(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120599
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】車両用運転支援システム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20240829BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240829BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240829BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20240829BHJP
B60R 1/29 20220101ALI20240829BHJP
B60R 11/04 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G08B25/00 510M
G08G1/16 C
G08B25/04 C
G08B21/00 U
B60R1/29
B60R11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027496
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】橋本 龍司
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
(72)【発明者】
【氏名】河村 知史
(72)【発明者】
【氏名】田岡 巧
【テーマコード(参考)】
3D020
5C086
5C087
5H181
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BA20
3D020BC02
5C086AA22
5C086BA22
5C086CA06
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA08
5C086FA06
5C086FA12
5C086FA17
5C087AA02
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5C087BB72
5C087DD03
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5C087EE05
5C087EE18
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5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG84
5H181AA01
5H181AA06
5H181AA16
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5H181CC12
5H181CC14
5H181EE10
5H181EE12
5H181FF05
5H181FF10
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】車両の発車に係る運転者の負担を軽減させる。
【解決手段】車両用運転支援システム10は、乗員を輸送する車両12に搭載され、車両12の運転者の運転を支援する。車両用運転支援システム10は、乗員の姿勢を含む乗員情報と車両12の発車のための動作である発車動作とを取得する制御部20を備える。制御部20は、乗員情報に基づいて乗員の移動に関連する動作である乗員動作を検出し、発車動作を取得し且つ乗員動作を検出したことを実行条件として、実行条件が成立したときに車両12の発車不可の信号を発信する発信処理を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員を輸送する車両に搭載され、前記車両の運転者の運転を支援する車両用運転支援システムであって、
前記乗員の姿勢を含む乗員情報と前記車両の発車のための動作である発車動作とを取得する制御部を備え、
前記制御部は、前記乗員情報に基づいて前記乗員の移動に関連する動作である乗員動作を検出し、前記発車動作を取得し且つ前記乗員動作を検出したことを実行条件として、前記実行条件が成立したときに前記車両の発車不可の信号を発信する発信処理を行う、車両用運転支援システム。
【請求項2】
前記車両の後続車に向けて表示する表示部を備え、
前記発車動作は複数あり、
複数の前記発車動作と前記乗員情報との組み合わせに応じて異なるように前記車両の発車までの進行度合いが設定され、
前記制御部は、前記発車動作を取得したときに前記発車動作と前記乗員情報とに基づいて前記進行度合いを選択し、選択した前記進行度合いを前記表示部に表示させる、請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項3】
