(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120526
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】製本システム及び制御装置並びに制御方法
(51)【国際特許分類】
B42C 19/08 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
B42C19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027370
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】596025412
【氏名又は名称】株式会社ホリゾン
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】清水 智之
(72)【発明者】
【氏名】加芝 正幸
(57)【要約】
【課題】折り機の後処理装置において、折丁を重ならずに供給できるとともに加工処理の効率化を図ることのできる製本システム及び制御装置並びに制御方法を提供すること。
【解決手段】製本システム1は、折り機20の加工部21において形成された折丁P2を搬送する搬送ユニット22、31と、搬送ユニット22、31から折丁P2を受け取り、中綴じ機40の加工部41へ搬送する搬送ユニット32とを備える。製本システム1において、搬送ユニット22、31の搬送速度と搬送ユニット32の搬送速度との比は、折丁P2の折りパターンに基づいて設定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り機の加工部において形成された折丁を後処理装置側の搬送手段である後処理側搬送手段へ受け渡す前処理側搬送手段の搬送速度を制御する制御装置であって、
前記折丁の折りパターンに応じて前記前処理側搬送手段の搬送速度を制御する制御装置。
【請求項2】
前記後処理側搬送手段によって搬送される折丁同士の間隔が、前記折丁の幅よりも狭くなるように、前記前処理側搬送手段を制御する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記折丁の折パターンに応じて前記前処理側搬送手段の搬送速度を異ならせる請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の制御装置を備える製本システム。
【請求項5】
折り機の加工部において形成された折丁を搬送する前処理側搬送手段と、
前記前処理側搬送手段から前記折丁を受け取り、後処理装置の加工部へ搬送する後処理側搬送手段と
を備え、
前記前処理側搬送手段及び前記後処理側搬送手段の搬送速度の比が、前記折丁の折りパターンに基づいて設定されている製本システム。
【請求項6】
前記折丁の折りパターンに応じて、前記前処理側搬送手段及び前記後処理側搬送手段の搬送速度の比を変化させる請求項5に記載の製本システム。
【請求項7】
前記前処理側搬送手段の搬送速度は、前記後処理側搬送手段よりも早く設定されている請求項5に記載の製本システム。
【請求項8】
折り機において形成された折丁を後処理装置側の搬送手段である後処理側搬送手段へ受け渡す前処理側搬送手段の搬送速度を制御する制御方法であって、
前記折丁の折りパターンに基づいて前記前処理側搬送手段の搬送速度を制御する制御方法。
【請求項9】
折り機の加工部において形成された折丁を搬送する前処理側搬送手段と、前記前処理側搬送手段から前記折丁を受け取り、後処理装置の加工部へ搬送する後処理側搬送手段とを備える製本システムの制御方法であって、
前記折丁の折りパターンに応じて、前記前処理側搬送手段及び前記後処理側搬送手段の搬送速度の比を制御する製本システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製本システム及び制御装置並びに制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、給紙機から供給された用紙を折り畳み、折丁を形成する折り機と、折り機の後段に設けられ、折丁を中綴じする中綴じ機とを備える製本システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載される中綴じ機は、折り機から供給された折丁を所定の折り線に沿って2つ折りにする折り部と、2つ折りにされた折丁の折り線の所定箇所を針金綴じする綴じ部とを備えている。
