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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012056
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】有機物処理装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/40 20220101AFI20240118BHJP
   B01D 53/70 20060101ALI20240118BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20240118BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20240118BHJP
   F23G 7/06 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B09B3/40
B01D53/70 ZAB
B01D53/82
B09B5/00 Z
F23G7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027218
(22)【出願日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2022112130
(32)【優先日】2022-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】597073807
【氏名又は名称】株式会社日省エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】平久井 健三
【テーマコード(参考)】
3K078
4D002
4D004
【Fターム(参考)】
3K078AA04
3K078CA09
3K078CA21
4D002AA21
4D002AC10
4D002BA04
4D002BA13
4D002CA07
4D002DA41
4D002EA01
4D002GA01
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB03
4D002GB20
4D004AA01
4D004AB07
4D004AC05
4D004CA28
4D004CB31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】有機物処理時の排ガス内のダイオキシンの含有量を極めて少なくすることが可能な有機物処理装置を提供する。
【解決手段】投入された有機物を加熱するとともに磁化空気を抑制的に供給して熱分解する処理槽Aと、該処理槽Aに接続され有機物から分解され発生したガスを燃焼処理する燃焼処理機構Bと、該処理槽Aと燃焼処理機構Bとの間において該ガスに含まれている水分を分離除去する熱交換器Cと、を備えた有機物処理装置において、該燃焼処理機構Bは、バーナーで800℃以上の高温加熱する高温処理炉Xと、第1の冷却水を貯え、該高温処理炉Xからのガスを上部から下部へ続く第1の連通筒に通し、該第1の連通筒内のガスを該第1の冷却水で冷却する第1の冷却処理槽Y1と、該第1の冷却処理槽Y1からのガスを冷却する第2の冷却処理槽Y2と、該第2の冷却処理槽Y2からのガスの有害成分を吸着する活性炭を備えた吸着槽Zとを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された有機物を加熱するとともに磁化空気を抑制的に供給して熱分解する処理槽Aと、該処理槽Aに接続され有機物から分解され発生したガスを燃焼処理する燃焼処理機構Bと、該処理槽Aと燃焼処理機構Bとの間において該ガスに含まれている水分を分離除去する熱交換器Cと、を備えた有機物処理装置において、
該燃焼処理機構Bは、バーナーで800℃以上の高温加熱する高温処理炉Xと、第1の冷却水を貯え、該高温処理炉Xからのガスを上部から下部へ続く第1の連通筒に通し、該第1の連通筒内のガスを該第1の冷却水で冷却する第1の冷却処理槽Y1と、該第1の冷却処理槽Y1からのガスを冷却する第2の冷却処理槽Y2と、該第2の冷却処理槽Y2からのガスの有害成分を吸着する活性炭を備えた吸着槽Zと、を有し、
該第2の冷却処理槽Y2は、下部に設けられたY2ガス受入部から入ったガスを上部のY2ガス送出部まで導く第2の連通筒と、該第2の連通筒内のガスを冷却する第2の冷却水と、第2の冷却水を槽内に供給するY2給水部と、槽内の第2の冷却水を排出するY2排水部と、該第2の連通筒内のガスを強制排気するブロアと、を有し、
該第2の連通筒は、上部が水平方向に折れ曲がるL字状であり、
該吸着槽Zは、該ブロアからのガスの勢いを低減する排気減圧空間と、網目状板で仕切られ、活性炭が充填された活性炭庫と、外気に該ガスを排出するZガス排出部と、を有することを特徴とする有機物処理装置。
【請求項2】
