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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120564
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/18 20060101AFI20240829BHJP
   F16H 59/06 20060101ALI20240829BHJP
   F16H 61/66 20060101ALI20240829BHJP
   F16H 59/66 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
F16H61/18
F16H59/06
F16H61/66
F16H59/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027435
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹倉 裕真
(72)【発明者】
【氏名】石黒 皓幹
【テーマコード(参考)】
3J552
【Fターム(参考)】
3J552MA10
3J552MA17
3J552MA24
3J552NA07
3J552NB01
3J552PA19
3J552PA37
3J552RA12
3J552RB22
3J552RB23
3J552RB28
3J552SA31
3J552SB02
3J552SB31
3J552VA62W
3J552VE04W
(57)【要約】
【課題】無段変速装置の出力回転が相違することによる作業車両の急加速や急減速を抑制して作業車両の挙動が不安定になるのを防止した作業車両を提供する。
【解決手段】スイッチ(19)が短押された場合に、主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢にある場合には、コントローラ(60)は、予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行い、主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも前側傾斜姿勢にある場合には、コントローラ(60)は、主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行う
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)を搭載する機体フレーム(1)の下側に左右一対の前輪(2)と後輪(3)を設け、該機体フレーム(1)の上側に作業者が搭乗する操縦部(5)を設けた作業車両において、
前記エンジン(E)と後輪(3)の間の伝達経路に、前記エンジン(E)の出力回転を増減速する無段変速装置(40)を設け、
前記操縦部(5)に、前記無段変速装置(40)の増減速を変更する主変速レバー(16)と、該主変速レバー(16)の操作姿勢を測定するスイッチ(19)と、圃場毎に予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢を保存するコントローラ(60)を設け、
前記コントローラ(60)は、前記主変速レバー(16)が前側傾斜姿勢に操作された場合には無段変速装置(40)の増減速を大きくし、前記主変速レバー(16)が後側傾斜姿勢に操作された場合には無段変速装置(40)の増減速を小さくし、
前記スイッチ(19)が短押された場合に、前記主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢にある場合には、前記コントローラ(60)は、予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行い、
前記主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも前側傾斜姿勢にある場合には、前記コントローラ(60)は、前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行うことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記コントローラ(60)が、前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を変更中に、前記主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢になった場合には、前記コントローラ(60)は、予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行う請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
前記スイッチ(19)が長押された場合に、予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢を、前記スイッチ(19)の長押時の主変速レバー(16)の操作姿勢に更新する請求項1又は2記載の作業車両。
【請求項4】
エンジン(E)を搭載する機体フレーム(1)に下側に左右一対の前輪(2)と後輪(3)を設け、該機体フレーム(1)の上側に作業者が搭乗する操縦部(5)を設けた作業車両において、
前記エンジン(E)と後輪(3)の間の伝達経路に、前記エンジン(E)の出力回転を増減速する無段変速装置(40)と変速ギヤボックス(42)を設け、
