(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120548
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置
(51)【国際特許分類】
F26B 25/00 20060101AFI20240829BHJP
F26B 17/14 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F26B25/00 Z
F26B17/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027407
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 廉
(72)【発明者】
【氏名】二宮 伸治
(72)【発明者】
【氏名】西野 栄治
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 政司
(72)【発明者】
【氏名】清家 丈晴
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB01
3L113AC04
3L113BA03
3L113CA03
3L113DA25
(57)【要約】
【課題】本発明は、穀粒乾燥機における穀粒重量計測用の重量センサの交換を容易にすることを課題とする。
【解決手段】穀粒乾燥機Tの土台部Dに設けるキャスタ29の近傍に穀粒重量検出用センサユニットYを設けた穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置において、穀粒重量検出用センサユニットYを支持台36と重量センサ31を介した支持脚35で支持し、重量センサ31の基部を支持台36から取り外し可能にすると共に、重量センサ31の先端を高さ調節機構34で伸縮可能な支持脚35で取り外し可能にしたことを特徴とする穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置とした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒乾燥機(T)の土台部(D)に設けるキャスタ(29)の近傍に穀粒重量検出用センサユニット(Y)を設けた穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置において、穀粒重量検出用センサユニット(Y)を支持台(36)と重量センサ(31)を介した支持脚(35)で支持し、重量センサ(31)の基部を支持台(36)から取り外し可能にすると共に、重量センサ(31)の先端を高さ調節機構(34)で伸縮可能な支持脚(35)に取り外し可能にしたことを特徴とする穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置。
【請求項2】
重量センサ(31)の基部は支持台(36)に設ける取付ボルト(32a)が重量センサ(31)を貫通して支持台(36)の挿入孔(36a)に挿入して土台部(D)の上部プレート(30)と挟んで取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置。
【請求項3】
穀粒を集穀部(3)へ繰り出すロータリバルブ(15)の駆動中は重量センサ(31)の検出重量を制御部(17)へ取り込まないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒を溜めて循環しながら乾燥する穀粒乾燥機の貯留部に溜めた穀粒の重量を計測する穀粒重量計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置は、特許文献1に記載されている。この穀粒重量計測装置は、機体の底部四隅に設けた重量センサで穀粒の重量を計測するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置は、穀粒乾燥機の土台部の四隅に取り付ける取付台に支持脚とロードセンサからなる重量センサを設けた構成で、重量センサを交換する場合には穀粒乾燥機の土台部を持ち上げて浮かせ、取付台ごと重量センサを取り外さなければならない。
【0005】
本発明は、穀粒乾燥機における穀粒重量計測用の重量センサの交換を容易にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0007】