前記第2の冷却処理槽Y2は、ガスを60℃以下に冷却することを特徴とする請求項1に記載の有機物処理装置。
【請求項3】
前記第2の連通筒の周囲にはフィンが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の有機物処理装置。
【請求項4】
前記Y2給水部は、前記第2の冷却処理槽Y2の底面に設けられ、
前記Y2排水部は、管状であって、前記第2の冷却処理槽Y2の上部の前記第2の連通筒よりも高い位置に前記第2の冷却水の取入口があり、
前記第2の冷却水を前記第1の冷却水として、前記第1の冷却処理槽Y1に送ることを特徴とする請求項1に記載の有機物処理装置。
【請求項5】
前記Y2給水部は、前記第1の冷却水の減少量に応じて、給水量を調整することを特徴とする請求項1に記載の有機物処理装置。
【請求項6】
前記熱交換器Cは、炭化水素油を分離除去し、
該炭化水素油を気化させる液化ガス処理機構Dを備え、
前記熱交換器C、又は、前記熱交換器Cから該液化ガス処理機構Dまでの間で、該炭化水素油にPH調整液を混合することを特徴とする請求項1に記載の有機物処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁化空気による有機物の処理に関し、詳しくは、有機物を処理する際の有毒ガスの排出濃度を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外気を遮断した処理槽に投入した有機物を加熱すると共に処理槽に磁化された空気(磁化空気)を抑制的に供給することで、有害物質であるダイオキシンの発生を低減し、比較的低温で熱分解させる処理技術が知られている。
しかしながら、国際基準に対応するためには、ダイオキシンの量をさらに低減する必要があった。
そこで、排ガスにおけるダイオキシンの含有量を国際基準以下に低減する技術が求められていた。
【0003】
同様の技術について、発明者は、有機物を磁化空気で熱分解して発生した有害なガスを無害化して大気中に放出する技術を開発した(特許文献1)。より詳しくは、熱分解する処理槽と燃焼処理機構との間に熱交換器を設ける。燃焼処理機構は、高温処理炉と冷却処理槽を持ち、高温処理炉は800度以上の高温を維持し、冷却処理槽は水冷により冷却する技術である。
しかしながら、本技術では、排ガスでのダイオキシン含有量が、国内基準をクリアするものの、国際基準をクリアすることができていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2020/217587号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、有機物を処理する際の排ガス内のダイオキシンの含有量を極めて少なくすることが可能な有機物処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、投入された有機物を加熱するとともに磁化空気を抑制的に供給して熱分解する処理槽Aと、該処理槽Aに接続され有機物から分解され発生したガスを燃焼処理する燃焼処理機構Bと、該処理槽Aと燃焼処理機構Bとの間においてガスに含まれている水分を分離除去する熱交換器Cと、を備えた有機物処理装置において、該燃焼処理機構Bは、バーナーで800℃以上の高温加熱する高温処理炉Xと、第1の冷却水を貯え、該高温処理炉Xからのガスを上部から下部へ続く第1の連通筒に通し、該連通筒内のガスを、該第1の冷却水で冷却する第1の冷却処理槽Y1と、該第1の冷却処理槽Y1からのガスを冷却する第2の冷却処理槽Y2と、該第2の冷却処理槽Y2からのガスの有害成分を吸着する活性炭を備えた吸着槽Zと、を有し、該第2の冷却処理槽Y2は、下部に設けられた流入部から入ったガスを上部の流出部まで導く第2の連通筒と、第2の冷却水を貯え、該第2の連通筒内のガスを、該第2の冷却水によって冷却する冷却部と、第2の冷却水を槽内に供給する給水部と、槽内の第2の冷却水を排出する排水部と、該第2の連通筒内のガスを強制排気するブロアとを有し、該第2の連通筒は、上部が水平方向に折れ曲がるL字状であり、該吸着槽Zは、該ブロアからの該ガスの勢いを低減する排気減圧空間と、網目状板で仕切られ、活性炭が充填された活性炭庫と、外気に該ガスを排出する排出口と、を有する手段を採る。
【0007】
また、本発明は、前記第2の冷却処理槽Y2が、ガスを60℃以下に冷却する手段を採る。
【0008】
さらに、本発明は、前記第2の連通筒の周囲にフィンが配置されている手段を採る。
【0009】
またさらに、本発明は、前記給水部が、前記第2の冷却処理槽Y2の底面に設けられ、前記排水部は、管状であって、前記第2の冷却処理槽Y2の上部の前記第2の連通筒よりも高い位置に、前記第2の冷却水の取込口があり、前記第2の冷却水を前記第1の冷却水として、前記第1の冷却処理槽Y1に送る手段を採る。
【0010】
さらにまた、本発明は、前記給水部が、前記第1の冷却水の減少量に応じて、給水量を調整する手段を採る。
