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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120565
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/68 20060101AFI20240829BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A01D34/68 K
A01D34/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027436
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 龍太郎
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA12
2B083BA18
2B083CA28
2B083DA03
2B083FA11
2B083FA17
2B083GA02
2B083HA19
2B083HA21
(57)【要約】
【課題】作業者に集草容器内の枯草の貯留量を視認させて、作業車両の排出箇所への引き返しを抑制して刈取作業の効率が高い作業車両を提供する。
【解決手段】集草容器(8)の前側に、後輪(3)を駆動する第1電動機(30)と作業機(4)を駆動する第2電動機(40)を設け、ボンネット部(5)に、第1電動機(30)と第2電動機(40)に高電圧の電力を供給するバッテリ(50)を設け、操縦部(6)の前部に、集草容器(8)内の雑草の貯留量を表示するメータパネル(94)を設け、メータパネル(94)を、容器(95)と表示部(96)で形成し、集草容器(8)の雑草が外部に排出された後、作業機(4)が駆動した経過時間(TA)が、予め設定された集草容器(8)が雑草で満杯になる満杯時間(T)に近づくにつれて表示部(96)の点灯箇所を多くする。
【選択図】図28
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(1)の前部に左右一対の前輪(2)を設け、該走行車体(1)の後部に左右一対の後輪(3)を設け、前記前輪(2)と後輪(3)の間に雑草を刈取る作業機(4)を設け、前記走行車体(1)の前部に所定の空間を有するボンネット部(5)を設け、該ボンネット部(5)の後側に操縦者が搭乗する操縦部(6)を設け、該操縦部(6)の後側に刈取られた雑草を貯留する集草容器(8)を設けた作業車両において、
前記集草容器(8)の前側に、前記後輪(3)を駆動する第1電動機(30)と作業機(4)を駆動する第2電動機(40)を設け、
前記ボンネット部(5)に、前記第1電動機(30)と第2電動機(40)に高電圧の電力を供給するバッテリ(50)を設け、
前記操縦部(6)の前部に、前記集草容器(8)内の雑草の貯留量を表示するメータパネル(94)を設け、
該メータパネル(94)を、容器(95)と表示部(96)で形成し、
前記集草容器(8)の雑草が外部に排出された後、前記作業機(4)が駆動した経過時間(TA)が、予め設定された前記集草容器(8)が雑草で満杯になる満杯時間(T)に近づくにつれて表示部(96)の点灯箇所を多くすることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記経過時間(TA)が満杯時間(T)以上になった場合には、前記表示部(96)の全域を点灯させる請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
前記集草容器(8)の上部にセンサ(91)を設け、
前記経過時間(TA)が満杯時間(T)以上になり、且つ、前記センサ(91)が集草容器(8)の上部まで雑草が貯留されたことを検出した場合には、前記表示部(96)の全域を点灯させる請求項1記載の作業車両。
【請求項4】
前記容器(95)を集草容器(8)の左右方向の縦断面図にした請求項1記載の作業車両。
【請求項5】
前記第2電動機(40)に加わる負荷が所定の範囲以上になった場合には、前記経過時間(TA)に予め設定した増減時間(TB)を加算し、
前記第2電動機(40)に加わる負荷が所定の範囲以下になった場合には、前記経過時間(TA)から増減時間(TB)を減算した請求項1~4のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項6】
前記表示部(96)を第1~第4表示部(96A~96D)で形成し、
前記経過時間(TA)が満杯時間(T)の25%以上になった場合には第1表示部(96A)を点灯させ、
前記経過時間(TA)が満杯時間(T)の50%以上になった場合には第1と第2表示部(96A,96B)を点灯させ、
前記経過時間(TA)が満杯時間(T)の75%以上になった場合には第1~第3表示部(96A~96C)を点灯させ、
前記経過時間(TA)が満杯時間(T)以上になった場合には第1~第4表示部(96A~96D)を点灯させる請求項5記載の作業車両。
【請求項7】
前記走行車体(1)の左部に前後方向に所定の間隔を隔てて左支持部材(12L,13L)を設け、
前記走行車体(1)の右部に前後方向に所定の間隔を隔てて右支持部材(12R,13R)を設け、
前記バッテリ(50)に外嵌されたブラケット(52)の左前後フレーム(52L)に前後方向に所定の間隔を隔てて左防振部材(53L)を設け、
前記ブラケット(52)の右前後フレーム(52R)に前後方向に所定の間隔を隔てて右防振部材(53R)を設け、
正面視において、前記左支持部材(12L,13L)の連結部と左前後フレーム(52L)の連結部を左上がり傾斜に形成し、前記右支持部材(12R,13R)の連結部と右前後フレーム(52R)の連結部を右上がり傾斜に形成した請求項1記載の作業車両。
【請求項8】
正面視において、前記左支持部材(12L,13L)の連結部と左前後フレーム(52L)の連結部の傾斜面を、前記左防振部材(53L)の中心と前輪(2)の左前輪(2L)の中心を結ぶ第1仮想線(54L)と直交させて形成し、前記右支持部材(12R,13R)の連結部と右前後フレーム(52R)の連結部の傾斜面を、前記右防振部材(53R)の中心と前輪(2)の右前輪(2R)の中心をとおる第2仮想線(54R)と直交させて形成した請求項7記載の作業車両。
【請求項9】
前記走行車体(1)を前後方向に延在する走行車体本体(10)と、前記操縦部(6)のステアリングシャフト(63)を支持する上下方向に延在するステアリングポスト(11)で形成し、
前記バッテリ(50)の外周部に沿って逆U字形状の上下保護フレーム(26)と、前記操縦部(6)の操縦席(60)の後側に逆U字形状の安全フレーム(7)を設け、
側面視において、前記上下保護フレーム(26)の頂部と安全フレーム(7)の連結部(7A)の基部を結ぶ第3仮想線(28)を、前記ステアリングホイール(62)の上側に延在させた請求項1記載の作業車両。
【請求項10】
前記上下保護フレーム(26)の上下方向の中間部に後方に延在する前後保護フレーム(27)を設け、該前後保護フレーム(27)の後部をステアリングポスト(11)に連結した請求項9記載の作業車両。
