(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120555
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】雨樋システム
(51)【国際特許分類】
E04D 13/064 20060101AFI20240829BHJP
E04D 13/072 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
E04D13/064 501B
E04D13/072 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027415
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】三宅 慶昌
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 政博
(57)【要約】
【課題】屋根の熱伸縮により第1支持具に生じる位置ズレを吸収でき、さらに、屋根に取り付けられた複数の第1支持具による凹凸の位置ズレを吸収できる雨樋システムを提供する。
【解決手段】雨樋システムRG1は、折板屋根1に固定された複数の軒樋支持具6と、複数の軒樋支持具6に支持された軒樋7と、軒樋7から下方に延びる竪樋13と、竪樋13を壁部2に固定する竪樋支持具14と、を備える。軒樋7は、第1側板63及び第2側板64と、第1凸部66及び第2凸部67と、を有し、対向する第1縦片52と第1側板63との間に第1空間S1が設けられ、対向する第2縦片54と第2側板64との間に第2空間S2が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋根又は壁部に、水平方向に間隔をあけて固定された複数の第1支持具と、
前記複数の第1支持具に支持された第1樋と、
前記第1樋から下方に延びる第2樋と、
前記第2樋を前記壁部に固定する第2支持具と、を備え、
前記第1支持具は、前記第1樋を間に挟む一対の縦片を備え、
前記第1樋は、
前記一対の縦片にそれぞれ対向する一対の側板と、
前記一対の側板のうち、少なくとも一方の側板において、前記第1樋の長手方向に沿って延びる凸部と、を有し、
対向する前記縦片と前記側板との間に空間が設けられている、
雨樋システム。
【請求項2】
前記凸部は、前記側板の上端に1つの折返し部を有する、
請求項1に記載の雨樋システム。
【請求項3】
前記凸部は、少なくともに2つの折返し部を有する、
請求項1に記載の雨樋システム。
【請求項4】
前記凸部は、前記第1樋の長手方向に連続する中空部を有する、
請求項1に記載の雨樋システム。
【請求項5】
前記凸部は、前記一対の側板のうち、少なくとも一方の側板の上端に該一方の側板に対向する一方の縦片まで突出する耳部を有し、
前記一方の側板は、前記一方の縦片に対して平行に配置されている、
請求項1に記載の雨樋システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨樋システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、工場や倉庫、ショッピングセンター等の大型施設の建物において折板屋根に雨樋が取り付けられている。雨樋は、折板屋根の先端に複数の第1支持具が水平方向に間隔をあけて固定され、複数の第1支持具に軒樋が支持されている(例えば、特許文献1参照。)。この雨樋は、通常、軒樋が複数の第1支持具を介して折板屋根の先端に固定された状態において、軒樋から竪樋が下方に延びている。竪樋は第2支持具を介して建物の壁部に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来の竪樋は、通常第2支持具を介して建物の壁部に固定されている。よって、折板屋根の熱伸縮により第1支持具が移動した場合に、竪樋が第2支持具に固定されていることに起因して、第1支持具と第2支持具との相対位置関係が変化して位置ズレが生じる。これにより、軒樋に大きな応力(負荷)が発生しやすくなる。特に、折板屋根の面積が大きい場合は伸縮量が大きく、熱伸縮が繰り返された場合、大きな応力が軒樋に繰り返し発生する。このため、雨樋のうち強度(剛性)が低い各所(例えば、ドレン部材の付け根やエルボ等)が損傷することが考えられる。
【0005】
また、複数の第1支持具は、施工現場において折板屋根に取付ボルトにより固定される。複数の取付ボルトを挿通する複数のボルト穴は施工現場で開けられる。よって、複数のボルト穴を一直線に並べることが難しい。このため、複数の第1支持具は、基準となる取付位置に対して水平方向へ凹凸に位置ズレする。複数の第1支持具による凹凸の位置ズレが大きい場合、第1樋を第1支持具内に配置する際に第1樋に必要以上に大きな力をかけて変形させる必要がある。特に、軒樋の長さ方向の剛性が高い場合には、軒樋を変形させて第1支持具内に配置することが困難になる。以下、軒樋を第1樋、竪樋を第2樋ということがある。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、屋根の熱伸縮により第1支持具に生じる位置ズレを吸収でき、さらに、屋根に取り付けられた複数の第1支持具による凹凸の位置ズレを吸収できる雨樋システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
<1>本発明の一態様に係る雨樋システムは、建物の屋根又は壁部に、水平方向に間隔をあけて固定された複数の第1支持具と、前記複数の第1支持具に支持された第1樋と、
前記第1樋から下方に延びる第2樋と、前記第2樋を前記壁部に固定する第2支持具と、を備え、前記第1支持具は、前記第1樋を間に挟む一対の縦片を備え、前記第1樋は、前記一対の縦片にそれぞれ対向する一対の側板と、前記一対の側板のうち、少なくとも一方の側板において、前記第1樋の長手方向に沿って延びる凸部と、を有し、対向する前記縦片と前記側板との間に空間が設けられている。
【0008】
雨樋システムによれば、第1樋の長手方向に沿う凸部を有することにより、第1樋の長手方向の剛性を凸部で確保できる。また、第2樋は第2支持具によって固定されている。よって、屋根の熱伸縮により第1支持具が移動した場合に、第2樋との相対位置関係が変化して第2樋に対して位置ズレが生じる。その結果、屋根の熱伸縮時において、第2樋が第2支持具に固定されていることに起因して、第1樋に第1支持具から大きな応力(負荷)が入力しやすくなる。
【0009】
そこで、縦片と側板との間に空間を設けた。縦片と側板との間に空間を設けることにより、第1樋に第1支持具から大きな応力が入力したときに、側板を空間に逃がすように変形させることができる。これにより、剛性が確保された第1樋を備える雨樋システムにおいて、屋根の熱伸縮による第1支持具の位置ズレを、第1樋を移動させることなく、側板を変形させることにより吸収できる。
したがって、屋根の熱伸縮による第1支持具の位置ズレにより、雨樋システムの各所(例えば、第1樋と第2樋との連結部等)に発生する応力を軽減できる。この結果、雨樋システムの各所が損傷することを防止できる。
【0010】
また、施工現場において、例えば、屋根又は壁部に複数の第1支持具を取付ボルトで固定する際に、取付ボルトを挿通する複数のボルト穴は施工現場で開けられる。よって、複数のボルト穴を一直線に並べることが難しい。このため、複数の第1支持具は、基準となる取付位置に対して凹凸に位置ズレした状態に配置される。
ここで、第1樋の長手方向の剛性が凸部で確保されている。複数の第1支持具による凹凸の位置ズレが大きい場合、第1樋を第1支持具内に配置する際に第1樋に必要以上に大きな力をかけて変形させる必要がある。
【0011】
