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特開2024-120531発熱性積層体および該積層体を内蔵する加熱装置
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  • 特開-発熱性積層体および該積層体を内蔵する加熱装置 図1
  • 特開-発熱性積層体および該積層体を内蔵する加熱装置 図2
  • 特開-発熱性積層体および該積層体を内蔵する加熱装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120531
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】発熱性積層体および該積層体を内蔵する加熱装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 36/28 20060101AFI20240829BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A47J36/28
B65D81/34 T
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027379
(22)【出願日】2023-02-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-12
(71)【出願人】
【識別番号】596064857
【氏名又は名称】株式会社ヨシザワ
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 光男
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 いずみ
【テーマコード(参考)】
3E013
4B055
【Fターム(参考)】
3E013AB01
3E013AE06
3E013BB06
3E013BD11
3E013BE08
4B055AA50
4B055BA31
4B055CB01
4B055FB02
4B055FB16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発熱剤と水との反応を利用して熱エネルギーを発生させる化学発熱性積層体であって、発熱を引き起こす操作が容易かつ確実となった積層体及びその積層体を内部に備えた加熱装置を用いる加熱対象物の加熱方法を提供する。
【解決手段】上面が開口した四角い皿状の箱体の内部に水不透過性かつ易引き裂き性の袋に水を収容してなる水袋と水との接触により発熱する化学発熱剤を袋状容器に収容した発熱剤袋4とが、それらの袋の間に介在する開口を備えた支持板を介して、上から順に重ねられた状態で支持板に固定されており、さらに、一方の端部が該支持板に固定され、他方の端部が、水袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後そして発熱剤袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後を巻き回された上で、上記箱体の前方から引き出されている水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が取り付けられている発熱性積層体を備えた加熱装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した四角い皿状の箱体の内部に水不透過性かつ易引き裂き性の袋に水を収容してなる水袋と水との接触により発熱する化学発熱剤を袋状容器に収容した発熱剤袋とが、それらの袋の間に介在する開口を備えた支持板を介して、上から順に重ねられた状態で支持板に固定されており、さらに、一方の端部が該支持板に固定され、他方の端部が、水袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後そして発熱剤袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後を巻き回された上で、上記箱体の前方から引き出されている水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が取り付けられている発熱性積層体を備えた加熱装置を用意し、
化学発熱剤の袋状容器が、水不透過性かつ易引き裂き性の金属フィルム製もしくは表面に金属層が形成された合成樹脂フィルム製の容器であり、その袋状容器の内部に化学発熱剤が空白領域を介して左右に分割されている状態で収容されていること、該袋状容器の内部で左右に分割配置されている化学発熱剤のそれぞれが水透過性あるいは水溶解性の内袋に収容されていること、そして水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が、上記空白領域の上側と下側とを跨がるように巻き回されている加熱装置の箱体の上面に加熱対象物を載置し、その後、上記の水袋と発熱剤袋の引き裂き用のの紐体の前方の部分を引っ張って箱体の前方に引き出し、水袋と発熱剤袋とを引き裂くことにより、発熱を起こさせて加熱対象物を加熱することを特徴とする加熱対象物の加熱方法。
