(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120505
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】タービンおよび遮熱装置
(51)【国際特許分類】
F01D 9/04 20060101AFI20240829BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20240829BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20240829BHJP
F01D 11/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F01D9/04
F01D25/00 X
F02C7/00 D
F01D25/00 M
F01D11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027337
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 皓太
(72)【発明者】
【氏名】岩井 章吾
(72)【発明者】
【氏名】猪亦 麻子
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 祥史
(72)【発明者】
【氏名】野口 太郎
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202GA13
3G202GB03
3G202KK15
(57)【要約】
【課題】破損の防止を容易に実現可能であると共に、遮熱ピースの間におけるシール特性を向上可能なタービン等を提供する。
【解決手段】実施形態のタービンは、タービンロータの外周面のうち静翼に対面する部分において、複数の遮熱ピースがタービンロータの回転方向に配置される遮熱部材を有する。複数の遮熱ピースのそれぞれは、回転方向において前方側に位置する前方端面と、回転方向において後方側に位置する後方端面とを含み、前方端面と後方端面とのうち一方の面には、凸部が設けられ、前方端面と後方端面とのうち他方の面には、凹部が設けられている。凸部は、遮熱ピースと一体的に形成されている。複数の遮熱ピースのそれぞれの間において、凸部が凹部に収容されることによって、複数の遮熱ピースのそれぞれの間がシールされる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングに収容されており、回転軸に沿った軸方向に作動媒体が流れることによって回転するタービンロータと、
前記ケーシングの内部に設置されている静翼および前記タービンロータの外周面に設置されている動翼を含むタービン段落と、
を備え、前記タービン段落が前記軸方向において複数設けられているタービンであって、
前記タービンロータの外周面のうち前記静翼に対面する部分において、複数の遮熱ピースが前記タービンロータの回転方向に配置される遮熱部材
を有し、
前記複数の遮熱ピースのそれぞれは、
前記回転方向において前方側に位置する前方端面と、
前記回転方向において後方側に位置する後方端面と
を含み、
前記前方端面と前記後方端面とのうち一方の面には、凸部が設けられ、
前記前方端面と前記後方端面とのうち他方の面には、凹部が設けられ、
前記凸部は、前記遮熱ピースと一体的に形成されており、
前記複数の遮熱ピースのそれぞれの間において、前記凸部が前記凹部に収容されることによって、前記複数の遮熱ピースのそれぞれの間がシールされるように構成されている、
タービン。
【請求項2】
前記遮熱部材は、
前記タービンロータの外周面に形成された被係合溝TRに内側部分が係合される脚部と、
前記脚部の外側部分に位置する遮熱板と
を有し、
前記脚部は、前記軸方向において上流側に位置する上流側空間と下流側に位置する下流側空間とを前記脚部が区画するように構成されており、
前記複数の遮熱ピースのそれぞれの間において前記凸部が前記凹部に収容されることによって、前記上流側空間と前記下流側空間との間をシールし、前記上流側空間から前記下流側空間への冷却流体の漏洩を防止するように構成されている、
請求項1に記載のタービン。
【請求項3】
前記複数の遮熱ピースのそれぞれは、
前記脚部を構成する脚部ピースと、
前記遮熱板を構成する遮熱板ピースと
を含み、
前記凸部は、
前記遮熱板ピースにおいて前記一方の面に設けられた第1の凸部と
前記脚部ピースにおいて前記一方の面に設けられた第2の凸部と
を含み、
前記凹部は、
前記遮熱板ピースにおいて前記他方の面に設けられた第1の凹部と
前記脚部ピースにおいて前記他方の面に設けられた第2の凹部と
を含み、
前記複数の遮熱ピースのそれぞれの間において、前記第1の凸部が前記第1の凹部に収容されると共に、前記第2の凸部が前記第2の凹部に収容されるように構成されている、
請求項2に記載のタービン。
【請求項4】
前記第1の凸部は、
前記遮熱板ピースにおいて前記タービンロータの径方向に延在する第1の径方向凸部と、
前記遮熱板ピースにおいて前記タービンロータの軸方向に延在する第1の軸方向凸部と
を含み、
前記第1の凹部は、
前記遮熱板ピースにおいて前記タービンロータの径方向に延在する第1の径方向凹部と、
前記遮熱板ピースにおいて前記タービンロータの軸方向に延在する第1の軸方向凹部と
を含む、
請求項3に記載のタービン。
【請求項5】
前記第1の凸部は、前記第1の径方向凸部を複数含み、当該複数の第1の径方向凸部が前記軸方向に間を隔てて並ぶように設けられ、