そこで、縦片と側板との間に空間を設けた。よって、複数の第1支持具の内部に第1樋を配置する際に、複数の第1支持具による凹凸の位置ズレを縦片と側板との間の空間により吸収できる。加えて、第1樋の側板を変形させることにより、複数の第1支持具による凹凸の位置ズレを一層良好に吸収できる。これにより、剛性が確保された第1樋においても、第1樋に必要以上に大きな力をかけることなく、第1樋を複数の第1支持具の内部に配置できる。
【0012】
さらに、屋根の熱伸縮による第1支持具の位置ズレや、複数の第1支持具による凹凸の位置ズレが複合的に発生することが考えられる。この場合においても、第1樋に第1支持具から大きな応力が入力したときに、側板を空間に逃がすように変形させることができる。雨樋システムの各所が損傷することを防止できる。
【0013】
<2>上記<1>に係る雨樋システムでは、前記凸部は、前記側板の上端に1つの折返し部を有してもよい。
【0014】
ここで、第1樋のうち側板の上端は、第1樋の他の部位に比べて剛性が低い。特に、第1樋の長手方向の剛性が低い。そこで、側板の上端に凸部として1つの折返し部を設けた。よって、側板の上端における剛性を1つの折返し部で確保できる。これにより、第1樋の剛性を確保できる。
【0015】
<3>上記<1>に係る雨樋システムでは、前記凸部は、少なくともに2つの折返し部を有してもよい。
【0016】
このように、凸部に少なくともに2つの折返し部を有することにより、凸部に1つの折返し部を有する場合に比べて、第1樋の剛性を一層高めることができる。これにより、例えば、第1樋を多種の用途に適用させることが可能になり、第1樋の用途の拡大を図ることができる。
【0017】
<4>上記<1>に係る雨樋システムでは、前記凸部は、前記第1樋の長手方向に連続する中空部を有してもよい。
【0018】
このように、凸部に第1樋の長手方向へ連続する中空部を有することにより、特に、第1樋の長手方向の剛性を一層高めることができる。これにより、例えば、第1樋を多種の用途に適用させることが可能になり、第1樋の用途の拡大を図ることができる。
【0019】
<5>上記<1>に係る雨樋システムでは、前記凸部は、前記一対の側板のうち、少なくとも一方の側板の上端に該一方の側板に対向する一方の縦片まで突出する耳部を有し、前記一方の側板は、前記一方の縦片に対して平行に配置されていてもよい。
【0020】
このように、凸部に耳部を有し、耳部を縦片まで突出させた。よって、第1樋の長手方向の剛性を高めることができる。また、耳部を第1樋まで突出させることにより、第1樋を第1支持具の内部の内部にガタがない状態(安定させた状態)に固定できる。
さらに、一方の側板を一方の縦片に対して平行に配置することにより、第1支持具及び第1樋(すなわち、雨樋システム)の見栄えをよくできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、屋根の熱伸縮により第1支持具に生じる位置ズレを吸収でき、さらに、屋根に取り付けられた複数の第1支持具による凹凸の位置ズレを吸収できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る雨樋システムを建物に固定した状態を示す部分断面図。
【
図3】(a)は第1実施形態に係る軒樋支持具及び軒樋を示す断面図、(b)は第1実施形態に係る軒樋支持具の位置ズレを軒樋の変形で吸収する例を説明する断面図。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る軒樋支持具及び軒樋を示す断面図。
【
図5】本発明の第3実施形態に係る軒樋支持具及び軒樋を示す断面図。
【
図6】本発明の第4実施形態に係る軒樋支持具及び軒樋を示す断面図。
【
図7】本発明の第5実施形態に係る軒樋支持具及び軒樋を示す断面図。
【
図8】(a)は本発明の第6実施形態に係る軒樋支持具及び軒樋を示す断面図、(b)は第6実施形態に係る軒樋支持具の位置ズレを軒樋の変形で吸収する例を説明する断面図。
【
図9】本発明の第7実施形態に係る軒樋支持具及び軒樋を示す断面図。
【
図10】本発明の第8実施形態に係る軒樋支持具及び軒樋を示す断面図。
【
図11】本発明の第9実施形態に係る軒樋支持具及び軒樋を示す断面図。
【
図12】
図11の軒樋支持具及び軒樋を矢視XII方向から見た正面図。
【
図13】本発明の第10実施形態に係る雨樋システムを建物に固定した状態を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、
図1から
図13を参照しつつ本発明の一実施形態に係る雨樋システムについて説明する。実施形態では、建物の屋根に軒樋を固定し、建物の壁部に竪樋を固定する雨樋システムを例に説明するが、雨樋システムはこれに限らない。雨樋システムを軒樋に代えて谷樋等の他の樋に適用することも可能である。また、雨樋システムを適用する屋根として折板屋根を例に説明するが、屋根の仕様は任意に選択可能である。但し、屋根を折板屋根とした場合に、屋根の熱伸縮が顕著であり、雨樋システムの効果を高めることができる。
【0024】
[第1実施形態]
図1に示すように、雨樋システムRG1は、折板屋根(屋根)1の軒先1Aに取り付けられている。雨樋システムRG1は、例えば、複数の軒樋支持具(第1支持具)6と、軒樋(第1樋)7と、ドレン部材8と、竪樋(第2樋)13と、竪樋支持具(第2支持具)14と、を備えている。
折板屋根1は、建物の壁部2の上端に形成されて金属板からなる山部3と谷部4とを交互に波形に連続形成した構成を有する。
図1は折板屋根1の軒先1Aと壁部2を断面視した図である。折板屋根1は、不図示の頂部から軒先1Aに向いて若干下向きの屋根勾配が付与されている。以下、折板屋根1の頂部側を「右側」、折板屋根1の軒先1A側を「左側」として説明する。
折板屋根1は、右側から左側に向いて若干下向きの屋根勾配が付与されており、折板屋根1の左端部が軒先1Aとなる。折板屋根1の軒先1Aは、紙面表裏方向に延在されている。
【0025】
折板屋根1の軒先1Aには複数のボルト穴(不図示)が形成される。複数のボルト穴は、軒先1Aに沿って紙面表裏方向に間隔をあけて配置されている。複数のボルト穴は、山部3を構成する金属板において上下方向に貫通されている。複数のボルト穴に取付ボルト5が挿通される。挿通された複数の取付ボルト5により複数の軒樋支持具6が折板屋根1の軒先1Aに沿って紙面表裏方向において水平方向に間隔をあけて固定されている。軒樋支持具6の材質としては、単一樹脂、複合材、又は金属等から任意に選択することが可能である。
【0026】
複数の軒樋支持具6により軒樋7が支持されている。
図1は軒先1Aの一部のみを示す部分断面図であるため1つの軒樋支持具6と1つの軒樋7のみが描かれている。軒樋7は、複数の軒樋支持具6を介して折板屋根1の軒先1Aに支持(固定)されることにより、軒先1Aの下方に水平方向に配置されている。軒樋7は、
図1の紙面表裏方向が長さ方向となり、
図1の紙面左右方向が幅方向となる。軒樋7は折板屋根1の軒先1A下方に支持されているため、軒先1Aから流下した雨水を受けることができる。
【0027】
軒樋7の材質としては、単一樹脂、複合(複層)樹脂、単一金属、又は金属に樹脂を被覆した複合材等から任意に選択することが可能である。第1実施形態において、軒樋7は、例えば、硬質塩化ビニル樹脂やABS、AES等の合成樹脂で形成された押出成形品とされている。
【0028】
また、軒樋7を合成樹脂で形成する場合には、熱による伸縮防止等のため線膨張係数が2.0×10-5/℃以下であることが好ましい。また、軒樋7の厚さ方向の中心に延伸したPET樹脂製シートや鉄製のシートなど低伸縮性シートを内挿したり、軒樋7を構成する合成樹脂自体にワラストナイトや炭素繊維などの低伸縮性の添加物を配合したりすることで線膨張係数を小さくすることが好適である。
