(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120603
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】整合回路基板および半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/00 20060101AFI20240829BHJP
H05K 1/16 20060101ALI20240829BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H01L25/00 B
H05K1/16 D
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027503
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】中島 郁夫
【テーマコード(参考)】
4E351
5E316
【Fターム(参考)】
4E351AA02
4E351AA07
4E351BB03
4E351DD04
4E351DD05
4E351DD06
4E351GG12
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB04
5E316CC08
5E316CC16
5E316CC32
5E316CC38
5E316CC39
5E316CC42
5E316FF07
5E316FF09
5E316HH40
(57)【要約】
【課題】金属ペーストのマイグレーションを抑制する整合回路基板を提供する。
【解決手段】整合回路基板は、第1の基板、第2の基板、および、第3の基板を備える。第1の基板は、第1の絶縁体、第1の金属パターンおよび第1の導通ビアを有する。第2の基板は、第2の絶縁体、第2の金属パターン、および第2の導通ビアを有する。第3の基板は、第3の絶縁体、および第3の金属パターンを有する。第1の金属パターン、第2の絶縁体および第2の金属パターンからキャパシタが構成され、第1の金属パターン、第1の絶縁体および第3の金属パターンからキャパシタが構成される。第2の金属パターンは、第2の導通ビアおよび第1の導通ビアを通じて、第3の金属パターンに電気的に接続される。第1の金属パターンは、第1の導通ビアから離れて第1の導通ビアの内側に位置し、第1の導通ビアとは絶縁する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁体、前記第1の絶縁体の主面上に設けられる第1の金属パターン、および、前記第1の絶縁体の周縁に設けられる複数の第1の導通ビアを有する第1の基板と、
前記第1の基板の第1の面に対向するように設けられる第2の基板であって、第2の絶縁体、前記第2の絶縁体の主面上に設けられる第2の金属パターン、および、前記第2の絶縁体の周縁に設けられる複数の第2の導通ビアを有する第2の基板と、
前記第1の基板の前記第1の面とは逆の第2の面に対向するように設けられる第3の基板であって、第3の絶縁体、および、前記第3の絶縁体の主面上に設けられる第3の金属パターンを有する第3の基板と、を備え、
前記第1の金属パターン、前記第2の絶縁体および前記第2の金属パターンから第1のキャパシタが構成され、
前記第1の金属パターン、前記第1の絶縁体および前記第3の金属パターンから第2のキャパシタが構成され、
前記第2の金属パターンは、前記複数の第2の導通ビアおよび前記複数の第1の導通ビアを通じて、前記第3の金属パターンに電気的に接続され、
前記第1の金属パターンは、前記複数の第1の導通ビアから離れて前記複数の第1の導通ビアの内側に位置し、前記複数の第1の導通ビアとは絶縁するように構成されている、整合回路基板。
【請求項2】
前記第3の基板は、前記第3の絶縁体の周縁に配置される複数の第3の導通ビア、および、前記第3の絶縁体の前記主面とは逆の底面上に設けられる裏面金属パターンを有し、
前記第3の金属パターンは、前記複数の第3の導通ビアを通じて、前記裏面金属パターンに電気的に接続される、
請求項1に記載の整合回路基板。
【請求項3】
前記複数の第1の導通ビアは、それぞれが互いに電気的に接続され、前記複数の第1の導通ビアが前記第1の金属パターンを取り囲むガードリンク構造を有する、
請求項1に記載の整合回路基板。
【請求項4】
前記第2の基板の上に設けられる第4の基板であって、第4の絶縁体、前記第4の絶縁体の主面上に設けられる第4の金属パターンおよび前記第4の絶縁体の周縁に設けられる複数の第4の導通ビアを有する第4の基板と、を更に備え、
