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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120511
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】X線管装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 35/00 20060101AFI20240829BHJP
   H05G 1/02 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01J35/00 A
H05G1/02 P
H05G1/02 S
H01J35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027350
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】503382542
【氏名又は名称】キヤノン電子管デバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 義明
【テーマコード(参考)】
4C092
【Fターム(参考)】
4C092AB12
4C092BD17
(57)【要約】
【課題】除圧弁の脱着が可能なX線管装置を提供する。
【解決手段】X線管を冷却液と共に収納した管容器と、管容器に固定された管容器側カプラと、管容器に取り付けて管容器内の圧力を調整する除圧弁と、除圧弁に固定された除圧弁側カプラと、管容器に固定された冷却液循環用の一方の管容器側ホースと他方の管容器側ホースとを備えたX線管装置であって、管容器側カプラ及び除圧弁側カプラは、それぞれ閉鎖しており、互いに連結により連通状態になる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線管を冷却液と共に収納した管容器と、
前記管容器に固定された管容器側カプラと、
前記管容器に取り付けて、前記管容器内の圧力を調整する除圧弁と、
前記除圧弁に固定された除圧弁側カプラと、
前記管容器に固定された冷却液循環用の一方の管容器側ホースと他方の管容器側ホースとを備えたX線管装置であって、
前記管容器側カプラ及び前記除圧弁側カプラは、それぞれ閉鎖しており、互いに連結により連通状態になるX線管装置。
【請求項2】
圧力を緩衝する圧力緩衝器と、
前記圧力緩衝器に固定された圧力緩衝器側カプラと、を備え、
前記圧力緩衝器側カプラは閉鎖しており、前記管容器側カプラに連結することにより、圧力緩衝器側カプラと前記管容器側カプラが連通状態になる請求項1に記載のX線管装置。
【請求項3】
前記冷却液を冷却する冷却器と、
冷却器に接続された冷却液循環用の一方の冷却器側ホースと他方の冷却器側ホースとを備え、
前記一方の冷却器側ホースと他方の冷却器側ホースとの先端には、それぞれ冷却器側カプラが設けてあり、
前記一方の管容器側ホースと前記他方の管容器側ホースの先端には、それぞれ管容器側カプラが取付けてあり、
前記各冷却器側カプラと、前記各管容器側カプラは閉鎖しており、前記各冷却器側カプラと前記各管容器側カプラはとそれぞれ互いに連結することにより、連通状態になる請求項1に記載のX線管装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線管装置は、使用時には、X線管が収納された管容器内の冷却液を循環して冷却器で冷却するものがある。
係るX線管装置は、管容器と冷却器とは別個に設けてあり、使用時には管容器に固定されているホースと冷却器に固定されているホースをそれぞれ接続して冷却液を循環している。また、管容器には、使用時における冷却液の温度上昇に伴い管容器内の圧力が急速に高くなった場合に、安全の為圧力を抜く除圧弁が設けある。
一方、X線管装置を輸送する場合や保管する場合には、管容器と冷却器とを分離して保管している。この場合は、管容器内に圧力緩衝器(ベローズ機能部品)が無い場合には、管容器に固定されているホースに圧力緩衝器を接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3-261054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、X線管装置を輸送する場合や保管する場合(輸送・保管する場合)のみに取り付けを必要とする圧力緩衝器には、管容器側ホース端部に設置のカプラと対となる大型で且つ高額のカプラを設置する必要がある為、圧力緩衝器が高価になるという問題があった。
【0005】
