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特開2024-120500情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120500
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20240829BHJP
【FI】
G06Q50/20
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027329
(22)【出願日】2023-02-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】506143492
【氏名又は名称】クックパッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐野 陽光
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】ユーザに適した料理指導を行う技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、料理と、料理の失敗類型と、料理の失敗類型に関するナレッジとを関連付けて記憶する手段、ユーザが関心のある対象料理を特定する手段、対象料理に関連付けられている少なくとも1つの失敗類型を選択する手段、選択された失敗類型に関連付けられているナレッジを出力する手段、として機能させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
料理と、前記料理の失敗類型と、前記料理の失敗類型に関するナレッジとを関連付けて記憶する手段、
ユーザが関心のある対象料理を特定する手段、
前記対象料理に関連付けられている少なくとも1つの失敗類型を選択する手段、
選択された前記失敗類型に関連付けられているナレッジを出力する手段、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記失敗類型を選択する手段は、前記ユーザによる指示に応じて、前記対象料理に関連付けられる少なくとも1つの失敗類型を選択する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、前記ユーザが作成した料理、または前記ユーザが食べた料理に対する当該ユーザのレビューを取得する手段、として機能させ、
前記失敗類型を選択する手段は、前記レビューの解析結果に基づいて前記対象料理に関連付けられる少なくとも1つの失敗類型を選択する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記失敗類型を選択する手段は、前記ユーザの属性または前記ユーザの調理履歴の少なくとも1つに基づいて前記対象料理に関連付けられる少なくとも1つの失敗類型を選択する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、前記対象料理の調理中または食事中に収集された画像または音の少なくとも1つを取得する手段、として機能させ、
前記失敗類型を選択する手段は、取得された前記画像または音の解析結果に基づいて前記対象料理に関連付けられる少なくとも1つの失敗類型を選択する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、
前記対象料理に関連付けられているナレッジのいずれかに関するクイズを出題する手段、
前記クイズに対する前記ユーザの回答を受け付ける手段、
として機能させ、
前記失敗類型を選択する手段は、前記クイズに対する前記ユーザの回答の結果に基づいて、前記失敗類型を選択する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
コンピュータを、
料理と、前記料理に関する疑問点と、前記疑問点に対する回答に関するナレッジとを関連付けて記憶する手段、
ユーザが関心のある対象料理を特定する手段、
前記対象料理に関連付けられる少なくとも1つの疑問点を選択する手段、
選択された前記疑問点に関連付けられているナレッジを出力する手段、
として機能させるプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、前記対象料理の調理中または食事中に前記ユーザから音声またはジェスチャを受け付ける手段、として機能させ、
前記疑問点を選択する手段は、前記音声またはジェスチャを解析した結果に基づいて前記対象料理に関連付けられる少なくとも1つの疑問点を選択する、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータを、
前記対象料理に関連付けられているナレッジのいずれかに関するクイズを出題する手段、
前記クイズに対する前記ユーザの回答を受け付ける手段、
として機能させ、
前記疑問点を選択する手段は、前記クイズに対する前記ユーザの回答の結果に基づいて、前記疑問点を選択する、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項10】
料理と、前記料理の失敗類型と、前記料理の失敗類型に関するナレッジとを関連付けて記憶する手段と、
ユーザが関心のある対象料理を特定する手段と、
前記対象料理に関連付けられている少なくとも1つの失敗類型を選択する手段と、
選択された前記失敗類型に関連付けられているナレッジを出力する手段と
を具備する、情報処理装置。
【請求項11】
料理と、前記料理に関する疑問点と、前記疑問点に対する回答に関するナレッジとを関連付けて記憶する手段と、
ユーザが関心のある対象料理を特定する手段と、
前記対象料理に関連付けられる少なくとも1つの疑問点を選択する手段と、
選択された前記疑問点に関連付けられているナレッジを出力する手段と
を具備する、情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータが、
料理と、前記料理の失敗類型と、前記料理の失敗類型に関するナレッジとを関連付けて記憶するステップと、
ユーザが関心のある対象料理を特定するステップと、
前記対象料理に関連付けられている少なくとも1つの失敗類型を選択するステップと、
選択された前記失敗類型に関連付けられているナレッジを出力するステップと
を実行する方法。
【請求項13】
コンピュータが、
料理と、前記料理に関する疑問点と、前記疑問点に対する回答に関するナレッジとを関連付けて記憶するステップと、
ユーザが関心のある対象料理を特定するステップと、
前記対象料理に関連付けられる少なくとも1つの疑問点を選択するステップと、
選択された前記疑問点に関連付けられているナレッジを出力するステップと
を実行する方法。
【請求項14】
第1情報処理装置と、第2情報処理装置とを具備するシステムであって、
前記第1情報処理装置は、
料理と、前記料理の失敗類型と、前記料理の失敗類型に関するナレッジとを関連付けて記憶する手段と、
ユーザが関心のある対象料理を特定する手段と、
