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特開2024-120499ボルトナット保護部材及びその取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120499
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】ボルトナット保護部材及びその取付方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/14 20060101AFI20240829BHJP
   F16B 41/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F16B37/14 C
F16B41/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027325
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】599145395
【氏名又は名称】高田機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】佐合 大
(72)【発明者】
【氏名】大久保 宣人
(72)【発明者】
【氏名】壽系 亘平
(57)【要約】
【課題】固定対象部材を締結固定する締結部材を保護できるとともに、締結部材の落下を防止できるボルトナット保護部材及びその取付方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ボルトナット保護部材1は、固定対象部材100を締結固定する締結部材110を保護する保護キャップ20と、固定対象部材100を跨いで保護キャップ20同士を連結する連結ワイヤ10とで構成され、保護キャップ20は、有底筒状の保護カバー30と、保護カバー30の開放側端部に設けられた円形凸部412と、保護カバー30を保護対象に保持するリング状保持部422とが備えられ、ボルト側保護キャップ20Aにおけるリング状保持部422は、ボルト頭部121を保持し、ナット側保護キャップ20Bにおけるリング状保持部422は、ダブルナット130における上ナット131を保持する構成である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定対象部材を締結固定する締結部材における保護対象となるボルト頭部及びナット部分のそれぞれ保護する保護キャップと、前記固定対象部材を跨いで前記保護キャップ同士を連結する連結具とで構成され、
前記ボルト頭部は、前記固定対象部材を貫通するボルト軸部の一端に設けられ、
前記ナット部分は、前記ボルト軸部における他端側に締結する下ナットと上ナットとを有するダブルナットであり、
前記保護キャップは、
前記保護対象を囲繞する、有底筒状のカバー部と、
前記カバー部の開放側端部に設けられたパッキンと、
前記カバー部を前記保護対象に保持する保持部とが備えられるとともに、
前記ボルト頭部を保護する頭部側保護キャップと、前記ナット部分を保護するナット側保護キャップとがあり、
前記頭部側保護キャップにおける前記保持部は、前記ボルト頭部を保持する構成であり、
前記ナット側保護キャップにおける前記保持部は、前記ナット部分における前記上ナットを保持する構成である
ボルトナット保護部材。
【請求項2】
前記連結具は、
前記頭部側保護キャップと、前記ナット側保護キャップとを掛け渡す連結ワイヤである
請求項1に記載のボルトナット保護部材。
【請求項3】
前記カバー部に、前記連結ワイヤを取り付けるワイヤ取付部が設けられた
請求項2に記載のボルトナット保護部材。
【請求項4】
前記ワイヤ取付部は、回転自在に前記連結ワイヤを取り付ける構成である
請求項3に記載のボルトナット保護部材。
【請求項5】
前記連結ワイヤは、
前記上ナットが前記ボルト軸部の端部に配置された状態の前記ナット側保護キャップと前記頭部側保護キャップとを連結する長さより短い
請求項4に記載のボルトナット保護部材。
【請求項6】
前記下ナットが、注意喚起色で着色された
請求項4に記載のボルトナット保護部材。
【請求項7】
前記ナット側保護キャップの前記カバー部の外面における周方向の一部が他の部分と異なる着色が施された
請求項4に記載のボルトナット保護部材。
【請求項8】
前記連結ワイヤは、
締結完了状態の前記上ナットが前記ボルト軸部の端部に配置された状態の前記ナット側保護キャップと前記頭部側保護キャップとを緩みなく連結する長さである
請求項3に記載のボルトナット保護部材。
【請求項9】
前記カバー部は、内部が視認可能な透過性を有する樹脂製である
請求項1乃至請求項8のうちいずれかに記載のボルトナット保護部材。
【請求項10】
前記パッキンと前記保持部とが一体構成である
請求項1乃至請求項8のうちいずれかに記載のボルトナット保護部材。
【請求項11】
固定対象部材を締結固定する複数の締結部材における保護対象となるボルト頭部及びナットのそれぞれ保護する保護キャップと、前記保護キャップ同士を連結する連結具とで構成され、
前記ボルト頭部は、前記固定対象部材を貫通するボルト軸部の一端に設けられ、
前記ナットは、前記ボルト軸部における他端側に締結する構成であり、
前記保護キャップは、
前記保護対象を囲繞する、有底筒状のカバー部と、
前記カバー部の開放側端部に設けられたパッキンと、
前記カバー部を前記保護対象に保持する保持部とが備えられるとともに、
前記ボルト頭部を保護する頭部側保護キャップと、前記ナットを保護するナット側保護キャップとがあり、
前記頭部側保護キャップにおける前記保持部は、前記ボルト頭部を保持する構成であり、
前記ナット側保護キャップにおける前記保持部は、前記ナットを保持する構成であり、
前記連結具は、
複数の前記頭部側保護キャップ同士と、複数の前記ナット側保護キャップ同士を掛け渡す構成である
ボルトナット保護部材。
【請求項12】
固定対象部材を締結固定する締結部材における保護対象となるボルト頭部及びナット部分のそれぞれ保護する保護キャップと、前記固定対象部材を跨いで前記保護キャップ同士を連結する連結具とで構成されたボルトナット保護部材を用い、
前記ボルト頭部は、前記固定対象部材を貫通するボルト軸部の一端に設けられ、
前記ナット部分は、前記ボルト軸部における他端側に締結する下ナットと上ナットとを有するダブルナットであり、
前記保護キャップは、
前記保護対象を囲繞する、有底筒状のカバー部と、
前記カバー部の開放側端部に設けられたパッキンと、
前記カバー部を前記保護対象に保持する保持部とが備えられるとともに、
前記ボルト頭部を保護する頭部側保護キャップと、前記ナット部分を保護するナット側保護キャップとがあり、
前記固定対象部材を締結固定した締結部材における前記頭部側保護キャップにおける前記保持部で前記ボルト頭部を保持して取り付けるとともに、
前記ナット側保護キャップにおける前記保持部で前記ナット部分における前記上ナットを保持して取り付ける
ボルトナット保護部材の取付方法。
【請求項13】
前記連結具を、連結ワイヤで構成し、
前記連結ワイヤを、前記固定対象部材の縁部を跨いで、前記頭部側保護キャップと、前記ナット側保護キャップとを掛け渡す
請求項12に記載のボルトナット保護部材の取付方法。
【請求項14】
固定対象部材を締結固定する複数の締結部材における保護対象となるボルト頭部及びナットのそれぞれ保護する保護キャップと、前記固定対象部材を跨いで前記保護キャップ同士を連結する連結具とで構成されたボルトナット保護部材を用い、
前記ボルト頭部は、前記固定対象部材を貫通するボルト軸部の一端に設けられ、
前記ナットは、前記ボルト軸部における他端側に締結する構成であり、
前記保護キャップは、
前記保護対象を囲繞する、有底筒状のカバー部と、
前記カバー部の開放側端部に設けられたパッキンと、
前記カバー部を前記保護対象に保持する保持部とが備えられるとともに、
前記ボルト頭部を保護する頭部側保護キャップと、前記ナットを保護するナット側保護キャップとがあり、
前記連結具は、
複数の前記頭部側保護キャップ同士と、複数の前記ナット側保護キャップ同士を掛け渡し、
前記固定対象部材を締結固定した複数の締結部材における前記頭部側保護キャップにおける前記保持部で前記ボルト頭部を保持して取り付けるとともに、
前記ナット側保護キャップにおける前記保持部で複数の前記ナットを保持して取り付ける
ボルトナット保護部材の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、道路などに設置された照明や標識に設けた締結部材を保護するとともに、締結部材の落下を防止するボルトナット保護部材及びその取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路に設置した照明や標識には複数の締結部材が用いられ、固定されている。締結手段は、ボルトと、ダブルナットとを有し、締結状態において、たたき点検(触診)を行って、締結状態の緩みや損傷等の異常を確認している。