【請求項11】
前記ステアリングポスト(11)の下部に左右方向に所定の間隔を隔てて緩衝部材(15)を設け、
前記バッテリ(50)の左バッテリ(50L)と右バッテリ(50R)の後面に、前記緩衝部材(15)の先端部をそれぞれ押当てた請求項10記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝等の枯草を刈取る作業機と刈取った枯草を貯留する集草容器を備える作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、集草容器の下部に、集草容器に貯留された枯草の重量を測定するセンサを設け、センサの測定値が所定以上になった場合には集草容器を回動させて枯草を外部に排出する技術が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-348653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の手段では、集草容器内の枯草の貯留量が不明なために、園内に設けられた排出箇所を通り過ぎた後に、センサの測定値が所定以上になった場合には、作業車両を排出箇所に引き返す必要があるので刈取作業の効率が低下する恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、作業者に集草容器内の枯草の貯留量を視認させて、作業車両の排出箇所への引き返しを抑制して刈取作業の効率が高い作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、走行車体(1)の前部に左右一対の前輪(2)を設け、該走行車体(1)の後部に左右一対の後輪(3)を設け、前記前輪(2)と後輪(3)の間に雑草を刈取る作業機(4)を設け、前記走行車体(1)の前部に所定の空間を有するボンネット部(5)を設け、該ボンネット部(5)の後側に操縦者が搭乗する操縦部(6)を設け、該操縦部(6)の後側に刈取られた雑草を貯留する集草容器(8)を設けた作業車両において、
前記集草容器(8)の前側に、前記後輪(3)を駆動する第1電動機(30)と作業機(4)を駆動する第2電動機(40)を設け、前記ボンネット部(5)に、前記第1電動機(30)と第2電動機(40)に高電圧の電力を供給するバッテリ(50)を設け、前記操縦部(6)の前部に、前記集草容器(8)内の雑草の貯留量を表示するメータパネル(94)を設け、該メータパネル(94)を、容器(95)と表示部(96)で形成し、 前記集草容器(8)の雑草が外部に排出された後、前記作業機(4)が駆動した経過時間(TA)が、予め設定された前記集草容器(8)が雑草で満杯になる満杯時間(T)に近づくにつれて表示部(96)の点灯箇所を多くすることを特徴とする作業車両である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記経過時間(TA)が満杯時間(T)以上になった場合には、前記表示部(96)の全域を点灯させる請求項1記載の作業車両である。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記集草容器(8)の上部にセンサ(91)を設け、前記経過時間(TA)が満杯時間(T)以上になり、且つ、前記センサ(91)が集草容器(8)の上部まで雑草が貯留されたことを検出した場合には、前記表示部(96)の全域を点灯させる請求項1記載の作業車両である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記容器(95)を集草容器(8)の左右方向の縦断面図にした請求項1記載の作業車両である。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記第2電動機(40)に加わる負荷が所定の範囲以上になった場合には、前記経過時間(TA)に予め設定した増減時間(TB)を加算し、前記第2電動機(40)に加わる負荷が所定の範囲以下になった場合には、前記経過時間(TA)から増減時間(TB)を減算した請求項1~4のいずれか1項に記載の作業車両である。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記表示部(96)を第1~第4表示部(96A~96D)で形成し、前記経過時間(TA)が満杯時間(T)の25%以上になった場合には第1表示部(96A)を点灯させ、前記経過時間(TA)が満杯時間(T)の50%以上になった場合には第1と第2表示部(96A,96B)を点灯させ、前記経過時間(TA)が満杯時間(T)の75%以上になった場合には第1~第3表示部(96A~96C)を点灯させ、前記経過時間(TA)が満杯時間(T)以上になった場合には第1~第4表示部(96A~96D)を点灯させる請求項5記載の作業車両である。
【0012】
請求項7記載の発明は、前記走行車体(1)の左部に前後方向に所定の間隔を隔てて左支持部材(12L,13L)を設け、前記走行車体(1)の右部に前後方向に所定の間隔を隔てて右支持部材(12R,13R)を設け、前記バッテリ(50)に外嵌されたブラケット(52)の左前後フレーム(52L)に前後方向に所定の間隔を隔てて左防振部材(53L)を設け、前記ブラケット(52)の右前後フレーム(52R)に前後方向に所定の間隔を隔てて右防振部材(53R)を設け、正面視において、前記左支持部材(12L,13L)の連結部と左前後フレーム(52L)の連結部を左上がり傾斜に形成し、前記右支持部材(12R,13R)の連結部と右前後フレーム(52R)の連結部を右上がり傾斜に形成した請求項1記載の作業車両である。
【0013】
請求項8記載の発明は、正面視において、前記左支持部材(12L,13L)の連結部と左前後フレーム(52L)の連結部の傾斜面を、前記左防振部材(53L)の中心と前輪(2)の左前輪(2L)の中心を結ぶ第1仮想線(54L)と直交させて形成し、前記右支持部材(12R,13R)の連結部と右前後フレーム(52R)の連結部の傾斜面を、前記右防振部材(53R)の中心と前輪(2)の右前輪(2R)の中心をとおる第2仮想線(54R)と直交させて形成した請求項7記載の作業車両である。
【0014】
請求項9記載の発明は、前記走行車体(1)を前後方向に延在する走行車体本体(10)と、前記操縦部(6)のステアリングシャフト(63)を支持する上下方向に延在するステアリングポスト(11)で形成し、前記バッテリ(50)の外周部に沿って逆U字形状の上下保護フレーム(26)と、前記操縦部(6)の操縦席(60)の後側に逆U字形状の安全フレーム(7)を設け、側面視において、前記上下保護フレーム(26)の頂部と安全フレーム(7)の連結部(7A)の基部を結ぶ第3仮想線(28)を、前記ステアリングホイール(62)の上側に延在させた請求項1記載の作業車両である。
【0015】
請求項10記載の発明は、前記上下保護フレーム(26)の上下方向の中間部に後方に延在する前後保護フレーム(27)を設け、該前後保護フレーム(27)の後部をステアリングポスト(11)に連結した請求項9記載の作業車両である。
【0016】
