(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120581
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】郵便受箱
(51)【国際特許分類】
A47G 29/126 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A47G29/126
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027460
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 一輝
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA06
3K100CA45
(57)【要約】 (修正有)
【課題】収容空間への液体の浸入を抑制することができる郵便受箱を提供する。
【解決手段】本体部2には、開口部6の上部に配置されていると共に、液体を受容して第1の排出部へ案内する第1の案内部30が設けられる。内扉3には、第1の案内部30の下方に配置されていると共に、液体を受容して第2の排出部へ案内する第2の案内部40が設けられる。これにより、第1の案内部30を超えてきた液体を第2の案内部40で受容して排出することができる。更に、第2の案内部40には、第1の案内部30の外表面に付着した液体を第2の案内部40へ誘導する、誘導部50が形成されている。そのため、第1の案内部30の外表面に回り込む液体が存在する場合、誘導部50は、当該液体を第2の案内部40へ案内することができる。これにより、液体が第1の案内部30の外表面における奥側へ更に回り込むことを抑制できる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
郵便物を収容する郵便受箱であって、
前記郵便物を収容可能な収容空間を内部に有し、前記収容空間から前記郵便物を取り出し可能な開口部が形成された本体部と、
前記本体部に対して開閉可能に設けられ、前記開口部の開閉を切り替える内扉と、
前記本体部に対して開閉可能に設けられ、閉状態において前記内扉を覆う外扉と、を備え、
前記本体部には、前記開口部の上部に配置されていると共に、液体を受容して第1の排出部へ案内する第1の案内部が設けられ、
前記内扉には、前記第1の案内部の下方に配置されていると共に、前記液体を受容して第2の排出部へ案内する第2の案内部が設けられ、
前記第1の案内部及び前記第2の案内部の少なくとも一方には、前記第1の案内部の外表面に付着した前記液体を前記第2の案内部へ誘導する、誘導部が形成されている、郵便受箱。
【請求項2】
前記誘導部は、前記第2の案内部から前記第1の案内部側へ延びる突出部を有する、請求項1に記載の郵便受箱。
【請求項3】
前記誘導部は、複数の前記突出部を有し、
各々の前記突出部の間には、前記第2の案内部に受容された前記液体を通過させる流路が形成される、請求項2に記載の郵便受箱。
【請求項4】
前記第1の案内部は、前後方向に広がる底壁部と、前記底壁部の前側の端部から上方へ延びる前壁部と、を有し、
前記突出部は、前記前壁部の下方に配置される、請求項2又は3に記載の郵便受箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便受箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、郵便物を収容する郵便受箱として特許文献1に記載されたものが知られている。この郵便物箱は、郵便物を投入する投入口の上部に設けられた庇を有する。この庇は、支持ピンを支点として上下方向に回動可能とするとともに、ストッパ部材によって庇としての機能を発揮する状態にてそれより下方への回動が規制される。使用者は、郵便物を投入する際には、庇を上方に回動させて持ち上げた状態で投入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の郵便受箱は、庇を常に一定の角度で開けている状態であるため、投入口から水が浸入する可能性がある。このような問題に対し、内扉を外扉で覆うことで投入口からの水の浸入を抑制する構成を採用することが考えられる。また、投入口の上側には、外扉と本体部との間の隙間から浸入してくる水を受容して幅方向の端部へ案内して排出する水切り構造を有する案内部を設けることが考えられる。しかしながら、当該案内部を超えた水は、案内部の外表面に回り込んで水滴となって収容空間に浸入する可能性がある。
