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特開2024-120512球状黒鉛鋳鉄製鋳物の製造方法及びその製造方法に用いる鋳型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120512
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】球状黒鉛鋳鉄製鋳物の製造方法及びその製造方法に用いる鋳型
(51)【国際特許分類】
   B22D 27/04 20060101AFI20240829BHJP
   B22C 9/02 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B22D27/04 E
B22C9/02 103H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027351
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】391012796
【氏名又は名称】ヨシワ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(72)【発明者】
【氏名】中村 綜一
(72)【発明者】
【氏名】阪谷 岳洋
(57)【要約】
【課題】本発明では、砂型鋳物を鋳放した状態でも、強い引張強さと高い伸び特性とを両立した球状黒鉛鋳鉄製の鋳物を得る鋳造方法及びその鋳型を得ることを目的とする。
【解決手段】球状黒鉛製の鋳物を鋳造する鋳物の製造方法は、鋳型10のキャビティ40に溶湯を注湯する前に、水槽20内に冷却水を貯留するとともに、所定量の冷却水を注水かつ排水して水槽20内の冷却水を入れ替えながら冷却水で冷却壁Kを介して砂型30を冷却する状態とし、水槽20の冷却水を入れ替えながら砂型30を冷却する状態でキャビティ40に溶湯を注湯し、鋳型10内で球状黒鉛鋳鉄製の鋳物を鋳造する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳物砂を用いて内面側に鋳物用のキャビティを形成した砂型と、
該砂型の外面側に設けられ、内部に冷却水を貯留する水槽と、
該水槽内に冷却水を注水する注水口と、
該水槽内の冷却水を排水する排水口と、を備え、
該砂型に接触する該水槽の側壁が、該水槽の冷却水が直接該砂型に接触することを防止し、且つ該水槽の該冷却水で該砂型を冷却する冷却壁を構成している鋳型、を用いて球状黒鉛製の鋳物を鋳造する鋳物の製造方法において、
該鋳型の該キャビティに溶湯を注湯する前に、該水槽内に該冷却水を貯留するとともに、所定量の冷却水を注水かつ排水して該水槽内の該冷却水を入れ替えながら、該冷却水で該冷却壁を介して該砂型を冷却する状態とし、
該水槽の該冷却水を入れ替えながら該砂型を冷却する状態で、該キャビティに該溶湯を注湯し、該鋳型内で球状黒鉛鋳鉄製の鋳物を鋳造することを特徴とする鋳物の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の鋳物の製造方法において、
該砂型、該冷却壁及び該水槽の厚さを同じ断面で比較すると、該水槽、該砂型及び該冷却壁の順番で薄くなっていることを特徴とする鋳物の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の鋳物の製造方法において、
該冷却水が、常温以下の冷却水であることを特徴とする鋳物の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の鋳物の製造方法において、
該鋳物砂は生砂、自硬性鋳物砂、ガス硬化性鋳物砂またはシェル砂であることを特徴とする鋳物の製造方法。
【請求項5】
鋳物砂を用いて内面側に鋳物用のキャビティを形成した砂型と、
該砂型の外面側に設けられ、内部に冷却水を貯留する水槽と、
該水槽内に冷却水を注水する注水口と、
該水槽内の冷却水を排水する排水口と、
該砂型に接触する該水槽の側壁が、該水槽の冷却水が直接該砂型に接触することを防止し、且つ該水槽の該冷却水で該砂型を冷却する冷却壁を構成し、
該鋳型の該キャビティに溶湯を注湯する前から、該水槽内に該冷却水を貯留するとともに、所定量の冷却水を注水かつ排水して該水槽内の該冷却水を入れ替えながら該砂型を冷却させつつ、該キャビティに該溶湯を注湯中の間、該水槽内の該冷却水を入れ替えながら該砂型を介して該鋳物を冷却させるように該水槽への該冷却水の注水及び排水を制御する冷却水制御部と、を備えていることを特徴とする球状黒鉛鋳鉄製の鋳物を製造する鋳型。