前記第1の凹部は、前記第1の径方向凹部を複数含み、当該複数の第1の径方向凹部が前記軸方向に間を隔てて並ぶように設けられている、
請求項4に記載のタービン。
【請求項6】
前記第2の凸部は、
前記脚部ピースにおいて前記タービンロータの径方向に延在する第2の径方向凸部と、
前記脚部ピースにおいて前記タービンロータの軸方向に延在する第2の軸方向凸部と
を含み、
前記第2の凹部は、
前記脚部ピースにおいて前記タービンロータの径方向に延在する第2の径方向凹部と、
前記脚部ピースにおいて前記タービンロータの軸方向に延在する第2の軸方向凹部と
を含む、
請求項3から5のいずれかに記載のタービン。
【請求項7】
前記第2の凸部は、前記第2の軸方向凸部を複数含み、当該複数の第2の軸方向凸部が前記径方向に間を隔てて並ぶように設けられ、
前記第2の凹部は、前記第2の軸方向凹部を複数含み、当該複数の第2の軸方向凹部が前記径方向に間を隔てて並ぶように設けられている、
請求項6に記載のタービン。
【請求項8】
ケーシングと、前記ケーシングに収容されており、回転軸に沿った軸方向に作動媒体が流れることによって回転するタービンロータと、前記ケーシングの内部に設置されている静翼および前記タービンロータの外周面に設置されている動翼を含むタービン段落とを備え、前記タービン段落が前記軸方向において複数設けられているタービンにおいて遮熱を行うための遮熱装置であって、
前記タービンロータの外周面のうち前記静翼に対面する部分において、複数の遮熱ピースが前記タービンロータの回転方向に配置される遮熱部材
を有し、
前記複数の遮熱ピースのそれぞれは、
前記回転方向において前方側に位置する前方端面と、
前記回転方向において後方側に位置する後方端面と
を含み、
前記前方端面と前記後方端面とのうち一方の面には、凸部が設けられ、
前記前方端面と前記後方端面とのうち他方の面には、凹部が設けられ、
前記複数の遮熱ピースのそれぞれの間において、前記凸部が前記凹部に収容されることによって、前記複数の遮熱ピースのそれぞれの間がシールされるように構成されている、
遮熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、タービンおよび遮熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンなどのタービンを備える発電プラントにおいては、発電効率の向上のために、タービンの入口に供給される作動媒体の温度が高くなっている。このため、タービンにおいては、タービンロータや動翼等の部材を高温の作動媒体から保護し、強度を維持するために、遮熱装置が設けられている。
【0003】
遮熱装置は、例えば、タービンロータの外周面のうち静翼に対面する部分に設けられる遮熱部材であって、遮熱部材は、例えば、複数の遮熱ピースがタービンロータの回転方向に配置されることで構成される。そして、遮熱部材とタービンロータとの間に介在する空間に冷却流体を導入することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4460471号
【特許文献2】特許3040656号
【特許文献3】WO2016-142982
【特許文献4】特開2008-151007号公報
【特許文献5】特開2011-038491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[A]タービン段落の構成
図8Aは、関連技術に係るタービンにおいて、タービン段落が設けられた部分の要部を示す図である。
図8Aでは、鉛直面(xz面)の一部断面を模式的に示しており、縦方向が鉛直方向zであり、横方向が第1水平方向xであり、紙面に直交する方向が第2水平方向yである。
図8Aにおいては、作動媒体Mの流れ方向に関して太い矢印で示しており、左側が上流側Usであって右側が下流側Dsである。
【0006】
[A-1]タービンロータ43
タービン4において、タービンロータ43は、ケーシング41に収容されており、回転軸AXに沿った軸方向に作動媒体Mが流れることによって回転方向Rに回転するように構成されている。タービンロータ43は、ロータ本体部431にロータディスク432が設けられている。ロータ本体部431は、回転軸AXに沿って延在している。ロータディスク432は、ロータ本体部431の外周面において凸状に突き出るように複数設けられている。複数のロータディスク432は、回転軸AXに沿った軸方向(x)において間を隔てて配置されている。そして、ロータディスク432の外周面に動翼46が設けられている。
【0007】
[A-2]動翼46
動翼46は、タービンロータ43の径方向において内側(
図8Aでは下側)に植込部461が設けられている。植込部461は、ロータディスク432の外周面に嵌合されている。
【0008】
[A-3]静翼45
静翼45は、ケーシング41の内周面に設置されている。静翼45は、タービンロータ43の径方向において内側にダイヤフラム内輪451が設けられている。ダイヤフラム内輪451の内周面には、シールフィン451fが設けられている。
【0009】
[A-4]遮熱部材50
そして、タービンロータ43の外周面のうち静翼45に対面する部分には、遮熱部材50が遮熱装置として設けられている。ここでは、遮熱部材50は、タービンロータ43を構成するロータ本体部431の外周面においてダイヤフラム内輪451の内周面に対面する部分に支持されている。遮熱部材50は、ケーシング41の内部において作動媒体が流れる主流路と、タービンロータ43との間を遮断しており、作動媒体の熱からタービンロータ43を保護するために設けられている。