【0029】
第1実施形態では、軒樋7を折板屋根1の軒先1Aに支持する例について説明するが、軒樋7を建物の壁部2に支持してもよい。なお、軒樋支持具6及び軒樋7の具体例については後で詳しく説明する。
【0030】
軒樋7の底板62(後述する)には、幅方向中央部に貫通孔62A(
図2参照)が形成されている。貫通孔62Aにドレン部材8が配置されている。ドレン部材8は、貫通孔62Aに配置された状態で軒樋7の底板62に取り付けられている。第1実施形態においては、ドレン部材8としてサイフォンドレン部材を例に説明するが、ドレン部材8はサイフォンドレン部材に限らない。
【0031】
図1、
図2に示すように、サイフォンドレン部材8は、例えば、下側ドレン部材15と、上側ドレン部材16と、上側ドレン部材16の上部に配置されるサイフォン部17と、を備え、軒樋7に取付けられている。具体的には、下側ドレン部材15が軒樋7の底板62の下面62B側に配置され、上側ドレン部材16が底板62の上面62C側に配置されている。
【0032】
サイフォンドレン部材8を形成する材料は任意に選択することが可能である。第1実施形態においてサイフォンドレン部材8は、例えば、硬質塩化ビニル樹脂やポリカーボネート、ABS、AES等の合成樹脂により形成された射出成形品とされている。なお、合成樹脂に限定されるのではなく、鋳鉄、ステンレス鋼やアルミニウムを鋳造することによってサイフォンドレン部材8を形成してもよい。
サイフォン部17は、例えば、蓋部材18と、上側ドレン部材16と蓋部材18とを連結する縦リブ19と、把持リブ20と、誘導ガイド21と、を備えている。また、サイフォン部17は、上側ドレン部材16の上部に一体化されている。
【0033】
蓋部材18は、例えば、上側ドレン部材16の上方に配置された平面視円形の円盤状に形成されている。また、蓋部材18は、上側ドレン部材16の管軸O1と同軸位置に形成されている。蓋部材18の外周縁18Aと、上側ドレン部材16に設けられている上側フランジ部31の外周縁31Cとの間に形成される部分が、流入開口23を構成する。流入開口23は、軒樋7に溜まった雨水が後述する上側ドレン部材16の落し口部22に流入するための開口を構成する。
【0034】
蓋部材18は、複数の縦リブ19に下方から支持された状態で上側ドレン部材16に支持されている。蓋部材18は、軒樋7の内側に配置され、落し口部22から上方に離間した位置に配置されるとともに、軒樋7の上面62Cから落し口部22へ雨水を流入させる流入開口23を形成している。蓋部材18には、上面18Bから上方に突出し、周方向に間隔をあけて配置される把持リブ20が設けられている。この把持リブ20を掴むことで、サイフォンドレン部材8を締め込む際の回転操作を容易に行うことができる。
【0035】
蓋部材18の下面中央に、誘導ガイド21が設けられている。誘導ガイド21は、蓋部材18の下面中央部においてドレン軸O(蓋中心)に向かうに従い漸次下方に延びる曲線を有する複数の誘導ガイド21がドレン軸Oから径方向に向けて放射状に延びるように設けられている。誘導ガイド21は、軒樋7内の雨水を流入開口23から落し口部(落し口部22の開口)へ誘導するためのものである。
【0036】
サイフォン部17は、平面視した場合の落し口部22の開口を塞ぐとともに、大雨時に多量の雨水が流入開口23から流入した時、空気を吸い込むことがなく、竪樋13を満水状態として水封する。その結果、下流側にサイフォン現象を発生させて高排水機能を奏する。
このようなサイフォンドレン部材8は、例えば、工場やショッピングセンター等の大型施設の建物に取り付けられている雨樋排水配管構造のうち軒樋7の内側に設けられ、高排水機能を発揮する。
【0037】
上側ドレン部材16は、軒樋7における底板62の上面62Cに配置され内周側に落し口部22が形成された上側フランジ部31と、上側フランジ部31の下方に形成された内筒部32と、上側フランジ部31と内筒部32を接続し下方に向かうにしたがって縮径される内筒縮径部33と、内筒部32の外周面に形成された外周ネジ部35と、を備えている。
内筒部32は、後述する下側ドレン部材15の外筒部42に内挿され、外周ネジ部35と後述する内周ネジ部(不図示)が螺合される。この螺合により上側ドレン部材16と下側ドレン部材15は一体化され、サイフォンドレン部材8が構成される。
上側ドレン部材16において、内筒部32の内面と、上側フランジ部31が連設される部分の上面は、テーパー面、あるいは曲面に形成されたベルマウス形状をなしている。
【0038】
上側フランジ部31は、平面視リング状に形成されている。上側フランジ部31の下面31Bは、軒樋7の底板62の上面62Cに配置される。上側フランジ部31の下面31Bには、外周側に平坦面が形成され、平坦面の内周側に下方に突出する円筒形状部からなる位置決め段差部36が形成されている。位置決め段差部36が軒樋7の貫通孔62Aの内周部と接触することにより、上側ドレン部材16が貫通孔62Aに対し位置決めされている。
【0039】
下側ドレン部材15は、軒樋7の下面62B側に配置される下側フランジ部41と、下側フランジ部41の下方に一体形成されて下方に延在する外筒部42を備える。さらに下側ドレン部材15は、下側フランジ部41と外筒部42を接続する外筒縮径部43と、外筒部42の内面に形成された内周ネジ部(不図示)を備えている。
下側フランジ部41は、平面視リング状に形成され、内部側に平面視円形の受入口41Aが形成されている。下側フランジ部41において、外周側の上面41Bに平坦面が形成され、内周側が平坦面に対して下方にくぼんだ凹部形状とされている。下側フランジ部41の上面41Bは、軒樋7における底板62の下面62B側に配置されている。
【0040】
外筒部42は、例えば、管軸O2を中心とする円筒形に形成され、軒樋7に取付けられた状態で上下方向に延在する。外筒部42の内方は、上下方向に貫通されている。外筒部42の内面に内周ネジ部(不図示)が形成されている。この内周ネジ部に上側ドレン部材16の外周ネジ部35が螺合されることにより、上側ドレン部材16と下側ドレン部材15とが一体化される。この状態において、上側ドレン部材16の上側フランジ部31と下側ドレン部材15の下側フランジ部41とが軒樋7の底板62を挟持する。よって、軒樋7の底板62にサイフォンドレン部材8が固定される。
【0041】
下側ドレン部材15の外筒部42において、下端42Aの受け口に短管9の上端が接続されている。短管9の下端に第1エルボ管10Aの受け口10A1が接続されている。第1エルボ管10Aは、例えば曲り角度が45゜に形成されている。第1エルボ管10Aの受け口10A2には、第1継手11の上端が接続されている。第1継手11の下端は、第2エルボ管10Bの受け口10B1に接続されている。
第2エルボ管10Bは、例えば曲り角度が45゜に形成されている。第2エルボ管10Bの受け口10B2には、第2継手12の上端が接続されている。第2継手12は、上端に蛇腹状のゴム輪部12Aを有する。第2継手12の下端には、竪樋13の上端13Aが接続されている。
【0042】
ここで、下側ドレン部材15の外筒部42の下端42Aから竪樋13の上端13Aまでの長さL1は、1m未満に設定されている。すなわち、短管9、第1エルボ管10A、第1継手11、第2エルボ管10B、及び第2継手12は、下側ドレン部材15の外筒部42の下端42Aから1m未満の長さL1の範囲に設置されている。
竪樋13は、ドレン部材8、短管9、第1エルボ管10A、第1継手11、第2エルボ管10B、及び第2継手12を介して壁部2に沿って下方に延びている。竪樋13の上端13Aは、竪樋支持具14により建物の壁部2に固定されている。竪樋支持具14は、外筒部42の下端42Aの下方において長さL1位置の近傍に配置されている。
【0043】