【請求項2】
化学発熱剤を収容する内袋のいずれもが不織布製である請求項1に記載の加熱装置を用いる加熱方法。
【請求項3】
化学発熱剤を収容している発熱剤袋がアルミ箔製である請求項1に記載の加熱装置を用いる加熱方法。
【請求項4】
化学発熱剤が生石灰と金属アルミニウム粉末との混合物である請求項1に記載の加熱装置を用いる加熱方法。
【請求項5】
水を収容している水袋が、表面に金属が蒸着されたプラスチックフィルム製である請求項1に記載の加熱装置を用いる加熱方法。
【請求項6】
皿状箱体がプラスチック製である請求項1に記載の加熱装置を用いる加熱方法。
【請求項7】
水不透過性かつ易引き裂き性の袋に水を収容してなる水袋と水との接触により発熱する化学発熱剤を袋状容器に収容した発熱剤袋とが、それらの袋の間に介在する開口を備えた支持板を介して、上から順に重ねられた状態で支持板に固定されており、さらに、一方の端部が該支持板に固定され、他方の端部が、水袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後そして発熱剤袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後を巻き回された上で、支持板の一方の側から引き出されている水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が取り付けられている発熱性積層体を備えた発熱性積層体であって、化学発熱剤の袋状容器が、水不透過性かつ易引き裂き性の金属フィルム製もしくは表面に金属層が形成された合成樹脂フィルム製の容器であり、その袋状容器の内部に化学発熱剤が空白領域を介して左右に分割されている状態で収容されていること、該袋状容器の内部で左右に分割配置されている化学発熱剤のそれぞれが水透過性あるいは水溶解性の内袋に収容されていること、そして水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が、上記空白領域の上側と下側とを跨がるように巻き回されている発熱性積層体上面に加熱対象物を載置し、その後、上記の水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体の前方の部分を引っ張って積層体の前方に引き出し、水袋と発熱剤袋とを引き裂くことにより、発熱を起こさせて加熱対象物を加熱することを特徴とする加熱対象物の加熱方法。
【請求項8】
化学発熱剤を収容する内袋のいずれもが不織布製である請求項7に記載の発熱性積層体を用いる加熱方法。
【請求項9】
化学発熱剤が生石灰と金属アルミニウム粉末との混合物である請求項7に記載の発熱性積層体を用いる加熱方法。
【請求項10】
化学発熱剤を収容している発熱剤袋がアルミ箔製である請求項7に記載の発熱性積層体を用いる加熱方法。
【請求項11】
水を収容している水袋が、表面に金属が蒸着されたプラスチックフィルム製である発熱性混合物である請求項7に記載の発熱性積層体を用いる加熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された発熱性積層体および加熱装置に関し、特には、近接した状態で配置した発熱剤と水との相互の接触により発生する化学反応を利用して熱エネルギーを発生させるために用いられる発熱性積層体おの発熱性積層体を箱体に収容した加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、弁当、調理済み食品、非常食、日本酒、乳児用ミルク調製用温水等の各種の食品および飲料の加熱もしくは加温のために、粒状もしくは粉末状の発熱剤と水との化学反応により発熱状態を生起させる発熱システムの利用が進められている。すなわち、旅行中、災害発生時などのような、可燃性ガスや電気エネルギーを利用する加熱器具を用いることが困難な状況であって、弁当、調理済み食品、非常食等の食品や乳児用ミルクの調製用温水等の飲料を加熱もしくは加温したい場合に、予め水と生石灰などの水と接触することにより発熱する発熱剤とを別々に袋体に収容して皿状などの耐水性容器内にそれぞれを近接配置した加熱装置を用意しておき、必要となった時に、加熱装置の上に加熱対象の調理済み食品などを置き、加熱装置にセットされた発熱剤と水とを互いに接触させる操作を行うことにより熱エネルギーを生成させ、その熱エネルギーを利用して所望の加熱や加温を実現させる発熱システムである。
【0003】
上記の発熱システムの実現に利用できる加熱装置や発熱性組成物については、これまでに様々なタイプのものが考えられている。
たとえば、特許文献1には、発熱剤を収容した発熱剤袋と水を収容した水袋、そして支持板(プレート)とを重ね合わせて構成した積層体に、発熱袋と水袋の双方を破断し、開裂させるための紐体(破断用紐)を組み合わせて一体のセットとし、このセットを容器内に収容した加熱容器が開示されている。この加熱容器を用いて弁当や調理済食品などを加熱する場合には、発熱装置の上に弁当や調理済食品を置き、所望の時に破断用紐を引くことにより、発熱袋と水袋の双方をほぼ同時に破断して開裂させ、この開裂操作により、発熱剤と水とを物理的に接触させて、発熱反応を起こさせるシステムである。