請求項11記載の発明は、前記ステアリングポスト(11)の下部に左右方向に所定の間隔を隔てて緩衝部材(15)を設け、前記バッテリ(50)の左バッテリ(50L)と右バッテリ(50R)の後面に、前記緩衝部材(15)の先端部をそれぞれ押当てた請求項10記載の作業車両である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、集草容器(8)の前側に、後輪(3)を駆動する第1電動機(30)と作業機(4)を駆動する第2電動機(40)を設け、ボンネット部(5)に、第1電動機(30)と第2電動機(40)に高電圧の電力を供給するバッテリ(50)を設け、操縦部(6)の前部に、集草容器(8)内の雑草の貯留量を表示するメータパネル(94)を設け、メータパネル(94)を、容器(95)と表示部(96)で形成し、集草容器(8)の雑草が外部に排出された後、作業機(4)が駆動した経過時間(TA)が、予め設定された集草容器(8)が雑草で満杯になる満杯時間(T)に近づくにつれて表示部(96)の点灯箇所を多くするので、操縦部(6)に搭乗した作業者が、集草容器(8)内の雑草の貯留量を視認して、作業車両の排出箇所への引き返しを抑制して刈取作業の効率を高めることができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、経過時間(TA)が満杯時間(T)以上になった場合には、表示部(96)の全域を点灯させるので、作業者が、集草容器(8)内の雑草が満杯になったことを容易に視認することができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、集草容器(8)の上部にセンサ(91)を設け、経過時間(TA)が満杯時間(T)以上になり、且つ、センサ(91)が集草容器(8)の上部まで雑草が貯留されたことを検出した場合には、表示部(96)の全域を点灯させるので、作業者が、集草容器(8)内の雑草が満杯になったことを容易に視認することができ、また、雑草の植立状態に係わらず集草容器(8)内の雑草が満杯になったことを正確に表示することができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、容器(95)を集草容器(8)の左右方向の縦断面図にしたので、作業者が、集草容器(8)内の雑草の貯留量を視認して、雑草の貯留量を容易にイメージすることができる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、請求項1~4のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、第2電動機(40)に加わる負荷が所定の範囲以上になった場合には、経過時間(TA)に予め設定した増減時間(TB)を加算し、第2電動機(40)に加わる負荷が所定の範囲以下になった場合には、経過時間(TA)から増減時間(TB)を減算したので、植立された雑草の密集度に基づいて集草容器(8)内の雑草の貯留量をより正確に表示することができる。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明による効果に加えて、表示部(96)を第1~第4表示部(96A~96D)で形成し、経過時間(TA)が満杯時間(T)の25%以上になった場合には第1表示部(96A)を点灯させ、経過時間(TA)が満杯時間(T)の50%以上になった場合には第1と第2表示部(96A,96B)を点灯させ、経過時間(TA)が満杯時間(T)の75%以上になった場合には第1~第3表示部(96A~96C)を点灯させ、経過時間(TA)が満杯時間(T)以上になった場合には第1~第4表示部(96A~96D)を点灯させるので、作業者が、集草容器(8)内の雑草の貯留量を視認して、雑草の貯留量をより容易にイメージすることができる。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、走行車体(1)の左部に前後方向に所定の間隔を隔てて左支持部材(12L,13L)を設け、走行車体(1)の右部に前後方向に所定の間隔を隔てて右支持部材(12R,13R)を設け、バッテリ(50)に外嵌されたブラケット(52)の左前後フレーム(52L)に前後方向に所定の間隔を隔てて左防振部材(53L)を設け、ブラケット(52)の右前後フレーム(52R)に前後方向に所定の間隔を隔てて右防振部材(53R)を設け、正面視において、左支持部材(12L,13L)の連結部と左前後フレーム(52L)の連結部を左上がり傾斜に形成し、右支持部材(12R,13R)の連結部と右前後フレーム(52R)の連結部を右上がり傾斜に形成したので、走行時に発生する走行車体(1)の大きな左右方向の振動によるバッテリ(50)の破損をより抑制することができる。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明による効果に加えて、正面視において、左支持部材(12L,13L)の連結部と左前後フレーム(52L)の連結部の傾斜面を、左防振部材(53L)の中心と前輪(2)の左前輪(2L)の中心を結ぶ第1仮想線(54L)と直交させて形成し、右支持部材(12R,13R)の連結部と右前後フレーム(52R)の連結部の傾斜面を、右防振部材(53R)の中心と前輪(2)の右前輪(2R)の中心をとおる第2仮想線(54R)と直交させて形成したので、左前輪(2L)と右前輪(2R)を介して走行面の凹凸に起因する大きな振動を抑制して、バッテリ(50)の破損をさらに抑制することができる。
【0025】
請求項9記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、走行車体(1)を前後方向に延在する走行車体本体(10)と、操縦部(6)のステアリングシャフト(63)を支持する上下方向に延在するステアリングポスト(11)で形成し、バッテリ(50)の外周部に沿って逆U字形状の上下保護フレーム(26)と、操縦部(6)の操縦席(60)の後側に逆U字形状の安全フレーム(7)を設け、側面視において、上下保護フレーム(26)の頂部と安全フレーム(7)の連結部(7A)の基部を結ぶ第3仮想線(28)を、ステアリングホイール(62)の上側に延在させたので、第3仮想線(28)の下側に大きな保護空間を形成して、作業車両の走行時に操縦席(60)に着席した操縦者が外部の木の枝等に衝突するのを抑制して作業安全性を高めることができる。
【0026】
請求項10記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、上下保護フレーム(26)の上下方向の中間部に後方に延在する前後保護フレーム(27)を設け、該前後保護フレーム(27)の後部をステアリングポスト(11)に連結したので、上下保護フレーム(26)と前後保護フレーム(27)の剛性を高めて転倒時等の変形を抑制することができる。
【0027】
