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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120601
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】食品製造装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/109 20160101AFI20240829BHJP
   A23L 11/00 20210101ALN20240829BHJP
【FI】
A23L7/109 J
A23L11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027499
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】513051508
【氏名又は名称】株式会社優食
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】李 振生
【テーマコード(参考)】
4B020
4B046
【Fターム(参考)】
4B020LB11
4B020LC09
4B020LC10
4B020LG01
4B020LK02
4B020LP25
4B020LP30
4B046LA01
4B046LC20
4B046LE20
4B046LG01
4B046LG36
4B046LP10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】切断して麺を形成するためのシート状の食品を安定した品質で大量に製造する食品製造装置を提供する。
【解決手段】圧縮部7は、積層シート17を挟んで圧縮する一対の圧縮ローラ61を少なくとも一組有する。一対の圧縮ローラ61は、積層シート17を挟み込みながら回転することで、積層シート17を搬送方向へ送りながら、圧縮することができる。積層シート17は、圧縮ローラ61で圧縮されることで、ペースト層12に含まれる水分がシート部材10,16を透過して外部へ染み出る。一対の圧縮ローラ16の少なくとも一方の外周面には、貫通孔が形成されている。圧縮ローラ61は、圧縮によって積層シート17から染み出た水分を、貫通孔を通過させることで、圧縮ローラ61の内部空間へ導くことができる。圧縮ローラ61は、効率よく積層シート17から水分を除去することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断して麺を形成するためのシート状の食品を製造する食品製造装置であって、
搬送経路に対して通水性を有する第1のシート部材を供給する第1のシート部材供給部と、
前記第1のシート部材上に食品のペーストを供給して、前記第1のシート部材上に薄板状に広がったペースト層を形成するペースト供給部と、
前記第1のシート部材との間で前記ペースト層を挟むように通水性を有する第2のシート部材を供給する第2のシート部材供給部と、
前記第1のシート部材、前記ペースト層、及び前記第2のシート部材による積層シートを圧縮する圧縮部と、を備え、
前記圧縮部は、前記積層シートを挟んで圧縮する一対の圧縮ローラを少なくとも一組有し、
一対の前記圧縮ローラの少なくとも一方の外周面には、貫通孔が形成されている、食品製造装置。
【請求項2】
前記圧縮部は、一対の前記圧縮ローラを複数組有し、
前記積層シートの搬送方向の下流側へ向かうに従って、一対の前記圧縮ローラ間の隙間が狭くなる、食品製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、切断して麺を形成するためのシート状の食品を製造する装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この装置では、作業者が、型内に木綿のシート部材を敷き、その上から豆乳を供給して薄板状に広げ、その上から木綿のシートを折り返して覆い、更にその上に豆乳を薄板状に広げる。作業者は、そのような作業を繰り返し、積層体を形成した後に型内でプレスすることで、豆腐を製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-135490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述の装置においては、作業者が木綿シートの折り返し、豆乳を薄板状に広げる作業を繰り返さなくては、シート状の食品を製造できない。