前記第4の金属パターンは、前記第1の金属パターンに電気的に接続され、
前記複数の第4の導通ビアは、前記第2の金属パターンおよび前記第2の導通ビアの少なくとも一方に電気的に接続され、
前記第4の金属パターンは、前記複数の第4の導通ビアから離れて前記複数の第4の導通ビアの内側に位置し、前記複数の第4の導通ビアとは絶縁するように構成されている、
請求項1に記載の整合回路基板。
【請求項5】
前記複数の第4の導通ビアは、それぞれが互いに電気的に接続され、前記複数の第4の導通ビアが前記第4の金属パターンを取り囲むガードリンク構造を有する、
請求項4に記載の整合回路基板。
【請求項6】
前記第2の金属パターンおよび前記第3の金属パターンの少なくとも一方には基準電位が供給されるように構成されている、
請求項1に記載の整合回路基板。
【請求項7】
第5の絶縁体、前記第5の絶縁体の主面上に設けられる第5の金属パターン、および、前記第5の絶縁体の周縁に設けられる複数の第5の導通ビアを有する第5の基板を更に備え、
前記第5の金属パターンがインダクタを形成する、
請求項4に記載の整合回路基板。
【請求項8】
前記第5の基板の第1の面に対向するように設けられる第6の基板であって、第6の絶縁体、前記第6の絶縁体の主面上に設けられる第6の金属パターン、および、前記第6の絶縁体の周縁に設けられる複数の第6の導通ビアを有する第6の基板と、
前記第5の基板の前記第1の面とは逆の第2の面に対向するように設けられる第7の基板であって、第7の絶縁体、前記第7の絶縁体の主面上に設けられる第7の金属パターン、および、前記第7の絶縁体の周縁に設けられる複数の第7の導通ビアを有する第7の基板と、を更に備え、
前記第6の金属パターンおよび前記第7の金属パターンは、前記複数の第5の導通ビアおよび複数の第6の導通ビアを介して電気的に接続される、
請求項7に記載の整合回路基板。
【請求項9】
前記第6の基板の第1の面に対向するように設けられる第8の基板であって、第8の絶縁体、前記第8の絶縁体の主面上に設けられる第8の金属パターン、および、前記第8の絶縁体の周縁に設けられる複数の第8の導通ビアを有する第8の基板を更に備え、
前記第4の絶縁体の主面上には、前記第4の金属パターンと離間するように第9の金属パターンが設けられ、
前記第9の金属パターンは、前記第8の金属パターンに電気的に接続され、
前記複数の第4の導通ビアは、前記第3の金属パターンおよび前記第8の導通ビアの少なくとも一方に電気的に接続され、
前記第9の金属パターンは、前記複数の第4の導通ビアから離れて前記複数の第4の導通ビアの内側に位置し、前記複数の第4の導通ビアとは絶縁するように構成されている、
請求項8に記載の整合回路基板。
【請求項10】
前記第5の金属パターンは、前記第4の金属パターンおよび前記第9の金属パターンと電気的に接続されている、請求項9に記載の整合回路基板。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の整合回路基板と、
半導体素子と、
前記整合回路基板および前記半導体素子を搭載するベース基板と、を備え、
前記整合回路基板と前記ベース基板とが金属ペーストにより接合されている、
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、整合回路基板および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、高周波増幅装置の一例が開示されている。この高周波増幅装置は、内部整合型の高出力電界効果トランジスタであり、パッケージと、パッケージ上に実装されて高周波信号を増幅する増幅素子と、増幅素子の入力端とパッケージの入力端との間に接続されてインピーダンス変換を行う入力整合回路基板と、増幅素子の出力端とパッケージの出力端との間に接続されてインピーダンス変換を行う出力整合回路基板とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された半導体装置では、トランジスタ(増幅素子)および整合回路部品が導電性接着剤(金属ペースト)によってパッケージ基板上に実装されている。この半導体装置は、例えばこの整合回路部品に対して負電圧が印加される構成になることがあり、この構成によって生じるマイナスの電界に引っ張られる形で、グランド電極に向かって金属ペーストからのマイグレーションが生じてしまう。特に金属ペーストとして銀(Ag)ペーストを用いた場合、銀がマイナスの電界に引っ張られ易いことから、イオンマイグレーションを引き起こしてしまうことがある。
