(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120507
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】止水板の移動式収納装置
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20240829BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E04H9/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027343
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 裕司
【テーマコード(参考)】
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E139AA10
2E139AC19
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】複数の止水板を損傷することなく好適に収納できるとともに、移動性にも優れる止水板の移動式収納装置を提供することを課題とする。
【解決手段】複数の支持収納部30と、前記複数の前記支持収納部30の下側を支持する基台40と、前記基台の下端面に設けられる転動部50と、を有する止水板の移動式収納装置20において、前記複数の前記支持収納部30は、所定間隔をあけて配置される一対の前記支持収納部30を用いて1つの止水板10を支持するものであって、前記基台40に対して一対を一組として複数組設置され、前記複数の前記支持収納部30は、複数の前記止水板10を、第1止水部材11が上下方向となるとともに第2止水部材13が下側に位置する起立状態で、且つ、前記複数の前記止水板10が所定間隔をおいた並列状態となるように支持し収納する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持収納部と、
前記複数の前記支持収納部の下側を支持する基台と、
前記基台の下端面に設けられる転動部と、
を有する止水板の移動式収納装置において、
前記止水板の内側面における長手方向の両端部には、前記止水板の高さ方向に延びる第1止水部材が設けられるとともに、前記止水板の下面には、前記止水板の長手方向に延びる第2止水部材が設けられており、
前記複数の前記支持収納部は、所定間隔をあけて配置される一対の前記支持収納部を用いて1つの前記止水板を支持するものであって、前記基台に対して一対を一組として複数組設置され、
前記複数の前記支持収納部は、複数の前記止水板を、前記第1止水部材が上下方向となるとともに前記第2止水部材が下側に位置する起立状態で、且つ、前記複数の前記止水板が所定間隔をおいた並列状態となるように支持し収納することを特徴とする止水板の移動式収納装置。
【請求項2】
前記支持収納部は、上方側が開口する上方開口部と、前記一対の前記支持収納部における対向する側が開口する側方開口部と、前記止水板の端部を支持し収納する収納空間と、を有することを特徴とする請求項1に記載の止水板の移動式収納装置。
【請求項3】
前記支持収納部は、台座部を有し、
前記台座部は、前記止水板の下面における前記第2止水部材が配置されていない部分を下方から支持することを特徴とする請求項2に記載の止水板の移動式収納装置。
【請求項4】
前記支持収納部は、第1壁部と、第2壁部と、第3壁部と、第4壁部と、第5壁部と、を有し、
前記第1壁部と、前記第4壁部及び前記第5壁部とは、前記止水板の厚み方向で互いに対向し、前記第2壁部と前記第3壁部とは、前記止水板の長手方向で互いに対向するとともに、前記第1壁部の一辺は、前記第2壁部を介して前記第4壁部の一辺と連結し、前記第1壁部の他辺は、前記第3壁部を介して前記第5壁部の一辺と連結し、
前記各壁部における水平方向の各長さは、前記第4壁部の長さ及び前記第5壁部の長さが、前記第1壁部の長さよりも短く構成され、前記第2壁部の長さが、前記第3壁部の長さよりも短く構成され、
前記第5壁部の上下方向の高さは、前記第4壁部の上下方向の高さよりも低く構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の止水板の移動式収納装置。
【請求項5】
前記支持収納部及び前記基台は、前記止水板を前記支持収納部に支持し収納した際に漏れ出た液体を外部に排出するための排出部を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の止水板の移動式収納装置。
【請求項6】
前記支持収納部は、前記支持収納部に支持し収納した前記止水板を押圧して固定するための固定機構を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の止水板の移動式収納装置。
【請求項7】
前記複数の前記支持収納部は、前記基台に対して少なくとも二組設置され、
前記二組の前記支持収納部に支持される2つの前記止水板は、それぞれの外側面が外側を向き、それぞれの内側面が内側に対向するように支持されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の止水板の移動式収納装置。
【請求項8】
前記基台は、
前記止水板の厚み方向に延びる第1構造部と、
前記止水板の長手方向に延びる第2構造部と、
前記止水板の厚み方向に延びる第3構造部と、を有し、
前記第1構造部の一端部と前記第3構造部の一端部に、前記第2構造部の各端部が連接されて平面視略コ字状に形成され、
前記複数の前記支持収納部は、前記基台の前記第1構造部及び前記第3構造部に配設されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の止水板の移動式収納装置。
【請求項9】
前記基台は、
前記止水板の厚み方向に延びる第1構造部と、
前記止水板の長手方向に延びる第2構造部と、
前記止水板の厚み方向に延びる第3構造部と、を有し、