【0010】
遮熱部材50は、遮熱板51と脚部52とを備えており、タービンロータ43の径方向において外側から内側へ(
図8Aでは上側から下側へ)向かうに伴って、遮熱板51と脚部52とが順次設けられている。
【0011】
遮熱部材50において、遮熱板51は、タービンロータ43の回転軸AXに沿って延在する部分を含む。遮熱板51は、遮熱板51の外周面とダイヤフラム内輪451の内周面との間に隙間が介在していると共に、遮熱板51の内周面とロータ本体部431の外周面との間に空間SPが介在するように設置されている。
【0012】
遮熱部材50において、脚部52は、タービンロータ43の径方向に延在している。ロータ本体部431の外周面においてダイヤフラム内輪451の内周面に対面する部分には、被係合溝TRが形成されており、脚部52において径方向の内側部分が被係合溝TRに係合されている。脚部52は、例えば、軸方向に挿入されることで、被係合溝TRに係合されるように構成されている。この他に、脚部52は、例えば、回転方向Rに挿入されることで、被係合溝TRに係合されるように構成されていてもよい。
【0013】
ここでは、脚部52は、遮熱板51の内周面とロータ本体部431の外周面との間に介在する空間SPを、軸方向において上流側Usに位置する上流側空間SUと、軸方向において下流側Dsに位置する下流側空間SDとに区画するように構成されている。
【0014】
上流側空間SUには、冷却流体CFが導入される。ここでは、例えば、タービンロータ43に形成された導入口から冷却流体CFが導入される。この他に、上流側空間SUに導入された冷却流体CFは、脚部52と被係合溝TRとの間に介在する隙間を経由して、下流側空間SDが導入される。上流側空間SUおよび下流側空間SDに導入された冷却流体CFは、遮熱板51と植込部461との間を介して、作動媒体が流れる主流路に吹き出る。これにより、作動媒体が上流側空間SUおよび下流側空間SDに流入することを防止している。
【0015】
図8Bは、関連技術に係るタービンにおいて、遮熱部材50が設けられた部分を示す図である。
図8Bでは、遮熱部材50において、タービンロータ43の回転軸AXが直交する鉛直面(yz面)であって、
図8Aに示すx1-x1部分の断面を模式的に示している。
【0016】
遮熱部材50は、
図8Bに示すように、複数の遮熱ピース500を含む。複数の遮熱ピース500は、タービンロータ43の回転方向Rにおいて遮熱部材50を分割した部品である。遮熱ピース500は、回転方向Rに沿った円弧形状であって、複数の遮熱ピース500が回転方向Rに並ぶように配置されることで遮熱部材50がリング状に構成される。
【0017】
遮熱ピース500は、遮熱板ピース510と脚部ピース520とを含む。遮熱ピース500の遮熱板ピース510がタービンロータ43の回転方向Rに複数配置されることによって、遮熱部材50の遮熱板51を構成する。そして、遮熱ピース500の脚部ピース520がタービンロータ43の回転方向Rに複数配置されることによって、遮熱部材50の脚部52を構成する。
【0018】
複数の遮熱ピース500のそれぞれは、
図8Bに示すように、回転方向Rにおいて前方側Fwに位置する前方端面SFと、回転方向Rにおいて後方側Bwに位置する後方端面SBとを含む。
【0019】
図8Aに示す遮熱ピース500では、後方端面SBが図示されている。
図8Aに示すように、遮熱ピース500の後方端面SBには、凹部R51と凹部R52とが形成されている。凹部R51には、シールピン61が内部に収容されており、凹部R52には、シールピン62が内部に収容されている。シールピン61およびシールピン62は、回転方向Rに並ぶ複数の遮熱ピース500の間を密封するために設置されている。
【0020】
図8Cは、関連技術に係るタービンにおいて、遮熱部材50の一部を拡大して示す図である。
図8Cでは、遮熱部材50においてタービンロータ43の回転軸AXが直交する鉛直面(yz面)のうち、回転方向Rに隣接して並ぶ一対の遮熱ピース500の間を拡大して示している。ここでは、遮熱板51を構成する一対の遮熱板ピース510の間の部分(
図8BのX部分)を拡大して示している。
図8Cにおいて、横方向は、実質的に回転方向Rであって、左側が回転方向Rの前方側Fwであり、右側が回転方向Rの後方側Bwである。
図8Cにおいて、縦方向は、実質的に径方向に相当する。
【0021】
図8Cに示すように、一対の遮熱板ピース510の間には、
図8Aに示したシールピン61が介在している。シールピン61は、例えば、円柱形状の棒状体である。ここでは、一対の遮熱板ピース510のうち、回転方向Rの前方側Fwに位置する遮熱板ピース510の後方端面SBに凹部R510が形成されており、その凹部R510の内部にシールピン61が収容されている。図示を省略しているが、
図8Aに示した他のシールピン62もシールピン61と同様な形状であって、他のシールピン62もシールピン61と同様に凹部R520に収容されている。
【0022】
[B]課題
タービンの運転時、遮熱ピース500のそれぞれには、タービンロータ43の回転に伴って径方向に大きな遠心力が加わる。このため、一の遮熱ピース500の前方端面SFと、その一の遮熱ピース500の前方側Fwに位置する他の遮熱ピース500の後方端面SBとの間の隙間が広がる。この隙間が故障等に起因して想定を超えて広くなった場合、上記の関連技術では、シールピン61が凹部R51から脱落し、シールピン62が凹部R52から脱落する可能性がある。その結果、破損等が生ずる可能性がある。