また、折丁を処理する後処理装置として、上述した中綴じ機の他、プレス機、無線綴じ機等も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、中綴じ機では、折り部の手前で折丁の搬送速度が減速されていたことから、連続供給される折丁の一部が重ねられた状態で折り部に供給され、この状態で2つ折りにされていた。このため、折丁の一部に押圧による痕がついてしまうという不具合が生じる場合があった。このような不具合を解消するためには、後処理装置において、折丁が重ならないように所定の加工部に供給することが考えられる。また、中綴じ機だけでなく、プレス機、無線綴じ機などの他の後処理装置においても同様に、折丁が重ならないように搬送することが好ましい。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、折り機の後処理装置において、折丁を重ならずに供給できるとともに加工処理の効率化を図ることのできる製本システム及び制御装置並びに制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、折り機の加工部において形成された折丁を後処理装置側の搬送手段である後処理側搬送手段へ受け渡す前処理側搬送手段の搬送速度を制御する制御装置であって、前記折丁の折りパターンに応じて前記前処理側搬送手段の搬送速度を制御する制御装置である。
【0007】
本開示の一態様は、上記制御装置を備える製本システムである。
【0008】
本開示の一態様は、折り機の加工部において形成された折丁を搬送する前処理側搬送手段と、前記前処理側搬送手段から前記折丁を受け取り、後処理装置の加工部へ搬送する後処理側搬送手段とを備え、前記前処理側搬送手段及び前記後処理側搬送手段の搬送速度の比が、前記折丁の折りパターンに基づいて設定されている製本システムである。
【0009】
本開示の一態様は、折り機において形成された折丁を後処理装置側の搬送手段である後処理側搬送手段へ受け渡す前処理側搬送手段の搬送速度を制御する制御方法であって、前記折丁の折りパターンに基づいて前記前処理側搬送手段の搬送速度を制御する制御方法である。
【0010】
本開示の一態様は、折り機の加工部において形成された折丁を搬送する前処理側搬送手段と、前記前処理側搬送手段から前記折丁を受け取り、後処理装置の加工部へ搬送する後処理側搬送手段とを備える製本システムの制御方法であって、前記折丁の折りパターンに応じて、前記前処理側搬送手段及び前記後処理側搬送手段の搬送速度の比を制御する製本システムの制御方法である。
【発明の効果】
【0011】
折り機の後処理装置において、折丁を重ならずに供給できるとともに加工処理の効率化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係る製本システムの全体構成を概略的に示したシステム構成図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る制御装置が備える機能の一例を示した機能構成図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る製本システムにおいて、折り機における折パターンが2つ折りである場合の各搬送ユニットの搬送速度について説明するための図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る製本システムにおいて、折り機における折パターンが2つ折りである場合に、各搬送ユニットの搬送速度を同じ速度に設定した場合を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示に係る製本システム及び制御装置並びに制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る製本システム1の概略的な斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る製本システム1は、例えば、給紙機10と、折り機20と、連結ユニット30と、中綴じ機40と、制御装置50とを備えている。
【0014】
給紙機10は、用紙スタックSから用紙P1を1枚ずつ折り機20に供給する。
折り機20は、例えば、給紙機10から供給された用紙P1を折り畳み、折丁P2を形成する。折り機20は、例えば、複数の折りパターン(例えば、2つ折り、3つ折り等)に対応可能であり、その時々で要求された折パターンで用紙P1を折り畳んで折丁P2を形成する。
【0015】
折り機20は、例えば、折り加工部21と、搬送ユニット22とを備えている。
折り加工部21は、用紙P1を所定の折パターンで折り畳む折り加工を行い、折丁P2を形成する。
図1において、折り加工部21は、バックル折りユニット21aと、その後段に配置されたナイフ折りユニット21bとを備えている。なお、折り加工部21の構成はこれに限られず、公知の構成を適宜適用することが可能である。例えば、折り加工部21は、ナイフ折りユニット21bを省略し、バックル折りユニット21aのみを備える構成とされていてもよい。