本発明の実施形態は、除圧弁の脱着が可能なX線管装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態は、X線管を冷却液と共に収納した管容器と、前記管容器に固定された管容器側カプラと、前記管容器に取り付けて、前記管容器内の圧力を調整する除圧弁と、前記除圧弁に固定された除圧弁側カプラと、前記管容器に固定された冷却液循環用の一方の管容器側ホースと他方の管容器側ホースとを備えたX線管装置であって、前記管容器側カプラ及び前記除圧弁側カプラは、それぞれ閉鎖しており、互いに連結により連通状態になるX線管装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】(a)は、実施形態に係るX線管装置の使用状態を示す斜視図であり、(b)は(a)に示すB部の拡大図である。
図2】(a)は、管容器に接続した除圧弁ユニットの斜視図であり、(b)は除圧弁ユニットを外した状態の管容器側カプラの斜視図である。
図3】(a)は、管容器側カプラと除圧弁側カプラを接続した状態の断面図であり、(b)は管容器側カプラと除圧弁側カプラを分離した状態の断面図である。
図4】(a)は、X線管装置の輸送・保管状態を示す斜視図であり、(b)は(a)に示すA部の拡大図である。
図5】X線管装置の使用状態の構成を示す概略平面図である。
図6】X線管装置の輸送・保管状態の構成を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、図面を参照しながら、一実施形態に係るX線管装置について詳細に説明する。なお、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1及び図2を参照して、実施形態に係るX線管装置1について説明する。図1は、X線管装置1の使用状態を示している。
この使用状態では、X線管装置1は冷却器3に接続されており、図5に示すように、X線管装置1と冷却器3との間で冷却液Kを循環して、管容器5内に収納しているX線管7を冷却している。
【0010】
図1に示すように、X線管装置1は、管容器5と、管容器側カプラ9と、除圧弁11と、除圧弁側カプラ13と、一方の管容器側ホース15と、他方の管容器側ホース17とを備えている。
図5に示すように、管容器5には、X線管7が収納されており、このX線管7からX線を照射がされるようになっている。X線管7は使用時に高温になるため、冷却液Kにより使用中は常時冷却されている。
【0011】
図1に示すように、管容器5は円柱形状を成しており、側面に管容器側カプラ9と、一方の管容器側ホース15と、他方の管容器側ホース17とが纏って固定されている。
管容器側カプラ9には、除圧弁側カプラ13を介して、除圧弁11が接続されている。除圧弁11には除圧弁側カプラ13が固定されており、除圧弁11と除圧弁側カプラ13とで除圧弁ユニット12を構成している。
除圧弁11は、管容器5内の冷却液Kの温度が上がり、膨張により圧力が高くなったときに管容器5内の圧力(冷却液K)を抜くものであり、安全装置として機能するものである。
【0012】
図2及び図3に示すように、管容器側カプラ9及び除圧弁側カプラ13は、互いに篏合により接続及び解除が可能な汎用カプラが使用されている。即ち、管容器側カプラ9の内周側に除圧弁側カプラ13を嵌め込むものである。図3に示すように、管容器側カプラ9は、その管軸Xに沿ってスライド自在なスリーブ9aと、スリープ9aを開口側に付勢するスリーブスプリング9bと、スリーブの内周側に設けたボール9cとで構成している。一方、除圧弁側カプラ13には、弁筒18の外周にボール9cを受ける凹み部20が形成されている。
管容器側カプラ9と除圧弁側カプラ13を接続するときには、スリーブ9aをスリーブスプリング9bの付勢力に抗してスライドすることで、ボール9cを半径方向外側に変位可能にした状態にして、除圧弁側カプラ13を管容器側カプラ9に嵌め込み、次にスリーブ9aから手を放すと、ボール9cがスリーブ9aに押されることで一部が弁筒18の凹み部20に嵌り込み、ロックされて、管容器側カプラ9及び除圧弁側カプラ13が接続される。
一方、管容器側カプラ9及び除圧弁側カプラ13の接続を解除する場合には、スリーブ9aをスプリング9bの付勢力に抗してスライドすればよい。
【0013】
また、各カプラ9、13は、弁座19と、弁座19に形成された弁孔21と、弁座19に着座して弁孔21を塞ぐ弁体23とを備えている。
弁体23はスプリング25により常時弁座19側に付勢力されている。
弁体23は円錐台形状を成しており、先端側ほど径を細くしている。図3(b)に示すように、管容器側カプラ9及び除圧弁側カプラ13は、分離した状態で、弁体23の先端が弁孔21から突出するようにして、弁孔21を塞いでいる。
【0014】
図3(a)に示すように、管容器側カプラ9と除圧弁側カプラ13が接続された状態では、互いに弁体23の先端どうしを当接して、弁孔21から押し退けるように弁体23を付勢することで弁孔21と弁体23との間に隙間を形成して冷却液Kの流通を図っている。
【0015】
図1(a)及び図4(a)に示すように、一方の管容器側ホース15及び他方の管容器側ホース17の先端には、それぞれ管容器側ホース用カプラ29が設けてある。
冷却器3には、一方の冷却器側ホース31及び他方の冷却器側ホース33が設けてあり、これらのホース31、33の先端には、それぞれ冷却器側ホース用カプラ35が取り付けてある。
管容器側ホース用カプラ29と、冷却器側ホース用カプラ35とは、それぞれ上述した管容器側カプラ9及び除圧弁側カプラ13と同じ構成であるから、詳細な説明は省略する。