前記操縦部(5)に、前記無段変速装置(40)の増減速を変更する主変速レバー(16)と、前記変速ギヤボックス(42)の増減速を変更する副変速レバー(17)と、前記主変速レバー(16)の操作姿勢と副変速レバー(17)の変速位置を測定するスイッチ(19)と、圃場毎に予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢と副変速レバー(17)の変速位置を保存するコントローラ(60)を設け、
前記コントローラ(60)は、前記主変速レバー(16)が前側傾斜姿勢に操作された場合には無段変速装置(40)の増減速を大きくし、前記主変速レバー(16)が後側傾斜姿勢に操作された場合には無段変速装置(40)の増減速を小さくし、
前記スイッチ(19)が短押された場合に、前記副変速レバー(17)の変速位置が予め設定された副変速レバー(17)の変速位置と一致し、且つ、前記主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢にある場合には、前記コントローラ(60)は、予め設定された前記副変速レバー(17)の変速位置に基づいて変速ギヤボックス(42)の増減速と、予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行い、
前記副変速レバー(17)の変速位置が予め設定された副変速レバー(17)の変速位置と相違し、又は、前記主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも前側傾斜姿勢にある場合には、前記コントローラ(60)は、前記副変速レバー(17)の変速位置に基づいて変速ギヤボックス(42)の増減速と、前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行うことを特徴とする作業車両。
【請求項5】
前記コントローラ(60)が、前記副変速レバー(17)の変速位置に基づいて変速ギヤボックス(42)の増減速を変更し、且つ、前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を変更中に、前記副変速レバー(17)の変速位置が予め設定された副変速レバー(17)の変速位置と一致し、且つ、前記主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢にある場合には、前記コントローラ(60)は、予め設定された前記副変速レバー(17)の変速位置に基づいて変速ギヤボックス(42)の増減速と、予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行う請求項4記載の作業車両。
【請求項6】
前記スイッチ(19)が長押された場合に、予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢と副変速レバー(17)の変速位置を、前記スイッチ(19)の長押時の主変速レバー(16)の操作姿勢と副変速レバー(17)の変速位置に更新する請求項4又は5記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの出力回転を増減速する無段変速装置と、無段変速装置を操作する主変速レバーを備えた作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業車両では、エンジンと後輪の間の伝動経路にエンジンの出力回転を増減速する無段変速装置とトランスミッションを設け、作業時に予めコントローラに保存された無段変速装置を操作する主変速レバーの操作姿勢とトランスミッションを操作する副変速レバーの変速位置を読出して、読出された主変速レバーの操作姿勢と副変速レバーの変速位置に基づいてエンジンの出力回転を増減速する無段変速装置の技術が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-298099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、作業者が操作している主変速レバーの操作姿勢と読出されたコントローラに保存されている主変速レバーの操作姿勢が相違等する場合には、無段変速装置の出力回転が相違して作業車両の急加速や急減速等、作業車両の挙動が不安定になるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、無段変速装置の出力回転が相違することによる作業車両の急加速や急減速を抑制して作業車両の挙動が不安定になるのを防止した作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、エンジン(E)を搭載する機体フレーム(1)の下側に左右一対の前輪(2)と後輪(3)を設け、該機体フレーム(1)の上側に作業者が搭乗する操縦部(5)を設けた作業車両において、
前記エンジン(E)と後輪(3)の間の伝達経路に、前記エンジン(E)の出力回転を増減速する無段変速装置(40)を設け、前記操縦部(5)に、前記無段変速装置(40)の増減速を変更する主変速レバー(16)と、該主変速レバー(16)の操作姿勢を測定するスイッチ(19)と、圃場毎に予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢を保存するコントローラ(60)を設け、前記コントローラ(60)は、前記主変速レバー(16)が前側傾斜姿勢に操作された場合には無段変速装置(40)の増減速を大きくし、前記主変速レバー(16)が後側傾斜姿勢に操作された場合には無段変速装置(40)の増減速を小さくし、前記スイッチ(19)が短押された場合に、前記主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢にある場合には、前記コントローラ(60)は、予