【0005】
本発明は、収容空間への液体の浸入を抑制することができる郵便受箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る郵便受箱は、郵便物を収容する郵便受箱であって、郵便物を収容可能な収容空間を内部に有し、収容空間から郵便物を取り出し可能な開口部が形成された本体部と、本体部に対して開閉可能に設けられ、開口部の開閉を切り替える内扉と、本体部に対して開閉可能に設けられ、閉状態において内扉を覆う外扉と、を備え、本体部には、開口部の上部に配置されていると共に、液体を受容して第1の排出部へ案内する第1の案内部が設けられ、内扉には、第1の案内部の下方に配置されていると共に、液体を受容して第2の排出部へ案内する第2の案内部が設けられ、第1の案内部及び第2の案内部の少なくとも一方には、第1の案内部の外表面に付着した液体を第2の案内部へ誘導する、誘導部が形成されている。
【0007】
本発明に係る郵便受箱において、本体部には、開口部の上部に配置されていると共に、液体を受容して第1の排出部へ案内する第1の案内部が設けられる。これにより、外扉と本体部との間の隙間から浸入する液体を第1の案内部で受容して排出することができる。また、内扉には、第1の案内部の下方に配置されていると共に、液体を受容して第2の排出部へ案内する第2の案内部が設けられる。これにより、第1の案内部を超えてきた液体を第2の案内部で受容して排出することができる。更に、第1の案内部及び第2の案内部の少なくとも一方には、第1の案内部の外表面に付着した液体を第2の案内部へ誘導する、誘導部が形成されている。そのため、第1の案内部の外表面に回り込む液体が存在する場合、誘導部は、当該液体を第2の案内部へ案内することができる。これにより、液体が第1の案内部の外表面に更に回り込むことを抑制できる。以上より、収容空間への液体の浸入を抑制することができる。
【0008】
誘導部は、第2の案内部から第1の案内部側へ延びる突出部を有してよい。この場合、突出部が、第1の案内部の外表面に水滴として存在する液体と接触することで、当該液体を第2の案内部へ案内することができる。
【0009】
誘導部は、複数の突出部を有し、各々の突出部間には、第2の案内部に受容された液体を通過させる流路が形成されてよい。この場合、第2の案内部へ誘導された液体が、突出部で堰き止められて滞留することを抑制できる。
【0010】
第1の案内部は、前後方向に広がる底壁部と、底壁部の前側の端部から上方へ延びる前壁部と、を有し、突出部は、前壁部の下方に配置されてよい。この場合、突出部は、第1の案内部の底壁部と前壁部との角部付近に存在する水滴と直ちに接触して、第2の案内部へ誘導することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、収容空間への液体の浸入を抑制することができる郵便受箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る郵便受箱の斜視図であって、内扉及び外扉を閉状態としたときの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る郵便受箱の斜視図であって、外扉を開状態とし、内扉を閉状態としたときの斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る郵便受箱の斜視図であって、内扉及び外扉を開状態としたときの斜視図である。
【
図7】
図7は、変形例に係る郵便受箱の断面図である。
【
図8】
図8は、変形例に係る郵便受箱の斜視図である。
【
図9】
図9は、変形例に係る郵便受箱の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1~
図3は、本発明の実施形態に係る郵便受箱1の斜視図である。
図1は、内扉及び外扉を閉状態としたときの斜視図である。
図2は、内扉を閉状態とし、外扉を開状態としたときの斜視図である。
図3は、内扉及び外扉を開状態としたときの斜視図である。
図1~