【請求項6】
請求項5に記載の鋳型において、
該砂型、該冷却壁及び該水槽の厚さを比較すると、該水槽、該砂型及び該冷却壁の順番で薄くなっていることを特徴とする球状黒鉛鋳鉄製の鋳物を製造する鋳型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状黒鉛鋳鉄製鋳物の製造方法及びその製造方法に用いる鋳型に関し、特に、機械的性質が優れた球状黒鉛鋳鉄製鋳物の製造方法及びその製造方法に用いる鋳型に関する。
【背景技術】
【0002】
製造プロセスの環境配慮として高強度かつ高延性を有する球状黒鉛鋳鉄を実現し、製品の軽量化に貢献することが指向されており、自動車部品等に使用される鋳鉄部品においても、軽量化設計を実現させるための機械的性質の向上が要求されている。例えば、球状黒鉛鋳鉄においては、ハイレベルで優れた強度と伸び特性とを兼備したものの必要性が高まってきている。
【0003】
一般に、球状黒鉛鋳鉄としては、JIS規格のFCD350、FCD400、FCD450などの高延性のものや、FCD600、FCD700、FCD800などの高強度のものが知られている。高延性タイプのFCD450は、引張強さが450MPa以上、伸びが10%以上であり、また高強度タイプのFCD700は、引張強さが700MPa以上、伸びが2%以上である。このように、球状黒鉛鋳鉄では、強度および伸びの一方を増大させると他方が低減する傾向にあるため、引張強さと伸び特性を高いレベルで両立することは容易ではない。例えば、伸び特性が良好な高延性の球状黒鉛鋳鉄を用い、その鋳鉄の肉厚を厚くすることで強度不足を補うこと行われているが、基地組織が厚さ方向でバラツク問題や、厚肉化に伴う重量増大やコスト増大が懸念される。
【0004】
例えば、特開2001-321917号公報では、球状黒鉛鋳鉄品を鋳造する鋳型として砂型を用い、砂型の中に冷却装置を埋め込んで設けている。この冷却装置では、鋳物に接触する鋳型面に銅合金製の部材が配置され、その後側に円筒形の冷却配管が蛇行して設けられている。砂型内に溶湯を注湯後、冷却配管に通水して銅合金製の部材を介して鋳物の冷却を促進することで、球状黒鉛の微細化など品質を改良することが開示されている。
【0005】
また、特開昭59-13565号公報では、砂型鋳造鋳型の一部に水冷チラーを配置して、鋳込み後この水冷チラーの背後に冷却水を流して強制冷却することで、この水冷チラーに接触する面から凝固させるようにした厚肉鋳鋼品の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001-321917号公報
【特許文献2】特開昭59-13565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1では、銅合金製の冷却部材に接触する部分とそうでない部分とで溶湯の冷却速度が異なり固化する時期が異なるために、鋳物の組織に偏析が生じ易く、強度や伸びなどの機械的強度がばらつくこととなり、安定した鋳物を得ることが難しい。また、凝固時間は鋳放し状態にして自然放冷する場合に比較して冷却時間が短くなっているが、引張強さが410MPa、伸びが28.5%であり、伸びは良い結果を示すが、引張強さは不十分なものであり、要求レベルからするとまだ不十分であった。
【0008】
また、特許文献2では、鋳込み後に冷却チラーの背後に冷却水を流すものであり、冷却時間は、鋳放し状態にして自然放冷した鋳物よりも早く冷却されるが、冷却チラーに近い部分と遠い部分とで、鋳物が固化する時期が異なるために鋳物の組織に偏析が生じ易く、強度や伸びなどの機械的強度がばらつくこととなる。特に、冷却チラーに接触する部分は、急冷により高強度になるが延性が不足することとなる。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明では、砂型鋳物を鋳放した状態でも、強い引張強さと高い伸び特性とを両立した球状黒鉛鋳鉄製の鋳物を得る鋳造方法及びその鋳型を得ることを目的とする。本発明において、「鋳放し」とは、熱処理を加えてない状態をいうものとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、砂型鋳物を鋳放しで冷却する際の冷却速度、特にA1変態点を通過するときの冷却速度を高速化することで、基地組織にフェライトとパーライトを混在させるとともに、その基地組織の性状を調整することにより、強い引張強さと高い伸び特性とを両立した球状黒鉛鋳鉄製の鋳物を得る鋳造方法及びその鋳型を得るようにしたことを特徴とする。