具体的には、竪樋支持具14は、支持部45と、固定部46と、を備えている。支持部45は、竪樋13において上端13Aの外周面に固定されている。支持部45は、例えば長孔47を有する。長孔47は水平方向に延びている。固定部46は、長孔47に挿通された取付ボルト48により支持部45に固定されている。第1実施形態では、支持部45に長孔47を有する例について説明するが、固定部46に長孔を有してもよい。固定部46の基端46Aは、建物の壁部2に取付ボルト49により固定されている。これにより、竪樋13は、竪樋支持具14により建物の壁部2に固定されている。
ここで、支持部45に長孔47を有している場合、後述する軒樋7の変形による熱伸縮の緩和効果に加えて、長穴47による折板屋根1の熱伸縮の緩和効果も期待できる。竪樋13は、建物近傍の地盤に埋設されている図示略の排水路に接続されて雨水を排水できるようになっている。ただし、長穴47はなくてもよい。
【0044】
つぎに、軒樋支持具6及び軒樋7の具体例について詳しく説明する。
図1、
図3(a)に示すように、軒樋支持具6は、帯状に延びる支持片により概ね矩形状に形成されている。具体的には、軒樋支持具6は、第1上片51と、第1縦片(一対の縦片の一方)52と、横片53と、第2縦片(一対の縦片の他方)54と、傾斜片55と、第2上片56と、を有する。
第1上片51は、軒先1Aの山部3を構成する金属板に沿って配置されている。第1上片51は、山部3の金属板に複数の取付ボルト5により固定されている。第1縦片52は、第1上片51の右端から下方に延びている。第1縦片52の内面には第1固定部52Aが設けられている。第1固定部52Aは、軒樋支持具6の内部に支持された軒樋7の第1側板63に係止可能に形成されている。
【0045】
横片53は、第1縦片52の下端から左方向へ水平に延びている。第2縦片54は、例えば横片53の左端から上方に延びている。第2縦片54の下端は、横片53の左端に取付ボルト58により固定されている。第2縦片54の内面には第2固定部54Aが設けられている。第2固定部54Aは、軒樋支持具6の内部に支持された軒樋7の第2側板64に係止可能に形成されている。
傾斜片55は、第2縦片54の上端から上方へ向かうに従って右方向に傾斜するように延びている。第2上片56は、傾斜片55の上端から右方向に延び、軒先1Aの山部3を構成する金属板に沿って配置されている。第2上片56は、軒先1Aにおいて山部3の金属板に取付ボルト5により固定されている。
【0046】
軒樋支持具6の内部には軒樋7が支持されている。軒樋7は、底板62と、第1側板(一対の側板の一方)63と、第2側板(一対の側板の他方)64と、第1凸部(凸部)66と、第2凸部(凸部)67と、を有する。底板62は、水平に形成されて横片53に載置された状態に配置されている。底板62にはサイフォンドレン部材8の下側ドレン部材15及び上側ドレン部材16が固定されている。下側ドレン部材15の外筒部42には、短管9、第1エルボ管10A、第1継手11、第2エルボ管10B、及び第2継手12を介して竪樋13の上端13Aが接続されている。竪樋13は、竪樋支持具14により建物の壁部2に固定されている。よって、軒樋7の底板62は、所定位置に静止状態に保持されている。
【0047】
また、軒樋7が軒樋支持具6に支持された状態において、底板62の右端62Dは、第1縦片52に対して内側に第1間隔L2をあけて配置されている。第1側板63は、底板62の右端62Dから上方へ向かうに従って第1縦片52に向けて外側に傾斜するように延びている。第1側板63は、第1縦片52に対向して配置されている。第1側板63の上端63Aは、第1縦片52の第1固定部52Aに係止されることにより固定される。
【0048】
さらに、軒樋7が軒樋支持具6に支持された状態において、底板62の左端62Eは、第2縦片54に対して内側に第2間隔L3をあけて配置されている。第2側板64は、底板62の左端62Eから上方へ向かうに従って第2縦片54に向けて外側に傾斜するように延びている。第2側板64は、第2縦片54に対向して配置されている。第2側板64の上端64Aは、第2縦片54の第2固定部54Aに係止されることにより固定されている。第1側板63及び第2側板64は、底板62から上方に向けて左右方向の幅が徐々に大きく開くように配置されている。すなわち、軒樋7は、上方が開口されたU字状に形成されている。
【0049】
軒樋7の内部において、底板62と第1側板63の交差部に第1凸部66が形成されている。第1凸部66は、第1側板63の下端において軒樋7の長手方向に沿って延びている。第1凸部66は、軒樋7の長手方向に連続する中空部66Aを有する。
第1側板63は、例えば、通常の使用状態において対応可能な剛性が第1凸部66により確保されている。また、第1側板63は、通常の使用状態を超える左右方向の応力が上端63Aに入力された場合に、左右方向に好適に変形可能に形成されている。
【0050】
また、軒樋7の内部において、底板62と第2側板64の交差部に第2凸部67が形成されている。第2凸部67は、第2側板64の下端において軒樋7の長手方向に沿って延びている。第2凸部67は、軒樋7の長手方向に連続する中空部67Aを有する。
第2側板64は、例えば、通常の使用状態において対応可能な剛性が第2凸部67により確保されている。また、第2側板64は、通常の使用状態を超える左右方向の応力が上端64Aに入力された場合に、左右方向に好適に変形可能に形成されている。
【0051】
すなわち、軒樋7に第1凸部66及び第2凸部67を有することにより、軒樋7の長手方向の剛性が確保されている。さらに、第1凸部66は、軒樋7の長手方向に連続する中空部66Aを有する。第2凸部67は、軒樋7の長手方向に連続する中空部67Aを有する。よって、軒樋7の長手方向の剛性を一層高めることができる。これにより、例えば、軒樋7を多種の用途に適用させることが可能になり、軒樋7の用途の拡大を図ることができる。
【0052】
なお、第1実施形態では、第1側板63に第1凸部66を設け、さらに第2側板64に第2凸部67を設けた例について説明するが、第1側板63及び第2側板64のいずれか一方に凸部を設けてもよい。
【0053】
軒樋7は、軒樋支持具6の横片53に載置された状態において、軒樋支持具6の第1縦片52及び第2縦片54(すなわち、一対の縦片)の間に挟まれている。
この状態において、対向する第1縦片52と第1側板63との間に第1空間(空間)S1が設けられている。具体的には、横片53、第1縦片52及び第1側板63により概ね三角形の第1空間S1が設けられている。第1空間S1において、第1縦片52が左方向に移動しようとしたときに、第1側板63を左方向に変形させて逃がすことができる。これにより、第1側板63に大きな応力(負荷)を生じさせることなく、第1縦片52を左方向に移動させることができる。
【0054】
また、対向する第2縦片54と第2側板64との間に第2空間(空間)S2が設けられている。具体的には、横片53、第2縦片54及び第2側板64により概ね三角形の第2空間S2が設けられている。第2空間S2において、第2縦片54が右方向に移動しようとしたときに、第2側板64を右方向に変形させて逃がすことができる。これにより、第2側板64に大きな応力を生じさせることなく、第2縦片54を右方向に移動させることができる。
【0055】
ここで、第1間隔L2及び第2間隔L3は、10~40mm程度であることが好ましい。第1間隔L2及び第2間隔L3を10~40mm程度とすることにより、軒樋支持具6の左右方向への位置ズレ等を吸収し、軒樋支持具6に対する軒樋7の不必要なガタツキを抑制できる。なお、第1間隔L2及び第2間隔L3は10~40mm程度に限らないで、例えば、軒樋支持具6及び軒樋7の大きさや形状に合わせて任意に選択可能である。
【0056】
つぎに、軒樋7を軒樋支持具6に支持する手順について説明する。