【0011】
そしてまた、本発明は、前記熱交換器Cが、炭化水素油を分離除去し、該炭化水素油を気化させる液化ガス処理機構Dを備え、前記熱交換器C、又は、前記熱交換器Cから該液化ガス処理機構Dまでの間で、該炭化水素油にPH調整液を混合する手段を採る。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る有機物処理装置によれば、有機物を処理する際の排ガス内のダイオキシンの含有量を極めて少なくすることができ、環境改善に大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る有機物処理装置の実施形態を示す全体正面図並びに上面図である。
図2】本発明に係る有機物処理装置における処理槽Aの実施形態を示す断面図である。
図3】本発明に係る有機物処理装置における燃焼処理機構Bの実施形態を示す斜視図である。
図4】本発明に係る有機物処理装置における燃焼処理機構Bの実施形態を示す断面図である。
図5】本発明に係る有機物処理装置における冷却処理槽の実施形態を示す断面図である。
図6】本発明に係る有機物処理装置のダイオキシン濃度分析結果を示す表図である。
図7】本発明に係る有機物処理装置における液化ガス処理機構Dの実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明にかかる有機物処理装置は、有機物を処理する際の有毒ガスを低減できることを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかる有機物処理装置の実施形態について、図面に基づき説明する。
なお、以下に示される有機物処理装置の全体構成及び各部構成は、下記に述べる実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状や寸法等の範囲内で変更することができるものである。
【0015】
図1から図7に従って、本発明を説明する。
図1は、有機物処理装置1の実施形態を示しており、(a)は全体上面図、(b)は全体正面図である。図2は、有機物処理装置1における処理槽Aの実施形態を示す断面図である。図3は、有機物処理装置1における燃焼処理機構Bの実施形態を示す斜視図である。図4は、有機物処理装置1における燃焼処理機構Bの実施形態を示す断面図であり、ガスの流れを説明するものである。図5は、有機物処理装置1における冷却処理槽Y1、Y2の実施形態を示す断面図であり、冷却水の流れを説明するものである。図6は、従来及び本発明の有機物処理装置のダイオキシン濃度分析結果を示す比較表である。
図7は、本発明に係る有機物処理装置における液化ガス処理機構Dの実施形態を示す断面図であり、(a)は液化ガスである炭化水素油を導入管・トラップ管で液化ガス処理機構Dに導く流れを示し、(b)は液化ガスである炭化水素油を導入管・トラップ管で液化ガス処理機構Dに導く途中に炭化水素油貯留槽を備える場合を示している。尚、第2の冷却処理槽Y2、吸着槽Zは省略している。
【0016】
有機物処理装置1は、有機物を、磁化空気を用いて処理し、さらに、その際発生する排ガス中のダイオキシンの含有量を低減するものである。
有機物処理装置1は、処理槽Aと燃焼処理機構Bと熱交換器Cと液化ガス処理機構Dとから構成されている。
【0017】
処理槽Aは、投入された有機物Pを加熱すると共に、磁化空気を抑制的に供給して熱分解するものである。
処理槽Aは、図1に示すように円筒形の槽の上部に有機物Pを投入するために投入口111を設け、側面下部には、有機物Pが熱分解されて生成される灰化物を排出するための排出口112を設ける。
空気を磁化して磁化空気Mとするマグネット152を備え、処理槽Aの内部で投入された有機物Pよりも下方部分に、磁化空気Mを供給する磁化空気供給機構105を設ける。
磁化空気供給機構105から処理槽Aの内部へ供給される磁化空気Mの量を調整する電磁バルブ106と、処理槽Aの内部の温度を検出する温度センサ171,172と、接続された電磁バルブ106と温度センサ171,172とを連係制御するコントローラ108を設ける(図2)。
磁化空気供給機構105から供給された磁化空気Mは、ノズル151から処理槽Aの軸中心に向かう構造である。
このような構成により、処理槽Aにおいて、ガスGの対流が形成され、処理槽Aの内部の温度の均等化が図られ、温度センサ171,172による処理槽Aの内部の温度の把握が正確になって、電磁バルブ106を動作させるタイミングが正確になり、有機物Pを熱分解するのに好適な環境が確実に実現される。
【0018】
熱交換器Cは、処理槽Aで、熱処理によって発生するガスGに含まれる水分および炭化水素等を液化する部分である。熱交換器Cは、処理槽Aの上部にあり、ドラム型の熱交換器本体141を有し、熱交換器本体141の内部空間は処理槽Aの上部の空間に連結されている(図2)。