【0011】
具体的には、請求項1の発明は、鋳物砂を用いて内面側に鋳物用のキャビティを形成した砂型と、該砂型の外面側に設けられ、内部に冷却水を貯留する水槽と、該水槽内に冷却水を注水する注水口と、該水槽内の冷却水を排水する排水口と、を備え、該砂型に接触する該水槽の側壁が、該水槽の冷却水が直接該砂型に接触することを防止し、且つ該水槽の該冷却水で該砂型を冷却する冷却壁を構成している鋳型、を用いて球状黒鉛製の鋳物を鋳造する鋳物の製造方法において、該鋳型の該キャビティに溶湯を注湯する前に、該水槽内に該冷却水を貯留するとともに、所定量の冷却水を注水かつ排水して該水槽内の該冷却水を入れ替えながら、該冷却水で該冷却壁を介して該砂型を冷却する状態とし、該水槽の該冷却水を入れ替えながら該砂型を冷却する状態で、該キャビティに該溶湯を注湯し、該鋳型内で球状黒鉛鋳鉄製の鋳物を鋳造することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、該砂型、該冷却壁及び該水槽の厚さを同じ断面で比較すると、該水槽、該砂型及び該冷却壁の順番で薄くなっていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、該冷却水が、常温以下の冷却水であることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、該鋳物砂は生砂、自硬性鋳物砂、ガス硬化性鋳物砂またはシェル砂であることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、球状黒鉛鋳鉄製の鋳物を製造する鋳型が、鋳物砂を用いて内面側に鋳物用のキャビティを形成した砂型と、該砂型の外面側に設けられ、内部に冷却水を貯留する水槽と、該水槽内に冷却水を注水する注水口と、該水槽内の冷却水を排水する排水口と、該砂型に接触する該水槽の側壁が、該水槽の冷却水が直接該砂型に接触することを防止し、且つ該水槽の該冷却水で該砂型を冷却する冷却壁を構成し、該鋳型の該キャビティに溶湯を注湯する前から、該水槽内に該冷却水を貯留するとともに、所定量の冷却水を注水かつ排水して該水槽内の該冷却水を入れ替えながら該砂型を冷却させつつ、該キャビティに該溶湯を注湯中の間、該水槽内の該冷却水を入れ替えながら該砂型を介して該鋳物を冷却させるように該水槽への該冷却水の注水及び排水を制御する冷却水制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、該砂型、該冷却壁及び該水槽の厚さを比較すると、該水槽、該砂型及び該冷却壁の順番で薄くなっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明では、溶湯を注湯する前から砂型を大量の冷却水で冷却しているので、高温の溶湯を注湯しても砂型を介して溶湯を冷却でき、溶湯の冷却速度を高速で安定的に保つことができ、高い引張強さ及び高い伸びの球状黒鉛鋳鉄製の鋳物を得られる。
【0018】
請求項2の発明では、該砂型、該冷却壁及び該水槽の厚さを比較すると、該水槽、該砂型及び該冷却壁の順番で薄くなっており、且つ注湯する前から冷却水で砂型を冷却しているので、該水槽内を流れる冷却水の冷却温度が該冷却壁から該砂型に素早く伝わり砂型が安定して冷却され、高温の溶湯が注湯されても溶湯も安定して冷却できる。
【0019】
請求項3の発明では、冷却水が常温以下であり、高温の溶湯が注湯されても、冷却水も100℃近くの高温になることを防止できる。
【0020】
請求項4の発明では、該鋳物砂は生砂、自硬性鋳物砂、ガス硬化性鋳物砂またはシェル砂など、各種の鋳物砂からなる砂型が適用できる。
【0021】
請求項5の発明では、球状黒鉛鋳鉄製の鋳物を製造する鋳型が、鋳物砂を用いて内面側に鋳物用のキャビティを形成した砂型と、該砂型の外面側に設けられ、内部に冷却水を貯留する水槽と、該水槽内に冷却水を注水する注水口と、該水槽内の冷却水を排水する排水口と、該水槽への該冷却水の注水及び排水を制御する冷却水制御部とを備えているので、溶湯を注湯する前から砂型を大量の冷却水で冷却でき、高温の溶湯を注湯しても砂型を介して溶湯を冷却でき、溶湯の冷却速度を高速で安定的に保つことができ、高い引張強さ及び高い伸びの球状黒鉛鋳鉄製の鋳物を得られる。