従って、安定した品質の食品を大量に製造するために、シート部材間に豆乳を挟み込んで型枠内で折り畳み、プレスで圧縮する場合がある。しかしながら、一対のシート部材に挟まれた凝固豆乳は、接着性が不十分である場合に、型枠内で均一に折り畳むことが難しい場合ある。また、プレスで圧縮を行うのに時間がかかる場合もある。以上のように、シート状の食品の取り扱いが難しくなるとによって品質が不安定になるという問題や、製造に時間がかかるという問題が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであり、切断して麺を形成するためのシート状の食品を安定した品質で大量に製造する食品製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る食品製造装置は、切断して麺を形成するためのシート状の食品を製造する食品製造装置であって、搬送経路に対して通水性を有する第1のシート部材を供給する第1のシート部材供給部と、第1のシート部材上に食品のペーストを供給して、第1のシート部材上に薄板状に広がったペースト層を形成するペースト供給部と、第1のシート部材との間でペースト層を挟むように通水性を有する第2のシート部材を供給する第2のシート部材供給部と、第1のシート部材、ペースト層、及び第2のシート部材による積層シートを圧縮する圧縮部と、を備え、圧縮部は、積層シートを挟んで圧縮する一対の圧縮ローラを少なくとも一組有し、一対の圧縮ローラの少なくとも一方の外周面には、貫通孔が形成されている。
【0007】
この食品製造装置において、第1のシート部材供給部は、搬送経路に対して通水性を有する第1のシート部材を供給する。ペースト供給部は、第1のシート部材上に食品のペーストを供給して、第1のシート部材上に薄板状に広がったペースト層を形成する。そして、第2のシート部材供給部は、第1のシート部材との間でペースト層を挟むように通水性を有する第2のシート部材を供給する。以上より、作業者がペーストを手作業でシート部材上に広げるようなことを行わなくとも、各供給部が搬送経路に沿ってシート部材及びペーストを流すような動作によって、積層シートを自動的に形成することが可能となる。このような積層シートは、ペースト層を両面側からシート部材で挟むものであるため、圧縮部で圧縮する際の取り扱い性が高い。このため、作業者の手作業によらずに、圧縮部によってペースト層を圧縮する工程を自動化することが可能となる。以上のように、各工程の自動化を図ることによって、シート状の食品を安定した品質で大量に製造することができる。ここで、圧縮部は、積層シートを挟んで圧縮する一対の圧縮ローラを少なくとも一組有する。従って、一対の圧縮ローラは、積層シートを挟み込みながら回転することで、当該積層シートを搬送方向へ送りながら、圧縮することができる。一対の圧縮ローラの少なくとも一方の外周面には、貫通孔が形成されている。そのため、圧縮ローラは、圧縮によって積層シートから染み出た水分を、貫通孔を通過させることで、圧縮ローラの内部空間へ導くことができる。そのため、圧縮ローラは、効率よく積層シートから水分を除去することができる。従って、圧縮ローラを通過させた後の積層シートの取り扱い性を向上させることができ、それによって以降の工程を行い易くすることができ、且つ時間を短縮することができる。以上より、切断して麺を形成するためのシート状の食品を安定した品質で大量に製造することができる。
【0008】
圧縮部は、一対の圧縮ローラを複数組有し、積層シートの搬送方向の下流側へ向かうに従って、一対の圧縮ローラ間の隙間が狭くなってよい。これにより、搬送方向へ搬送される積層シートに対する圧縮力を徐々に高めることができ、積層シートに含まれる水分の量に応じて、段階的に水分を除去することができる。そのため、急激に水分を除去することで食品の品質が不安定になることを抑制しながら、十分に水分を除去することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、切断して麺を形成するためのシート状の食品を安定した品質で大量に製造する食品製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る食品製造装置を示す概念図である。
図2】食品製造装置での各工程における食品の状態を示す概念図である。
図3】食品製造装置の積層体製造装置の概略側面図である。
図4】ペースト供給部付近の構成を示す斜視図である。
図5】圧縮部の構成を説明するための概略図である。
図6】変形例に係る食品製造装置の積層体製造装置の概略側面図である。