有機物Pの熱分解で生成され処理槽Aの内部を上昇した高温のガスGは、熱交換器Cに入り、その内部で冷却されてガスGに含まれている水分及び炭化水素等が液化され、液化ガスLとなる。液化ガスLは、ドレン型の熱交換器Cの本体部141内の底部に貯留される。
液化ガスLは、液化ガスPH調整部から滴下される薬液によってPH値が高められ、強酸性から弱酸性に変わる。さらに、液化ガスLは、ドレンに臨んだ液化ガス導入口143を介して液化ガス処理機構Dに送られる。
熱交換器Cで乾質化されたガスは、一部が燃焼処理機構Bに移動し、他は処理槽A内を流動する。
熱交換器本体141の内部空間は、次の燃焼処理機構Bにダクト11を介して接続され、燃焼処理機構BにガスGが送られる。
【0019】
液化ガス処理機構Dは、熱交換器Cで液化ガスとされたものを、ガス化し、燃焼処理機構Bに送るための部分である。
液化ガス処理機構Dは、熱交換器Cの熱交換器本体141の下部に付設されている。液化ガス導入口143を介して液化ガス処理機構Dに液化ガスが供給される(図2)。
液化ガスLは、炭化水素等が液体化したものである。炭化水素は、液化することで、炭化水素油となる。炭化水素油は、PH2前後の強酸であるので、鉄、ステンレス等の金属材料を腐食させてしまう。酸性を弱めるために、後述する液化ガスPH調整部を用いる。
液化ガスLの熱交換器Cから液化ガス処理機構Dまでの流れを詳しく説明すると、炭化水素等が液体化した液化ガスLは、液化ガス導入口143を介してドレンに臨んだ導入管143aを通り、トラップ管143bに貯め、先端部143cから滴となって気化室145に入る。
気化室145内では、滴は、先端部143cの直下にある気化室145底部の加熱皿145aに落下する(図7(a))。加熱皿145aは、液化ガスLの気化を担うもので、液化ガスLの水分による錆、炭化水素油による腐食を防ぐため、陶製を素材とするのが望ましい。
加熱皿145aは、第1の冷却処理槽Y1からの排熱で加熱されている。
液化ガスLは、気化室145の加熱皿145aで加熱され、気化し、同室内を上昇して送気口145bに至り、送気管145cを介して、処理槽Aの上部の熱交換器Cと高温処理炉Xとの間のダクト11へと編入される(図7(a))。
該ダクト11はガスGを高温処置炉Xの下部のガス受入部21に導くものであるから、そこに編入された気体は、そのまま高温処置炉X及び冷却処理槽Y1、Y2による無害化処理を受けるものとなる。つまり、高温処置炉Xによる無害化作用及び冷却処理槽Y1、Y2による冷却作用を受けて、上記有機物処理装置と同様液化ガスが無害なものとして処理されることになる。
【0020】
PH調整部70は、熱交換器Cで生成された液化ガスLに含まれる炭化水素油に、PH調整剤等のアルカリ液を混合することで、炭化水素油のPH値を調整するものである。
PH調整部70は、PH調整薬液タンク71と、PH調整薬液ポンプ72と、薬液移送チューブ73とから成る。
PH調整薬液タンク71には、炭化水素油のPH値を高めるためのアルカリ液であるPH調整用薬液が貯蔵されている。薬液としては、苛性ソーダ、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムや、市販のPH調整剤等が考えられる。薬剤の種類、量は、発生する炭化水素油の量等によって、決定する。
PH調整薬液ポンプ72は、PH調整用薬液をPH調整薬液タンク71から薬液移送チューブ73に送る部分である。薬剤は、強アルカリ液を持ちる場合もあるので、ケミカルポンプを用いる。
また、熱交換器Cで生成される炭化水素油の量は、少量であることが多いので、対応する少量の薬剤を正確に滴下するため、チューブポンプを用いる。
薬液移送チューブ73は、薬液を熱交換器本体141に滴下する部分である。滴下する薬液は強アルカリの場合もあるし、チューブの先端は、炭化水素油に接する場合もあるので、PH値によって影響を受けにくい、ケミカルチューブを用いる。
また、熱交換器本体141は、高温であるので、薬液移送チューブ73は耐熱性が必要である。
薬液は、図2に示すように、熱交換器本体部141の上部から滴下される。上部から滴下することによって、熱交換器本体部141内の空間に、広く滴下できるからである。
【0021】
炭化水素油による金属部分の腐食を防ぐために、炭化水素油のPH値を5~6にする必要がある。そこで、炭化水素油濃度測定部74を用いて、炭化水素油の濃度を常時測定し、その濃度に応じて、滴下する薬液の量を調整する。
この処理によって、炭化水素油のPH値を5~6に調整することができる。
【0022】
また、炭化水素油への薬液の滴下を、熱交換器本体部141ではなく、熱交換器Cから液化ガス処理機構Dまでの間で、行っても良い。
図7(b)に、具体例を示す。
炭化水素等が液体化した液化ガスLは、液化ガス導入口143を介してドレンに臨んだ導入管143aを通り、炭化水素油貯留槽75に貯められる。炭化水素油貯留槽75には、比較的長時間液化ガスLが滞留することから、液化ガスLに接触する部分は、炭化水素油による腐食を防ぐ意味で、陶製を素材とするのが望ましい。
炭化水素油貯留槽75の下部には、炭化水素油濃度測定部74が配置され、炭化水素油の濃度を常時測定できる。