すなわち、軒樋7を軒樋支持具6で支持する際には、例えば、軒樋支持具6の第2上片56を軒先1Aの山部3に取付ボルト5で固定する前に、第2縦片54、傾斜片55及び第2上片56を、取付ボルト58を軸にして下方に配置する。この状態において、軒樋支持具6の右上側が開口した状態に保たれる。軒樋支持具6の開口から内部に軒樋7を配置して横片53に設置する。軒樋7を設置した状態において、第2縦片54、傾斜片55及び第2上片56を、取付ボルト58を軸にして上向きに配置する。第2上片56を軒先1Aの山部3に取付ボルト5により固定する。よって、軒樋7は、軒樋支持具6の内部に支持される。これにより、軒樋7は、軒先1Aの山部3に軒樋支持具6に介して固定される。
【0057】
ここで、竪樋13は、
図1に示すように、竪樋支持具14により建物の壁部2に固定されている。このように、軒樋7が複数の軒樋支持具6により折板屋根1に固定され、竪樋13が竪樋支持具14により壁部2に固定されることにより、雨樋システムRG1が建物に固定されている。
【0058】
つぎに、折板屋根1の熱伸縮により軒樋支持具6と竪樋支持具14との相対位置関係が変化することにより生じる位置ズレを軒樋7で吸収する例を
図1、
図3(a)、(b)に基づいて説明する。
図1に示すように、軒樋7が軒樋支持具6により折板屋根1の軒先1Aに固定され、竪樋13が竪樋支持具14により壁部2に固定されている。折板屋根1は、金属板により波形に連続形成されている。よって、折板屋根1の熱伸縮により軒樋支持具6が竪樋13の上端13A(竪樋支持具14)に対し左右方向に相対的な位置関係が変化する。また、軒樋7は、第1凸部66及び第2凸部67により長手方向の剛性が確保されている。
【0059】
さらに、竪樋支持具14は、下側ドレン部材15の外筒部42の下端42Aの下方において長さL1位置の近傍に配置されている。よって、折板屋根1が熱伸縮した場合に、外筒部42の下端42Aから竪樋支持具14までの間に設置された短管9、第1エルボ管10A、第1継手11、第2エルボ管10B、及び第2継手12に大きな応力が入力しやすい。以下、短管9、第1エルボ管10A、第1継手11、第2エルボ管10B、及び第2継手12をまとめて雨樋システムRG1の各所ということがある。
【0060】
この状態において、まず、折板屋根1の熱伸長により軒樋支持具6が矢印Aの如く左方向に移動する例を
図1、
図3(b)に基づいて説明する。
図3(b)に示すように、軒樋支持具6が矢印Aの如く移動することにより、軒樋支持具6が竪樋支持具14(すなわち、竪樋13の上端13A)に対して矢印A方向に位置ズレが生じる。ここで、軒樋支持具6が矢印Aの如く移動することにより、軒樋支持具6の第1縦片52が矢印Aの如く移動する。よって、第1縦片52とともに第1側板63の上端63Aが矢印Aの如く移動する。すなわち、第1側板63を軒樋支持具6に追従させて矢印A方向に逃がすことができる。
【0061】
さらに、軒樋支持具6が矢印Aの如く移動することにより、軒樋支持具6の第2固定部54Aが矢印Aの如く移動する。よって、第2固定部54Aとともに第2側板64の上端64Aが矢印Aの如く移動する。すなわち、第2側板64を軒樋支持具6の移動に追従させて矢印A方向に逃がすことができる。これにより、剛性が確保された軒樋7の第1側板63及び第2側板64を軒樋支持具6の移動に追従させて逃がすことができる。
【0062】
つぎに、折板屋根1の熱伸長状態から熱収縮により軒樋支持具6が矢印Bの如く右方向に移動する例について説明する。
折板屋根1が熱収縮して軒樋支持具6が矢印Bの如く右方向に移動した場合にも、軒樋支持具6が左方向に移動した場合と同様に、第1側板63及び第2側板64を逃がすことができる。
【0063】
このように、折板屋根1の熱伸縮により軒樋支持具6が矢印A方向、矢印Bに移動した場合に、第1側板63及び第2側板64を逃がすことにより、軒樋支持具6の位置ズレを吸収できる。これにより、雨樋システムRG1における各所への応力を軽減でき、折板屋根1の熱伸縮が繰り返された場合でも、雨樋システムRG1の各所が損傷すること防ぐことができる。
【0064】
ついで、施工現場において複数の軒樋支持具6の内部に軒樋7を配置する例を
図1、
図3(a)に基づいて説明する。について説明する。
施工現場において、複数の軒樋支持具6の内部に軒樋7を配置する場合には、折板屋根1の軒先1Aに複数のボルト穴(不図示)をあける。複数のボルト穴に取付ボルト5を挿通することにより、複数の取付ボルト5により複数の軒樋支持具6を折板屋根1の軒先1Aに固定する。この場合、折板屋根1の軒先1Aに複数のボルト穴をあける際に、複数のボルト穴を軒先1Aに沿って一直線に並べることが難しい。よって、複数の軒樋支持具6は、基準となる取付位置に対して凹凸に位置ズレした状態に配置される。この状態において、複数の軒樋支持具6の内部に軒樋7を配置する。
【0065】
ここで、対向する第1縦片52と第1側板63との間に第1空間S1が設けられている。また、対向する第2縦片54と第2側板64との間に第2空間S2が設けられている。よって、複数の軒樋支持具6の内部に軒樋7を配置する際に、複数の軒樋支持具6による凹凸の位置ズレを第1空間S1及び第2空間S2により吸収できる。
加えて、軒樋7の第1側板63及び第2側板64を変形させることにより、複数の軒樋支持具6による凹凸の位置ズレを一層良好に吸収できる。これにより、剛性が確保された軒樋7に必要以上に大きな力をかけることなく、軒樋7を複数の軒樋支持具6の内部に配置できる。
【0066】
つぎに、折板屋根1の熱伸縮による軒樋支持具6の位置ズレや、複数の軒樋支持具6による凹凸の位置ズレが複合的に発生する場合の例について説明する。この場合においても、軒樋7に軒樋支持具6から大きな応力が入力したときに、剛性が確保された軒樋7の第1側板63及び第2側板64逃がすように変形させることができる。これにより、雨樋システムRG1の各所が損傷することを防止できる。
【0067】
以上説明した第1実施形態の雨樋システムRG1によれば、以下の作用効果が得られる。
すなわち、折板屋根1の熱伸縮により軒樋支持具6と竪樋支持具14との相対的な位置関係が変化した場合に、軒樋支持具6と竪樋支持具14との間の位置ズレを剛性が確保された軒樋7の変形で吸収できる。これにより、雨樋システムRG1における各所への応力が軽減され、各所の損傷を防ぐことができる。
また、軒樋支持具6を折板屋根1に固定する際のボルト穴が一直線に並んでいない場合に、複数の第1支持具による凹凸の位置ズレを軒樋7の変形により吸収できる。これにより、剛性が確保された軒樋7に必要以上に大きな力をかけることなく、軒樋7を複数の軒樋支持具6の内部に配置できる。
さらに、折板屋根1の熱伸縮による軒樋支持具6の位置ズレや、複数の軒樋支持具6による凹凸の位置ズレが複合的に発生した場合に、雨樋システムRG1の各所が損傷することを防止できる。
【0068】
つぎに、第2実施形態から第10実施形態の雨樋システムを
図4から
図13に基づいて説明する。なお、第2実施形態から第10実施形態の雨樋システムにおいて第1実施形態の雨樋システムRG1と同一、類似の構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0069】
[第2実施形態]
図4に示すように、雨樋システムRG2は、第1実施形態の軒樋7を軒樋70に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の雨樋システムRG1と同様である。
軒樋70は、第1実施形態の第1凸部66及び第2凸部67に代えて第1凸部(凸部)72及び第2凸部(凸部)73を有する。
【0070】