【0023】
また、タービンの運転時に加わる遠心力によって、シールピン61は、
図8Cに示すように、凹部R51の内部において径方向の外側に移動する。これにより、凹部R51の内部には、上流側空間SUと下流側空間SDとの間を連通する連通路LCが形成される場合がある。これに伴い、上流側空間SUから下流側空間SDへ冷却流体CFが流れる流量が多くなる場合がある。つまり、遮熱ピース500の間におけるシール特性が低下する場合がある。その結果、タービンの性能が低下する場合がある。
【0024】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、破損の防止を容易に実現可能であると共に、遮熱ピースの間におけるシール特性を向上し、タービンの性能向上を容易に実現可能な、タービンおよび遮熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
実施形態のタービンは、ケーシングと、ケーシングに収容されており、回転軸に沿った軸方向に作動媒体が流れることによって回転するタービンロータと、ケーシングの内部に設置されている静翼およびタービンロータの外周面に設置されている動翼を含むタービン段落と、を備え、タービン段落が軸方向において複数設けられている。実施形態のタービンは、タービンロータの外周面のうち静翼に対面する部分において、複数の遮熱ピースがタービンロータの回転方向に配置される遮熱部材を有する。複数の遮熱ピースのそれぞれは、回転方向において前方側に位置する前方端面と、回転方向において後方側に位置する後方端面とを含み、前方端面と後方端面とのうち一方の面には、凸部が設けられ、前方端面と後方端面とのうち他方の面には、凹部が設けられている。凸部は、遮熱ピースと一体的に形成されている。複数の遮熱ピースのそれぞれの間において、凸部が凹部に収容されることによって、複数の遮熱ピースのそれぞれの間がシールされる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るタービンの要部を一例として示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るタービンにおいて、タービン段落が設けられた部分の要部を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、第1実施形態の遮熱部材50を構成する遮熱ピース500において、後方端面SBを模式的に示す図である。
【
図3B】
図3Bは、第1実施形態の遮熱部材50を構成する遮熱ピース500において、前方端面SFを模式的に示す図である。
【
図3C】
図3Cは、第1実施形態の遮熱部材50において、回転方向Rに隣接して並ぶ一対の遮熱ピース500の間を拡大して示している。
【
図4A】
図4Aは、第2実施形態の遮熱部材50を構成する遮熱ピース500において、後方端面SBを模式的に示す図である。
【
図4B】
図4Bは、第2実施形態の遮熱部材50を構成する遮熱ピース500において、前方端面SFを模式的に示す図である。
【
図5A】
図5Aは、第3実施形態の遮熱部材50を構成する遮熱ピース500において、後方端面SBを模式的に示す図である。
【
図5B】
図5Bは、第3実施形態の遮熱部材50を構成する遮熱ピース500において、前方端面SFを模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、第4実施形態の遮熱部材50において、回転方向Rに隣接して並ぶ一対の遮熱ピース500の間を拡大して示している。
【
図7】
図7は、第5実施形態の遮熱部材50において、回転方向Rに隣接して並ぶ一対の遮熱ピース500の間を拡大して示している。
【
図8A】
図8Aは、関連技術に係るタービンにおいて、タービン段落が設けられた部分の要部を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、関連技術に係るタービンにおいて、遮熱部材50が設けられた部分を示す図である。
【
図8C】
図8Cは、関連技術に係るタービンにおいて、遮熱部材50の一部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
【0028】
[A]タービンの構成
図1は、第1実施形態に係るタービンの要部を一例として示す図である。
【0029】
図1は、鉛直面(xz面)の一部断面を示しており、縦方向が鉛直方向zであり、横方向が第1水平方向xであり、紙面に直交する方向が第2水平方向yである。また、
図1では、タービン4を流れる作動媒体の流れに関して太い矢印で示しており、左側が上流側Usであって右側が下流側Dsである。
【0030】
図1に示すように、タービン4は、ケーシング41とタービンロータ43とを備えている。タービン4は、例えば、多段式であって、複数のタービン段落47が設けられている。タービン4は、例えば、ガスタービンである。
【0031】
タービン4を構成する各部について順次説明する。
【0032】
ケーシング41は、例えば、内部ケーシング41aと外部ケーシング41bとを有する二重構造であって、外部ケーシング41bが内部に内部ケーシング41aを収容している。ケーシング41において、内部ケーシング41aの内周面には、静翼45が設置されている。静翼45は、タービンロータ43の回転方向R(周方向)に複数が配置されており、複数の静翼45が静翼翼列を構成している。静翼翼列は、複数段であって、複数段の静翼翼列がタービンロータ43の回転軸AXに沿った軸方向(第1水平方向x)に並んでいる。