【0022】
請求項6の発明では、該砂型、該冷却壁及び該水槽の厚さを比較すると、該水槽、該砂型及び該冷却壁の順番で薄くなっており、鋳込む前から冷却水で砂型全体を冷却しているので、該水槽内を流れる冷却水の温度が該冷却壁から該砂型に素早く伝わり砂型が安定して冷却され、高温の溶湯が注湯されても溶湯も安定して冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施形態に係る鋳型を示す図2のI-I線における断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る鋳型を示す側面図である。
図3図3は、供試材のYブロックを示す正面図である。
図4図4は、実施形態の冷却水循環経路を示す概略図である。
図5図5は、本発明の実施例及び比較例の成分組成を示す表である。
図6図6は、本発明の実施例及び比較例の特性を示す表である。
図7図7は、本発明の実施例及び比較例の引張強さと伸びの関係を示すグラフである。
図8図8は、本発明の実施例及び比較例の冷却温度と時間との関係を示すグラフである。
図9図9は、比較例の鋳型を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0025】
図1及び図2に基づいて、本発明の実施形態の鋳型を説明する。図1及び図2は、それぞれ本発明の実施形態に係る鋳型を示す正面図及び側面図である。
【0026】
本発明の実施形態に係る鋳型10で製造される鋳物41は、JIS G 5502 Y形ブロックB号である。「JIS G 5502 Y形ブロックB号」を以下では、「Yブロック」と称す。鋳型10は、周囲を囲っている鉄板製の板材11と、左右の板材11の下側に設けられた水槽20と、鉄板製の板材11と水槽20の内側に設けられた砂型30とを備える。砂型30は、鋳物砂を用いて内面側の空間に、図3に示すようなYブロック41を鋳造する鋳物用のキャビティ40を形成している。砂型30は、キャビティ40の周囲、即ち板材11及び水槽20の内部側と、キャビティ40の底に相当する部分に設けられ、キャビティ40の上側が解放され、溶湯がキャビティ40内に注湯されるようになっている。なお、溶湯の注湯時には、鋳型10は、水槽20の底面と砂型30とが基板12上に接触した状態で、複数並んで基板12の上に載置される。
【0027】
水槽20は、砂型30の外面側に設けられ、内部に冷却水を貯留するようになっている。水槽20内に冷却水を注水する注水口22と水槽20内の冷却水を排水する排水口23とを備える。砂型30に接触する水槽20の側壁22が、水槽20の冷却水が直接砂型30に接触することを防止し、且つ水槽20の冷却水で砂型30を冷却する冷却壁Kを構成している。
【0028】
水槽20は、板材11の左側面板11a及び右側面板11bの下側で、砂型30の外側の位置にそれぞれ設けられ、Yブロック41の下方柱部y1を冷却するようになっている。以下では、一方の水槽20のみ説明し、他方の水槽20の説明を省略する。15は、水槽20を鋳型10に取り付ける部材である。
【0029】
鋳型10の外観寸法は、上幅B1:102mm、下幅B2:145mm、高さH:150mm、奥行きD:312mmのほぼ直方体である。板厚B3:16mmの板材11の内側に砂型30が設けられている。キャビティ40の寸法即ちYブロック41の寸法は、図2及び図3に示すように、下幅a:25mm、上幅b:55mm、下方柱部y1の高さh1:40mm、上方柱部y2の高さh2:100mm、奥行きd:250mmである。
【0030】
水槽20の外寸法は、高さ50mm、幅50mm、奥行き312mmの直方体からなる。水槽20の周囲は、板厚4.5mmの鉄鋼製の側壁21で囲まれている。水槽20の容積は、高さ41mmX41mmX303mm=509.323mm3である。側壁21の外面側壁21aの前側端で下方位置に注水口22が、外面側壁21aの後端で上方位置に排水口23が設けられている。側壁21の内面側壁21bが厚さR1:4.5mmの冷却壁Kを構成している。この冷却壁Kに対応する砂型30の厚さR2は10mmで、キャビティ40の厚さ(すなわち下幅)aは25mm、水槽20の厚さR3は41mmである。本発明で「厚さ」とは、同じ高さ位置(図1に示す位置)で、水平方向の距離を測定した時の寸法のことを示す。
【0031】