前記対象料理に関連付けられている少なくとも1つの失敗類型を選択する手段と、
選択された前記失敗類型に関連付けられているナレッジを前記第2情報処理装置へ出力する手段と
を備える、
システム。
【請求項15】
第1情報処理装置と、第2情報処理装置とを具備するシステムであって、
前記第1情報処理装置は、
料理と、前記料理に関する疑問点と、前記疑問点に対する回答に関するナレッジとを関連付けて記憶する手段と、
ユーザが関心のある対象料理を特定する手段と、
前記対象料理に関連付けられる少なくとも1つの疑問点を選択する手段と、
選択された前記疑問点に関連付けられているナレッジを前記第2情報処理装置へ出力する手段と
を備える、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、方法、プログラム、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
既存のレシピを参考にして料理を作る場合に、調理者はレシピの詳細を失念、誤解または無視して調理を行い、料理に失敗することがある。
【0003】
特許文献1には、調理の実行時にユーザが調理に関する補助情報をリアルタイムで取得することを目的とし、調理の実行時に、調理に関する補助情報を表す画像情報を、ユーザの視野域の実体物の映像に付加する技術的思想が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-016322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
調理者には、個人差があり、例えばスキル、知識、嗜好、性格、または思考もしくは動作の癖などが一様でない。故に、調理者にとって価値のある情報は異なり得る。例えば、特定の料理を上手に作るうえで重要な要件(例えばアクション)があったとする。この場合に、この料理が得意なユーザは特に意識せずに上記要件をクリアする一方で、他のユーザは当該要件の重要性を知らないか軽視しているがために当該料理を上手く作れないという事態が生じ得る。かかる要件の重要性を知らない/軽視しているユーザに対して適切なナレッジを提供することができれば、当該ユーザがこの料理を失敗せずに作れるようになる可能性がある。
【0006】
本開示の目的は、ユーザに適した料理指導を行う技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、料理と、料理の失敗類型と、料理の失敗類型に関するナレッジとを関連付けて記憶する手段、ユーザが関心のある対象料理を特定する手段、対象料理に関連付けられている少なくとも1つの失敗類型を選択する手段、選択された失敗類型に関連付けられているナレッジを出力する手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態の一態様の説明図である。
図5】本実施形態のナレッジデータベースのデータ構造を示す図である。
図6】本実施形態のユーザデータベースのデータ構造を示す図である。
図7】本実施形態のレビューデータベースのデータ構造を示す図である。
図8】本実施形態の情報処理の全体フローを示す図である。
図9】本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
図10】変形例1のナレッジデータベースのデータ構造を示す図である。
図11】変形例1の情報処理の全体フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。図1は、本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、クライアント装置10と、サーバ30とを備える。
クライアント装置10及びサーバ30は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続される。
【0012】
クライアント装置10は、サーバ30にリクエストを送信する情報処理装置の一例である。クライアント装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。クライアント装置10のユーザは、例えば調理を行う者である。ユーザは、情報処理システム1に対してレシピの投稿、またはレシピもしくは料理に関するレビュー、などを行ってもよい。また、ユーザは、情報処理システム1からレシピもしくは当該レシピに関して投稿されたレビュー、または調理に関するナレッジの提供を受けてもよい。
【0013】
サーバ30は、クライアント装置10から送信されたリクエストに応じたレスポンスをクライアント装置10に提供する情報処理装置の一例である。サーバ30は、例えば、サーバコンピュータである。
【0014】
(1-1)クライアント装置の構成
クライアント装置の構成について説明する。図2は、本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【0015】
図2に示すように、クライアント装置10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。クライアント装置10は、ディスプレイ21に接続される。
【0016】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0017】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ)のプログラム
【0018】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0019】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、クライアント装置10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0020】
入出力インタフェース13は、クライアント装置10に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示、画像、または音)を取得し、かつ、クライアント装置10に接続される出力デバイスに情報(例えば画像、または音)を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、カメラ、マイクロホン、センサ、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ21、スピーカ(スマートスピーカを含み得る)、又は、それらの組合せである。
【0021】
通信インタフェース14は、クライアント装置10と外部装置(例えば、サーバ30のほか、図示しない調理器具、調理設備、またはその他のキッチン家電を含み得る)との間の通信を制御するように構成される。
【0022】
ディスプレイ21は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ21は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0023】