【0005】
本開示は、金属ペーストのマイグレーションを抑制することができる、整合回路基板および半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る整合回路基板は、第1の基板と、第1の基板の第1の面に対向するように設けられる第2の基板と、第1の基板の第1の面とは逆の第2の面に対向するように設けられる第3の基板とを備える。第1の基板は、第1の絶縁体、第1の絶縁体の主面上に設けられる第1の金属パターン、および、第1の絶縁体の周縁に設けられる複数の第1の導通ビアを有する。第2の基板は、第2の絶縁体、第2の絶縁体の主面上に設けられる第2の金属パターン、および、第2の絶縁体の周縁に設けられる複数の第2の導通ビアを有する。第3の基板は、第3の絶縁体、および、第3の絶縁体の主面上に設けられる第3の金属パターンを有する。この整合回路基板では、第1の金属パターン、第2の絶縁体および第2の金属パターンから第1のキャパシタが構成され、第1の金属パターン、第1の絶縁体および第3の金属パターンから第2のキャパシタが構成される。第2の金属パターンは、複数の第2の導通ビアおよび複数の第1の導通ビアを通じて、第3の金属パターンに電気的に接続される。第1の金属パターンは、複数の第1の導通ビアから離れて複数の第1の導通ビアの内側に位置し、複数の第1の導通ビアとは絶縁するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、金属ペーストのマイグレーションを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す半導体装置の整合回路基板のII-II線に沿った断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す整合回路基板によって構成される回路の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図2に示す整合回路基板を分解した分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す整合回路基板によって構成される回路の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1変形例に係る整合回路基板を分解した分解斜視図である。
【
図7】
図7は、第2変形例に係る整合回路基板を分解した分解斜視図である。
【
図8】
図8は、第3変形例に係る整合回路基板を分解した分解斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す整合回路基板によって構成される回路の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、一般的な整合回路基板を分解した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
[1]本開示の一実施形態に係る整合回路基板は、第1の基板と、第1の基板の第1の面に対向するように設けられる第2の基板と、第1の基板の第1の面とは逆の第2の面に対向するように設けられる第3の基板とを備える。第1の基板は、第1の絶縁体、第1の絶縁体の主面上に設けられる第1の金属パターン、および、第1の絶縁体の周縁に設けられる複数の第1の導通ビアを有する。第2の基板は、第2の絶縁体、第2の絶縁体の主面上に設けられる第2の金属パターン、および、第2の絶縁体の周縁に設けられる複数の第2の導通ビアを有する。第3の基板は、第3の絶縁体、および、第3の絶縁体の主面上に設けられる第3の金属パターンを有する。この整合回路基板では、第1の金属パターン、第2の絶縁体および第2の金属パターンから第1のキャパシタが構成され、第1の金属パターン、第1の絶縁体および第3の金属パターンから第2のキャパシタが構成される。第2の金属パターンは、複数の第2の導通ビアおよび複数の第1の導通ビアを通じて、第3の金属パターンに電気的に接続される。第1の金属パターンは、複数の第1の導通ビアから離れて複数の第1の導通ビアの内側に位置し、複数の第1の導通ビアとは絶縁するように構成されている。
【0010】
上記の整合回路基板では、第1の金属パターンが複数の第1の導通ビアから離れて複数の第1の導通ビアの内側に位置している。この場合、第1の金属パターンが第2の金属パターン又は第3の金属パターンの長さや幅よりも小さくなる。これにより、整合回路基板の外側(特に側面の外側)に漏れる電界が小さくなる。また、この整合回路基板では、複数の第1の導通ビアおよび複数の第2の導通ビアを電圧が印加される金属パターンの外側に配置している。これにより、整合回路基板の外側に漏れる電界が更に小さくなる。以上から、この整合回路基板によれば、金属ペーストのマイグレーションが抑制される。