第1凸部72は、第1中空凸部74と、第1折返し部(折返し部)75と、を有する。第1中空凸部74は、第1実施形態の第1凸部66と同様に形成されている。すなわち、第1中空凸部74は、第1側板63の下端において軒樋70の長手方向に沿って中空状に延びている。第1折返し部75は、第1側板63の上端に1つ有する。第1折返し部75は、軒樋70の内側に鋭角に折り返されている。第1折返し部75は、第1側板63の上端において軒樋70の内側に突出されている。第1折返し部75は、第1側板63の上端において軒樋70の長手方向に沿って延びている。第1側板63の上端に1つの第1折返し部75を有することにより、第1側板63の上端の剛性を確保できる。
【0071】
また、第2凸部73は、第2中空凸部76と、第2折返し部(折返し部)77と、を有する。第2中空凸部76は、第1実施形態の第2凸部67と同様に形成されている。すなわち、第2中空凸部76は、第2側板64の下端において軒樋70の長手方向に沿って中空状に延びている。第2折返し部77は、第2側板64の上端に1つ有する。第2折返し部77は、軒樋70の内側に鋭角に折り返されている。第2折返し部77は、第2側板64の上端において軒樋70の内側に突出されている。第2折返し部77は、第2側板64の上端において軒樋70の長手方向に沿って延びている。第2側板64の上端に1つの第2折返し部77を有することにより、第2側板64の上端の剛性を確保できる。
このように、第1側板63の上端に第1折返し部75を有し、第2側板64の上端に第2折返し部77を有することにより、軒樋70の剛性を確保できる。
【0072】
以上説明した第2実施形態の雨樋システムRG2によれば、第1実施形態の雨樋システムRG1と同様の作用効果を得ることができる。
【0073】
[第3実施形態]
図5に示すように、雨樋システムRG3は、第1実施形態の軒樋7を軒樋80に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の雨樋システムRG1と同様である。
軒樋80は、第1実施形態の第1凸部66及び第2凸部67に代えて第1凸部(凸部)82及び第2凸部(凸部)83を有する。
【0074】
第1凸部82は、第1中空凸部84と、2つの第1折返し部(折返し部)85,86と、を有する。第1中空凸部84は、第1実施形態の第1凸部66と同様に形成されている。すなわち、第1中空凸部84は、第1側板63の下端において軒樋80の長手方向に沿って中空状に延びている。
2つの第1折返し部85,86は、第1側板63の上端に有する。2つの第1折返し部85,86は、軒樋80の内側に折り返されている。2つの第1折返し部85,86は、第1側板63の上端において軒樋80の内側に突出されている。2つの第1折返し部85,86は、第1側板63の上端において軒樋80の長手方向に沿って延びている。第1側板63の上端に2つの第1折返し部85,86を有することにより、第1側板63の上端の剛性を確保できる。
【0075】
また、第2凸部83は、第2中空凸部87と、2つの第2折返し部(折返し部)88,89と、を有する。第2中空凸部87は、第1実施形態の第2凸部67と同様に形成されている。すなわち、第2中空凸部87は、第2側板64の下端において軒樋80の長手方向に沿って中空状に延びている。
2つの第2折返し部88,89は、第2側板64の上端に有する。2つの第2折返し部88,89は、軒樋80の内側に折り返されている。2つの第2折返し部88,89は、第2側板64の上端において軒樋80の内側に突出されている。2つの第2折返し部88,89は、第2側板64の上端において軒樋80の長手方向に沿って延びている。第2側板64の上端に2つの第2折返し部88,89を有することにより、第2側板64の上端の剛性を確保できる。
【0076】
このように、第1側板63の上端に2つの第1折返し部85,86を有し、第2側板64の上端に2つの第2折返し部88,89を有するようにした。よって、第1側板63の上端及び第2側板64の上端に1つの折返し部を設ける場合と比べて、軒樋80の剛性を一層高めることができる。これにより、例えば、軒樋80を多種の用途に適用させることが可能になり、軒樋80の用途の拡大を図ることができる。
【0077】
なお、第3実施形態では、第1側板63の上端に2つの第1折返し部85,86を有し、第2側板64の上端に2つの第2折返し部88,89を有する例について説明したが、これに限らない。その他の例として、例えば、第1側板63の上端に3つ以上の第1折返し部を有し、第2側板64の上端に3つ以上の第2折返し部を有してもよい。
また、第3実施形態では、第1側板63及び第2側板64の上端に2つの折返し部を有する例について説明したが、上端と下端との間に2つの折返し部を有してもよい。
【0078】
以上説明した第3実施形態の雨樋システムRG3によれば、第1実施形態の雨樋システムRG1と同様の作用効果を得ることができる。
【0079】
[第4実施形態]
図6に示すように、雨樋システムRG4は、第1実施形態の軒樋支持具6を軒樋支持具90に代え、第1実施形態の軒樋7を軒樋91に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の雨樋システムRG1と同様である。軒樋支持具90は、第1縦片(一対の縦片の一方)93及び第2縦片(一対の縦片の他方)94が上端から下端に向けて左右方向の幅が徐々に広がるように末広がりに配置されている。軒樋91は、第1側板(一対の側板の一方)95及び第2側板(一対の側板の他方)96が鉛直に配置されている。第1側板95及び第2側板96は、底板97から立ち上げられている。
【0080】
軒樋91の底板97のうち右端は、第1縦片93に対して内側に第1間隔L4をあけて配置されている。よって、対向する第1縦片93と第1側板95との間に第1空間(空間)S3が設けられている。また、軒樋91の底板97のうち左端は、第2縦片94に対して内側に第2間隔L5をあけて配置されている。よって、対向する第2縦片94と第2側板96との間に第2空間(空間)S4が設けられている。
【0081】
ここで、第1間隔L4及び第2間隔L5は、20~40mm程度であることが好ましい。第1間隔L4及び第2間隔L5を20~40mm程度とすることにより、軒樋支持具90の位置ズレ等を吸収し、軒樋支持具90に対する不必要なガタツキを抑制できる。なお、第1間隔L4及び第2間隔L5は20~40mm程度に限らないで、例えば、軒樋支持具90及び軒樋91の大きさや形状に合わせて任意に選択可能である。
【0082】
また、軒樋91は、軒樋91の内部において、底板97と第1側板95の交差部に第1凸部(凸部)98が形成されている。第1凸部98は、第1実施形態の第1凸部66と同様に形成されている。すなわち、第1凸部98は、第1側板95の下端において軒樋91の長手方向に沿って中空状に延びている。
さらに、軒樋91は、軒樋91の内部において、底板97と第2側板96の交差部に第2凸部(凸部)99が形成されている。第2凸部99は、第1実施形態の第2凸部67と同様に形成されている。すなわち、第2凸部99は、第2側板96の下端において軒樋91の長手方向に沿って中空状に延びている。
【0083】
以上説明した第4実施形態の雨樋システムRG4によれば、第1実施形態の雨樋システムRG1と同様の作用効果を得ることができる。
【0084】
[第5実施形態]
図7に示すように、雨樋システムRG5は、第4実施形態の軒樋91を軒樋100に代えたもので、その他の構成は第4実施形態の雨樋システムRG4と同様である。
軒樋100は、第4実施形態の第1凸部98及び第2凸部99に代えて第1凸部(凸部)102及び第2凸部(凸部)103を有する。
【0085】
第1凸部102は、第1中空凸部104と、2つの第1折返し部(折返し部)105,106と、を有する。第1中空凸部104は、第4実施形態の第1凸部98と同様に形成されている。すなわち、第1中空凸部104は、第1側板95の下端において軒樋100の長手方向に沿って中空状に延びている。
