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特開2024-120509自動制御システム、自動制御方法、及び、自動制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120509
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】自動制御システム、自動制御方法、及び、自動制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
G05B23/02 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027346
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】真塩 健二
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EA03
3C223EA06
3C223FF09
3C223FF16
3C223FF17
3C223FF43
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH04
3C223HH08
3C223HH15
(57)【要約】
【課題】電子化手順に含まれる各操作ステップの進行状態を適切に管理しながら、オペレータに対してその進行状態を好適に認識させる。
【解決手段】本開示は、複数の操作ステップを含む電子化手順に従ってプラント機器を制御するための自動制御システムに関する。自動制御システムは、複数の操作ステップ、操作ステップの開始条件、及び、プラント機器の動作状態を含むバッチデータに基づいて、プラント機器の動作状態が開始条件を満たしている場合に、開始条件に対応する操作ステップを実施するように、電子化手順の進行状態を管理する。また処理プロセッサによって管理される進行状態に基づいて、プラント機器に対して制御信号を出力するとともに、進行状態を表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作ステップを含む電子化手順に従ってプラント機器を制御するための自動制御システムであって、
前記複数の操作ステップ、前記複数の操作ステップの少なくとも一部について設定された開始条件、及び、前記プラント機器の動作状態を含むバッチデータを記憶するための記憶部と、
前記バッチデータに基づいて、前記プラント機器の動作状態が前記開始条件を満たしている場合に、前記開始条件に対応する前記操作ステップを実施するように、前記電子化手順の進行状態を管理する処理プロセッサと、
前記処理プロセッサによって管理される前記進行状態に基づいて、前記プラント機器に対して制御信号を出力するとともに、前記進行状態を表示するマンマシンプロセッサと、
を備える、自動制御システム。
【請求項2】
前記バッチデータは、
前記複数の操作ステップ、及び、前記開始条件を含む静的データと、
前記電子化手順の進行状態に応じて更新され、前記プラント機器の動作状態を含む動的データと
を含む、請求項1に記載の自動制御システム。
【請求項3】
前記複数の操作ステップの少なくとも一部は、前記操作ステップが実施不能な場合に実施可能な代替ステップが設定される、請求項1又は2に記載の自動制御システム。
【請求項4】
前記バッチデータは、前記電子化手順ごとに前記記憶部に記憶されており、
前記処理プロセッサは、前記マンマシンプロセッサによって指定された前記電子化手順に対応する前記バッチデータを前記記憶部から読み出す、請求項1又は2に記載の自動制御システム。
【請求項5】
前記マンマシンプロセッサは、前記複数の操作ステップを前記進行状態に応じて区別可能な態様で表示する、請求項1又は2に記載の自動制御システム。
【請求項6】
前記マンマシンプロセッサは、並列に実行される前記電子化手順ごとに前記進行状態をそれぞれ表示可能に構成される、請求項1又は2に記載の自動制御システム。
【請求項7】
前記マンマシンプロセッサは、オペレータによって指定された前記電子化手順について、当該電子化手順に含まれる前記操作ステップごとに前記進行状態を詳細表示可能に構成される、請求項6に記載の自動制御システム。
【請求項8】
前記マンマシンプロセッサは、実施不能な前記操作ステップを区別可能な態様で表示する、請求項1又は2に記載の自動制御システム。
【請求項9】
前記処理プロセッサは、前記バッチデータに基づいて、前記電子化手順が実施可能であるか否かを事前診断する、請求項1又は2に記載の自動制御システム。
【請求項10】
複数の操作ステップを含む電子化手順に従ってプラント機器を制御するための自動制御システムであって、
前記複数の操作ステップ、及び、前記プラント機器の動作状態を含むバッチデータを記憶するための記憶部と、
前記バッチデータに基づいて、前記複数の操作ステップが実施可能であるか否かを事前診断するための処理プロセッサと、
前記処理プロセッサの診断結果に基づいて、前記プラント機器に対して制御信号を送信するためのマンマシンプロセッサと、
を備える、自動制御システム。
【請求項11】
複数の操作ステップを含む電子化手順に従ってプラント機器を制御するための自動制御方法であって、
前記複数の操作ステップ、前記複数の操作ステップの少なくとも一部について設定された開始条件、及び、前記プラント機器の動作状態を含むバッチデータに基づいて、前記プラント機器の動作状態が前記開始条件を満たしている場合に、前記開始条件に対応する前記操作ステップを実施するように、前記電子化手順の進行状態を管理する工程と、
前記処理プロセッサによって管理される前記進行状態に基づいて、前記プラント機器に対して制御信号を出力するとともに、前記進行状態を表示する工程と、