請求項11記載の発明によれば、請求項10記載の発明による効果に加えて、ステアリングポスト(11)の下部に左右方向に所定の間隔を隔てて緩衝部材(15)を設け、バッテリ(50)の左バッテリ(50L)と右バッテリ(50R)の後面に、緩衝部材(15)の先端部をそれぞれ押当てたので、作業車両の急な発進時にバッテリ(50)の左バッテリ(50L)と右バッテリ(50R)が後方に移動するのを防止して左バッテリ(50L)と右バッテリ(50R)が周辺部材に衝突して破損するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】作業車両の左側面図である。
図2】ボンネットカバーを開放姿勢にした作業車両の左側面図である。
図3】作業車両の一部を破断した要部の斜視図である。
図4】作業車両の背面図である。
図5】後輪と作業機の要部の平面図である。
図6】後輪と作業機の要部の左側面図である。
図7】後輪用の電動機と作業機用の電動機の左側面図である。
図8】作業機の刈刃の回転速度の増減速を行う変速レバーの斜視図である。
図9】走行車体の斜視図である。
図10】ステアリングポストの斜視図である。
図11】バッテリとステアリングポストの斜視図である。
図12】ボンネットカバーと操縦席を除いた作業車両の平面図である。
図13】バッテリとバッテリブラケットの斜視図である。
図14】バッテリブラケットの斜視図である。
図15】前輪と、バッテリと、バッテリブラケットの正面図である。
図16】保護フレームの斜視図である。
図17】保護フレームと安全フレームで形成される保護空間の説明図である。
図18】電装部品の斜視図である。
図19】電装部品の左側面図である。
図20】蓋部を取った筐体の斜視図である。
図21】蓋部を取った筐体の平面図である。
図22】本体部の前後方向の縦断面である。
図23】電装ボックスと電動機の斜視図である。
図24】ボンネット部に設けられた作業車両用のコントローラの右側面図である。
図25】集草容器の説明図である。
図26】モニタに表示される雑草の貯留量の説明図であり、(a)は0%、(b)は25%、(c)は50%、(d)は75%、(e)は100%の貯留量を示している。
図27】コントローラの接続図である。
図28】表示部の点灯方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に示すように、乗用芝刈り機等の作業車両の走行車体1の前部に左右一対の前輪2が設けられ、走行車体1の後部に左右一対の後輪3が設けられ、走行車体1の下側における前輪2と後輪3の間に雑草を刈取る作業機4が設けられている。また、走行車体1の上側の前部にボンネット部5が設けられ、ボンネット部5の後側には作業者が搭乗する操縦部6が設けられ、操縦部6の後側には作業者を保護する安全フレーム(ロプス)7が設けられ、安全フレーム7の下部には作業機4で刈取られた雑草を貯留する集草容器8が設けられている。
【0030】
図2,3に示すように、ボンネット部5には、後輪3を駆動する電動機(請求項の「第1電動機」)30と作業機4を駆動する電動機(請求項の「第2電動機」)40に供給する電力を蓄電するバッテリ50が設けられ、バッテリ50はボンネットカバー5Aで覆われている。なお、ボンネットカバー5Aは、走行車体1の前部に設けられた左右方向に延在する支軸(図示省略)に支持されている。これにより、ボンネット部5に形成される空間を有効に活用することができ、また、作業車両の前後方向の重量バランスの相違を抑制することができる。
【0031】
操縦部6の後部には、操縦席60が設けられ、操縦席60の前方にはステアリングホイール62が設けられている。ステアリングホイール62は上下方向に延在するステアリングシャフト63の上部に支持され、ステアリングシャフト63はステアリングポスト11に支持されている。
【0032】
操縦席60の左側の左フェンダ64Lには、作業機4によって刈取られた刈草を集草容器8に搬送するシュータ46に残った刈草を集草容器8に強制搬送するクリーナ(図示省略)を操作するクリーナレバー65が設けられている。また、操縦席60の右側のフェンダ64Rには、作業機4の昇降を操作する昇降レバー66が設けられている。
【0033】
昇降レバー66を前側傾斜姿勢に移動して作業機4を降下させた場合には、電動機40が始動して作業機4の刈刃が回動し、昇降レバー66を後側傾斜姿勢に移動して作業機4を上昇させた場合には、電動機40が停止して作業機4の刈刃の回動が停止する。また、昇降レバー66の姿勢は、昇降レバー66の基部に装着された角度センサ66Aで検出されている。角度センサ66Aは、昇降レバー66を前側傾斜姿勢に移動した場合にはコントローラ77にON信号を入力し、昇降レバー66を後側傾斜姿勢に移動した場合にはコントローラ77にOFF信号を入力する。
【0034】
操縦部6のフロア67のステアリングポスト11の左側には、ブレーキペダル68が設けられ、右側には、前進用と後進用のアクセルペダル69が設けられている。
【0035】
操縦部6の操縦席60の下側には、電装部品61が設けられている。これにより、操縦席60の下側に形成される空間を有効に活用することができる。
【0036】
安全フレーム7は、上下方向に延在する左支柱部7Lと、上下方向に延在する右支柱部7Rと、左支柱部7Lと右支柱部7Rの上部を連結する逆U字形状の連結部7Aから形成されている。
【0037】
図4~7に示すように、電装部品61の下側には後輪3を駆動する3相交流電圧波形で操作される同期電動機や誘導電動機等の電動機30が設けられている。電動機30の左右方向に延在して形成された出力軸30Aは、出力軸30Aから伝動される出力回転を減速して出力トルクを大きくしたり回転方向を逆さにするギアボックス31の上部に連結されている。なお、電動機30は左右方向の中央よりも左後輪3Lに偏移した位置に設けられている。
【0038】
ギアボックス31で増減速された出力回転は、ギアボックス31の下部に設けられ差動歯車等で形成されたディファレンシャルギア32を介して左右方向に延在するドライブシャフト33に伝動される。ドライブシャフト33に伝動された出力回転は、ドライブシャフト33の両端部に支持された左後輪3Lと右後輪3Rに伝動される。
【0039】
電動機30の下側には作業機4を駆動する3相交流電圧波形で操作される同期電動機や誘導電動機等の電動機40が設けられている。電動機40の前後方向に延在して形成された出力軸40Aは、前後方向に延在して設けられた自在継手41の後部に連結されている。また、出力軸40Aは、ドライブシャフト33の上側に、ドライブシャフト33と直交して設けられている。これにより、電動機30の下側に形成された空間を有効に活用することができる。また、電動機40と作業機4の間の伝動経路を短くすることができるので電動機40の出力回転を作業機4に効率良く伝動することができる。なお、電動機40は左右方向の中央よりも左後輪3Lに偏移した位置に設けられている。
【0040】
自在継手41の前部は、自在継手41から伝動される出力回転を減速して出力トルクを大きくするギアボックス42に連結されている。ギアボックス42に伝動された出力回転は、ギアボックス42の上下方向に延在して形成された出力軸を介して作業機4の左排出通路45Lに設けられた左刈刃(図示省略)に伝動される。
【0041】