2つの第1折返し部105,106は、第1側板95の上端に有する。2つの第1折返し部105,106は、軒樋100の内側に直角に折り返されている。2つの第1折返し部105,106は、第1側板95の上端において軒樋100の内側に突出されている。2つの第1折返し部105,106は、第1側板95の上端において軒樋100の長手方向に沿って延びている。第1側板95の上端に2つの第1折返し部105,106を有することにより、第1側板95の上端の剛性を確保できる。
【0086】
また、第2凸部103は、第2中空凸部107と、2つの第2折返し部(折返し部)108,109と、を有する。第2中空凸部107は、第4実施形態の第2凸部99と同様に形成されている。すなわち、第2中空凸部107は、第2側板96の下端において軒樋100の長手方向に沿って中空状に延びている。
2つの第2折返し部108,109は、第2側板96の上端に有する。2つの第2折返し部108,109は、軒樋100の内側に直角に折り返されている。2つの第2折返し部108,109は、第2側板96の上端において軒樋100の内側に突出されている。2つの第2折返し部108,109は、第2側板96の上端において軒樋100の長手方向に沿って延びている。第2側板96の上端に2つの第2折返し部108,109を有することにより、第2側板96の上端の剛性を確保できる。
【0087】
このように、第1側板95の上端に2つの第1折返し部105,106を有し、第2側板96の上端に2つの第2折返し部108,109を有するようにした。よって、第1側板95の上端及び第2側板96の上端の剛性を高めることができる。これにより、例えば、軒樋100を多種の用途に適用させることが可能になり、軒樋100の用途の拡大を図ることができる。
【0088】
なお、第5実施形態では、第1側板95の上端に2つの第1折返し部105,106を有し、第2側板96の上端に2つの第2折返し部108,109を有する例について説明したが、これに限らない。その他の例として、例えば、第1側板95の上端に3つ以上の第1折返し部を有し、第2側板96の上端に3つ以上の第2折返し部を有してもよい。
【0089】
以上説明した第3実施形態の雨樋システムRG5によれば、第4実施形態の雨樋システムRG4と同様の作用効果を得ることができる。
【0090】
[第6実施形態]
図8(a)に示すように、雨樋システムRG6は、第1実施形態の軒樋7を軒樋110に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の雨樋システムRG1と同様である。
軒樋110は、第1側板(一対の側板の一方)112及び第2側板(一対の側板の他方)113が鉛直に配置されている。第1側板112及び第2側板113は、底板114から立ち上げられている。
【0091】
軒樋110の底板114のうち右端は、第1縦片52に対して内側に第1間隔L6をあけて配置されている。よって、対向する第1縦片52と第1側板112との間に第1空間(空間)S5が設けられている。また、軒樋110の底板114のうち左端は、第2縦片54に対して内側に第2間隔L7をあけて配置されている。よって、対向する第2縦片54と第2側板113との間に第2空間(空間)S6が設けられている。
【0092】
ここで、第1間隔L6及び第2間隔L7は、20~40mm程度であることが好ましい。第1間隔L6及び第2間隔L7を20~40mm程度とすることにより、軒樋支持具6の位置ズレ等を吸収し、軒樋支持具6に対する不必要なガタツキを抑制できる。なお、第1間隔L6及び第2間隔L7は20~40mm程度に限らないで、例えば、軒樋支持具6及び軒樋110の大きさや形状に合わせて任意に選択可能である。
【0093】
また、軒樋110は、第1実施形態の第1凸部66及び第2凸部67に代えて第1凸部(凸部)115及び第2凸部(凸部)116を有する。
第1凸部115は、第1中空凸部121と、第1耳部(耳部)122と、を有する。第1中空凸部121は、第1実施形態の第1凸部66と同様に形成されている。すなわち、第1中空凸部121は、第1側板112の下端において軒樋110の長手方向に沿って中空状に延びている。
【0094】
第1耳部122は、第1側板112の上端に有する。第1耳部122は、2つの第1折返し部(折返し部)123,124を有する。2つの第1折返し部123,124は、第1側板112の上端において軒樋110の外側に直角に折り返されることにより第1耳部122を形成する。第1耳部122は、第1側板112の上端において第1縦片52まで第1間隔L6と同一寸法で軒樋110の外側に突出されている。第1側板112は、第1縦片52に対して平行に配置されている。
第1耳部122は、第1側板112の上端において軒樋110の長手方向に沿って延びている。第1側板112の上端に第1耳部122を有することにより、第1側板112の上端の剛性を確保できる。
【0095】
また、第2凸部116は、第2中空凸部125と、第2耳部(耳部)126とを有する。第2中空凸部125は、第1実施形態の第2凸部67と同様に形成されている。すなわち、第2中空凸部125は、第2側板113の下端において軒樋110の長手方向に沿って中空状に延びている。
【0096】
第2耳部126は、第2側板113の上端に有する。第2耳部126は、2つの第2折返し部(折返し部)127,128を有する。2つの第2折返し部127,128は、第2側板113の上端において軒樋110の外側に直角に折り返されることにより第2耳部126を形成する。第2耳部126は、第2側板113の上端において第2縦片54まで第2間隔L7と同一寸法で軒樋110の外側に突出されている。第2側板113は、第2縦片54に対して平行に配置されている。
第2耳部126は、第2側板113の上端において軒樋110の長手方向に沿って延びている。第2側板113の上端に第2耳部126を有することにより、第2側板113の上端の剛性を確保できる。
【0097】
このように、第1側板112の上端において第1耳部122を第1縦片52まで第1間隔L6と同一寸法で突出させた。また、第2側板113の上端において第2耳部126を第2縦片54まで第2間隔L7と同一寸法で突出させた。よって、軒樋110の剛性を高めることができる。これにより、例えば、軒樋110を多種の用途に適用させることが可能になり、軒樋110の用途の拡大を図ることができる。
【0098】
また、第1耳部122を第1縦片52まで突出させ、第2耳部126を第2縦片54まで突出させることにより、軒樋110を軒樋支持具6の内部にガタがない状態(安定させた状態)に固定できる。
さらに、第1側板112を第1縦片52に対して平行に配置した。また、第2側板113を第2縦片54に対して平行に配置した。これにより、軒樋支持具6及び軒樋110(すなわち、雨樋システムRG6)の見栄えをよくできる。
【0099】
なお、第6実施形態では、第1側板112の上端に第1耳部122(すなわち、2つの第1折返し部)を有し、第2側板113の上端に第2耳部126(すなわち、2つの第2折返し部)を有する例について説明したが、これに限らない。その他の例として、例えば、第1側板112の上端に3つ以上の第1折返し部を有し、第2側板113の上端に3つ以上の第2折返し部を有してもよい。
【0100】
また、第6実施形態では、第1側板112の上端に第1耳部122を有し、第2側板113の上端に第2耳部126を有する例について説明するが、これに限らない。その他の例として、例えば、第1側板112の上端、第2側板113の上端の一方に耳部を有してもよい。
【0101】
図8(b)に示すように、第6実施形態の雨樋システムRG6によれば、軒樋支持具6が矢印Aの如く移動することにより、軒樋支持具6が竪樋支持具14(