を備える、自動制御方法。
【請求項12】
複数の操作ステップを含む電子化手順に従ってプラント機器を制御するための自動制御プログラムであって、
コンピュータ装置に、
前記複数の操作ステップ、前記複数の操作ステップの少なくとも一部について設定された開始条件、及び、前記プラント機器の動作状態を含むバッチデータに基づいて、前記プラント機器の動作状態が前記開始条件を満たしている場合に、前記開始条件に対応する前記操作ステップを実施するように、前記電子化手順の進行状態を管理する工程と、
前記処理プロセッサによって管理される前記進行状態に基づいて、前記プラント機器に対して制御信号を出力するとともに、前記進行状態を表示する工程と、
を実行可能である、自動制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動制御システム、自動制御方法、及び、自動制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば発電プラントのようなプラント設備で用されるプラント機器は、多数の操作ステップからなる手順に従って運用される。従来、このようなプラント機器の運用手順は手順書としてまとめられており、膨大な数の操作ステップが含まれる。例えば特許文献1では、このような手順書を電子的データとして用意し、ディスプレイのようなコンピュータ画面上に表示することにより、オペレータは、当該表示された手順書に従って機器操作を実行可能なシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-208251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、オペレータが画面表示された手順書に基づいて人手により機器操作を行う場合、ヒューマンエラーが発生するおそれがある。特に手順書に含まれる操作ステップが膨大であったり、操作対象となるプラント機器が複雑なものになるほど、そのリスクは増大する。従来、このようなリスクを低減するために、オペレータや監督者を含むグループ体制でプラント機器の運用にあたっていたが、人員削減によるコスト低減やヒューマンエラー防止の観点から、手順書に従った一連の操作ステップを電子化手順として自動的に実施する、自動制御化が望まれている。この種の自動制御では、電子化手順に従って複数の操作ステップが順次実施されるが、その進行状態を適切に管理し、またオペレータに対して進行状態をわかりやすく把握できるようにすることが重要である。
【0005】
本開示の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、電子化手順に含まれる各操作ステップの進行状態を適切に管理しながら、オペレータに対してその進行状態を好適に認識させることが可能な自動制御システム、自動制御方法、及び、自動制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態に係る自動制御システムは、上記課題を解決するために、
複数の操作ステップを含む電子化手順に従ってプラント機器を制御するための自動制御システムであって、
前記複数の操作ステップ、前記複数の操作ステップの少なくとも一部について設定された開始条件、及び、前記プラント機器の動作状態を含むバッチデータを記憶するための記憶部と、
前記バッチデータに基づいて、前記プラント機器の動作状態が前記開始条件を満たしている場合に、前記開始条件に対応する前記操作ステップを実施するように、前記電子化手順の進行状態を管理する処理プロセッサと、
前記処理プロセッサによって管理される前記進行状態に基づいて、前記プラント機器に対して制御信号を出力するとともに、前記進行状態を表示するマンマシンプロセッサと、
を備える。
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態に係る自動制御システムは、上記課題を解決するために、
複数の操作ステップを含む電子化手順に従ってプラント機器を制御するための自動制御システムであって、
前記複数の操作ステップ、及び、前記プラント機器の動作状態を含むバッチデータを記憶するための記憶部と、
前記バッチデータに基づいて、前記複数の操作ステップが実施可能であるか否かを事前診断するための処理プロセッサと、
前記処理プロセッサの診断結果に基づいて、前記プラント機器に対して制御信号を送信するためのマンマシンプロセッサと、
を備える。
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係る自動制御方法は、上記課題を解決するために、
複数の操作ステップを含む電子化手順に従ってプラント機器を制御するための自動制御方法であって、
前記複数の操作ステップ、前記複数の操作ステップの少なくとも一部について設定された開始条件、及び、前記プラント機器の動作状態を含むバッチデータに基づいて、前記プラント機器の動作状態が前記開始条件を満たしている場合に、前記開始条件に対応する前記操作ステップを実施するように、前記電子化手順の進行状態を管理する工程と、
前記処理プロセッサによって管理される前記進行状態に基づいて、前記プラント機器に対して制御信号を出力するとともに、前記進行状態を表示する工程と、
を備える。
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態に係る自動制御プログラムは、上記課題を解決するために、
複数の操作ステップを含む電子化手順に従ってプラント機器を制御するための自動制御プログラムであって、
コンピュータ装置に、