【0003】
しかしながら、たたき点検(触診)の確認漏れや、ボルトやナットの腐食による損傷等が発生することがあった。締結状態の緩みをたたき点検(触診)で確認漏れしたり、腐食等で損傷すると、例えばナットが落下することがあった。
【0004】
例えば、特許文献1には、ボルト軸部に螺合されたダブルナットを一体的に覆う防食キャップが開示されている。
上述の防食キャップによって、締結部材のナット側の腐食による損傷を防止できるものの、締結状態の緩みによるナットの落下を防止することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3-104517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明では、固定対象部材を締結固定する締結部材を保護できるとともに、締結部材の落下を防止できるボルトナット保護部材及びその取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、固定対象部材を締結固定する締結部材における保護対象となるボルト頭部及びナット部分のそれぞれ保護する保護キャップと、前記固定対象部材を跨いで前記保護キャップ同士を連結する連結具とで構成され、前記ボルト頭部は、前記固定対象部材を貫通するボルト軸部の一端に設けられ、前記ナット部分は、前記ボルト軸部における他端側に締結する下ナットと上ナットとを有するダブルナットであり、前記保護キャップは、前記保護対象を囲繞する、有底筒状のカバー部と、前記カバー部の開放側端部に設けられたパッキンと、前記カバー部を前記保護対象に保持する保持部とが備えられるとともに、前記ボルト頭部を保護する頭部側保護キャップと、前記ナット部分を保護するナット側保護キャップとがあり、前記頭部側保護キャップにおける前記保持部は、前記ボルト頭部を保持する構成であり、前記ナット側保護キャップにおける前記保持部は、前記ナット部分における前記上ナットを保持する構成であるボルトナット保護部材であることを特徴とする。
【0008】
またこの発明は、固定対象部材を締結固定する締結部材における保護対象となるボルト頭部及びナット部分のそれぞれ保護する保護キャップと、前記固定対象部材を跨いで前記保護キャップ同士を連結する連結具とで構成されたボルトナット保護部材を用い、前記ボルト頭部は、前記固定対象部材を貫通するボルト軸部の一端に設けられ、前記ナット部分は、前記ボルト軸部における他端側に締結する下ナットと上ナットとを有するダブルナットであり、前記保護キャップは、前記保護対象を囲繞する、有底筒状のカバー部と、前記カバー部の開放側端部に設けられたパッキンと、前記カバー部を前記保護対象に保持する保持部とが備えられるとともに、前記ボルト頭部を保護する頭部側保護キャップと、前記ナット部分を保護するナット側保護キャップとがあり、前記固定対象部材を締結固定した締結部材における前記頭部側保護キャップにおける前記保持部で前記ボルト頭部を保持して取り付けるとともに、前記ナット側保護キャップにおける前記保持部で前記ナット部分における前記上ナットを保持して取り付けるボルトナット保護部材の取付方法であることを特徴とする。
【0009】
この発明により、固定対象部材を締結固定する締結部材を保護できるとともに、締結部材の落下を防止することができる。
詳述すると、固定対象部材を締結固定する締結部材における保護対象となるボルト頭部及びナット部分のそれぞれ保護する保護キャップは、前記保護対象を囲繞する、有底筒状のカバー部と、前記カバー部の開放側端部に設けられたパッキンと、前記カバー部を前記保護対象に保持する保持部とが備えられている。そのため、保護対象である、前記固定対象部材を貫通するボルト軸部の一端に設けられた前記ボルト頭部と、前記ボルト軸部における他端側に締結する下ナットと上ナットとを有するダブルナットである前記ナット部分を、それぞれの前記保護対象を保持部によって保持する有底筒状のカバー部で囲繞することができる。また前記カバー部の開放側端部に設けられたパッキンによりカバー部と固定対象部材との間をシールするため、保護キャップで、保護対象となるボルト頭部及びナット部分を保護することができる。したがって、締結部材が腐食等の損傷によって落下することを防止できる。
【0010】
また、前記ボルト頭部を保持部で保持して保護する頭部側保護キャップと、上ナットを保持し、ナット部分を保護するナット側保護キャップとが、連結具で連結されているため、保護対象であるボルトやナットの一方が緩みや損傷によって落下しても、他方を保持する保護キャップに連結されているため、下方まで落下することを防止できる。
【0011】
ダブルナットを保護するナット側保護キャップの保持部がダブルナットの上ナットを保持しているため、下方まで落下することを確実に防止できる。詳述すると、ダブルナットにおいて、上ナットが緩んでから下ナットが緩む、換言すると、上ナットより先に下ナットが緩むことがないため、ナット側保護キャップの保持部がダブルナットの下ナットを保持する場合、下ナットが緩まなくても上ナットが緩んで落下するおそれがある。これに対し、上述するように、ダブルナットを保護するナット側保護キャップの保持部がダブルナットの上ナットを保持しているため、上ナットが緩んで落下しても、ナット側保護キャップが連結具によってボルト側保護キャップに連結されているため、下方まで落下することを確実に防止できる。
【0012】
この発明の態様として、前記連結具は、前記頭部側保護キャップと、前記ナット側保護キャップとを掛け渡す連結ワイヤであってもよい。
この発明により、コンパクトに形成できるとともに、連結ワイヤは可撓性があるため、ボルトナット保護部材を締結部材のそれぞれに容易に取付けることができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記カバー部に、前記連結ワイヤを取り付けるワイヤ取付部が設けられてもよい。
この発明により、保護キャップと連結ワイヤとを容易かつ確実に接続することができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記ワイヤ取付部は、回転自在に前記連結ワイヤを取り付ける構成であってもよい。
この発明により、上ナットに緩みが生じてナット側保護キャップが回転しても、頭部側保護キャップに連結された連結具にねじれが生じることを防止できる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記連結ワイヤは、前記上ナットが前記ボルト軸部の端部に配置された状態の前記ナット側保護キャップと前記頭部側保護キャップとを連結する長さより短くてもよい。
上述の前記上ナットが前記ボルト軸部の端部に配置された状態とは、更なる緩み回転によって上ナットがボルト軸部から外れる直前の状態をいう。
【0016】
この発明により、上ナットがボルト軸部の端部に配置された状態まで緩んだとしても、頭部側保護キャップと連結された連結具の長さが短いため、更なる緩みを規制し、上ナットがボルト軸部から外れることを防止できる。したがって、保持部が上ナットを保持するナット側保護キャップや、保持部がボルト頭部を保持する頭部側保護キャップが落下することを防止できる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記下ナットが、注意喚起色で着色されていてもよい。
上記注意喚起色は、明度が高く、固定対象部材と異なる色合いであり、後述する隙間を介しても視認性の高い、例えば、ピンク色、赤色、橙色、黄色などの色をいう。
【0018】
この発明により、上ナットが緩んだ状態では、保持部が上ナットを保持するナット側保護キャップは、上ナットの緩みに伴って、固定対象部材から離間する。ナット側保護キャップが固定対象部材から離間すると、固定対象部材とナット側保護キャップとの間に隙間が生じ、隙間を介して下ナットを視認することができる。固定対象部材とナット側保護キャップとの間に生じる隙間を介して視認できる下ナットが注意喚起色で着色されているため、固定対象部材とナット側保護キャップとの間に生じる隙間からの視認性が、彩色処理を施していない下ナットより向上する。したがって、離れた位置からでも、固定対象部材とナット側保護キャップとの間に生じる隙間からの下ナットを確認し、締結部材の緩みを早期に見つけることができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記ナット側保護キャップのカバー部の外面における周方向の一部が他の部分と異なる着色が施されていてもよい。