【0011】
[2]上記[1]の整合回路基板において、第3の基板は、第3の絶縁体の周縁に配置される複数の第3の導通ビア、および、第3の絶縁体の主面とは逆の底面上に設けられる裏面金属パターンを有してもよい。第3の金属パターンは、複数の第3の導通ビアを通じて、裏面金属パターンに電気的に接続されてもよい。この場合、第3の金属パターンを容易にグランド電極として利用することができる。
【0012】
[3]上記[1]または[2]の整合回路基板において、複数の第1の導通ビアは、それぞれが互いに電気的に接続され、複数の第1の導通ビアが第1の金属パターンを取り囲むガードリンク構造を有してもよい。この場合、整合回路基板の外側に漏れる電界が更に小さくなる。よって、この整合回路基板によれば、金属ペーストのマイグレーションが更に抑制される。
【0013】
[4]上記[1]から[3]のいずれかの整合回路基板は、第2の基板の上に設けられる第4の基板を更に備えてもよい。第4の基板は、第4の絶縁体、第4の絶縁体の主面上に設けられる第4の金属パターン、および、第4の絶縁体の周縁に設けられる複数の第4の導通ビアを有してもよい。第4の金属パターンは、第1の金属パターンに電気的に接続されてもよい。複数の第4の導通ビアは、第2の金属パターンおよび第2の導通ビアの少なくとも一方に電気的に接続されてもよい。第4の金属パターンは、複数の第4の導通ビアから離れて複数の第4の導通ビアの内側に位置し、複数の第4の導通ビアとは絶縁するように構成されていてもよい。この場合、第4の基板を用いて、内層に位置する第1の金属パターンに所定の電圧を容易に印加することができる。また、この整合回路基板では、複数の第4の導通ビアが電圧が印加される金属パターンの外側に配置されているため、整合回路基板の外側に漏れる電界が更に小さくなる。以上から、この整合回路基板によれば、金属ペーストのマイグレーションが更に抑制される。
【0014】
[5]上記[4]の整合回路基板において、複数の第4の導通ビアは、それぞれが互いに電気的に接続され、複数の第4の導通ビアが第4の金属パターンを取り囲むガードリンク構造を有してもよい。この場合、整合回路基板の外側に漏れる電界が更に小さくなる。よって、この整合回路基板によれば、金属ペーストのマイグレーションが更に抑制される。
【0015】
[6]上記[1]から[5]のいずれかの整合回路基板において、第2の金属パターンおよび第3の金属パターンの少なくとも一方には基準電位が供給されるように構成されていてもよい。この場合、第2の金属パターンおよび第3の金属パターンをグランド電極として容易に用いることができる。
【0016】
[7]上記[1]から[6]のいずれかの整合回路基板は、第5の基板を更に備えてもよい。第5の基板は、第5の絶縁体、第5の絶縁体の主面上に設けられる第5の金属パターン、および、第5の絶縁体の周縁に設けられる複数の第5の導通ビアを有してもよい。この整合回路基板では、第5の金属パターンがインダクタを形成してもよい。この場合、整合回路基板にキャパシタ以外の回路部であるインダクタを設けることができ、様々な回路構成とすることが可能となる。
【0017】
[8]上記[7]の整合回路基板は、第5の基板の第1の面に対向するように設けられる第6の基板と、第5の基板の第1の面とは逆の第2の面に対向するように設けられる第7の基板とを更に備えてもよい。第6の基板は、第6の絶縁体、第6の絶縁体の主面上に設けられる第6の金属パターン、および、第6の絶縁体の周縁に設けられる複数の第6の導通ビアを有してもよい。第7の基板は、第7の絶縁体、第7の絶縁体の主面上に設けられる第7の金属パターン、および、第7の絶縁体の周縁に設けられる複数の第7の導通ビアを有してもよい。第6の金属パターンおよび第7の金属パターンは、複数の第5の導通ビアおよび複数の第6の導通ビアを介して電気的に接続されてもよい。
【0018】
[9]上記[8]の整合回路基板は、第6の基板の第1の面に対向するように設けられる第8の基板を更に備えてもよい。第8の基板は、第8の絶縁体、第8の絶縁体の主面上に設けられる第8の金属パターン、および、第8の絶縁体の周縁に設けられる複数の第8の導通ビアを有してもよい。第4の絶縁体の主面上には、第4の金属パターンと離間するように第9の金属パターンが設けられてもよい。第9の金属パターンは、第8の金属パターンに電気的に接続されてもよい。複数の第4の導通ビアは、第3の金属パターンおよび第8の導通ビアの少なくとも一方に電気的に接続されてもよい。第9の金属パターンは、複数の第4の導通ビアから離れて複数の第4の導通ビアの内側に位置し、複数の第4の導通ビアとは絶縁するように構成されていてもよい。
