(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120585
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】農作業機及びモータユニット
(51)【国際特許分類】
A01B 35/04 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A01B35/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027468
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小林 貴史
(72)【発明者】
【氏名】倉田 泰徳
(72)【発明者】
【氏名】小山 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】嶋形 祐汰
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 智之
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034BA07
2B034BB01
2B034BB02
2B034BC06
2B034BD10
2B034EA04
2B034JA24
(57)【要約】
【課題】生産性の向上を図ることができる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1は、整地体13,43に関する駆動部170を備える。この駆動部170は、整地体13,43を整地作業状態及び土引作業状態に切り換えるためのモータユニット67と、延長レーキ55を作業状態及び非作業状態に切り換えるためのモータユニット67aと、整地体13,43の接地圧を調整するためのモータユニット67bとを有する。これら各モータユニット67,67a,67bはすべて同一構成である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘作業をする耕耘体と、
整地作業をする整地体と、
使用目的がそれぞれ異なる少なくとも2つのモータユニットを有する駆動部とを備え、
前記2つのモータユニットは、同一構成である
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
耕耘作業をする耕耘体と、
整地作業をする整地体と、
前記整地体に関する駆動部とを備え、
前記駆動部は、前記整地体を整地作業状態及び土引作業状態に切り換えるためのモータユニットと、前記整地体の延長部を作業状態及び非作業状態に切り換えるためのモータユニットと、前記整地体の接地圧を調整するためのモータユニットとのうち、少なくとも2つのモータユニットを有し、
前記2つのモータユニットは、同一構成である
ことを特徴とする農作業機。
【請求項3】
耕耘作業をする耕耘体と、
整地作業をする整地体と、
前記整地体に関する駆動部とを備え、
前記駆動部は、
前記整地体を整地作業状態及び土引作業状態に切り換えるための第1のモータユニットと、
前記整地体の延長部を作業状態及び非作業状態に切り換えるための第2のモータユニットと、
前記整地体の接地圧を調整するための第3のモータユニットとを有し、
前記第1のモータユニット、前記第2のモータユニット及び前記第3のモータユニットは、同一構成である
ことを特徴とする農作業機。
【請求項4】
前記モータユニットは、回動軸を有し、
前記モータユニット外の位置で前記回動軸の回動を規制する規制手段を備える
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機。
【請求項5】
前記規制手段は、前記回動軸とともに回動する回動体との当接により前記回動軸の回動を規制する規制部を有する
ことを特徴とする請求項4記載の農作業機。
【請求項6】
前記規制手段は、前記モータユニットを支持する支持部材に設けられている
ことを特徴とする請求項4記載の農作業機。
【請求項7】
前記支持部材は、前記耕耘体を覆う耕耘カバー部に取り付けられている
ことを特徴とする請求項6記載の農作業機。
【請求項8】
前記モータユニットは、回動軸を有し、
前記回動軸の回動を検知する検知手段を備える
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機。
【請求項9】
請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機に用いられる
ことを特徴とするモータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産性の向上を図ることができる農作業機及びモータユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、この整地体に関する駆動部とを備えている。
【0004】
また、駆動部は、整地体を整地作業状態及び土引作業状態に選択的に切り換えるための第1のモータユニット(土引きユニット)と、整地体の延長レーキを作業状態及び非作業状態に選択的に切り換えるための第2のモータユニット(延長レーキ開閉装置)とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の農作業機では、使用目的がそれぞれ異なる両モータユニットが、互いに異なる専用のユニットからなるものであるから、生産性の向上を図れないおそれがある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、生産性の向上を図ることができる農作業機及びモータユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、整地作業をする整地体と、使用目的がそれぞれ異なる少なくとも2つのモータユニットを有する駆動部とを備え、前記2つのモータユニットは、同一構成であるものである。
【0009】
また、本発明に係る農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、整地作業をする整地体と、前記整地体に関する駆動部とを備え、前記駆動部は、前記整地体を整地作業状態及び土引作業状態に切り換えるためのモータユニットと、前記整地体の延長部を作業状態及び非作業状態に切り換えるためのモータユニットと、前記整地体の接地圧を調整するためのモータユニットとのうち、少なくとも2つのモータユニットを有し、前記2つのモータユニットは、同一構成であるものである。