図7】圧縮ローラを示す斜視図である。
図8】圧縮ローラの外周面を示す図である。
図9】本実施形態に係る圧縮ローラによる圧縮態様を示す模式図である。
図10】比較例に係る圧縮ローラによる圧縮態様を示す模式図である。
図11】変形例に係る食品製造装置の圧縮部を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る食品製造装置100を示す概念図である。食品製造装置100は、切断して麺を形成するためのシート状の食品を製造する装置である。本実施形態では、食品製造装置100は、切断部9を有しているため麺にした状態の食品を製造できる。また、本実施形態では、食品製造装置100は、豆腐麺を製造するものとする。従って、食品製造装置100は、シート状の食品として豆腐シートを製造する。図2は、食品製造装置100での各工程における食品の状態を示す概念図である。図1に示すように、食品製造装置100は、第1のシート部材供給部1と、ペースト製造部2と、ペースト供給部3と、第2のシート部材供給部4と、水切り部6と、圧縮部7と、シート部材剥離部8と、切断部9と、を備える。なお、本明細書では、特段の説明がない場合、各動作については機械の駆動部が自動的に行ってもよく、作業者の手作業で動かしてもよい。作業者が手作業で動かす場合でも、食品製造装置100を用いることで、各作業を各段に精度良く、簡単に行うことが可能となる。
【0013】
第1のシート部材供給部1は、搬送経路に対して通水性を有する第1のシート部材10(図2(a))を供給する。第1のシート部材10の材質は、食品のペースト層12(図2(b))からの水分を透過させることが出来るものであれば特に限定されないが、例えば、木綿布などを採用してよい。第1のシート部材供給部1は、長手方向に連続的に延びた状態の第1のシート部材10を供給する。第1のシート部材10の幅は、製造したい豆腐シート13(図2(e))の幅よりも僅かに広い寸法に設定される。
【0014】
ペースト製造部2は、豆腐のペースト11(食品のペースト)を製造する。ペースト製造部2は、大豆から豆乳を製造し、当該豆乳に凝固剤(塩化マグネシウムを主成分とするにがり、硫酸カルシウムを主成分とする澄まし粉などの豆乳に対し凝固作用を示す処理剤)を加えて撹拌することで、ペーストを製造する。ペースト供給部3は、第1のシート部材10上にペースト製造部2で製造したペースト11を供給して、第1のシート部材10上に薄板状に広がったペースト層12を形成する(図2(a))。ペースト供給部3の詳細な構成については後述する。
【0015】
第2のシート部材供給部4は、第1のシート部材10との間でペースト層12を挟むように通水性を有する第2のシート部材16を供給する(図2(b))。第2のシート部材16は、第1のシート部材10と同様な材質、大きさのものが用いられる。このように、ペースト層12を第1のシート部材10及び第2のシート部材16で挟むことによって、積層シート17が形成される。
【0016】
水切り部6は、第1のシート部材10及び第2のシート部材16で挟まれた積層シート17の状態のペースト層12から、水分を取り除く。水切り部6は、第1のシート部材10及び第2のシート部材16を透過した水分が、再びペースト層12に入り込まないように、積層シート17から出て来た水を排出する。水切り部6は、重力の影響でペースト層12の水切りをしてもよいし、積極的に積層シート17に圧力を付与して水切りを行ってもよい。
【0017】
圧縮部7は、積層シート17を圧縮する(図2(c)及び図7)。これにより、積層シート17の中のペースト層12は、水切り部6での水切りよりも更に強く水切りされると共に、圧搾されることで豆腐シート13(図2(d))として固まる。
【0018】
シート部材剥離部8は、圧縮後の豆腐シート13から第1のシート部材10及び第2のシート部材16を剥離させる。シート部材剥離部8は、豆腐シート13を搬送することに伴って、第1のシート部材10及び第2のシート部材16を両面側からそれぞれローラで巻き取ることなどによって、剥離を行う。
【0019】
切断部9は、豆腐シート13を切断することによって麺18を製造する(図2(e))。切断部9は、押し出しによって切断したり、ブレードで切断したりするなどの装置によって構成され、切断方法は特に限定されない。
【0020】