【0019】
[10]上記[9]の整合回路基板において、第5の金属パターンは、第4の金属パターンおよび第9の金属パターンと電気的に接続されていてもよい。
【0020】
本開示の一実施形態に係る半導体装置は、上記[1]から[10]のいずれかの整合回路基板と、半導体素子と、整合回路基板および半導体素子を搭載するベース基板と、を備える。この半導体装置では、整合回路基板とベース基板とが金属ペーストによって接合されている。この半導体装置では、上記したように、整合回路基板の外側に漏れる電界が小さくなる。よって、上記何れかの整合回路基板を有する半導体装置によれば、導電ペーストのマイグレーションが抑制される。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る整合回路基板および半導体装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
図1を参照して、整合回路基板を備える半導体装置について説明する。
図1は、一実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図1に示すように、半導体装置1は、ベース基板2、枠体3、第1リード4、第2リード5、トランジスタ6(半導体素子)、整合回路部品7および整合回路基板10を備えている。半導体装置1は、枠体3の上方に設けられるリッドを更に備えてもよい。
【0023】
ベース基板2は、例えば、銅とモリブデンの積層基板等の導電体基板である。ベース基板2には、グランド電位等の基準電位が供給される。ベース基板2上に設けられる枠体3およびリッドは、例えばFR-4(Flame Retardant Type 4)等の樹脂またはセラミックからなる誘電体から形成される。枠体3の長辺部3aには第1リード4が取り付けられ、枠体3の長辺部3bには第2リード5が取り付けられる。ベース基板2上であって枠体3の内側には、トランジスタ6、整合回路部品7および整合回路基板10が配置されている。トランジスタ6、整合回路部品7および整合回路基板10は、銀(Ag)ペースト等の金属ペーストPによってベース基板2に搭載されている(
図2を参照)。
【0024】
トランジスタ6は、電界効果トランジスタであり、例えばGaN HEMT(Gallium Nitride High Electron Mobility Transistor)等の半導体チップである。整合回路部品7は、例えば、キャパシタから構成され、第1リード4のインピーダンスとトランジスタ6のインピーダンスとを整合する部品である。例えば、第1リード4は入力リードであり、第2リード5は出力リードである。第1リード4は、ボンディングワイヤW1によって整合回路部品7に接続される。整合回路部品7は、ボンディングワイヤW2によってトランジスタ6に接続される。トランジスタ6は、ボンディングワイヤW3によって第2リード5に接続される。整合回路基板10は、ボンディングワイヤW4によって、第1リード4に接続される。
【0025】
図2は、半導体装置1における整合回路基板10付近のII-II線に沿った断面を示す図である。整合回路基板10は、詳細は後述するが、複数の金属パターンと複数の絶縁体とを順に積層して作製された積層回路部品(例えばキャパシタ)である。
図2に示すように、整合回路基板10は、導電性の金属ペーストPによって、ベース基板2の主面2a上に実装される。金属ペーストPは、例えば、導電性の銀(Ag)ペーストである。整合回路基板10の裏面には裏面金属パターン11(ベタ電極)が設けられている。裏面金属パターン11が金属ペーストPに接着されることで、整合回路基板10がベース基板2に実装されると共に、ベース基板2に供給されるグランド電位が整合回路基板10のグランド電極に供給されるようになる。
【0026】
整合回路基板10の電極パッド12にはボンディングワイヤW4を通じて第1リード4が接続されている。第1リード4に負電圧(-)が印加されると(第2リード5には正電圧(+)が印加)、これによって生じるマイナスの電界によって金属ペーストP(銀ペースト)からグランド電極に向かって金属(例えば銀)のマイグレーションが生じることがある。本実施形態に係る整合回路基板10では、以下で説明するように、このような電界を小さくする構成が設けられている。なお、