前記第1構造部の略中央部と前記第3構造部の略中央部に、前記第2構造部の一端部及び他端部がそれぞれ連接されて平面視略H字状に形成され、
前記複数の前記支持収納部は、前記基台の前記第1構造部及び前記第3構造部に配設されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の止水板の移動式収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、止水板の移動式収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
台風や集中豪雨などによる増水が、建物や地下道の開口部に侵入すると、浸水による甚大な被害を及ぼすおそれがある。そこで、このような事態が想定される場合に、開口部に止水板を装着し、この止水板により水の浸入を阻むようにした従来技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、止水板は、台風や集中豪雨などによる増水時に使用されるものであるため、通常時には倉庫等の保管場所に保管されている。しかし、倉庫等の保管場所には他の保管物も保管されていることから、複数の止水板を保管するための保管スペースには制約がある。
また、止水板には、止水用の止水ゴム等の機能部材も取り付けられており、この機能部材を損傷することなく保管する必要もある。さらに、止水板の保管場所と設置場所との間で、止水板を移動、運搬する際の改善の余地もある。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであって、複数の止水板を損傷することなく好適に収納できるとともに、移動性にも優れる止水板の移動式収納装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題に鑑みて、本発明の一つは、以下の構成を具備するものである。
複数の支持収納部と、前記複数の前記支持収納部の下側を支持する基台と、前記基台の下端面に設けられる転動部と、を有する止水板の移動式収納装置において、前記止水板の内側面における長手方向の両端部には、前記止水板の高さ方向に延びる第1止水部材が設けられるとともに、前記止水板の下面には、前記止水板の長手方向に延びる第2止水部材が設けられており、前記複数の前記支持収納部は、所定間隔をあけて配置される一対の前記支持収納部を用いて1つの前記止水板を支持するものであって、前記基台に対して一対を一組として複数組設置され、前記複数の前記支持収納部は、複数の前記止水板を、前記第1止水部材が上下方向となるとともに前記第2止水部材が下側に位置する起立状態で、且つ、前記複数の前記止水板が所定間隔をおいた並列状態となるように支持し収納することを特徴とする止水板の移動式収納装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上のように構成されているので、複数の止水板を損傷することなく好適に収納できるとともに、止水板の保管場所と設置場所との間を容易に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】止水板の設置状態の一例を示す概略正面図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1のI-I概略断面図であり、
図2(b)は、
図1のII-II概略断面図である。
【
図3】本発明に係る移動式収納装置の一例を示す概略側面図である。
【
図5】同移動式収納装置における支持収納部の構造の例を示す概略斜視図である。
【
図6】本発明に係る移動式収納装置の第2の実施形態を示す概略側面図である。
【
図7】本発明に係る移動式収納装置の第3の実施形態を示す概略平面図である。
【
図8】本発明に係る移動式収納装置の第4の実施形態を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、止水板の設置状態の一例を示す概略正面図であり、設置時の外側(屋外側)から見た図である。また、
図2(a)は、
図1のI-I概略断面図であり、
図2(b)は、
図1のII-II概略断面図である。
【0010】
移動式収納装置20の収納対象となる止水板10は、構造物の内側(屋内側)と外側(屋外側)とを連通する開口部Cの外側で開口部Cを閉塞する板形状の部材であり、開口部Cの幅方向(
図1の左右方向)に沿って配置される。止水板10は、開口部Cの幅方向に沿って設置される。止水板10は、開口部Cの一部を構成する床面Eから所定の高さまで当該開口部Cを閉塞可能であり、開口部Cの内側に雨水等が浸入することを防止する。
止水板10は、例えば、開口部Cを構成する左右一対の構造体Dに止水板10の幅方向の両端部を密着させ、かつ止水板10の下面部を床面に密着させることにより、止水性能を確保する。
なお、開口部Cの開口幅が広い場合には、中柱を用いることで、幅方向に配列する止水板10を増加して、同様な止水を実現することができる。
【0011】
まず、止水板10の具体的な構成について説明する。
(止水板の構成)
図1及び
図2に示すように、止水板10は、開口部Cの幅方向(
図1、
図2の左右方向)に沿って設置可能な長い板形状の構造体であり、その長手方向の(
図1、
図2の左右方向)の長さが開口部Cの幅方向の長さよりも長く設定されている。
止水板10は、設置時の外側面10aで受け止めた雨水の水圧に耐えうる強度を有し、かつ、利用者が単独で持ち運びできる程度の重量であることが好ましく、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金、ステンレスなど、軽量で強度の高い材料で構成されている。
【0012】
なお、止水板10は、外形を規定するフレームを金属で形成し、フレームの内部を遮水性の材料で塞ぐような形態でもよい。遮水性の材料として、例えば、発泡材やシートを用いることができる。この場合、止水板10の軽量化に寄与できる。