【0010】
さらに、本発明に係る農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、整地作業をする整地体と、前記整地体に関する駆動部とを備え、前記駆動部は、前記整地体を整地作業状態及び土引作業状態に切り換えるための第1のモータユニットと、前記整地体の延長部を作業状態及び非作業状態に切り換えるための第2のモータユニットと、前記整地体の接地圧を調整するための第3のモータユニットとを有し、前記第1のモータユニット、前記第2のモータユニット及び前記第3のモータユニットは、同一構成であるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機の側面図である。
【
図5】
図4の部分拡大図(連結マストを取り外した状態)である。
【
図6】同上農作業機の第1切換部(土引切換部)の斜視図(整地体支持手段を取り外した状態)である。
【
図7】同上第1切換部のモータユニットの斜視図である。
【
図8】同上第1切換部の係合体、規制体及びねじりバネの側面図である。
【
図9】同上農作業機の代掻作業時(整地作業時)の部分側面図である。
【
図10】同上農作業機の土引作業時の部分側面図である。
【
図11】同上農作業機の接地圧調整部(加圧部)の斜視図である。
【
図13】同上農作業機の代掻作業時の部分側面図(整地体はフリー状態)である。
【
図14】同上農作業機の代掻作業時の部分側面図(整地体は加圧状態)である。
【
図15】同上農作業機の第2切換部(延長レーキ開閉部)の後面図(延長レーキは作業状態)である。
【
図16】同上第2切換部の後面図(延長レーキは非作業状態)である。
【
図17】同上農作業機の制御系のブロック図である。
【
図18】同上農作業機に用いられるモータユニットの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施の形態について
図1ないし
図17を参照して説明する。
【0014】
図中の1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結され、そのトラクタの走行により水田等の圃場を前方(進行方向)に移動しながら農作業、すなわち例えば代掻作業(耕耘整地作業)及び土引作業状態(土寄せ作業)を選択的に行うことが可能な代掻機(ハロー)である。
【0015】
農作業機1は、例えば折畳み可能な3分割構造の折畳み作業機で、トラクタの後部の3点リンク部に着脱可能に連結(装着)される中央作業部2と、この中央作業部2の左右方向両端部に回動中心軸5を中心として上下方向に回動可能に設けられた延長作業部(サイド作業部)3と、この延長作業部3を中央作業部2に対して上下方向に回動させる回動駆動手段である電動油圧シリンダ(シリンダ部)4とを備えている。
【0016】
そして、左右の延長作業部3の各々は、いずれも伸縮可能な電動油圧シリンダ4の伸縮動作に基づいて、一方向への回動(開方向への略180度回動)により展開状態となり、他方向への回動(閉方向への略180度回動)により折畳状態となる。それゆえ、この3分割式の農作業機1は、中央作業部2のみで作業を行う状態と、中央作業部2と左右両方の延長作業部3とで作業を行う状態と、中央作業部2と左右いずれか一方のみの延長作業部3とで作業を行う状態とに選択的に切換可能である。
【0017】
中央作業部2は、トラクタの後部の3点リンク部に着脱可能に連結される機体(中央機体)11と、この機体11に回転可能に設けられ、所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体(中央耕耘体)12と、機体11の耕耘カバー部15の後端部に上下方向に回動可能に設けられ、耕耘体12の後方で整地作業をする整地体(中央整地体)13とを備えている。なお、整地体13は、機体11に対して回動可能な整地作業状態では整地作業をするが、機体11に対して回動不能な土引作業状態に切り換えられた場合には土引作業をするものである。
【0018】
機体11は、トラクタの後部の3点リンク部(農作業機昇降支持部)に着脱可能に連結される3点連結部16を左右方向中央部に有している。
【0019】
3点連結部16は、例えばトラクタの3点リンク部に予め装着された図示しないクイックカプラ(オートヒッチ)を介して、トラクタの3点リンク部に連結される。3点連結部16は、クイックカプラの上部フックと係脱可能に係合する上部ピン17を有した上部連結部である連結マスト(トップマスト)18と、クイックカプラの下部フックと係脱可能に係合する下部ピン19を有した左右1対の下部連結部であるロワアーム20とを有している。
【0020】
また、機体11は、トラクタのPTO軸にジョイントを介して接続される入力軸21を回転可能に支持する入力軸支持部(ミッションケース)23を左右方向中央部に有している。この入力軸支持部23の左右両側には、左右方向長手状で筒状のフレームパイプ部24の内端部が連結されている。そして、入力軸支持部23内、左側のフレームパイプ部24内、及び、このフレームパイプ部24の外端部に連結された伝動ケース部内には、入力軸21からの動力を耕耘体12に伝達する動力伝達手段(図示せず)が収納されている。
【0021】
また、入力軸支持部23には、突出状のマスト取付部25が上方及び後方に向かって突出するように固設されている。そして、マスト取付部25には、連結マスト18が取付手段26によって着脱可能に取り付けられている。
【0022】
取付手段26は、例えば複数(例えば2本)のボルト27と、当該ボルト27と螺合する複数のナット28とで構成されている。このため、連結マスト18及びマスト取付部25には、ボルト27を挿通可能なボルト用孔がそれぞれ形成されている。つまり、連結マスト18は、互いに離間対向する左右1対の対向板部29を有し、これら両対向板部29にボルト用孔が形成され、また同様に、マスト取付部25は、互いに離間対向する左右1対の対向板部30を有し、これら両対向板部30にボルト用孔が形成されている。
【0023】
なお、連結マスト18の両対向板部29の上端部同士は、連結板部40で連結されている。入力軸21の上方部はカバー部材22で覆われており、このカバー部材22は入力軸支持部23に取り付けられている。
【0024】
耕耘体12は、動力伝達手段からの動力に基づいて所定方向に駆動回転する左右方向の耕耘軸31と、この耕耘軸31に着脱可能に取り付けられた複数の耕耘爪32とを有している。そして、耕耘体12の上方部は、機体11の屈曲板状の耕耘カバー部15で覆われている。