図3に、
図2に示すキャパシタ構成による回路の例を示す。
【0027】
図4は、
図2に示す整合回路基板10を分解した分解斜視図である。
図4に示すように、整合回路基板10は、複数の第1の基板20、複数の第2の基板30、及び、複数の第3の基板40から構成されている。整合回路基板10は、例えば、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)基板である。
【0028】
第1の基板20は、電圧が印加される電極層を含む基板であり、第2の基板30と第3の基板40との間に配置されている。第1の基板20は、絶縁体21(第1の絶縁体)と、絶縁体21の主面21a上に設けられる金属パターン22(第1の金属パターン)と、金属パターン22の周囲を取り囲むように配置される複数の導通ビア23(第1の導通ビア)と、金属パターン22内に位置する導通ビア24と、金属パターン22内に位置する導通ビア25とを有する。絶縁体21は、例えば、セラミック材料から構成される絶縁基板である。絶縁体21は、PCB基板であってもよく、その場合、プリプレグを用いて積層を行う。以下の絶縁体の構成も同様である。
【0029】
金属パターン22は、絶縁体21の主面21aの周縁に設けられた複数の導通ビア23を除く中央領域を覆うように形成されており、導通ビア23とは導通しないようになっている。金属パターン22は、平面方向における大きさが、後述する第2の基板30の金属パターン32または第3の基板40の金属パターン42よりも小さくなるように形成されている。金属パターン22は、金属パターン32または金属パターン42の面積に対して、例えば、50%以上90%以下の大きさであってもよい。金属パターン22は、例えば、銅または銀から形成されている。
【0030】
複数の導通ビア23のそれぞれは、絶縁体21を表面から裏面まで貫通するスルーホールの内周面に設けられた(またはスルーホールに充填された)金属材料(例えば銅または金、銀)から構成される導通ビアである。導通ビア23は、絶縁体21の表面に位置する電極と絶縁体21の裏面に位置する電極とを電気的に接続する。導通ビア23のそれぞれは、平面方向において、互いに離れるように配置されている。隣接する導通ビア23同士の隔離距離は、例えば50μm以上500μm以下であってもよい。複数の導通ビア23は、例えば、等間隔で配置される。
【0031】
導通ビア24は、第4の基板50の金属パターン52を他の第1の基板20の金属パターン22に電気的に接続するための導通ビアである。導通ビア24は、導通ビア23と同様に、絶縁体21を表面から裏面まで貫通するスルーホールの内周面に設けられた(またはスルーホールに充填された)金属材料から構成される導通ビアである。導通ビア24は、平面方向において金属パターン22の内側に設けられている。導通ビア24は、表面において、金属パターン22に接続されて導通すると共に、第2の基板30の導通ビア34に電気的に接続される。一方、導通ビア24は、裏面において、第3の基板40の導通ビア44に電気的に接続される。
【0032】
導通ビア25は、第2の基板30の金属パターン32と第3の基板40の金属パターン42とを電気的に接続するための導通ビアである。導通ビア25は、導通ビア24と同様に、絶縁体21を表面から裏面まで貫通するスルーホールの内周面に設けられた(またはスルーホールに充填された)金属材料から構成される導通ビアである。導通ビア25は、平面方向において金属パターン22の内側に設けられている。導通ビア25は、表面において、第2の基板30の導通ビア35に電気的に接続されており、裏面において、第3の基板40の導通ビア45に電気的に接続されている。導通ビア25は、グランド電極として機能する金属パターン32と金属パターン42とを繋ぐ部材であり、電圧印加される金属パターン22とは導通しないように、金属パターン22の内側に設けられた空隙(例えば円形の非導通空間)内に露出するように設けられている。即ち、導通ビア25は、金属パターン22に対して絶縁されている。
【0033】
第2の基板30は、グランド電圧が印加される電極層を含み、第1の基板20の第1の面20aに対向するように設けられて積層される。第2の基板30は、絶縁体31(第2の絶縁体)と、絶縁体31の主面31a上に設けられる金属パターン32(第2の金属パターン)と、金属パターン32の周縁に配置される複数の導通ビア33(第2の導通ビア)と、金属パターン32内に位置する導通ビア34と、金属パターン32内に位置する導通ビア35とを有する。絶縁体31は、絶縁体21と同様に、例えば、セラミック材料から構成される絶縁基板やPCB基板であってもよい。