図5に示すように、冷却器3には、ポンプ41と熱交換機43とが設けてあり、冷却液Kを管容器5との間で循環しつつ、熱交換している。これにより、管容器5に収納されたX線管7を冷却する。
【0016】
次に、管容器側カプラ9に圧力緩衝器27を取り付ける場合について説明する。この実施形態では、X線管装置1に輸送・保管時に管容器5に圧力緩衝器27を取り付ける。
図6に示すように、圧力緩衝器27には、ベローズ36が設けてあり、ベローズ36により管容器5における冷却液の圧力を緩衝している。
図4に示すように、圧力緩衝器27には、圧力緩衝器側ホース37が固定されており、この圧力緩衝側ホース37の先端には、圧力緩衝器側カプラ39が取り付けられている。圧力緩衝器側カプラ39は、除圧弁側カプラ13と同種のものが用いられている。
【0017】
次に、実施形態に係るX線管装置の作用について、説明する。
X線管装置1の使用時には、図1(a)に示すように、管容器5の管容器側カプラ9に除圧弁ユニット12の除圧弁側カプラ13を篏合により連結する。これにより、容易に管容器5に除圧弁11を連結できる。
また、一方の管容器側ホース15及び他方の管容器側ホース17の先端にそれぞれ取り付けてある管容器側ホース用カプラ29と、一方の冷却器側ホース31及び他方の冷却器側ホース33の先端にそれぞれ取り付けてある冷却器側ホース用カプラ35を篏合により連結する。
【0018】
図5に示すように、X線管装置1の使用時に冷却器3を駆動して、冷却液Kを管容器5と冷却器3との間で循環することでX線管7を冷却する。
【0019】
X線管装置1の輸送・保管時には、冷却器3と除圧弁11とを外す。
図3(b)に示すように、除圧弁11を外す場合には、管容器側カプラ9において、スリーブ9aをスリーブスプリング9bの付勢力に抗してスライドする。管容器側カプラ9及び除圧弁側カプラ13は外した瞬間に、弁体23が弁孔21を塞ぎ、管容器側カプラ9及び除圧弁側カプラ13に封をする。
冷却器3を外す場合には、一方の冷却器側ホース31及び他方の冷却器側ホース33の冷却器側ホース用カプラ35をそれぞれ管容器側ホース用カプラ29から、スリーブ9aをスライドして外す。
図3(b)に示す除圧弁11の場合と同様に、管容器側ホース用カプラ29及び冷却器側ホース用カプラ35は外した瞬間に、弁体23が弁孔21を塞ぎ、一方の冷却器側ホース31及び他方の冷却器側ホース33に封をする。
これにより、冷却液Kは、それぞれ管容器5と冷却器3とに封止される。
【0020】
次に、図4に示すように、管容器5に圧力緩衝器27を取り付ける。圧力緩衝器27の取り付けも、除圧弁11の場合と同様に、管容器側カプラ9に圧力緩衝側ホース37の先端に設けてある圧力緩衝器側カプラ39を篏合により連結する。
【0021】
管容器5の輸送・保管時には、季節や地域による温度変化等により、冷却液の膨張や収縮により圧力が変化した場合には、圧力緩衝器27により、冷却液の圧力を略一定に保持することで、圧力変化による管容器5の損傷を防止する。
【0022】
次に、実施形態に係るX線管装置1の効果について、説明する。
本実施形態によれば、管容器5には管容器側カプラ9を設けてあり、除圧弁11には除圧弁側カプラ13を設けており、管容器側カプラ9と除圧弁側カプラ13とは連結及び分離が自在であるから、除圧弁11の取り付け取り外しが容易にできる。
【0023】
管容器側カプラ9と除圧弁側カプラ13とは、汎用の構造を有するカプラであるから、安価で取り扱い易い。
圧力緩衝器27は、管容器5に直接接続するから、管容器5の一方又は他方の管容器側ホース15、17に接続する場合に比較して、輸送・保管時のX線管装置1をコンパクトで小型にできると共に輸送や移動がし易い。
また、管容器5に管容器側カプラ9を設けてあり、この管容器側カプラ9には、除圧弁側カプラ13と圧力緩衝器側カプラ39が連結可能であるから、管容器5には、除圧弁11と圧力緩衝器27とが択一的に取り付けできるから、利便性が良い。
【0024】
管容器5に接続する冷却器3は、管容器側ホース用カプラ29及び冷却器側ホース用カプラ35の連結により接続し、管容器5に接続する圧力緩衝器27は管容器側カプラ9及び圧力緩衝器側カプラ39により接続しており、全ての連結部分は、汎用のカプラの篏合により連結しているので、連結及び分離の取り扱いが統一しており、操作性が良い。
【0025】
上述した一実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0026】
1…X線管装置、3…冷却器、5…管容器、7…X線管、9…管容器側カプラ、11…除圧弁、12…除圧弁ユニット、13…除圧弁側カプラ、15…一方の管容器側ホース、17…他方の管容器側ホース、27…圧力緩衝器、29…管容器側ホース用カプラ、31…一方の冷却器側ホース、33…他方の冷却器側ホース、35…冷却器側ホース用カプラ、37…圧力緩衝器側ホース、39…圧力緩衝器側カプラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6