また、止水板10には、利用者が運搬作業や設置作業を容易にできるように、例えば上面に取っ手を備えてもよいし、外側面10aや内側面10bに把持用の取っ手や凹凸等を設けてもよい。
【0013】
止水板10の内側面10bの両端部には、
図2(b)に示されるように、開口部Cを構成する構造体Dの外側面D1と水密に接触する上下方向に延びる帯状の第1止水部材11が取付金具12を用いて取り付けられている。また、止水板10の下面10cには、
図1に示されるように、開口部Cの一部を構成する床面Eと水密に接触する長手方向(
図1の左右方向)に延びる帯状の第2止水部材13が取り付けられている。
【0014】
第1止水部材11および第2止水部材13は、例えば弾性部材であり、ゴム材(発泡ゴムを含む)、エラストマ、柔軟性樹脂等で形成することができる。
第1止水部材11は、止水板10が開口部Cに設置された場合に、弾性変形して構造体Dに対して止水性を維持するように機能する。また、第2止水部材13は、止水板10が開口部Cに設置された場合に、弾性変形して床面Eに対して止水性を維持するように機能する。
なお、第2止水部材13は、第1止水部材11と共通の矩形断面形状としてもよいが、止水板10の自重および後述する係脱機構14による押圧力により変形することを考慮して、外力が作用していない状態で、第1止水部材11よりも厚く形成するようにしてもよい。
【0015】
止水板10は、止水板10を開口部Cに設置固定するための機構として、係脱機構14及び位置決め機構15を備える。
係脱機構14は、止水板10を左右の構造体D及び床面Eに押し付けるようにして装着したり、この装着状態を解除し、止水板10を開口部Cから取り外し可能にしたりするための装置である。この係脱機構14には、例えば、特許文献1に開示される公知の保持機構を適用することが可能である。
【0016】
位置決め機構15は、
図2(b)に示されるように、例えば、止水板10の内側面10bの下部領域の両端部側に設けられている。位置決め機構15は、当接部15aと軸部15bと台座15cと調整部15dで構成されており、止水板10が開口部Cに配置された場合に、当接部15aが構造体Dの側面(対向面)D2に突き当たるように構成されている。
【0017】
当接部15aは、止水板10の幅方向における位置決めを可能にするように、幅方向における外側に突出量が調整可能である。当接部15aは、構造体Dの側面(対向面)D2と接触可能な、例えば円板状の部品であり、例えば、弾性変形が小さい硬質ゴムなどの弾性体により構成されている。
【0018】
軸部15bは、棒状であり、外周面に雄ねじが形成されている。軸部15bは、例えば、山型鋼等で構成される台座15cの挿入孔(不図示)に挿入され、その一端部に当接部15aが固定されている。この軸部15bは、例えば、軸部15bに螺合するナット等からなる調整部15dにより台座15cに対する位置決めおよび固定が可能であり、この調整部15dを調整(台座15cに対する当接部15aの位置を調節)することで、当接部15aを止水板10に対して長手方向(開口部Cの幅方向)に移動自在とし、かつ止水板10の位置を保持する。
【0019】
このように、本実施形態の止水板10は、台風や集中豪雨などによる増水時に構造物の開口部Cの幅方向に沿って配置され、開口部Cの内側に雨水等が浸入することを防止する。
【0020】
(移動式収納装置)
次に、複数の止水板10を収納する移動式収納装置20について説明する。
図3は、本発明に係る移動式収納装置の一例を示す概略側面図であり、
図4は、同移動式収納装置の一例を示す概略平面図であり、
図5は、同移動式収納装置における支持収納部の構造の例を示す概略斜視図である。
【0021】
止水板10は、台風や集中豪雨などによる増水時に使用されるものであるため、通常時には倉庫等の保管場所に移動式収納装置20を用いて保管されている。
移動式収納装置20は、
図3及び
図4に示すように、複数の止水板10を支持し収納する支持収納部30と、支持収納部30の下側を支持する基台40と、基台40を床面や路面に対して転動可能(移動可能)に支持する転動部50と、を備えている。この移動式収納装置20は、複数の止水板10を、その長手方向を水平にして起立させた起立状態で支持し収納するとともに、台風や集中豪雨などによる増水時に、倉庫等の保管場所から建物や地下道の開口部Cに止水板10を運搬する際に使用される。
【0022】
<支持収納部>
支持収納部30は、一対の支持収納部30を用いて、1つの止水板10を支持するように構成されており、例えば、
図4に示すように、基台40に対して一対を一組として複数組設置され、複数の止水板10を、その長手方向(
図4の上下方向)を水平にして起立状態で支持し収納する。つまり、複数の支持収納部30(301~304)は、複数の止水板10(101,102)を、止水板10の第1止水部材11が上下方向となるとともに第2止水部材13が下側に位置する起立状態で、且つ、複数の止水板10(101,102)が所定間隔をおいた並列状態となるように支持し収納する。
【0023】
図3及び
図4には、一組の支持収納部301,302と他の組の支持収納部303,304の2組の支持収納部30を設置し、2つの止水板10(101,102)を支持し収納するように構成された例が示されている。
なお、
図4において、
図4の上側に示す支持収納部301及び支持収納部303は、それらの下方側の状態を概略平面断面図として示したものであり、また、
図4の下側に示す支持収納部302及び支持収納部304は、それらの上方側からの状態を概略平面図として示したものである。また、
図4の右側に示す止水板102も同様に示している。
【0024】
図4に示されているように、一の組をなす一対の支持収納部301,302が、1つの止水板10(101)を起立状態で支持するように、止水板10の長手方向の長さに対応する間隔(設置間隔)をあけて、ネジ、ボルト等の締結部材を用いて、あるいは溶接により基台40に固定される。
また、他の組をなす一対の支持収納部303,304が、他の止水板10(102)を起立状態で支持するように、止水板10の長手方向の長さに対応する間隔(設置間隔)を空けて、ネジ、ボルト等の締結部材を用いて、あるいは溶接により基台40に固定される。