【0034】
金属パターン32は、絶縁体31の主面31aの周縁を除く略全面を覆うように形成されている。金属パターン32の面積は、絶縁体31を挟んで対向する金属パターン22の面積よりも大きく、第3の基板40の金属パターン42と同じ大きさとなっている。金属パターン32は、例えば、銅または銀から形成されている。
【0035】
複数の導通ビア33のそれぞれは、絶縁体31を表面から裏面まで貫通するスルーホールの内周面に設けられた(またはスルーホールに充填された)金属材料(例えば銅または金、銀)から構成される導通ビアである。導通ビア33は、絶縁体31の表面に位置する金属パターン32と絶縁体31の裏面に位置する電極とを電気的に接続する。導通ビア33のそれぞれは、平面方向において、互いに離れるように配置されている。隣接する導通ビア33同士の隔離距離は、例えば50μm以上500μm以下であってもよい。複数の導通ビア33は、例えば、等間隔で配置される。複数の導通ビア33は、導通ビア23と異なり、表面において金属パターン32に電気的に接続されている。導通ビア33は、導通ビア23と電気的に接続される。
【0036】
導通ビア34は、第4の基板50の金属パターン52を第1の基板20の金属パターン22に電気的に接続するための導通ビアである。導通ビア34は、導通ビア33と同様に、絶縁体31を表面から裏面まで貫通するスルーホールの内周面に設けられた(またはスルーホールに充填された)金属材料から構成される導通ビアである。導通ビア34は、平面方向において金属パターン32の内側に設けられている。導通ビア34は、表面において、第4の基板50の導通ビア54に接続されており、導通するようになっている。一方、導通ビア34は、裏面において、第1の基板20の金属パターン22または導通ビア24に電気的に接続されている。導通ビア34は、電圧印加層として機能する金属パターン52と金属パターン22とを繋ぐ部材であり、グランド電圧が印加される金属パターン32とは導通しないように、金属パターン32に設けられた空隙(例えば円形の非導通空間)に露出するように設けられている。即ち、導通ビア34は、金属パターン32に対して絶縁されている。
【0037】
導通ビア35は、第2の基板30の金属パターン32と第3の基板40の金属パターン42とを電気的に接続するための部材である。導通ビア35は、導通ビア34と同様に、絶縁体31を表面から裏面まで貫通するスルーホールの内周面に設けられた(またはスルーホールに充填された)金属材料から構成される導通ビアである。導通ビア35は、平面方向において金属パターン32の内側に設けられている。導通ビア35は、表面において、第2の基板30の金属パターン32に接続されており、裏面において、第1の基板20の導通ビア25に電気的に接続されている。
【0038】
第3の基板40は、第2の基板30と同様に、グランド電圧が印加される電極層を含み、第1の基板20の裏面である第2の面20bに対向するように設けられて積層される。第3の基板40は、絶縁体41(第3の絶縁体)と、絶縁体41の主面41a上に設けられる金属パターン42(第3の金属パターン)と、金属パターン42の周縁に配置される複数の導通ビア43(第3の導通ビア)と、金属パターン42内に位置する導通ビア44と、金属パターン42内に位置する導通ビア45とを有する。第3の基板40の基本的な構成は、第2の基板30と同じである。
【0039】
絶縁体41は、絶縁体21,31と同様に、例えば、セラミック材料から構成される絶縁基板やPCB基板である。金属パターン42は、金属パターン32と同様に、絶縁体41の主面41aの周縁を除く略全面を覆うように形成されている。金属パターン42の面積は、絶縁体21を挟んで対向する金属パターン22の面積よりも大きく、第2の基板30の金属パターン32と同じ大きさとなっている。金属パターン42は、例えば、銅または銀から形成されている。
【0040】
複数の導通ビア43のそれぞれは、絶縁体41を表面から裏面まで貫通するスルーホールの内周面に設けられた(またはスルーホールに充填された)金属材料から構成される導通ビアである。導通ビア43は、絶縁体41の表面に位置する金属パターン42と絶縁体41の裏面に位置する電極とを電気的に接続する。導通ビア43のそれぞれは、平面方向において、互いに離れるように配置されている。隣接する導通ビア43同士の隔離距離は、例えば50μm以上500μm以下であってもよい。複数の導通ビア43は、例えば、等間隔で配置される。複数の導通ビア43は、導通ビア23と異なり、表面において金属パターン42に電気的に接続されている。導通ビア43は、導通ビア23に電気的に接続される。