搬送ユニット(前処理側搬送手段)22は、折り加工部21において形成された折丁P2を後処理装置である中綴じ機40へ向けて搬送する。
【0016】
連結ユニット30は、例えば、搬送ユニット31と、搬送ユニット31の搬送方向の後段に設けられた搬送ユニット32とを備えている。搬送ユニット31は、折り機20の搬送ユニット22から折丁P2を受け取り、搬送ユニット32に受け渡す。
搬送ユニット32は、搬送ユニット22から受け取った折丁P2を後処理装置である中綴じ機40に受け渡す。
搬送ユニット22、搬送ユニット31、及び搬送ユニット32は、後述する制御装置50によって搬送速度が制御される。具体的には、搬送ユニット22と搬送ユニット31とは、同じ搬送速度で折丁P2を搬送するように制御され、搬送ユニット32は、搬送ユニット31とは異なる搬送速度、具体的には、搬送ユニット31よりも遅い搬送速度で折丁P2を搬送するように制御される。なお、各搬送ユニット22、31、32の制御については、後述する。ここで、搬送ユニット22、31、32の構成は特に限定されない。一例として、搬送ベルトを用いた搬送が挙げられる。
【0017】
中綴じ機40は、加工部41と、排出部43とを備えている。
加工部41は、例えば、折り部41aと、綴じ部41bとを備えている。折り部41aは、入口Aから取り込んだ折丁P2を所定の折り線に沿って山折り(2つ折り)する。綴じ部41bは、折り部41aの後段に配置され、折り部41aで山折りにされた折丁P3の折り線の所定位置を針金綴じする。
排出部43は、綴じ部41bの後段に配置され、針金綴じされた2つ折り状態の折丁P3を中綴じ機40の出口Bまで搬送する。
中綴じ機40の構成は、上記構成に限られず、公知の構成を適宜適用することが可能である。
【0018】
制御装置50は、給紙機10、折り機20、連結ユニット30、中綴じ機40の動作を制御する。
図2は、制御装置50のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図2に示すように、制御装置50は、コンピュータを有しており、例えば、CPU11、CPU11が実行するプログラム及びこのプログラムにより参照されるデータ等を記憶するための二次記憶装置12、各プログラム実行時のワーク領域として機能する主記憶装置(メインメモリ)13を備えている。また、制御装置50は、ネットワークに接続するための通信インターフェース14、ユーザインターフェースとして機能する入力デバイス15、及びデータを表示する表示デバイス16等を備えていてもよい。これら各部は、例えば、バスを介して接続されている。二次記憶装置12は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が一例として挙げられる。
【0019】
後述する各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置12に記憶されており、このプログラムをCPU11が主記憶装置13に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置12に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0020】
図3は、本実施形態に係る制御装置50が有する機能の一例を示した機能構成図である。
図3に示すように、制御装置50は、折り機制御部51、中綴じ機制御部52、搬送制御部53等を備えている。
【0021】
折り機制御部51は、折り機20全体の制御を行う。折り機制御部51は、例えば、所定の折りパターンを上位の生産管理システムから受け付け、受け付けた折りパターンに基づいて折り機20における折り加工部21を制御する。なお、折りパターンの入力については、この例に限られず、例えば、制御装置50の入力デバイス15からユーザによって手動で入力されてもよいし、種々の他の公知の態様を採用することが可能である。
【0022】
中綴じ機制御部52は、中綴じ機40全体の制御を行う。中綴じ機制御部52は、例えば、折丁P2の厚さに応じてスティッチャーの針金綴じの長さ等を調整する等、中綴じを行うための各種制御を行う。
なお、折り機20及び中綴じ機40の制御については、公知の種々の制御を適宜採用すればよいため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0023】
搬送制御部53は、例えば、連結ユニット30が備える搬送ユニット31、32の搬送速度をそれぞれ制御する。ここで、搬送ユニット31と搬送ユニット32とは、上述したように、搬送速度が互いに異なるように制御される。なお、折り機20における搬送ユニット22については、搬送制御部53によって制御されてもよいし、折り機制御部51によって制御されてもよい。搬送ユニット22は、搬送ユニット31と同じ搬送速度で折丁P2を搬送するように制御される。