前記複数の操作ステップ、前記複数の操作ステップの少なくとも一部について設定された開始条件、及び、前記プラント機器の動作状態を含むバッチデータに基づいて、前記プラント機器の動作状態が前記開始条件を満たしている場合に、前記開始条件に対応する前記操作ステップを実施するように、前記電子化手順の進行状態を管理する工程と、
前記処理プロセッサによって管理される前記進行状態に基づいて、前記プラント機器に対して制御信号を出力するとともに、前記進行状態を表示する工程と、
を実行可能である。
【発明の効果】
【0010】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、電子化手順に含まれる各操作ステップの進行状態を適切に管理しながら、オペレータに対してその進行状態を好適に認識させることが可能な自動制御システム、自動制御方法、及び、自動制御プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る自動制御システムの全体構成図である。
図2図1のプラント機器の一構成例を示す模式図である。
図3図1の記憶部に記憶されたバッチデータDの一例である。
図4】一実施形態に係る自動制御方法を示すフローチャートである。
図5】マンマシンプロセッサにおける表示例を示す図である。
図6】マンマシンプロセッサにおける他の表示例を示す図である。
図7】他の実施形態に係る自動制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0013】
まず図1を参照して、自動制御システム100の全体構成について説明する。図1は一実施形態に係る自動制御システム100の全体構成図である。
【0014】
自動制御システム100は、電子化手順を実行することによりプラント機器1を制御するためのシステムである。自動制御システム100は、記憶部102と、処理プロセッサ104と、マンマシンプロセッサ106とを備える。これらの自動制御システム100の各構成は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。尚、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0015】
記憶部102は、自動制御装置100によって実施される電子化手順に関する情報を含むバッチデータDを記憶するための構成であり、データベースとして構成される。記憶部102に記憶されるバッチデータDは、自動制御装置100によって実施可能な電子化手順ごとに用意される。バッチデータDの詳細については後述するが、電子化手順に含まれる複数の操作ステップ、少なくとも一部の操作ステップに設定された開始条件、及び、プラント機器1の動作状態に関する情報が含まれる。
【0016】
処理プロセッサ104は、記憶部102に記憶されたバッチデータDを読み出し、バッチデータDに基づいて電子化手順を実施及び管理するための演算処理を実行するための構成である。特に処理プロセッサ104は、電子化手順に含まれる複数の操作ステップが順次実施されるように、電子化手順の進行状態を管理する。
【0017】
マンマシンプロセッサ106は、処理プロセッサと協働することにより、処理プロセッサ104の管理状態に基づいて、プラント機器1の制御装置108に対して電子化手順に含まれる操作ステップごとに操作信号を送信するための構成である。またマンマシンプロセッサ106は、電子化手順の進行状態を表示するためのディスプレイ等の表示装置を備えることで、当該表示装置を介してユーザが電子化手順の進行状態を管理できるようになっている。
【0018】
制御装置108は、マンマシンプロセッサ106からの指令に基づいてプラント機器1に対して制御信号を送信することにより、プラント機器1を制御するためのコントロールユニットである。制御装置108は、処理プロセッサ104及びマンマシンプロセッサ106との間で各種データを送受信することにより、電子化手順の進行状態に対応する制御信号をプラント機器1に送ることで、電子化手順に含まれる各操作ステップが順に実行される。
【0019】
これら自動制御システム1の各構成要素は、互いに通信可能に構成される。これらの構成要素は、無線又は有線の通信回線を介して接続されていてもよく、また、その少なくとも一部が地理的に離れた遠隔地に配置されていてもよい。
【0020】
続いて制御対象であるプラント機器1の具体的な構成例について図2を参照して説明する。図2は、図1のプラント機器1の一構成例を示す模式図である。
【0021】
プラント機器1は、少なくとも1つの構成要素を含んで構成される機器である。本実施形態では、説明をわかりやすくするために、プラント機器1は、第1構成要素4と、第2構成要素6とを備える。第1構成要素4及び第2構成要素6は、例えば、作動流体によって動作可能な機器である。
【0022】
プラント機器1は、第1構成要素4に対して作動流体を供給するためのA系統と、第2構成要素6に対して作動流体を供給するためのB系統とを備える。A系統は、不図示の作動流体供給源と第1構成要素4との間を連通する作動流体供給ライン8aと、作動流体供給ライン8a上にそれぞれ順に設けられたポンプA1及びA2とを有する。B系統は、不図示の作動流体供給源と第2構成要素6との間を連通する作動流体供給ライン8bと、作動流体供給ライン8b上にそれぞれ順に設けられたポンプB1及びB2とを有する。
【0023】
またプラント機器1は、A系統及びB系統がそれぞれ不能になった場合の代替構成として、第1構成要素4及び第2構成要素6にそれぞれ作動流体を供給するためのC系統及びD系統を有する。C系統は、不図示の作動流体供給源と第1構成要素4との間を連通する作動流体供給ライン8cと、作動流体供給ライン8c上にそれぞれ順に設けられたポンプC1及びC2とを有する。D系統は、不図示の作動流体供給源と第2構成要素6との間を連通する作動流体供給ライン8dと、作動流体供給ライン8d上にそれぞれ順に設けられたポンプD1及びD2とを有する。