この発明により、ナット側保護キャップの取付状態で着色部分を例えば、周方向における上方に配置するなど、所定の向きにナット側保護キャップを取り付け、着色部分の位置変化を確認することで、離れた位置からでも上ナットの緩みを早期に見つけることができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記連結ワイヤは、締結完了状態の前記上ナットが前記ボルト軸部の端部に配置された状態の前記ナット側保護キャップと前記頭部側保護キャップとを緩みなく連結する長さであってもよい。
この発明により、前記連結ワイヤによって、前記ナット側保護キャップの回転が規制され、ナットの緩みを防止することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記カバー部は、内部が視認可能な透過性を有する樹脂製であってもよい。
この発明により、保護キャップのカバー部の内部に保護する締結部材の状態を、保護キャップを取り外すことなく、外部より確認することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記パッキンと前記保持部とが一体構成であってもよい。
この発明により、簡素な構造かつ少ない部品点数で、カバー部と固定対象部材とのシール及び保護対象の保持とを行うことができる。
【0023】
またこの発明は、固定対象部材を締結固定する複数の締結部材における保護対象となるボルト頭部及びナットのそれぞれ保護する保護キャップと、前記保護キャップ同士を連結する連結具とで構成され、前記ボルト頭部は、前記固定対象部材を貫通するボルト軸部の一端に設けられ、前記ナットは、前記ボルト軸部における他端側に締結する構成であり、前記保護キャップは、前記保護対象を囲繞する、有底筒状のカバー部と、前記カバー部の開放側端部に設けられたパッキンと、前記カバー部を前記保護対象に保持する保持部とが備えられるとともに、前記ボルト頭部を保護する頭部側保護キャップと、前記ナットを保護するナット側保護キャップとがあり、前記頭部側保護キャップにおける前記保持部は、前記ボルト頭部を保持する構成であり、前記ナット側保護キャップにおける前記保持部は、前記ナットを保持する構成であり、前記連結具は、複数の前記頭部側保護キャップ同士と、複数の前記ナット側保護キャップ同士を掛け渡す構成であるボルトナット保護部材であることを特徴とする。
【0024】
またこの発明は、固定対象部材を締結固定する複数の締結部材における保護対象となるボルト頭部及びナットのそれぞれ保護する保護キャップと、前記固定対象部材を跨いで前記保護キャップ同士を連結する連結具とで構成されたボルトナット保護部材を用い、前記ボルト頭部は、前記固定対象部材を貫通するボルト軸部の一端に設けられ、前記ナットは、前記ボルト軸部における他端側に締結する構成であり、前記保護キャップは、前記保護対象を囲繞する、有底筒状のカバー部と、前記カバー部の開放側端部に設けられたパッキンと、前記カバー部を前記保護対象に保持する保持部とが備えられるとともに、前記ボルト頭部を保護する頭部側保護キャップと、前記ナットを保護するナット側保護キャップとがあり、前記連結具は、複数の前記頭部側保護キャップ同士と、複数の前記ナット側保護キャップ同士を掛け渡し、前記固定対象部材を締結固定した複数の締結部材における前記頭部側保護キャップにおける前記保持部で前記ボルト頭部を保持して取り付けるとともに、前記ナット側保護キャップにおける前記保持部で複数の前記ナットを保持して取り付けるボルトナット保護部材の取付方法であることを特徴とする。
【0025】
この発明により、固定対象部材を締結固定する複数の締結部材を保護できるとともに、締結部材の落下を防止することができる。
詳述すると、固定対象部材を締結固定する複数の締結部材における保護対象となるボルト頭部及びナットのそれぞれ保護する保護キャップは、前記保護対象を囲繞する、有底筒状のカバー部と、前記カバー部の開放側端部に設けられたパッキンと、前記カバー部を前記保護対象に保持する保持部とが備えられている。そのため、保護対象である、前記固定対象部材を貫通するボルト軸部の一端に設けられた前記ボルト頭部と、前記ボルト軸部における他端側に締結する前記ナットを、それぞれの前記保護対象を保持部によって保持する有底筒状のカバー部で囲繞することができる。また前記カバー部の開放側端部に設けられたパッキンによりカバー部と固定対象部材との間をシールするため、保護キャップで、保護対象となるボルト頭部及びナットを保護することができる。したがって、締結部材が腐食等の損傷によって落下することを防止できる。
【0026】
また、前記ボルト頭部を保持部で保持して保護する頭部側保護キャップ同士と、ナットを保持し、ナットを保護するナット側保護キャップ同士とが、連結具で連結されているため、保護対象である複数のボルトやナットの一方が遅れ破壊等による損傷や緩みによって落下しても、他の締結部材を保持する保護キャップに連結されているため、下方まで落下することを防止できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明により、固定対象部材を締結固定する締結部材を保護できるとともに、締結部材の落下を防止できるボルトナット保護部材及びその取付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】ボルトナット保護部材の斜視図。
図2】保護カバーの説明図。
図3】ゴムシールの説明図。
図4】ボルトナット保護部材の装着状態を説明する説明図。
図5】ボルトナット保護部材の装着状態を説明する説明図。
図6】締結部材へのボルトナット保護部材の装着について説明する説明図。
図7】締結部材へのボルトナット保護部材の装着について説明する説明図。
図8】ボルトナット保護部材を装着した締結部材の緩み状態について説明する説明図。
図9】ボルトナット保護部材を装着した締結部材の上ナットが落下した状態について説明する説明図。
図10】別の実施形態のボルトナット保護部材を装着した締結部材の緩み状態について説明する説明図。
図11】また別の実施形態のボルトナット保護部材の装着状態を説明する説明図。
図12】さらに別の実施形態のボルトナット保護部材を装着した締結部材の緩み状態について説明する説明図。
図13】さらにまた別の実施形態のボルトナット保護部材を締結部材に装着した状態の平面図。
図14】保護カバーにおけるワイヤ取付部に連結ワイヤを取り付けるクリップの概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
なお、図1はボルトナット保護部材1の斜視図を示し、図2は保護カバー30の説明図を示し、図3はゴムシール40の説明図を示し、図4及び図5はボルトナット保護部材1の装着状態を説明する説明図を示し、図6及び図7は締結部材110へのボルトナット保護部材1の装着について説明する説明図を示し、図8はボルトナット保護部材1を装着した締結部材110の緩み状態について説明する説明図を示し、図9はボルトナット保護部材1を装着した締結部材110の上ナット131が落下した状態について説明する説明図を示している。
【0030】
詳述すると、図2(a)は保護カバー30の平面図、図2(b)は保護カバー30の底面図、図2(c)ボルト側保護キャップ20Aの保護カバー30Aの正面図、図2(d)は保護カバー30Aの縦断面図、図2(e)ナット側保護キャップ20Bの保護カバー30Bの正面図、図2(f)は保護カバー30Bの縦断面図を示している。なお、図2(a)及び図2(b)に示す保護カバー30の平面図及び底面図は保護カバー30Aも保護カバー30Bとも同じであるため、まとめて図示している。
【0031】
図3(a)はゴムシール40の平面図、図3(b)はゴムシール40の底面図、図3(c)ボルト側保護キャップ20Aのゴムシール40Aの正面図、図3(d)はゴムシール40Aの縦断面図、図3(e)ナット側保護キャップ20Bのゴムシール40Bの正面図、図3(f)はゴムシール40Bの縦断面図を示している。なお、図3(a)及び図3(b)に示すゴムシール40の平面図及び底面図はゴムシール40Aもゴムシール40Bとも同じであるため、まとめて図示している。
【0032】
図4(a)はボルトナット保護部材1を装着する前の固定対象部材100の部分側面図を示し、図4(b)は固定対象部材100の締結部材110に対してボルトナット保護部材1を装着した状態の部分側面図を示している。
なお、図4は、側面視円形状の固定対象部材100の上半部分のみを図示している。
【0033】
図5(a)は固定対象部材100の締結部材110に対してボルトナット保護部材1を装着した状態の要部の正面図を示し、図5(b)は同状態の要部の縦断面図を示している。
図6(a)は固定対象部材100の締結部材110に対してボルトナット保護部材1を装着する前の状態の要部の正面図を示し、図6(b)は同状態の要部の縦断面図を示し、図7(a)は固定対象部材100の締結部材110のボルト120のボルト頭部121に対してボルトナット保護部材1のボルト側保護キャップ20Aを装着した状態の要部の正面図を示し、図7(b)は同状態の要部の縦断面図を示している。