ギアボックス42の右部には、左右方向に延在する連結部材43が連結され、連結部材43の右部はギアボックス44に連結されている。ギアボックス44に伝動された出力回転は、ギアボックス44の上下方向に延在して形成された出力軸を介して作業機4の右排出通路45Rに設けられた右刈刃(図示省略)に伝動される。なお、ギアボックス42の出力軸とギアボックス44の出力軸の出力回転の回転速度は同一速度であり、回転方向は逆方向、すなわち、平面視において、ギアボックス42出力軸は時計方向に回転し、ギアボックス44の出力軸は反時計方向に回転する。
【0042】
左排出通路45Lと右排出通路45Rの搬出口は、刈取られた雑草を集草容器8に搬送するシュータ46の搬入口に連結されている。シュータ46の搬出口は集草容器8の前壁90に形成された搬入口に連結されている。なお、電動機30と電動機40は集草容器8の前壁90より前側に設けられ、シュータ46の後部は電動機30と電動機40の後部よりも後側に延在して形成されている。
【0043】
平面視において、シュータ46の前部は自在継手41の右側に設けられ、シュータ46の中間部はギアボックス31の右側に設けられている。背面視において、シュータ46と集草容器8は、ギアボックス31と右後輪3Rの間に設けられている。これにより、自在継手41とギアボックス31の右側に形成される空間に大きなシュータ46を設けることができ、作業機4で刈取った雑草を効率良く集草容器8に搬送することができる。
【0044】
側面視において、シュータ46の上壁は後上がり傾斜に形成され、シュータ46の後部は電装部品61の下側を下方に向かって延在して形成されている。これにより、シュータ46の後部を大きくしてシュータ46の内部での雑草の詰まりを防止することができる。
【0045】
図8に示すように、左刈刃と右刈刃の回転速度は、ステアリングホイール62の左側に設けられた変速レバー47を操作して増減速させることができる。変速レバー47を中立姿勢にした場合には、電動機40の出力回転がゼロになり左刈刃と右刈刃の回転が停止する。変速レバー47を中立姿勢から前側傾斜姿勢にした場合には、前側傾斜姿勢の傾斜角度の大きさに応じて電動機40の出力回転は増減速されて左刈刃と右刈刃の回転速度も増減速される。また、変速レバー47を中立姿勢から後側傾斜姿勢にした場合には、後側傾斜姿勢の傾斜角度の大きさに応じて電動機40の出力回転は増減速されて電動機40の出力回転の回転方向は逆回転となり、左刈刃と右刈刃の回転速度も増減速されて左刈刃と右刈刃の回転方向は逆回転される。また、ステアリングホイール62の前側には、作業車両の走行速度やバッテリ50,55の残存容量を表示するタッチパネル式のモニタ48が設けられている。
【0046】
図9,10に示すように、走行車体1は、前輪2と後輪3を支持する走行車体本体10と、ステアリングシャフト63を支持するステアリングポスト11から形成されている。
【0047】
走行車体本体10には、前後方向に延在する左前後フレーム10Lと右前後フレーム10Rが形成され、ステアリングポスト11の下部には、前方に延出する左連結部11Lと右連結部11Rが形成されている。
【0048】
左前後フレーム10Lに左連結部11Lがボルト等の締結手段によって固定され、右前後フレーム10Rに右連結部11Rがボルト等の締結手段によって固定されて一体となり走行車体1を形成している。
【0049】
左前後フレーム10Lの前部には左支持部材12Lが設けられ、左支持部材12Lの連結部は左上がり傾斜に形成されている。また、右前後フレーム10Rの前部には右支持部材12Rが設けられ、右支持部材12Rの連結部は右上がり傾斜に形成されている。なお、左支持部材12Lと右支持部材12Rはチャンネル鋼材で形成されている。
【0050】
左連結部11Lの前部には左支持部材13Lが設けられ、左支持部材13Lの連結部は左上がり傾斜に形成されている。また、右連結部11Rの前部には右支持部材13Rが設けられ、右支持部材13Rの連結部は右上がり傾斜に形成されている。なお、左支持部材13Lと右支持部材13Rはチャンネル鋼材で形成されている。
【0051】
ステアリングポスト11の下部には、左右方向に所定の間隔を隔てて前側に突出すると突出部14が形成され、突出部14の先端にはゴム部材等から形成された緩衝部材15が設けられている。
【0052】
左前後フレーム10Lの後部には上方に延在する左上下フレーム20Lが設けられ、右前後フレーム10Rの後部には上方に延在する右上下フレーム20Rが設けられ、左上下フレーム20Lと右上下フレーム20Rの上部は左右方向に延在する左右フレーム21に連結されている。
【0053】
左右フレーム21の左部には安全フレーム7の左支柱部7Lの下部が支持される左連結部22Lが設けられ、左右フレーム21の右部には安全フレーム7の右支柱部7Rの下部が支持される右連結部22Rが設けられている。
【0054】
図11,12に示すように、ボンネット部5には、後輪3を駆動する電動機30と作業機4を駆動する電動機40に供給する電力を蓄電するバッテリ50と、走行車体1に搭載した電子機器の制御等を行う作業車両用のコントローラ77に供給する電力を蓄電するバッテリ55が設けられている。コントローラ77はアクセルペダル69の操作入力に応じてインバータ装置81を介して電動機30を制御する信号を出力したり、変速レバー47の操作入力に応じてインバータ装置82を介して電動機40を制御する信号を出力したりするなど、作業車両全体の電子機器を制御する。なお、本実施形態では、バッテリ50は、エネルギ密度が高いリチウムイオンバッテリで形成され、バッテリ55は鉛バッテリで形成されている。なお、図11,12には、バッテリ50を形成する右バッテリ50Rと、右バッテリ50Rの左側に左バッテリ50Lの替わりにスペーサ56を設けた形態を図示している。
【0055】
スペーサ56と右バッテリ50Rは、バッテリブラケット(請求項の「ブラケット」)52を介して走行車体本体10とステアリングポスト11に固定されている。バッテリ55は、バッテリブラケット52の前左右フレーム52Aの前面から前方に延出して設けられた支持部材57の上面に設けている。これにより、バッテリ50とバッテリ55の保守・点検作業を効率良く行うことができ、また、バッテリ50とバッテリ55に雨水がかかるのを防止することもできる。
【0056】
スペーサ56と右バッテリ50Rの前後方向の中間部には、スペーサ56と右バッテリ50Rの外周部に沿って延在する保護フレーム25が設けられている。これにより、作業車両の転倒時にバッテリ50が破損するのを防止することができる。
【0057】
図13に示すように、ボンネット部5に設けられるバッテリ50は、左側に設けられる左バッテリ50Lと右側に設けられる右バッテリ50Rから形成されている。左バッテリ50Lと右バッテリ50Rは、複数のエネルギ密度が高いリチウムイオンバッテリを直列と並列に接続して形成され、同一形状で同一容量に形成されている。これにより、ボンネット部5に左バッテリ50Lと右バッテリ50Rを設け、左バッテリ50Lと右バッテリ50Rを並列に接続して作業車両を長時間走行させて広い公園の雑草を刈取ることができる。また、狭い公園の雑草の刈取りを行う場合には、ボンネット部5に左バッテリ50L又は右バッテリ50Rのいずれか一方のバッテリを取外して交換用バッテリとして使用することができる。