【0024】
続いて上記構成のプラント機器1に対して実施される電子化手順に対応して用意されるバッチデータDについて説明する。図3図1の記憶部102に記憶されたバッチデータDの一例である。
尚、以下の実施例では、上記構成のプラント機器1において、第1構成要素4及び第2構成要素6をそれぞれ起動するための電子化手順に対応するバッチデータDについて説明する。
【0025】
バッチデータDは、自動制御システム100で実施可能な電子化手順ごとに用意され、静的データD1と、動的データD2とを含む。静的データD1はプラント機器1に対して実行させる電子化手順を構成する複数の操作ステップや、その少なくとも一部に設定される開始条件のように、自動制御中において基本的に更新されないデータ類が含まれる。一方の動的データD2は、制御対象であるプラント機器1の動作状態のように、電子化手順の進行状態に応じて更新されるデータ類が含まれる。このようにバッチデータDに静的データD1及び動的データD2を含めることで、プラント機器1の自動制御に必要なデータ類を好適に管理できる。
【0026】
図3の例では、バッチデータDのうち静的データD1には、プラント機器1の起動に関する電子化手順として、第1操作ステップS1及び第2操作ステップS2が規定されている。第1操作ステップS1は、A系統を起動するための操作ステップである。第1操作ステップS1は、サブステップとして、A系統のうちポンプA1を起動するための第1サブステップS1-1と、A系統のうちポンプA2を起動するための第2サブステップS1-2を有する。また静的データD1には、このような第1操作ステップS1の開始条件として「起動開始指令を受信」が規定されている。
【0027】
第2操作ステップS2は、第1操作ステップS1の次に実施される操作ステップであり、B系統を起動するための操作ステップである。第2操作ステップS2は、サブステップとして、B系統のうちポンプB1を起動するための第1サブステップS2-1と、B系統のうちポンプB2を起動するための第2サブステップS2-2を有する。また静的データD1には、このような第2操作ステップS2の開始条件として「第1操作ステップS1が完了」が規定されている。
【0028】
また静的データD1には、前述の操作ステップS1が実施不能な場合に選択可能な代替ステップS1´が規定されている。代替ステップS1´は、A系統の代替構成であるC系統を起動するための操作ステップである。代替ステップS1´は、サブステップとして、C系統のうちポンプC1を起動するための第1サブステップS1-1´と、C系統のうちポンプC2を起動するための第2サブステップS1-2´とを有する。
【0029】
また静的データD1には、前述の操作ステップS2が実施不能な場合に選択可能な代替ステップS2´が規定されている。代替ステップS2´は、B系統の代替構成であるD系統を起動するための操作ステップである。代替ステップS2´は、サブステップとして、D系統のうちポンプD1を起動するための第1サブステップS2-1´と、D系統のうちポンプD2を起動するための第2サブステップS2-2´とを有する。
【0030】
また図3に示す例では、バッチデータDのうち動的データD2には、プラント機器1の動作状態に関するデータとして、プラント機器1が備えるポンプA1、A2、B1、B2の動作状態が含まれる。これらの動的データD2は、プラント機器1が自動制御されている間、所定のタイミングで更新される。これにより、動的データD2を参照することで、プラント機器1が備えるポンプA1、A2、B1、B2の最新の動作状態が把握可能となっている。
【0031】
尚、動的データD2に含まれるポンプA1、A2、B1、B2の最新の動作状態は、所定の位置に設けられたセンサから取得されてもよいし、ポンプA1、A2、B1、B2に対する制御信号から取得されてもよい。
【0032】
続いて上記構成を有する自動制御システム100の具体的な動作について説明する。図4は一実施形態に係る自動制御方法を示すフローチャートである。
【0033】
まずオペレータがマンマシンプロセッサ106を操作することにより、実行すべき電子化手順を選択する(ステップS100)。本実施形態では、記憶部102には、自動制御システム100で実行可能な複数の電子化手順に対応する複数のバッチデータDが予め用意されており、マンマシンプロセッサ106は、これらのバッチデータDに基づいてオペレータが選択可能な電子化手順を表示する。オペレータは、このような表示を参照することで、自身が意図する特定の電子化手順を選択する。
【0034】
続いて処理プロセッサ104は、ステップS100でマンマシンプロセッサ106によって選択された電子化手順に対応するバッチデータDを記憶部102から取得する(ステップS101)。前述のように、記憶部102には、自動制御システム100で実行可能な複数の電子化手順にそれぞれ対応する複数のバッチデータDが記憶されている。ステップS101では、処理プロセッサ104は、記憶部102を検索することにより、ステップS100で選択された電子化手順に対応するバッチデータDを取得する。
【0035】
続いて処理プロセッサ104は、ステップS101で取得したバッチデータDに基づいて、当該電子化手順の実行を開始し(ステップS102)、最初の操作ステップを実施する(ステップS103)。図3に例示したバッチデータDによれば、ステップS103では、最初の操作ステップとして、第1操作ステップS1が実施される。第1操作ステップS1では、まず第1サブステップS1-1が実施され、続いて、第2サブステップS1-2が実施される。