一対の支持収納部30の設置間隔は、止水板10を挿入することができ、かつ、止水板10を支持することができるように、止水板10の長手方向の長さに基づいて設定される。
【0025】
一の組をなす一対の支持収納部301と支持収納部302とは、止水板10の長手方向(
図4の上下方向)において対称形状をなし、他の組をなす支持収納部303と支持収納部304とは、止水板10の長手方向において対称形状をなす。
また、一の組をなす支持収納部301及び支持収納部302と、他の組をなす支持収納部303及び支持収納部304とは、止水板10の厚み方向(
図4の左右方向)方向において対象形状をなす。
【0026】
一の組をなす支持収納部301の第1壁部31と、他の組をなす支持収納部303の各第1壁部31とは、隣接した当接状態で配置されるとともに、両壁部同士は、ネジ、ボルト等の締結部材を用いて、あるいは溶接により一体的に固定される。また、一の組をなす支持収納部302の第1壁部31と、他の組をなす支持収納部304の第1壁部31も、同様に隣接した当接状態で配置されるとともに一体的に固定される。
したがって、一の組をなす一対の支持収納部301,302は、それぞれ、他の組をなす一対の支持収納部303,304と一体の剛体として構成されるため、支持収納部30の剛性を高めることができる。
【0027】
1つの止水板10(101)は、一の組をなす一対の支持収納部301,302に、その外側面10aが外側(
図4の左側)を向くように支持され、また、他の止水板10(102)は、他の組をなす一対の支持収納部303,304に、その外側面10aが外側(
図4の右側)を向くように支持される。したがって、2つの止水板10は、それぞれの外側面10aが外側を向き、また、それぞれの内側面10bが内側に対向するように支持されることになる。
したがって、止水板10の内側面10bに配置された第1止水部材11や位置決め機構15等の各機能部は、移動式収納装置20の内面側に位置し外部から保護された状態で収納されることから、変形や劣化、破損等を防止することができる。
さらに、止水板10の外側面10aが移動式収納装置20の外面側に位置して収納されるため、収納時の外観性も向上する。
【0028】
[支持収納部の構成]
次に、支持収納部30の具体的な構成について説明する。
図5は、支持収納部30の一例を示す概略斜視図である。なお、
図5に示す支持収納部30は、
図4に示す支持収納部301の例を示しているが、他の支持収納部302~304も対称構造であり同様に構成されている。
【0029】
支持収納部30は、
図5に示すように、例えば、第1壁部31、第2壁部32、第3壁部33、第4壁部34、第5壁部35、底部36、台座部37、開口部38及び収納空間39を含み構成されている。
【0030】
[各壁部]
第1壁部31と、第4壁部34及び第5壁部35とは、止水板10の厚み方向で互いに対向し、第2壁部32と第3壁部33とは、止水板10の長手方向で互いに対向する。また、第1壁部31の一辺は、第2壁部32を介して第4壁部34の一辺と連結し、第1壁部31の他辺は、第3壁部33を介して第5壁部35の一辺と連結する。
これらの壁部31~35は、例えば、金属の板材を折曲げ加工することで上下方向に延在する筒状の部材として形成される。なお、各壁部31~35を構成する構成材は、金属製の素材に限定されず、各種素材(木材、合成樹脂素材など)を用いて構成することもできる。
【0031】
また、各壁部31~35における水平方向の各長さ31L~35Lについて、第4壁部34の長さ34L及び第5壁部35の長さ35Lは、
図5に示すように、第1壁部31の長さ31Lよりも短く構成されている。また、第2壁部32の長さ32Lは、第3壁部33の長さ33Lよりも短く構成されている。
したがって、支持収納部30は、開口部38として、その上方側が開口する上方開口部38aと、一対の支持収納部30における対向する側の一部が開口する側方開口部38bが形成される。これら上方開口部38a及び側方開口部38bを通して、止水板10の長手方向における端部が挿入される。
【0032】
また、第5壁部35の上下方向の高さ35Hは、
図5に示すように、第3壁部33の上下方向の高さ33Hよりも低く構成されている。
また、第5壁部35の上下方向の高さ35Hは、
図5に示すように、第4壁部34の上下方向の高さ34Hよりも低く構成されている。
したがって、支持収納部30の上方開口部38a及び側方開口部38bに広がりができることから、これらの上方開口部38a及び側方開口部38bを通して、支持収納部30に対する止水板10の搬入・搬出をより容易に行うことができる。例えば、止水板10を、支持収納部30の上方開口部38a及び側方開口部38bに、斜め状態に倒した状態でも出し入れすることが可能となる。
【0033】
なお、各壁部31~35の長さや高さは、上記の例に限定されず、支持収納部30に対して止水板10を搬入あるいは搬出する際の搬入・搬出性や、止水板10を支持し収納する際の収納性等を考慮して設定される。
例えば、
図5に示す第5壁部35の上下方向の高さ35Hを、第3壁部33の上下方向の高さ33Hと同様の高さに構成してもよい。この場合、止水板10を支持する支持領域が増えることから、止水板10を支持する際の支持性がより向上する。
【0034】
また、第4壁部34の外側面には、止水板10の内側面10bと当接可能な緩衝部材34aが設けられる。また、第5壁部35の内側面には、止水板10の外側面10aと当接可能な緩衝部材35aが設けられている。なお、
図5においては、第5壁部35の内側面に設けられた緩衝部材35aの配設態様を説明するため、第5壁部35の一部(点線で示す)を取り除いた状態でその内部構造を概略的に図示している。
【0035】
各緩衝部材34a,35aは、上下方向に延びる長尺状に形成されており、第4壁部34の外側面及び第5壁部35の内側面に接着剤等の固定手段によって固定されている。