図3に示すように、郵便受箱1は、本体部2と、内扉3と、外扉4と、を備える。郵便受箱1は、郵便物を収容する箱である。ここで、以降の説明においては、郵便受箱1に対して設定された相対座標であるXYZ座標を用いて、各構成要素の構成について説明を行う場合がある。X軸方向は、郵便受箱1の幅方向に対応する方向である。幅方向の一方側がX軸方向の右側に該当する。Y軸方向は、郵便受箱1の前後方向に対応する方向である。前後方向の後側がY軸方向の正側に該当し、前側がY軸方向の負側に該当する。Z軸方向は、上下方向に対応する方向である。上下方向の上側がZ軸方向の正側に該当する。なお、特段の注記がない場合、XYZ座標を用いた説明は、
図1の状態を基準として各構成要素について説明しているものとする。
【0015】
本体部2は、郵便物を収容可能な収容空間SP(
図3参照)を内部に有する箱である。本体部2は、Z軸方向に短辺を有する扁平な形状を有する六面体である。本体部2には、収容空間SPから郵便物を取り出し可能な開口部6(
図3参照)が形成されている。本体部2は、上壁部2a、下壁部2b、側壁部2c、2d、後壁部2e、及び前壁部2fを備える。側壁部2cはX軸方向の正側に配置される。側壁部2dはX軸方向の負側に配置される。後壁部2eはY軸方向の正側に配置される。前壁部2fはY軸方向の負側に配置される。前壁部2fには、長方形状の開口部6が形成される。従って前壁部2fは、矩形環状の形状を有する(
図3参照)。
【0016】
内扉3は、本体部2に対して開閉可能に設けられ、開口部6(
図3参照)の開閉を切り替える。内扉3は、閉状態において、本体部2のY軸方向の負側の壁部として機能するように、開口部6を塞ぐように配置される。内扉3は、閉状態において、X軸方向に長手方向を有し、Z軸方向に短手方向を有する長方形板状の部材である。内扉3は、本体部2の上壁部2aのY軸方向の負側の端部において、X軸方向に平行に延びる回転軸を有するように、ヒンジ部7で軸支されている。従って、内扉3を閉状態(
図1又は
図2)から開状態(
図3)へ移行するとき、内扉3は、上端側のヒンジ部7を中心として、下端部3aが旋回するように回動動作を行う。
【0017】
図2に示すように、内扉3は、投入口10と、係止部11と、取手部12と、を有する。投入口10は、収容空間SP(
図3参照)へ郵便物を投入する部分である。
【0018】
投入口10は、内扉3のZ軸方向の正側の領域において、X軸方向に延びる長方形状の形状を有する。投入口10は、郵便受箱1の外部と、収容空間SPとを連通する貫通部である。なお、本実施形態には、投入口10は、郵便物の投入時に郵便物を通過可能に構成された、カバー部材13で覆われている。
【0019】
係止部11は、本体部2に対して内扉3を係止する機構である。係止部11は、内扉3を本体部2に係止した状態にて、施錠することができる。実施形態では、係止部11として、ダイヤルロックが採用されている。ただし、係止部11の施錠形式は特に限定されず、押しボタン式のロックなどが採用されてもよい。係止部11は、内扉3のうち、X軸方向の正側であって、Z軸方向の負側の角部の領域に設けられている。
【0020】
取手部12は、使用者が内扉3の開閉操作を行うための構造である。取手部12は、使用者が郵便受箱1の外部から保持可能な構造を有する。本実施形態では、取手部12は、外扉4で内扉3が覆われた状態であっても、使用者が保持可能な位置に設けられている。本実施形態では、内扉3のZ軸方向の負側の端部付近には、他の領域である肉厚領域15に比して、Y軸方向の正側へ窪んだ薄肉領域14が形成されている。肉厚領域15と薄肉領域14との境界には段差部16が形成される。本実施形態における取手部12は、段差部16の位置に使用者の指を挿入して保持可能な溝部17を設けることによって構成される(
図3も参照)。
【0021】
図1に示すように、外扉4は、本体部2に対して開閉可能に設けられ、閉状態において内扉3を覆う。外扉4は、閉状態において、X軸方向に長手方向を有し、Z軸方向に短手方向を有する略長方形板状の部材である。外扉4は、本体部2の上壁部2aのY軸方向の負側の端部において、X軸方向に平行に延びる回転軸を有するように、ヒンジ部7で軸支されている。従って、外扉4を閉状態(
図1)から開状態(
図2又は
図3)へ移行するとき、内扉3は、上端側のヒンジ部7を中心として、下端部4aが旋回するように回動動作を行う。
【0022】
外扉4は、閉状態において投入口10(