【0025】
整地体13は、機体11の耕耘カバー部15の後端部に左右方向の軸33を中心として上下方向に回動可能に取り付けられた略板状の第1整地部である第1整地体(均平板)36と、この第1整地体36の下端部に左右方向の軸34を中心として上下方向に回動可能に取り付けられた略板状の第2整地部である第2整地体(レーキ)37とを有している。
【0026】
左右の各延長作業部3は、中央作業部2の機体11に対して回動中心軸(回動支点)5を中心として上下方向に回動可能な機体(延長機体)41と、この機体41に回転可能に設けられ、延長作業部3の展開状態時に中央作業部2の耕耘体12と一体となって耕耘作業をする耕耘体(延長耕耘体)42と、機体41の耕耘カバー部45の後端部に上下方向に回動可能に設けられ、延長作業部3の展開状態時に中央作業部2の整地体13と一体となって整地作業をする整地体(延長整地体)43とを備えている。なお、整地体43は、機体41に対して回動可能な整地作業状態では整地作業をするが、機体41に対して回動不能な土引作業状態に切り換えられた場合には土引作業をするものである。
【0027】
延長作業部3の耕耘体42は、中央作業部2の耕耘体12と同様、左右方向の耕耘軸51と、この耕耘軸51に着脱可能に取り付けられた複数の耕耘爪52とを有している。そして、耕耘体42の上方部は、機体41の耕耘カバー部45で覆われている。
【0028】
延長作業部3の整地体43は、中央作業部2の整地体13と同様、機体41の耕耘カバー部45の後端部に左右方向の軸を中心として上下方向に回動可能に取り付けられた略板状の第1整地部である第1整地体(均平板)53と、この第1整地体53の下端部に左右方向の軸を中心として上下方向に回動可能に取り付けられた略板状の第2整地部である第2整地体(レーキ)54とを有している。また、左右の各第2整地体54の外端部には、展開及び折畳可能な板状の延長部である延長レーキ(補助整地板)55が軸56を中心として回動可能に設けられている。
【0029】
また一方、農作業機1は、整地体13,43(中央作業部2のみで作業を行う場合は整地体13のみであるが、中央作業部2と延長作業部3とで作業を行う場合は互いに連結した整地体13及び整地体43の両方である)を整地作業状態(機体に対して回動可能な状態)及び土引作業状態(機体に対して回動不能な状態)に選択的に切換可能な中央の第1切換部61を備えている。
【0030】
また、農作業機1は、整地作業状態の整地体13,43の接地圧(整地作業時における整地体の圃場面に対する接地圧)を調整可能な左右の接地圧調整部171を備えており、これら両接地圧調整部171は、左右対称の構成である。なお、これら両接地圧調整部171は、必ずしも左右対称の構成である必要はなく、例えば同一構成でもよい。
【0031】
さらに、農作業機1は、整地体43の延長部である延長レーキ55を作業状態(展開作業状態)及び非作業状態(折畳非作業状態)に選択的に切換可能な左右の第2切換部172を備えている。なお、これら両第2切換部172は、左右対称の構成である。
【0032】
そして、第1切換部(土引切換部)61は、整地体13,43を整地作業状態及び土引作業状態に切り換えるための第1のモータユニット67を有するとともに、各第2切換部(延長レーキ開閉部)172は、整地体43の延長レーキ55を作業状態及び非作業状態に切り換えるための第2のモータユニット67aを有し、かつ、各接地圧調整部(加圧部)171は、整地体13,43の接地圧を調整するための第3のモータユニット67bを有している。
【0033】
つまり、この農作業機1は、整地手段である整地体13,43に関する駆動部(整地体用の駆動手段)170を備え、この駆動部170は、当該整地体13,43に対する使用目的(用途)がそれぞれ異なる少なくとも2つのモータユニット、すなわち例えば第1ないし第3のモータユニット67,67a,67bを有している。
【0034】
そして、これら第1ないし第3のモータユニット67,67a,67bは、すべて同一構成である。換言すると、駆動部170を構成する複数、例えば5つのモータユニット67,67a,67bの各々は、内部構造を含む全体構造が同一構成(略同一の構成を含む)の共通ユニット(同じ駆動ユニット)からなるものである。
【0035】
そして、駆動部170のモータユニット67,67a,67b(以下において、単に「共通ユニット」という場合がある)は、配線等によって制御部169に電気的に接続され、この制御部169がリモコン等の操作部168からの情報(信号)に基づいて各モータユニットを適宜制御する(
図17参照)。
【0036】
なお、左右の第2のモータユニット(延長レーキ用のモータユニット)67aは、それぞれ個別に駆動するものであるが、左右の第3のモータユニット(接地圧調整用のモータユニット)67bは、同期駆動するものである。ただし、当該構成には限定されず、両モータユニット67aが同期駆動する構成や、両モータユニット67bが個別駆動する構成等でもよい。
【0037】
また、制御部169は、例えば中央作業部2の機体11の右側のフレームパイプ部24に取り付けられている。操作部168は、例えばトラクタに乗った作業者が操作可能な位置に配置されている。なお、制御部169や操作部168の位置は任意であり、例えば制御部169をフレームパイプ部24以外の部材に取着してもよい。
【0038】
ここで、まず、第1切換部61は、
図3ないし
図6等に示すように、作業者による操作部168の操作に基づいて整地体13,43の状態を自動で切り換えるための切換用の駆動手段63を有し、この駆動手段63は、機体11のうち連結マスト18以外の部分、すなわち例えば耕耘カバー部15の上面における左右方向中央近傍の取付面部64に取り付けられて設けられている。
【0039】
つまり、駆動手段63は、中央作業部2の機体11の連結マスト18には装着されておらず、当該連結マスト18以外の位置、すなわち例えば耕耘カバー部15上の取付位置(農作業機中央近傍の位置)に取り付けられている。
【0040】
そして、駆動手段63は、例えばそれぞれ複数のボルト58及びナット59からなる取付手段65によって耕耘カバー部15の取付面部64に取り付けられた板状の支持部材(ベース部材)66と、この支持部材66によって支持された第1のモータユニット67とを有している。つまり、機体11の耕耘カバー部15の上面に固定された支持部材66には、第1のモータユニット67が複数のボルト71で着脱可能に取り付けられている。