【0034】
図8(a)はボルトナット保護部材1を装着した締結部材110のダブルナット130の上ナット131が緩んだ状態の要部の正面図を示し、図8(b)は同状態の要部の縦断面図を示している。
図9(a)はボルトナット保護部材1を装着した締結部材110のダブルナット130の上ナット131がボルト120のボルト軸部122から外れ落ちた落下状態の要部の正面図を示し、図9(b)は同状態の要部の縦断面図を示している。
【0035】
なお、図5乃至図9の(a)において、固定対象部材100を貫通するボルト軸部122を破線で図示し、図5乃至図9の(b)において、保護キャップ20及び固定対象部材100は側面視中心付近を通る鉛直方向の切断面で図示しているが、締結部材110については正面図で図示している。
【0036】
また、図4(b)、図5乃至図9の(a)において、内部の締結部材110が視認できるように透過状態で保護カバー30を図示している。
【0037】
本発明のボルトナット保護部材1は、図1及び図5に示すように、固定対象部材100を締結固定する締結部材110のボルト120のボルト頭部121及びダブルナット130を保護する保護部材であり、2つの保護キャップ20(20A,20B)と、2つの保護キャップ20を連結する連結ワイヤ10とを備えている。
【0038】
ボルトナット保護部材1で保護する締結部材110で締結固定する固定対象部材100について、まず説明する。
固定対象部材100は、例えば、道路などに設置された照明や標識において、柱部材と他の部材とを、フランジ同士を重ね合わせ、締結部材110で締結固定する。もちろん、フランジ同士ではなく、部材同士を締結部材110で締結固定してもよい。
【0039】
つまり、締結固定する部材の構成、形状などは問わないが、本明細書においては、一例として、図4に図示するように、円形フランジである第1フランジ101と第2フランジ102とを締結部材110で締結固定する態様について説明する。
【0040】
そして、第1フランジ101及び第2フランジ102とには、図示省略するボルト孔が、周方向に所定間隔を隔てて等間隔に複数配置されている。
このように構成された固定対象部材100は、例えば、柱部材の上方に配置されている、つまり高所に配置されることがある。
【0041】
上述するように、第1フランジ101と第2フランジ102とを板厚方向に重ね合わせて固定対象部材100を締結固定する締結部材110は、ボルト120とダブルナット130とを有している。
ボルト120は、第1フランジ101及び第2フランジ102に設けたボルト孔(図示省略する)に挿通するボルト軸部122と、ボルト軸部122の一端に設けたボルト頭部121とを備えている。
【0042】
もちろん、ボルト軸部122は、図6に示すように、第1フランジ101の側からボルト孔に挿通したボルト120のボルト軸部122は、第2フランジ102の側に突出するよう、第1フランジ101と第2フランジ102とを重ね合わせた厚みより長く形成している。
【0043】
ダブルナット130は、固定対象部材100における第2フランジ102の側に配置され、第2フランジ102の側に突出するボルト軸部122に螺合して締結固定するが、下ナット132と上ナット131とを備えている。
【0044】
ダブルナット130は、第2フランジ102の側に突出するボルト軸部122に下ナット132を所定の締結力で螺合してから、上ナット131をさらに螺合し、不用意なダブルナット130の緩みを抑制している。
また、締結部材110と固定対象部材100との間には、ワッシャ140を配置している。具体的には、ボルト120のボルト頭部121と第1フランジ101との間、及び下ナット132と第2フランジ102との間に、ボルト軸部122に遊嵌するように、ワッシャ140を配置している。
【0045】
なお、ダブルナット130のうちの少なくとも下ナット132と、固定対象部材100の両側に配置したワッシャ140のうち第2フランジ102側のワッシャ140aとは、ピンク色などの注意喚起色で着色している。もちろん、下ナット132とワッシャ140aの一方側だけ注意喚起色で着色してもよいし、第1フランジ101側のワッシャ140や上ナット131も着色してもよい。
【0046】
このように構成された固定対象部材100における締結部材110は、締結状態において、たたき点検(触診)を行ったり、締結時にマーキングして、締結状態の緩みや損傷等の異常を確認しているが、たたき点検(触診)の確認漏れや、締結部材110の腐食による損傷等が発生することがあった。締結状態の緩みをたたき点検(触診)で確認漏れしたり、腐食等で損傷すると、例えば上ナット131が落下することがあった。
【0047】
なお、上述した締結部材110で締結固定する固定対象部材100は、例えば、柱部材の上方に配置されている、つまり高所に配置されることがあり、たたき点検(触診)を行うにも、高所作業車や足場が必要となり、簡単に実施することができるものではなかった。
【0048】
このように、固定対象部材100を締結固定する締結部材110を保護するボルトナット保護部材1について、続いて説明する。
上述するように、ボルトナット保護部材1は、2つの保護キャップ20(20A,20B)と、2つの保護キャップ20を連結する連結ワイヤ10とを備えている。
【0049】
連結ワイヤ10は、金属製のワイヤ11と、ワイヤ11の両端部において、輪っかを形成したワイヤ11をカシメるカシメ部材12とを備えている。
ワイヤ11は、所定の対候性及び可撓性を有する金属製であり、所定の長さに形成された紐状である。なお、ワイヤ11は、所定の対候性、可撓性及び長さなどの要求性能を有していれば、金属製ワイヤに限らず、適宜のものを用いることができる。
【0050】
カシメ部材12は、ワイヤ11の端部付近に配置され、ワイヤ11と曲げ返したワイヤ11とを挿通してカシメて固定するものであり、金属製の筒状で構成している。
なお、カシメ部材12は、ワイヤ11の曲げ返した部分をワイヤ11に固定できるものであれば、カシメ部材12に限定されず、ワイヤクリップなどで構成してもよい。
【0051】
このようにワイヤ11と2つのカシメ部材12とで構成した連結ワイヤ10は、ワイヤ11の端部を曲げ返してカシメ部材12で固定し、両端部に所定の大きさの輪っかを形成している。
具体的には、後述する保護カバー30におけるワイヤ取付部32の円形台座321と円盤323との間において、円形軸322に巻き付くように配置され、外れないように、円形軸322より大きく円盤323より小さな大きさの輪っかで形成している。したがって、連結ワイヤ10は、ワイヤ取付部32に対して回転自在に取り付けることができる。
【0052】
続いて、連結ワイヤ10で接続する保護キャップ20(20A,20B)について、説明する。
保護キャップ20は、締結部材110を囲繞して保護するものであり、第1フランジ101の側のボルト120のボルト頭部121を保護するボルト側保護キャップ20Aと、第2フランジ102の側のダブルナット130及びボルト軸部122の先端部分とを囲繞して保護するナット側保護キャップ20Bとがある。なお、ボルト側保護キャップ20Aとナット側保護キャップ20Bとの共通部分は、同じ符号を付しており、共通部分についてまず説明し、ボルト側保護キャップ20Aとナット側保護キャップ20Bとの違いについてその後に説明する。
【0053】
保護キャップ20は、固定対象部材100から突出する締結部材110の一部を囲繞する有底筒状の保護カバー30と、保護カバー30の開放側端部に装着し、装着状態において保護カバー30と固定対象部材100との隙間をシールするとともに、締結部材110の一部を保持するゴムシール40とを有している。
【0054】
固定対象部材100から突出する締結部材110の一部を囲繞する保護カバー30は、図2に示すように、釣り鐘形状のキャップ本体31と、キャップ本体31の頂部に設けたワイヤ取付部32とを有している。保護カバー30は、透明ポリカーボネート製である。
【0055】
詳しくは、キャップ本体31は、締結部材110のボルト頭部121やダブルナット130より大きな径の円形開口を有するとともに(図2(b)参照)、所定の高さを釣り鐘状に形成している。そして、キャップ本体31の外周面における開口側には、所定の高さのリブ33が周方向に所定間隔を隔てて複数設けている。
【0056】
ワイヤ取付部32は、釣り鐘形状に形成したキャップ本体31の頂部において、高さ方向に突出するように形成されており、円形台座321、円形軸322、及び円盤323を備えている。
円形台座321は、釣り鐘形状に形成したキャップ本体31の頂部に配置され、フラットな上面を有する台座であり、平面視中央より上方に向かって延びる所定径の円形軸322を設けている。
【0057】