【0024】
搬送制御部53は、例えば、中綴じ機40の加工部41の処理速度、具体的には、綴じ部41bの処理速度に応じて、搬送ユニット32の搬送速度を設定する。例えば、搬送制御部53は、綴じ部41bが処理速度の上限値付近で加工処理(例えば、スティッチャーによる針金綴じ等)を実施できるような速度で折丁P2が供給されるように、搬送ユニット32の搬送速度を設定する。
【0025】
また、搬送制御部53は、例えば、折丁P2の折りパターンに応じて搬送ユニット31の搬送速度を制御する。
図4は、折り機20における折パターンが2つ折りである場合の搬送ユニット31、32の搬送速度について説明するための図である。
図4に示すように、搬送制御部53は、搬送ユニット32の搬送速度よりも搬送ユニット31の搬送速度が速くなるように、かつ、搬送ユニット32において折丁P2が重ならないように、搬送ユニット31の搬送速度を制御する。より具体的には、搬送制御部53は、搬送ユニット32によって搬送される折丁P2同士(隣り合って搬送される折丁P2)の間隔D1が、折丁P2の幅D2よりも狭くなるように、搬送ユニット31の搬送速度を設定する。
【0026】
例えば、
図5は、折り機20における折パターンが2つ折りである場合に、搬送ユニット31、32の搬送速度を同じ速度に設定した場合を示した図である。
図5に示すように、搬送ユニット31、32の搬送速度を同じ速度に設定すると、搬送ユニット32における折丁同士の間隔が必要以上に空いてしまい、中綴じ機40における加工を効率的に行うことができない。これに対し、本実施形態によれば、
図3に示したように、搬送制御部53は、搬送ユニット32によって搬送される折丁P2同士(隣り合って搬送される折丁P2)の間隔D1が、折丁P2自体の幅D2よりも狭くなるように、搬送ユニット31の搬送速度を設定するので、折丁P2の間隔を狭めることが可能となる。
【0027】
例えば、搬送制御部53は、搬送ユニット31と搬送ユニット32との搬送速度の比を折丁P2の折りパターンに応じて設定する。具体的には、折りパターンが2つ折りである場合、搬送制御部53は、搬送ユニット31の搬送速度が搬送ユニット32の搬送速度の1.1倍以上、好ましくは、1.5倍以上、より好ましくは、1.8倍以上となるように、搬送ユニット31の搬送速度を設定する。なお、搬送ユニット31の搬送速度の上限は、給紙機10から折り機20への用紙の間隔を考慮して、搬送ユニット32において折丁P2が重ならない最も早い速度となる。
【0028】
また、例えば、折りパターンが3つ折りである場合、搬送制御部53は、搬送ユニット31の搬送速度が搬送ユニット32の搬送速度の1.6倍、好ましくは、2.5倍、より好ましくは、2.8倍以上となるように、搬送ユニット31の搬送速度を設定する。なお、搬送ユニット31の搬送速度の上限は、給紙機10から折り機20への用紙の間隔を考慮して、搬送ユニット32において折丁P2が重ならない最も早い速度となる。
折りパターンが4つ折り以上である場合も、例えば、同様の規則に従って搬送ユニット31の搬送速度を設定すればよい。このように、本実施形態によれば、折丁P2の折パターンに応じて、搬送ユニット31の搬送速度がそれぞれ異なる速度に設定されることとなる。
【0029】
次に、本実施形態に係る製本システム1の動作について説明する。以下、折り機20に二つ折りの折りパターンが設定されている場合について説明する。
製本システム1の運転が開始されると、給紙機10から用紙P1が1枚ずつ折り機20に供給され、折り機20の折り加工部21において2つ折りパターンで折り畳まれ、折丁P2が形成される。折丁P2は、折り機20の搬送ユニット22、搬送ユニット31、搬送ユニット32を経由して中綴じ機40の入口Aに供給される。
【0030】
この場合において、折り機20の搬送ユニット22及び連結ユニット30の搬送ユニット31は、同速度で制御され、搬送ユニット32は、搬送ユニット22、31よりも遅い速度で制御される。具体的には、搬送ユニット22、31は、
図4に示したように、搬送ユニット32によって隣り合って搬送される折丁P2の間隔D1が、折丁P2自体の幅D2よりも狭くなるように、搬送速度が設定される。換言すると、搬送ユニット22、31と搬送ユニット32との搬送速度の比が折丁P2の折りパターンに応じて設定される。
これにより、折丁P2が重なった状態で中綴じ機40の加工部41、具体的には、折り部41aに供給されることを回避することができる。更に、搬送ユニット32において搬送される折丁P2の隣り合わせの間隔D1を狭めることができるので、中綴じ機40における加工部41、具体的には、綴じ部41bの処理を効率的に実施することができる。
【0031】