【0036】
続いて処理プロセッサ104は、バッチデータDに基づいて、次の操作ステップがあるか否かが判定される(ステップS104)。本実施形態では、図3に示すように、第1操作ステップS1の後には、第2操作ステップS2がある。このように次の操作ステップがある場合(ステップS104:YES)、処理プロセッサ104は、次の操作ステップに関する開始条件をバッチデータDから取得し(ステップS105)、その成否を判定する(ステップS106)。
【0037】
本実施形態では、図3に示すように、次の操作ステップである第2操作ステップS2には、開始条件として「第1操作ステップS1が完了」が規定されている。そのため、処理プロセッサ104は、バッチデータDのうち動的データD2から、第1操作ステップS1の制御対象であるポンプA1及びA2の動作状態を取得し、第1操作ステップS1が正常に完了しているか否かを判定する。その結果、ポンプA1及びA2が正常に起動されることで開始条件が成立していると判定された場合(ステップS106:YES)、電子化手順の次の操作ステップである第2操作ステップS2に移動する(ステップS107)。そして、処理をステップS103に戻すことにより、処理プロセッサ104は次の第2操作ステップS2を実施する。このように、電子化手順に含まれる操作ステップを順次実施する際に、次の操作ステップに規定された開始条件が満たされる場合に、次の操作ステップの実施が行われる。これにより、電子化手順に含まれる各操作ステップの実施状況を確認しながら、電子化手順に従った自動制御を好適に実施できる。
【0038】
一方、ポンプA1又はA2の少なくとも一方が起動されていない等、開始条件が成立していないと判定された場合(ステップS106:NO)、処理プロセッサ104は、当該操作ステップについて代替ステップの有無を判定する(ステップS108)。図3に示すように、第1操作ステップS1に代替ステップS1´がある場合には(ステップS108:YES)、処理プロセッサ104は、当該代替ステップS1´を実施する(ステップS109)。これにより、第1操作ステップS1が実施不能な場合であっても、予め用意された代替ステップS1´を実施することにより、次の第2操作ステップS2に処理を進めることができる。
【0039】
尚、代替ステップが無い場合には(ステップS108:NO)、電子化手順の実行を中断し、異常を報知する(ステップS110)。これにより、開始条件が満たされないまま第2操作ステップS2が実施されることを防止するとともに、オペレータに対して、電子化手順の進行が困難であることを異常として報知することができる。
【0040】
このように電子化手順に含まれる複数の操作ステップは順次実施され、次の操作ステップが無い場合(ステップS104:NO)、電子化手順に含まれる一連の操作ステップが達成されたとして、処理を終了する。
【0041】
上記のように処理プロセッサ104によって電子化手順に含まれる複数の操作ステップが順次実施されている間、マンマシンプロセッサ106は、処理プロセッサ104の管理状態に基づいて、制御装置108からプラント機器1に対して各操作ステップに対応する制御信号を送信するとともに、その進行状態を操作ステップごとに表示する。
【0042】
ここで図5はマンマシンプロセッサ106における表示例を示す図である。図5では、図3に示すバッチデータDに対応する電子化手順「プラント機器起動」が実施される際に、マンマシンプロセッサ106のディスプレイ画面上の表示が図示されている。符号150は実施中の電子化手順の識別番号を示している。また符号160には、当該電子化手順に含まれる操作ステップS1、S2、・・・、及び、対応する代替ステップS1´、S2´、・・・が時系列順に表示されている。また符号170には、電子化手順「プラント機器起動」と並行して実施される他の電子化手順に対応するアイコン170が幾つか表示されている。
【0043】
符号160で示す領域では、電子化手順に含まれる複数の操作ステップが進行状態に応じて区別可能な態様で表示される。本実施形態では、実施済である第1操作ステップS1と、実施中である第2操作ステップS2と、未実施である第3操作ステップS3とが異なるハッチングで区別可能に表示されている。これにより、実施中の電子化手順について、各操作ステップの進行状態(例えば、実施済、実施中あるいは未実施など)を、オペレータに簡易的に把握させることができる。
【0044】
尚、図5では、第1操作ステップS1が正常に完了することで、第1操作ステップS1に対応する代替ステップが未実施のままとなっている。他の表示態様としては、このような場合に、第1操作ステップS1が正常に完了した場合には、対応する代替ステップS1´についても第1操作ステップS1と連動して実施済の表示を行ってもよい。
【0045】
また符号170で示す領域には、符号160で示す領域に詳細表示されている電子化手順「プラント機器起動」と並列に実行される他の電子化手順がアイコンとして簡易表示される。このアイコンには、他の電子化手順について、識別番号と、進行状態とが簡易表示されている。具体的には、アイコン172は、他の電子化手順E-0002について、総操作ステップ数「10」のうち「2」番目の操作ステップが実施中であることを示しており、アイコン174は、他の電子化手順E-0003について、総操作ステップ数「20」のうち「12」番目の操作ステップが実施中であることを示している。
【0046】