炭化水素油の濃度を測定することで、炭化水素油のPH値をある程度推定できる。その推定値に沿って、薬液の滴下量を調整し、炭化水素油のPH値を5~6に調整する。
PH値が調整された炭化水素油は、トラップ管143bを通り、先端部143cから滴となって気化室145に入り、気化される。
【0023】
このように、液化ガスPH調整部を用いて、炭化水素油を含む液化ガスLのPH値を調整することによって、炭化水素油等による金属部分の腐食を回避でき、機材の耐久性を向上させることができる。
【0024】
図3図4に沿って、燃焼処理機構Bを説明する。
燃焼処理機構Bは、処理槽Aで発生したガスGを無害化、無臭化、冷却するための部分である。
燃焼処理機構Bは、高温処置炉X、第1の冷却処理槽Y1、第2の冷却処理槽Y2、吸着槽Zから成り、全体として近接しており、コンパクトである(図1図3)。
【0025】
高温処置炉Xは、処理槽Aで有機物Pが熱分解されて生成された炭化水素等を含むガスGを高温で無害化、無臭化するものである。但し、ダイオキシンについては、国際基準を下回るほどは無害化できない。
高温処置炉Xは、処理槽Aの近傍に配置されている。ガスGを、処理槽A,熱交換器Cから高温処置炉Xに移動させるためのダクト11は、高温処置炉Xの下部に接続されている。
高温処置炉Xは、内部に多数の発熱体33を備え、周囲を1300℃以上の高温に耐え得る耐熱材31を用いて炉内を密閉状態に囲う。
発熱体33は、高温処置炉Xの内部の下部から中間部にかけて、遠赤外線放射機能を備えた蓄熱性を有するセラミック製であり、相互間にガスが通過可能な隙間を形成し多数装着した構造である。
炉内の上段域に設けた発熱体33の上方は空洞とし、高温処理空間を備えた高温処理部3である。
高温処置炉Xの下部には、熱交換器Cから移動したガスGを、ダクト11を介して炉内へ供給するためのXガス受入部21を、備える。
高温処置炉Xの外部の下部には、加熱部であるバーナー34を備え、該バーナー34によって、下段域の発熱体33を加熱する。その際の燃料は、ガスやオイルである。
高温処置炉X内の発熱体33の上方に存する高温処理空間の温度は、図示しない制御部によって制御される。制御部は、高温処理空間の温度を最低でも800℃の高温に保持するために、高温処理空間に向けた温度センサ32が900℃を超えたことを検知した際、バーナー34の稼働を停止する。また、温度センサ32が800℃を下回ったことを検知した際は、バーナー34を稼働させ温度を上げる。
高温処理空間内の高温状態で、ガスGは自らが燃焼して熱エネルギを発生する。従って、一旦通常の稼働状態に入ると、炉内は800℃から1300℃の高温状態が保持される。
高温処理空間内では、800℃以上の高温環境下でガスGと酸素とが反応し、大部分は無害な二酸化炭素ガスと水に変化する。また、一部は微量のダイオキシンとして残る。
ガスGは、ダクト12を通り、第1の冷却処理槽Y1に移動する。
【0026】
第1の冷却処理槽Y1は、ガスGの温度を大幅に下げるための冷却部である。
第1の冷却処理槽Y1は、主に、第1の連通筒40、水蒸気放出部41、水位センサ42、Y1給水部43、Y1排水部45を備える。
第1の連通筒40は、高温処置炉Xから送られたガスGが通る部分である。第1の連通筒40は、蛇行した形状である。ガスGは、第1の冷却処理槽Y1の上部のY1ガス受入部23から入り、第1の連通筒40内を通り、第1の冷却処理槽Y1の下部に設けられたY1ガス送出部24から第2の冷却処理槽Y2に向け送出される。
第1の冷却処理槽Y1の内側には、第1の冷却水W1が充填され、槽の外周をグラスウール等の断熱材47が覆っている。第1の連通筒40を通して、800℃程度の高温のガスGと第1の冷却水W1との間で熱交換が行われ、200℃程度まで冷却される。
【0027】
水蒸気放出部41は、槽内の水蒸気を外部に放出させることで、槽内の圧力を一定以下にするものである。水蒸気放出部41は、水蒸気を外部に放出させて槽内を減圧させる安全弁を備えている。
第1の冷却処理槽Y1において、ガスGは、800℃程度の高温のガスであり、第1の連通筒40の壁面に接触した第1の冷却水W1は、高温となり、水蒸気となり、嵩が急激に膨張するが、槽内上部は密閉されているので、そのままでは槽内が高温高圧状態となってしまう。
そのため、槽上部には、水蒸気放出部41が設けられている。水蒸気放出部41は、安全弁が設定した高圧状態に達したら、自動的に開かれることで水蒸気が外部に放出されて、槽内が規定以上の高圧状態になるのを防ぐ動作を行う。
【0028】
水位センサ42は、槽内の第1の冷却水W1の水位を検出するセンサである。槽内の水は、ガスGを冷却するために、高温、水蒸気となり、水蒸気放出部41を介して、一部は外部に排出される。したがって、槽内の水は、常に減少し続ける。槽内の水が第1の連通筒40全体を覆わなくなると、冷却効率が下がってしまうので、水位を検出して、常に一定量の水を補充する必要がある。水位センサ42の水位を検出して、図示しない制御部によって、Y1給水部43から水を供給する。
