが防止されるという利点がある。また、前記閉鎖蓋の規制状態または開閉状態を通知可能な通知手段を有するため、作業者が閉鎖蓋の状態、例えば開閉可能であるか否かや閉鎖蓋の閉め忘れが生じているか等を即座に確認できる等の利点もある。また、前記通知手段が把持部の下方に設けられていることにより、作業者の視界に入りやすくなり、閉め忘れが防止される等の利点もある。
【0009】
また、上記部品供給装置を備えた組立装置は、前記閉鎖蓋が開いている状態では、作業機が駆動しないよう構成されているため、作業者は、部品の補充後、作業機を再駆動させるために閉鎖蓋を確実に閉鎖させるようになる。このため、閉め忘れが防止される等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る部品供給装置の構造を示す右側面図である。
【
図2】本発明に係る部品供給装置の構造を示す背面図である。
【
図3】本発明に係る部品供給装置の構造を示す平面図である。
【
図4】本発明に係る部品供給装置のロック機構の構造を示す要部拡大一部切欠き正面図であり、(a)はチャック爪が閉じた状態を示す正面図であり、(b)はチャック爪が閉じた状態を示す正面図である。
【
図5】本発明に係る部品供給装置の第二の実施形態の構造を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明する。
図1ないし
図4において10は、自動締結装置(図示せず)にねじSを供給する部品供給装置である。本発明の部品供給装置10は、ねじSを貯留する貯留ユニット20と、貯留ユニット20から取り出されたねじSを前記自動締結装置まで搬送する搬送ユニット30と、当該部品供給装置10の駆動を制御する制御ユニット(図示せず)とから構成されている。
【0012】
前記貯留ユニット20は、
図1に示すようにその内部にねじSを多数貯留可能に構成されたホッパ21とこのホッパ21内で昇降するすくい板22とを有している。前記ホッパ21は、中空漏斗形状に構成されており、その最下部には、前記すくい板22が通過可能な矩形孔が貫通形成されている。一方、前記すくい板22は、モータ25の駆動を受けて所定の支軸23を中心に揺動するように構成されており、その上面には、ねじSの脚部と遊嵌可能つまり、ねじSの脚部径よりも僅かに幅広で、かつ脚部長に比して十分に深い寸法に構成されたすくい溝24が形成されている。このように構成されたすくい板22がホッパ21内部で下降すると、ホッパ21内部に貯まったねじSがすくい板22上に落下するとともに、当該落下したねじSの一部は、脚部が前記すくい溝24に遊嵌する。このため、すくい板22が上昇すると、当該遊嵌したねじSも一緒に上昇するとともに、
図1に示すように上死点に達したすくい板22の上面を滑落してシュートレール31に受け渡される。なお、前記すくい板22は、その上死点において上面の中心軸側端部がシュートレール31の上面より僅かに上方に位置するように設計されている。
【0013】
前記搬送ユニット30は、前後方向に伸びる長尺のシュートレール31を有している。このシュートレール31は、その後端部が前記ホッパ21に侵入し、前記すくい板22に連続するよう配置されているとともにその上面には、長手方向に一様な幅で延びる有底の吊下溝32が切欠形成されており、前記すくい板22から滑落したねじSを受け取り可能に構成されている。このシュートレール31は、振動駆動源33に固定されており、当該振動駆動源33の駆動を受けてすくい板22から受け取ったねじSを前方に振動搬送可能に構成されている。また、シュートレール31上には、当該シュートレール31と平行に伸びる押さえ部材34が配置されている。この押さえ部材34は、前記シュートレール31上で振動するねじSがシュートレール31から飛び出さないようねじSを上方から規制しており、シュートレール31からねじSの頭部長さより若干広い隙間を空けて配置されている。さらに、シュートレール31の前端には、当該シュートレール31上、最前のねじSを一個ずつ分離して所定の供給位置(図示せず)まで供給する分離供給機構35が接続されている。
【0014】
前記制御ユニットには、前記振動駆動源33およびモータ25、圧送機構や、外部の自動締結装置が接続されており、自動締結装置から駆動信号が入力されると、前記駆動源等を駆動させて自動締結装置までねじSを供給させるよう構成されている。
【0015】