(1-2)サーバの構成
サーバの構成について説明する。図3は、本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【0024】
図3に示すように、サーバ30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。
【0025】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0026】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0027】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理の実行結果
【0028】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、サーバ30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0029】
入出力インタフェース33は、サーバ30に接続される入力デバイスから情報(例えばユーザの指示)を取得し、かつ、サーバ30に接続される出力デバイスに情報(例えば画像)を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0030】
通信インタフェース34は、サーバ30と外部装置(例えばクライアント装置10)との間の通信を制御するように構成される。
【0031】
(2)実施形態の一態様
本実施形態の一態様について説明する。図4は、本実施形態の一態様の説明図である。
【0032】
図4に示すように、ユーザUS1は、時刻t1において、スパニッシュオムレツを作ろうと考え、クライアント装置10を操作することで、サーバ30にレシピ情報の検索を要求する。サーバ30は検索結果を応答として返す。ユーザUS1が好みのレシピを選択すると、クライアント装置10は、選択されたレシピを特定可能な情報をサーバ30へ送信する。サーバ30はユーザが作ろうとしている料理(「対象料理」の一例)を特定するとともに、レシピ情報をクライアント装置10へ送信する。そして、ユーザUS1は、選択したレシピに従ってスパニッシュオムレツの調理を開始する。
【0033】
その後、ユーザUS1は、時刻t2において、具材を焼く工程で当該具材がフライパンの鍋肌にくっつき、完成品の形が崩れてしまう経験をしたとする。ユーザUS1は、調理中に、または調理後に、クライアント装置10を操作して、選択したレシピに対するレビューをサーバ30に投稿する。サーバ30は、後述するナレッジデータベースにアクセス可能である。ナレッジデータベースDB2では、料理と、当該料理の失敗類型と、当該料理の失敗類型に関するナレッジとが関連付けられている。サーバ30は、特定した対象料理である「スパニッシュオムレツ」に関連付けられる失敗類型のうち、ユーザUS1のレビューに最も適合する1つ(例えば、「具材が鍋肌にくっついて形が崩れる」)を選択する。そして、サーバ30は、選択した失敗類型に関連付けられているナレッジ(例えば、「フライパンをしっかり熱してから油を引くのが大事です。」というメッセージ(音声を含み得る)、または解説画像(動画を含み得る)、など)を出力する。クライアント装置10は、出力されたナレッジをユーザUS1に提示する。ユーザUS1は、提示されたナレッジを元に、例えば自分が油を引くタイミングが早すぎることを理解できれば、次に同一または類似の料理を調理する場合に、油を引くタイミングを意識して調理するように促されるので、同様の失敗を繰り返しづらくなる。他方、別のユーザが、スパニッシュオムレツの具材に焼きムラがあったといった失敗を経験した場合には、例えば野菜を小さく、形を揃えて切ることが大事であるとのナレッジが提供され、当該ユーザは野菜を切る工程でより注意を払うようになる。このように、本実施形態の情報処理システム1によれば、ユーザに適した料理指導を行うことが可能となる。
【0034】
(3)データベース
本実施形態のデータベースについて説明する。以下のデータベースは、記憶装置31に記憶される。
【0035】
(3-1)ナレッジデータベース
本実施形態のナレッジデータベースについて説明する。図5は、本実施形態のナレッジデータベースのデータ構造を示す図である。
【0036】
ナレッジデータベースには第1ナレッジ情報が格納される。第1ナレッジ情報は、料理の失敗類型に関するナレッジの情報である。
【0037】
図5に示すように、ナレッジデータベースは、「料理ID」フィールドと、「調理工程」フィールドと、「失敗類型」フィールドと、「ナレッジ」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
【0038】
「料理ID」フィールドには、料理IDが格納される。料理IDは、料理を一意に識別する情報である。なお、料理IDの代わりにレシピIDが用いられてもよい。レシピIDは、レシピを一意に識別する情報である。例えば、各料理には当該料理を作成するための1または複数のレシピが存在し、各レシピには当該レシピを識別するレシピIDと、当該レシピに対応する料理を識別する料理IDとが付与され得る。また、料理は、ジャンル、材料、または調理工程に基づいて多層的にグルーピング可能である。すなわち、スパニッシュオムレツはオムレツの下位概念であり、オムレツは卵料理の下位概念であるが、スパニッシュオムレツ、オムレツ、および卵料理がそれぞれ料理として定義されてよい。
【0039】
「調理工程」フィールドには、調理工程情報が格納される。調理工程情報は、対応する料理IDによって識別される料理を調理する工程に関する情報である。調理工程情報は、料理またはレシピ毎に定義されてもよいし、料理間またはレシピ間で共通に定義されてもよい。
【0040】
「失敗類型」フィールドには、失敗類型情報が格納される。失敗類型情報は、対応する料理ID(または料理IDおよび調理工程情報の組み合わせ)によって識別される料理の失敗類型に関する情報である。失敗類型情報は、例えば料理の指導者などの熟練者の知見に基づいて作成されてもよいし、特定のレシピに対するユーザのレビューを解析し、当該レシピの属する料理について頻出する失敗例を抽出することで作成されてもよい。
【0041】
「ナレッジ」フィールドには、ナレッジ詳細情報が格納される。ナレッジ詳細情報は、対応する失敗類型に関するナレッジの詳細に関する情報である。ナレッジ詳細情報は、例えば、対応する失敗類型を防ぐために意識すべきポイント(例えば、加熱中の具材を無闇に動かさない)や行うべき作業(例えば、具材の水を丁寧に拭き取る)に関する情報である。ナレッジ詳細情報は、ナレッジを構成するテキスト、画像(写真または動画)、音声、またはそれらの組み合わせ、或いはこれらの所在(アドレス)に関する情報を含み得る。ナレッジ詳細情報は、例えば料理の指導者などの熟練者の知見に基づいて作成されてもよい。
【0042】
(3-2)ユーザデータベース
本実施形態のユーザデータベースについて説明する。図6は、本実施形態のユーザデータベースのデータ構造を示す図である。