【0029】
Y1給水部43は、第1の冷却処理槽Y1の槽内に、第1の冷却水W1を供給する部分である。供給される水は、第2の冷却処理槽Y2から送出される水である。Y1給水部43は、Y1給水バルブ44を持ち、水の供給、停止を制御できる。
第2の冷却処理槽Y2からの水の供給量をそのまま受け入れる場合はY1給水バルブ44は開放のままで良い。
Y1排水部45は、第1の冷却処理槽Y1の槽内の第1の冷却水W1を排出する部分である。第1の冷却処理槽Y1内の第1の冷却水W1の水位が想定よりも高い場合に、水位を下げるために、第1の冷却水W1の一部をY1排水バルブ46を開けることで排出する。
また、槽のメンテナンスを行う際に、Y1排水バルブ46を開放して第1の冷却水W1を排出する。Y1給水バルブ44及びY1排水バルブ46は電磁バルブとすることで、制御を容易にできる。
ガスGは、ダクト13を通り、第2の冷却処理槽Y2に移動する。
【0030】
第2の冷却処理槽Y2は、第1の冷却処理槽Y1によって、ある程度冷却されたガスGについて、吸着槽Zでの有害物質の除去を効率的に行うことができる程度まで、ガスGの温度を下げるためのものである。
第2の冷却処理槽Y2は、主に、第2の連通筒50、Y2給水部52、Y2排水部54、ブロア57とから成る。
第2の連通筒50は、第1の冷却処理槽Y1から送られたガスGが通る部分である。第2の連通筒50は、上部が水平方向に折れ曲がるL字状である。ガスGは、第2の冷却処理槽Y2の下部のY2ガス受入部25から入り、第2の連通筒50内を通り、第2の冷却処理槽Y2の上部側面に設けられたY2ガス送出部26から吸着槽Zに向け送出される。
第2の連通筒50が上部で水平に折れ曲がり、第2の冷却処理槽Y2の槽内の第2の冷却水W2の水位が、折れ曲がり位置よりも高いことによって、第2の連通筒50は、第2の冷却処理槽Y2内で、全て第2の冷却水W2で覆われることになり、ガスGを効率的に冷却できる。
【0031】
第2の冷却処理槽Y2の内部には、第2の冷却水W2が充填され、第2の連通筒50を通して、200℃程度の高温のガスGと第2の冷却水W2との間で熱交換が行われ、60℃程度まで冷却される。
第2の連通筒50の周囲には、フィン51がほぼ等間隔で5個程度配置されている。フィン51を設けることで、ガスGと第2の冷却水W2との熱交換を効率的に行うことができる。
第2の連通筒50内のガスGは、ブロア57にて吸引され、強制的に吸着槽Zに送られる。ブロア57を用いることで、高温処置炉Xで処理されたガスGを、効率よく第1の冷却処理槽Y1、第2の冷却処理槽Y2内へ通すことができる。
【0032】
Y2給水部52は、第2の冷却処理槽Y2内に第2の冷却水W2を供給するための部分である。Y2給水部52は、第2の冷却処理槽Y2の底部に設けられている。Y2給水部52から供給された第2の冷却水W2により、第2の連通筒50内のガスGが冷却される。第2の冷却水W2を下部から供給し、ガスGも下部から供給されることによって、最も高温のガスGと、最も低温の第2の冷却水W2が、第2の冷却処理槽Y2の槽の下部で熱的に接触することになるので、効率よく熱交換することができる。
Y2給水部52に水道の給水管を接続した場合には、Y2給水バルブ53を開くことで、水道の送水圧でポンプアップせずに水を第1の冷却処理槽Y1の槽内に供給できる場合もある。また、第2の冷却処理槽Y2、第1の冷却処理槽Y1への水の供給をスムーズに行うために、高圧ポンプを用いて水をY2給水部52に対して、供給しても良い。
【0033】
第1の冷却処理槽Y1、第2の冷却処理槽Y2の水量の調整を第1の冷却処理槽Y1内の水位センサ42の検出結果によって行う場合には、図示しない制御部によって、水位センサ42により第1の冷却処理槽Y1の水位低下が検知された際に、Y2給水バルブ53を開け、水位が規定の値となった場合に、Y2給水バルブ53を閉じる制御を行う。
この制御を行うことによって、第1の冷却処理槽Y1、第2の冷却処理槽Y2の水の制御を一括して行うことができる。
【0034】
Y2排水部54は、第2の冷却処理槽Y2内の第2の冷却水W2を排出する部分である。Y2排水部54は、直管状であり、第2の冷却処理槽Y2の底面から第2の冷却処理槽Y2の内部に入り、直管の上部である冷却水取入口56は、第2の連通筒50よりも高い位置にある。
Y2排水部54は、第2の冷却水W2を、第2の冷却処理槽Y2内の上部の冷却水取入口56を介して排出することになる。よって、ガスGを冷却するために高温となり、対流で上部に昇った冷却水を排出できるので、冷却の点で効率的である。
Y2排水部54から排出された第2の冷却水W2は、そのまま、第1の冷却水W1として、Y1給水部43を介して、第1の冷却処理槽Y1に供給される。第1の冷却処理槽Y1で、第2の冷却処理槽Y2からの水の排出分をそのまま受け入れる場合には、Y2排水バルブ55は開放のままで良い。
Y2給水バルブ53及びY2排水バルブ55は、電磁バルブとすることで制御を容易にできる。