冷却壁Kはできるだけ薄い方が砂型30を速く冷却できるので好ましいが、薄過ぎると損傷して水漏れする恐れがあるので、2mm~10mmとすることが好ましい。
【0032】
また、砂型30の厚さR2は、水槽20の冷却水で素早く冷却され、鋳物41を冷却するためには薄い方が良いが、薄過ぎると鋳型10の形状を保持でき無くなるので、2mm~20mmとすることが好ましい。
【0033】
冷却壁Kは金属の板材としてできるだけ薄くし、砂型30は鋳物41の形状を維持する必要があるので所定の厚さを必要とする。そのために、相対的に冷却壁Kの厚さR1の方が砂型30の厚さR2よりも薄くなっている。また、冷却水を貯水する水槽20の厚さR3は、冷却壁Kの厚さR1や砂型30の厚さR2よりも厚くなっており、冷却壁K及び砂型30を素早く冷却できるようになっている。また、冷却水を貯水する水槽20の厚さR3が薄過ぎると、注湯した時の高温の溶湯の温度が砂型30及び冷却壁Kに伝わって冷却水に伝わるので、冷却水が高温になる恐れがある。冷却水の温度が上昇しても、70℃~80℃までとすることが好ましいので、水槽20の厚さR3は砂型30の厚さR2や冷却壁Kの厚さR1よりも厚くなっている。鋳物であるYブロック41の厚さaは製品により異なるが、本発明のYブロック41のように両側に水槽20を設けて冷却する場合には、Yブロック41の厚さaは、水槽20の厚さR3より薄く砂型30の厚さR2より厚くなっている。そのために、本発明では、お互いの厚さは、R1<R2<a<R3の関係になることが好ましい。
【0034】
図4に示すように、冷却水を貯留するタンク24からポンプ25を介して注水口22に接続されて、冷却水が水槽20に供給され、排水口23から排水される冷却水がタンク24に戻るようになっている。ポンプ25に接続された冷却水制御部26で、供給する冷却水の水量が制御されている。
【0035】
水槽20には、一杯に冷却水が満たされており、注水口22から注水する冷却水の水量と排水口23から排水する水量が同じ量になっており、水槽20では常時所定量の冷却水が入れ替わりながら、冷却壁Kを介して砂型30を冷却し、砂型30を介してキャビティ40内の鋳物41を冷却するようになっている。
【0036】
水槽20の注水口22及び排水口23の内径は、水槽20の厚さR3よりも小さいが、水槽の冷却水が短い時間で全て入れ替わるように通流することで、水槽20の冷却水が100℃近くの高温になることを防止している。また、溶湯を注湯する前から冷却水を通流しているので、1300℃前後の溶湯を注湯しても、水槽20の冷却水が沸騰するような高温になることが防止される。
【0037】
特に、本発明では、単に冷却水パイプに冷却水を通流して砂型を介して溶湯を冷却するものに比較して、冷却する冷却水量を多くできる即ち水槽20の厚さを厚くできるので、高温の溶湯に対しても100℃近くまで高温になることを防止でき、且つ素早く鋳物を冷却できる。
【0038】
実施形態では、水槽20は、板材11の左側面板11a及び右側面板11bの下側で、砂型30の外側の位置にそれぞれ設けられているが、Yブロック41の底面側や前後端側にも設けても良い。
【0039】
(鋳造方法)
実施形態では、鋳型10のキャビティ40に溶湯を注湯する前に、水槽20内に冷却水を貯留するとともに、冷却水制御部26を制御して、15リットル/分の冷却水を水槽20に注水すると共に同量排水するようにする。このようにして、冷却水を常時入れ替えながら冷却壁Kを介して砂型30を冷却している状態とする。例えば、実施形態では、4秒で水槽20の冷却水が全部入れ代わる水量となっている。
【0040】
この通流状態を持続して図1及び図2に示すキャビティ40に溶湯を注湯する。具体的には、溶解炉(高周波炉、低周波炉)内で原料溶湯の成分を調整する。次に、溶解炉(図示省略)から取鍋(図示省略)へ注湯する際に、周知のサンドイッチ法等を用いて、原料溶湯に黒鉛球状化剤(Fe-Si-Mg合金)を接種・添加する。なお、必要に応じて、接種材を取鍋内添加または注湯流接種する。
【0041】
取鍋内で鋳鉄溶湯に球状黒鉛粒子が生成された後、鋳鉄溶湯の表面に生成されたシリカなどの不要物(ノロ)を除去し、取鍋から鋳鉄溶湯をYブロック形状に形成された砂型30のキャビティ40に注湯する。溶湯の注湯前から注湯中、注湯後も鋳物41が適切な温度に冷却されるまで鋳型10内で鋳鉄溶湯を冷却し続ける。
【0042】