上記部品供給装置10の前記貯留ユニット20および前記搬送ユニット30は、カバー40によって被覆されており、このカバー40は、前記ホッパ21の開口部を封鎖可能に構成された閉鎖蓋41を有している。この閉鎖蓋41は、ホッパ21の前端部上方に位置する揺動軸42を中心に揺動可能に構成された板材であり、その後端部が前記ホッパ21の上方から後方に回り込むよう屈曲している。この閉鎖蓋41の後側面には、
図2および
図3に示すように作業者が把持する把持部43および後述のロック機構50と嵌合する嵌合突起44が設けられている。前記嵌合突起44は、
図4に示すように前記閉鎖蓋41の下側端部から下方に突出しており、その先端に略三角錐形状の矢尻部45が形成されている。
【0016】
また、前記ホッパ21には、前記閉鎖蓋41を固定するためのロック機構50が設けられている。このロック機構50は、開閉駆動源の一例として前記ホッパ21の後側面に固定されたシリンダチャック51(以下開閉チャック51という)を有しており、この開閉チャック51の駆動部には、前記嵌合突起44と嵌合可能な一対のチャック爪52、52が装着されている。このチャック爪52、52は、その対向面の中央に前記嵌合突起44の矢尻部45と嵌合可能な嵌合凹部53、53が形成されたコの字形状部材であり、その上側壁部は、下側壁部より若干短く、チャック爪52、52が接近した際、上側壁部の間に前記嵌合突起44の矢尻部45下端が挿入可能な隙間が形成されるよう構成されている。さらに、チャック爪52、52は、閉鎖ばね54、54によって常時ロックつめ同士が接近する方向に付勢されている。これら構造により、チャック爪52、52は、
図4の(a)に示すように閉鎖ばね54、54の付勢を受けて常時接近している一方、開閉チャック51が駆動すると
図4の(b)に示すように前記閉鎖ばね54、54を変形させながら離反することとなる。この構造により、前記嵌合突起44が前記チャック爪52、52の間に挿入されると、嵌合突起44は、チャック爪52、52の嵌合凹部53、53と嵌合し、開閉チャック51が駆動してチャック爪52、52が離反するまで脱出できなくなる。このように、ロック機構50は、前記閉鎖蓋41の開閉を規制可能となる。
【0017】
また、前記ロック機構50は、前記ホッパ21に投入するねじSの識別情報を入力可能な入力手段55および前記入力手段55に入力された識別情報から当該ねじSが正しい部品であるか判断可能な判別手段56とを有している。判別手段56は、正しい部品の識別情報を予め記録可能に構成されているとともに当該識別番号と前記入力手段55に入力された識別情報が一致するか判断可能に構成されている。また、この判別手段56は、前記開閉チャック51に接続されており、前記識別情報が一致すれば、前記開閉チャック51の駆動源に駆動信号を発信して前記チャック爪52、52を離反させる。これら構造によって、前記識別番号が一致した時、つまり、正しいねじSの識別番号を入力した時のみ、前記閉鎖蓋41の規制が解除される。結果、前記ホッパ21内には、正しいねじSのみが投入可能となる。なお、本実施形態において、前記入力手段55は当該バーコードを読み取り可能なバーコードリーダ(図示せず)であり、投入前のねじSを梱包する梱包容器に印刷されたバーコード(図示せず)を読み取ることで前記判別手段56に識別情報を送信するよう構成されている。
【0018】
さらに、前記開閉チャック51には、前記嵌合突起44を検出可能な近接センサ57および発光可能に構成された表示灯58が装着されている。前記近接センサ57は、嵌合突起44がチャック爪52、52と嵌合しているか否かを確認する嵌合確認センサの一例であり、その検出範囲が前記チャック爪52、52の上方に位置するよう配置されている。一方、前記表示灯58は、前記閉鎖蓋41の状態を通知する通知手段の一例であり、
図1および
図2に示すように作業者が前記把持部43を把持する直前に当該表示灯58を目視できるように、前記閉鎖蓋41が閉鎖された状態での前記把持部43の下方に位置するよう設けられている。なお、本実施形態において、表示灯58は、前記近接センサ57の検出範囲に嵌合突起44が存在しない時点灯するよう構成されており、前記嵌合突起44とチャック爪52、52とが嵌合しているかを通知可能に構成されている。
【0019】
次に上記のように構成された部品供給装置10の作用を説明する。