前記乗員に通知する乗員通知部を備え、
前記発車動作は複数あり、
複数の前記発車動作の組み合わせに応じて異なるように前記乗員への注意喚起のための通知が設定され、
前記制御部は、前記発車動作を取得しかつ前記乗員動作を検出したときに前記発車動作に基づいて前記通知を選択し、選択した前記通知を前記乗員通知部に行わせる、請求項1又は請求項2に記載の車両用運転支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗員を輸送する車両に搭載されるとともに、車両の運転者の運転を支援する車両用運転支援システムが知られている。例えば、特許文献1に記載の車両用運転支援システムは、乗員の姿勢を含む乗員情報を取得するとともに、取得した乗員情報に基づいて乗員の姿勢が安定した状態にある旨の判定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の発車に伴う乗員の転倒を抑制するために、乗員の姿勢が安定した状態で車両の発車が行われることが好ましい。ここで、特許文献1に記載の車両用運転支援システムにて行われる乗員の姿勢についての判定結果に基づいて、車両を発車してよいか否かを運転者が判断することが考えられる。この場合、運転者は、車両を発車してよいか否かの判断を、車両を発車させるための動作である発車動作と併せて行うことになるため、車両の発車に係る運転者の負担が増大するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための車両用運転支援システムの各態様を記載する。
[態様1]乗員を輸送する車両に搭載され、前記車両の運転者の運転を支援する車両用運転支援システムであって、前記乗員の姿勢を含む乗員情報と前記車両の発車のための動作である発車動作とを取得する制御部を備え、前記制御部は、前記乗員情報に基づいて前記乗員の移動に関連する動作である乗員動作を検出し、前記発車動作を取得し且つ前記乗員動作を検出したことを実行条件として、前記実行条件が成立したときに前記車両の発車不可の信号を発信する発信処理を行う、車両用運転支援システム。
【0006】
上記構成によれば、車両の発車に際して、車両の発車不可の信号が発信されるときに運転者は車両の発車を行わなければよいため、乗員の姿勢に基づいて運転者が車両を発車してよいか否かを判断しなくてもよい。したがって、車両の発車に係る運転者の負担を軽減できる。
【0007】
[態様2]前記車両の後続車に向けて表示する表示部を備え、前記発車動作は複数あり、複数の前記発車動作と前記乗員情報との組み合わせに応じて異なるように前記車両の発車までの進行度合いが設定され、前記制御部は、前記発車動作を取得したときに前記発車動作と前記乗員情報とに基づいて前記進行度合いを選択し、選択した前記進行度合いを前記表示部に表示させる、[態様1]に記載の車両用運転支援システム。
【0008】
上記構成によれば、車両の発車に際して、表示部が車両の発車までの進行度合いを表示することにより、発車動作および乗員情報に応じた進行度合いを車両の後続車に向けて表示できる。したがって、車両の発車の間際において、車両の後続車による車両の追い越しを抑制できる。
【0009】
[態様3]前記乗員に通知する乗員通知部を備え、前記発車動作は複数あり、複数の前記発車動作の組み合わせに応じて異なるように前記乗員への注意喚起のための通知が設定され、前記制御部は、前記発車動作を取得しかつ前記乗員動作を検出したときに前記発車動作に基づいて前記通知を選択し、選択した前記通知を前記乗員通知部に行わせる、[態様1]又は[態様2]に記載の車両用運転支援システム。
【0010】
上記構成によれば、車両の発車に際して、乗員通知部が通知を行うことにより、発車動作に応じた注意喚起を乗員に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、車両の発車に係る運転者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】車両用運転支援システムを示す模式図である。
【
図3】停留所に停車した状態の車両を示す模式図である。
【
図4】制御部が車両の発車可の信号と発車不可の信号とを発信するために用いられる制御テーブルの構成図である。
【
図5】乗員通知処理に用いられる制御テーブルの構成図である。
【
図6】表示処理に用いられる制御テーブルの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、車両用運転支援システムを具体化した一実施形態を図面にしたがって説明する。
<車両用運転支援システムの概要>