このように複数の電子化手順が並列に実施される場合には、各電子化手順の進行状態をそれぞれ表示することで、これらの電子化手順の進行状態を簡易的に管理できる。特にオペレータによって指定された特定の電子化手順については符号150及び160で示すように詳細表示する一方で、残りの電子化手順については符号170で示すように簡易表示することで、限られた画面スペースで複数の電子化手順の効率的な管理が可能である。符号170で簡易表示された残りの電子化手順については、例えばオペレータが必要に応じて画面上でクリックすることで、詳細表示に展開可能である。
【0047】
図6はマンマシンプロセッサ106における他の表示例を示す図である。マンマシンプロセッサ106は、電子化手順に含まれる複数の操作ステップのうち実施不能な操作ステップを区別可能な態様で表示してもよい。図6の例では、第1操作ステップS1が何らかの要因によって正常に実施できなかったため、第1操作ステップS1に対応する代替ステップS1´が実施されることで、第2操作ステップS2が実施中になっている。この場合、正常に実施できなかった第1操作ステップS1については他の操作ステップと区別可能な態様で強調表示を行うことで、当該画面を参照するオペレータが、その旨を容易に把握できるようになっている。
【0048】
尚、本実施形態では、実施不能だった第1操作ステップS1を異なるハッチングで強調表示しているが、これに代えて/加えて、異なる色彩、点灯や点滅で区別可能な態様で表示してもよい。
【0049】
また図6の例では、符号170の領域で簡易表示されている他の電子化手順において、何らかの異常が生じているアイコン174が強調表示されている。この場合、オペレータはアイコン174をクリックすることで、当該アイコン174に対応する電子化手順を詳細表示することで、実施不能な操作ステップを確認することも可能である。
【0050】
続いて他の実施形態に係る自動制御方法について説明する。図7は他の実施形態に係る自動制御方法を示すフローチャートである。
【0051】
まずオペレータは、マンマシンプロセッサ106を操作することにより、前述のステップS100と同様に、実行すべき電子化手順を選択する(ステップS200)。そして処理プロセッサ104は、前述のステップS101と同様に、ステップS200でマンマシンプロセッサ106によって選択された電子化手順に対応するバッチデータDを記憶部102から取得する(ステップS201)。
【0052】
続いて処理プロセッサ104は、ステップS201で取得したバッチデータDに基づいて、当該電子化手順に含まれる各操作ステップの実施が可能であるか否かを事前診断する(ステップS202)。具体的には、処理プロセッサ104は、バッチデータDのうち静的データD1に基づいて特定される電子化手順の各操作ステップの実施内容と、動的データD2から特定されるプラント機器1の構成機器の状態とを比較することにより、電子化手順に含まれる各操作ステップの実施可否を判定する。
【0053】
その結果、電子化手順の各操作ステップが実施可能であると判定された場合(ステップS202:YES)、ステップS200で選択された電子化手順の実施が許可される(ステップS203)。この場合、実施許可された電子化手順は、図4を参照して自動制御方法に沿って実行される。一方、電子化手順の実施が不能であると判定された場合(ステップS202:NO)、代替手順があるか否かを判定する(ステップS204)。代替手順は、先に事前診断によって実施不能と判定された電子化手順に対応づけられて用意される。代替手順がある場合(ステップS204:YES)、この代替手順についてもバッチデータのうち静的データD1から実施内容を特定し、その実施内容が動的データD2に基づいて実施可能であるか否かを判定する(ステップS205)。その結果、代替手順が実施可能である場合(ステップS205:YES)、当該代替手段について実施許可がなされる(ステップS206)。一方、代替手順が無かったり(ステップS204:NO)、又は、代替手順が有ったとしても実施不能である場合(ステップS205:NO)、マンマシンプロセッサ106は、電子化手順や代替手順の実施を許可することなく、異常としてオペレータに報知する(ステップS207)。これにより、電子化手順が実施不能な場合には、その旨をオペレータに報知することで、無理な電子化手順の実施を回避して将来的な不具合発生を未然に防止できる。
【0054】
このような実施形態では、電子化手順が実際に実施される前の段階で、電子化手順の各操作ステップが実施可能であるかが事前診断される。仮に事前診断することなく電子化手順を実施した場合、実施の途中で以降の操作ステップが実施不能であることが判明すると、それまで実施した電子化手順の操作ステップが無駄になってしまい、代替手順が用意されていたとしても、代替手順を実施するまでに余分な時間を要してしまう。そのため、電子化手順について事前診断を行うことで実施可能であるか否かを予め判断することで、このような余分な時間を費やすことを回避することができる。そして事前診断によって電子化手順の実施が困難であると判定された場合には、代替手順を速やかに実施することで効率的な遂行を行うことができる。
【0055】
更に、代替手順についても電子化手順と同様に実施可否について事前診断を行うことで、代替手順についても効率的な進行ができる。そして代替手順についても実施が困難であると判定された場合には、異常を報知することで、その旨をオペレータに対して適切に認識させることができる。
【0056】
以上説明したように上記各実施形態によれば、電子化手順に含まれる各操作ステップの進行状態を適切に管理しながら、オペレータに対してその進行状態を好適に認識させることが可能となる。
【0057】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0058】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0059】