円形軸322は、連結ワイヤ10のワイヤ11の直径より長く形成され、上方端部に円盤323を備えている。円盤323は、円形台座321と同径であり所定の厚みで形成された円盤状である。
円形台座321、円形軸322及び円盤323で構成したワイヤ取付部32は、図2(d)に示すように、横向きH型の断面形状となる。
【0058】
なお、上述のキャップ本体31、ワイヤ取付部32及びリブ33を有する保護カバー30は、透明、つまり透過性を有するポリカーボネート製であり、所定の厚みで一体成型されている。
このように構成された保護カバー30において、締結部材110のボルト頭部121を保護するボルト側保護キャップ20Aの保護カバー30Aと、ダブルナット130及びボルト軸部122を保護するナット側保護キャップ20Bの保護カバー30Bとでは、保護対象であるボルト頭部121とダブルナット130とが同径であるものの、固定対象部材100の突出高さが異なるため、釣り鐘形状であるキャップ本体31において、キャップ本体31Aよりキャップ本体31Bの高さを高く形成している。
【0059】
このように構成した保護カバー30の開放側端部に装着するゴムシール40は、図3に示すように、装着状態において保護カバー30と固定対象部材100との隙間をシールするシール部41と、締結部材110の一部を保持する保持部42とがあり、シール部41と保持部42とは、ゴムシール40は所定の対候性及び伝声を有するゴム製であり、一体成型されている。なお、ゴムシール40は、エチレンプロピレンゴム(EPDM)製である。
【0060】
シール部41は、キャップ本体31の開放側端部に装着するため、キャップ本体31の開放側端部の内径わずかに小さく、かつ上述のワッシャ140の外径よりわずかに大きな内径と、キャップ本体31におけるリブ33を含む外径よりわずかに大きな外径のリング状である。
【0061】
シール部41は、上面側にキャップ本体31の開放側端部を装着する装着溝411を有する溝状断面であり、底面に下方に向かって突出する底面視円形状の円形凸部412を備えている。装着溝411は、キャップ本体31の開放側端部の内径と同径以上の内径と、キャップ本体31におけるリブ33を含む外径より同径以下の外径の溝幅で形成されたリング状溝である。
【0062】
保持部42は、シール部41の内径側から連続して上方に突出する筒状部421と、筒状部421の上端に配置されたリング状保持部422とを有している。
シール部41の内径側から連続して上方に突出する筒状部421は、キャップ本体31の内径より小径で且つ上方に向かって徐々に縮径する適宜の厚みの円錐台筒状形状で形成し、上端にリング状保持部422を設けている。
【0063】
リング状保持部422は、内径側が略垂直となる略直角三角形断面で形成され、平面視六角形となる開口423を有するリング状であり、筒状部421の上端において、内径側に突出するように設けられている。
【0064】
また、略直角三角形断面のリング状保持部422における略垂直となる内径側の内側面には、内径側に突出するリブが上下方向に複数、所定間隔を隔てて配置されている。
【0065】
なお、平面視六角形となる開口423は、保持対象である締結部材110のボルト頭部121及びダブルナット130の外形よりわずかに小さな六角形で形成されている。
【0066】
このように構成されたゴムシール40において、締結部材110のボルト頭部121を保護するボルト側保護キャップ20Aのゴムシール40Aと、ダブルナット130及びボルト軸部122を保護するナット側保護キャップ20Bのゴムシール40Bとでは、リング状保持部422で保持する保持対象が異なるため、保持部42Aと保持部42Bとの高さが異なる。
【0067】
詳しくは、ボルト側保護キャップ20Aのゴムシール40Aのリング状保持部422はボルト頭部121を保持できるように筒状部421の高さを低く形成している。これに対し、ナット側保護キャップ20Bのゴムシール40Bのリング状保持部422はダブルナット130のうち上ナット131を保持できるように筒状部421の高さを高く形成している。
【0068】
このように構成した保護カバー30とゴムシール40は、保護カバー30におけるキャップ本体31の開口側端部をゴムシール40におけるシール部41の装着溝411に装着し、接着固定することで保護キャップ20を構成している。
【0069】
そして、保護キャップ20における保護カバー30のワイヤ取付部32の円形軸322にワイヤ11の端部を巻き付け、カシメ部材12でカシメて輪っかを形成し、連結ワイヤ10と保護キャップ20とをつなぎ、2つの保護キャップ20(20A,20B)を所定の長さの連結ワイヤ10で連結したボルトナット保護部材1を構成することができる。なお、保護キャップ20同士を連結する連結ワイヤ10の所定の長さについては後述する。
【0070】
このように構成したボルトナット保護部材1は、図4(b)及び図5に示すように、固定対象部材100を締結固定する締結部材110に取り付けて、締結部材110を保護することができる。
詳しくは、ボルトナット保護部材1の保護キャップ20のそれぞれを、固定対象部材100の両面に突出する締結部材110のそれぞれに取り付けると、保護キャップ20同士を連結する連結ワイヤ10は、締結部材110の近傍の固定対象部材100の周縁を跨ぐ態様となる。そのため、連結ワイヤ10におけるワイヤ11は、締結部材110に取り付けた保護キャップ20のワイヤ取付部32に取り付けて保護キャップ20同士を連結し、締結部材110の近傍の固定対象部材100の周縁を跨ぐことのできる長さで形成している。
【0071】
より詳しくは、2つの保護キャップ20のボルト側保護キャップ20Aは、固定対象部材100における第1フランジ101の表面から突出するボルト頭部121に取り付けるが、ボルト頭部121が開口423を割り込んでリング状保持部422の内側に挿入され、ゴムシール40Aのリング状保持部422が、第1フランジ101の表面から突出するボルト頭部121の側面を保持し、ボルト頭部121にボルト側保護キャップ20Aを取り付けることができる。
【0072】
このように、ゴムシール40Aのリング状保持部422でボルト頭部121の側面を保持して取り付けられたボルト側保護キャップ20Aは、保護カバー30Aで、第1フランジ101の表面から突出するボルト頭部121及び、ボルト頭部121と第1フランジ101との間に配置したワッシャ140との全体を囲繞することができる。
【0073】
そして、ボルト頭部121及びワッシャ140との全体を囲繞する保護カバー30Aの開口端部に取り付けたゴムシール40Aのシール部41の円形凸部412がワッシャ140の周囲の第1フランジ101の表面と密着するため、保護カバー30Aと第1フランジ101の表面との間をシールし、略密封状態となり、ボルト側保護キャップ20Aでボルト頭部121及びワッシャ140とを囲繞して保護することができる。
【0074】
また、2つの保護キャップ20のナット側保護キャップ20Bは、固定対象部材100における第1フランジ101の表面から突出するダブルナット130に取り付けるが、ダブルナット130が開口423を割り込んでリング状保持部422の内側に挿入され、ゴムシール40Bのリング状保持部422が、第1フランジ101の表面から突出するダブルナット130のうち上ナット131の側面を保持し、ダブルナット130にナット側保護キャップ20Bを取り付けることができる。
【0075】
このように、ゴムシール40Bのリング状保持部422で上ナット131の側面を保持して取り付けられたナット側保護キャップ20Bは、保護カバー30Bで、第1フランジ101の表面から突出するダブルナット130、ダブルナット130から突出するボルト軸部122及び、ダブルナット130と第1フランジ101との間に配置したワッシャ140aの全体を囲繞することができる。
【0076】
そして、ダブルナット130、ボルト軸部122及びワッシャ140aの全体を囲繞する保護カバー30Bの開口端部に取り付けたゴムシール40Bのシール部41の円形凸部412がワッシャ140aの周囲の第1フランジ101の表面と密着するため、保護カバー30Bと第1フランジ101の表面との間をシールし、略密封状態となり、ナット側保護キャップ20Bでダブルナット130及びワッシャ140aとを囲繞して保護することができる。
【0077】
このように、固定対象部材100における第1フランジ101の表面から突出するボルト頭部121に取り付けたボルト側保護キャップ20Aと、固定対象部材100における第1フランジ101の表面から突出するダブルナット130に取り付けたナット側保護キャップ20Bとは、固定対象部材100の周縁部を跨ぐ連結ワイヤ10によって連結された状態で取り付けられることとなる。
【0078】
続いて、締結部材110に対してボルトナット保護部材1を取り付ける取付方法について、図6及び図7とともに、以下で説明する。