図1に示すように、車両用運転支援システム10は、乗員を輸送する車両12に搭載される。車両用運転支援システム10は、車両12の運転者の運転を支援する。なお、本実施形態の車両12は車両12に乗車する運転手の手動操作によって運転されるものである。すなわち、本実施形態の車両12の運転者とは、車両12に乗車するとともに手動操作によって車両12を運転する運転手である。
【0014】
車両12は、乗合型車両であってもよいし、自家用乗用車であってもよい。すなわち、車両用運転支援システム10が搭載される車両12としては、バス、電車、及び自家用車両等の各種車両を採用可能である。
【0015】
車両用運転支援システム10は、乗員情報取得部13を備える。乗員情報取得部13は、例えばカメラを含む。カメラとしては、例えば、RGBカメラやTOF(Time Of Flight)カメラ等が挙げられる。例えば、上記カメラのうち一種類を乗員情報取得部13として用いてもよいし、複数種類を乗員情報取得部13として用いてもよい。RGBカメラとTOFカメラとを乗員情報取得部13として用いる場合、乗員情報取得部13は三次元的に乗員の画像を取得できる。
【0016】
乗員情報取得部13は、ミリ波レーダを含んでもよい。乗員情報取得部13は、把持センサを含んでもよい。把持センサは、例えば、車両12に設置された手すりなど、乗員が把持可能な車両12の内装品に設けられる。これにより、把持センサは、車両12の部品を乗員が把持しているか否かを検出できる。
【0017】
乗員情報取得部13は、乗員の姿勢を含む乗員情報を取得する。例えば、乗員情報取得部13は、車両12に乗車した乗員の画像情報と、車両12に乗車しようとする乗員の画像情報と、を乗員情報として取得する。車両12に乗車しようとする乗員とは、車両12の外部に居て、且つ車両12のドア付近に居る人のことである。
【0018】
乗員情報取得部13は、車両12に乗車しようとする乗員の位置が、車両12のドアからどれだけの距離にあるかを検知できる。例えば、乗員情報取得部13は、車両12のドアの位置を中心として、半径5m以内に乗員が居ることと、半径3m以内に乗員が居ることとを検知できる。なお、乗員情報取得部13は、例えば、乗員の頭部の位置を検知することで、乗員の位置を特定する。
【0019】
乗員情報取得部13が取得する画像情報は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。乗員情報取得部13は、乗員情報を繰り返し取得する。例えば、乗員情報取得部13は、乗員情報の取得を所定の周期で繰り返し行ってもよい。
【0020】
車両用運転支援システム10は、乗員情報取得部13を複数備えてもよい。複数の乗員情報取得部13は、互いに異なる領域での乗員情報を取得できる位置に配置されている。上記の領域としては、例えば、車両12内のドア付近、運転席の真後ろの座席の付近、及び車両12の後方に位置する座席である後部座席の付近などが挙げられる。乗員情報取得部13は、上記の領域にいる乗員のうち、一部の乗員の乗員情報を取得してもよいし、全ての乗員の乗員情報を取得してもよい。
【0021】
特に、車両12がバスである場合、車両12内のドア付近に段差がある場合が多いため、車両12内のドア付近は乗員が転倒し易い場所である。座席が運転席の真後ろにある場合、座席は車両12における前輪の真上に位置する場合が多い。座席が前輪の真上に位置する場合、その座席は他の座席に比べて高い位置にある場合が多いために、座席に乗員が座ろうとする状況などで乗員が転倒し易い場所である。車両12がバスである場合には、運転席の近くのドアが出口となっている場合がある。この場合には、出口付近である運転席の真後ろの座席の付近に乗員が移動してくる場合があるため、運転席の真後ろの座席の付近は、乗員が転倒し易い場所となる。車両12がバスである場合であって、運転席近くのドアが出口となっている場合には、後部座席は出口から遠い位置にある。この場合、後部座席に着座していた乗員が、出口に移動すべく後部座席から立ち上がることが予想される。これにより、後部座席付近もまた、乗員が転倒し易い場所である。乗員情報取得部13は、上記の領域で乗員情報を取得することによって、上記の乗員が転倒し易い場所にいる乗員の乗員情報を取得できる。
【0022】
車両用運転支援システム10は、通知装置30を備える。通知装置30は、運転手通知部31を備える。言い換えると、車両用運転支援システム10は、運転手通知部31を備える。運転手通知部31は、運転手に通知する。
【0023】
図2に示すように、本実施形態の運転手通知部31は、ルームミラー35に設けられたライトである。例えば、ライトとしての運転手通知部31は、ルームミラー35の鏡部36の周りを囲むように位置している。ルームミラー35は、運転席より前方に位置するとともに、運転手が目視可能である。ライトとしての運転手通知部31は、点灯と消灯とが切り替えられることで運転手に対して通知するものである。なお、ライトとしての運転手通知部31は、車両12のルームミラー35以外の箇所に設けられることで、運転手に対して通知するものであってもよい。