この特許文献1には、発熱剤や水を収容する袋の素材の例として、ポリエチレン等の合成樹脂を材料としたフィルムが記載されている。
【0004】
特許文献2にも、特許文献1に開示の加熱装置と類似の構成の加熱装置が開示されており、発熱剤袋として、不織布製の袋に発熱剤を充填した発熱剤パックの使用が記載されている。
【0005】
特許文献3にも、特許文献1に開示の加熱装置と類似の構成を持ち、同様の化学反応を利用する加熱装置が開示されている。ただし、この加熱装置では、発熱剤袋の破断と開裂により飛散し、発熱剤と水との反応により発生する水蒸気と共に上昇して、上方に配置された食材の汚染を引き起こしやすい発熱剤残渣の食材との接触を防ぐために、発熱装置の容器の上面に保護シートが配置される改良がなされている。
【0006】
特許文献4には、特許文献1に開示の加熱装置を改良した発熱性積層体として、発熱剤袋を、発熱剤を透水性袋体に内包させた発熱剤内袋と、支持板に固定された辺に沿って一方の側に該発熱剤内袋を偏在させた状態で収容する耐湿性外袋から構成し、破断用の紐による発熱剤袋の切断位置が耐湿性外袋内の発熱剤内袋の位置とは重なることのないように設定されている構成のものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11-292155
【特許文献2】特開2007-275170
【特許文献3】特開2010-68846
【特許文献4】特開2018-42605
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の先行技術文献の記載内容と、これまでの説明から分かるように、公知の化学反応による発熱を利用する加熱装置の多くは、水袋、袋状容器に粒状または粉末状の発熱剤を収容している発熱剤袋、そして支持板が任意の順に積層され、さらに発熱剤袋と水袋のそれぞれの上面と下面とにかけて掛け渡された一本の破断用紐体を含む発熱性積層体が、上面が開口した四角い皿状の箱体に収容された構造を持つ。また、水袋と発熱剤袋の破断(開裂)が容易にできるように、それぞれの袋の一辺が共に支持板に対して固定された積層体とすることも一般的であった。
【0009】
但し、これまでに知られている各種の発熱性積層体を利用する加熱装置には、次に述べるような問題があることが知られている。
特許文献1に記載されているように粉末状もしくは粒状の生石灰などの発熱剤を合成樹脂製フィルムの袋に内包した発熱剤袋では通常の合成樹脂製のフィルムの袋が透湿性を示す持つため、その袋に内包した発熱剤の吸湿による失活が早い時期に進行し、一般的な発熱剤袋では、その発熱機能を維持できる保存期間が一ヶ月程度と短期となる。このため、非常時に使用するという目的で保管する加熱装置としては活性の持が不充分となり易い。また、紐体の引っ張りにより、水袋と発熱剤袋とを同時に破断し、開裂させる際に、水袋と発熱剤袋のそれぞれの袋を形成するフィルム状シートを破断開裂させるための力(引っ張り力)に加えて、発熱剤袋に詰められている粉末あるいは粒状の発熱剤の塊を解きほぐすための力も必要となり、強い腕力を持たない年配者や子供などにとって破断用紐体の確実な引っ張り作業が難しくなりやすいという問題がある。
【0010】
特許文献2に記載されている発熱剤を不織布製の袋に収容した発熱剤パックも同様な傾向がある。
【0011】
特許文献4に記載の加熱装置は、特許文献1~3に記載されている加熱装置の改良装置として提供されたものあるが、本発明の発明者の詳細な検討によると、特許文献4に記載されている透水性の内袋に発熱剤を内包させて、この発熱剤内袋を耐湿性の外袋に収容した構成では、発熱剤の保存性は向上するものの、発熱剤内袋が耐湿性の外袋内で一方の側に偏在させているため、発熱剤袋と水袋のそれぞれの上面と下面とに掛け渡された一本の破断用紐体の掛け渡し位置が制限され、このため破断用紐体を用いる発熱剤袋と水袋との同時期の破断操作が容易ではなくなるという問題が発生することが判明した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の発明者は、上述の種々の問題全体の解決を目的として研究を継続した結果、特許文献4に記載された構成の発熱性積層体と加熱装置において現れる不充分な点を改良した発熱性積層体そして加熱装置として、以下に記載する構成の発熱性積層体そして加熱装置を利用することで、多くの点が顕著に改善されることを見出し、以下に記載する発明に到達した。
そして、この発明について、発明者は、2022年8月4日に出願手続と早期審査申請手続を行った。その後、この出願は特願2022-124769として審査された結果、一回の拒絶理由通知が発行され、次いで、出願人からの特許請求の範囲の補正手続が行われた。その後、補正後の特許請求の範囲の記載に基づき、特許査定が発行された。
【0013】
上記の特願2022-124769として出願した発明(補正前の特許請求の範囲の独立請求項に記載の発明)は、下記の加熱装置と発熱性積層体の発明です。
(1)加熱装置