まず、図6に示すように、固定対象部材100を締結固定する締結部材110に対してボルトナット保護部材1を取り付けるためには、連結ワイヤ10が固定対象部材100を跨ぐようにして、締結部材110のそれぞれに対して保護キャップ20のそれぞれを配置し、そして、2つの保護キャップ20のうち一方を締結部材110の一方に取り付ける(図7参照)。なお、図7では、固定対象部材100における第1フランジ101から突出するボルト頭部121にボルト側保護キャップ20Aを取り付けた状態を図示している。
【0079】
そして、2つの保護キャップ20のうち他方を締結部材110の他方に取り付けて、図5に示すように、締結部材110に対するボルトナット保護部材1の取付を完了する。
なお、ボルト側保護キャップ20Aをボルト頭部121に取り付けてから、ダブルナット130が突出する第2フランジ102の側にナット側保護キャップ20Bを配置するようにしてもよいし、ナット側保護キャップ20Bをダブルナット130に取り付けてからボルト側保護キャップ20Aをボルト頭部121に取り付けるようにしてもよい。
【0080】
この状態では、各保護キャップ20の保護カバー30で保護対象である締結部材110を囲繞し、保護カバー30と固定対象部材100の表面との間を保持部42の円形凸部412でシールしているため、締結状態の締結部材110を保護することができる。
【0081】
なお、締結部材110の締結状態が緩むと、ダブルナット130のうち上ナット131が螺出することとなるが、ナット側保護キャップ20Bのゴムシール40Bのリング状保持部422が上ナット131を保持しているため、螺出する上ナット131とともに移動し、図8に示すように、ナット側保護キャップ20Bのゴムシール40Bの円形凸部412と、第2フランジ102の表面との間に隙間が生じ、その隙間から下ナット132及びワッシャ140aが露出する。隙間から露出する下ナット132及びワッシャ140aは、上述したように、注意喚起色で着色されているため、もし、固定対象部材100が高所に配置されていても、地上から注意喚起色で着色された下ナット132やワッシャ140aを見つけることができる。
【0082】
つまり、注意喚起色で着色された下ナット132やワッシャ140aを見つけるということは、ナット側保護キャップ20Bのゴムシール40Bの円形凸部412と、第2フランジ102の表面との間に隙間が生じていること、換言すると、上ナット131がボルト軸部122から螺出して、締結部材110の締結状態に緩みが生じていることを、高所まであがることなく、地上から確認することができる。
【0083】
図8に示す締結部材110の緩み状態から、上ナット131がさらに螺出すると、上ナット131はボルト軸部122から外れ落ちることになる。しかしながら、ボルト軸部122から外れ落ちた上ナット131はナット側保護キャップ20Bのゴムシール40Bのリング状保持部422で保持し、ボルト軸部122から外れ落ちた上ナット131をリング状保持部422で保持するナット側保護キャップ20Bは、連結ワイヤ10によって、ボルト頭部121に取り付けたボルト側保護キャップ20Aに連結されている。
【0084】
そのため、図9に示すように、ボルト軸部122から外れ落ちた上ナット131を保持するナット側保護キャップ20Bは、ボルト頭部121に取り付けたボルト側保護キャップ20Aによって、連結ワイヤ10を介して吊り下げた状態となり、上ナット131が下方に落下することを防止できる。
【0085】
上述したように、ボルトナット保護部材1は、固定対象部材100を締結固定する締結部材110における保護対象となるボルト頭部121及びダブルナット130のそれぞれ保護する保護キャップ20と、固定対象部材100を跨いで保護キャップ20同士を連結する連結ワイヤ10とで構成され、ボルト頭部121は、固定対象部材100を貫通するボルト軸部122の一端に設けられ、ダブルナット130は、ボルト軸部122における他端側に締結する下ナット132と上ナット131とを有している。保護キャップ20は、保護対象を囲繞する、有底筒状の保護カバー30と、保護カバー30の開放側端部に設けられた円形凸部412と、保護カバー30を保護対象に保持するリング状保持部422とが備えられている。保護キャップ20は、ボルト頭部121を保護するボルト側保護キャップ20Aと、ダブルナット130を保護するナット側保護キャップ20Bとがあり、ボルト側保護キャップ20Aにおけるリング状保持部422は、ボルト頭部121を保持する構成であり、ナット側保護キャップ20Bにおけるリング状保持部422は、ダブルナット130における上ナット131を保持する構成である。そのため、保護対象となるボルト頭部121及びダブルナット130のそれぞれに取り付けるボルトナット保護部材1及びボルトナット保護部材1の取付方法は、固定対象部材100を締結固定する締結部材110を保護できるとともに、締結部材110の落下を防止することができる。
【0086】
詳述すると、固定対象部材100を締結固定する締結部材110における保護対象となるボルト頭部121及びダブルナット130のそれぞれ保護する保護キャップ20は、保護対象を囲繞する、有底筒状の保護カバー30と、保護カバー30の開放側端部に設けられた円形凸部412と、保護カバー30を保護対象に保持するリング状保持部422とが備えられている。そのため、保護対象である、固定対象部材100を貫通するボルト軸部122の一端に設けられたボルト頭部121と、ボルト軸部122における他端側に締結する下ナット132と上ナット131とを有するダブルナット130を有底筒状の保護カバー30で囲繞することができる。また保護カバー30の開放側端部に設けられた円形凸部412により保護カバー30と固定対象部材100との間をシールする。そのため、保護キャップ20で、保護対象となるボルト頭部121及びダブルナット130を保護することができる。したがって、締結部材110が腐食等の損傷によって落下することを防止できる。
【0087】
また、ボルト頭部121をリング状保持部422で保持して保護するボルト側保護キャップ20Aと、上ナット131を保持し、ダブルナット130を保護するナット側保護キャップ20Bとが、連結ワイヤ10で連結されているため、保護対象である上ナット131が緩みや損傷によって落下しても、ボルト頭部121を保持するボルト側保護キャップ20Aに連結されているため、下方まで落下することを防止できる。
【0088】
また、ダブルナットを保護するナット側保護キャップ20Bのリング状保持部422がダブルナットの上ナット131を保持しているため、下方まで落下することを確実に防止できる。詳述すると、ダブルナット130において、上ナット131が緩んでから下ナット132が緩む、換言すると、上ナット131より先に下ナット132が緩むことがないため、ナット側保護キャップ20Bのリング状保持部422がダブルナット130の下ナット132を保持する場合、下ナット132が緩まなくても上ナット131が緩んで落下するおそれがある。これに対し、上述するように、ダブルナットを保護するナット側保護キャップ20Bのリング状保持部422がダブルナットの上ナット131を保持しているため、上ナット131が緩んで落下しても、ナット側保護キャップ20Bが連結ワイヤ10によってボルト側保護キャップ20Aに連結されているため、下方まで落下することを確実に防止できる。
【0089】
また、連結ワイヤ10は、ボルト側保護キャップ20Aと、ナット側保護キャップ20Bとを掛け渡す金属製ワイヤであり、コンパクトに形成できる。また、連結ワイヤ10は可撓性があるため、ボルトナット保護部材1を締結部材110のそれぞれに容易に取付けることができる。
【0090】
また、保護カバー30に、連結ワイヤ10を取り付けるワイヤ取付部32が設けられているため、保護キャップ20と連結ワイヤ10とを容易かつ確実に接続することができる。
また、ワイヤ取付部32は、回転自在に連結ワイヤ10を取り付ける構成であるため、上ナット131に緩みが生じてナット側保護キャップ20Bが回転しても、ボルト側保護キャップ20Aに連結された連結ワイヤ10にねじれが生じることを防止できる。
【0091】
また、上ナット131が緩んだ状態では、リング状保持部422が上ナット131を保持するナット側保護キャップ20Bは、上ナット131の緩みに伴って、固定対象部材100から離間する。ナット側保護キャップ20Bが固定対象部材100から離間すると、固定対象部材100とナット側保護キャップ20Bとの間に隙間が生じ、隙間を介してピンク色等の注意喚起色で着色された下ナット132を視認することができる。固定対象部材100とナット側保護キャップ20Bとの間に生じる隙間を介して視認できる下ナット132が注意喚起色で着色されているため、固定対象部材100とナット側保護キャップ20Bとの間に生じる隙間からの視認性が、彩色処理を施していない下ナット132より向上する。したがって、離れた位置からでも、固定対象部材100とナット側保護キャップ20Bとの間に生じる隙間からの下ナット132を確認し、締結部材110の緩みを早期に見つけることができる。