上述の構成要素のうち、第1のシート部材供給部1と、ペースト供給部3と、第2のシート部材供給部4と、水切り部6と、圧縮部7の一部とは、図3に示すように積層体製造装置110としてユニット化された状態で構成されている。従って、図3を参照して積層体製造装置110の構成を説明することにより、各構成要素の具体的な構成について更に詳細に説明する。図3は、食品製造装置100の積層体製造装置110の概略側面図である。図3に示すように、積層体製造装置110は、搬送コンベア20(搬送経路)を有しており、当該搬送コンベア20で各種部材を搬送しながら、第1のシート部材10、ペースト層12、及び第2のシート部材16を積層させた積層シート17を製造する。
【0021】
搬送コンベア20は、ベルト21と、ローラ22と、を備える。ベルト21は、積層シート17を搬送する無端の帯状部材である。ローラ22は、少なくともベルト21の長手方向における両端に配置される。搬送コンベア20の両端の一対のローラ22の上端部同士の間には、ベルト21が架け渡された状態となり、当該部分の上面が搬送面21aとなる。ローラ22が回転することによって、搬送面21aは、搬送方向D1(図3における紙面右側から左側へ向かう方向)へ移動する。なお、図3における紙面右側を搬送方向D1における上流側と称し、図3における紙面左側を搬送方向D1における下流側と称する場合がある。本実施形態では、搬送面21aは水平に広がり、搬送方向D1に延びる面となっている。搬送方向D1と直交する水平方向を幅方向D2と称する。
【0022】
第1のシート部材供給部1は、搬送コンベア20の搬送方向D1の上流側の端部付近に設けられる。第1のシート部材供給部1は、供給ロールR1を支持する回転軸23と、第1のシート部材10を案内するガイドローラ24と、を備える。回転軸23は、搬送コンベア20の搬送面21aから上方へ離間した位置にて幅方向D2に延びる。供給ロールR1は、第1のシート部材10をロール状に巻き取ったロール体である。供給ロールR1は、回転軸23を中心として回転し、搬送面21aへ向けて第1のシート部材10を連続的に巻き出す。ガイドローラ24は、搬送面21aと僅かな隙間をあけて、搬送面21aの上方に設けられる。ガイドローラ24は、搬送面21aとの間の隙間に第1のシート部材10をガイドする。以上より、第1のシート部材供給部1は、搬送面21a上に第1のシート部材10を供給する。第1のシート部材10の長手方向は搬送方向D1と平行になり、第1のシート部材10の幅方向は幅方向D2と平行になる。
【0023】
ペースト供給部3は、ペースト11を供給する供給部26と、供給部26からのペースト11を幅方向D2に広げる枠体27と、を備える。枠体27は、供給部26からのペースト11を第1のシート部材10の幅方向D2に広げた状態で、第1のシート部材10上に供給する。
【0024】
図4を参照して、ペースト供給部3の構成について更に詳細に説明する。図4は、ペースト供給部3付近の構成を示す斜視図である。供給部26は、ペースト11を流通させる供給管によって構成される。枠体27は、搬送面21aの上方に設けられた箱状の部材である。枠体27は、底壁部31、側壁部32,32、後壁部33、前壁部34、及び邪魔板36を備える。
【0025】
底壁部31は、搬送面21aと対向するように広がる壁部である。底壁部31は、搬送方向D1の上流側から下流側へ向かうに従って、搬送面21a側に近づくように僅かに傾斜している(図2(a)参照)。底壁部31は、搬送方向D1における上流側の端部付近にて、供給部26から落下するペースト11を受け止める。これにより、底壁部31は、ペースト11を受け止めて幅方向D2へ広げると共に、広がった状態のペースト11を搬送方向D1の下流側へ流す。側壁部32,32は、底壁部31の幅方向D2の両端部から上方へ延びる壁部である。側壁部32,32の搬送方向D1の下流側の端部32a,32aは、下方に向かうに従って搬送方向D1の下流側へ向かうように傾斜する。後壁部33は、底壁部31の搬送方向D1の上流側の端部から上方へ延びる壁部である。
【0026】
前壁部34は、側壁部32,32の搬送方向D1の下流側の端部32a,32a間において、幅方向D2に広がる壁部である。前壁部34は、下方に向かうに従って搬送方向D1の下流側へ向かうように傾斜する。また、前壁部34の上端部は、側壁部32,32の端部32a,32aの上端のヒンジ部38にて、回転可能に支持されている。前壁部34の下端部34aは、底壁部31から上方へ離間することによって、スリットを形成するように配置される。従って、前壁部34は、ペースト11を一部堰き止めることによって、ペースト層12の厚みを調整した状態で、当該ペースト層12を底壁部31との間のスリットから流出させる(図2(a)参照)。このように、前壁部34は、ペースト層12を幅方向D2に厚みが均一になるように調整を行うと共に、ペースト層12の厚みを調整する調整機構として機能する。当該スリットの大きさは、前壁部34をヒンジ部38周りに回転させることで微調整可能である。