【0041】
第1のモータユニット67は、
図7に示すように、制御部169で制御される駆動源である電動モータ及び複数のギア等を内部構造として内部に収納した容器状の本体部81を有している。
【0042】
本体部81は、モータユニットベース75を有し、このモータユニットベース75にはモータユニットカバー76が着脱可能に装着されている。モータユニットベース75には、支持部材66に取り付けられる複数の取付部(ナット部)72が一体的に突設され、この各取付部72にはボルト71と螺合するねじ溝部70が形成されている。
【0043】
モータユニットベース75は、軸用孔77を有し、この軸用孔77から出力軸である回動軸(駆動軸)82がモータユニットカバー76側とは反対側に向かって突出している。軸部である回動軸82は、本体部81内の電動モータ(正逆回転モータ)からの動力に基づいて一方向及び他方向に回動可能な丸軸状の部材であり、その先端側には軸方向に直交するピン用孔78が形成されている。なお、他のモータユニット67a,67bも、当該
図7に示す第1のモータユニット67と同じ構成のものである。
【0044】
支持部材66は、耕耘カバー部15の取付面部64に取付手段65で着脱可能に取り付けられた板状のベース板部86を有し、このベース板部86には取付板部87が立設され、この取付板部87に第1のモータユニット67が着脱可能に取り付けられている。
【0045】
また、取付板部(ユニット支持部)87には、対応する第1のモータユニット67外の位置でその第1のモータユニット67の回動軸82の回動(可動域)を規制する規制手段90が設けられている。
【0046】
規制手段90は、例えば回動軸82に取り付けられた回動体(アーム)93との当接により当該回動体93を介して回動軸82の回動を規制する2本の軸状の規制部(拘束部材)である一方側規制軸88及び他方側規制軸89を有している。つまり、規制手段90は、互いに離間対向する対をなす規制軸(接触部材であるストッパ)である一方側規制軸88及び他方側規制軸89で構成されている。
【0047】
各規制軸88,89は、支持部材66の取付板部87に突設され、この取付板部87のうち両規制軸88,89間の部分には軸用孔91が形成され、この軸用孔91に回動軸82が挿通されている。なお、取付板部87には複数のボルト用孔も形成され、この各ボルト用孔にボルト71が挿通されている。
【0048】
また、第1切換部61は、第1のモータユニット67の回動軸82からの動力に基づいてその回動軸82と一体となって前後方向に回動する回動体93を有している。
【0049】
回動体93は、略扇状の回動板部94と、この回動板部94に突設され、回動軸82が挿脱可能に挿入(嵌入)された筒状部95とを有している。回動板部94には、筒状部95の軸芯を中心(略中心を含む)とする円弧状の長孔部96が形成されている。なお、長孔部96は円弧状ではなく直線状でもよい。
【0050】
また、筒状部95にはピン用孔97が形成され、この筒状部95のピン用孔97及び挿入状態の回動軸82のピン用孔78に取付ピン73が挿脱可能に挿通されている。なお、両ピン用孔78,97に挿通された取付ピン73は、図示しない抜止ピンで抜け止めされている。
【0051】
そして、回動体93の一方向への回動(回動軸の一方向への回動)は、回動体93と一方側規制軸88との当接により規制される。また、回動体93の他方向への回動(回動軸の他方向への回動)は、回動体93と他方側規制軸89との当接によって規制される。
【0052】
さらに、第1切換部61は、回動体93の長孔部96に挿通された丸軸状の挿通軸104を有する保持体101と、この保持体101によって摺動可能に保持された長尺状の長尺体102とを有している。
【0053】
保持体101は、直方体状(円筒状等でもよい)の本体部103を有し、この本体部103には挿通軸104及びグリースニップル用の取付部105が突設されている。また、本体部103には挿通孔106が貫通して形成され、この挿通孔106に長尺体102が摺動可能に挿通されて保持されている。
【0054】
長尺体102は、真っ直ぐな細長い丸軸状の軸状部111を有し、この軸状部111の一端側外周面にはねじ溝部112が形成され、このねじ溝部112に抜止用のナット113がワッシャ114とともに螺合により取り付けられている。また、軸状部111の他端部には板状の連結板部116が連設され、この連結板部116にピン用孔117が形成されている。さらに、軸状部111の外周面における他端部近傍には、突出状でかつ円環状のバネ当接部118が固設されている。
【0055】
そして、長尺体102の軸状部111の外周側には、長尺体102を付勢する弾性変形可能な第1弾性部材であるコイルバネ120が配設されている。コイルバネ120は、その一端部がワッシャ114を介して保持体101の本体部103に当接し、その他端部が長尺体102の軸状部111に固着されたバネ当接部118に当接する。
【0056】
また、第1切換部61は、丸軸状の係合部である係合軸121を有する整地体支持手段122と、その係合軸121との係合によって整地体13を土引作業状態に維持してロックする回動可能な板状の係合体(土引カム)123と、この係合体123と長尺体102とを連結する連結体124とを有している。
【0057】
さらに、第1切換部61は、係合体123の回動を規制する規制体125と、これら係合体123及び規制体125間に架設され、当該係合体123を付勢する弾性変形可能な第2弾性部材であるねじりバネ130とを有している。
【0058】
整地体支持手段122は、整地体13を支持するもので、機体11のマスト取付部25の後端部に上下方向に回動可能に取り付けられた第1支持アーム131と、この第1支持アーム131の後端部に上下方向に回動可能に取り付けられた第2支持アーム132とを有している。そして、第2支持アーム132の下端部は、整地体13の第2整地体37に回動可能に取り付けられている。
【0059】
また、整地体支持手段122は、係合体123と係脱可能に係合する係合アーム133を有し、この係合アーム133の後端部(下端部)は、第1支持アーム131の取付部134に回動可能に取り付けられている。そして、係合アーム133は、自由端側である前端側(上端側)に係合軸121を有し、この係合軸121が整地体13の土引作業状態時に係合体123と係合する。なお、係合アーム133の前端側は、連結マスト18内に挿入配置されている。
【0060】