上面が開口した四角い皿状の箱体の内部に、水不透過性かつ易引き裂き性の袋に水を収容してなる水袋と水との接触により発熱する化学発熱剤を袋状容器に収容した発熱剤袋とが、それらの袋の間に介在する開口を備えた支持板を介して重ねられた状態で支持板に固定されていて、さらに、一方の端部が支持体に固定され、他方の端部が、水袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後そして発熱剤袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後を巻き回された上で、上記箱体の前方から引き出されている水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が取り付けられている発熱性積層体を備えた加熱装置であって、
化学発熱剤の袋状容器が、水不透過性かつ易引き裂き性の金属フィルム製の容器であり、その金属フィルム製の袋状容器の内部に化学発熱剤が空白領域を介して左右に分割されている状態で収容されていること、そして水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が、上記空白領域の上側と下側とを跨がるように巻き回されていることを特徴とする加熱装置。
【0014】
(2)発熱性積層体
水不透過性かつ易引き裂き性の袋に水を収容してなる水袋と水との接触により発熱する化学発熱剤を袋状容器に収容した発熱剤袋とが、それらの袋の間に介在する開口を備えた支持板を介して重ねられた状態で支持体に固定されていて、さらに、一方の端部が支持板に固定されていて、他方の端部が、水袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後そして発熱剤袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後を巻き回された上で、支持板の一方の側から引き出されている水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体を備えた発熱性積層体であって、
化学発熱剤の袋状容器が、水不透過性かつ易引き裂き性の金属フィルム製の容器であり、その金属フィルム製の袋状容器の内部に化学発熱剤が空白領域を介して左右に分割されている状態で収容されていること、そして水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が、上記空白領域の上側と下側とを跨がるように巻き回されていることを特徴とする発熱性積層体。
【0015】
なお、上述した特願2022-124769において補正手続の後に、特許査定が出された補正後の特許請求の範囲の各請求項(従属請求項については、主請求項を上記請求項として記載した)に記載の発明は、下記の通りです。
【0016】
(請求項1)
上面が開口した四角い皿状の箱体の内部に水不透過性かつ易引き裂き性の袋に水を収容してなる水袋と水との接触により発熱する化学発熱剤を袋状容器に収容した発熱剤袋とが、それらの袋の間に介在する開口を備えた支持板を介して、上から順に重ねられた状態で支持板に固定されており、さらに、一方の端部が該支持板に固定され、他方の端部が、水袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後そして発熱剤袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後を巻き回された上で、上記箱体の前方から引き出されている水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が取り付けられている発熱性積層体を備えた加熱装置であって、
化学発熱剤の袋状容器が、水不透過性かつ易引き裂き性の金属フィルム製もしくは表面に金属層が形成された合成樹脂フィルム製の容器であり、その袋状容器の内部に化学発熱剤が空白領域を介して左右に分割されている状態で収容されていること、該袋状容器の内部で左右に分割配置されている化学発熱剤のそれぞれが水透過性あるいは水溶解性の内袋に収容されていること、そして水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が、上記空白領域の上側と下側とを跨がるように巻き回されていることを特徴とする加熱装置。
(請求項2)化学発熱剤を収容する内袋のいずれもが不織布製である上記請求項1に記載の加熱装置。
(請求項3)化学発熱剤を収容している発熱剤袋がアルミ箔製である上記請求項1に記載の加熱装置。
(請求項4)化学発熱剤が生石灰と金属アルミニウム粉末との混合物である上記請求項1に記載の加熱装置。
(請求項5)水を収容している水袋が、表面に金属が蒸着されたプラスチックフィルム製である上記請求項1に記載の加熱装置。
(請求項6)皿状箱体がプラスチック製である上記請求項1に記載の加熱装置。