水槽20に冷却水を通流しながら、冷却壁K、砂型30を介して鋳物41を冷却することで、約1300℃の溶湯を注湯しても、鋳物41が滑らかな冷却曲線を描きながら冷却されつつ、A1変態点を通過するときの冷却速度を速くできるので、冷却時間を短くできるだけでなく、球状黒鉛鋳鉄の黒鉛、パーライト及びフェライトの組織を安定することができて、引張強さ及び伸びに優れたものが得られる。
【0043】
なお、水槽20の冷却水がすべて入れ替わる時間は例示であり、上記数値に限られるものでは無い。なお、冷却水の温度が、100℃近くの温度になりそうであれば、冷却水制御部26を制御して水量を増量し、逆に冷却水の温度がそれ程高くならない場合には、水量を少なくするなどの自動制御を行うようにしても良く、途中で水量を変更するようにしてもよい。これにより、鋳型10内でYブロックの球状黒鉛鋳鉄製鋳物41を得ることができる。
【0044】
(成分組成)
以下に、本発明における化学成分組成について説明する。ここにいう質量%は、球状黒鉛鋳鉄全体を100質量%とした場合の成分割合である(以下、同じ)。成分調整された原料溶湯の各元素の含有量と、取鍋内に配置される黒鉛球状化剤などの各添加元素の添加量とを合わせた総量が、本発明の球状黒鉛鋳鉄の成分組成となる。
【0045】
C含有量は、本発明に必要な黒鉛量と鋳造性(溶湯の流動性)を確保するために、少なくとも3.0質量%含有することが好ましい。その一方で、含有量が高すぎると球状化不良組織が現れて強度が低下してしまうので、4.0質量%以下とすることが好ましい。
【0046】
Si含有量が溶湯の流動性を高める作用や黒鉛の晶出を促進する作用を確保するために、少なくとも2.0質量%含有し、その一方で、含有量が高すぎると黒鉛の晶出が過剰になるとともに基地組織のパーライト化を抑える作用が大きくなって高強度が得られなくなり、製品の外表面にピンホール等の荒れが発生しやすくなるため、その上限を3.5質量%とすることが好ましい。
【0047】
Mnは、パーライト安定化元素として強度向上に寄与するが、多量に含まれるとチルが生成し易くするため、0.5質量%以下の範囲とすることが好ましい。
【0048】
Pは、最終凝固部に偏析して鋳造品を脆化させる。この現象は、厚肉品で特に顕著であるので、0.022質量%以下の範囲とすることが好ましい。
【0049】
Sは、球状化阻害元素であるので、0.015質量%以下の範囲とすることが好ましい。
【0050】
Cuは、Mnと同様にパーライトを安定的に存在させるのに有効な元素であるが、含有量を必要以上に高くしても、その効果には限界があるため、その上限を0.5質量%以下とすることが好ましい。
【0051】
Mgは、黒鉛を球状化させるのに必要な元素であり、0.02質量%未満では、黒鉛が球状化されにくく、引張強さを確保できず、0.05質量%を超えると、引け巣や炭化物が現れやすくなってしまう。0.02質量%~0.05質量%以下とすることが好ましい。
【0052】
本発明では、球状黒鉛鋳鉄製鋳物は、鋳放し状態で引張強さ650MPa以上、伸び10%以上となることが好ましい。引張強さ及び伸び特性の両方をハイレベルとするためには、砂型を用いた鋳型で鋳物の冷却速度を速くする、特にA1変態点を通過するときの冷却速度を速くすることが好ましい。
【0053】
Fe-C系平衡状態図でのA1変態点は、安定系(Fe-C)で738℃、準安定系(Fe-Fe3C)で727℃とされる。その両方を満たす範囲の速度を算出するために、本発明では、730℃±15℃での間における平均冷却速度をA1変態点の冷却速度とした。本発明において、「A1変態点の冷却速度」とは、以上に述べた冷却速度のことを言う。
【0054】
冷却速度が速くなるとパーライトが増加し、フェライト面積率が減少する。そのために、引張強さは、パーライト面積率即ち冷却速度に依存し、冷却速度が速くなると引張強さが高くなるものと予測される。
【0055】
従って、本発明では、A1変態点を通過するときの冷却速度は、鋳放しで放冷した時に比較して2倍以上、例えば、Yブロックで比較するとテストブロックでは、0.5℃/s以上とすることが好ましい。
【0056】
特に本発明では、砂型の外側に水槽を設け、溶湯を注湯する前から水槽に冷却水を流して砂型を大量の冷却水で冷却するとともに所定量の冷却水を入れ替える状態に維持しておき、その後高温の溶湯を注湯するので、高温の溶湯で砂型が急激に高温になることが防止でき、溶湯が滑らかな冷却曲線を描きながらかつ早く冷却されることになる。従って、A1変態点を通過するときの冷却速度を速くでき、高い引張強さ及び高い伸びの球状黒鉛鋳鉄製の鋳物を得られる。