図1参照)に対して矢印A方向に位置ズレが生じる。ここで、軒樋支持具6が矢印Aの如く移動することにより、軒樋支持具6の第1縦片52が矢印Aの如く移動する。よって、第1縦片52とともに第1側板112の第1耳部122が矢印Aの如く移動する。すなわち、第1側板112を軒樋支持具6に追従させて矢印A方向に逃がすことができる。
【0102】
さらに、軒樋支持具6が矢印Aの如く移動することにより、軒樋支持具6の第2固定部54Aが矢印Aの如く移動する。よって、第2固定部54Aとともに第2側板113の第2耳部126が矢印Aの如く移動する。すなわち、第2側板113を軒樋支持具6の移動に追従させて矢印A方向に逃がすことができる。
よって、剛性が確保された軒樋110の第1側板112及び第2側板113を軒樋支持具6の移動に追従させて逃がすことができる。第1側板112及び第2側板113を逃がすことにより、軒樋支持具6の位置ズレを吸収できる。これにより、雨樋システムRG6における各所への応力を軽減でき、各所が損傷すること防ぐことができる。
【0103】
以上説明した第6実施形態の雨樋システムRG6によれば、第1実施形態の雨樋システムRG1と同様の作用効果を得ることができる。
【0104】
[第7実施形態]
図9に示すように、雨樋システムRG7は、第6実施形態の軒樋支持具6及び軒樋110を軒樋支持具130及び軒樋131に代えたもので、その他の構成は第6実施形態の雨樋システムRG6と同様である。
軒樋支持具130は、第1縦片(一対の縦片の一方)133及び第2縦片(一対の縦片の他方)134が下端から上端に向けて左右方向の幅が徐々に広がるように配置されている。第1縦片133及び第2縦片134は、横片53から立ち上げられている。軒樋131は、第1側板(一対の側板の一方)136及び第2側板(一対の側板の他方)137が下端から上端に向けて左右方向の幅が徐々に広がるように配置されている。第1側板136及び第2側板137は、底板114から立ち上げられている。
【0105】
以上説明した第7実施形態の雨樋システムRG7によれば、第6実施形態の雨樋システムRG6と同様の作用効果を得ることができる。
【0106】
[第8実施形態]
図10に示すように、雨樋システムRG8は、第7実施形態の軒樋支持具130を軒樋支持具140に代えたもので、その他の構成は第7実施形態の雨樋システムRG7と同様である。軒樋支持具140は、第7実施形態の第1縦片133に有する第1固定部133Aを第1固定部141に代え、第7実施形態の第2縦片134に有する第2固定部134Aを第2固定部142に代えたものである。また、雨樋システムRG8は、雨樋システムRG7と側面視形状を異ならせている。
【0107】
以上説明した第8実施形態の雨樋システムRG8によれば、第7実施形態の雨樋システムRG7と同様の作用効果を得ることができる。
【0108】
[第9実施形態]
図11、
図12に示すように、雨樋システムRG9は、第1実施形態の軒樋支持具6及び軒樋7を軒樋支持具150及び軒樋151に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の雨樋システムRG1と同様である。
雨樋システムRG9は、軒樋支持具150に軒樋151が取付ボルト157,158により固定されている。具体的には、軒樋151のうち第1側板(一対の側板の一方)152の上端152Aが軒樋支持具150の第1縦片(一対の縦片の一方)155に取付ボルト157により固定されている。また、軒樋151のうち第2側板(一対の側板の他方)153の上端153Aが軒樋支持具150の第2縦片(一対の縦片の他方)156に取付ボルト158により固定されている。
【0109】
ここで、取付ボルト158から竪樋支持具14までの距離L8は、下側ドレン部材15における外筒部42の下端42Aから竪樋支持具14までの距離L9に比べて長い。よって、軒樋支持具150が矢印A方向や矢印B方向に位置ズレした際に、取付ボルト158から竪樋支持具14までの距離L8の途中において、軒樋151を変形させて軒樋支持具150の位置ズレを吸収できる。これにより、雨樋システムRG9における各所への応力を軽減でき、各所が損傷すること防ぐことができる。
【0110】
以上説明した第9実施形態の雨樋システムRG9によれば、第1実施形態の雨樋システムRG1と同様の作用効果を得ることができる。
【0111】
[第10実施形態]
図13に示すように、雨樋システムRG10は、第1実施形態の雨樋システムRG1から短管9、第1エルボ管10A、第1継手11、第2エルボ管10B、及び第2継手12を除去したもので、その他の構成は第1実施形態の雨樋システムRG1と同様である。
雨樋システムRG10は、下側ドレン部材15の外筒部42の下端42Aから竪樋13の上端13Aまでの長さL10が雨樋システムRG1のL1(
図1参照)に比べて短くなる。このため、軒樋支持具6が矢印A方向や矢印B方向に位置ズレした場合に、雨樋システムRG1における外筒部42の下端42Aから竪樋13の上端13Aまでの各所に大きな応力が入力することが考えられる。この場合においても、軒樋7を変形させて軒樋支持具6の位置ズレを吸収できる。
【0112】
以上説明した第10実施形態の雨樋システムRG10によれば、第1実施形態の雨樋システムRG1と同様の作用効果を得ることができる。
【0113】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0114】
例えば、軒樋7の変形例として、
図14から
図16に示すような軒樋7A~7Cを採用してもよい。
図14に示す軒樋7Aのように、第1凸部66A、第2凸部67Aとして、軒樋7Aの内側に向けて凸となる三角形状で、かつ、軒樋7Aの外側に向けて開口する構成を採用してもよい。
図15に示す軒樋7Bのように、第1凸部66B、第2凸部67Bとして、第1側板63および第2側板64の上下方向の中央部に位置する構成を採用してもよい。言い換えると、第1凸部66B、第2凸部67Bとして、第1凸部66A、第2凸部67Aがそれぞれ上方にずらされた構成を採用してもよい。
図16に示す軒樋7Cのように、第1凸部66C、第2凸部67Cとして、第1凸部66Aや第2側板凸部67Aに加えて、第1耳部122C、第2耳部123Cを有する構成を採用してもよい。第1耳部122C、第2耳部123Cはそれぞれ、側面視においてZ形状をなすような屈曲部を有している(折り返されている)。
【0115】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、本実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0116】
RG1~RG10…雨樋システム、1…折板屋根(屋根)、1A…軒先、2…壁部、6…軒樋支持具(第1支持具)、7…軒樋(第1樋)、13…竪樋(第2樋)、14…竪樋支持具(第2支持具)、52,93,133,155…第1縦片(一対の縦片の一方)、54,94,134,156…第2縦片(一対の縦片の他方)、63,95,112,136,152…第1側板(一対の側板の一方)、64,96,113,137,153…第2側板(一対の側板の他方)、66,72,82,98,115…第1凸部(凸部)、66A,67A…中空部、67,73,83,99,116…第2凸部(凸部)、75…第1折返し部(折返し部)、77…第2折返し部(折返し部)、85,86…2つの第1折返し部(折返し部)、88,89…2つの第2折返し部(折返し部)、105,106…2つの第1折返し部(折返し部)、108,109…2つの第2折返し部(折返し部)、122…第1耳部(耳部)、123,124…2つの第1折返し部(折返し部)、126…第2耳部(耳部)、127,128…2つの第1折返し部(折返し部)、S1,S3,S5…第1空間(空間)、S2,S4,S6…第2空間(空間)。