(請求項7)水不透過性かつ易引き裂き性の袋に水を収容してなる水袋と水との接触により発熱する化学発熱剤を袋状容器に収容した発熱剤袋とが、それらの袋の間に介在する開口を備えた支持板を介して、上から順に重ねられた状態で支持板に固定されており、さらに、一方の端部が該支持板に固定され、他方の端部が、水袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後そして発熱剤袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後を巻き回された上で、支持板の一方の側から引き出されている水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が取り付けられている発熱性積層体を備えた発熱性積層体であって、化学発熱剤の袋状容器が、水不透過性かつ易引き裂き性の金属フィルム製もしくは表面に金属層が形成された合成樹脂フィルム製の容器であり、その袋状容器の内部に化学発熱剤が空白領域を介して左右に分割されている状態で収容されていること、該袋状容器の内部で左右に分割配置されている化学発熱剤のそれぞれが水透過性あるいは水溶解性の内袋に収容されていること、そして水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が、上記空白領域の上側と下側とを跨がるように巻き回されていることを特徴とする発熱性積層体。
(請求項8)化学発熱剤を収容する内袋のいずれもが不織布製である上記請求項7に記載の発熱性積層体。
(請求項9)化学発熱剤が生石灰と金属アルミニウム粉末との混合物である上記請求項7に記載の発熱性積層体。
(請求項10)化学発熱剤を収容している発熱剤袋がアルミ箔製である上記請求項7に記載の発熱性積層体。
(請求項11)水を収容している水袋が、表面に金属が蒸着されたプラスチックフィルム製である上記請求項7に記載の発熱性積層体。
【0017】
なお、上述した特願2022-124769において補正手続の後に、特許査定が出された補正後の特許請求の範囲の各請求項に記載の加熱装置および発熱性積層体を用いる以下に記載の加熱対象物の加熱の発明についても、それらの新規性と進歩性は当然存在する。
【0018】
(1)上面が開口した四角い皿状の箱体の内部に水不透過性かつ易引き裂き性の袋に水を収容してなる水袋と水との接触により発熱する化学発熱剤を袋状容器に収容した発熱剤袋とが、それらの袋の間に介在する開口を備えた支持板を介して、上から順に重ねられた状態で支持板に固定されており、さらに、一方の端部が該支持板に固定され、他方の端部が、水袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後そして発熱剤袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後を巻き回された上で、上記箱体の前方から引き出されている水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が取り付けられている発熱性積層体を備えた加熱装置を用意し、
化学発熱剤の袋状容器が、水不透過性かつ易引き裂き性の金属フィルム製もしくは表面に金属層が形成された合成樹脂フィルム製の容器であり、その袋状容器の内部に化学発熱剤が空白領域を介して左右に分割されている状態で収容されていること、該袋状容器の内部で左右に分割配置されている化学発熱剤のそれぞれが水透過性あるいは水溶解性の内袋に収容されていること、そして水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が、上記空白領域の上側と下側とを跨がるように巻き回されている加熱装置の箱体の上面に加熱対象物を載置し、その後、上記の水袋と発熱剤袋の引き裂き用のの紐体の前方の部分を引っ張って箱体の前方に引き出し、水袋と発熱剤袋とを引き裂くことにより、発熱を起こさせて加熱対象物を加熱することを特徴とする加熱対象物の加熱方法。
(2)化学発熱剤を収容する内袋のいずれもが不織布製である上記加熱装置を用いる加熱方法。
(3)化学発熱剤を収容している発熱剤袋がアルミ箔製である上記加熱装置を用いる加熱方法。
(4)化学発熱剤が生石灰と金属アルミニウム粉末との混合物である上記加熱装置を用いる加熱方法。
(5)水を収容している水袋が、表面に金属が蒸着されたプラスチックフィルム製である上記加熱装置を用いる加熱方法。
(6)皿状箱体がプラスチック製である上記加熱装置を用いる加熱方法。
(7)水不透過性かつ易引き裂き性の袋に水を収容してなる水袋と水との接触により発熱する化学発熱剤を袋状容器に収容した発熱剤袋とが、それらの袋の間に介在する開口を備えた支持板を介して、上から順に重ねられた状態で支持板に固定されており、さらに、一方の端部が該支持板に固定され、他方の端部が、水袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後そして発熱剤袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後を巻き回された上で、支持板の一方の側から引き出されている水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が取り付けられている発熱性積層体を備えた発熱性積層体であって、化学発熱剤の袋状容器が、水不透過性かつ易引き裂き性の金属フィルム製もしくは表面に金属層が形成された合成樹脂フィルム製の容器であり、その袋状容器の内部に化学発熱剤が空白領域を介して左右に分割されている状態で収容されていること、該袋状容器の内部で左右に分割配置されている化学発熱剤のそれぞれが水透過性あるいは水溶解性の内袋に収容されていること、そして水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が、上記空白領域の上側と下側とを跨がるように巻き回されている発熱性積層体上面に加熱対象物を載置し、その後、上記の水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体の前方の部分を引っ張って積層体の前方に引き出し、水袋と発熱剤袋とを引き裂くことにより、発熱を起こさせて加熱対象物を加熱することを特徴とする加熱対象物の加熱方法。。