【0043】
ユーザデータベースには、ユーザ情報が格納される。ユーザ情報は、情報処理システム1のユーザに関する情報である。
【0044】
図6に示すように、ユーザデータベースは、「ユーザID」フィールドと、「ユーザ名」フィールドと、「調理経験」フィールドと、「得意分野」フィールドと、「調理環境」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
【0045】
「ユーザID」フィールドには、ユーザIDが格納される。ユーザIDは、情報処理システム1のユーザを一意に識別する情報である。
【0046】
「ユーザ名」フィールドには、ユーザ名情報が格納される。ユーザ名情報は、ユーザIDによって識別されるユーザの名称に関する情報である。
【0047】
「調理経験」フィールドには、調理経験情報が格納される。調理経験情報は、ユーザIDによって識別されるユーザの調理経験に関する情報であり、ユーザの属性情報の一例である。一例として、調理経験情報は、ユーザの調理経験を定量化したスコアである。調理経験は、例えば、ユーザによるレシピの利用報告数もしくは投稿数、またはレビュー投稿数の累積値、またはユーザが投稿したレシピまたはレビューの解析結果に基づいて算出されてもよいし、ユーザの自己申告に基づいて設定されてもよい。また、調理経験は、例えば、ジャンル、材料、調理工程、またはこれらの組み合わせに相当するカテゴリ別に定義されてもよい。
【0048】
「得意分野」フィールドには、得意分野情報が格納される。得意分野情報は、ユーザIDによって識別されるユーザの得意分野に関する情報であり、ユーザの属性情報の一例である。得意分野は、例えば得意なジャンル、材料、または調理工程であってよい。得意分野情報は、ユーザによるレシピの利用報告数もしくは投稿数、またはレビュー投稿数の累積値、またはユーザが投稿したレシピまたはレビューの解析結果に基づいて判定されてもよいし、ユーザの自己申告に基づいて設定されてもよい。なお、図示されていないが、苦手分野に関する情報(苦手分野情報)を同様に定義して活用することも可能である。
【0049】
「調理環境」フィールドには、調理環境情報が格納される。調理環境情報は、ユーザIDによって識別されるユーザの調理環境に関する情報であり、ユーザの属性情報の一例である。調理環境は、例えば、ユーザが利用可能な調理器具、調理設備、またはその他のキッチン家電の種類、数、またはスペックを含むことができる。調理環境情報は、ユーザの自己申告、またはクライアント装置10との連携の有無に基づいて設定されてよい。
【0050】
(3-3)レビューデータベース
本実施形態のレビューデータベースについて説明する。図7は、本実施形態のレビューデータベースのデータ構造を示す図である。
【0051】
レビューデータベースには、レビュー情報が格納される。レビュー情報は、情報処理システム1によって提供されるレシピに対するユーザのレビューに関する情報である。同一ユーザによって投稿された一群のレビューは、当該ユーザの調理履歴の一例である。
【0052】
図7に示すように、レビューデータベースは、「レビューID」フィールドと、「レシピID」フィールドと、「投稿日時」フィールドと、「投稿者ID」フィールドと、「レビュー」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
【0053】
「レビューID」フィールドには、レビューIDが格納される。レビューIDは、レビューを一意に識別する情報である。
【0054】
「レシピID」フィールドには、レシピIDが格納される。レシピIDは、レビューIDによって識別されるレビューの対象となったレシピを一意に識別する情報である。
【0055】
「投稿日時」フィールドには、投稿日時情報が格納される。レシピIDは、レビューIDによって識別されるレビューが投稿された日時に関する情報である。
【0056】
「投稿者ID」フィールドには、投稿者IDが格納される。投稿者IDは、レビューIDによって識別されるレビューの投稿者(ユーザ)を一意に識別する。つまり、投稿者IDとして、ユーザデータベース(図6)のユーザIDが利用可能である。
【0057】
「レビュー」フィールドには、レビュー詳細情報が格納される。レビュー詳細情報は、レビューIDによって識別されるレビューの詳細に関する情報である。レビュー詳細情報は、レビューを構成するテキスト、画像(写真または動画)、音声、またはそれらの組み合わせ、或いはこれらの所在(アドレス)に関する情報を含み得る。
【0058】
(3-4)その他のデータベース
上記のほか、記憶装置31には、レシピデータベースが格納され得る。レシピデータベースは、レシピ情報を格納する。レシピ情報は、レシピIDに関連付けて、対応するレシピを投稿したユーザ(レシピ投稿者)および投稿日時を示す情報と、当該レシピの詳細を示す情報と、当該レシピに対応する料理を示す料理IDとを含み得る。同一ユーザによって投稿された一群のレシピは、当該ユーザの調理履歴の一例である。
【0059】
(4)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。図8は、本実施形態の情報処理の全体フローを示す図である。図9は、本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【0060】
図8に示すように、クライアント装置10は、第1情報の取得(S110)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ユーザが関心のある料理(以下、「対象料理」という)に関する情報(以下、「第1情報」という)を取得する。
【0061】
対象料理は、以下の少なくとも1つに該当し得る。
・ユーザが作成したことのある料理
・ユーザが食べたことのある料理
・ユーザが作っている料理
・ユーザが食べている料理
・ユーザがこれから作ろうとしている料理、またはその候補
・ユーザがこれから食べようとしている料理、またはその候補
【0062】
第1情報の取得(S110)の第1例として、クライアント装置10は、情報処理システム1によって提供されるいずれかのレシピを選択する指示をユーザから受け付ける。
【0063】
第1情報の取得(S110)の第2例として、クライアント装置10は、調理器具(調理家電)、調理設備、またはその他のキッチン家電にいずれかの調理メニューを実行させるための指示をユーザから受け付ける。
【0064】
第1情報の取得(S110)の第3例として、クライアント装置10は、調理器具(調理家電)、調理設備、またはその他のキッチン家電からいずれかの調理メニューの実行に関する情報(例えば、実行履歴)を受信する。
【0065】
第1情報の取得(S110)の第4例として、クライアント装置10は、調理中のユーザの画像、または作成中もしくは完成後の料理の画像をカメラから取得する。
【0066】
第1情報の取得(S110)の第5例として、クライアント装置10は、ユーザの発話、またはユーザの調理活動によって生じる音をマイクロホンから取得する。