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行い、前記主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも前側傾斜姿勢にある場合には、前記コントローラ(60)は、前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行うことを特徴とする作業車両である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記コントローラ(60)が、前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を変更中に、前記主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢になった場合には、前記コントローラ(60)は、予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行う請求項1記載の作業車両である。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記スイッチ(19)が長押された場合に、予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢を、前記スイッチ(19)の長押時の主変速レバー(16)の操作姿勢に更新する請求項1又は2記載の作業車両である。
【0009】
請求項4記載の発明は、エンジン(E)を搭載する機体フレーム(1)に下側に左右一対の前輪(2)と後輪(3)を設け、該機体フレーム(1)の上側に作業者が搭乗する操縦部(5)を設けた作業車両において、
前記エンジン(E)と後輪(3)の間の伝達経路に、前記エンジン(E)の出力回転を増減速する無段変速装置(40)と変速ギヤボックス(42)を設け、前記操縦部(5)に、前記無段変速装置(40)の増減速を変更する主変速レバー(16)と、前記変速ギヤボックス(42)の増減速を変更する副変速レバー(17)と、前記主変速レバー(16)の操作姿勢と副変速レバー(17)の変速位置を測定するスイッチ(19)と、圃場毎に予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢と副変速レバー(17)の変速位置を保存するコントローラ(60)を設け、前記コントローラ(60)は、前記主変速レバー(16)が前側傾斜姿勢に操作された場合には無段変速装置(40)の増減速を大きくし、前記主変速レバー(16)が後側傾斜姿勢に操作された場合には無段変速装置(40)の増減速を小さくし、前記スイッチ(19)が短押された場合に、前記副変速レバー(17)の変速位置が予め設定された副変速レバー(17)の変速位置と一致し、且つ、前記主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢にある場合には、前記コントローラ(60)は、予め設定された前記副変速レバー(17)の変速位置に基づいて変速ギヤボックス(42)の増減速と、予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行い、前記副変速レバー(17)の変速位置が予め設定された副変速レバー(17)の変速位置と相違し、又は、前記主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも前側傾斜姿勢にある場合には、前記コントローラ(60)は、前記副変速レバー(17)の変速位置に基づいて変速ギヤボックス(42)の増減速と、前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行うことを特徴とする作業車両である。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記コントローラ(60)が、前記副変速レバー(17)の変速位置に基づいて変速ギヤボックス(42)の増減速を変更し、且つ、前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を変更中に、前記副変速レバー(17)の変速位置が予め設定された副変速レバー(17)の変速位置と一致し、且つ、前記主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢にある場合には、前記コントローラ(60)は、予め設定された前記副変速レバー(17)の変速位置に基づいて変速ギヤボックス(42)の増減速と、予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行う請求項4記載の作業車両である。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記スイッチ(19)が長押された場合に、予め設定された前記主変速レバー(16)の操作姿勢と副変速レバー(17)の変速位置を、前記スイッチ(19)の長押時の主変速レバー(16)の操作姿勢と副変速レバー(17)の変速位置に更新する請求項4又は5記載の作業車両である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、エンジン(E)と後輪(3)の間の伝達経路に、エンジン(E)の出力回転を増減速する無段変速装置(40)を設け、操縦部(5)に、無段変速装置(40)の増減速を変更する主変速レバー(16)と、主変速レバー(16)の操作姿勢を測定するスイッチ(19)と、圃場毎に予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢を保存するコントローラ(60)を設け、コントローラ(60)は、主変速レバー(16