【0027】
邪魔板36は、前壁部34と後壁部33との間の位置で、側壁部32,32間において、幅方向D2に広がる板部材である。邪魔板36は、下方に向かうに従って搬送方向D1の下流側へ向かうように傾斜する。邪魔板36の下端部36aには、凹凸パターンが形成される。邪魔板36の下端部36aは、底壁部31から上方に離間した位置に配置される。邪魔板36は、供給部26からのペースト11が落下する箇所よりも、搬送方向D1における下流側に配置される。従って、ペースト11は、邪魔板36の下端部36aと底壁部31との間の隙間を通過する。落下したペースト11が落下箇所において波立つため、邪魔板36は、ペースト11の飛散を防止したり、ペースト11の流れの勢いを抑制するなどの機能を有する。
【0028】
図3に戻り、第2のシート部材供給部4は、ペースト供給部3よりも搬送方向D1の下流側の位置に設けられる。第2のシート部材供給部4は、供給ロールR2を支持する回転軸41と、第2のシート部材16を案内するガイドローラ42と、を備える。回転軸41、ガイドローラ42、及び供給ロールR2の構成は、回転軸23、ガイドローラ24、及び供給ロールR1と同様の構成を有するため、説明を省略する。第2のシート部材供給部4は、ペースト層12上に第2のシート部材16を供給する。これにより、ペースト層12がシート部材10,16に挟み込まれて、積層シート17が形成される。
【0029】
ここで、ペースト層12が搬送面21aで搬送されている間、ペースト層12からシート部材10,16を介して水分がしみ出す。ここで、搬送コンベア20のベルト21は、金網や多孔質の部材などによって構成されることで、しみ出した水分を下方へ落下させることができる。この場合、ベルト21のうち、ペースト層12を搬送する領域E1は、水切り部6として機能する。従って、搬送コンベア20は、第2のシート部材供給部4よりも搬送方向の下流側において、十分な長さで構成されている。搬送コンベア20の搬送方向D1の下流側の端部と第2のシート部材供給部4との間には、搬送面21aとの間で積層シート17を押圧するローラ43が設けられる。当該ローラは、ペースト層12の水分を除去する水切り部6として機能する。搬送コンベア20の搬送方向D1の下流側の端部まで到達した積層シート17は、落下して圧縮部7の積層体形成部51に供給される。
【0030】
圧縮部7は、第1の圧縮部7Aと、第2の圧縮部7Bと、を備える。第1の圧縮部7Aは、積層シート17の搬送方向における上流側に設けられ、第2の圧縮部7Bは、搬送方向における下流側に設けられる。
【0031】
図5を参照して、第2の圧縮部7Bの構成について詳細に説明する。第2の圧縮部7Bは、積層体形成部51と、プレス部52と、を備える。図5(a)(b)は、積層体形成部51を示す概略側面図であり、図5(c)は、プレス部52を示す概略側面図である。
【0032】
図5(a)(b)に示すように、積層体形成部51は、積層シート17を型53内で往復させて多層に重ねることで積層体19を形成する機構である。型53は、上方及び下方に開口部を有し、四方を側壁部54で囲まれた矩形筒状の部材である。型53の側壁部54は、プレス時にしみ出した水分を型53の外に排出するための多数の貫通孔を有してよい。積層体形成部51は、型53内に水平方向に広がるように配置されて、積層体19を載せるための底板56と、底板56の高さ位置を変更する昇降機構57と、を備える。
【0033】
積層体形成部51は、型53を搬送方向D1と平行な方向へ往復移動させる駆動機構58を有する。駆動機構58は、積層シート17の落下位置に対して相対的に型53及び底板56を往復移動させる。駆動機構58は、図示しないレールなどのガイド上を往復移動する台車によって構成される。駆動機構58は、落下してくる積層シート17が、型53の搬送方向D1における上流側の端部53aから下流側の端部53bへ向かって積層体19上(または底板56上)に敷かれるように、往動方向D3へ移動する(図5(a))。次に、駆動機構58は、落下してくる積層シート17が、型53の端部53bから端部53aへ向かって積層体19上(または底板56上)に敷かれるように、復動方向D4へ移動する(図5(b))。駆動機構58が当該往復移動を繰り返すことで、積層シート17が多層に積み重ねられた積層体19が完成する。なお、積層シート17が折り返される箇所には、折り返し部BDが形成される(図2(c)参照)。
【0034】