【0092】
また、保護カバー30は、内部が視認可能な透過性を有する樹脂製であるため、保護キャップ20の保護カバー30の内部に保護する締結部材110の状態を、保護キャップ20を取り外すことなく、外部より確認することができる。
【0093】
また、円形凸部412とリング状保持部422とが一体構成しているため、簡素な構造かつ少ない部品点数で、保護カバー30と固定対象部材100とのシール及び保護対象の保持とを行うことができる。
【0094】
上述のボルトナット保護部材1では、ボルト軸部122から上ナット131が外れ落ちても、上ナット131を保持するナット側保護キャップ20Bが連結ワイヤ10で連結されたボルト側保護キャップ20Aから吊り下げられて、上ナット131の落下を防止できるように構成した。これに対して、図10に示すように、ボルト軸部122に対して上ナット131が螺出するものの、上ナット131とともに移動するナット側保護キャップ20Bがボルト側保護キャップ20Aと連結する連結ワイヤ10によって、上ナット131がボルト軸部122から外れ落ちるまでの螺出を規制するように構成してもよい。
【0095】
なお、図10は、別の実施形態のボルトナット保護部材1を装着した締結部材110の緩み状態について説明する説明図であり、図10(a)はボルトナット保護部材1を装着した締結部材110のダブルナット130の上ナット131が緩んだ状態の要部の正面図を示し、図10(b)は同状態の要部の縦断面図を示している。
【0096】
このように構成することで、上ナット131がボルト軸部122から外れ落ちることを防止することができる。
なお、上ナット131がボルト軸部122から外れ落ちるまでの螺出を連結ワイヤ10で規制するボルトナット保護部材1は、ボルト側保護キャップ20Aをボルト頭部121に取り付け、ナット側保護キャップ20Bをダブルナット130に取り付けてから、上ナット131がボルト軸部122から外れ落ちるまでの螺出を規制できる長さとなるように、連結ワイヤ10の長さを調整してカシメ部材12で固定し、連結することとなる。
【0097】
このように、連結ワイヤ10を、上ナット131がボルト軸部122の端部に配置された状態のナット側保護キャップ20Bとボルト側保護キャップ20Aとを連結する長さより短く形成すると、図10に示すように、上ナット131がボルト軸部122の端部に配置された状態まで緩んだとしても、ボルト側保護キャップ20Aと連結された連結ワイヤ10の長さが短いため、更なる緩みを規制し、上ナット131がボルト軸部122から外れることを防止できる。したがって、リング状保持部422が上ナット131を保持するナット側保護キャップ20Bや、リング状保持部422がボルト頭部121を保持するボルト側保護キャップ20Aが落下することを防止できる。
【0098】
また、図11に示すように、ナット側保護キャップ20Bの保護カバー30Bにおける周方向の一部に目印34aを設け、上ナット131の緩みを容易に確認できるようにボルトナット保護部材1aを構成してもよい。
なお、図11は、また別の実施形態のボルトナット保護部材1aの装着状態を説明する説明図であり、図11(a)は固定対象部材100の締結部材110に対してボルトナット保護部材1aを装着した状態の要部の正面図を示し、図11(b)は同状態の要部の側面図を示している。図11(c)はボルトナット保護部材1aを装着した締結部材110のダブルナット130の上ナット131が緩んだ状態の要部の正面図を示し、図8(b)は同状態の要部の側面図を示している。
【0099】
具体的には、図11(b)に示すように、保護カバー30において側面視90度の範囲で目印34aを設けている。目印34aは注意喚起色などの様々な色で着色してもよいし、透明で構成した保護カバー30の一部を不透明に構成してもよい。また、180度の範囲以下であれば任意の角度範囲で目印34aを着色してもよい。
【0100】
このように構成したボルトナット保護部材1aのナット側保護キャップ20Bを、図11(a),(b)に示すように、締結状態のダブルナット130に取り付ける際に、目印34aが所定の向きとなるように、装着する。そして、図11(c),(d)に示すように、上ナット131が緩むと、上ナット131を保持するナット側保護キャップ20Bも回りながら移動するため、目印34aの向きが変化し、上ナット131の緩みを外部から容易に確認することができる。
【0101】
特に、図11(a),(b)に示すように、ボルトナット保護部材1aのナット側保護キャップ20Bを、高所の固定対象部材100を締結固定する締結状態のダブルナット130に取り付ける際に、目印34aが上向きとなるように装着すると、下方である地上からは目印34aを見ることは難しくなる。これに対して、図11(c),(d)に示すように、上ナット131が緩むと、上ナット131を保持するナット側保護キャップ20Bも回りながら移動するため、目印34aの向きが変化して、目印34aが側方や下方に向くと、下方である地上からでも目印34aを視認できるようになり、上ナット131の緩みを地上からでも容易に確認することができる。
【0102】
このように、ナット側保護キャップ20Bの保護カバー30の外面における周方向の一部に目印34aが施されたボルトナット保護部材1aは、上述のボルトナット保護部材1で奏する効果を奏するとともに、ナット側保護キャップ20Bの取付状態で目印34aを、周方向における上方に配置するなど、所定の向きにナット側保護キャップ20Bを取り付け、目印34aの位置変化を確認することで、離れた位置からでも上ナット131の緩みを早期に見つけることができる。
【0103】
上述のボルトナット保護部材1,1aでは、保護キャップ20における保護カバー30のワイヤ取付部32に対して回転自在に連結ワイヤ10を取り付けて保護キャップ20同士を連結ワイヤ10で連結した。これに対して、例えば、図12に示すように、保護カバー30やゴムシール40の側方から突出するワイヤ取付部32aを設けてもよい。
【0104】
なお、図12は、さらに別の実施形態のボルトナット保護部材1bを装着した締結部材110の緩み状態について説明する説明図を示し、図12(a)は固定対象部材100の締結部材110に対してボルトナット保護部材1bを装着した状態の要部の正面図を示し、図12(b)は同状態の要部の縦断面図を示している。
【0105】
具体的には、保護カバー30から側方に突出するワイヤ取付部32aを設けたボルトナット保護部材1bは、ワイヤ取付部32に対して回転自在に連結ワイヤ10が取付られたボルトナット保護部材1と異なり、上ナット131の螺出に伴ってナット側保護キャップ20Bが回転すると連結ワイヤ10が捻じれる。そのため、図12に示すように、締結状態の締結部材110にボルト側保護キャップ20A及びナット側保護キャップ20Bを取り付けた状態で、連結ワイヤ10の長さを調整し、遊びのない長さで保護キャップ20同士を連結している。
【0106】
遊びのない長さの連結ワイヤ10で保護キャップ20同士を連結したボルトナット保護部材1bは、連結ワイヤ10によって、ナット側保護キャップ20Bの回転が規制されるため、ナット側保護キャップ20Bのゴムシール40Bで保持する上ナット131の緩みを防止することができる。
【0107】
このように、連結ワイヤ10を、装着状態のナット側保護キャップ20Bとボルト側保護キャップ20Aとを緩みなく連結する長さに形成したボルトナット保護部材1bは、述のボルトナット保護部材1で奏する効果を奏するとともに、連結ワイヤ10によって、ナット側保護キャップ20Bの回転が規制され、上ナット131の緩みを防止することができる。
なお、ワイヤ取付部32aをゴムシール40の側方に突出するように設けてもよい。
【0108】
続いて、締結部材110cに装着する別の実施形態のボルトナット保護部材1cについて図13とともに説明する。
なお、図13は、さらにまた別の実施形態のボルトナット保護部材1cを締結部材110cに装着した状態の平面図を示している。
【0109】
上述のボルトナット保護部材1,1a,1bでは、固定対象部材100を締結する締結部材110のボルト頭部121にボルト側保護キャップ20Aを装着し、上ナット131にナット側保護キャップ20Bを装着し、ボルト側保護キャップ20Aとナット側保護キャップ20Bとを連結ワイヤ10で連結して構成した。これに対し、ボルトナット保護部材1cは、鋼構造物100cに対して摩擦接合する高力ボルト120cで構成する締結部材110cに対して装着するものであり、ボルトナット保護部材1,1a,1bと同様に、高力ボルト120cのボルト頭部121に装着するボルト側保護キャップ20Aと、ナット133に装着するナット側保護キャップ20Bを備えている。なお、図13では、T字状の構造物を図示しているが、その構造は限定されない。
【0110】