)が前側傾斜姿勢に操作された場合には無段変速装置(40)の増減速を大きくし、主変速レバー(16)が後側傾斜姿勢に操作された場合には無段変速装置(40)の増減速を小さくし、スイッチ(19)が短押された場合に、主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢にある場合には、コントローラ(60)は、予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行い、主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも前側傾斜姿勢にある場合には、コントローラ(60)は、主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行うので、予め設定された無段変速装置(40)の増減速に基づいてエンジン(E)の出力回転を増減速し、作業車両を圃場に好適な走行速度で走行させて圃場を均一に耕耘等することができる。また、無段変速装置(40)の増減速の減少による作業車両の急な走行速度の減速を防止して安全性の低下を抑制することができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、コントローラ(60)が、主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を変更中に、主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢になった場合には、コントローラ(60)は、予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行うので、作業車両を圃場に好適な走行速度で走行させて圃場をより均一に耕耘等することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明による効果に加えて、スイッチ(19)が長押された場合に、予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢を、スイッチ(19)の長押時の主変速レバー(16)の操作姿勢に更新するので、予め保存されている主変速レバー(16)の操作姿勢をより好適な主変速レバー(16)の操作姿勢に更新することができ、圃場の耕耘をさらに均一に耕耘等することができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、エンジン(E)と後輪(3)の間の伝達経路に、エンジン(E)の出力回転を増減速する無段変速装置(40)と変速ギヤボックス(42)を設け、操縦部(5)に、無段変速装置(40)の増減速を変更する主変速レバー(16)と、変速ギヤボックス(42)の増減速を変更する副変速レバー(17)と、主変速レバー(16)の操作姿勢と副変速レバー(17)の変速位置を測定するスイッチ(19)と、圃場毎に予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢と副変速レバー(17)の変速位置を保存するコントローラ(60)を設け、コントローラ(60)は、主変速レバー(16)が前側傾斜姿勢に操作された場合には無段変速装置(40)の増減速を大きくし、主変速レバー(16)が後側傾斜姿勢に操作された場合には無段変速装置(40)の増減速を小さくし、スイッチ(19)が短押された場合に、副変速レバー(17)の変速位置が予め設定された副変速レバー(17)の変速位置と一致し、且つ、主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢にある場合には、コントローラ(60)は、予め設定された副変速レバー(17)の変速位置に基づいて変速ギヤボックス(42)の増減速と、予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行い、副変速レバー(17)の変速位置が予め設定された副変速レバー(17)の変速位置と相違し、又は、主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも前側傾斜姿勢にある場合には、コントローラ(60)は、副変速レバー(17)の変速位置に基づいて変速ギヤボックス(42)の増減速と、主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行うので、予め設定された無段変速装置(40)の増減速と変速ギヤボックス(42)の増減速に基づいてエンジン(E)の出力回転を増減速し、作業車両を圃場に好適な走行速度で走行させて圃場を均一に耕耘等することができる。また、無段変速装置(40)等の増減速の減少による作業車両の急な走行速度の減速を防止して安全性の低下を抑制することができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、請求項4項に記載の発明による効果に加えて、コントローラ(60)が、副変速レバー(17)の変速位置に基づいて変速ギヤボックス(42)の増減速を変更し、且つ、主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を変更中に、副変速レバー(17)の変速位置が予め設定された副変速レバー(17)の変速位置と一致し、且つ、主変速レバー(16)の操作姿勢が予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢にある場合には、コントローラ(60)は、予め設定された副変速レバー(17)の変速位置に基づいて変速ギヤボックス(42)の増減速と、予