第1情報の取得(S110)の第6例は、上記第1例~第5例のうち2以上の組み合わせである。
【0067】
ステップS110の後に、クライアント装置10は、第1情報の出力(S111)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS110において取得した第1情報をサーバ30へ送信する。
【0068】
ステップS111の後に、サーバ30は、第1情報の取得(S130)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS111において送信された第1情報を受信する。
【0069】
ステップS130の後に、サーバ30は、対象料理の特定(S131)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS130において取得した第1情報に基づいて、対象料理を特定する。
【0070】
対象料理の特定(S131)の第1例として、サーバ30は、ユーザによって選択されたレシピに対応する料理を対象料理として特定する。
【0071】
対象料理の特定(S131)の第2例として、サーバ30は、調理器具(調理家電)、調理設備、またはその他のキッチン家電によって実行された調理メニューに対応する料理を対象料理として特定する。
【0072】
対象料理の特定(S131)の第3例として、サーバ30は、画像または音の特徴を解析し、類似の特徴が観察可能な料理を対象料理として特定する。例えば、画像または音と料理との相関を学習したモデルを用いて、対象料理を特定することができる。
対象料理の特定(S131)の第4例は、上記第1例~第3例のうち2以上の組み合わせである。
【0073】
他方、ステップS111の後、クライアント装置10は、第2情報の取得(S112)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、以下のいずれかの要素に関する情報であり、対象料理の失敗を暗黙的または明示的に示す情報(以下、「第2情報」という)を取得する。
・ユーザが作成した料理
・ユーザが食べた料理
・ユーザが作成している途中の料理
・調理中のユーザ
・ユーザが食べている料理
【0074】
第2情報の取得(S112)の第1例として、クライアント装置10は、対象料理に関連付けられる1以上の失敗類型の情報(「該当せず」を含み得る)をディスプレイ21またはスピーカにより提示し、ユーザが作成中もしくは食事中の料理、またはユーザが作成もしくは食事した料理の感想として最も近いものを尋ねる。そして、クライアント装置10は、いずれかを指定するユーザ指示を受け付ける。なお、対象料理に関連付けられる失敗類型の情報は、ステップS131の後、ステップS112までの間に、サーバ30からクライアント装置10へ送信され得る。
【0075】
第2情報の取得(S112)の第2例として、クライアント装置10は、ユーザからの入力に応じて、当該ユーザが作成したことのある料理、または当該ユーザが食べた料理に対する当該ユーザのレビューを取得する。
【0076】
第2情報の取得(S112)の第3例として、クライアント装置10は、ユーザの調理中または食事中に撮影された料理またはユーザの画像を取得する。
【0077】
第2情報の取得(S112)の第4例として、クライアント装置10は、ユーザの調理中または食事中にマイクロホンによって受信された音(音信号)を取得する。
【0078】
第2情報の取得(S112)の第5例は、上記第1例~第4例のうち2以上の組み合わせである。なお、第2情報の取得(S112)は、ユーザによる特定の発話またはジェスチャを検知したことをトリガに実行するようにしてもよい。
【0079】
ステップS112の後に、クライアント装置10は、第2情報の出力(S113)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS112において取得した第2情報をサーバ30へ送信する。
【0080】
ステップS113の後に、サーバ30は、第2情報の取得(S132)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS113において送信された第2情報を受信する。また、サーバ30は、ユーザデータベース(図6)に格納されたユーザ情報(特に属性情報)を第2情報として抽出してもよいし、レビューデータベース(図7)に格納されたレビュー情報(過去に同一ユーザが投稿したレビュー情報)を第2情報として抽出してもよいし、図示しないレシピデータベースに格納されたレシピ情報(過去に同一ユーザが投稿したレシピ情報)を第2情報として抽出してもよい。
【0081】
ステップS132の後に、サーバ30は、失敗類型の選択(S133)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ナレッジデータベース(図5)を参照し、ステップS132において取得した第2情報に基づいて、ステップS131において特定した対象料理に関連付けられる失敗類型の少なくとも1つを選択する。
【0082】
失敗類型の選択(S133)の第1例として、サーバ30は、ユーザによって指定された失敗類型を選択する。
【0083】
失敗類型の選択(S133)の第2例として、サーバ30は、ユーザが作成した料理、またはユーザが食べた料理に対する当該ユーザのレビューの解析結果に基づいて、失敗類型を選択する。一例として、サーバ30は、ユーザのレビューと意味または表現に関して最もマッチする失敗類型を選択し得る。なお、レビューの解析は、サーバ30によって行われてもよいし、クライアント装置10によって行われてもよいし、外部装置によって行われてもよい。
【0084】
失敗類型の選択(S133)の第3例として、サーバ30は、ユーザの調理中または食事中に収集された画像または音の解析結果に基づいて、失敗類型を選択する。例えば、画像には、料理の形もしくは色、またはユーザの挙動(特定の調理工程を行う時間や動きの大きさ)などが反映される。また、音には、調理工程時に材料が発する音(例えば材料を加熱している時の音)、または料理の硬さもしくは水分量などが反映される。一例として、サーバ30は、画像または音に基づく特徴量に失敗類型を推論する学習済みモデルを適用することで、同様の特徴が観察される可能性の高い失敗類型を選択し得る。かかるモデルは、大量のサンプル特徴量(特定の料理の調理中または食事中に収集された画像または音の特徴量)と正解データ(当該料理の失敗類型を人間(例えば本人または第三者)が判断した結果)とを含む学習データを用いた教師あり学習により構築可能である。なお、画像または音の解析(例えば特徴量の抽出)は、サーバ30によって行われてもよいし、クライアント装置10によって行われてもよいし、外部装置によって行われてもよい。
【0085】