昇降機構57は、積層済みの積層体19の厚さに応じて、底板56の高さ位置を調整する。昇降機構57は、底板56の高さ位置を段階的に変更してよい。具体的に、図5(a)に示すように、側壁部54の高さに対応する空間を領域Aとした場合、積層体形成部51は、側壁部54の上から一定の範囲の領域Bの中で積層シート17を折り畳む動作を繰り返す。ここで、側壁部54の上端にはセンサが設けられており、当該センサは、領域Bが積層体19で一杯になったことを検知できる。当該検知のタイミングで、昇降機構57は、底板56を高さ位置L1まで降ろす(図5(b)参照)。これにより、領域Bは、再び空の空間となる。従って、積層体形成部51は、領域Bの中での積層シート17の折り畳みを繰り返す。同趣旨の動作を繰り返しながら、昇降機構57は、底板56を段階的に降ろし、最終的には、側壁部54の下端まで底板56が降りる。なお、昇降機構57の動作は、必ずしも上述の動作に限定されるものではなく、底板56を連続的に徐々に降ろしてもよい。また、側壁部54の高さによっては、昇降機構57を省略し、底板56が常時側壁部54の下端に配置されていてもよい。
【0035】
図5(c)に示すように、プレス部52は、積層体19を型53内でプレスすることによって、積層シート17を圧縮する機構である。なお、プレス部52は、積層体形成部51とは異なる位置に配置されている。プレス部52は、積層体19を収容した型53をベース部材60に配置した状態で、型53内の積層体19をプレスする。プレス部52は、積層体19の上面と接触して押圧する押圧部材52aと、押圧部材52aに押圧力を付与する押圧機構52bと、を備える。積層体19は、押圧部材52aとベース部材60との間で圧力P(図2(c)参照)を付与されることで、ペースト層12の水分が除去されて豆腐シート13として固まる。
【0036】
なお、プレス後の積層体19は、型53から取り出され、シート部材剥離部8及び切断部9へ搬送される。なお、シート部材剥離部8でシート部材10,16を剥離する際は、積層体19から一枚の積層シート17として引き出される。
【0037】
図3を参照して、第1の圧縮部7Aについて説明する。第1の圧縮部7Aは、積層シート17を挟んで圧縮する一対の圧縮ローラ61,62を少なくとも一組有する。本実施形態では、第1の圧縮部7Aは、三組の圧縮ローラ61,62を有する。なお、上流側から順に一組目の圧縮ローラ61A,62A、二組目の圧縮ローラ61B,62B、三組目の圧縮ローラ61C,62Cと称する場合がある。ただし、圧縮ローラ61,62の組数は特に限定されず、四組以上であってもよい。
【0038】
本実施形態では、積層シート17が搬送コンベア20の下流側の端部から積層体形成部51へ向けて下方へ流れる。三組の圧縮ローラ61,62は、搬送コンベア20の下流側の端部と、積層体形成部51との間において、積層シート17を水平方向に挟むように設けられる。当該位置において、上側から下側へ向かって順に、一組目の圧縮ローラ61A,62A、二組目の圧縮ローラ61B,62B、及び三組目の圧縮ローラ61C,62Cが設けられる。なお、圧縮ローラ61,62は、積層シート17の圧縮を行うと共に、水切りの機能も有する。
【0039】
第1の圧縮部7Aは、積層シート17の搬送方向の下流側へ向かうに従って、一対の圧縮ローラ61,62間の隙間が狭くなる。すなわち、一組目の圧縮ローラ61A,62A、二組目の圧縮ローラ61B,62B、及び三組目の圧縮ローラ61C,62Cの順で、圧縮ローラ61,62間の隙間が狭くなる。すなわち、一組目の圧縮ローラ61A,62A、二組目の圧縮ローラ61B,62B、及び三組目の圧縮ローラ61C,62Cの順で、積層シート17に対する圧縮力が強くなってゆく。
【0040】
なお、第1の圧縮部7Aの配置は特に限定されず、例えば、図6に示す構成が採用されてもよい。図6においては、積層シート17は、搬送コンベア20の下流側の端部から水平方向に向かって流れる。三組の圧縮ローラ61,62は、搬送コンベア20の下流側の端部よりも下流側の位置において、積層シート17を上下方向に挟むように設けられる。当該位置において、上流側から下流側へ向かって順に、一組目の圧縮ローラ61A,62A、二組目の圧縮ローラ61B,62B、及び三組目の圧縮ローラ61C,62Cが設けられる。なお、第1の圧縮部7Aで圧縮を完了させることで、第2の圧縮部7Bを省略してもよい。
【0041】
一対の圧縮ローラ61,62の少なくとも一方の外周面には、貫通孔が形成されている。本実施形態では、一組目の圧縮ローラ61A,62A、二組目の圧縮ローラ61B,62B、及び三組目の圧縮ローラ61C,62Cのいずれのローラについても、貫通孔が形成されている。