【0024】
図1に示すように、通知装置30は、乗員通知部32を備える。言い換えると、車両用運転支援システム10は、乗員通知部32を備える。乗員通知部32は、乗員に通知するものである。乗員通知部32は、例えば、車両12内の乗員に向けて表示されるディスプレイに通知を画面表示させることで通知するものであってもよい。乗員通知部32は、例えば、車両12内の運転席よりも後方に設けられてもよい。なお、乗員通知部32は、画面表示によって通知するものに限らない。乗員通知部32は、例えば、音声やライトの点滅によって乗員に通知するものであってもよい。乗員通知部32が音声によって乗員に通知するものである場合、ロボットやアバターによる音声で通知してもよい。
【0025】
図3に示すように、通知装置30は、表示部33を備える。言い換えると、車両用運転支援システム10は、表示部33を備える。表示部33は、車両12の後続車Fに向けて表示する。車両12の後続車Fの運転手は表示部33を視認可能である。表示部33としては、例えば、車両12の後部12aに設けられたディスプレイが挙げられる。表示部33は、車両12の外部に向けて通知内容を画面表示することで通知する。
【0026】
図1に示すように、車両用運転支援システム10は、制御部20を備える。車両12は、車両12の発車のための動作である発車動作を検出する各種センサを備えている。これらセンサの検出結果に応じた信号が、制御部20に入力される。各種センサによって検出される発車動作には、車両12の発車動作と、運転手の発車動作と、が含まれる。各種センサとしては、例えば、ドアセンサ41、シフト位置センサ42、サイドブレーキ位置センサ43、及び方向指示センサ44が挙げられる。なお、シフト位置センサ42、サイドブレーキ位置センサ43、及び方向指示センサ44から制御部20に入力される信号は、コックピット信号ともいう。
【0027】
ドアセンサ41は、車両12の発車動作を検出する。詳細には、ドアセンサ41は、車両12のドアの開閉を検出する。なお、車両12が複数のドアを有する場合、車両12は複数のドアセンサ41を備えるとともに、複数のドアセンサ41が互いに異なるドアの開閉を検出してもよい。シフト位置センサ42、サイドブレーキ位置センサ43、及び方向指示センサ44は、運転手の発車動作を検出する。詳細には、シフト位置センサ42は、運転手によって操作されるシフトレバーの操作位置を検出する。サイドブレーキ位置センサ43は、運転手によって操作されるサイドブレーキがオン状態とオフ状態とのいずれであるかを検出する。方向指示センサ44は、運転手によって操作される方向指示器がオン状態とオフ状態とのいずれであるかを検出する。方向指示器は、例えば車両12の右折や左折に際して運転手が操作することによってオン状態となる。
【0028】
<制御部>
制御部20は、例えば、プロセッサ23と、記憶部24と、を備える。記憶部24は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部24は、処理をプロセッサ23に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部24、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御部20は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御部20は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ23、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。制御部20は、車両用運転支援システム10の専用のものであってもよいし、車両12のECU(Electronic Control Unit)と兼用してもよい。
【0029】
制御部20は、乗員情報取得部13、通知装置30、及び各種センサと電気的に接続されている。制御部20は、通知装置30を制御可能である。制御部20は、上記の各種センサから車両12の発車のための動作である発車動作を受信する。これにより、制御部20は発車動作を取得する。制御部20は、発車動作として、車両12の発車動作と、運転手の発車動作と、を取得する。例えば、制御部20は、ドアセンサ41から車両12のドアの開閉状態を取得する。制御部20は、シフト位置センサ42から、シフトレバーの操作位置がDレンジに切り替えられたことを取得する。制御部20は、サイドブレーキ位置センサ43から、サイドブレーキがオン状態からオフ状態に切り替えられたことを取得する。制御部20は、方向指示センサ44から、方向指示器がオフ状態からオン状態に切り替えられたことを取得する。