(8)化学発熱剤を収容する内袋のいずれもが不織布製である上記の発熱性積層体を用いる加熱方法。
(9)化学発熱剤が生石灰と金属アルミニウム粉末との混合物である発熱性積層体を用いる加熱方法。
(10)化学発熱剤を収容している発熱剤袋がアルミ箔製である発熱性積層体を用いる加熱方法。
(11)水を収容している水袋が、表面に金属が蒸着されたプラスチックフィルム製である発熱性積層体を用いる加熱方法。
【0019】
本発明の発明者は、上記の特願2022-124769に記載の加熱装置と発熱性積層体の実用性について、さらに検討を重ねた。そして、その検討の結果、上記の加熱装置と発熱性積層体の実用性については、特段の問題はないものの、それらを用いての熱発生操作や保存性については問題となる場合があって、改良の余地があるケースが存在することを見出した。
【0020】
その一例としては、紐体の引き出しによる水袋と発熱剤袋との引き裂きが操作が容易とは云えない場合があること。
【0021】
また別の例としては、紐体の引き出しにより自由に流れ出すようになった水とほぼ同時に発熱剤袋内の表面で露出した接触により発生する発熱の速度のコントロールが容易ではないこと。
【0022】
さらに別の例としては、紐体の引き出しにより起こる発熱とその発熱により生成する高温の水蒸気の箱体の上面からの放散速度のコントロールが容易ではないこと。
【0023】
本発明の発明者は、上記の追加的な問題点の改良として、下記の対策のいずれか一つ、あるいは全てを改善することが有効であることを見出した。
【0024】
(1)水袋と発熱剤袋の少なくとも一方の引き裂き予定位置に、引き裂きを容易にする切れ目あるいはV字型のノッチを設ける。
(2)加熱装置については、箱体の上面に多孔性のプラスチックシートを貼りつけて箱体上面からの高温水蒸気の放散速度のコントロールを可能にする。
【0025】
また、加熱装置や発熱性積層体を多人数の人々が集まり、食事をするような集会、旅行そして宴会などで使用するため、あるいは料理店などがほぼ同時に多人数の食事や飲み物など暖かい状態で提供するためには、予め多数組あるいは多数個の加熱装置や発熱性積層体を用意しておくことが望ましいが、本発明者の検討によると、発熱性積層体に収容されている化学物質が時間の経過と共に、湿気などの水分との接触により活性が低下する傾向があるという問題があることも判明した。
【0026】
そして、上述の最後ごの上記の問題を解決するためには、加熱装置や発熱性積層体を冷蔵(冷却保存)することが望ましいが、これまで利用されてきた加熱装置や発熱性積層体では、化学発熱剤の発熱に用いる水が冷蔵中に氷結する傾向があり、このため、冷蔵による保存性の向上に限界があることを見出した。本発明者は、このような冷却保存に起因する問題を考慮して検討を加えた結果、発熱性積層体の内部に配置され水袋に収容される水に食塩などの凍結防止剤を添加して、凍結を防止あるいは抑制させることが有効であることも見出した。
【発明の効果】
【0027】
本発明の発熱性積層体は、先に提出した加熱装置や発熱性積層体に比べて発熱を引き起こすための操作が容易である上に、前述の利便性の向上等の実用上において極めて有利な改良が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の発熱性積層体を備えた加熱装置の平面図(上面図)である。発熱性積層体の層構成の理解を容易にするために、加熱装置の上面に貼られた多孔性フィルムの一部を削除した平面図として描いている。また、煩雑を避けるため、水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体の一部の記入は省略した。
図2図1に示した加熱装置の右側側面から見た断面図である。左側側面から見た断面も略同形となる。
図3図1に示した加熱装置の発熱剤袋に収容されている分割された領域に配置された発熱剤を内包する内袋の所在を明らかにする平面図(上面図)である。なお、この平面図は、発熱剤袋を一部切り取った状態で描いてある。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、添付図面を参照しながら、本発明の発熱性積層体と加熱装置をさらに詳しく説明する。
【0030】
図1は、本発明の発熱性積層体を備えた加熱装置の平面図(上面図)である。
【0031】