【0035】
吸着槽Zは、活性炭によって、ダイオキシン等の有害物質を吸着する部分である。
吸着槽Zは、主に、排気減圧空間63と活性炭収容部(以下、活性炭庫ともいう。)60とから成る。ガスGは、吸着槽Zの底部のZガス受入部27から入り、Zガス排出部28から外部に排出される。
排気減圧空間63は、ブロア57からのガスGの流速を低減するための空間である。言い換えれば、ブロアからのガスの勢いを低減するものである。活性炭収容部60で有害物質を吸着する際、ガスGの流速が早すぎると、活性炭収容部60にガスGが留まる時間が短くなり、十分な吸着を行うことができないからである。
排気減圧空間63を設けることによって、ブロア57からのガスGは、一旦排気減圧空間63内で留まり、ブロア57からの風速の影響を低減することができる。
【0036】
排気減圧空間63と活性炭収容部60は、網目状板であるメッシュ板62で仕切られている。メッシュ板62は、パンチングメタル等でも良い。メッシュ板62を用いることで、上部の活性炭収容部60内の活性炭61を保持しつつ、ガスGをメッシュ板62の孔を通して、下部から活性炭61に供給することができる。
活性炭収容部60は、活性炭61を収容する部分であり、活性炭61が充填されている。ガスGが、活性炭61の隙間を通ることで、ガスGに微量含まれるダイオキシン等の有害物質を活性炭61の多孔質構造で吸着することができる。吸着量は、温度に依存し、60℃以下で最も効果を発揮する。
【0037】
図3図4に沿って、ガスGの燃焼処理機構Bにおける流れを説明する。ガスの流れを矢印にて示している。
処理槽Aによって、有機物Pを処理した結果発生したガスGは、高温処置炉X内で高温処理され、大部分の有害物質は、水蒸気、二酸化炭素に分解される。しかし、微量のダイオキシン等は含まれる。高温処置炉Xで処理後、第1の冷却処理槽Y1にてガスGの温度を200℃程度まで下げる。高温処置炉Xでの処理したままの800℃程度の高温ガスでは、扱いが難しいからである。
【0038】
第1の冷却処理槽Y1で処理した時点でのダイオキシンの量は、国内基準を概ね満たすものの、国際基準をクリアすることはできていない。
国際基準を満たすには、ダイオキシン等を活性炭等で吸着する必要がある。しかし、活性炭等の吸着率は、60℃以下で最も高く、それよりも高温となるほど、吸着率は下がる傾向がある。
そこで、60℃以下でのダイオキシンの吸着を行うために、第2の冷却処理槽Y2と吸着槽Zを配置している。第2の冷却処理槽Y2は、第1の冷却処理槽Y1と同様に、水によって、ガスGの温度を下げるものであるが、対象とするガスGの温度は200℃程度であり、水(20℃程度)との差は小さいことから水蒸気等が大量に発生することなく、ガスGの温度を60℃以下に下げることができる。
このようにして、第1の冷却処理槽Y1で一時冷却を行い、第2の冷却処理槽Y2で二次冷却を行い、ガスの温度を60℃以下にした後、活性炭によって、ダイオキシンを吸着することによって、排ガス中のダイオキシンの濃度を国際基準以下にすることができる。
【0039】
図6に、ダイオキシン濃度分析結果の表1を示す。分析の対象は、ダイオキシン類である。ダイオキシン類とは、PCDD(ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン)、PCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)及びコプラナーPCBである。 1立方メートル内の含有量を濃度として算出する。実測濃度を測定し、適宜補正を行った濃度を補正濃度とし、ダイオキシン類の毒性影響をあらわす毒性等量を算出している。毒性等量(TEQ)とは、「ダイオキシン類」の濃度(毒性の強さ)を表示する際に用いられる記号で、ダイオキシン類の異性体ごとの毒性強度と存在量を考慮して算出した濃度である。
従来の処理装置では、毒性等量は、0.58ng―TEQ/mである。国内小型炉の基準5ng-TEQ/mに対して基準は達成している。
しかし、COP等の国際基準は、0.1ng-TEQ/mであり、0.58では、明らかに基準オーバーである。
本発明では、毒性等量は、0.0017ng-TEQ/mであり、国際基準の0.1よりも大幅に低く、国際基準を十分クリアしていると言える。
【0040】
図5に沿って、冷却水の流れを説明する。冷却水の流れを矢印にて示している。
第1の冷却処理槽Y1、第2の冷却処理槽Y2でのガスGの冷却は、冷却水によって行っている。第1の冷却処理槽Y1では、800℃程度のガスGを冷却し、第2の冷却処理槽Y2では、200℃程度のガスGを冷却する。よって、第2の冷却処理槽Y2で必要とする水の温度の方が、第1の冷却処理槽Y1で必要とする水の温度よりも低い。従って、低温の水で第2の冷却処理槽Y2の冷却を行い、第2の冷却処理槽Y2から排出される若干高温となった水を、第1の冷却処理槽Y1で用いるのが合理的である。
そのため、本実施形態では、第2の冷却処理槽Y2で用いた第2の冷却水W2を、第1の冷却処理槽Y1用の第1の冷却水W1として使用する流れとしている。