特に、本発明では、引張強さが650MPa以上でかつ伸びが10%以上の球状黒鉛鋳鉄製の鋳物を得られる。
【0057】
特に、本発明では、溶湯を注湯する前から砂型を冷却するので、高温の溶湯を注湯した時に、高温の溶湯が急激に冷却されて、その冷却部分がチル化することが懸念されるが、水槽とYブロックの間に砂型が介在していることで、高温の溶湯が急激に冷却されることが防止できている。
【0058】
実施形態では、水槽に投入する冷却水として、通常工場で使用される水を使用したものであり、30リットル/分である。しかし、本発明ではこの水量に限定されるものでは無い。実施形態では、常温以下の冷却水を使用した。尚、冷却水が高温の溶湯で100℃近い温度になることを防止するためには、溶湯を注湯する前の冷却水の温度ができるだけ低い方が好ましいので、本発明では、冷却水は常温以下の冷却水であることが好ましい。
【0059】
本発明では、基地組織のフェライト組織の面積率が25~60%、パーライト組織の面積率が40~75%であることが好ましく、更には、フェライト組織の面積率が30~50%、パーライト組織の面積率が50~70%であることがより好ましい。冷却速度が速くなるとパーライト面積率が増加し、フェライト面積率が減少し、引張強さが高くなるので、パーライト組織の面積率を上記範囲とすることが好ましい。
【0060】
黒鉛球状化率は70%以上、黒鉛の結晶粒数は190個/mm2~400個/mmとすることが好ましい。黒鉛の平均粒径が25μm以下であることが好ましい 。黒鉛球状化率が70%未満であると、球状黒鉛鋳鉄のヤング率、疲労強度、延性がいずれも低下する。黒鉛面積率は上記範囲であると、疲労強度を高くしながら被削性の改善効果を十分に得ることができる。黒鉛の平均粒径が25μm以下であると、微小な黒鉛が多く分布し、衝撃値特性が向上する。
【0061】
実施形態では、CO2法を用いて鋳物砂を造型したが、この造型方法に限られるものでは無く、他の鋳物砂の造型方法、例えば、生砂、自硬性鋳物砂、ガス硬化性鋳物砂またはシェル砂を使用することも可能である。
【実施例0062】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0063】
実施例1~8、及び比較例1及び2の成分組成は、図5に示す通りである。なお、図5において、残部(成分組成以外)はFe及び不可避的不純物である。実施例1~8に使用する鋳型10は、図1及び図2に示す実施形態のものを使用した。図3に示すように、Yブロック41の斜線部から供試材を取り出した。図3に示すYブロック41の下方柱部y1(斜線部分)から取り出した供試材を用いて各実施例1の特性を測定した。
【0064】
また、比較例1及び2の鋳型は、実施例1~8に使用した鋳型から水槽を取り除いた形状であって、図9に鋳型の概略を示す。鋳型100の外観寸法は、幅:125mm、高さ:150mm、奥行き:330mmの直方体であって、板厚:5mmの金属プレートからなる板材110で周囲を囲っている。板材110の内側及び板材110の底に砂型300を埋め込んだ。比較例1及び2のキャビティ400は、実施例1~8のキャビティと同じ大きさである。砂型300の内部には、JIS G 5502 Y形ブロックB号の鋳物を鋳造するキャビティ400が設けられている。比較例1及び2のキャビティ400は、実施例1~8のキャビティ40と同じ大きさである。
【0065】
実施例1~8及び比較例1,2の鋳鉄溶湯を準備し、鋳鉄溶湯の温度を測定しながら、Yブロックの複数の鋳型に順次注湯した。その後、300℃以下の温度まで鋳型内で冷却し、鋳型から鋳造品を取り出した。得られた鋳造品を用いて、JIS Z 2241に準拠した4号試験片をそれぞれ作製し、引張試験、伸び及び耐力を測定した。
【0066】
<耐力(0.2%耐力)、引張強さ、伸び>
JIS Z 2241に準拠し、4号試験片を作製して室温(23℃)において耐力(MPa)、引張強さ(MPa)及び伸び(%)を測定した。
【0067】
<フェライト面積率>
フェライト組織の面積率(%)は、鋳鉄の断面を光学顕微鏡により倍率100倍で撮影し、撮影した組織写真の画像処理により、黒鉛を除いた組織を「パーライト+フェライトの面積」として抽出し、黒鉛及びパーライトを除いた組織を「フェライトの面積」として抽出した。
【0068】
<黒鉛粒数、黒鉛粒径、黒鉛球状化率、黒鉛面積率>