【0030】
図3に示すように、車両12が停留所Sに停車した状態から発車する際、車両12では車両12の発車のための動作である発車動作が生じる。本実施形態の発車動作は複数である。発車動作としては、次の動作が挙げられる。すなわち、車両12のドアが開状態から閉状態に切り替えられる動作、シフトレバーの操作位置がDレンジに切り替えられる動作、サイドブレーキがオン状態からオフ状態に切り替えられる動作、及び方向指示器がオフ状態からオン状態に切り替えられる動作である。制御部20は、各種センサから受信することにより、上記の複数の発車動作を取得する。
【0031】
図1に示すように、制御部20は、乗員情報取得部13から乗員情報を受信する。これにより、制御部20は、乗員の姿勢を含む乗員情報を取得する。制御部20は、乗員情報取得部13から取得した乗員情報に基づいて、特定の乗員動作を行っているか否かを解析する。こうした解析により、制御部20は、乗員情報に基づいて乗員の移動に関連する動作である乗員動作を検出する。乗員動作とは、停車していた車両12が発車する際に乗員動作が行われると、乗員の転倒のおそれが高い動作である。
【0032】
乗員動作には、例えば、乗員が立ち姿勢から座ろうとする動作、座り姿勢から立とうとする動作、および車両12内にて場所移動する動作が含まれる。すなわち、乗員動作は、乗員が移動する直前に行う動作と、乗員が移動しているときの動作と、に相当する。乗員が立ち姿勢から座ろうとする動作としては、例えば、乗員が体の向きを変える動作や、把持していた手すりなどから手を離す動作が挙げられる。座り姿勢から立とうとする動作としては、例えば、乗員が座席から腰を浮かす動作が挙げられる。こうした動作を行うことで、座り姿勢と立ち姿勢との間で姿勢を変えるに際して乗員が自分の重心を移動させる。車両12内にて場所移動する動作とは、立った状態のままで場所を移動しているときの乗員の動作である。
【0033】
<発信処理>
制御部20は、発車動作を取得し且つ乗員動作を検出したことを実行条件として、実行条件が成立したときに発信処理を行う。発信処理において、制御部20は、車両12の発車不可の信号を発信する。本実施形態においては、車両12のドアが開状態から閉状態に切り替えられる動作を制御部20が取得したときに、上記実行条件にて制御部20が発車動作を取得したものとする。また、例えば、制御部20が乗員動作を検出したとは、検出対象の乗員のうち1人分以上の乗員動作を制御部20が検出したことを意味する。
【0034】
図2及び
図4に示すように、本実施形態における制御部20は、発信処理において、車両12の発車不可の信号を運転手通知部31に発信する。これにより、制御部20は、運転手通知部31に車両12の発車不可の旨の通知を行わせる。運転手通知部31は、点灯することで車両12の発車不可の旨の通知を行う。この運転手通知部31による通知によって、運転手は車両12の発車不可の旨の通知を認識する。
【0035】
なお、制御部20は、発車動作を取得したときに、乗員動作を検出しない場合には、発信処理のための実行条件が成立しないとして、発信処理を行わない。例えば、制御部20が乗員動作を検出しないとは、検出対象の乗員全てにおいて、乗員動作を制御部20が検出しないことを意味する。こうして発車動作を取得したときに発信処理を行わない場合には、制御部20は、例えば、車両12の発車可の信号を発信する。運転手通知部31は、車両12の発車可の信号を受信する。車両12の発車可の信号を受けると、運転手通知部31は消灯する。こうした運転手通知部31を目視することで、車両12の発車不可の旨の通知がなされていないことを運転手が認識できる。
【0036】
<乗員通知処理>
図5に示すように、制御部20は、発車動作を取得しかつ乗員動作を検出したときに、乗員通知処理を行う。乗員通知処理において、制御部20は、発車動作に基づいて通知を選択する。さらに、制御部20は、乗員通知処理において、選択した通知を乗員通知部32に行わせる。要するに、制御部20は、発車動作を取得しかつ乗員動作を検出したときに発車動作に基づいて通知を選択し、選択した通知を乗員通知部32に行わせる。通知は、乗員への注意喚起のためのものである。乗員通知部32が通知を行う場合、例えば、乗員通知部32にて画面表示がなされる。
【0037】
なお、制御部20は、発車動作の取得と乗員動作の検出との少なくとも一方を行わない場合には、乗員通知処理を行わない。こうして乗員通知処理を行わない場合には、制御部20は、乗員通知部32に乗員への注意喚起のための通知を行わせない。乗員通知部32が通知を行わない場合、例えば、乗員通知部32にて画面表示がなされない。
【0038】