失敗類型の選択(S133)の第4例として、サーバ30は、ユーザ情報、またはユーザによって投稿された一群のレビューまたはレシピに基づいて、失敗類型を選択する。例えば、同一の料理であっても、同様の料理の調理経験の浅いユーザと、同様の料理の調理経験が中程度のユーザとでは失敗しやすいポイントが異なる可能性がある。一例として、サーバ30は、これらの情報に基づく特徴量に失敗類型を推論する学習済みモデルを適用することで、同様の特徴が観察される調理者が陥る可能性の高い失敗類型を選択し得る。かかるモデルは、大量のサンプル特徴量(特定の料理を作成した調理者の属性または調理履歴の特徴量)と正解データ(当該料理の失敗類型を人間(例えば本人または第三者)が判断した結果)とを含む学習データを用いた教師あり学習により構築可能である。なお、特徴量の抽出は、サーバ30によって行われてもよいし、クライアント装置10によって行われてもよいし、外部装置によって行われてもよい。
【0086】
失敗類型の選択(S133)の第5例として、サーバ30は、ユーザが特定のキーワードを発話した時、または特定のジェスチャを行った時の調理工程を例えばユーザの調理中に収集された画像または音の解析結果に基づいて判定し、対象料理および判定された調理工程に対応する調理工程情報に関連付けられている失敗類型を選択する。
【0087】
ステップS133の後に、サーバ30は、ナレッジの出力(S134)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ナレッジデータベース(図5)を参照し、ステップS133において選択した失敗類型に関連付けられているナレッジを取得する。サーバ30は、取得したナレッジをクライアント装置10へ送信する。
【0088】
ステップS134の後に、クライアント装置10は、ナレッジの提示(S114)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS134において送信されたナレッジを受信し、ユーザに提示する。例えば、クライアント装置10は、ナレッジ(テキストまたは画像)をディスプレイ21に表示したり、ナレッジ(音声)をスピーカから出力したりする。或いは、クライアント装置10は、ナレッジが追記されたレシピ情報をユーザに提供してもよい。ディスプレイ21に表示される画面の一例を図9に示す。
【0089】
図9の画面は、オブジェクトJ21~J24を含む。
オブジェクトJ21は、ナレッジに相当するテキストを表示する。
オブジェクトJ22は、ナレッジに相当する動画の再生を開始するためのユーザ指示を受け付け、当該ユーザ指示を受け付けた後に当該動画を表示する。
【0090】
オブジェクトJ23は、前画面に戻るためのユーザ指示を受け付ける。
オブジェクトJ24は、別のナレッジの提供を要求するためのユーザ指示を受け付ける。クライアント装置10は、オブジェクトJ24が選択されたことを示す情報をサーバ30へ送信する。サーバ30は、かかる情報の取得に応じて、失敗類型の選択(S133)を再実行してもよく、この場合に選択済みの失敗類型を候補から除外してもよい。
【0091】
(5)小括
以上説明したように、本実施形態のサーバ30は、料理と、料理の失敗類型と、料理の失敗類型に関するナレッジとを関連付けて記憶する。サーバ30は、ユーザが関心のある対象料理を特定し、対象料理に関連付けられている少なくとも1つの失敗類型を選択し、選択された失敗類型に関連付けられているナレッジを出力する。これにより、ユーザは提示されたナレッジを元に、次に同一または類似の料理を調理する場合に、より適した調理行動を行うように促されるので、同様の失敗を繰り返しづらくなる。このように、ユーザに適した料理指導を行うことが可能となる。
【0092】
サーバ30は、ユーザによる指示に応じて、対象料理に関連付けられる少なくとも1つの失敗類型を選択してもよい。これにより、ユーザが自覚している失敗に応じたナレッジを提供することができる。
【0093】
サーバ30は、ユーザが作成した料理、またはユーザが食べた料理に対する当該ユーザのレビューを取得し、レビューの解析結果に基づいて対象料理に関連付けられる少なくとも1つの失敗類型を選択してもよい。これにより、ユーザのレビューから推定される失敗類型に応じたナレッジを提供することができる。
【0094】
サーバ30は、ユーザの属性またはユーザの調理履歴の少なくとも1つに基づいて対象料理に関連付けられる少なくとも1つの失敗類型を選択してもよい。これにより、ユーザの属性または調理履歴に基づいて、ユーザが陥る可能性の高い失敗類型を絞り込み、ユーザにとって価値のある可能性の高いナレッジを提供することができる。
【0095】
サーバ30は、対象料理の調理中または食事中に収集された画像または音の少なくとも1つを取得し、取得された画像または音の解析結果に基づいて対象料理に関連付けられる少なくとも1つの失敗類型を選択してもよい。これにより、ユーザの入力操作の手間を軽減しながら、ユーザにとって価値のある可能性の高いナレッジを提供することができる。
【0096】
(6)変形例
本実施形態の変形例について説明する。
【0097】
(6-1)変形例1
変形例1について説明する。変形例1は、第1実施形態とは異なるナレッジを提供する。
【0098】
変形例1の情報処理システムの構成は、本実施形態と同様であってよい。
(6-1-1)データベース
変形例1のデータベースについて説明する。以下のデータベースは、記憶装置31に記憶される。
【0099】
(6-1-1-1)ナレッジデータベース
変形例1のナレッジデータベースについて説明する。図10は、変形例1のナレッジデータベースのデータ構造を示す図である。
【0100】
ナレッジデータベースには第2ナレッジ情報が格納される。第2ナレッジ情報は、料理、ジャンル、材料、または調理工程の疑問点の解消、それらの背景知識、またはそれらの細部もしくはアレンジ要素に関するナレッジの情報である。
【0101】
図10に示すように、ナレッジデータベースは、「料理ID」フィールドと、「調理工程」フィールドと、「疑問点」フィールドと、「ナレッジ」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
【0102】
「料理ID」フィールドには、料理IDが格納される。料理IDは、本実施形態のナレッジデータベース(図5)と同様である。
【0103】
「調理工程」フィールドには、調理工程情報が格納される。調理工程情報は、実施形態のナレッジデータベース(図5)と同様である。
【0104】
「疑問点」フィールドには、疑問点情報が格納される。疑問点情報は、対応する料理ID(または料理IDおよび調理工程情報の組み合わせ)によって識別される料理の疑問点に関する情報である。疑問点情報は、例えば料理の指導者などの熟練者の知見に基づいて作成されてもよいし、特定のレシピに対するユーザのレビューまたはユーザからの質問を解析し、当該レシピの属する料理について頻出する疑問点を抽出することで作成されてもよい。或いは、疑問点情報は、多数のユーザまたはユーザ以外の多数の人物に対して料理に関するクイズを出題し、その回答結果を解析することで、多くのユーザないし人物が正答を把握していない問題を抽出することで作成されてもよい。
【0105】