図2参照)を覆う。外扉4は、閉状態のままで、使用者による係止部11及び取手部12の操作を可能とする開口20を有する。開口20は、外扉4の外縁に形成された切欠部21を有する。切欠部21は、外扉4のうち、X軸方向の正側であって、Z軸方向の負側の角部の領域に設けられている。これにより、係止部11は、外扉4から露出する。また、取手部12の溝部17(
図2及び
図3参照)に対して、使用者が外扉4の外部から触れることが可能となる。
【0023】
郵便受箱1の使用態様について説明する。通常状態においては、郵便受箱1は、
図1に示すように内扉3及び外扉4が閉状態となる。また、係止部11によって内扉3が施錠された状態となる。これにより、投入口10が外扉4で覆われることで、雨などが投入口10を介して収容空間SP(
図3参照)へ入り込むことを抑制できる。
【0024】
投入口10から郵便物を郵便受箱1へ投入するときには、郵便受箱1は、
図2に示すように内扉3が閉状態となり、外扉4が開状態となる。これにより、配達員は、投入口10から郵便物を収容空間SP(
図3参照)へ投入することができる。
【0025】
使用者が収容空間SPから郵便物を取り出すときは、郵便受箱1は、
図3に示すように内扉3及び外扉4が開状態となる。使用者は、外扉4が閉状態のままで、開口20から露出している係止部11を操作して、施錠を解除する。そして、使用者は、外扉4が閉状態のままで、開口20を介して内扉3の取手部12を操作することで、外扉4と共に内扉3を開状態とする。これにより、開口部6が露出して収容空間SPが開放される。使用者は、収容空間SPから郵便物を取り出す。その後、使用者は、内扉3及び外扉4を閉状態とし、内扉3の係止部11を施錠する。
【0026】
次に、
図4~
図6を参照して、郵便受箱1の上側の構成について更に詳細に説明する。
図4は、
図1に示すIV-IV線に沿った断面図である。ただし、理解を容易とするために、
図4では、本体部2、内扉3、及び外扉4以外の部品を省略している。
図5は、内扉3の上側の構造を示す斜視図である。ただし、理解を容易とするため、
図5では、本体部2及び内扉3以外の部品を省略している。
図6は、内扉3の上側の構造を示す斜視図である。ただし、理解を容易とするため、
図6では、内扉3以外の部品を省略している。
【0027】
図4に示すように、外扉4は、内扉3のY軸方向の正側の位置で上下方向に広がる前壁部23と、前壁部23のZ軸方向の正側の端部からY軸方向の正側へ広がる上壁部24と、を備える。上壁部24のY軸方向の正側の端部は、本体部2の前壁部2fからY軸方向に離間する位置に配置される。これにより、上壁部24と前壁部2fとの間に隙間GPが形成される。
【0028】
図4及び
図5に示すように、本体部2には、第1の案内部30が設けられる。第1の案内部30は、開口部6の上部に配置されている(
図4参照)。第1の案内部30は、隙間GPから入り込んだ液体W1(
図4参照)を受容して第1の排出部33へ案内する。第1の案内部30は、底壁部31と、前壁部32と、を備える。底壁部31は、前壁部2fのZ軸方向の負側の端部からY軸方向(前後方向)の負側へ広がる。前壁部32は、底壁部31のY軸方向の負側(前側)の端部から上方へ延びる。前壁部32は、隙間GPよりもY軸方向の負側に配置される。
【0029】
また、第1の案内部30は、底壁部31及び前壁部32によるL字状の断面形状を維持した状態で、X軸方向に延びる。第1の案内部30は、X軸方向の正側において本体部2の側壁部2c(
図1参照)付近まで延びている。第1の案内部30は、X軸方向の負側において本体部2の側壁部2d付近まで延びている。
【0030】
図5に示すように、第1の案内部30で受容した液体W2は、X軸方向における両端部へ案内される。第1の案内部30のX軸方向における両端部には、側壁部などは形成されておらず、開放されている。従って、第1の案内部30のX軸方向における両端部は、第1の案内部30によって案内された液体W2を排出する第1の排出部33として機能する。なお、両側の第1の排出部33は、投入口10のX軸方向の両端部よりも、X軸方向における外側に配置される。
【0031】
図4及び
図6に示すように、内扉3には、第2の案内部40が設けられる。第2の案内部40は、第1の案内部30の下方に配置されている(
図4参照)。第2の案内部40は、第1の案内部30の前壁部32に付着した液体W3(