乗員通知処理においては、車両12のドアが開状態から閉状態に切り替えられる動作を制御部20が取得したときと、車両12のドアが閉状態であるときに制御部20がコックピット信号を取得したときと、に制御部20が発車動作を取得したものとする。通知は、複数の発車動作の組み合わせに応じて異なるように設定されている。詳細には、車両12のドアが閉状態であって且つ乗員動作を検出した状況下で、取得したコックピット信号の数Nに応じて異なる通知内容が設定されている。制御部20がコックピット信号を未取得である場合の通知としては、乗員着座誘導通知が設定されている。制御部20が取得したコックピット信号の数Nが1である場合の通知としては、乗員移動抑制通知が設定されている。制御部20が取得したコックピット信号の数Nが2である場合の通知としては、乗員移動注意通知が設定されている。制御部20が取得したコックピット信号の数Nが3である場合の通知としては、乗員移動危険通知が設定されている。
【0039】
乗員着座誘導通知、乗員移動抑制通知、乗員移動注意通知、および乗員移動危険通知の順で、これら通知の内容は乗員への注意喚起が強まるように設定されている。制御部20が取得したコックピット信号の数Nが多いほど、車両12の発車タイミングに近づいていることになる。そのため、上記のように制御部20が取得したコックピット信号の数Nが多いほど、乗員への注意喚起が強まるように通知の内容が設定されることで、車両12の発車に伴う乗員の転倒の可能性が高いほど乗員への注意喚起を強められる。
【0040】
通知の内容は、乗員通知部32にて画面表示する背景色を異ならせることにより、乗員への注意喚起を強めてもよい。通知の内容は、乗員通知部32にて通知するメッセージの内容を異ならせることにより、乗員への注意喚起を強めてもよい。例えば、乗員着座誘導通知が行われるとき、乗員通知部32は「着座してください」といったメッセージを通知する。乗員移動抑制通知が行われるとき、乗員通知部32は「立たないでください」といったメッセージが通知する。乗員移動注意通知が行われるとき、乗員通知部32は「注意してください」といったメッセージを通知する。乗員移動危険通知が行われるとき、乗員通知部32は「危険です!」といったメッセージを通知する。
【0041】
<表示処理>
図6に示すように、制御部20は、発車動作を取得したときに表示処理を行う。表示処理において、制御部20は、発車動作と乗員情報とに基づいて進行度合いを選択する。さらに、制御部20は、表示処理において、選択した進行度合いを表示部33に表示させる。要するに、制御部20は、発車動作を取得したときに発車動作と乗員情報とに基づいて進行度合いを選択し、選択した進行度合いを表示部33に表示させる。進行度合いは、車両12の発車までの進行度合いである。進行度合いは、進行度合いが進むほど、車両12の発車タイミングに近づくものである。
【0042】
表示部33は、円状のゲージによって進行度合いを表示してもよい。この場合、進行度合いが進むほど、ゲージの表示が減るように表示される。これにより、車両12の後続車Fの運転手が表示部33を目視したときに、車両12の発車までの進行度合いを認識できる。なお、表示部33は、円状のゲージ以外の態様で進行度合いを表示してもよい。例えば、表示部33は、棒状のゲージによって進行度合いを表示してもよいし、車両12の発車までの残り時間を数値表示することで進行度合いを表示してもよい。
【0043】
本実施形態における制御部20は、発車動作を取得しない状況下でも、取得した乗員情報によっては表示処理を行う。例えば、乗員情報として、車両12に乗車しようとする乗員の画像情報を乗員情報取得部13から制御部20が取得したとき、制御部20は、発車動作を取得しない状況下でも表示処理を行う。制御部20は、例えば、車両12のドアが閉状態から開状態に切り替えられたタイミングから、表示処理を実行可能である。すなわち、制御部20は、車両12の走行中と車両12の停車中でドアが開状態にされるまでの間は、表示処理を実行しない。
【0044】
表示処理においては、車両12のドアが開状態から閉状態に切り替えられる動作を制御部20が取得したときと、車両12のドアが閉状態であるときに制御部20がコックピット信号を取得したときと、に制御部20が発車動作を取得したものとする。
【0045】
進行度合いは、複数の発車動作と乗員情報との組み合わせに応じて異なるように設定されている。詳細には、車両12のドアが開状態であって且つ制御部20が乗員情報として車両12に乗車しようとする乗員の画像情報を取得した状況下で、車両12に乗車しようとする乗員の位置に応じて異なる進行度合いが設定されている。車両12のドアの位置を中心として、半径5m以内に乗員が検知された場合、半径5m以内に乗員が検知されず且つ半径3m以内に乗員が検知された場合、および半径3m以内に乗員が検知されない場合では、この順で進むように進行度合いが設定されている。なお、半径3m以内に乗員が検知されない場合とは、車両12への乗員の乗車が完了したことにより、車両12に乗車しようと車両12の外に居る乗員がいなくなった場合である。