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢に基づいて無段変速装置(40)の増減速を行うので、作業車両を圃場に好適な走行速度で走行させて圃場をより均一に耕耘等することができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、請求項4又は5記載の発明による効果に加えて、スイッチ(19)が長押された場合に、予め設定された主変速レバー(16)の操作姿勢と副変速レバー(17)の変速位置を、スイッチ(19)の長押時の主変速レバー(16)の操作姿勢と副変速レバー(17)の変速位置に更新するので、予め保存されている主変速レバー(16)の操作姿勢をより好適な主変速レバー(16)の操作姿勢に、予め保存されている副変速レバー(17)の変速位置をより好適な副変速レバー(17)の変速位置に更新することができ、圃場の耕耘をさらに均一に耕耘等することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】作業車両の左側面図である。
図2】操縦席の斜視図である。
図3】エンジンの出力回転の伝動図である。
図4】無段変速装置の断面図である。
図5】コントローラの接続図である
図6】こだわり作業の操作方法である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、トラクタ等の作業車両は、機体フレーム1の下側の前部に左右一対の前輪2が設けられ、機体フレーム1の下側の後部に左右一対の後輪3が設けられている。
【0020】
機体フレーム1の上側の前部にエンジンEを格納するボンネット4が設けられ、ボンネット4の後側に作業者が搭乗する操縦部5が設けられ、操縦部5の後方下側には、エンジンEの出力回転が伝動される前後方向に延在するPTO軸6が設けられ、PTO軸6の後部には、圃場に堆肥を散布するマニュアスプレッダ等の作業機7が連結されている。
【0021】
操縦部5の操縦席11の前側にはステアリングホイール12が設けられ、ステアリングホイール12を支持するステアリングシャフトを内装するステアリングコラム13の左下部には、クラッチペダル14が設けられている。また、後輪3の上側には後輪3を覆うフェンダ15が設けられている。
【0022】
図2に示すように、操縦席11の右側に位置するフェンダ15の前部にはエンジンEの出力回転の増減速する無段変速装置40のトラニオン軸(図示省略)を回動させる主変速レバー16が設けられ、操縦席11の左側に位置するフェンダ15の前部には無段変速装置40の出力回転を増減速する変速ギヤボックス42のギヤの切替えを行う副変速レバー17が設けられている。また、主変速レバー16の操作姿勢は、主変速レバー16の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサ16Aで測定され、副変速レバー17の変速位置は、副変速レバー17の基部に装着されたポテンションメータ等の角度センサ17Aで測定される。
【0023】
主変速レバー16の右側にはコントローラ60の記憶部62に保存された作業車両の走行条件等の設定値を格納したファイル64を選択等する選択ダイヤル18が設けられ、選択ダイヤル18の後側には角度センサ16Aと角度センサ17Aの測定値を読取等する読書きスイッチ(請求項の「スイッチ」)19が設けられ、読書きスイッチ19の右側にはファイル64に格納されている主変速レバー16の操作姿勢と副変速レバー17の変速位置に基づいて作業車両を走行等させるこだわりスイッチ20が設けられている。
【0024】
図3に示すように、エンジンEの出力回転は無段変速装置40の入力軸40Aに伝動される。入力軸40Aに伝動された出力回転は無段変速装置40で増減速され、無段変速装置40で増減速された出力回転は第1出力軸40Bと第2出力軸40Cから出力される。
【0025】
こだわりスイッチ20が入力されていない、すなわち、通常作業時の場合は、作業者が操作している主変速レバー16の操作姿勢に基づいてエンジンEの出力回転は無段変速装置40で増減速される。主変速レバー16を最も後側傾斜姿勢に操作した場合には、無段変速装置40の増速率は0%になり、主変速レバー16を後側傾斜姿勢から前側傾斜姿勢に操作するに従って無段変速装置40の増速率が大きくなり、主変速レバー16を最も前側傾斜姿勢に操作した場合には、無段変速装置40の増速率は100%になり、仮に、エンジンEの出力回転が1500rpsの場合には、無段変速装置40の出力回転は3000rpsに増速される。
【0026】
こだわりスイッチ20が入力されている、すなわち、こだわり作業時の場合は、読書きスイッチ19の短押時に角度センサ16Aで読取られた主変速レバー16の操作姿勢とファイル64に格納された主変速レバー16の操作姿勢を比較して、読取られた主変速レバー16の操作姿勢が、格納された主変速レバー16の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢の場合には、ファイル64に格納された主変速レバー16の操作姿勢に基づく無段変速装置40の増速率でエンジンEの出力回転は増速される。例えば、読取られた主変速レバー16の操作姿勢の無段変速装置40の増速率が20%で、格納された主変速レバー16の操作姿勢の無段変速装置40の増速率が30%の場合には、無段変速装置40の増速率は30%に設定される。これにより、予め設定した無段変速装置40の増速率に基づいてエンジンEの出力回転の増速を行い圃場の好適な走行速度で走行させて圃場を均一に耕耘等することができる。なお、選択ダイヤル18を用いて圃場毎に好適な無段変速装置40の増速率が格納されたファイル64の作成と読出しを行うことができる。
【0027】