(1)一態様に係る自動制御システムは、
複数の操作ステップを含む電子化手順に従ってプラント機器を制御するための自動制御システムであって、
前記複数の操作ステップ、前記複数の操作ステップの少なくとも一部について設定された開始条件、及び、前記プラント機器の動作状態を含むバッチデータを記憶するための記憶部と、
前記バッチデータに基づいて、前記プラント機器の動作状態が前記開始条件を満たしている場合に、前記開始条件に対応する前記操作ステップを実施するように、前記電子化手順の進行状態を管理する処理プロセッサと、
前記処理プロセッサによって管理される前記進行状態に基づいて、前記プラント機器に対して制御信号を出力するとともに、前記進行状態を表示するマンマシンプロセッサと、
を備える。
【0060】
上記(1)の態様によれば、プラント機器を電子化手順に従って自動制御する際に、電子化手順を構成する複数の操作ステップに関するバッチデータが記憶部に用意される。このバッチデータには、複数の操作ステップの少なくとも一部について設定される開始条件が含まれる。電子化手順の実施時には、処理プロセッサにおいて開始条件の成否判定がなされ、開始条件を満たすことを条件として操作ステップが実施されることで、電子化手順の進行状態が管理される。そしてマンマシンプロセッサでは、処理プロセッサで管理される進行状態に基づいて、制御対象であるプラント機器に対して制御信号を出力するとともに、その進行状態を表示する。これにより、プラント機器に対して電子化手順の各操作ステップを的確に実施させるとともに、その進行状態をマンマシンプロセッサの表示を介してオペレータに好適に認識させることができる。
【0061】
(2)他の態様では、上記(1)の態様において、
前記バッチデータは、
前記複数の操作ステップ、及び、前記開始条件を含む静的データと、
前記電子化手順の進行状態に応じて更新され、前記プラント機器の動作状態を含む動的データと
を含む。
【0062】
上記(2)の態様によれば、記憶部に用意されるバッチデータには、静的データと動的データとが含まれる。静的データは、プラント機器に対して実行させる電子化手順を構成する複数の操作ステップや、その少なくとも一部に設定される開始条件のように、自動制御中において基本的に更新されないデータ類が含まれる。一方の動的データは、制御対象であるプラント機器の動作状態のように、電子化手順の進行状態に応じて更新されるデータ類が含まれる。このようにバッチデータに静的データ及び動的データを含めることで、プラント機器の自動制御に必要なデータ類を好適に管理できる。
【0063】
(3)他の態様では、上記(1)又は(2)の態様において、
前記複数の操作ステップの少なくとも一部は、前記操作ステップが実施不能な場合に実施可能な代替ステップが設定される。
【0064】
上記(3)の態様によれば、電子化手順に含まれる複数の操作ステップの少なくとも一部には、当該操作ステップが実施不能な場合に実施される代替ステップが用意される。これにより、実施不能な操作ステップがある場合であっても、代替ステップを実施することにより電子化手順の実施継続が可能となる。
【0065】
(4)他の態様では、上記(1)から(3)のいずれか一態様において、
前記バッチデータは、前記電子化手順ごとに前記記憶部に記憶されており、
前記処理プロセッサは、前記マンマシンプロセッサによって指定された前記電子化手順に対応する前記バッチデータを前記記憶部から読み出す。
【0066】
上記(4)の態様によれば、記憶部に記憶される前述のバッチデータは、電子化手順ごとに用意される。複数のバッチデータが記憶部に用意される場合、処理プロセッサでは、マンマシンプロセッサによって指定された電子化手順に対応するバッチデータを記憶部から読み出すことで、オペレータが意図する任意の電子化手順に従ってプラント機器の自動制御を実施できる。
【0067】
(5)他の態様では、上記(1)から(4)のいずれか一態様において、
前記マンマシンプロセッサは、前記複数の操作ステップを前記進行状態に応じて区別可能な態様で表示する。
【0068】
上記(5)の態様によれば、マンマシンプロセッサによって電子化手順の進行状態を表示する際に、当該電子化手順に含まれる各操作ステップの進行状態が区別可能な態様で表示される。これにより、実施中の電子化手順について、各操作ステップの進行状態(例えば、実施済、実施中あるいは未実施など)を、オペレータに簡易的に把握させることができる。
【0069】
(6)他の態様では、上記(1)から(5)のいずれか一態様において、
前記マンマシンプロセッサは、並列に実行される前記電子化手順ごとに前記進行状態をそれぞれ表示可能に構成される。
【0070】
上記(6)の態様によれば、複数の電子化手順が並列に実施される場合には、マンマシンプロセッサにおいて各電子化手順の進行状態をそれぞれ表示することで、これらの電子化手順の進行状態を簡易的に管理できる。
【0071】
(7)他の態様では、上記(6)の態様において、
前記マンマシンプロセッサは、オペレータによって指定された前記電子化手順について、当該電子化手順に含まれる前記操作ステップごとに前記進行状態を詳細表示可能に構成される。
【0072】
上記(7)の態様によれば、複数の電子化手順が並列に実施される場合、マンマシンプロセッサにおいて、オペレータによって指定された電子化手順について、当該電子化手順に含まれる操作ステップごとに進行状態を詳細表示する。これにより、オペレータが指定する特定の電子化手順について限定的に詳細表示が行われる一方で、残りの他の電子化手順については比較的簡易的な表示にとどめられる。その結果、複数の電子化手順を並行に実施する際においても、これらの電子化手順をマンマシンプロセッサ上において効率的に管理できる。