本発明の加熱装置1の基本構成は、これまでに知られている化学発熱剤を用いる加熱装置と同様な、上面が開口した四角い皿状の箱体2の内部に、水不透過性で易引き裂き性の袋に水を収容してなる水袋3と水との接触により発熱する化学発熱剤を袋状容器に収容した発熱剤袋4とが、それらの袋の間に介在する開口を備えた支持板5を介して重ねられた状態で支持板5に配置されており、一方の端部が支持板5に固定され、他方の端部が、水袋3の上表面と下表面の両面の周囲の前後そして発熱剤袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後を巻き回された上で、箱体2の前面側から引き出されている水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体5が取り付けられている発熱性積層体を備えた加熱装置である。なお、皿状箱体2の上面は通常、内側に収容した水袋3と発熱剤袋4の脱落防止、そして発熱反応により発生した熱エネルギーを効率良く上昇させるために多孔性のプラスチックフィルムにより覆われている。
【0032】
本発明の発熱性積層体を収容する上面が開口した四角い皿状の箱体2は従来の同種の加熱装置で一般的に用いられている合成樹脂製の耐水性容器であることが好ましい。ただし、皿状の箱体と云っても、その深さについては特に限定は無い。また、耐水性を高めた厚紙あるいは段ボールなども使用できる。
そして、箱体2の開口面に沿った縁部には、ひも(破断用紐体)6を外部に引き出すための切り欠き部が形成されていることが好ましい。ただし、この切り欠き部は必ずしも必要とせず、切り欠き部の代わりに、箱体2の前側の側面(側壁)に孔部を設けても良い。
【0033】
四角い皿状の箱体2の底面には、水袋の破断により箱体の底面側に拡散する水を底面に集めるために凹部あるいはV字状の陥没部を設けることが好ましい。
【0034】
水袋3と発熱剤袋4とは、それらの袋の間に介在する開口を備えた支持板5を介して重ねられた状態で支持板5に固定されている。この水袋3と発熱剤袋4の固定は、水袋3の後側の縁部と発熱袋の後ろ側縁部とを支持板の後ろ側縁部を挟んで接合固定する方法を利用して行うことが好ましい。
【0035】
水袋3に収容される水は、通常の水道水や工業用水でもよいが、水に食塩やエチレングリコールなど凍結防止剤を添加しておくことが必要である。凍結防止剤の添加量は、発熱性積層体や加熱装置の冷却条件を考慮して適宜決めることができる。一例を挙げれば、水に対する凍結防止剤の添加量を5~30重量%の範囲内の量、特に10~20重量%の範囲内の量とすることができる。必要なのは、予定している冷却保存温度や冷却保存期間などの冷却保存条件にて、水の流動性が大きく妨げられないことである。
【0036】
発熱剤としては、公知の生石灰、あるいは生石灰に金属アルミニウム粉末など発熱強化剤を添加した強発熱性の発熱剤を用いることが好ましい。発熱剤は通常、公知の粉末状あるいは粒状のものが用いられるが、破片状あるいは板状の成形体であっても良い。
【0037】
本発明の発熱性積層体の主要な構成上の特徴は、イ)化学発熱剤の袋状容器を、水不透過性で易引き裂き性の金属フィルム製の容器としたこと、そして、ロ)その金属フィルム製の袋状容器の内部に化学発熱剤が空白領域を介して左右に分割されている状態で収容されていること、そしてハ)水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が、上記の空白領域の上側と下側とを跨がるように巻き回されていることにある。
上記の空白領域は、化学発熱剤が袋状容器内のおおよそ中央に相当するような位置に設けられる。
【0038】
発熱剤を収容する水不透過性で易引き裂き性の金属フィルム製の容器としては通常、二枚のシート状のアルミ箔の四辺の縁部のそれぞれを接合して作成した袋体が用いられる。そして、発熱性積層体に組み込む化学発熱剤を予め略等分して、それぞれを不織布製などの水透過性の内袋に詰めたうえで、化学発熱剤の水不透過性で易引き裂き性の金属フィルム製の袋(外袋)の内部の左右の位置に収容配置する。なお、この場合の「左右」の配置とは、加熱装置にセットされている紐体と重ならないように紐体の左側と右側となる位置関係であって、紐体の引っ張り方向を基準とした配置である。また、左右の配置は、紐体の引っ張り方向と厳密に一致する必要は無い。
【0039】
図3は、発熱剤が二枚の内袋(4a、4b)のそれぞれに詰められて金属フィルム製の外袋4の内部に空白領域を設けた上で左右に分けて配置された代表的な位置関係を示す平面図である。
【0040】
発熱性積層体1は通常、図1図2とから理解できるように、皿状(深さには特に限定はなく、材料も合成樹脂や厚紙などが用いられる)の耐水性容器2に収容される。
【0041】
この皿状の耐水性容器2に収容された発熱性積層体1では、耐水性容器の前方側への紐体6の引き出し、あるいは引き抜きによって発生する、水袋と発熱剤袋の破断・開裂により、水袋から容器内には水が流れ出し、同様な破断・開裂により発熱剤袋内で露出した発熱剤と接触して発熱、即ち熱エネルギーの発生が始まり、その後における継続的な発熱が実現する。
【0042】