【0033】
タービンロータ43は、円柱状の棒状体であって、回転軸AXが第1水平方向xに延在している。タービンロータ43は、ケーシング41の内部に収容されており、回転軸AXに沿った軸方向に作動媒体が流れることによって回転するように支持されている。タービンロータ43は、外周面に動翼46が設置されている。動翼46は、タービンロータ43の回転方向Rに複数が配置されており、複数の動翼46が動翼翼列を構成している。動翼翼列は、静翼翼列と同様に、複数段であって、複数段の動翼翼列がタービンロータ43の回転軸AXに沿った軸方向(x)に沿って並んでいる。つまり、静翼翼列と動翼翼列とで構成されたタービン段落47は、複数段落であって、複数段落のタービン段落47が回転軸AXに沿った軸方向に並ぶように設けられている。
【0034】
タービン4には、燃焼器(図示省略)から作動媒体として供給される燃焼ガスをケーシング41の内部に導入するために、例えば、ガス供給管411とインレットスリーブ421とノズルボックス422とが設置されている。ガス供給管411は、外部ケーシング41bの外部に設けられている。インレットスリーブ421は、内部ケーシング41aと外部ケーシング41bとを貫通するように設けられている。ノズルボックス422は、内部ケーシング41aの内部に設けられている。
【0035】
タービン4において、作動媒体は、ガス供給管411とインレットスリーブ421とノズルボックス422とを順次流れた後に、タービンロータ43の回転軸AXに沿った軸方向(x)に流れる。このとき、作動媒体は、回転軸AXに沿った軸方向(x)に並ぶ複数段のタービン段落47のそれぞれにおいて膨張して仕事を行う。これにより、タービンロータ43が回転方向Rへ回転する。作動媒体は、最終のタービン段落47を通過した後は、排気管412を介してケーシング41の外部へ排出される。
【0036】
[B]タービン段落の構成
図2は、第1実施形態に係るタービンにおいて、タービン段落が設けられた部分の要部を示す図である。
【0037】
図2では、
図8Aと同様に、鉛直面(xz面)の一部断面を模式的に示している。
図2に示すように、本実施形態に係るタービンでは、上記した関連技術の場合(
図8A参照)と同様に、遮熱部材50が遮熱装置として設けられている。遮熱部材50は、遮熱板51と脚部52とを備えている。遮熱部材50は、上記した関連技術の場合(
図8B参照)と同様に、複数の遮熱ピース500が回転方向Rに並ぶように配置されている。複数の遮熱ピース500のそれぞれは、回転方向Rにおいて前方側Fwに位置する前方端面SFと、回転方向Rにおいて後方側Bwに位置する後方端面SBとを含む(
図8B参照)。
図2に示す遮熱ピース500では、後方端面SBが図示されている。
【0038】
図3Aは、第1実施形態の遮熱部材50を構成する遮熱ピース500において、後方端面SBを模式的に示す図である。
図3Bは、第1実施形態の遮熱部材50を構成する遮熱ピース500において、前方端面SFを模式的に示す図である。
図3Cは、第1実施形態の遮熱部材50において、回転方向Rに隣接して並ぶ一対の遮熱ピース500の間を拡大して示している。
図3Cでは、
図8Cと同様に、遮熱ピース500において遮熱板51を構成する一対の遮熱板ピース510の間の部分(
図8BのX部分)を拡大して示している。
【0039】
図2、
図3A、
図3B、および、
図3Cに示すように、本実施形態に係るタービンは、遮熱部材50を構成する遮熱ピース500の一部が、上記した関連技術の場合(
図8A、
図8C参照)と異なっている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、上記した関連技術の場合と同様であるため、重複する部分に関しては、適宜、説明を省略する。
【0040】
本実施形態の遮熱ピース500は、
図2、
図3A、
図3B、および、
図3Cに示すように、後方端面SBに凸部T50が設けられていると共に、前方端面SFに凹部R50が設けられている。ここでは、凸部T50は、遮熱ピース500と一体的に形成されている。
【0041】
具体的には、本実施形態では、遮熱ピース500は、
図3Aおよび
図3Bに示すように、脚部52を構成する脚部ピース520と、遮熱板51を構成する遮熱板ピース510とを含む。
【0042】
凸部T50は、
図3Aに示すように、第1の凸部T51と第2の凸部T52とを含むT字状である。凸部T50において、第1の凸部T51は、遮熱板ピース510の前方端面SFに設けられている。第1の凸部T51は、タービンロータ43の回転軸AXに沿った軸方向に延在している。凸部T50において、第2の凸部T52は、脚部ピース520の前方端面SFに設けられている。第2の凸部T52は、タービンロータ43の径方向に延在しており、第2の凸部T52において径方向の外側に位置する部分が第1の凸部T51に接続するように構成されている。
【0043】
凹部R50は、
図3Bに示すように、第1の凹部R51と第2の凹部R52とを含むT字状である。凹部R50において、第1の凹部R51は、遮熱板ピース510の後方端面SBに設けられている。第1の凹部R51は、第1の凸部T51と同様に、タービンロータ43の回転軸AXに沿った軸方向に延在している。凹部R50において、第2の凹部R52は、脚部ピース520の後方端面SBに設けられている。第2の凹部R52は、第2の凸部T52と同様に、タービンロータ43の径方向に延在しており、第2の凹部R52において径方向の外側に位置する部分が第1の凹部R51に接続するように構成されている。
【0044】