一方、読取られた主変速レバー16の操作姿勢が、格納された主変速レバー16の操作姿勢よりも前側傾斜姿勢の場合には、読取られた主変速レバー16の操作姿勢に基づく無段変速装置40の増速率でエンジンEの出力回転は増速される。例えば、読取られた主変速レバー16の操作姿勢における無段変速装置40の増速率が50%で、格納された主変速レバー16の操作姿勢における無段変速装置40の増速率が30%の場合には、無段変速装置40の増速率は50%に設定される。これにより、無段変速装置40の増速率の減少による急な走行速度の減速を防止して安全性の低下を抑制することができる。
【0028】
この場合、作業者が操作している主変速レバー16の操作姿勢が格納された主変速レバー16の操作姿勢よりも引き続いて前側傾斜姿勢している場合には、作業者が操作している主変速レバー16の操作姿勢に基づいて無段変速装置40の増速率が設定され、作業者が操作している主変速レバー16の操作姿勢が格納された主変速レバー16の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢した場合には、ファイル64に格納された主変速レバー16の操作姿勢に基づいて無段変速装置40の増速率が設定される。
【0029】
第1出力軸40Bの出力回転はクラッチ41を介して変速ギヤボックス42の入力軸に伝動される。クラッチ41の接続と接続解除はクラッチペダル14の踏込みによって切替えられる。無段変速装置40の出力回転は変速ギヤボックス42で増減速されて変速ギヤボックス42の出力軸から出力される。なお、クラッチ41の接続が解除された場合には、ファイル64に格納された主変速レバー16の操作姿勢を後側傾斜姿勢に変更するのが好ましい。これにより、クラッチ41が再び接続された場合に、無段変速装置40の増速率の増大による急な走行速度の加速を防止して安全性の低下を抑制することができる。
【0030】
こだわりスイッチ20が入力されていない、すなわち、通常作業時の場合は、副変速レバー17の変速位置に応じて無段変速装置40の出力回転は変速ギヤボックス42で増減速される。副変速レバー17を1速に操作した場合には、変速ギヤボックス42の増速率は0%になり、副変速レバー17を1速から3速に操作するに従って変速ギヤボックス42の増速率が大きくなり、副変速レバー17を3速に操作した場合には、変速ギヤボックス42の増速率は20%になり、仮に、無段変速装置40の出力回転は3000rpsの場合には、変速ギヤボックス42の出力回転は3600rpsに増速される。
【0031】
こだわりスイッチ20が入力されている、すなわち、こだわり作業時の場合は、読書きスイッチ19の短押時に角度センサ17Aで読取られた副変速レバー17の変速位置とファイル64に格納された副変速レバー17の変速位置を比較して、読取られた副変速レバー17の変速位置と格納された副変速レバー17の変速位置が一致している場合には、読書きスイッチ19の短押時に角度センサ16Aで読取られた主変速レバー16の操作姿勢とファイル64に格納された主変速レバー16の操作姿勢を比較する。
【0032】
読取られた主変速レバー16の操作姿勢が、格納された主変速レバー16の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢の場合には、ファイル64に格納された主変速レバー16の操作姿勢に基づく無段変速装置40の増速率でエンジンEの出力回転は増速される。例えば、読取られた主変速レバー16の操作姿勢の無段変速装置40の増速率が20%で、格納された主変速レバー16の操作姿勢の無段変速装置40の増速率が30%の場合には、無段変速装置40の増速率は30%に設定される。これにより、予め設定した無段変速装置40の増速率に基づいてエンジンEの出力回転の増速を行い、また、予め設定した変速ギヤボックス42の変速位置で無段変速装置40の出力回転の増減速を行って圃場の好適な走行速度で走行させて圃場を均一に耕耘等することができる。
【0033】
一方、読取られた主変速レバー16の操作姿勢が、格納された主変速レバー16の操作姿勢よりも前側傾斜姿勢の場合には、読取られた主変速レバー16の操作姿勢に基づく無段変速装置40の増速率でエンジンEの出力回転は増速される。例えば、読取られた主変速レバー16の操作姿勢における無段変速装置40の増速率が50%で、格納された主変速レバー16の操作姿勢における無段変速装置40の増速率が30%の場合には、無段変速装置40の増速率は50%に設定される。これにより、無段変速装置40の増速率の減少による急な走行速度の減速を防止して安全性の低下を抑制することができる。
【0034】
この場合、作業者が操作している主変速レバー16の操作姿勢が格納された主変速レバー16の操作姿勢よりも引き続いて前側傾斜姿勢している場合には、作業者が操作している主変速レバー16の操作姿勢に基づいて無段変速装置40の増速率が設定され、作業者が操作している主変速レバー16の操作姿勢が格納された主変速レバー16の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢した場合には、ファイル64に格納された主変速レバー16の操作姿勢に基づいて無段変速装置40の増速率が設定される。
【0035】
読書きスイッチ19の短押時に角度センサ17Aで読取られた副変速レバー17の変速位置とファイル64に格納された副変速レバー17の変速位置を比較して、読取られた副変速レバー17の変速位置と格納された副変速レバー17の変速位置が一致していない場合には、読取られた主変速レバー16の操作姿勢に基づいて無段変速装置40の増速率が設定され、副変速レバー17の変速位置に基づいて変速ギヤボックス42のギヤの切替えが行われる。これにより、作業者の意思に反してこだわり作業が開始されるのを防止して安全性の低下を抑制することができる。