図4参照)を受容して第2の排出部46へ案内する。第2の案内部40は、底壁部41と、後壁部42と、前壁部43と、を備える。底壁部41は、第1の案内部30よりも下方の位置において、Y軸方向(前後方向)へ広がる。後壁部42は、底壁部41のY軸方向の正側の端部から上方へ延びる。前壁部43は、底壁部41のY軸方向の負側(前側)の端部から上方へ延びる。後壁部42は、第1の案内部30の前壁部32よりもY軸方向の正側に配置される。前壁部43は、第1の案内部30の前壁部32よりもY軸方向の負側に配置される。底壁部41は、受容した液体W4をY軸方向の負側へ集めるために、Y軸方向の負側へ向かうに従ってZ軸方向の負側へ向かうように傾斜している。
【0032】
また、第2の案内部40は、底壁部41、後壁部42及び前壁部43によるコ字状の断面形状を維持した状態で、X軸方向に延びる。第2の案内部40は、X軸方向の正側において本体部2の側壁部2c(
図1参照)付近まで延びている。第2の案内部40は、X軸方向の負側において本体部2の側壁部2d付近まで延びている。
【0033】
図6に示すように、第2の案内部40で受容して、Y軸方向の負側の領域へ集めた液体W5は、X軸方向における両端部へ案内される。第2の案内部40のX軸方向における両端部には、側壁部44が設けられている。しかし、当該側壁部44は、Y軸方向の負側の領域には形成されておらず、開放されている。従って、第2の案内部40のX軸方向における両端部は、第2の案内部40によって案内された液体W5を排出する第2の排出部46として機能する。なお、両側の第2の排出部46は、投入口10のX軸方向の両端部よりも、X軸方向における外側に配置される。
【0034】
図4に示すように、第2の案内部40には、第1の案内部30の外表面に付着した液体W3を第2の案内部40へ誘導する、誘導部50が形成されている。誘導部50は、第2の案内部40から第1の案内部30側へ延びる突出部51を有する。突出部51は、底壁部41の上面からZ軸方向の正側へ突出する。突出部51は、丸ボス形状を有する。
【0035】
第1の案内部30のうち、前壁部32のY軸方向の正側の面には、液体W3が付着することがある。当該液体W4は、前壁部32のZ軸方向の負側へ至ると、水滴W7となる。突出部51は、ある程度の大きさに成長した水滴W7と接触することで、当該水滴W7を第2の案内部40へ誘導することができる。なお、突出部は、前壁部32の下方に配置される。突出部51のY軸方向における位置は特に限定されないが、成長した水滴W7に接触可能な位置であればよい。
【0036】
図6に示すように、誘導部50は、複数の突出部51を有する。複数の突出部51は、X軸方向に一列に並ぶように配置される。各々の突出部51の間には、第2の案内部40に受容された液体W4を通過させる流路52が形成される。突出部51よりもY軸方向の正側で液体W4が受容された場合、当該液体W4は、底壁部41の傾斜によってY軸方向の負側へ移動する。このとき、複数の突出部51に遮られることなく、突出部51の間の隙間によって形成される流路52を通過する。
【0037】
次に、本実施形態に係る郵便受箱1の作用・効果について説明する。
【0038】
本実施形態に係る郵便受箱1において、本体部2には、開口部6の上部に配置されていると共に、液体を受容して第1の排出部33へ案内する第1の案内部30が設けられる。これにより、外扉4と本体部2との間の隙間GPから浸入する液体を第1の案内部30で受容して排出することができる。また、内扉3には、第1の案内部30の下方に配置されていると共に、液体を受容して第2の排出部46へ案内する第2の案内部40が設けられる。これにより、第1の案内部30を超えてきた液体を第2の案内部40で受容して排出することができる。更に、第2の案内部40には、第1の案内部30の外表面に付着した液体を第2の案内部40へ誘導する、誘導部50が形成されている。そのため、第1の案内部30の外表面に回り込む液体が存在する場合、誘導部50は、当該液体を第2の案内部40へ案内することができる。これにより、液体が第1の案内部30の外表面における奥側へ更に回り込むことを抑制できる。以上より、収容空間SPへの液体の浸入を抑制することができる。
【0039】