【0073】
(8)他の態様では、上記(1)から(7)のいずれか一態様において、
前記マンマシンプロセッサは、実施不能な前記操作ステップを区別可能な態様で表示する。
【0074】
上記(8)の態様によれば、電子化手順を実施する際に実施不能な操作ステップがあった場合には、当該操作ステップが区別可能な態様で表示される。これにより、例えば故障等の異常が発生することで実施不能な操作ステップを容易に特定することができる。
【0075】
(9)他の態様では、上記(1)から(8)のいずれか一態様において、
前記処理プロセッサは、前記バッチデータに基づいて、前記電子化手順が実施可能であるか否かを事前診断する。
【0076】
上記(9)の態様によれば、電子化手順の実施前に、当該電子化手順に含まれる各操作ステップが実施可否が診断される。これにより、電子化手順に実施不能な操作ステップがあると診断された場合には、電子化手順の実施を停止する等、早いタイミングで対策を講じることができる。
【0077】
(10)一態様に係る自動制御システムは、
複数の操作ステップを含む電子化手順に従ってプラント機器を制御するための自動制御システムであって、
前記複数の操作ステップ、及び、前記プラント機器の動作状態を含むバッチデータを記憶するための記憶部と、
前記バッチデータに基づいて、前記複数の操作ステップが実施可能であるか否かを事前診断するための処理プロセッサと、
前記処理プロセッサの診断結果に基づいて、前記プラント機器に対して制御信号を送信するためのマンマシンプロセッサと、
を備える。
【0078】
上記(10)の態様によれば、プラント機器を電子化手順に従って自動制御する際に、電子化手順を構成する複数の操作ステップに関するバッチデータが記憶部に用意される。電子化手順の実施前には、当該電子化手順に含まれる各操作ステップが実施可能であるか否かが事前診断される。これにより、事前診断によって操作不能な操作ステップがある場合には、電子化手順の実施を停止する等、早いタイミングで対策を講じることができる。
【0079】
(11)一態様に係る自動制御方法は、
複数の操作ステップを含む電子化手順に従ってプラント機器を制御するための自動制御方法であって、
前記複数の操作ステップ、前記複数の操作ステップの少なくとも一部について設定された開始条件、及び、前記プラント機器の動作状態を含むバッチデータに基づいて、前記プラント機器の動作状態が前記開始条件を満たしている場合に、前記開始条件に対応する前記操作ステップを実施するように、前記電子化手順の進行状態を管理する工程と、
前記処理プロセッサによって管理される前記進行状態に基づいて、前記プラント機器に対して制御信号を出力するとともに、前記進行状態を表示する工程と、
を備える。
【0080】
上記(11)の態様によれば、プラント機器を電子化手順に従って自動制御する際に、電子化手順を構成する複数の操作ステップに関するバッチデータが記憶部に用意される。このバッチデータには、複数の操作ステップの少なくとも一部について設定される開始条件が含まれる。電子化手順の実施時には、処理プロセッサにおいて開始条件の成否判定がなされ、開始条件を満たすことを条件として操作ステップが実施されることで、電子化手順の進行状態が管理される。そしてマンマシンプロセッサでは、処理プロセッサで管理される進行状態に基づいて、制御対象であるプラント機器に対して制御信号を出力するとともに、その進行状態を表示する。これにより、プラント機器に対して電子化手順の各操作ステップを的確に実施させるとともに、その進行状態をマンマシンプロセッサの表示を介してオペレータに好適に認識させることができる。
【0081】
(12)一態様に係る自動制御プログラムは、
複数の操作ステップを含む電子化手順に従ってプラント機器を制御するための自動制御プログラムであって、
コンピュータ装置に、
前記複数の操作ステップ、前記複数の操作ステップの少なくとも一部について設定された開始条件、及び、前記プラント機器の動作状態を含むバッチデータに基づいて、前記プラント機器の動作状態が前記開始条件を満たしている場合に、前記開始条件に対応する前記操作ステップを実施するように、前記電子化手順の進行状態を管理する工程と、
前記処理プロセッサによって管理される前記進行状態に基づいて、前記プラント機器に対して制御信号を出力するとともに、前記進行状態を表示する工程と、
を実行可能である。
【0082】
上記(12)の態様によれば、プラント機器を電子化手順に従って自動制御する際に、電子化手順を構成する複数の操作ステップに関するバッチデータが記憶部に用意される。このバッチデータには、複数の操作ステップの少なくとも一部について設定される開始条件が含まれる。電子化手順の実施時には、処理プロセッサにおいて開始条件の成否判定がなされ、開始条件を満たすことを条件として操作ステップが実施されることで、電子化手順の進行状態が管理される。そしてマンマシンプロセッサでは、処理プロセッサで管理される進行状態に基づいて、制御対象であるプラント機器に対して制御信号を出力するとともに、その進行状態を表示する。これにより、プラント機器に対して電子化手順の各操作ステップを的確に実施させるとともに、その進行状態をマンマシンプロセッサの表示を介してオペレータに好適に認識させることができる。
【符号の説明】
【0083】
1 プラント機器
4 第1構成要素
6 第2構成要素
8a~8d 作動流体供給ライン
100 自動制御システム
102 記憶部
104 処理プロセッサ
106 マンマシンプロセッサ
108 制御装置
D バッチデータ
D1 静的データ
D2 動的データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7