係合アーム133は、互いに離間対向する左右1対の対向板部136を有し、これら両対向板部136の上端部同士が上板部である連結板部137で連結され、この連結板部137には前後方向長手状の開口部138が形成されている。そして、係合体123の出入部139は、その開口部138を介して係合アーム133内に対して出入可能となっている。
【0061】
係合体123は、例えば所定形状に形成された1枚の板状部材からなるもので、機体11のマスト取付部25に左右方向の軸(回動支点)140を中心として回動可能に設けられている。この係合体123は、例えばボルト141及びナット142でマスト取付部25に回動可能に取り付けられ、そのボルト141の軸部によって係合体123の回動支点である軸140が構成されている。なお、ボルト141及びナット142の代わりに、ピンを用いて係合体123をマスト取付部25にそのピンを中心として回動可能に設けてもよい。規制体125は、マスト取付部25の左側の対向板部30に固設されている。
【0062】
また、係合体123は、係合アーム133の係合軸121と係脱可能に係合する係合凹部145を有し、この上方側に向かって開口した凹状の係合凹部145には、膨出部分146及び窪み部分147が形成されている。膨出部分146は係合凹部145の一方側上部に形成され、かつ、窪み部分147は係合凹部145の他方側下部に形成されている。
【0063】
さらに、係合体123は、ねじりバネ130の付勢力(
図8に示すa方向の付勢力)を受けた状態で規制体125の第1規制面151に当接(接触)する第1当接面153と、ねじりバネ130の付勢力(
図8に示すb方向の付勢力)を受けた状態で規制体125の第2規制面152に当接(接触)する第2当接面154とを有している。また、ねじりバネ130は、軸140を中心とした係合体123の回動時に支点越えするもので、その一端部が係合体123の取付孔155に取り付けられ、その他端部が規制体125の取付孔156に取り付けられている(
図8参照)。
【0064】
連結体124は、中間の一箇所で屈曲した丸軸状の軸状部161を有し、この軸状部161の一端側が係合体123の連結孔157に嵌入されて溶接等で固定されている。また、軸状部161の他端部には板状の連結板部162が連設され、この連結板部162にピン用孔163が形成されている。
【0065】
そして、連結ピン165が連結体124の連結板部162のピン用孔163及び長尺体102の連結板部116のピン用孔117に挿通されることにより、両連結板部116,162相互が連結されている。これら両ピン用孔117,163に挿通された連結ピン165は、図示しない抜止ピンで抜け止めされている。こうして、連結体124によって係合体123と長尺体102とが互いに連結され、長尺体102の移動に応じて係合体123が回動する。
【0066】
そして、
図9に示すように、代掻作業時には、整地体13,43は、第1切換部61によって整地作業状態に切換設定された状態で整地作業をするが、この際、回動体(アーム)93は、規制手段90の他方側規制軸89に当接している。
【0067】
ここで、土引作業をするために、トラクタの3点リンク部を油圧で作動させて農作業機1を所定位置まで持ち上げた状態で、作業者が操作部168の土引切換ボタンを操作すると、制御部169の制御により第1のモータユニット67の電動モータが作動して、回動軸82が回動体93とともに一方向に回動する。
【0068】
そして、回動体93が一方側規制軸88に当接すると、この当接により回動体93及び回動軸82の一方向への回動が規制される。
【0069】
すると、制御部169は、第1のモータユニット67の電動モータに過負荷が生じたと判断して当該電動モータを停止させる。この際における回動軸82の回動角度は、例えば略80度である(当然ながら回動軸の他方向への回動角度も同じで略80度)。なお、当該電動モータの停止により、回動軸82は停止位置(規制位置)に保持される(以下でも同様)。
【0070】
そして、回動体93の一方向への回動により保持体101の挿通軸104が長孔部96の一端部に押されることで長尺体102が前方側に移動し、この移動に応じて係合体123が当該係合体123の第1当接面153と規制体125の第1規制面151とが当接する当接位置(土引位置)まで回動する。
【0071】
なおこの際、コイルバネ120が長尺体102を前方側に付勢するため、係合体123の出入部139が係合アーム133の開口部138の縁部分に接触(干渉)しても、係合体123は、コイルバネ120の付勢力を受けて所望の当接位置まで回動する。また、係合体123は、回動途中の支点越えの位置からねじりバネ130の付勢力も受ける。
【0072】
また、係合体123の回動によって係合アーム133の係合軸121が係合体123の係合凹部145の窪み部分147との対向位置に移動し、その結果、第2整地体37,54が下方回動して傾斜姿勢となり、整地体13,43が土引作業状態に切換設定される。
【0073】
そして、
図10に示すように、圃場でトラクタの3点リンク部を油圧で作動させて農作業機1を所定位置(土引作業姿勢)まで降ろしてから、トラクタの走行により農作業機1を前方(進行方向)に移動させると、整地体13,43は、第1切換部61によって土引作業状態に切換設定された状態で土引作業をする。
【0074】
このとき、係合アーム133の係合軸121と係合体123の係合凹部145の窪み部分147との係合により、係合アーム(ロックアーム)133がロックされるため、整地体13,43は、土引作業状態(ロック状態)に維持されて土引作業を行う。
【0075】
なお、土引作業の終了後、農作業機1を所定位置まで持ち上げた状態で、作業者が操作部168の代掻切換ボタンを操作した場合には、制御部169の制御により第1のモータユニット67の電動モータが作動して回動軸82が回動体93とともに他方向に回動する。そして、回動体93が他方側規制軸89に当接すると、この当接により回動体93及び回動軸82の他方向への回動が規制される。すると、制御部169は、第1のモータユニット67の電動モータに過負荷が生じたと判断して当該電動モータを停止させる。
【0076】
そして、回動体93の他方向への回動により保持体101の挿通軸104が長孔部96の他端部に押されることで長尺体102が後方側に移動し、この移動に応じて係合体123がその第1当接面153と第1規制面151とが互いに離れる方向(前方側)に回動する。なおこの際、ねじりバネ130は、係合体123の回動途中で支点越えして付勢方向が変わる。
【0077】