【0042】
図7(a)に示すように、圧縮ローラ61,62は、円筒状の形状を有している。圧縮ローラ61,62の材質は特に限定されないが、錆に強い材質が好ましく、例えばステンレスなどが採用されてよい。圧縮ローラ61,62は、外周面63を圧縮面として、積層シート17を圧縮する。圧縮ローラ61,62は、常に洗浄できるように、取り外し易い態様にて、回転軸(不図示)を取り付けることができる。圧縮ローラ61,62は、内部に空間を有する中空の部材である(図9参照)。貫通孔64は、外周面63のうち、少なくとも積層シート17と接触する領域において、均一に広がるように複数形成されている。貫通孔64は、外周面63と内部空間とを連通するように、圧縮ローラ61,62の径方向に貫通している。
【0043】
図8を参照して、貫通孔64の形態について説明する。図8は、圧縮ローラ61,62の外周面63の様子を示す模式図である。図8(a)に示すように、外周面63には、複数の貫通孔64が所定の配列パターンにて略均一に形成されている。図に示す貫通孔64は、円形をなしている。ただし、貫通孔64の形状は特に限定されず、長穴、楕円、多角形などの形状を有してもよい。一つ当たりの貫通孔64の大きさは特に限定されず、積層シート17から染み出した水分を通過させることができる大きさであればよい。また、図8(b)に示すように、外周面63は、メッシュ状のシート66で覆われていてもよい。当該シート66は、水分を通過させる程度の粗さのメッシュを有する。
【0044】
次に、本実施形態に係る食品製造装置100の作用・効果について説明する。
【0045】
この食品製造装置100において、第1のシート部材供給部1は、搬送コンベア20に対して通水性を有する第1のシート部材10を供給する。ペースト供給部3は、第1のシート部材10上に食品のペースト11を供給して、第1のシート部材10上に薄板状に広がったペースト層12を形成する。そして、第2のシート部材供給部4は、第1のシート部材10との間でペースト層12を挟むように通水性を有する第2のシート部材16を供給する。以上より、作業者がペーストを手作業でシート部材上に広げるようなことを行わなくとも、各供給部1,3,4が搬送コンベア20に沿ってシート部材10,16及びペースト11を流すような動作によって、積層シート17を自動的に形成することが可能となる。このような積層シート17は、ペースト層12を両面側からシート部材10,16で挟むものであるため、圧縮部7で圧縮する際の取り扱い性が高い。例えば、第1のシート部材10上にペースト層12を形成しただけの積層シートである場合、型53に積層シートを入れる際に、図5(a)(b)に示すような動作をしてしまっては、ペースト層12がシート部材から剥がれる可能性があり、作業者が手作業を行う必要性が生じる。また、片方だけにシート部材があるような積層シートでは、圧縮ローラによる圧縮方法も採用できない。以上のように、本実施形態のような積層シート17であれば、作業者の手作業によらずに、圧縮部7によってペースト層12を圧縮する工程を自動化することが可能となる。以上のように、各工程の自動化を図ることによって、シート状の食品を安定した品質で大量に製造することができる。
【0046】
圧縮部7は、積層シート17を挟んで圧縮する一対の圧縮ローラ61,62を少なくとも一組有する。従って、一対の圧縮ローラ61,62は、積層シート17を挟み込みながら回転することで、当該積層シート17を搬送方向へ送りながら、圧縮することができる。すなわち、積層シート17は、圧縮ローラ61,62で圧縮されることで、ペースト層12に含まれる水分Wがシート部材10,16を透過して外部へ染み出る(図9参照)。一対の圧縮ローラ61,62の少なくとも一方の外周面63には、貫通孔64が形成されている。そのため、圧縮ローラ61,62は、圧縮によって積層シート17から染み出た水分を、貫通孔64を通過させることで、圧縮ローラの内部空間へ導くことができる。そのため、圧縮ローラ61,62は、効率よく積層シート17から水分を除去することができる。
【0047】