これら緩衝部材34a,35aは、ゴムや樹脂などの弾性材料(緩衝材)からなり、止水板10を厚み方向(屋内外方向)から当接して支持する。したがって、止水板10の外側面10a及び内側面10bを傷つけることなく支持し収納することができる。
【0036】
[底部]
第1壁部31、第2壁部32、第3壁部33、第4壁部34及び第5壁部35の下端は、底部36に溶接、接着剤及び各種固定具等の固定手段によって取付け固定される。この底部36には、
図5及び
図6に示すように、止水板10の使用後、止水板10を支持収納部30に支持した際に漏れ出た水等の液体を外部に排出するための排出部36aが設けられている。この排出部36aは、例えば、底部36に形成した切欠きや貫通孔等から構成することができる。
止水板10から漏れ出た水等の液体は、この排出部36a及び後述する基台40に設けた排出部を介して、移動式収納装置20の外部に排出することができる。
【0037】
[台座部]
台座部37は、
図3及び
図5に示すように、止水板10の下面10cにおける第2止水部材13の設けられていない部分10c1を支持するように底部36に設けられる。つまり、止水板10の下面10cには、止水板10の厚み方向の略半分の領域に長手方向に延びる帯状の第2止水部材13が固定されており、台座部37は、この第2止水部材13が配置されていない部分10c1を下方から支持する。
したがって、止水板10を支持収納部30で支持する場合には、第2止水部材13の配置されていない部分10c1が台座部37に支持され、第2止水部材13は支持収納部30と非接触状態となるため、保管時に第2止水部材13の変形や劣化、破損等を防止することができる。
【0038】
なお、本実施形態において、台座部37の長さ37L(止水板10の長手方向に沿って延びる長さ)は、
図5に示すように、第1壁部31の長さ31Lよりも短く構成しているが、その例に限定されない。台座部37の長さ37Lを第1壁部31の長さ31Lと略同一に構成することも、あるいは、第1壁部31の長さ31Lよりも長く構成してもよい。
【0039】
また、台座部37の上面には、止水板10の下面10c(第2止水部材13が配置されていない部分10c1)を支持する緩衝部材37aが設けられている。この緩衝部材37aは、水平方向に延びる長尺状に形成されており、台座部37の上面に接着剤等の固定手段によって固定されている。
緩衝部材37aは、ゴムや樹脂などの弾性材料(緩衝材)からなり、止水板10の下面10c(第2止水部材13が配置されていない部分10c1)を傷つけることなく支持することができる。
【0040】
[開口部、収納空間]
上述したとおり、支持収納部30は、第1壁部31、第2壁部32、第3壁部33、第4壁部34、第5壁部35及び底部36が組み合わされて構成されることにより、開口部として、支持収納部30の上方側が開口する上方開口部38aと、一対の支持収納部30における対向する側が開口する側方開口部38bが形成されるとともに、止水板10の端部を支持し収納する収納空間39が形成される。
【0041】
止水板10の両端部は、上方開口部38a及び側方開口部38bを通して、各組をなす一対の支持収納部30に容易に挿入されるとともに、一対の支持収納部30から容易に取り出すことができる。
また、止水板10の位置決め機構15、第1止水部材11及び第2止水部材13等の各機能部は、
図3及び
図4に示されているように、支持収納部30の収納空間39内に、支持収納部30を構成する各壁部31~35、底部36及び台座部37と非接触状態(離隔状態)で収納される。したがって、止水板10の各機能部は、外部から保護された状態で収納されるとともに、収納時に傷つけることなく保持することができる。
【0042】
このように、2つの止水板10(101,102)は、支持収納部30(301~304)により、厚さ方向に間隔をあけて、各内側面10bを対向するように支持され収納される。
したがって、各止水板10(101,102)の各内側面10bに設けられている第1止水部材11及び位置決め機構15は、外側に露出することなく、各支持収納部30の収納空間39内において保護された状態で安定して保管することができる。
また、2つの止水板10(101,102)は、各外側面10aが外方に向けて配置されているため、外側から視た意匠性も向上する。
【0043】
<基台>
基台40は、
図3及び
図4に示されているように、例えば、平面視略矩形状をなし、その上面に複数の支持収納部30(301~304)を支持する。この基台40は、例えば、矩形状や梯子状等に組まれた金属製枠体と、この金属製枠体の上面を覆う金属板等から、上面を平坦にした一体台状に構成される。
なお、基台40の構成は、上記の例に限定されず、例えば、単数の平板状部材からなる態様とすることもできる。また、基台40を構成する構成材は、金属製の素材に限定されず、各種素材(木材、合成樹脂素材など)を用いて構成することもできる。
【0044】
また、基台40には、止水板10から漏れ出た水等の液体を排出する排出部(不図示)を設けてもよい。この場合、排出部は、例えば、支持収納部30の排出部36aと連通(連続)し、支持収納部30の排出部36aから流下する液体を移動式収納装置20の外部に排出するように構成される。この排出部は、例えば、基台40の上面に形成した凹溝(排出部36aに対向する部位から基台40の端部にまで延びる凹溝)や、基台40を上下方向に貫通する貫通孔(排出部36aに対向する部位から基台40の下面にまで貫通する貫通孔)として構成することができる。
止水板10から漏れ出た水等の液体は、支持収納部30の排出部36a、及び、基台40に設けた排出部を介して移動式収納装置20の外部に速やかに排出することができるので、止水板10の保管時の保管環境をより向上させることができる。
【0045】
<転動部>
転動部50(例えば、キャスター)は、
図3に示すように、車輪50aを備え、基台40を支持しながら床面や路面を転動するように、基台40の下端面に複数設けられる。この転動部50は、前後方向及び左右方向、斜め方向等、所望とする方向へ自在に転動可能に構成されている。