また、係合体123の回動によって係合アーム133の係合軸121が係合体123の係合凹部145の窪み部分147との対向位置から離れて膨出部分146の下側に当接係合し、その結果、係合軸121と窪み部分147との係合による係合アーム133のロックが解除され、整地体13,43が整地作業状態に切換設定される。よって、上記
図9の如く代掻作業が可能となる。
【0078】
次いで、
図11ないし
図14を参照しつつ、接地圧調整部171について説明する。
【0079】
接地圧調整部171は、整地体13,43の接地圧を調整するための第3のモータユニット67bを有し、この第3のモータユニット67bは、上記モータユニット67と同一構成であるから、構成部材等に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
そして、第3のモータユニット67bは、上記モータユニット67と同様、例えばそれぞれ複数のボルト58及びナット59からなる取付手段65で耕耘カバー部15に取り付けられた板状の支持部材(ベース部材)173によって支持されている。つまり、耕耘カバー部15の上面に固定された支持部材173には、第3のモータユニット67bが複数のボルト71で着脱可能に取り付けられている。
【0081】
支持部材173は、耕耘カバー部15の取付面部64に取付手段65で着脱可能に取り付けられた板状のベース板部175を有し、このベース板部175には取付板部176が立設され、この取付板部176に第3のモータユニット67bが着脱可能に取り付けられている。この取付板部176には軸用孔177が形成され、この軸用孔177に回動軸82が挿通されている。なお、取付板部176には複数のボルト用孔も形成され、この各ボルト用孔にボルト71が挿通されている。
【0082】
また、ベース板部175には、互いに離間対向する左右1対の対向板部178が立設され、この両対向板部178には、対応する第3のモータユニット67b外の位置でその第3のモータユニット67bの回動軸82の回動(可動域)を規制する規制手段180が設けられている。
【0083】
規制手段180は、例えば回動軸82に取り付けられた回動体(アーム)185との当接により当該回動体185を介して回動軸82の回動を規制する2本の軸状の規制部(拘束部材)である一方側規制軸181及び他方側規制軸182を有している。つまり、規制手段180は、互いに離間対向する対をなす規制軸(接触部材であるストッパ)である一方側規制軸181及び他方側規制軸182で構成されている。
【0084】
各規制軸181,182は、支持部材173の両対向板部178に架設されている。また、支持部材173の両対向板部178には、回動体185を回動可能に支持する支持軸(回動中心軸)183が架設されている。支持軸183は、第3のモータユニット67bの回動軸82と同軸上に位置している。
【0085】
回動体185は、第3のモータユニット67bの回動軸82からの動力に基づいて支持軸183を中心としてその回動軸82と一体となって前後方向に回動するものである。
【0086】
回動体185は、例えば左右の対向板187及びこれら両対向板187同士を連結した連結軸186からなる回動板部188を有している。回動板部188の一方の対向板187には筒状部189が突設され、この筒状部189内に回動軸82の先端側が挿脱可能に挿入(嵌入)されている。回動板部188の両対向板187には、筒状部189の軸芯を中心(略中心を含む)とする略円弧状(直線状でもよい)の長孔部190がそれぞれ形成されている。
【0087】
また、筒状部189にはピン用孔191が形成され、このピン用孔191及び挿入状態の回動軸82のピン用孔78に取付ピン73が挿脱可能に挿通されている。なお、両ピン用孔78,191に挿通された取付ピン73は、図示しない抜止ピンで抜け止めされている。
【0088】
そして、回動体185の一方向への回動(回動軸の一方向への回動)は、回動体185と一方側規制軸181との当接により規制される。また、回動体185の他方向への回動(回動軸の他方向への回動)は、回動体185と他方側規制軸182との当接によって規制される。
【0089】
また、接地圧調整部171は、伸縮可能な付勢体であるガススプリング193を有し、このガススプリングは、窒素ガス等が封入されたシリンダー部194と、このシリンダー部194に対して進退可能なロッド部195とで構成されている。なお、ロッド部195は、図示しないロッドカバーで覆われている。
【0090】
そして、ガススプリング193の上端部には、スライド部材である取付ピン196が取り付けられている。取付ピン196は、回動体185の長孔部190内に当該長孔部190に沿ってスライド可能に挿通されている。なお、両対向板187の長孔部190に挿通された取付ピン196は、図示しない抜止ピンで抜け止めされている。他方、ガススプリング193の下端部は、整地体13の第1整地体36に立設された取付部197に取付ピン198を介して回動可能に取り付けられている。
【0091】
ここで、例えば整地作業状態の整地体13,43をフリー状態(ガススプリングの付勢力を受けない状態)にして代掻作業をする場合、作業者は、操作部168のフリー切換ボタンを操作する。すると、制御部169の制御により第3のモータユニット67bの電動モータが作動して、回動軸82が回動体185とともに一方向に回動する。
【0092】
そして、回動体185が一方側規制軸181に当接すると、この当接により回動体185及び回動軸82の一方向への回動が規制される。
【0093】
すると、制御部169は、第3のモータユニット67bの電動モータに過負荷が生じたと判断して当該電動モータを停止させる。この際における回動軸82の回動角度は、例えば略85度である。
【0094】
そして、
図13に示すように、トラクタの走行により農作業機1を前方に移動させると、整地作業状態でかつフリー状態の整地体13,43は、伸び切った自然長のガススプリング193から付勢力を受けることなく、自重のみに基づく接地圧で圃場面に接地して整地作業をする。
【0095】
また、例えば整地作業状態の整地体13,43を加圧状態(ガススプリングの下向きの付勢力を受ける状態)にして代掻作業をする場合、作業者は、操作部168の加圧切換ボタンを操作する。すると、制御部169の制御により第3のモータユニット67bの電動モータが作動して、回動軸82が回動体185とともに他方向に回動する。
【0096】
そして、回動体185が他方側規制軸182に当接すると、この当接により回動体185及び回動軸82の他方向への回動が規制される。