そして、
図3Cに示すように、回転方向Rに隣接して並ぶ一対の遮熱ピース500の間において、凸部T50が凹部R50に収容されるように構成されている。具体的には、凸部T50を構成する第1の凸部T51が、凹部R50を構成する第1の凹部R51に収容される。図示を省略しているが、第1の凸部T51と第1の凹部R51との関係と同様に、凸部T50を構成する第2の凸部T52が、凹部R50を構成する第2の凹部R52に収容される。つまり、回転方向Rに隣接して並ぶ一対の遮熱ピース500のうち、一の遮熱ピース500(第1の遮熱ピース)の後方端面SBにおいて回転方向Rに突き出る凸部T50が、その一の遮熱ピース500の後方側Bwに位置する他の遮熱ピース500(第2の遮熱ピース)の前方端面SFにおいて回転方向Rに凹んだ凹部R50に収容される。
【0045】
なお、本実施形態では、例えば、遮熱ピース500の本体について削り出し加工を施すことで、凸部T50および凹部R50が形成される。この他に、遮熱ピース500の本体とは別に、凸部T50を構成する部材を準備し、遮熱ピース500の本体に凸部T50を構成する部材を溶接などで接合してもよい。
【0046】
[C]まとめ
以上のように、本実施形態のタービンにおいて、遮熱装置として設置される遮熱部材50は、複数の遮熱ピース500のそれぞれの間において、凸部T50が凹部R50に収容される。これにより、本実施形態の遮熱部材50は、複数の遮熱ピース500のそれぞれの間がシールされる。
【0047】
本実施形態では、関連技術と異なり、シールピン61,62(
図8A参照)が設けられておらず、凸部T50が遮熱ピース500と一体的に形成されている。このため、タービン4の運転時に複数の遮熱ピース500のそれぞれに大きな遠心力が加わり、複数の遮熱ピース500の間に介在する隙間の幅が広がっても、本実施形態では、関連技術のシールピン61,62(
図8A参照)と異なり、凸部T50は脱落しない。その結果、本実施形態では、破損等の発生を防止可能である。
【0048】
また、本実施形態では、凸部T50は、関連技術のシールピン61,62(
図8A参照)と異なり、タービンの運転時に遠心力が加わっても、凹部R51の内部において移動しない。このため、本実施形態では、凹部R51の内部において上流側空間SUと下流側空間SDとの間を連通する連通路が存在する場合であっても、連通路の断面積が一定であるので、上流側空間SUから下流側空間SDへ冷却流体CFが流れる流量が変動しない。つまり、本実施形態では、タービンの運転時においても遮熱ピース500の間におけるシール特性が低下しない。また、本実施形態では、タービンにおいて作動媒体が流れる主流路へ複数の遮熱ピース500の間から冷却流体CFが漏洩することを抑制可能である。その結果、本実施形態では、タービンの性能の低下を防止可能である。
【0049】
[D]変形例
上記の実施形態では、回転方向に隣接して並ぶ一対の遮熱ピース500において、一の遮熱ピース500(第1の遮熱ピース)の後方端面SBに凸部T50が設けられ、その一の遮熱ピース500の後方側Bwに位置する他の遮熱ピース500(第2の遮熱ピース)の前方端面SFに凹部R50が設けられている場合について説明しているが、これに限らない。一の遮熱ピース500の後方端面SBに凹部R50が設けられ、他の遮熱ピース500の前方端面SFに凸部T50が設けられていてもよい。複数の遮熱ピースのそれぞれは、回転方向に隣接して並ぶ一対の遮熱ピース500において対面する後方端面SBと前方端面SFとのうち、一方の面に凸部が設けられ、他方の面に凹部が設けられていればよい。
【0050】
<第2実施形態>
[A]遮熱ピース500の構成
図4Aは、第2実施形態の遮熱部材50を構成する遮熱ピース500において、後方端面SBを模式的に示す図である。
図4Bは、第2実施形態の遮熱部材50を構成する遮熱ピース500において、前方端面SFを模式的に示す図である。
【0051】
図4Aおよび
図4Bに示すように、本実施形態では、遮熱ピース500の一部が、上記した第1実施形態の場合(
図3Aおよび
図3B参照)と異なっている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、上記した第1実施形態の場合と同様であるため、重複する部分に関しては、適宜、説明を省略する。
【0052】
本実施形態の遮熱ピース500は、
図4Aおよび
図4Bに示すように、後方端面SBに凸部T50が設けられ、前方端面SFに凹部R50が設けられている。
【0053】
本実施形態の遮熱ピース500において、凸部T50は、
図4Aに示すように、第1の凸部T51と第2の凸部T52とを含む。しかし、本実施形態では、第1の凸部T51は、第1実施形態の場合と異なり、第1の径方向凸部T511と第1の軸方向凸部T512とを有する。
【0054】
図4Aに示すように、第1の径方向凸部T511は、遮熱板ピース510においてタービンロータ43の径方向に延在している。第1の径方向凸部T511は、径方向において、第2の凸部T52と並ぶように形成されている。これに対して、第1の軸方向凸部T512は、遮熱板ピース510においてタービンロータ43の軸方向に延在している。つまり、本実施形態の遮熱ピース500において、凸部T50は、十字状に形成されている。
【0055】
本実施形態の遮熱ピース500において、凹部R50は、
図4Bに示すように、第1の凹部R51と第2の凹部R52とを含む。しかし、本実施形態では、第1の凹部R51は、第1実施形態の場合と異なり、第1の径方向凹部R511と第1の軸方向凹部R512とを有する。