【0046】
車両12のドアが閉状態であって且つ制御部20が乗員情報として車両12に乗車している乗員の画像情報を取得した状況下では、上記の車両12のドアが開状態であるときの進行度合いよりも進んだ進行度合いが設定されている。こうした状況下で、制御部20が取得したコックピット信号の数Nと乗員動作の検出の有無とに応じて異なる進行度合いが設定されている。乗員動作が検出されない場合の進行度合いは、乗員動作が検出されている場合の進行度合いよりも、進んだ態様で設定されている。乗員動作が検出されない場合、制御部20が取得したコックピット信号の数Nに応じて次のように異なる進行度合いが設定されている。すなわち、制御部20がコックピット信号を未取得である場合、制御部20が取得したコックピット信号の数Nが1である場合、および制御部20が取得したコックピット信号の数Nが2である場合の順で、進むように進行度合いが設定されている。
【0047】
制御部20が取得したコックピット信号の数Nが多いほど、進行度合いは進むように設定されている。そのため、進行度合いが表示された表示部33を車両12の後続車Fの運転手が目視することで、後続車Fの運転手が車両12の発車タイミングが近づいていることを認識できる。これにより、車両12の発車の間際において、車両12の後続車Fによる車両12の追い越しを抑制できる。
【0048】
<実施形態の作用>
次に、実施形態の作用について説明する。
車両12の停車中に、車両12に乗員が乗車するとともに車両12から乗員が降車する。例えば、車両12がバスなどの乗合型車両である場合、上記の乗員の乗り降りに際して、車両12は停留所Sに停車される。
【0049】
車両12の停車中に、車両12のドアが閉状態から開状態とされる。車両12のドアが開状態とされている間に、車両12に乗員が乗車するとともに車両12から乗員が降車する。車両12への乗員の乗車および車両12からの乗員の降車が終わると、運転手による操作によって、車両12にて各種の発車動作が行われる。この発車動作は、車両12のドアが開状態から閉状態とされる動作、シフトレバーの操作位置がDレンジに切り替えられる動作、サイドブレーキがオン状態からオフ状態に切り替えられる動作、及び方向指示器がオフ状態からオン状態に切り替えられる動作である。こうした発車動作が行われた後、運転手は車両12を発車させる。
【0050】
車両12の発車に際して、制御部20は、乗員通知処理および表示処理を実行可能である。車両12が発車される際に乗員通知処理が行われると、乗員通知部32が通知を行うことにより、発車動作に応じた注意喚起を乗員に行える。これにより、運転手の操作によって上記の注意喚起を乗員に行ったり、運転手が口頭で上記の注意喚起を乗員に行ったりする場合と比較して、上記の乗員への注意喚起に係る運転手の負担を軽減できる。車両12が発車される際に表示処理が行われると、表示部33が車両12の発車までの進行度合いを表示することにより、発車動作および乗員情報に応じた進行度合いを車両12の後続車Fに向けて表示できる。
【0051】
車両12の発車に際して、制御部20は、発信処理を実行可能である。制御部20は、発車動作を取得し且つ乗員動作を検出したことを実行条件として、実行条件が成立したときに発信処理を行う。発信処理において、制御部20は、車両12の発車不可の信号を発信する。これにより、制御部20は、運転手通知部31に車両12の発車不可の旨の通知を行わせる。この運転手通知部31による通知によって、運転手は車両12の発車不可の旨の通知を認識できる。そのため、運転手が目視によって自力で乗員の姿勢を確認することで車両12を発車してよいか否かを判断する場合と比較して、車両12の発車に係る運転手の負担を軽減できる。
【0052】
<実施形態の効果>
実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)制御部20は、乗員情報に基づいて乗員の移動に関連する動作である乗員動作を検出し、発車動作を取得し且つ乗員動作を検出したことを実行条件として、実行条件が成立したときに車両12の発車不可の信号を発信する発信処理を行う。そのため、車両12の発車に際して、車両12の発車不可の信号が発信されるときに運転者は車両12の発車を行わなければよいため、乗員の姿勢に基づいて運転者が車両12を発車してよいか否かを判断しなくてもよい。したがって、車両12の発車に係る運転者の負担を軽減できる。
【0053】
(2)複数の発車動作と乗員情報との組み合わせに応じて異なるように車両12の発車までの進行度合いが設定されている。制御部20は、発車動作を取得したときに発車動作と乗員情報とに基づいて進行度合いを選択し、選択した進行度合いを表示部33に表示させる。そのため、車両12の発車に際して、表示部33が車両12の発車までの進行度合いを表示することにより、発車動作および乗員情報に応じた進行度合いを車両12の後続車Fに向けて表示できる。したがって、車両12の発車の間際において、車両12の後続車Fによる車両12の追い越しを抑制できる。