上記のように、本発明の発熱性積層体に使用する発熱剤袋では、発熱剤を不織布などの透水性袋体に発熱剤を内包させた透水性内袋(なお、発熱剤を不織布のような透水性袋体に内包させた発熱剤パック自体は発熱性積層体の構成部材として、あるいは他の目的に用いるための発熱剤パックとして市販されている)を用意し、この発熱剤内袋を別に用意した発熱剤内袋よりサイズの大きな耐湿性外袋(水蒸気の透過が顕著に抑制された袋体であって、例えば、金属フィルムもしくは合成樹脂フィルムの表面に蒸着などの手段により金属層が形成された構成を持つ)の内側に左右略等分に配置する。なお、破断用紐体による発熱剤袋の切断位置が、耐湿性外袋内に配置されたいずれの発熱剤内袋の位置とも重なることのないように設定することが好ましい。
【0043】
発熱性積層体1の発熱剤袋を図1乃至3に示した構成とすることによって、破断用紐体6を引っ張ることで実現する水袋と発熱剤袋の耐湿性外袋の破断と開裂とが比較的弱い引っ張り力であっても容易かつ確実に実現する。また、左右に分割配置した発熱剤のそれぞれが不織布などで形成させた内袋に詰められていると、発熱剤袋(外袋4)の破断・開裂によっても、透水性袋体に発熱剤を内包している発熱剤内袋の破断や開裂は発生することなく、発熱剤は透水性袋体に内包された状態を維持されるため、発熱剤の透水性袋体の外部への飛散や水蒸気の上昇に伴っての上昇は発生しにくい。このため、従来の加熱装置で問題となりがちな発熱剤残渣による加熱対象の食品の汚染が効果的に防止される。
【符号の説明】
【0044】
1 発熱性積層体
2 上面が開口した四角い皿状の箱体
3 水袋
4 発熱剤袋(外袋)
4a 発熱剤内袋
4b 発熱剤内袋
5 支持板
6 破断用紐体
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-08-31
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した四角い皿状の箱体の内部に水不透過性かつ易引き裂き性の袋に水を収容してなる水袋と水との接触により発熱する化学発熱剤を袋状容器に収容した発熱剤袋とが、それらの袋の間に介在する開口を備えた支持板を介して、上から順に重ねられた状態で支持板に固定されており、さらに、一方の端部が該支持板に固定され、他方の端部が、水袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後そして発熱剤袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後を巻き回された上で、上記箱体の前方から引き出されている水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が取り付けられている発熱性積層体を備えた加熱装置であって、
化学発熱剤の袋状容器が、水不透過性かつ易引き裂き性の金属フィルム製もしくは表面に金属層が形成された合成樹脂フィルム製の容器であり、その袋状容器の内部に化学発熱剤が空白領域を介して左右に分割されている状態で収容されていること、該袋状容器の内部で左右に分割配置されている化学発熱剤のそれぞれが水透過性あるいは水溶解性の内袋に収容されていること、そして水袋と発熱剤袋の引き裂き用の前記の紐体が、上記空白領域の上側と下側とを跨がるように巻き回されている加熱装置であって、水袋と発熱剤袋の少なくとも一方の引き裂き予定位置に、引き裂きを容易にする切れ目あるいはV型のノッチが設けられている加熱装置
【請求項2】
水不透過性かつ易引き裂き性の袋に水を収容してなる水袋と水との接触により発熱する化学発熱剤を袋状容器に収容した発熱剤袋とが、それらの袋の間に介在する開口を備えた支持板を介して、上から順に重ねられた状態で支持板に固定されており、さらに、一方の端部が該支持板に固定され、他方の端部が、水袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後そして発熱剤袋の上表面と下表面の両面の周囲の前後を巻き回された上で、前方側から引き出されている水袋と発熱剤袋の引き裂き用の紐体が取り付けられている発熱性積層体であって、化学発熱剤の袋状容器が、水不透過性かつ易引き裂き性の金属フィルム製もしくは表面に金属層が形成された合成樹脂フィルム製の容器であり、その袋状容器の内部に化学発熱剤が空白領域を介して左右に分割されている状態で収容されていること、該袋状容器の内部で左右に分割配置されている化学発熱剤のそれぞれが水透過性あるいは水溶解性の内袋に収容されていること、そして水袋と発熱剤袋の引き裂き用の前記の紐体が、上記空白領域の上側と下側とを跨がるように巻き回されている発熱性積層体であって、水袋と発熱剤袋の少なくとも一方の引き裂き予定位置に、引き裂きを容易にする切れ目あるいはV型のノッチが設けられている発熱性積層体。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
水袋3に収容される水は、通常の水道水や工業用水でもよいが、水に食塩やエチレングリコールなど凍結防止剤を添加しておくことが好ましい。凍結防止剤の添加量は、発熱性積層体や加熱装置の冷却条件を考慮して適宜決めることができる。一例を挙げれば、水に対する凍結防止剤の添加量を5~30重量%の範囲内の量、特に10~20重量%の範囲内の量とすることができる。必要なのは、予定している冷却保存温度や冷却保存期間などの冷却保存条件にて、水の流動性が大きく妨げられないことである。