【0036】
この場合、作業者が操作している主変速レバー16の操作姿勢に基づいて引続いて無段変速装置40の増速率が設定され、作業者が操作している副変速レバー17の変速位置に基づいて引続いて変速ギヤボックス42のギヤの切替えが行われ、作業者が操作している副変速レバー17の変速位置が格納された副変速レバー17の変速位置に一致した場合には、作業者が操作している主変速レバー16の操作姿勢とファイル64に格納された主変速レバー16の操作姿勢が比較される。
【0037】
変速ギヤボックス42の出力軸の出力回転はベベルギヤを介して後輪用のディファレンシャルギヤ43の入力軸と、ギヤを介して回転軸46に伝動される。ディファレンシャルギヤ43で増減速された出力回転は左右のドライブシャフト44に出力され、ドライブシャフト44の出力回転は左右一対のホイールを介して左右一対の後輪3に伝動される。
【0038】
回転軸46の出力回転は4輪駆動用のクラッチ47を介して前輪用のディファレンシャルギヤ48の入力軸に伝動される。クラッチ47の接続と接続解除はフェンダに設けられた4輪駆動レバー(図示省略)の操作によって切替えられる。ディファレンシャルギヤ48で増減速された出力回転は左右のドライブシャフト49に出力され、左右のドライブシャフト49の出力回転は、左右一対のホイールを介して左右一対の前輪2に伝動される。
【0039】
第2出力軸40Cの出力回転はPTO用のクラッチ50を介してPTO変速ギヤボックス51の入力軸に伝動される。クラッチ50の接続と接続解除は操縦部5に設けられたクラッチレバー(図示省略)の操作によって切替えられる。PTO変速ギヤボックス51で増減速や出力回転方向の切替えがされた出力回転は出力軸から出力される。
【0040】
PTO変速ギヤボックス51の出力軸の出力回転は回転軸52に伝動され、回転軸52の出力回転はギヤを介してPTO軸6に伝動される。
【0041】
図4に示すように、無段変速装置40にはポンプ室55とモータ室56が形成され、ポンプ室55には可変容量型の油圧ポンプ55Aと斜板55Bが設けられ、モータ室56には固定容量型の油圧モータ56Aと斜板56Bが設けられている。
【0042】
主変速レバー16が後側傾斜姿勢から前側傾斜姿勢に操作されるとトラニオン軸が回動して斜板55Bの傾斜角度が大きくなって油圧ポンプ55Aの容量が増加して油圧モータ56Aの出力回転を増速することができる。なお、本明細書では斜板55Bの傾斜角度は、斜板55Bが入力軸40Aに直交する姿勢から斜板55Bが前側に傾斜した角度をいう。
【0043】
一方、主変速レバー16を前側傾斜姿勢から後側傾斜姿勢に操作されるとトラニオン軸が回動して斜板55Bの傾斜角度が小さくなって油圧ポンプ55Aの容量が減少して油圧モータ56Aの出力回転を減速し、主変速レバー16を後端部に移動させると斜板55Bが入力軸40Aに直交して油圧ポンプ55Aの容量がゼロになり油圧モータ56Aの出力回転が停止する。
【0044】
図5に示すように、コントローラ60は、CPU等からなる処理部61と、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等からなる記憶部62と、外部とのデータ通信用の通信部63から形成されている。
【0045】
処理部61は、選択ダイヤル18により選択されたファイル64に格納された主変速レバー16の操作姿勢や副変速レバー17の変速位置と、読書きスイッチ19が短押しされた時の主変速レバー16の操作姿勢や副変速レバー17の変速位置を比較等する。
【0046】
記憶部62は、圃場毎に予め設定された主変速レバー16の操作姿勢や副変速レバー17の変速位置を格納したファイル64を保存する。
【0047】
通信部63は、携帯用コントローラ(図示省略)と送受信を行う。
【0048】
コントローラ60の入力側には、走行用のクラッチ41とPTO用のクラッチ50の接続と接続解除を行うクラッチペダル14と、主変速レバー16の操作姿勢を測定する角度センサ16Aと、副変速レバー17の変速位置を測定する角度センサ17Aと、圃場毎に対応するファイル64を選択する選択ダイヤル18と、角度センサ16A等の測定値の読込みや角度センサ16A等の測定値をファイル64に書込む読書きスイッチ19と、ファイル64に格納された主変速レバー16等の操作姿勢に基づいて無段変速装置40等を駆動するこだわりスイッチ20が所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。
【0049】
コントローラ60の出力側には、無段変速装置40と、走行用のクラッチ41と、変速ギヤボックス42と、PTO用のクラッチ50が所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
【0050】
<こだわり作業の操作方法>
図6に示すように、作業者が主変速レバー16や副変速レバー17を操作して無段変速装置40の増速率や変速ギヤボックス42のギヤの切替え行う通常作業時に、ステップS1で、コントローラ60の処理部61は、こだわりスイッチ20が入力されたか否かを判断する。こだわりスイッチ20が入力されていないと判断した場合にはステップS2に進み、こだわりスイッチ20が入力されていると判断した場合にはステップS7に進む。
【0051】
ステップS2で、処理部61は、読書きスイッチ19が約2秒以上に亘って長押されているか否か判断する。読書きスイッチ19が長押されていると判断した場合には、ステップS3に進み、読書きスイッチ19が長押されていないと判断した場合にはステップS4に進む。
【0052】