駆動信号が入力されると前記モータ25が回転駆動してすくい板22の昇降を開始するとともに、前記前記振動駆動源33が駆動して前記シュートレール31上のねじSを前方に振動搬送する。これにより、前記ホッパ21内に貯留されたねじSは、下降してきたすくい板22上に落下する。その後上昇したすくい板22によって持ち上げられるとともに、すくい板22の上面を滑落してシュートレール31上に供給される。このようにシュートレール31まで供給されたねじSは、すくい板22の振動によって前方に振動されて、分離供給機構35に達したものから順番に所定の供給位置に供給される。このような供給動作によってホッパ21内のねじSが少なくなるため、作業者が所定の時間毎にねじSをホッパ21に補充する必要がある。
【0020】
ねじSの補充時、作業者は、まず前記バーコードリーダを用いてねじSを梱包する梱包容器に印刷されたバーコードを読みとる。このバーコードリーダがバーコードを読み込むと、前記判別部は、バーコードリーダが読み取ったバーコードの値と予め記録された値とを比較して補充する予定のねじSが正しいねじSかを判別する。この時、バーコードリーダが読み取った値と予め記録された値とが一致して、ねじSが正しいと判断されると、判別部は、前記ロック機構50を駆動してチャック爪52、52を開動させる。これにより、チャック爪52、52と前記嵌合突起44との嵌合が解除されて閉鎖蓋41が揺動可能となる。一方、バーコードリーダが読み取った値と予め記録された値とが一致しない場合、判別部は投入するねじSが異品と判断してロック機構50を駆動させない。このため、閉鎖蓋41は、嵌合突起44が固定されており、揺動しないため、ホッパ21内に異品のねじSが補充されることがない。このように、補充前にホッパ21内に投入予定のねじSが正しいねじSか否かを確認することより、誤投入が防止される。
【0021】
上述のように嵌合突起44が開放され、前記閉鎖蓋41が揺動可能になると、作業者が前記閉鎖蓋41を揺動させることでホッパ21の上方が開放される。これにより、ねじSをホッパ21内に補充可能となる。この時、前記嵌合突起44が近接センサ57の検出範囲から退去するため、前記表示灯58が点灯する。このように表示灯58が点灯することにより、目視での閉鎖蓋41の開閉状態の確認が容易となる。また、この表示灯58が前記把持部43の下方に設けられているため、作業者の視界に入りやすくなり、閉め忘れが防止される。結果、次回のねじSの補充時にも、作業者は、再度バーコードリーダで梱包容器のバーコードを読み取り、ロック機構50を解除する必要が生じる。このため、次回以降の補充時においても同様に誤投入を防止できる。このようにねじSの梱包容器に記載されたバーコードを読み取る構成であるため、軸部の長さや頭部の太さ、形状等の微少な寸法差等作業者が目視で正否を見分けることが困難なねじSやリベット等の頭付き棒状部品であっても誤投入を防止可能となる。
【0022】
また、上述のように嵌合突起44が近接センサ57の検出範囲から退去すると、前記開閉チャック51は、エアを開放してチャック爪52、52を摺動自在にする。これにより、チャック爪52、52は、前記閉鎖ばね54、54の反発力によって閉じる方向に付勢される。このようにチャック爪52、52が閉鎖ばね54、54の反発力によって閉じられているため、補充時にチャック爪52、52の間にねじS等が進入し難くなるとともに、万一、進入してもチャック爪52、52が開閉チャック51によって過度な力で閉じられてチャック爪52、52が破損されることがない。
【0023】
ねじSの補充後、作業者が前記閉鎖蓋41を閉じる際、前記嵌合突起44は、
図4の(a)に示すように矢尻部45の下端がチャック爪52、52の上側壁部の隙間に当接して、チャック爪52、52を左右に押し広げながらその間に挿入される。その後、閉鎖蓋41が完全に閉じられると、前記嵌合突起44が近接センサ57の検出範囲に復帰し、近接センサ57が嵌合突起44を再度検出するため、前記表示灯58が消灯する。一方、嵌合突起44がチャック爪52、52を嵌合する前に閉鎖蓋41を閉じる動作が終了した場合、チャック爪52、52は、閉鎖ばね54によって付勢されているため、矢尻部45を上方に押し上げる。結果、押し上げられた前記嵌合突起44が近接センサ57の検出範囲から脱却して表示灯58が再度点灯する。このように、矢尻部45が略錐体形状に構成されていることおよびチャック爪52、52が閉鎖ばね54、54に付勢されている構造により、閉鎖蓋41が完全には閉まっていない場合、作業者にそのことを通知することが可能となる。