また、転動部50は、車輪50aを転動不能にロックする公知のロック機構(不図示)を備え、このロック機構をロックすることで、移動式収納装置20を倉庫等の保管場所や、床面や路面の任意の位置に不動に静止させることができる。
【0046】
以上説明したように、本発明に係る移動式収納装置20は、移動式収納装置20に止水板10を収納する際、複数の止水板10は、その長手方向を水平にして起立させた起立状態で支持収納部30に支持し収納される。したがって、複数の止水板10を省スペースで保管することができる。
また、止水板10の第1止水部材11や位置決め機構15の各機能部は、移動式収納装置20の内面側に位置し外部から保護された状態で収納されることから、変形や劣化、破損等を防止することができる。さらに、止水板10の外側面10aが移動式収納装置20の外面側に位置して収納されるため、収納時の外観性も向上する。
【0047】
また、止水板10は、第2止水部材13の配置されていない部分10c1が台座部37に支持され、第2止水部材13は支持収納部30と非接触状態となるため、保管時に第2止水部材13の変形や劣化、破損等を防止することができる。
【0048】
さらに、移動式収納装置20は、複数の止水板10を収納し支持した状態で、止水板10の設置場所と倉庫等の保管場所との間を移動することができるとともに、任意の位置に不動に静止させることができるため、運搬性及び収納性に優れている。
【0049】
次に、本発明に係る移動式収納装置の他の実施形態について、それぞれ
図6、
図7及び
図8を参照して説明する。
なお、以下に説明する他の実施形態の移動式収納装置20A,20B,20Cは、上述した移動式収納装置20の構成の一部を変更したものであるため、主にその変更部分について説明し、上記移動式収納装置20と同一となる構成には同一の符号を付けて重複する説明を省略する。
【0050】
(第2の実施形態)
図6は、本発明に係る移動式収納装置の第2の実施形態を示す概略側面図である。第2の実施形態の移動式収納装置20Aは、上述した移動式収納装置20と同様に、2つの止水板10(101,102)を支持し収納する支持収納部30(301~304)と、支持収納部30の下側を支持する基台40と、基台40を床面や路面に対して転動可能(移動可能)に支持する転動部50と、を備えている。
この移動式収納装置20Aは、上述した移動式収納装置20に止水板10を押圧して固定するための固定機構60を追加的に設けて構成したものである。移動式収納装置20Aにおけるその他の構成については移動式収納装置20の構成と同様であるので、以下、固定機構60の構成について説明する。
【0051】
固定機構60は、支持収納部30の第5壁部35に設けられる。固定機構60は、ネジ軸61aの一端につまみ61bを設けたネジ61(例えば、蝶ネジ)と、ネジ軸61aと螺合する雌ネジを形成したナット62と、ネジ軸61aの他端に設けられた押圧部63を含み構成されている。
ナット62は、支持収納部30の第5壁部35に形成された貫通孔(不図示)と挿通するように第5壁部35の外表面に固定されている。
また、押圧部63は、ゴムや樹脂などの弾性材料(緩衝材)からなり、止水板10の外側面10aを傷つけることなく押圧することができる。
【0052】
この第2の実施形態の移動式収納装置20Aによれば、止水板10を支持収納部30に支持させた後、固定機構60のネジ61を回動させることで、固定機構60の押圧部63を止水板10の外側面10aに押圧させ、支持収納部30に止水板10をガタつくことなく不動に固定することができる。
したがって、移動式収納装置20Aによる止水板10の運搬性や収納性がさらに向上する。
なお、固定機構60は、上記の例に限定されず、例えば、スライド式、あるいは回動式(揺動式)に移動し、止水板10の外側面10aを押圧するように構成してもよい。
【0053】
(第3の実施形態)
図7は、本発明に係る移動式収納装置の第3の実施形態を示す概略平面図である。
第3の実施形態の移動式収納装置20Bは、上述した移動式収納装置20が、2つの止水板10(101,102)を支持し収納するように構成されていたものを、3つ以上の止水板10(101~106)を支持し収納するように構成したものであり、支持収納部30の設置数と基台40の形状を変更している。
移動式収納装置20Bにおけるその他の構成については移動式収納装置20の構成と同様であるので、以下、変更した構成について説明する。
【0054】
支持収納部30は、
図7に示すように、平面視略コ字状をなす基台40Bの上面に複数の支持収納部30(301~312)が支持される。
図7には、6つの止水板10(101~106)を支持し収納できるように6組の支持収納部30(301~312)を配置した例が示されている。
【0055】
基台40Bは、止水板10の厚み方向(
図7の左右方向)に延びる第1構造部40B1と、止水板10の長手方向(
図7の上下方向)に延びる第2構造部40B2と、止水板10の厚み方向(
図7の左右方向)に延びる第3構造部40B3とを有し、第1構造部40B1の一端部と第3構造部40B3の一端部に、第2構造部40B2の各端部が連接されて平面視略コ字状に形成されている。
【0056】
つまり、基台40Bは、第1~第3構造部40B1~40B3が空間部をなす凹所40B4を画成するように構成されており、この凹所40B4は、作業者が止水板10を搬入搬出する際に立ち入ることができる作業空間として機能する。
なお、
図7には、第1構造部40B1と第2構造部40B2との境界、及び第2構造部40B2と第3構造部40B3との境界を点線で示している。
【0057】
第1構造部40B1及び第3構造部40B3には、複数の支持収納部30(301~312)が配設されている。
第2構造部40B2の一端部に対向する第1構造部40B1の一部領域と、第2構造部40B2の他端部に対向する第3構造部40C3の一部領域とに設けられた、1組目の支持収納部301,302及び2組目の支持収納部303,304の配置態様は、