【0058】
左バッテリ50Lと右バッテリ50Rを並列に接続して使用する場合には、左バッテリ50Lと右バッテリ50Rの前面の上部を前連結プレート51Aで接続し、左バッテリ50Lと右バッテリ50Rの後面の上部を後連結プレート51Bで接続する。これにより、左バッテリ50Lと右バッテリ50Rの上部が前連結プレート51Aと後連結プレート51Bを介して強固に連結されて左バッテリ50Lと右バッテリ50Rの端子を接続するケーブル等の破断を防止することができる。また、左バッテリ50Lと右バッテリ50Rの下部は、バッテリブラケット52の内周部に内嵌されている。これにより、ボンネット部5に形成された空間を有活用できる。
【0059】
図11,12に示すように、左バッテリ50Lを取外して右バッテリ50Rのみ使用する場合には、右バッテリ50Rの左側に、平面視において、左バッテリ50Lと同じ形状に形成され、左バッテリ50Lと同じ重量に形成されたスペーサ56を設ける。これにより、作業車両の重心位置が大きく移動するのを抑制して、操縦時に発生する違和感を防止することができる。
【0060】
図14に示すように、バッテリブラケット52は、前後方向に延在する左前後フレーム52L及び右前後フレーム52Rと、左前後フレーム52Lと右前後フレーム52Rの前部を連結する前左右フレーム52Aと、左前後フレーム52Lと右前後フレーム52Rの後部を連結する後左右フレーム52Bで形成されている。なお、左前後フレーム52Lと右前後フレーム52Rはアングル鋼材で形成され、前左右フレーム52Aと後左右フレーム52Bはチャンネル鋼材で形成されている。
【0061】
左前後フレーム52Lの連結部は左上がり傾斜に形成され、右前後フレーム52Rの連結部は右上がり傾斜に形成されている。なお、背面視において、左支持部材13Lの連結部、左支持部材12Lの連結部、及び左前後フレーム52Lの連結部の左上がり傾斜は同一傾斜角度に形成され、右支持部材12Rの連結部、右支持部材12Rの連結部、及び右前後フレーム52Rの連結部の右上がり傾斜は同一傾斜角度に形成されている。
【0062】
左前後フレーム52Lの連結部の下面には、前後方向に所定の間隔を隔てて丸形の左防振部材53Lが設けられ、右前後フレーム52Rの連結部の下面には、前後方向に所定の間隔を隔てて丸形の右防振部材53Rが設けられている。
【0063】
左前後フレーム52Lは、左防振部材53Lを介して左前後フレーム10Lの左支持部材12Lと左連結部11Lの左支持部材13Lに連結され、右前後フレーム52Rは、右防振部材53Rを介して右前後フレーム10Rの右支持部材12Rと右連結部11Rの右支持部材13Rに連結される。これにより、作業車両の走行時に発生する走行車体本体10の振動がバッテリ50に伝わるのを抑制して、バッテリ50の破損等を防止することができる。
【0064】
図15に示すように、左前後フレーム52Lの連結部は、左防振部材53Lの中心と左側の左前輪2Lの中心を結ぶ左仮想線(請求項の「第1仮想線」)54Lに対して左上がりの傾斜面が直交して設けられている。また、右前後フレーム52Rの連結部は、右防振部材53Rの中心と右側の右前輪2Rの中心を結ぶ右仮想線(請求項の「第2仮想線」)54Rに対して右上がりの傾斜面が直交して設けられている。これにより、前輪2と後輪3を介して走行面の凹凸に起因する大きな振動を抑制して、バッテリ50の破損等を防止することができる。なお、符号35は左右の前輪2を支持する前輪支持フレームを示し、符号36は前輪支持フレームと走行車体本体10との連結部であり、前輪支持フレームの揺動軸を示している。
【0065】
バッテリブラケット52の後左右フレーム52Bの後面には、ステアリングポスト11の緩衝部材15の先端部が押当てられている。これにより、作業車両の発進時にバッテリ50の後方への移動を抑制して、バッテリ50の破損等を防止することができる。
【0066】
図16に示すように、保護フレーム25は、上下方向に延在する上下保護フレーム26と、上下保護フレーム26の上下方向の中間部から後方に向かって延在す前後保護フレーム27から形成されている。
【0067】
上下保護フレーム26は、左前後フレーム10Lから上方に延在する左上下フレーム26Lと、右前後フレーム10Rから上方に延在する右上下フレーム26Rと、左上下フレーム26Lと右上下フレーム26Rの上部を連結する逆U字形状の連結部26Aから形成されている。
【0068】
左上下フレーム26Lは左バッテリ50Lの左面の左側に、右上下フレーム26Rは右バッテリ50Rの右面の右側に、連結部26Aは、左バッテリ50Lと右バッテリ50Rの上面の上側に設けられている。また、左上下フレーム26L、右上下フレーム26R及び連結部26Aは角パイプで形成されている。
【0069】
前後保護フレーム27は、左上下フレーム26Lの上下方向の中間部から後方に延在する左前後フレーム27Lと、右上下フレーム26Rの上下方向の中間部から後方に延在する右前後フレーム27Rと、左前後フレーム27Lと右前後フレーム27Rの後部を連結する左右方向に延在する連結部27Aから形成されている。連結部27Aは、ステアリングポスト11の下部にボルト等の締結手段によって着脱自在に固定されている。これにより、保護フレーム25の剛性が高まり、作業車両の転倒時に保護フレーム25の変形を抑制してバッテリ50が破損するのをより防止することができる。なお、本実施形態では、連結部27Aを介してステアリングポスト11の下部に固定しているが、連結部27Aを設けることなく、左前後フレーム27Lと右前後フレーム27Rの後部をステアリングポスト11の下部に固定することもできる。
【0070】
左前後フレーム27Lは左バッテリ50Lの左面の左側に、右前後フレーム27Rは右バッテリ50Rの右面の右側に、連結部27Aは、左バッテリ50Lと右バッテリ50Rの後面の後側に設けられている。また、左前後フレーム27Lと右前後フレーム27Rは角パイプで形成され、連結部27Aはチャンネル鋼で形成されている。
【0071】
図17に示すように、側面視において、上下保護フレーム26の連結部26Aの頂部と安全フレーム7の連結部7Aの基部を結ぶ仮想線(請求項の「第3仮想線」)28がステアリングホイール62よりも上側に位置するように形成されている。これにより、仮想線28の下側に大きな保護空間を形成して、作業車両の走行時に作業者が外部の木の枝等に衝突するのを抑制して作業安全性を高めることができる。
【0072】
図18,19に示すように、電装部品61は、高電圧な電力が供給されるインバータ装置81等が設けられた電装ボックス70と、電装ボックス70の下方に設けられたバッテリ50の充電時に使用する充電器73から形成されている。側面視において、電装ボックス70の前部は操縦席60の前部よりも前側に設けられ、充電器73の前部は電装ボックス70の前部よりも前側に設けられている。これにより、電装ボックス70と充電器73の後方に大きな空間を形成し、その空間にシュータ46の後上がり傾斜に形成された上壁を設けて、シュータ46の左右方向の縦断面積を大きく形成することができ、シュータ46の内部で刈草の詰まりを抑制することができる。なお、本実施形態の充電器73の入力電圧は交流電圧100~240Vである。