供試材の断面を光学顕微鏡を用いて観察した観察画像を取り込み、画像解析ソフトを用いて、粒状または球状の黒鉛の黒鉛粒子数(個/mm2)、黒鉛粒径(μm)、黒鉛球状化率(%)、黒鉛面積率(%)を測定した。測定結果は5か所の観察箇所についての平均値とした。
【0069】
<鋳込み温度、初晶温度、鋳込み-初晶冷却速度、A1変態点の冷却速度>
温度測定は、シース熱電対をキャビティ40内に入れておき、溶湯を注湯して、鋳込み温度(℃)、初晶温度(℃)、鋳込み-初晶冷却速度(℃/s)、A1変態点の冷却速度(℃/s)を測定した。本発明では、「鋳込み-初晶冷却速度」とは鋳込み温度~初晶までの低下温度と時間から冷却速度を求めた。また、A1変態点を通過するときの温度として、730±15℃で設定している。Fe-C系平衡状態図でのA1変態点は安定系(Fe-C)で738℃、準安定系(Fe-Fe3C)で727℃とされている。その両方を満たす範囲の速度を算出するために上記温度範囲を低下するときの時間でA1変態点を通過するときの冷却速度としている。その結果を図6に示す。また、実施例4及び比較例1について、鋳鉄溶湯を鋳型に流し込んだ冷却温度と冷却時間との関係を図8に示す。
【0070】
図5及び図6に示すように、本発明の組成範囲内の実施例1~8の供試材は、引張強さは650MPa以上であり、伸びは10%以上であった。図7に、実施例1~8、比較例1と2及びJIS規格品の引張強さと伸びの関係を示す。なお、FCD450-10は、伸びが10%であり、引張強さが450MPaである。FCD500-7は、伸びが7%であり、引張強さが500MPaである。FCD600-3は、伸びが3%であり、引張強さが600MPaである。FCD700-2は、伸びが2%であり、引張強さが700MPaである。比較例1及び2では伸びは10%以上であるが、引張強さがそれぞれ624MPa、628MPaであり、引張強さが不十分であった。FCD450-10、FCD500-7、FCD600-3、FCD700-2は、伸びが不足するか引張強さが不十分などちらかであり、伸びと引張強さの両方を満足するものは得られてない。これらのデータから、本発明の実施例1~8の供試材は高い強度と高い延性の両方を有することが分かる。
【0071】
実施例1~8の供試材は高い強度及び延性を有するのに対して、比較例1及び2が伸びは満足する値であったが、引張強さが不十分であった理由としては、比較例1や比較例2ではA1変態点を通過するときの冷却速度が、図6に示すように、それぞれ0.26℃/秒、0.32℃/秒と遅く、それに対して、実施例1~8ではいずれもA1変態点を通過するときの冷却速度が0.50℃/秒以上であり、相対的に早く冷却できているからだと考えられる。
【0072】
また、実施例4及び比較例1の冷却温度と冷却時間の関係をグラフにすると、図8に示すようになった。このグラフから判断できることは、実施例4及び比較例1のどちらも、鋳込みから初晶までの冷却速度はほぼ同じである。このことからすると、実施例4では、自然放冷する比較例1と同様な初晶を得られるので、本発明で水槽を設けて冷却しても、急激な冷却になってなく、それによるチル組織はほとんど発生していないと言える。
【0073】
また、初晶以降の冷却では、実施例4及び比較例1のどちらも、緩やかな曲線で冷却しており、組織は安定していると言える。違いとしては、冷却速度が大きく異なり点である。A1変態点を通過するときの冷却速度が、実施例4では0.63℃/秒であるのに対して、比較例1では0.26℃/秒であり、2倍以上の差異がある。
【0074】
なお、他の実施例についても、図8に表示すると煩雑にあるので表示を省略したが、図6に示すように、鋳込みから初晶までの冷却速度がほぼ同じであり、A1変態点を通過するときの冷却速度が、他の実施例でも0.5℃/秒以上であるので、実施例4と同様なことが言える。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、高強度かつ高延性が求められる、機械部品、自動車部品、例えばステアリングナックル、ロアアーム、アッパーアーム、サスペンションなどの足回り部品や、シリンダーヘッド、クランクシャフト、ピストンなどのエンジン部品への適用が可能となる。
【符号の説明】
【0076】
10 鋳型
11 板材
20 水槽
21 側壁
21b(K) 冷却壁
22 注水口
23 排水口
24 タンク
25 ポンプ
26 冷却水制御部
30 砂型
40 キャビティ
41 鋳物(Yブロック)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9