【0041】
第2の冷却処理槽Y2のY2給水部52は、水道または高圧ポンプに接続され、水圧のかかった状態で第2の冷却処理槽Y2内に充填される。充填された第2の冷却水W2は、Y2排水部54の冷却水取入口56から排出される。Y2給水部52は、第2の冷却処理槽Y2の底部であり、Y2排水部54の冷却水取入口56は、第2の冷却処理槽Y2の上部にある。第2の連通筒50内のガスGを冷却して温度が上がり、第2の冷却処理槽Y2内を上昇した第2の冷却水W2は、冷却水取入口56を経由して排出される。よって、常に温度の上がった水を排出し、新しい温度の低い水を供給することになるので、効率よく冷却できる。
【0042】
Y2排水部54から排出された第2の冷却水W2は、第1の冷却水W1としてY1給水部43から第1の冷却処理槽Y1に給水され、第1の冷却処理槽Y1内に充填される。第1の冷却処理槽Y1内で、高温(800℃)のガスGを冷却する。冷却は、主に水が水蒸気となる際の気化熱によって行われる。水蒸気は、ある程度の量になると水蒸気放出部41より排出される。従って、第1の冷却水W1の量は、水蒸気放出部41により排出された分減少する。減少した分は、第2の冷却処理槽Y2からの排出分として補給されるので、第2の冷却処理槽Y2の第2の冷却水W2と第1の冷却処理槽Y1の第1の冷却水W1を一括して管理すべきものと言える。
【0043】
そこで、第1の冷却処理槽Y1の水位センサ42での検知結果に応じて、第2の冷却処理槽Y2のY2給水バルブ53を制御することで、第1の冷却水W1と第2の冷却水W2の量を一括して制御できる。その際、Y1給水バルブ44とY2給水バルブ53は開放しておき、Y1排水バルブ46は閉鎖しておく。
水位センサ42により水位が低下していることを検知した場合、Y2給水バルブ53を開き、水を第2の冷却処理槽Y2に供給する。第2の冷却処理槽Y2よりあふれた水は、Y2排水部54より排出され、Y1給水部43より第1の冷却処理槽Y1に供給され、第1の冷却水W1として充填される。充填された結果、第1の冷却処理槽Y1内の水位が上昇し、水位センサ42により水位が規定の値に達したこと検知した際、Y2給水バルブ53を閉じ、第2の冷却処理槽Y2への水の供給を停止する。
【0044】
水位センサ42の検知結果に沿って、Y2給水バルブ53での水の供給、停止を繰り返すことで、第1の冷却処理槽Y1の水位を維持しつつ、第2の冷却処理槽Y2に対して、新たな低温の水を供給しつづけることができる。
このように、第1の冷却処理槽Y1と第2の冷却処理槽Y2で冷却水を共通にし、第2の冷却処理槽Y2のY2給水バルブ53で給水量を制御することによって、第1の冷却処理槽Y1,第2の冷却処理槽Y2への冷却水の供給量を最適化することができる。
言い換えれば、Y2給水部は、第1の冷却水の減少量に応じて給水量を調整するものと言える。
【0045】
また、第2の冷却処理槽Y2に温度センサを設け、第2の冷却処理槽Y2の冷却効果を一定に維持する場合には、温度センサの値によって第1の冷却処理槽Y1のY1排水バルブ46を開閉することが考えらえる。
第2の冷却処理槽Y2から排出されるガスGの温度が60℃を超えると推定される場合には、Y1排水バルブ46を開ける。すると、第1の冷却処理槽Y1内の水位が低下し、それを補うためにY2給水バルブ53が開かれ、結果的に第1の冷却処理槽Y1、第2の冷却処理槽Y2内の冷却水の回転が速くなり、第2の冷却処理槽Y2内に、多くの新しい低温の水が入ることになる。よって、第2の冷却処理槽Y2内の冷却能力が向上し、ガスGの温度を60℃以下にすることができる。
【0046】
このように、本発明によれば、有機物を処理する際の排ガス内のダイオキシンの含有量を極めて少なくすることができ、環境改善に大きく寄与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る有機物処理装置は、磁化空気による有機物を処理する際の有毒ガスの排出量を低減する技術として広く利用可能であり、故に産業上の利用可能性は大きいものと思料する。
【符号の説明】
【0048】
1 有機物処理装置
D 液化ガス処理機構
Y1 第1の冷却処理槽
Y2 第2の冷却処理槽
Z 吸着槽
W1 第1の冷却水
W2 第2の冷却水
11 ダクト
12 ダクト
13 ダクト
40 第1の連通筒
41 水蒸気放出部
42 水位センサ
43 Y1給水部
45 Y1排水部
47 断熱材
50 第2の連通筒
51 フィン
52 Y2給水部
54 Y2排水部
56 冷却水取入口
57 ブロア
60 活性炭収容部(活性炭庫)
61 活性炭
62 メッシュ板
63 排気減圧空間
70 PH調整部
71 PH調整薬液タンク
72 PH調整薬液ポンプ
73 薬液移送チューブ
74 炭化水素油濃度測定部
75 炭化水素油貯留槽
L 液化ガス(炭化水素油)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7