【0097】
すると、制御部169は、第3のモータユニット67bの電動モータに過負荷が生じたと判断して当該電動モータを停止させる。なお、ガススプリング193は、トラクタの3点リンク部による農作業機1の下降によって整地体13,43が圃場面に接地した際に、取付ピン196が長孔部190の端部に当接して回動体185に押されることにより、所定量だけ縮んだ状態となる。
【0098】
そして、
図14に示すように、トラクタの走行により農作業機1を前方に移動させると、整地作業状態でかつ加圧状態の整地体13,43は、縮んだガススプリング193の付勢力によって下方側に付勢(加圧)されながら整地作業をする。
【0099】
なお、接地圧調整部171は、ガススプリング等の付勢体で整地体を付勢して、その整地体の接地圧を自重のみに基づく接地圧よりも増大させることが可能なものであるが、例えば整地体の接地圧を自重のみに基づく接地圧よりも減少させることが可能なものでもよく、また増大(加圧状態)と減少(浮かせ状態)の両方が可能なもの等でもよい。さらに、付勢体は、ガススプリングには限定されず、コイルバネ等のバネ部材を用いてもよい。
【0100】
次いで、
図15及び
図16を参照しつつ、第2切換部172について説明する。
【0101】
第2切換部172は、整地体43の延長レーキ55を作業状態及び非作業状態に切り換えるための第2のモータユニット67aを有し、この第2のモータユニット67aは、上記モータユニット67,67bと同一構成であるから、構成部材等に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0102】
そして、第2のモータユニット67aは、上記モータユニット67,67bと同様、例えばそれぞれ複数のボルト58及びナット59からなる取付手段65で耕耘カバー部45に取り付けられた板状の支持部材(ベース部材)201によって支持されている。つまり、耕耘カバー部45の上面に固定された支持部材201には、第2のモータユニット67aが複数のボルト71で着脱可能に取り付けられている。
【0103】
支持部材201は、耕耘カバー部45の取付面部64に取付手段65で着脱可能に取り付けられた板状のベース板部202を有し、このベース板部202には取付板部203が立設され、この取付板部203に第2のモータユニット67aが着脱可能に取り付けられている。
【0104】
また、取付板部203には、対応する第2のモータユニット67a外の位置でその第2のモータユニット67aの回動軸82の回動(可動域)を規制する規制手段205が設けられている。
【0105】
規制手段205は、例えば回動軸82に取り付けられた回動体(アーム)210との当接により当該回動体210を介して回動軸82の回動を規制する2本の軸状の規制部(拘束部材)である一方側規制軸206及び他方側規制軸207を有している。つまり、規制手段205は、互いに離間対向する対をなす規制軸(接触部材であるストッパ)である一方側規制軸206及び他方側規制軸207で構成されている。
【0106】
各規制軸206,207は、支持部材201の取付板部203に突設され、この取付板部203のうち両規制軸206,207間の部分には軸用孔208が形成され、この軸用孔208に回動軸82が挿通されている。なお、取付板部203には複数のボルト用孔も形成され、この各ボルト用孔にボルト71が挿通されている。
【0107】
回動体210は、第2のモータユニット67aの回動軸82からの動力に基づいてその回動軸82と一体となって左右方向に回動するものである。
【0108】
回動体210は、例えば長手状をなす断面略コ字状の回動部211を有し、この回動部211の先端部には弾性変形可能な棒状部212が設けられている。回動部211の基端部には筒状部213が設けられ、この筒状部213内に回動軸82の先端側が挿脱可能に挿入(嵌入)されている。
【0109】
また、筒状部213にはピン用孔214が形成され、このピン用孔214及び挿入状態の回動軸82のピン用孔78に取付ピン73が挿脱可能に挿通されている。なお、両ピン用孔78,214に挿通された取付ピン73は、図示しない抜止ピンで抜け止めされている。
【0110】
そして、回動体210の一方向への回動(回動軸の一方向への回動)は、回動体210と一方側規制軸206との当接により規制される。また、回動体210の他方向への回動(回動軸の他方向への回動)は、回動体210と他方側規制軸207との当接によって規制される。
【0111】
また、第2切換部172は、回動体210の棒状部212と整地体43の延長レーキ55とを連結する連結部材である連結ワイヤ216を有している。連結ワイヤ216の一端部は、棒状部212の取付部217に環状部材218を介して取り付けられている。連結ワイヤ216の他端部は、延長レーキ55の取付部219に環状部材220を介して取り付けられている。
【0112】
なお、図中の221は、延長レーキ55の状態を維持するためのコイルバネ(引きばね)で、その一端部は延長レーキ55の取付部222に取り付けられ、その他端部が第2整地体54の取付部223に取り付けられている。
【0113】
ここで、例えば延長レーキ(サイドレーキ)55を作業状態にして代掻作業をする場合、すなわち例えば左右の延長レーキ55を使用する場合、作業者は、操作部168の左右の延長レーキ開ボタンをそれぞれ操作する。すると、制御部169の制御により第2のモータユニット67aの電動モータが作動して、回動軸82が回動体210とともに一方向に回動する。
【0114】
そして、回動体210が一方側規制軸206に当接すると、この当接により回動体210及び回動軸82の一方向への回動が規制される。
【0115】
すると、制御部169は、第2のモータユニット67aの電動モータに過負荷が生じたと判断して当該電動モータを停止させる。この際における回動軸82の回動角度は、例えば略170度である。なお、この回動軸82の一方向(開方向)への回動によって延長レーキ55が作業状態に切換設定される。
【0116】
そして、
図15に示すように、トラクタの走行により農作業機1を前方に移動させると、作業状態の延長レーキ55は、第2整地体54と一体となって整地作業をする。
【0117】
また、例えば左右の延長レーキ55を使用しない場合、作業者は、操作部168の左右の延長レーキ閉ボタンをそれぞれ操作する。すると、制御部169の制御により第2のモータユニット67aの電動モータが作動して、回動軸82が回動体210とともに他方向に回動する。
【0118】