ステップS3で、処理部61は、角度センサ16Aの測定値を読込み、読込んだ測定値に基づいて主変速レバー16の操作姿勢を算出し、コントローラ60の記憶部62に予め保存されている主変速レバー16の操作姿勢を新たに算出した主変速レバー16の操作姿勢に変更してステップS4に進む。これにより、予め保存されている主変速レバー16の操作姿勢をより好適な主変速レバー16の操作姿勢に変更することができ、圃場の耕耘をより均一に行うことができる。なお、本実施形態においては、予め保存されている主変速レバー16の操作姿勢は、副変速レバー17の変速位置である1~3速と関連付けて保存されている。
【0053】
ステップS4で、処理部61は、角度センサ16Aの測定値を読込み、読込んだ測定値に基づいて主変速レバー16の操作姿勢を算出し、算出した主変速レバー16の操作姿勢とコントローラ60の記憶部62に保存されている主変速レバー16の操作姿勢を比較する。算出した主変速レバー16の操作姿勢がコントローラ60の記憶部62に保存されている主変速レバー16の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢の場合にはステップS5に進み、算出した主変速レバー16の操作姿勢がコントローラ60の記憶部62に保存されている主変速レバー16の操作姿勢よりも前側傾斜姿勢の場合にはステップS1に戻る。これにより、無段変速装置40の出力回転の増速率の減少による急な走行速度の減速を防止して安全性の低下を抑制することができる。
【0054】
ステップS5で、処理部61は、主変速レバー16の操作姿勢に関わらず記憶部62に保存されている主変速レバー16の操作姿勢に基づいて無段変速装置40のトラニオン軸を回動させてステップS6に進む。これにより、圃場に最適な無段変速装置40の増速率で耕耘作業等を行うことができ、圃場の耕耘をさらに均一に行うことができる。
【0055】
ステップS6で、処理部61は、副変速レバー17の操作や読書きスイッチ19の長押又は短押の操作がされたか否か判断する。副変速レバー17と読書きスイッチ19の操作がされていないと判断した場合にはステップS5に戻り、副変速レバー17又は読書きスイッチ19の操作がされていると判断した場合にはステップS1に戻る。
【0056】
ステップS7で、処理部61は、選択ダイヤル18で選択されたファイル64を読出してステップS8に進む。
【0057】
ステップS8で、処理部61は、読書きスイッチ19が約2秒以上に亘って長押されているか否か判断する。読書きスイッチ19が長押されていると判断した場合には、ステップS9に進み、読書きスイッチ19が長押されていないと判断した場合にはステップS10に進む。
【0058】
ステップS9で、処理部61は、角度センサ16Aの測定値と角度センサ17Aの測定値を読込み、読込んだ測定値に基づいて主変速レバー16の操作姿勢と副変速レバー17の変速位置を算出し、選択されたファイル64に格納されている主変速レバー16の操作姿勢と副変速レバー17の変速位置を新たに算出した主変速レバー16の操作姿勢と副変速レバー17の変速位置に変更してステップS10に進む。これにより、予め保存されている主変速レバー16の操作姿勢と副変速レバー17の変速位置をより好適な主変速レバー16の操作姿勢と副変速レバー17の変速位置に変更することができ、圃場の耕耘をより均一に行うことができる。
【0059】
ステップS10で、処理部61は、角度センサ17Aの測定値を読込み、読込んだ測定値に基づいて副変速レバー17の変速位置を算出し、算出した副変速レバー17の変速位置と選択されたファイル64に格納されている副変速レバー17の変速位置を比較する。算出された副変速レバー17の変速位置と選択されたファイル64に格納された副変速レバー17の変速位置が一致している場合には、ステップS11に進み、算出された副変速レバー17の変速位置と選択されたファイル64に格納された副変速レバー17の変速位置が一致していない場合にはステップS1に戻る
【0060】
ステップS11で、処理部61は、角度センサ16Aの測定値を読込み、読込んだ測定値に基づいて主変速レバー16の操作姿勢を算出し、算出した主変速レバー16の操作姿勢とコントローラ60の記憶部62に保存されている主変速レバー16の操作姿勢を比較する。算出した主変速レバー16の操作姿勢がコントローラ60の記憶部62に保存されている主変速レバー16の操作姿勢よりも後側傾斜姿勢の場合にはステップS12に進み、算出した主変速レバー16の操作姿勢がコントローラ60の記憶部62に保存されている主変速レバー16の操作姿勢よりも前側傾斜姿勢の場合にはステップS1に戻る。これにより、無段変速装置40の出力回転の増速率の減少による急な走行速度の減速を防止して安全性の低下を抑制することができる。
【0061】
ステップS12で、処理部61は、主変速レバー16の操作姿勢に関わらず記憶部62に保存されている主変速レバー16の操作姿勢に基づいて無段変速装置40のトラニオン軸を回動させてステップS13に進む。これにより、圃場に最適な無段変速装置40の増速率で耕耘作業等を行うことができ、圃場の耕耘をさらに均一に行うことができる。
【0062】
ステップS13で、処理部61は、副変速レバー17の操作や選択ダイヤル18の操作、読書きスイッチ19の長押又は短押の操作がされたか否か判断する。副変速レバー17、選択ダイヤル18、及び読書きスイッチ19の操作がされていないと判断した場合にはステップS12に戻り、副変速レバー17や選択ダイヤル18、読書きスイッチ19の何れかが操作がされていると判断した場合にはステップS1に戻る。
【符号の説明】
【0063】
1 機体フレーム
2 前輪
3 後輪
5 操縦部
16 主変速レバー
17 副変速レバー
19 読書きスイッチ(スイッチ)
40 無段変速装置
42 変速ギヤボックス
60 コントローラ
E エンジン
図1
図2
図3
図4
図5
図6