【0054】
(3)複数の発車動作の組み合わせに応じて異なるように乗員への注意喚起のための通知が設定されている。制御部20は、発車動作を取得しかつ乗員動作を検出したときに発車動作に基づいて通知を選択し、選択した通知を乗員通知部32に行わせる。したがって、車両12の発車に際して、乗員通知部32が通知を行うことにより、発車動作に応じた注意喚起を乗員に行うことができる。
【0055】
<変更例>
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0056】
・乗員通知処理において、制御部20によって選択される通知は、複数の発車動作の組み合わせに応じて異なるように、上記実施形態とは異なる態様で設定されていてもよい。例えば、制御部20が取得したコックピット信号の数Nが1~3のうち少なくとも2つの数Nであるとき、同じ内容の通知が設定されていてもよい。例えば、制御部20が取得したコックピット信号がどのセンサから出力されたかに応じて、異なる内容で通知が設定されていてもよい。
【0057】
・制御部20による乗員通知処理の実行を省略してもよい。この場合には、車両用運転支援システム10から乗員通知部32を省略してもよい。
・表示処理において、制御部20によって選択される進行度合いは、複数の発車動作と乗員情報との組み合わせに応じて異なるように、上記実施形態値とは異なる態様で設定されていてもよい。例えば、車両12のドアが開状態であって且つ制御部20が乗員情報として車両12に乗車しようとする乗員の画像情報を取得した状況下で、車両12に乗車しようとする乗員の人数に応じて異なる進行度合いが設定されていてもよい。この場合の進行度合いは、車両12に乗車しようと車両12の外に居る乗員が少ないほど進行度合いが進むように設定されてもよい。また、車両12のドアが閉状態である状況下では、例えば、制御部20が取得したコックピット信号の数Nが1~3のうち少なくとも2つの数Nであるときに同じ進行度合いが設定されていてもよい。車両12のドアが閉状態である状況下では、制御部20が取得したコックピット信号がどのセンサから出力されたかに応じて、異なる進行度合いが設定されていてもよい。
【0058】
・制御部20は、発車動作を取得しない状況下での表示処理の実行を省略してもよい。
・制御部20による表示処理の実行を省略してもよい。この場合には、車両用運転支援システム10から表示部33を省略してもよい。
【0059】
・運転手通知部31は、点灯と消灯とを切り替えることで通知するものに限らない。例えば、運転手通知部31は、点灯の明るさや色を異ならせることで通知するものであってもよい。例えば、運転手通知部31は、画面表示や音声によって運転手に通知するものであってもよい。
【0060】
・車両12のドアが開状態から閉状態に切り替えられる動作以外の発車動作を制御部20が取得したときに、発信処理における実行条件にて制御部20が発車動作を取得したものとしてもよい。なお、車両12のドアが開状態から閉状態に切り替えられる動作以外の発車動作とは、シフトレバーの操作位置がDレンジに切り替えられる動作、サイドブレーキがオフ状態に切り替えられる動作、及び方向指示器がオン状態に切り替えられる動作が挙げられる。
【0061】
・車両12の運転者は、車両12に乗車するとともに手動操作によって車両12を運転する運転手に限らない。例えば、車両12の運転者は、車両12に乗車しないとともに、遠隔操作によって車両12を運転する操作者であってもよい。この場合、発信処理において車両12の発車に際して車両12の発車不可の信号が発信されるときに、この発信された信号を操作者が操作する機器が受信することで、操作者は車両12の発車不可の旨の通知を認識できる。そのため、操作者は、乗員情報取得部13によって取得された乗員の姿勢などから車両12を発車させて良いか否かを判断しなくてもよい。また、例えば、車両12の運転者は、遠隔操作によって車両12を運転する操作装置であってもよい。この場合、発信処理において車両12の発車に際して車両12の発車不可の信号が発信されるときに、この発信された信号を操作装置が受信できる。そのため、操作装置は、乗員情報取得部13によって取得された乗員の姿勢などから車両12を発車させて良いか否かを判断しなくてもよい。したがって、この変更例においても、車両12の発車に係る運転者の負担を軽減できる。なお、この変更例においては、車両用運転支援システム10から運転手通知部31を省略してもよい。
【符号の説明】
【0062】
F…後続車
10…車両用運転支援システム
12…車両
20…制御部
32…乗員通知部
33…表示部