【0073】
電装ボックス70は、インバータ装置81等を収納する本体部70Aと蓋部70Bから形成されている。蓋部70Bは本体部70Aの前部に設けられた左右方向に延在する支軸70Cに揺動可能に支持されている。また、側面視において、蓋部70Bの上面は後上がり傾斜に形成されている。これにより、蓋部70Bの上面に雨水が溜まるのを防止することができる。
【0074】
本体部70Aは、本体部70Aの下面の4隅に設けられたグロメット71を介して走行車体本体10の後部の左右方向に延在する左右フレーム16の両側に設けられた前後方向に延在する支持部材16Aに装着されている。これにより、作業車両の走行時に発生する走行車体本体10の振動がインバータ装置81等に伝わるのを抑制して、インバータ装置81等の破損等を防止することができる。
【0075】
充電器73は、充電器73の下面の4隅に設けられたグロメット74を介して走行車体本体10の左右フレーム16の前側に設けられた左右フレーム17に設けられた前後方向に所定の長さを有して左右方向に延在する支持部材18に装着されている。これにより、作業車両の走行時に発生する走行車体本体10の振動が充電器73に伝わるのを抑制して、充電器73の破損等を防止することができる。
【0076】
支持部材18の前後方向の中間部は、支持部材18の前部と後部よりも下側に突出して形成され、中間部には、外気を通風させる通風穴18Aが形成され、充電器73の上面には、外気を強制的に通風させるファン75が設けられている。これにより、充電器73の使用に充電器73が過度に高温になるのを防止して、充電器73を形成する電気部品の破損を防止することできる。
【0077】
図20~22に示すように、本体部70Aの下壁の左前部には、左端子台80Lと右端子台80Rが設けられ、本体部70Aの下壁の左後部には、電動機30を操作する3相交流電圧波形を生成するインバータ装置81と電動機40を操作する3相交流電圧波形を生成するインバータ装置82が設けられ、右端子台80Rとインバータ装置82の間には、バッテリ50から供給される45Vの直流電圧をバッテリ55の充電時に供給する12Vの直流電圧に変更するコンバータ装置83が設けられている。これにより、外気で冷却される本体部70Aの下壁で加熱したインバータ装置81等を効率的に冷却することができる。なお、本明細書では、左端子台80Lと右端子台80Rを総称して端子台80という。
【0078】
本体部70Aの下壁におけるインバータ装置82の右側には、コントローラ77とインバータ装置81等の間のデータの転送を行う絶縁型CANトランシーバ等のデータ転送装置84が設けられている。これにより、インバータ装置81等で発生する電磁波等のノイズを遮断してデータの転送の信頼性を高めることができる。また、データ転送装置84を介することで12Vのバッテリ55で駆動するコントローラ77と45Vのバッテリ50で駆動するインバータ装置81等の間で電気信号の通信ができる。
【0079】
バッテリ50と端子台80を接続するケーブル85Aやコントローラ77とデータ転送装置84を接続するケーブル85Bは、電装ボックス70の前壁の開口部に設けられたグロメットの内周部を挿通して配策され、電動機30とインバータ装置81を接続するケーブル86Aや電動機40とインバータ装置82を接続するケーブル86Bは、電装ボックス70の後壁の開口部に設けられたグロメットの内周部を挿通して配策されている。これにより、電装ボックス70の密閉性を高めて、電装ボックス70内に雨水や粉塵の侵入を防止することができる。また、図23に示すように、本体部70Aの左後部に設けられたインバータ装置81の下方に電動機30と電動機40が設けられている。これにより、ケーブル86A,86Bの長さを短くすることができて、ケーブル86A,86Bの配策も容易に行うことができる。
【0080】
左端子台80L及び右端子台80Rとインバータ装置81、左端子台80L及び右端子台80Rとインバータ装置82、及びインバータ装置81とインバータ装置82は金属製の板状のバスバー87で接続されている。これにより、左端子台80Lとインバータ装置81等配策を効率良く行うことができる。
【0081】
図24に示すように、ボンネット部5に設けられた上下保護フレーム26の右上下フレーム26Rには、前後方向に延在する矩形状の支持部材76が設けられている。支持部材76の右面の後部には作業車両用のコントローラ77が設けられ、前部にはリレー78とヒューズ79が設けられている。なお、コントローラ77、リレー78及びヒューズ79には、バッテリ55から12Vの直流電圧の電力が供給されている。これにより、コントローラ77をインバータ装置81,82から距離を隔てて設けて、インバータ装置81,82で発生する電磁波等のノイズに起因する誤動作を防止することができる。
【0082】
図25に示すように、集草容器8の上前部は、左上下フレーム20Lと右上下フレームRに架設された左右方向に延在する支軸23に回転自在に支持されている。集草容器8が雑草で満杯になった場合には、作業者は支軸23回りに集草容器8の後部を反時計方向に回転させて集草容器8に貯留された雑草を外部に排出する。なお、図25には、支軸23回りに集草容器8の後部を反時計方向に回転させた形態が破線で図示されている。
【0083】
集草容器8の前壁90には、作業者が軸23回りに集草容器8の後部を反時計方向に回転させて集草容器8に貯留された雑草を外部に排出する排出作業を検出する排出センサ(請求項の「センサ」)91が設けられている。排出センサ91は、支軸23回りに集草容器8の後部を反時計方向に回転された場合にはコントローラ77にON信号を入力し、それ以外の場合にはコントローラ77にOFF信号を入力する。
【0084】
集草容器8の上部には、集草容器8に貯留された雑草が満杯になった状態を検出する満杯センサ92が設けられている。満杯センサ92は、雑草が集草容器8に満杯になった場合にはコントローラ77にON信号を入力し、それ以外の場合にはコントローラ77にOFF信号を入力する。
【0085】
図26に示すように、モニタ48に表示されるメータパネル94には、集草容器8に左右方向の縦断面図を模式的に描いた容器95と、集草容器8に貯留された雑草の貯留量を示す表示部96A~96Dが表示される。なお、本明細書では、表示部96A~96Dを総称して表示部96という。
また、
【0086】
図26(a)は集草容器8に貯留された雑草が外部に排出されて、雑草が集草容器8に無い状態を示し、図26(b)は集草容器8の貯留容量の約25%の雑草が集草容器8に貯留された状態を示し、図26(c)は集草容器8の貯留容量の約50%の雑草が集草容器8に貯留された状態を示し、図26(d)は集草容器8の貯留容量の約75%の雑草が集草容器8に貯留された状態を示し、図26(e)は集草容器8の貯留容量の約100%の雑草が集草容器8に貯留された状態を示している。なお、表示部は、それぞれ集草容器8の貯留容量の約25%の雑草を図示している。
【0087】
図27に示すように、コントローラ77は、CPU等からなる処理部77Aと、ROM、RAM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等からなる記憶部77Bと、経過時間TAを計測するタイマ77Cから形成されている。