【0056】
図4Bに示すように、第1の径方向凹部R511は、遮熱板ピース510においてタービンロータ43の径方向に延在している。第1の径方向凹部R511は、径方向において、第2の凹部R52と並ぶように形成されている。これに対して、第1の軸方向凹部R512は、遮熱板ピース510においてタービンロータ43の軸方向に延在している。つまり、本実施形態の遮熱ピース500において、凹部R50は、十字状に形成されている。
【0057】
[B]まとめ
以上のように、本実施形態の遮熱ピース500において、凸部T50を構成する第1の凸部T51は、第1の径方向凸部T511と第1の軸方向凸部T512とを有する。そして、本実施形態の遮熱ピース500において、凹部R50を構成する第1の凹部R51は、第1の径方向凹部R511と第1の軸方向凹部R512とを有する。このため、本実施形態では、凸部T50と凹部R50との間に介在する隙間の形状が、第1実施形態の場合よりも複雑であるため、凸部T50と凹部R50との間に介在する隙間を通過する冷却流体CFは、圧力損失が増加する。その結果、本実施形態では、第1実施形態の場合よりも、上流側空間SUから下流側空間SDへ冷却流体CFが漏洩することを抑制可能である。
【0058】
<第3実施形態>
[A]遮熱ピース500の構成
図5Aは、第3実施形態の遮熱部材50を構成する遮熱ピース500において、後方端面SBを模式的に示す図である。
図5Bは、第3実施形態の遮熱部材50を構成する遮熱ピース500において、前方端面SFを模式的に示す図である。
【0059】
図5Aおよび
図5Bに示すように、本実施形態では、遮熱ピース500の一部が、上記した第2実施形態の場合(
図4Aおよび
図4B参照)と異なっている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、上記した第2実施形態の場合と同様であるため、重複する部分に関しては、適宜、説明を省略する。
【0060】
本実施形態の遮熱ピース500は、
図5Aおよび
図5Bに示すように、後方端面SBに凸部T50が設けられ、前方端面SFに凹部R50が設けられている。
【0061】
本実施形態の遮熱ピース500において、
図5Aに示すように、第1の凸部T51と第2の凸部T52とを含む。
【0062】
本実施形態の凸部T50において、第1の凸部T51は、
図5Aに示すように、第2実施形態の場合と同様に、第1の径方向凸部T511と第1の軸方向凸部T512とを有する。しかし、本実施形態では、第1の凸部T51は、第2実施形態の場合と異なり、第1の径方向凸部T511を複数含む。複数の第1の径方向凸部T511は、第1の軸方向凸部T512と交差しており、軸方向に間を隔てて並ぶように設けられている。
【0063】
本実施形態の凸部T50において、第2の凸部T52は、
図5Aに示すように、第2実施形態の場合と異なり、第2の径方向凸部T521と第2の軸方向凸部T522とを有する。第2の径方向凸部T521は、脚部ピース520においてタービンロータ43の径方向に延在している。これに対して、第2の軸方向凸部T522は、脚部ピース520においてタービンロータ43の軸方向に延在している。本実施形態では、第2の凸部T52は、第2の軸方向凸部T522を複数含む。複数の第2の軸方向凸部T522は、第2の径方向凸部T521と交差しており、径方向に間を隔てて並ぶように設けられている。
【0064】
本実施形態の遮熱ピース500において、凹部R50は、
図5Bに示すように、第1の凹部R51と第2の凹部R52とを含む。
【0065】
本実施形態の凹部R50において、第1の凹部R51は、
図5Bに示すように、第2実施形態の場合と同様に、第1の径方向凹部R511と第1の軸方向凹部R512とを有する。しかし、本実施形態では、第1の凹部R51は、第2実施形態の場合と異なり、第1の径方向凹部R511を複数含む。複数の第1の径方向凹部R511は、第1の軸方向凹部R512と交差しており、軸方向に間を隔てて並ぶように設けられている。
【0066】
本実施形態の凹部R50において、第2の凹部R52は、
図5Bに示すように、第2実施形態の場合と異なり、第2の径方向凹部R521と第2の軸方向凹部R522とを有する。第2の径方向凹部R521は、脚部ピース520においてタービンロータ43の径方向に延在している。これに対して、第2の軸方向凹部R522は、脚部ピース520においてタービンロータ43の軸方向に延在している。本実施形態では、第2の凹部R52は、第2の軸方向凹部R522を複数含む。複数の第2の軸方向凹部R522は、第2の径方向凹部R521と交差しており、径方向に間を隔てて並ぶように設けられている。
【0067】
[B]まとめ
以上のように、本実施形態の遮熱ピース500において、凸部T50を構成する第1の凸部T51は、第1の径方向凸部T511と第1の軸方向凸部T512とを有する。そして、本実施形態の遮熱ピース500において、凹部R50を構成する第1の凹部R51は、第1の径方向凹部R511と第1の軸方向凹部R512とを有する。本実施形態では、第1の径方向凸部T511は、複数であって、その複数の第1の径方向凸部T511が軸方向に間を隔てて並ぶように設けられている。同様に、第1の径方向凹部R511は、複数であって、その複数の第1の径方向凹部R511が軸方向に間を隔てて並ぶように設けられている。
【0068】