しかしながら、1本の締結部材110ごとにそれぞれ装着するボルトナット保護部材1,1a,1bと異なり、ボルトナット保護部材1cは複数の締結部材110cに対して装着することとなる。
具体的には、ボルトナット保護部材1cは、複数の高力ボルト120cのボルト頭部121に装着する複数のボルト側保護キャップ20Aで構成するボルト側保護部材1cAと、複数のナット133に装着する複数のナット側保護キャップ20Bで構成するナット側保護部材1cBとを有している。
【0111】
そして、ボルト側保護部材1cAは複数のボルト側保護キャップ20Aを連結ワイヤ10で連結して構成し、ナット側保護部材1cBは複数のナット側保護キャップ20Bを連結ワイヤ10で連結して構成している。
このように構成したボルトナット保護部材1cは、鋼構造物100cの一方の面側で複数のボルト頭部121に対して連結ワイヤ10で連結されたボルト側保護キャップ20Aを装着し、鋼構造物100cの他方の面側で複数のナット133に対して連結ワイヤ10で連結されたナット側保護キャップ20Bを装着して組付は完了する。
【0112】
なお、ボルトナット保護部材1cで保護する締結部材110cとしてF11Tが使用されていると、一定の引張荷重が加えられている状態で、ある時間が経過したのち、外見上はほとんど塑性変形を伴わずに突然脆性的に破壊する遅れ破壊が生じる可能性がある。このように、遅れ破壊が生じる可能性がある複数の締結部材110cに対してボルトナット保護部材1cを装着することで、複数の締結部材110cのうちいずれかが遅れ破壊し、高力ボルト120cやナット133が脱落しようとしても、他の締結部材110cに取り付けたボルト側保護キャップ20A同士やナット側保護キャップ20B同士が連結ワイヤ10で連結されているため、落下を防止することができる。
【0113】
上述したように、ボルトナット保護部材1cは、鋼構造物100cを締結固定する複数の締結部材110cにおける保護対象となるボルト頭部121及びナット133のそれぞれ保護する保護キャップ20と、保護キャップ20同士を連結する連結ワイヤ10とで構成され、ボルト頭部121は、鋼構造物100cを貫通するボルト軸部122の一端に設けられ、ナット133は、ボルト軸部122における他端側に締結する構成である。
【0114】
保護キャップ20は、保護対象を囲繞する、有底筒状の保護カバー30と、保護カバー30の開放側端部に設けられた円形凸部412と、保護カバー30を保護対象に保持するリング状保持部422とが備えられるとともに、ボルト頭部121を保護するボルト側保護キャップ20Aと、ナット133を保護するナット側保護キャップ20Bとがある。
【0115】
ボルト側保護キャップ20Aにおけるリング状保持部422は、ボルト頭部121を保持する構成であり、ナット側保護キャップ20Bにおけるリング状保持部422は、ナットを保持する構成であり、連結ワイヤ10は、複数のボルト側保護キャップ20A同士と、複数のナット側保護キャップ20B同士を掛け渡す構成であるため、鋼構造物100cを締結固定する複数の締結部材110cを保護できるとともに、締結部材110cの落下を防止することができる。
【0116】
詳述すると、鋼構造物100cを締結固定する複数の締結部材110cにおける保護対象となるボルト頭部121及びナット133のそれぞれ保護する保護キャップ20は、保護対象を囲繞する、有底筒状の保護カバー30と、保護カバー30の開放側端部に設けられた円形凸部412と、保護カバー30を保護対象に保持するリング状保持部422とが備えられている。そのため、保護対象である、鋼構造物100cを貫通するボルト軸部122の一端に設けられたボルト頭部121と、ボルト軸部122における他端側に締結するナット133を、それぞれの保護対象をリング状保持部422によって保持する有底筒状の保護カバー30で囲繞することができる。また保護カバー30の開放側端部に設けられた円形凸部412により保護カバー30と鋼構造物100cとの間をシールするため、保護キャップ20で、保護対象となるボルト頭部121及びナット133を保護することができる。したがって、締結部材110cが腐食等の損傷によって落下することを防止できる。
【0117】
また、ボルト頭部121をリング状保持部422で保持して保護するボルト側保護キャップ20A同士、ナット133を保持し、ナット133を保護するナット側保護キャップ20B同士のそれぞれ、連結ワイヤ10で連結されているため、保護対象である複数の高力ボルト120cやナット133の一方が遅れ破壊等による損傷や緩みによって落下しても、他の締結部材110cを保持する保護キャップ20に連結されているため、下方まで落下することを防止できる。
【0118】
以上、本発明の構成と、前述の実施態様との対応において、本発明の固定対象部材は固定対象部材100,鋼構造物100cに対応し、
以下同様に、
締結部材は締結部材110,110cに対応し、
ボルト頭部はボルト頭部121に対応し、
ナット部分はダブルナット130に対応し、
保護キャップは保護キャップ20に対応し、
連結具は連結ワイヤ10に対応し、
ボルト軸部はボルト軸部122に対応し、
下ナットは下ナット132に対応し、
上ナットは上ナット131に対応し、
ナットはナット133に対応し、
カバー部は保護カバー30に対応し、
パッキンは円形凸部412に対応し、
保持部はリング状保持部422に対応し、
頭部側保護キャップはボルト側保護キャップ20Aに対応し、
ナット側保護キャップはナット側保護キャップ20Bに対応し、
ボルトナット保護部材はボルトナット保護部材1,1a,1b,1cに対応し、
ワイヤ取付部はワイヤ取付部32,32aに対応し、
着色は目印34aに対応するも、上記実施形態に限定するものではない。
【0119】
例えば、上述の説明では、ダブルナット130のうちの少なくとも下ナット132と、固定対象部材100の両側に配置したワッシャ140のうち第2フランジ102側のワッシャ140aとは、ピンク色などの注意喚起色で着色したが、赤や黄色などあるいは蛍光色などの目立つ色や、夜光塗料で着色するようにしてもよい。
また、上述の保護キャップ20を構成する保護カバー30を透明で構成したが、半透明や不透明に構成してもよい。
【0120】
上述の説明では、連結ワイヤ10の端部を輪っか状に形成し、カシメ部材12でカシメて、保護カバー30におけるワイヤ取付部32に対して、回転自在に取り付けたが、図14に示すように、クリップ15を介して連結ワイヤ10を保護カバー30のワイヤ取付部32に取り付けてもよい。
なお、図14は、保護カバー30におけるワイヤ取付部32に連結ワイヤ10を取り付けるクリップ15の概略斜視図を示している。
【0121】
クリップ15は、保護カバー30のワイヤ取付部32における円形台座321と円盤323との間の間隔より細い径の鋼製バネ線材に曲げ加工を施して構成されている。クリップ15は、略円状に巻き回した取付リング部151と、取付リング部151の端部から末広がり状に延出される2つの把持部152とを有している。
【0122】
なお、一方の把持部152に、端部を輪っか状に形成し、カシメ部材12でカシメた連結ワイヤ10の端部を取り付けている。また、取付リング部151は、円形軸322の外径より大きな内径と、円形台座321の外径より小さな外径を有する略円形状である。
【0123】
このように構成するクリップ15は、把持部152同士を近づく方向に把持することで、取付リング部151が径大化し、把持部152の把持を開放すると、把持部152同士は離間し、取付リング部151は元の径に戻る。
【0124】
上述のように、把持部152同士が近づくように把持して取付リング部151を径大化し、径大化した状態で、取付リング部151の内部にワイヤ取付部32の円盤323を通過させる。そして、把持部152の把持を解消し、取付リング部151が元の径に戻ることで、クリップ15をワイヤ取付部32に対して容易に取り付けることができる。したがって、一方の把持部152に取り付けられた連結ワイヤ10を、ワイヤ取付部32に対してクリップ15を介して容易に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0125】
1,1a,1b,1c…ボルトナット保護部材
10…連結ワイヤ
20…保護キャップ
20A…ボルト側保護キャップ
20B…ナット側保護キャップ
30…保護カバー
32,32a…ワイヤ取付部
34a…目印
100…固定対象部材
100c…鋼構造物
110,110c…締結部材
121…ボルト頭部
122…ボルト軸部
130…ダブルナット
131…上ナット
132…下ナット
133…ナット
412…円形凸部
422…リング状保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
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