「ナレッジ」フィールドには、ナレッジ詳細情報が格納される。ナレッジ詳細情報は、対応する疑問点に関するナレッジの詳細に関する情報である。ナレッジ詳細情報は、例えば、対応する疑問点に対する回答(例えば、調理工程もしくはその細部の意義、調理工程の進捗目安、材料もしくは調理工程の変更の可否、など)に関する情報である。ナレッジ詳細情報は、ナレッジを構成するテキスト、画像(写真または動画)、音声、またはそれらの組み合わせ、或いはこれらの所在(アドレス)に関する情報を含み得る。ナレッジ詳細情報は、例えば料理の指導者などの熟練者の知見に基づいて作成されてもよい。
【0106】
(6-1-2)情報処理
変形例1の情報処理について説明する。図11は、変形例1の情報処理の全体フローを示す図である。
【0107】
図11に示すように、クライアント装置10は図8と同様に、第1情報の取得(S110)、および第1情報の出力(S111)を実行する。
【0108】
ステップS111の後に、サーバ30は図8と同様に、第1情報の取得(S130)、および対象料理の特定(S131)を実行する。
【0109】
他方、ステップS111の後、クライアント装置10は、第3情報の取得(S212)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、以下のいずれかの要素に関する情報であり、対象料理についての疑問を暗黙的または明示的に示す情報(以下、「第3情報」という)を取得する。
・ユーザが作成した料理
・ユーザが食べた料理
・ユーザが作成している途中の料理
・調理中のユーザ
・ユーザが食べている料理
【0110】
第3情報の取得(S212)の第1例として、クライアント装置10は、対象料理に関連付けられる1以上の疑問点の情報(「該当せず」を含み得る)をディスプレイ21またはスピーカにより提示し、ユーザが作成中もしくは食事中の料理、またはユーザが作成もしくは食事した料理の疑問として最も近いものを尋ねる。そして、クライアント装置10は、いずれかを指定するユーザ指示を受け付ける。なお、対象料理に関連付けられる疑問点の情報は、ステップS131の後、ステップS212までの間に、サーバ30からクライアント装置10へ送信され得る。
【0111】
第3情報の取得(S212)の第2例として、クライアント装置10は、ユーザからの入力に応じて、当該ユーザが作成したことのある料理、または当該ユーザが食べた料理に対する当該ユーザのレビューを取得する。
【0112】
第3情報の取得(S212)の第3例として、クライアント装置10は、ユーザの調理中または食事中に撮影された料理またはユーザの画像(例えばユーザが特定のジェスチャを行った姿の画像)を取得する。
【0113】
第3情報の取得(S212)の第4例として、クライアント装置10は、ユーザの調理中または食事中にマイクロホンによって受信された音(音信号)(例えばユーザが特定のキーワードを発話することで生じた音声)を取得する。
【0114】
第3情報の取得(S212)の第5例は、上記第1例~第4例のうち2以上の組み合わせである。
なお、第3情報の取得(S212)は、ユーザによる特定の発話またはジェスチャを検知したことをトリガに実行するようにしてもよい。
【0115】
ステップS212の後に、クライアント装置10は、第3情報の出力(S213)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS212において取得した第3情報をサーバ30へ送信する。
【0116】
ステップS213の後に、サーバ30は、第3情報の取得(S232)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS213において送信された第3情報を受信する。また、サーバ30は、ユーザデータベース(図6)に格納されたユーザ情報(特に属性情報)を第3情報として抽出してもよいし、レビューデータベース(図7)に格納されたレビュー情報(過去に同一ユーザが投稿したレビュー情報)を第3情報として抽出してもよいし、図示しないレシピデータベースに格納されたレシピ情報(過去に同一ユーザが投稿したレシピ情報)を第3情報として抽出してもよい。
【0117】
ステップS232の後に、サーバ30は、疑問点の選択(S233)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ナレッジデータベース(図10)を参照し、ステップS232において取得した第3情報に基づいて、ステップS131において特定した対象料理に関連付けられる疑問点の少なくとも1つを選択する。
【0118】
疑問点の選択(S233)の第1例として、サーバ30は、ユーザによって指定された疑問点を選択する。
【0119】
疑問点の選択(S233)の第2例として、サーバ30は、ユーザが作成した料理、またはユーザが食べた料理に対する当該ユーザのレビューの解析結果に基づいて、疑問点を選択する。一例として、サーバ30は、ユーザのレビューと意味または表現に関して最もマッチする疑問点を選択し得る。なお、レビューの解析は、サーバ30によって行われてもよいし、クライアント装置10によって行われてもよいし、外部装置によって行われてもよい。
【0120】
疑問点の選択(S233)の第3例として、サーバ30は、ユーザの調理中または食事中に収集された画像または音の解析結果に基づいて、疑問点を選択する。例えば、画像には、料理の形もしくは色、またはユーザの挙動(特定の調理工程を行う時間や動きの大きさ)などが反映される。また、音には、調理工程時に材料が発する音(例えば材料を加熱している時の音)、または料理の硬さもしくは水分量などが反映される。一例として、サーバ30は、画像または音に基づく特徴量に疑問点を推論する学習済みモデルを適用することで、同様の特徴が観察される場合に調理者が抱く可能性の高い疑問点を選択し得る。かかるモデルは、大量のサンプル特徴量(特定の料理の調理中または食事中に収集された画像または音の特徴量)と正解データ(当該料理の調理者に当該料理に関する疑問点を選択してもらった結果)とを含む学習データを用いた教師あり学習により構築可能である。なお、画像または音の解析(例えば特徴量の抽出)は、サーバ30によって行われてもよいし、クライアント装置10によって行われてもよいし、外部装置によって行われてもよい。
【0121】
疑問点の選択(S233)の第4例として、サーバ30は、ユーザ情報、またはユーザによって投稿された一群のレビューまたはレシピに基づいて、疑問点を選択する。例えば、同一の料理であっても、同様の料理の調理経験の浅いユーザと、同様の料理の調理経験が中程度のユーザとでは疑問点が異なる可能性がある。一例として、サーバ30は、これらの情報に基づく特徴量に疑問点を推論する学習済みモデルを適用することで、同様の特徴が観察される場合に調理者が知らない可能性の高い疑問点を選択し得る。かかるモデルは、大量のサンプル特徴量(特定の料理を作成した調理者の属性または調理履歴の特徴量)と正解データ(当該調理者に当該料理に関する疑問点を選択してもらった結果)とを含む学習データを用いた教師あり学習により構築可能である。なお、特徴量の抽出は、サーバ30によって行われてもよいし、クライアント装置10によって行われてもよいし、外部装置によって行われてもよい。
【0122】