請求項1の発明は、穀粒乾燥機Tの土台部Dに設けるキャスタ29の近傍に穀粒重量検出用センサユニットYを設けた穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置において、穀粒重量検出用センサユニットYを支持台36と重量センサ31を介した支持脚35で支持し、重量センサ31の基部を支持台36から取り外し可能にすると共に、重量センサ31の先端を高さ調節機構34で伸縮可能な支持脚35で取り外し可能にしたことを特徴とする穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置とした。
【0008】
請求項2の発明は、重量センサ31の基部は支持台36に設ける取付ボルト32aが重量センサ31を貫通して支持台36の挿入孔36aに挿入して土台部Dの上部プレート30と挟んで取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置とした。
【0009】
請求項3の発明は、穀粒を集穀部3へ繰り出すロータリバルブ15の駆動中は重量センサ31の検出重量を制御部17へ取り込まないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の穀粒乾燥機の穀粒重量計測装置とした。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明で、穀粒乾燥機Tは土台部Dに設けたキャスタ29で移動して設置場所ではキャスタ29を浮かせて穀粒重量検出用センサユニットYで機体を支持して穀粒重量検出用センサユニットYの重量センサ31で計測する重量で穀粒乾燥機Tの貯留部に溜められる穀粒の重量を算出する。そして、高さ調節機構34で支持脚35を短くしてキャスタ29で機体を支持した状態で穀粒重量検出用センサユニットYの重量センサ31と支持台36を土台部Dから取り外して重量センサ31の交換が行える。
【0011】
請求項2の発明で、穀粒重量検出用センサユニットYを土台部Dの上部プレート30から浮かせた状態では、重量センサ31の基部が取付ボルト32aから抜かれ支持台36が挿入孔36aから抜かれて容易に重量センサ31を分離できる。
【0012】
請求項3の発明で、ロータリバルブ15が回転中に重量センサ31が計測した不安定な重量を制御データとしないことで確実な乾燥制御が行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態における穀物乾燥機の外観正面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態の穀物乾燥機について説明する。
【0015】
図1、
図2、
図3に示すように、穀粒を収容する箱体状の穀粒乾燥機Tの内部には、貯留室とも呼ばれる貯留部1と、穀物を乾燥する乾燥部2と、乾燥部2を通過した穀物が集まる集穀部3を設ける。そして、穀粒乾燥機Tは貯留部1を形成する上部パネルJと、乾燥部2を形成する中部パネルCと、集穀部3を形成する土台部Dから構成している。
【0016】
乾燥部2にはバーナケース4内の燃焼バーナ(図示せず)で生成される熱風が通過する熱風室5と、穀粒が流下する穀粒流下室6と、熱風室5から穀粒流下室6を通過した熱風を排風ファン7の吸引により排風として通過する排風室8を設ける。
【0017】
穀粒流下室6の下端部には穀粒を集穀部3へ繰り出すロータリバルブ15を設け、集穀部3には穀物を搬送する下部ラセン9と、下部ラセン9へ穀粒を案内する傾斜板10を設ける。
【0018】
図2に示すように、穀粒乾燥機Tの穀物収容体の前方には、下部ラセン9で搬送された穀物を揚穀する昇降機11とバーナケース4と制御部17を内蔵する操作盤16を設ける。操作盤16には、乾燥運転及び制御に必要な各種スイッチや設定スイッチ、乾燥の進捗状況等を表示する液晶表示部18を備える。昇降機11の上部から穀粒乾燥機Tの穀物収容体の天井部には、穀物を貯留部1へ搬送する上部ラセン12を設ける。
図2の符号13は燃料タンクで、土台部Dの斜め前方に設けている。
【0019】
図4から
図9に示すように、土台部Dは下部枠体20と傾斜板10と上部枠体21を備える。上部枠体21及び下部枠体20は平面視で前後左右を枠形状に形成している。下部枠体20の前部及び上部枠体21の前部を前支柱22で連結し、下部枠体20及び上部枠体21の側部を中支柱23で連結し、下部枠体20と上部枠体21の後部を後支柱24で連結する。傾斜板10の上部は上部枠体21の側部に連結し、傾斜板10の下部は下部枠体20の前部及び後部に連結する。傾斜板10の下部の外面と中支柱23の内側下部を左右方向に延びる補強体25で連結する。傾斜板10の外側から中支柱23にかけて空間部26を形成している。
【0020】
下部枠体20の外周に沿ってフランジ部27を形成する。フランジ部27の前部には調節具用孔28を形成している。また、下部枠体20の四隅の下面にはそれぞれキャスタ29を取り付けている。キャスタ29は穀物乾燥機の組み立て時に土台部Dを設置位置まで移動させるためのものである。
【0021】