例えば、図7(b)は、比較例に係る圧縮ローラ161,162である。圧縮ローラ161,162は、外周面163に貫通孔を有していない。このような圧縮ローラ161,162が積層シート17を圧縮した場合、図10に示すように、圧縮によって染み出た水分Wは、圧縮ローラ161,162の外側からしか抜けることができない。これに対し、図9に示すように、圧縮ローラ61,62の圧縮によって積層シート17から染み出た水分Wは、貫通孔64を通過して、圧縮ローラ61,62の内部空間にも入り込むことができる。内部空間に入り込んだ水分は、圧縮ローラ61,62の軸方向の端部から抜けることができる。このように、積層シート17から染み出た水分Wは、圧縮ローラ61,62の外側からも内側からも抜けることができる。そのため、圧縮ローラ61,62は、効率よく積層シート17から水分を除去することができる。
【0048】
以上のように積層シート17から効率よく水分を除去することで、圧縮ローラ61,62を通過させた後の積層シート17の取り扱い性を向上させることができ、それによって以降の工程を行い易くすることができ、且つ時間を短縮することができる。例えば、図3のように、第2の圧縮部7Bで積層シート17を折り畳む場合は、ペースト層12の水分が除去されて接着が十分であることにより、型枠内で均一に畳むことができる。従って、型枠内の上層部と下層部で乱れが生じることを抑制し、歩留まりを向上できる。また、第1の圧縮部7Aにおいて、積層シート17を搬送しながら水分を除去することで、第2の圧縮部7Bでのプレスの時間を短縮することができる。あるいは、図6に示すように、第2の圧縮部7B自体を省略することで、プレスの時間を省略することができる。以上より、切断して麺を形成するためのシート状の食品を安定した品質で大量に製造することができる。
【0049】
圧縮部7は、一対の圧縮ローラ61,62を複数組有し、積層シート17の搬送方向の下流側へ向かうに従って、一対の圧縮ローラ61,62間の隙間が狭くなってよい。これにより、搬送方向へ搬送される積層シート17に対する圧縮力を徐々に高めることができ、積層シート17に含まれる水分の量に応じて、段階的に水分を除去することができる。そのため、急激に水分を除去することで食品の品質が不安定になることを抑制しながら、十分に水分を除去することができる。
【0050】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0051】
例えば、第1の圧縮部7Aは、図11に示すような配置の圧縮ローラを有してよい。搬送コンベア20(図3参照)の下流側で水切りがなされた積層シート17は、圧縮ローラ70Aに沿って旋回しながら、圧縮ローラ70A,70B間に挟まれる。これによって、積層シート17のペースト層12は、圧縮ローラ70A,70Bに圧縮されながら、下流側へ搬送される。更に、積層シート17は、圧縮ローラ71A、71Bによって同様な動作によって圧縮される。このような圧縮ローラによる圧縮が、必要な回数だけ繰り返し行われる。なお、圧縮ローラ70A,70B間の隙間よりも、下流側の圧縮ローラ71A,71B間の隙間の方が小さい。このように、下流側へ向かうに従って隙間が小さくなる。第1の圧縮部7Aで圧縮された後の積層シート17からは第1のシート部材10及び第2のシート部材16が剥離されることで、豆腐シート13が得られる。これにより、圧縮部7は、圧縮ローラ70A,70B,71A,71Bを回転させながら積層シート17を挟むことで、積層シート17を搬送しながら圧縮することができる。このため、図5で示すような積層シート17を折り畳むような工程を経ることなくペースト層12を圧縮することができる。
【0052】
上述の実施形態では、豆腐の麺を形成する装置について説明した。しかし、このような豆乳製品のみならず、穀物ペーストに野菜をいれるような食品を製造する装置に、本発明が適用されてもよい。
【0053】
上述の実施形態では、第1のシート部材10をまず始めに搬送し、その上にペースト層12を形成し、最後に第2のシート部材16で覆っていた。しかし、各部材を供給するタイミングは特に限定されず、シート部材10,16が重なるタイミングと、ペースト11が供給されるタイミングが同じであってもよい。例えば、第1のシート部材10と第2のシート部材16との間に、ペースト11を流し込む構成でもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…第1のシート部材供給部、3…ペースト供給部、4…第2のシート部材供給部、7…圧縮部、10…第1のシート部材、16…第2のシート部材、17…積層シート、19…積層体、26…供給部、61,62,70A,70B,71A,71B…圧縮ローラ、63…外周面、64…貫通孔、100…食品製造装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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