そして、回動体210が他方側規制軸207に当接すると、この当接により回動体210及び回動軸82の他方向への回動が規制される。すると、制御部169は、第2のモータユニット67aの電動モータに過負荷が生じたと判断して当該電動モータを停止させる。
【0119】
その結果、回動軸82の他方向(閉方向)への回動によって延長レーキ55が非作業状態に切換設定される(
図16参照)。なお、左右の延長レーキ55について、それぞれ対応する第2のモータユニット67aを用いて個別に開閉することも可能である。
【0120】
そして、上記農作業機1によれば、整地体13,43に関する駆動部170は、第1のモータユニット67(中央の第1切換部における1つのモータユニット)と、左右1対の第2のモータユニット67a(左右の第2切換部における2つのモータユニット)と、左右1対の第3のモータユニット67b(左右の接地圧調整部における2つのモータユニット)とを有し、これら第1ないし第3のモータユニット67,67a,67bはすべて同一構成であるから、従来必要であったそれぞれ構成が異なる専用のモータユニットが不要となり、生産性の向上を図ることができ、また、組立作業性、メンテナンス性、及び部品管理性等の向上も図ることができる。
【0121】
しかも、それら複数のモータユニット67,67a,67bのうちのいずれか1つ、すなわち例えば第1のモータユニット67が故障して使えなくなった場合でも、それに代えて他の故障していない第2又は第3のモータユニット67a,67bを支持部材66に取り付けて使用することで、整地体13,43を土引作業状態に切り換えることができて土引作業ができるので、作業の中断を最小限にできる。
【0122】
また、同一の各モータユニット67,67a,67bである共通ユニットは、内蔵した電動モータからの動力を出力する動力出力部である回動軸82を有し、この回動軸82の回動(出力動作)を規制する規制手段90,180,205が本体部81内ではなく本体部81外の位置(対応するモータユニットの外部位置)に設けられているため、例えば使用目的や左右、型種等に応じて回動軸82の回動角度(可動域である回動量)を任意に変更でき、よって、同一構成からなる複数の共通ユニットを使用しても、例えば使用目的、取付位置等に応じて異なる可動域で動作させることができる。
【0123】
さらに、規制手段90,180,205は、回動軸82とともに連動回動する回動体(連動体)93,185,210との当接によりその回動軸82の回動を規制する対をなす規制軸88,89,181,182,206,207を有するため、それら両者の物理的な当接(接触)によって回動軸82の回動角度を適切に規制できる。
【0124】
また、規制手段90,180,205は、対応する支持部材(ベース体であるユニット取付台)66,173,201に一体的に設けられているため、当該支持部材に共通ユニットを取り付けるだけでその可動域を適切に設定できる。
【0125】
さらに、第1切換部61の駆動手段63は、機体11のうち連結マスト18以外の部分、すなわち例えば耕耘カバー部15に設けられているため、例えば交換作業の作業者が連結マスト18の交換作業を行う場合等において、駆動手段を連結マストから取り外す作業をする必要がなく、その交換作業が容易であり、作業者の負担軽減を図ることができる。
【0126】
なお、上記一実施の形態では、農作業機1の駆動部170は、
図7に示すモータユニット67,67a,67bを有する構成について説明したが、例えば
図18に示すモータユニット215を有する構成でもよい。
【0127】
この
図18に示すモータユニット225は、
図7に示すものとは異なり、回動軸82の回動を検知する検知手段(センサ)226が本体部81内に設けられている。検知手段226は、回動軸82の回動角度を検知してその情報(信号)を制御部169に送信するもので、例えばポテンショメータセンサ、パルスセンサ等である。
【0128】
そして、制御部169は、検知手段226からの情報に基づいて、回動軸82が予め設定された回動角度(例えば土引の略80度、加圧の略85度、延長レーキの略170度)だけ回動するように、各共通ユニットの電動モータを制御する。
【0129】
なお、このモータユニット225を用いた場合、物理的な規制手段は必ずしも必要ではない。また、検知手段は、モータユニット内ではなくモータユニット外の位置(例えば共通ユニットを支持する支持部材等)に設けてもよい。さらに、検知手段と制御部とで規制手段(共通ユニットの可動規制を行う手段)を構成するようにしてもよい。
【0130】
また、農作業機は、3分割構造の折畳み作業機には限定されず、例えば片側のみが折畳み可能な作業機や、折畳み不可能な一本物の作業機等でもよく、また、整地体は、第1整地体と第2整地体とを有するものには限られず、例えば第1整地体である均平板(エプロン)のみを有するものでもよい。
【0131】
また、駆動部は、少なくとも使用目的(可動域)がそれぞれ異なる第1ないし第3のモータユニットのうち少なくとも2つ、すなわち例えば第1及び第2、第2及び第3、或いは第1及び第3のモータユニットを有し、当該2つのモータユニットが同一構成となっているものでもよい。それゆえ、例えば整地体の接地圧を調整するためのモータユニット(加圧ユニット)を有さず、整地体を整地作業状態及び土引作業状態に切り換えるためのモータユニット(土引ユニット)及び整地体の延長部を作業状態及び非作業状態に切り換えるためのモータユニット(レーキ開閉ユニット)のみを有してこれら両者のモータユニットを同一構成としたものでもよい。
【0132】
さらに、少なくとも2つのモータユニットが同一構成であるとは、両者のモータユニットが完全に同一の構成である場合に加えて、両者のモータユニットが実質的に略同一の構成(例えばデザイン性を考慮してモータユニットカバーの形状、模様、色彩等を含む外観だけが少し異なる構成や、モータユニットベースの取付部である取付手段が異なる構成等)である場合をも含む意味である。
【符号の説明】
【0133】
1 農作業機
12,42 耕耘体
13,43 整地体
15,45 耕耘カバー部
55 延長部である延長レーキ
66 支持部材
67,67a,67b モータユニット
82 回動軸
88,89 規制部である規制軸
90 規制手段
93 回動体
170 駆動部
173 支持部材
180 規制手段
181,182 規制部である規制軸
185 回動体
201 支持部材
205 規制手段
206,207 規制部である規制軸
210 回動体
225 モータユニット
226 検知手段