【0024】
また、第二の発明として、前記部品供給装置10およびこの部品供給装置10から供給された部品を受け取り所定の締結位置に締結する自動締結装置(図示せず)を有する組立装置について説明する。なお、この組立装置の自動締結装置は、本出願人により開示された実開平5-93727号公報等および特願2018-079554号公報等に詳述されているように回転駆動源の駆動を受けて回転するビットおよびこのビットを移動させる位置制御機構を備えた従来既知の自動締結装置であればよいため、構造の説明を省略する。この組立装置の自動締結装置には、前記部品供給装置10の制御ユニットが接続されており、自動締結装置は、制御ユニットを介して、部品供給装置10の駆動を制御可能に構成されている。また、自動締結装置は、部品供給装置10の閉鎖蓋41の閉鎖時にのみ駆動するよう構成されており、前記閉鎖蓋41が開いている間、その駆動を停止するとともに、部品供給装置10の分離供給機構35の駆動を停止させるよう構成されている。これにより、作業者は、前記ホッパ21にねじSを補充後、組立装置を再駆動させるために閉鎖蓋41を確実に閉じる必要があり、閉鎖蓋41を開いた状態で放置されることがない。結果、閉鎖蓋41の閉め忘れが防止されるため、誤投入が防止される。また、このような構成において、前記表示灯58は、前記ロック機構50の判別手段56によって閉鎖蓋41の規制が解除された時に点灯するよう構成されていることが好ましい。これにより、作業者は、閉鎖蓋41の規制が解除されているか、つまり閉鎖蓋41が開動可能か目視で即座に判別することが可能となる。
【0025】
なお、本発明に係る部品供給装置10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態において、入力手段55は、ねじSを梱包した梱包容器に印刷されたバーコードを読む取り可能なバーコードリーダであったが、これに限定されず、ねじSの製造番号や寸法等を入力可能なタッチパネル等、ねじSの識別情報を入力可能であればその他の構成であっても何ら問題ない。また、判別手段56は、投入されたねじSの情報を記録する記録部を備えていてもよい。このように、投入されたねじSの情報を記録部が記録することにより、異物や不良品の混入が発生した際、当該記録部の記録から異物が混入した可能性が高い製品を追跡および回収したり、当該異物が混入した部品製造ラインを見つけたりすることも可能となる。さらに、嵌合確認センサ前記近接センサ57に限定されず、接触式のセンサや、光学センサ等で代用しても何ら問題なく、同様に通知手段も前記表示灯58以外の音を発する音源装置や文字を映す液晶画面等であっても良い。
【0026】
また、前記部品供給装置10は、貯留ユニット20のホッパ21上に閉鎖蓋41が設けられた構成であったが、これに限定されず、例えば、貯留ユニット20が
図5に示すように内周面にコイルばね形状の案内路271が形成された有底ドラム27をドラム回転モータ28により回転させることにより、有底ドラム27内に貯留されたねじSをホッパ21に供給する補助ホッパ26等を有する場合、前記閉鎖蓋41′は、補助ホッパ26の有底ドラム27の開口部を閉鎖するよう設けられることが好ましい。なお、閉鎖蓋41′には、嵌合突起44′が設けられており、補助ホッパ26は、嵌合突起44′を固定する開閉駆動源の一例として嵌合突起44′と嵌合して抜け止め可能な電磁式のドアセンサ59を備えている。さらに、前記自動締結装置は、部品供給装置10から供給された部品に対して所定の作業を行う作業機の一例であり、かしめ機やピン圧入装置等、その他の構成であっても良い。
【符号の説明】
【0027】
10 … 部品供給装置
20 … 貯留ユニット
21 … ホッパ
22 … すくい板
23 … 支軸
24 … すくい溝
25 … モータ
30 … 搬送ユニット
31 … シュートレール
32 … 吊下溝
33 … 振動駆動源
34 … 押さえ部材
35 … 分離供給機構
40 … カバー
41 … 閉鎖蓋
42 … 揺動軸
43 … 把持部
44 … 嵌合突起
45 … 矢尻部
50 … ロック機構
51 … 開閉チャック
52 … チャック爪
53 … 嵌合凹部
54 … 閉鎖ばね
55 … 入力手段
56 … 判別手段
57 … 嵌合確認センサ
58 … 通知手段
S … ねじ