疑問点の選択(S233)の第5例として、サーバ30は、ユーザが特定のキーワードを発話した時、または特定のジェスチャを行った時の調理工程を例えばユーザの調理中に収集された画像または音の解析結果に基づいて判定し、対象料理および判定された調理工程に対応する調理工程情報に関連付けられている疑問点を選択する。
【0123】
ステップS233の後に、サーバ30は、ナレッジの出力(S234)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ナレッジデータベース(図10)を参照し、ステップS233において選択した疑問点に関連付けられているナレッジを取得する。サーバ30は、取得したナレッジをクライアント装置10へ送信する。
【0124】
ステップS234の後に、クライアント装置10は、ナレッジの提示(S214)を実行する。
具体的には、クライアント装置10は、ステップS234において送信されたナレッジを受信し、ユーザに提示する。例えば、クライアント装置10は、ナレッジ(テキストまたは画像)をディスプレイ21に表示したり、ナレッジ(音声)をスピーカから出力したりする。或いは、クライアント装置10は、ナレッジが追記されたレシピ情報をユーザに提供してもよい。
【0125】
(6-1-3)小括
以上説明したように、変形例1のサーバ30は、料理と、料理に関する疑問点と、疑問点に対する回答に関するナレッジとを関連付けて記憶する。サーバ30は、ユーザが関心のある対象料理を特定し、対象料理に関連付けられる少なくとも1つの疑問点を選択し、選択された疑問点に関連付けられているナレッジを出力する。これにより、ユーザは提示されたナレッジを元に、疑問点を解消できるので、適切な調理行動やマインドセットが身につきやすくなる。このように、ユーザに適した料理指導を行うことが可能となる。
【0126】
サーバ30は、対象料理の調理中または食事中にユーザから音声またはジェスチャを受け付け、音声またはジェスチャを解析した結果に基づいて対象料理に関連付けられる少なくとも1つの疑問点を選択してもよい。これにより、ユーザが調理中に疑問が生じた場合に、発話やジェスチャを行うことで必要なナレッジの提供を受けることが可能となる。
【0127】
(7)その他の変形例
記憶装置11は、ネットワークNWを介して、クライアント装置10と接続されてもよい。ディスプレイ21は、クライアント装置10に内蔵されてもよい。記憶装置31は、ネットワークNWを介して、サーバ30と接続されてもよい。
【0128】
上記の情報処理の各ステップは、クライアント装置10及びサーバ30の何れでも実行可能である。また、実施形態の情報処理システムを、クライアント/サーバ型のシステムによって実装する例を示した。しかしながら、実施形態の情報処理システムは、スタンドアロン型のコンピュータ、またはピア・ツー・ピア型のシステムによって実装することもできる。
【0129】
上記実施形態または変形例では、ユーザが経験した対象料理の失敗類型またはユーザが対象料理に関して抱いている疑問点を推定し、ナレッジを提供する例を示した。しかしながら、例えば、サーバ30が、クライアント装置10を介して、対象料理に関連付けられているナレッジのいずれかに関するクイズをユーザに出題し、回答を受け付けてもよい。そして、サーバ30は、出題したクイズに対するユーザの回答の結果に基づいて失敗類型または疑問点を選択してもよい。一例として、サーバ30は、ユーザが不正解であったクイズに関するナレッジを、クライアント装置10を介してユーザに提示する。これにより、ユーザが、本人が未だ知らないか正しく理解していないナレッジの提供を受ける機会を増やすことができるので、ユーザの調理スキル・知識の向上にいっそう貢献することができる。なお、本変形例において対象料理は、ユーザの調理または食事の経験または意思に関わらずランダムに選択されてもよい。
【0130】
上記実施形態で説明した情報のほか、ユーザに対して過去に選択された失敗類型の情報を蓄積し、第2情報として用いることができる。同様に、上記変形例1で説明した情報のほか、ユーザに対して過去に選択された疑問点の情報を蓄積し、第3情報として用いることができる。
【0131】
上記実施形態では、第2情報に基づいて失敗類型を選択する例を示した。しかしながら、サーバ30は、ランダムに失敗類型を選択してもよいし、例えばナレッジデータベース(図5)において料理に関連付けられる失敗類型毎に出現頻度を定義しておき、当該出現頻度の高い順に失敗類型を選択したり、当該出現頻度に応じた確率で失敗類型を選択したりしてもよい。同様に、上記変形例1では、第3情報に基づいて疑問点を選択する例を示した。しかしながら、サーバ30は、ランダムに疑問点を選択してもよいし、例えばナレッジデータベース(図10)において料理に関連付けられる疑問点毎に出現頻度を定義しておき、当該出現頻度の高い順に疑問点を選択したり、当該出現頻度に応じた確率で疑問点を選択したりしてもよい。
【0132】
上記実施形態では、第1情報が第2情報とは別に取得され、対象料理を特定する例を示した。しかしながら、第1情報および第2情報は同一の情報であってもよく、この場合に、サーバ30は、対象料理の特定(S131)と失敗類型の選択(S133)とを連続的に実行してもよい。同様に、変形例1では、第1情報が第3情報とは別に取得され、対象料理を特定する例を示した。しかしながら、第1情報および第3情報は同一の情報であってもよく、この場合に、サーバ30は、対象料理の特定(S131)と疑問点の選択(S233)とを連続的に実行してもよい。
【0133】
サーバ30は、失敗類型または疑問点を選択するにあたって、該当する調理工程を特定することで、対象料理の当該調理工程に関連付けられる失敗類型または疑問点に候補を絞り込んでもよい。サーバ30は、例えば以下の情報の少なくとも1つに基づいて調理工程を特定してもよい。
・ユーザの自己申告(該当する調理工程の指定)
・ユーザのレビューの解析結果
・対象料理の調理中または食事中に収集された画像または音の少なくとも1つの解析結果
・調理器具(調理家電)、調理設備、またはその他のキッチン家電の動作情報
・調理開始から第2情報または第3情報が得られた時点でまでの経過時間
【0134】
上記実施形態または変形例では、対象料理に関する失敗類型または疑問点に関するナレッジを提供する例を示した。しかしながら、例えば料理と、当該料理の特徴(味付け、食感、またはアレンジなどの方向性)と、当該特徴を備えた料理を調理するためのナレッジとを関連付けたナレッジデータベースを用いることで、ユーザが求める特徴を備える対象料理の作成するために役立つナレッジを提供することも可能である。
【0135】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0136】
1 :情報処理システム
10 :クライアント装置
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
21 :ディスプレイ
30 :サーバ
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11