誘導部50は、第2の案内部40から第1の案内部30側へ延びる突出部51を有してよい。この場合、突出部51が、第1の案内部30の外表面に水滴として存在する液体と接触することで、当該液体を第2の案内部40へ案内することができる。
【0040】
誘導部50は、複数の突出部51を有し、各々の突出部51の間には、第2の案内部40に受容された液体を通過させる流路52が形成されてよい。この場合、第2の案内部40へ誘導された液体が、突出部51で堰き止められて滞留することを抑制できる。
【0041】
第1の案内部30は、前後方向に広がる底壁部31と、底壁部31の前側の端部から上方へ延びる前壁部32と、を有し、突出部51は、前壁部32の下方に配置されてよい。この場合、突出部51は、第1の案内部30の底壁部31と前壁部32との角部付近に存在する水滴W7と直ちに接触して、第2の案内部40へ誘導することができる。
【0042】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0043】
例えば、上述の実施形態では、突出部51は丸ボス形状を有していたが形状は特に限定されず、四角形や三角形などの多角形突起形状が採用されてもよい。
【0044】
上述の実施形態では、誘導部50として、互いに分離された状態で配列された複数の突出部51を採用した。これに代えて、一体構造のボスを誘導部50として採用してもよい。なお、このような一体構造のボスを採用する場合も、液体の滞留を抑制するための流路52を形成してもよい。例えば、一体構造ボスの下端部において底壁部41との付け根部に、X軸方向に一体構造ボスを貫通する貫通孔を設けてよい。
【0045】
上述の実施形態では、第2の案内部40に誘導部50を設けた。これに代えて、あるいはこれに加えて、第1の案内部30に誘導部50を設けてもよい。例えば、第1の案内部30の底壁部31の下面に下方へ延びる突出部などを設けてもよい。
【0046】
上述の実施形態では、誘導部50は、内扉3が閉状態にあるときに第1の案内部30の外表面に付着した水を第2の案内部40へ誘導する構成を有していた。これに加え、誘導部50は、内扉3が開く回動動作を行うときに、当該回動動作を利用して第1の案内部30の外表面を拭き取る構成を有していてもよい。
【0047】
図7及び
図8に示す変形例を採用してもよい。
図7及び
図8に示す変形例は、誘導部50として、丸ボス形状の突出部51に代えて、複数の突出部53によるブラシ型の構造を採用している。突出部53は、YZ平面と平行に広がる矩形板状の形状を有する。底壁部41には、矩形板状の突出部53がX軸方向に一定の間隔で配列されている。これにより、突出部53の間には流路52が形成される。突出部53の上端は、第1の案内部30の底壁部31の下面に当接する位置に配置されている。これにより、第1の案内部30の外表面に付着した液体は、前壁部32の下端部付近まで達したら、ただちに突出部53に接触して第2の案内部40へ流れる。また、内扉3が開状態となるときに、複数の突出部53は、回動動作に伴って第1の案内部30の外表面に付着した液体を拭き取るように機能する。
【0048】
図9に示す変形例を採用してもよい。
図9に示す変形例は、誘導部50として、
図4に示す丸ボス状の突出部51に加え、L字状の突出部54を備えている。L字状の突出部54は、突出壁部54aと、上壁部54bと、を有する。突出壁部54aは、突出部51よりもY軸方向における負側の位置において、底壁部41からZ軸方向の正側へ延びる壁部である。上壁部54bは、突出壁部54aの上端部からY軸方向の正側へ延びる壁部である。上壁部54bのY軸方向の正側の端部は、第1の案内部30の前壁部と接触する位置に配置される。突出部54は、L字状の断面形状にてX軸方向に延びている。突出部54は、突出部51のような流路52を有しておらず、連続した状態でX軸方向に延びる。これにより、突出部54は、前壁部32の外表面において上から流れてきた液体を、突出部51へ至る前段階で、第2の案内部40へ誘導する。突出部54で誘導されず、更に下方へ流れた液体は、突出部51にて第2の案内部40へ誘導される。なお、突出壁部54aよりもY軸方向の正側に存在する液体は、当該突出壁部54aに沿ってX軸方向に流れ、第2の排出部46にて排出される。
【符号の説明】
【0049】
1…郵便受箱、2…本体部、3…内扉、4…外扉、6…開口部、30…第1の案内部、31…底壁部、32…前壁部、40…第2の案内部、50…誘導部、51,53,54…突出部。