中綴じ機40の入口Aから取り込まれた折丁P2は、折り部41aにおいて2つ折りにされた後、綴じ部41bにおいて針金綴じされる。針金綴じされた2つ折り状態の折丁P3は、綴じ部41bから排出部43に送出される。中綴じ機40の出口Bから排出された折丁P3は、例えば、中綴じ機40の後段に配置された三方断裁機(図示略)によって所定のサイズに裁断されて冊子P4に仕上げられる。
【0032】
以上説明してきたように、本実施形態によれば、製本システム1は、折り機20の折り加工部21において形成された折丁P2を搬送ユニット(後処理側搬送手段)32へ受け渡す搬送ユニット(前処理側搬送手段)22、31と、搬送ユニット22、31の搬送速度を制御する制御装置50とを有しており、搬送ユニット22、31は、折丁P2の折りパターンに応じて搬送速度が制御される。より具体的には、搬送ユニット32によって搬送される折丁同士の間隔D1(
図3参照)が、折丁の幅D2よりも狭くなるように、搬送ユニット22、31の搬送速度が制御される。
【0033】
換言すると、本実施形態によれば、搬送ユニット22、31と搬送ユニット32との搬送速度の比が、折丁P2の折りパターンに基づいて設定される。具体的には、折丁P2の折りパターンに応じて、搬送ユニット22、31と搬送ユニット32との搬送速度の比が変化する。
【0034】
これにより、折丁P2が重なった状態で中綴じ機40の折り部41aに供給されることを回避することができるとともに、中綴じ機40における加工処理の効率向上を図ることが可能となる。
【0035】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0036】
例えば、上述した実施形態では、複数の折りパターンに対応可能な折り機20を備える場合を例示して説明したが、これに限られない。例えば、特定の折パターンにのみ特化した折り機(例えば、2つ折りに特化した折り機、3つ折りに特化した折り機等)であってもよい。この場合でも折りパターンに応じて搬送ユニット22、31、32の搬送速度が制御されることは、上述した実施形態と同様である。
【0037】
また、上述した実施形態では、制御装置50が折パターンに応じて搬送ユニット22、31の搬送速度を制御する場合について説明したが、これに限られない。例えば、折りパターンに応じて、搬送ユニット22、31及び搬送ユニット32の搬送速度を相対的に制御することとしてもよい。
【0038】
また、上述した実施形態では、連結ユニット30が搬送ユニット31、32を備える場合について説明したが、これに限られない。例えば、連結ユニット30において、搬送ユニット31は、省略されてもよい。この場合、折り機20の搬送ユニット(前処理側搬送手段)22から搬送ユニット(後処理側搬送手段)32に対して折丁P2が受け渡されることとなる。
更に、連結ユニット30を省略し、中綴じ機40において加工部41(具体的には、折り部41a)の上流側に搬送ユニット31を設ける構成としてもよい。
このように、上述した折り機20、連結ユニット30、及び中綴じ機40の具体的構成は一例であり、これに限られない。すなわち、折り機20の折り加工部21から中綴じ機40の加工部41(具体的には、折り部41a)へ折丁P2を搬送する少なくとも2つの搬送ユニットが設けられ、折り機側の搬送ユニットと、中綴じ機側の搬送ユニットとが異なる搬送速度で制御される構成とされていればよい。
【0039】
また、上述した実施形態では、制御装置50が製本システム1を構成する折り機20、連結ユニット30、中綴じ機40を制御する場合について説明したが、これに限られない。例えば、折り機20が折り機制御部51を、連結ユニット30が搬送制御部53を、中綴じ機40が中綴じ機制御部52をそれぞれ備えており、折り機制御部51、中綴じ機制御部52、及び搬送制御部53が互いにネットワークを介して接続され、情報を互いにやり取りすることにより、上述した制御を実現することとしてもよい。
【0040】
また、上述した実施形態では、折り機20の後処理装置として中綴じ機40を例示して説明したがこの例に限られない。例えば、後処理装置は、プレス機、無線綴じ機等であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 :製本システム
10 :給紙機
11 :CPU
12 :二次記憶装置
13 :主記憶装置
14 :通信インターフェース
15 :入力デバイス
16 :表示デバイス
20 :折り機
21 :折り加工部
21a :バックル折りユニット
21b :ナイフ折りユニット
22 :搬送ユニット(前処理側搬送手段)
30 :連結ユニット
31 :搬送ユニット(前処理側搬送手段)
32 :搬送ユニット(後処理側搬送手段)
40 :中綴じ機
41 :加工部
41a :折り部
41b :綴じ部
43 :排出部
50 :制御装置
51 :折り機制御部
52 :中綴じ機制御部
53 :搬送制御部