更に、本実施形態では、凸部T50を構成する第2の凸部T52は、第2の径方向凸部T521と第2の軸方向凸部T522とを有し、凹部R50を構成する第2の凹部R52は、第2の径方向凹部R521と第2の軸方向凹部R522とを有する。第2の軸方向凸部T522は、複数であって、その複数の第2の軸方向凸部T522が径方向に間を隔てて並ぶように設けられている。同様に、第2の軸方向凹部R522は、複数であって、その複数の第2の軸方向凹部R522が径方向に間を隔てて並ぶように設けられている。
【0069】
このため、本実施形態では、凸部T50と凹部R50との間に介在する隙間の形状が、第2実施形態の場合よりも複雑であるため、凸部T50と凹部R50との間に介在する隙間を通過する冷却流体CFは、圧力損失が増加する。その結果、本実施形態では、第2実施形態の場合よりも、上流側空間SUから下流側空間SDへ冷却流体CFが漏洩することを抑制可能である。
【0070】
<第4実施形態>
[A]遮熱ピース500の構成
図6は、第4実施形態の遮熱部材50において、回転方向Rに隣接して並ぶ一対の遮熱ピース500の間を拡大して示している。
図6では、
図3Cと同様に、遮熱ピース500において遮熱板51を構成する一対の遮熱板ピース510の間の部分(
図8BのX部分)を拡大して示している。
【0071】
図6に示すように、本実施形態では、遮熱板ピース510に形成された第1の凸部T51の形状および第1の凹部R51の形状が、上記した第1実施形態の場合(
図3C参照)と異なっている。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、上記した第1実施形態の場合と同様であるため、重複する部分に関しては、適宜、説明を省略する。
【0072】
本実施形態では、
図6に示すように、遮熱板ピース510に形成された第1の凸部T51は、先端部分の形状が、第1実施形態の場合(
図3C参照)と異なり、円弧状の曲面である。また、遮熱板ピース510に形成された第1の凹部R51は、第1の凸部T51の先端部分の形状と同様に、第1実施形態の場合(
図3C参照)と異なり、円弧状の曲面である。
【0073】
図示を省略しているが、遮熱ピース500において脚部52を構成する一対の脚部ピース520に形成された第2の凸部T52および第2の凹部R52も、同様に構成されている。
【0074】
[B]まとめ
このため、本実施形態では、複数の遮熱ピース500の間において凸部T50を凹部R50に容易に挿入することが可能であるため、複数の遮熱ピース500から遮熱部材50を容易に組み立てることができる。
【0075】
<第5実施形態>
[A]遮熱ピース500の構成
図7は、第5実施形態の遮熱部材50において、回転方向Rに隣接して並ぶ一対の遮熱ピース500の間を拡大して示している。
図7では、
図3Cと同様に、遮熱ピース500において遮熱板51を構成する一対の遮熱板ピース510の間の部分(
図8BのX部分)を拡大して示している。
【0076】
図7に示すように、本実施形態では、遮熱板ピース510に形成された第1の凸部T51および第1の凹部R51が、上記した第1実施形態の場合(
図3C参照)と異なり、複数である。この点、および、これに関連する点を除き、本実施形態は、上記した第1実施形態の場合と同様であるため、重複する部分に関しては、適宜、説明を省略する。
【0077】
本実施形態では、
図7に示すように、遮熱板ピース510に形成された複数の第1の凸部T51は、軸方向に間を隔てて並ぶように設けられている。また、遮熱板ピース510に形成された複数の第1の凹部R51は、複数の第1の凸部T51と同様に、軸方向に間を隔てて並ぶように設けられている。
【0078】
図示を省略しているが、遮熱ピース500において脚部52を構成する一対の脚部ピース520に形成された第2の凸部T52および第2の凹部R52も、複数であってもよい。
【0079】
[B]まとめ
これにより、本実施形態では、凸部T50と凹部R50との間に介在する隙間の形状が、第2実施形態の場合よりも複雑であるため、凸部T50と凹部R50との間に介在する隙間を通過する冷却流体CFは、圧力損失が増加する。その結果、本実施形態では、第2実施形態の場合よりも、上流側空間SUから下流側空間SDへ冷却流体CFが漏洩することを抑制可能である。
【0080】
<その他>
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0082】
4:タービン、41:ケーシング、41a:内部ケーシング、41b:外部ケーシング、43:タービンロータ、45:静翼、46:動翼、47:タービン段落、50:遮熱部材、51:遮熱板、52:脚部、61:シールピン、62:シールピン、411:ガス供給管、412:排気管、421:インレットスリーブ、422:ノズルボックス、431:ロータ本体部、432:ロータディスク、451:ダイヤフラム内輪、451f:シールフィン、461:植込部、500:遮熱ピース、510:遮熱板ピース、520:脚部ピース、AX:回転軸、Bw:後方側、CF:冷却流体、Ds:下流側、Fw:前方側、LC:連通路、M:作動媒体、R:回転方向、R50:凹部、R51:第1の凹部、R51:凹部、R510:凹部、R511:第1の径方向凹部、R512:第1の軸方向凹部、R52:第2の凹部、R520:凹部、R521:第2の径方向凹部、R522:第2の軸方向凹部、SB:後方端面、SD:下流側空間、SF:前方端面、SP:空間、SU:上流側空間、T50:凸部、T51:第1の凸部、T511:第1の径方向凸部、T512:第1の軸方向凸部、T52:第2の凸部、T521:第2の径方向凸部、T522:第2の軸方向凸部、TR:被係合溝、Us:上流側、x:第1水平方向、y:第2水平方向、z:鉛直方向、