図4に示す移動式収納装置20における支持収納部30の配置態様と同様である。1つ目の止水板10(101)は、1組目の支持収納部301,302に、その外側面10aが第2構造部40B2の外側(
図7の左側)を向くように支持され、また、2つ目の止水板10(102)は、2組目の支持収納部303,304に、その外側面10aが第2構造部40B2の外側(
図7の右側)を向くように支持される。したがって、それぞれの内側面10bが内側に対向するように支持される。
【0058】
また、凹所40B4に対向する第1構造部40B1及び第3構造部40B3の一部領域に設けられた、3~6組目の支持収納部305~312は、2組目の支持収納部303,304の配置態様と同様であり、それぞれ隣接して配置される。
したがって、3~6つ目の各止水板10(103~106)は、3~6組目の支持収納部305~312に、その外側面10aが第2構造部40B2の外側(
図7の右側)を向くように支持される。
【0059】
また、基台40Bは、第1~第3構造部40B1~40B3が凹所40B4(空間部)を画成するように構成されていることから、3~6つ目の各止水板10(103~106)は、基台40Bの凹所40B4を跨るように支持されることになる。
【0060】
この第3の実施形態の移動式収納装置20Bによれば、3つ以上の止水板10を支持し収納することができる。
また、移動式収納装置20Bの基台40Bは、空間部をなす凹所40B4を有し、3~6つ目の各止水板10(103~106)は、この凹所40B4を跨るように支持されることから、作業者は、この凹所40B4に立ち入ることで、移動式収納装置20Bに対する止水板10の搬入、搬出を容易に行うことができる。したがって、移動式収納装置20Bによる止水板10の運搬性や収納性がさらに向上する。
【0061】
(第4の実施形態)
図8は、本発明に係る移動式収納装置の第4の実施形態を示す概略平面図である。
第4の実施形態の移動式収納装置20Cは、上述した移動式収納装置20が、2つの止水板10(101,102)を支持し収納するように構成されていたものを、3つ以上の止水板10(101~106)を支持し収納するように構成したものであり、支持収納部30の設置数と基台40の形状を変更している。
移動式収納装置20Cにおけるその他の構成については移動式収納装置20の構成と同様であるので、以下、変更した構成について説明する。
【0062】
支持収納部30は、
図8に示すように、平面視略H字状をなす基台40Cの上面に複数の支持収納部30(301~312)が支持される。
図8には、6つの止水板10(101~106)を支持できるように6組の支持収納部30(301~312)を配置した例が示されている。
【0063】
基台40Cは、止水板10の厚み方向(
図8の左右方向)に延びる第1構造部40C1と、止水板10の長手方向(
図8の上下方向)に延びる第2構造部40C2と、止水板10の厚み方向(
図8の左右方向)に延びる第3構造部40C3とを有し、第1構造部40C1の略中央部と第3構造部40C3の略中央部に、第2構造部40C2の一端部及び他端部がそれぞれ連接されて平面視略H字状に形成されている。
【0064】
つまり、基台40Cは、第1~第3構造部40C1~40C3が空間部をなす第1凹所40C4及び第2凹所40C5を画成するように構成されており、これら凹所40C4,40C5は、作業者が止水板10を搬入搬出する際に立ち入ることができる作業空間として機能する。
なお、
図8には、第1構造部40C1と第2構造部40C2との境界、及び第2構造部40C2と第3構造部40C3との境界を点線で示している。
【0065】
第1構造部40C1及び第3構造部40C3には、複数の支持収納部30(301~312)が配設されている。
第2構造部40C2の一端部に対向する第1構造部40C1の一部領域と、第2構造部40C2の他端部に対向する第3構造部40C3の一部領域とに設けられた、3組目の支持収納部305,306及び4組目の支持収納部307,308の配置態様は、
図4に示す移動式収納装置20における支持収納部30の配置態様と同様である。3つ目の止水板10(103)は、3組目の支持収納部305,306に、その外側面10aが第2構造部40C2の外側(
図8の左側)を向くように支持され、また、4つ目の止水板10(104)は、4組目の支持収納部307,308に、その外側面10aが第2構造部40C2の外側(
図8の右側)を向くように支持される。したがって、それぞれの内側面10bが内側に対向するように支持される。
【0066】
また、第1凹所40C4に対向する第1構造部40C1及び第3構造部40C3の一部領域に設けられた、1組目の支持収納部301,302及び2組目の支持収納部303,304は、3組目の支持収納部305,306の配置態様と同様であり、それぞれ隣接して配置される。
したがって、1~3つ目の各止水板10(101~103)は、1~3組目の支持収納部301~306に、その外側面10aが第2構造部40C2の外側(
図8の右側)を向くように支持される。
【0067】
また、第2凹所40C5に対向する第1構造部40C1及び第3構造部40C3の一部領域に設けられた、5組目の支持収納部309,310及び6組目の支持収納部311,312は、4組目の支持収納部307,308の配置態様と同様であり、それぞれ隣接して配置される。
したがって、4~6つ目の各止水板10(104~106)は、4~6組目の支持収納部307~312に、その外側面10aが第2構造部40C2の外側(
図8の右側)を向くように支持される。
【0068】
また、基台40Cは、第1~第3構造部40C1~40C3が第1凹所40C4(空間部)及び第2凹所40C5(空間部)を画成するように構成されていることから、1つ目、2つ目、5つ目及び6つ目の各止水板10(101,102,105,106)は、基台40Cの第1凹所40C4及び第2凹所40C5を跨るように支持されることになる。
【0069】
この第4の実施形態の移動式収納装置20Cによれば、3つ以上の止水板10を支持し収納することができる。