次に、穀物乾燥機の組み立て作業について
図4及び
図5に基づいて説明する。穀物乾燥機の組み立て時には、まず土台部Dを設置位置までキャスタ29により移動し、次いで、土台部Dの上に中部パネルCを載置する(
図5参照)。さらに、中部パネルC上に上部パネルJを穀物収容量に応じた枚数組み付ける。
【0022】
穀物乾燥機の組み立てが完成すると、穀粒重量検出用センサユニットYを土台部Dの下部枠体20の四隅に取り付ける。重量センサ31を組み込んだものを穀粒重量検出用センサユニットYとし、土台部Dの下部枠体20の四隅にそれぞれ設けてなる(
図10参照)。
【0023】
図10に示すように、穀粒重量検出用センサユニットYは、土台部Dの四隅の下部枠体20荷重を直接受ける上部プレート30及びこの上部プレート30の下面に重量センサ31、該重量センサ31取り付けの取付ボルト32a、と受座金32bを介してボルト頭部を有するナット32cを挿入する挿入孔36aを形成した支持台36で重量センサ31の基部側31bを取り付け、重量センサ31には支持脚35等を備えてユニット化している。角柱状の重量センサ31は防水仕様のビーム型またはせん断型ロードセル形態とされ、ロードセル本体31aの基部側31bは、上記取付ボルト32aを貫通して受座金32b及びナット32cで締結され、ロードセル本体31aの先端側の検知部31cは、高さ調節機構34で支持される構成である。重量センサ31は、ロードセル本体31aの検知部31c側には円形の貫通部31dを形成し、その周辺にロードセル本体31aの歪を検出する歪ゲージ(図示せず)を配設している。この検出歪は制御部17に出力され、押圧力が演算される。
【0024】
高さ調節機構34は、ロードセル本体31aの先端部に形成した螺合孔31eに螺合固定する固定筒状体34aと、この固定筒状体34a下端側に螺合する接地体34bとからなり、接地部を円盤状とした接地体34b側にはナット34cを形成してスパナ等の工具を嵌合し得る構成とし、接地体34b側を正逆転することによって、上下高さ調整可能に構成される。この上下高さ調整は、通常床面がフラットである場合には、前記支持脚33の接地部に揃えるが、若干の傾斜地や凹凸のある場所での設置の場合には、後述の要領で接地体34bの適正な接地状態を確保するものである。
【0025】
前記重量センサ31のロードセル本体31aの上面は、基部側31bが高く検知部31c側が低い段差31fに形成している。したがって、上部プレート30下面に重量センサ31を固定する状態において、上部プレート30下面とロードセル本体31a上面との間に所定の隙間を有することとなり、ロードセル本体31aの検知部31cのせん断力乃至曲げモーメントの作用力に伴う歪を許容するよう構成している。
【0026】
重量センサ31は四隅に設けられて支持台36と支持脚35で穀粒乾燥機Tの穀物収容体の荷重を分担するものであるから低廉に構成できる。
【0027】
なお、重量センサ31の計測重量は、穀粒を集穀部3へ繰り出すロータリバルブ15の回転方向に影響されるので、右回転であれば右側の重量センサ31の計測重量、左回転であれば左側の重量センサ31の計測重量を穀粒の重量として制御部17に取り込んだり、ロータリバルブ15の回転中の重量を採用しないようにすることも良い。
【0028】
さらに重量計の測定値が不安定な場合、ロータリバルブ15が回転して、穀物が循環している場合が考えられる。この特性を利用し、重量計の不安定な状態とロータリバルブ15の駆動周期が一致している場合は循環制御が正常と判断できる。しかしロータリバルブ15が駆動しているにもかかわらず、重量計が不安定状態、値の揺れが発生しない場合は、循環経路で穀物流れ不良が発生している可能性もあると判断でき、異常検出とするも可能である。
【0029】
続いて、重量計の測定のデータ処理について説明する。
【0030】
重量計も張込量が少ない時は不安定である。測定の間隔を同じにするならば、張込量が少ない時は移動平均をとることで精度が上がる。その後、所定の重量以上になると、重量計も安定してくるので、単純に測定値を表示することも可能である。
【0031】
重量計を配備した乾燥機における排出制御について説明する。
【0032】
排出中に穀物が問題なく、循環しているかの検出を水分計で監視しているが、排出開始状態では、水分計の監視の時間間隔を長くし、所定の重量に達してから測定間隔を短くする。この所定重量は最低の張込量が望ましく、大量に乾燥機内に穀物がある場合は測定の必要は少なく、残りがわずかになってから検出することで、水分計の耐久時間を延長させることができる。
【符号の説明】
【0033】
D 土台部
Y 穀粒重量検出用センサユニット
29 キャスタ
30 上部プレート
31 重量センサ
32a 取付ボルト
34 高さ調節機構
35 支持脚
36 支持台
36a 挿入孔