【0088】
処理部77Aは、タイマ77Cで測定された経過時間TAや負荷センサからの負荷に基づいて増減される増減時間TBに基づいて表示部96A~96Dの点灯等を行う。
【0089】
記憶部77Bは、集草容器8が雑草で満杯になる満杯時間T、負荷センサ93で検出された電動機40の負荷が所定範囲以下、又は、以上の場合に増減される増減時間TBが保存されている。なお、満杯時間Tは、コントローラ77に角度センサ66Aと排出センサ91のON信号が入力されてから満杯センサ92のON信号が入力されるまでの時間であり、前日等の作業結果に基づいて処理部77Aが算出する。増減時間TBは、作業者がモニタ45を介して設定する時間である。
【0090】
タイマ77Cは、排出センサ91のON信号が入力されてからの経過時間TAを測定する。
【0091】
コントローラ77の入力側には、角度センサ66Aと、排出センサ91と、満杯センサ92、負荷センサ93が所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。なお、負荷センサ93は、電動機40に加わっている負荷を検出するセンサでありインバータ装置82内に設けられている。
【0092】
コントローラ77の出力側には、メータパネル94の表示部96A~96Dが所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
【0093】
図28に示すように、ステップS1でコントローラ77の処理部77Aは、支軸23回りに集草容器8の後部を反時計方向に回転させたことを検出する排出センサ91の入力信号を判断する。排出センサ91の入力信号がON信号の場合にはステップS2に進み、排出センサ91の入力信号がOFF信号の場合にはステップS1を繰返す。
【0094】
ステップS2で処理部77Aは、角度センサ66Aの入力信号を判断する。角度センサ66Aの入力信号がON信号の場合にはステップS3に進み、角度センサ66Aの入力信号がOFF信号の場合にはステップS2を繰返す。
【0095】
ステップS3で処理部77Aは、排出センサ91のON信号が入力された後の経過時間TAを計測するタイマ77Cを始動してステップS4に進む。
【0096】
ステップS4で処理部77Aは、記憶部77Bに保存されている満杯時間Tを読込んでステップS5に進む。
【0097】
ステップS5で処理部77Aは、作業機4を駆動する電動機40に加わっている負荷を検出する負荷センサ93の検出値に基づいて記憶部77Bに保存された増減時間TBを読込んでステップS6に進む。
【0098】
負荷センサ93の検出値が所定の範囲内にある場合には増減時間TBは0分に、負荷センサ93の検出値が所定の範囲以下である場合には増減時間TBはマイナス時間、例えば-1分に、負荷センサ93の検出値が所定の範囲以上である場合には増減時間TBはプラス時間、例えば1分が読込まれる。これにより、雑草の量に応じて表示部96A~96Dを適切に点灯させることができる。また、一般的には、雑草が少量の場合には、電動機40に加わる負荷は小さくなって集草容器8が満杯になるまでの時間は長くなり、雑草が多量の場合には、電動機40に加わる負荷は大きくなって集草容器8が満杯になるまでの時間は短くなる。
【0099】
ステップS6で処理部77Aは、タイマ77Cで計測されている経過時間TAを読込んでステップS7に進む。
【0100】
ステップS7で処理部77Aは、経過時間TAに増減時間TBを加算した合計時間が、満杯時間Tの25%以上であるか否か判断する。合計時間が満杯時間Tの25%以上の場合にはステップS8に進み、合計時間が満杯時間Tの25%未満の場合にはステップS6に戻る。
【0101】
ステップS8で処理部77Aは、表示部(請求項の「第1表示部」)96Aを点灯させてステップS9に進む。
【0102】
ステップS9で処理部77Aは、経過時間TAに増減時間TBを加算した合計時間が、満杯時間Tの50%以上であるか否か判断する。合計時間が満杯時間Tの50%以上の場合にはステップS10に進み、合計時間が満杯時間Tの50%未満の場合にはステップS6に戻る。
【0103】
ステップS10で処理部77Aは、表示部(請求項の「第2表示部」)96Bを点灯させてステップS11に進む。
【0104】
ステップS11で処理部77Aは、経過時間TAに増減時間TBを加算した合計時間が、満杯時間Tの75%以上であるか否か判断する。合計時間が満杯時間Tの75%以上の場合にはステップS12に進み、合計時間が満杯時間Tの75%未満の場合にはステップS6に戻る。
【0105】
ステップS12で処理部77Aは、表示部(請求項の「第3表示部」)96Cを点灯させてステップS13に進む。これにより、表示部96Cが点灯している場合には、排出箇所を通過時に集草容器8に貯留された雑草を排出して、排出箇所への後進を防止して雑草の刈取作業を効率良く行うことができる。
【0106】
ステップS13で処理部77Aは、経過時間TAに増減時間TBを加算した合計時間が、満杯時間Tの100%以上であるか否か判断する。合計時間が満杯時間Tの100%以上の場合にはステップS14に進み、合計時間が満杯時間Tの100%未満の場合にはステップS6に戻る。
【0107】
ステップS14で処理部77Aは、集草容器8が雑草で満杯になったことを検出する満杯センサ92の入力信号を判断する。満杯センサ92の入力信号がON信号の場合にはステップS15に進み、満杯センサ92の入力信号がOFF信号の場合にはステップS6に戻る。これにより、集草容器8が雑草で満杯になったことを確実に検出することができる。
【0108】
ステップS15で処理部77Aは、表示部(請求項の「第4表示部」)96Dを点灯させてステップS1に戻る。
【符号の説明】
【0109】
1 走行車体
2 前輪
2L 左前輪
2R 右前輪
3 後輪
4 作業機
5 ボンネット部
6 操縦部
7 安全フレーム
7A 連結部
8 集草容器
10 走行車体本体
11 ステアリングポスト
12L 左支持部材
12R 右支持部材
13L 左支持部材
13R 右支持部材
15 緩衝部材
26 上下保護フレーム
27 前後保護フレーム
28 仮想線(第3仮想線)
30 電動機(第1電動機)
40 電動機(第2電動機)
50 バッテリ
50L 左バッテリ
50R 右バッテリ
52 バッテリブラケット(ブラケット)
52L 左前後フレーム
52R 右前後フレーム
53L 左防振部材
53R 右防振部材
54L 左仮想線(第1仮想線)
54R 右仮想線(第2仮想線)
60 操縦席
63 ステアリングシャフト
91 排出センサ(センサ)
94 メータパネル
95 容器
96 表示部
96A 表示部(第1表示部)
96B 表示部(第2表示部)
96C 表示部(第3表示部)
96D 表示部(第4表示部)
T 満杯時間
TA 経過時間
TB 増減時間
図1
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図5
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図28