また、移動式収納装置20Cの基台40Cは、空間部をなす第1凹所40C4及び第2凹所40C5を有し、1つ目、2つ目、5つ目及び6つ目の各止水板10(101,102,105,106)は、これら凹所40C4,40C5を跨るように支持されることから、作業者は、これら凹所40C4,40C5に立ち入ることで、移動式収納装置20Cに対する止水板10の搬入、搬出を容易に行うことができる。したがって、移動式収納装置20Cによる止水板10の運搬性や収納性がさらに向上する。
【0070】
本発明は、上述した各実施形態の具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0071】
上記実施形態は、支持収納部30の構成として、第1壁部31、第2壁部32、第3壁部33、第4壁部34及び第5壁部35の下端に、底部36を取付け固定しているが、この底部36を設けることなく、各壁部31~35の下端を直接、基台40に取付け固定するように構成してもよい。この場合、底部36に設けられる台座部37も直接、基台40に配置すればよい。
【0072】
また、上記実施形態の移動式収納装置に取っ手(把手)を設けてもよい。例えば、支持収納部30の第3壁部33や基台40に取っ手(把手)を設けることができる。作業者は、この取っ手(把手)を手で掴み進行方向に押すことで、移動式収納装置を容易に移動させることができる。
【0073】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
複数の支持収納部と、前記複数の前記支持収納部の下側を支持する基台と、前記基台の下端面に設けられる転動部と、を有する止水板の移動式収納装置において、前記止水板の内側面における長手方向の両端部には、前記止水板の高さ方向に延びる第1止水部材が設けられるとともに、前記止水板の下面には、前記止水板の長手方向に延びる第2止水部材が設けられており、前記複数の前記支持収納部は、所定間隔をあけて配置される一対の前記支持収納部を用いて1つの前記止水板を支持するものであって、前記基台に対して一対を一組として複数組設置され、前記複数の前記支持収納部は、複数の前記止水板を、前記第1止水部材が上下方向となるとともに前記第2止水部材が下側に位置する起立状態で、且つ、前記複数の前記止水板が所定間隔をおいた並列状態となるように支持し収納することを特徴とする止水板の移動式収納装置(
図3~
図8参照)。
(2)
前記支持収納部は、上方側が開口する上方開口部と、前記一対の前記支持収納部における対向する側が開口する側方開口部と、前記止水板の端部を支持し収納する収納空間と、を有することを特徴とする上記(1)に記載の止水板の移動式収納装置(
図4、
図5参照)。
(3)
前記支持収納部は、台座部を有し、前記台座部は、前記止水板の下面における前記第2止水部材が配置されていない部分を下方から支持することを特徴とする上記(2)に記載の止水板の移動式収納装置(
図3、
図5参照)。
(4)
前記支持収納部は、第1壁部と、第2壁部と、第3壁部と、第4壁部と、第5壁部と、を有し、前記第1壁部と、前記第4壁部及び前記第5壁部とは、前記止水板の厚み方向で互いに対向し、前記第2壁部と前記第3壁部とは、前記止水板の長手方向で互いに対向するとともに、前記第1壁部の一辺は、前記第2壁部を介して前記第4壁部の一辺と連結し、前記第1壁部の他辺は、前記第3壁部を介して前記第5壁部の一辺と連結し、前記各壁部における水平方向の各長さは、前記第4壁部の長さ及び前記第5壁部の長さが、前記第1壁部の長さよりも短く構成され、前記第2壁部の長さが、前記第3壁部の長さよりも短く構成され、前記第5壁部の上下方向の高さは、前記第4壁部の上下方向の高さよりも低く構成されていることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれかに記載の止水板の移動式収納装置(
図5参照)。
(5)
前記支持収納部及び前記基台は、前記止水板を前記支持収納部に支持し収納した際に漏れ出た液体を外部に排出するための排出部を有することを特徴とする上記(1)~(4)のいずれかに記載の止水板の移動式収納装置(
図5参照)。
(6)
前記支持収納部は、前記支持収納部に支持し収納した前記止水板を押圧して固定するための固定手段を有することを特徴とする上記(1)~(5)のいずれかに記載の止水板の移動式収納装置(
図6参照)。
(7)
前記複数の前記支持収納部は、前記基台に対して少なくとも二組設置され、前記二組の前記支持収納部に支持される2つの前記止水板は、それぞれの外側面が外側を向き、それぞれの内側面が内側に対向するように支持されることを特徴とする上記(1)~(6)のいずれかに記載の止水板の移動式収納装置(
図3、
図4、
図6~
図8参照)。
(8)
前記基台は、前記止水板の厚み方向に延びる第1構造部と、前記止水板の長手方向に延びる第2構造部と、前記止水板の厚み方向に延びる第3構造部と、を有し、前記第1構造部の一端部と前記第3構造部の一端部に、前記第2構造部の各端部が連接されて平面視略コ字状に形成され、前記複数の前記支持収納部は、前記基台の前記第1構造部及び前記第3構造部に配設されることを特徴とする上記(1)~(6)のいずれかに記載の止水板の移動式収納装置(
図7参照)。
(9)
前記基台は、前記止水板の厚み方向に延びる第1構造部と、前記止水板の長手方向に延びる第2構造部と、前記止水板の厚み方向に延びる第3構造部と、を有し、前記第1構造部の略中央部と前記第3構造部の略中央部に、前記第2構造部の一端部及び他端部がそれぞれ連接されて平面視略H字状に形成され、前記複数の前記支持収納部は、前記基台の前記第1構造部及び前記第3構造部に配設されることを特徴とする上記(1)~(6)のいずれかに記載の止水板の移動式収納装置(
図8参照)。
【符号の説明】
【0074】
10:止水板
11:第1止水部材
13:第2止水部材
20,20A,20B,20C:移動式収納装置
30:支持収納部
36a:排出部
37:台座部
38a:上方開口部
38b:側方開口部
39:収納空間
40,40B,40C:基台
50:転動部
60:固定機構