【0041】
導通ビア44は、第1の基板20の金属パターン22を別の第1の基板20の金属パターン22に電気的に接続するための導通ビアである。導通ビア44は、導通ビア43と同様に、絶縁体41を表面から裏面まで貫通するスルーホールの内周面に設けられた(またはスルーホールに充填された)金属材料から構成される導通ビアである。導通ビア44は、平面方向において金属パターン42の内側に設けられている。導通ビア44は、表面において、第1の基板20の導通ビア24に接続されており、導通するようになっている。一方、導通ビア44は、裏面において、別の第1の基板20の金属パターン22または導通ビア24に電気的に接続されている。導通ビア44は、電圧印加層として機能する金属パターン22を別の金属パターン22に繋ぐ部材であり、グランド電圧が印加される金属パターン42とは導通しないように、金属パターン42に設けられた空隙(例えば円形の非導通空間)に露出するように設けられている。即ち、導通ビア44は、金属パターン42に対して絶縁されている。
【0042】
導通ビア45は、第3の基板40の金属パターン42を別の第2の基板30の金属パターン32に電気的に接続するための部材である。導通ビア45は、導通ビア44と同様に、絶縁体41を表面から裏面まで貫通するスルーホールの内周面に設けられた(またはスルーホールに充填された)金属材料から構成される導通ビアである。導通ビア45は、平面方向において金属パターン42の内側に設けられている。導通ビア45は、表面において、第3の基板40の金属パターン42に接続されており、裏面において、別の第2の基板30の導通ビア35に電気的に接続されている。
【0043】
第4の基板50は、整合回路基板10の最表面に配置される基板であって、ボンディングワイヤW4によって電圧が直接印加される電極層を含む。第4の基板50は、第2の基板30の上に設けられる。第4の基板50は、絶縁体51(第4の絶縁体)と、絶縁体51の主面51a上に設けられる金属パターン52(第4の金属パターン)と、金属パターン52内に位置する導通ビア54とを有する。
【0044】
絶縁体51は、絶縁体21,31,41と同様に、例えば、セラミック材料から構成される絶縁基板やPCB基板である。金属パターン52は、絶縁体51の主面51aの周縁を除く略全面を覆うように形成されている。金属パターン52には、ボンディングワイヤW4が接続されている。金属パターン52は、例えば、銅または銀から形成されている。
【0045】
導通ビア54は、第4の基板50の金属パターン52を第1の基板20の金属パターン22に電気的に接続するための導通ビアである。導通ビア54は、絶縁体51を表面から裏面まで貫通するスルーホールの内周面に設けられた(またはスルーホールに充填された)金属材料から構成される導通ビアである。導通ビア54は、平面方向において金属パターン52の内側に設けられている。導通ビア54は、表面において、金属パターン52に接続されて導通すると共に、裏面において、第2の基板30の導通ビア34に電気的に接続されている。金属パターン52は、導通ビア54および導通ビア34によって、第1の基板20の金属パターン22および導通ビア24に電気的に接続される。
【0046】
整合回路基板10では、このような複数の基板を有しており、例えば、金属パターン22、絶縁体31および金属パターン32から第1のキャパシタC1(a)が構成され、金属パターン22、絶縁体21および金属パターン42から第2のキャパシタC1(b)が構成される。
図5には、複数のキャパシタC1(a)からC1(m)が構成された場合の回路の例を示している。なお、整合回路基板10では、最下層の第3の基板40の底面に裏面金属パターン11(
図2を参照)が設けられている。この場合、第3の基板40の複数の導通ビア43および導通ビア45は、金属パターン42と裏面金属パターン11とを電気的に接続する。この裏面金属パターン11は、金属ペーストPによってベース基板2に更に接続される。
【0047】
ここで、本実施形態に係る整合回路基板10によって、金属ペーストPのマイグレーションが抑制される効果について、一般的な整合回路部品を用いた場合と対比して説明する。
図10は、一般的な整合回路部品を分解した分解斜視図である。
図10に示す整合回路基板100は、複数の第1の基板120、複数の第2の基板130、複数の第3の基板140、および、第4の基板150を備えて構成されている。第1の基板120、第2の基板130、第3の基板140および第4の基板150は、上述した整合回路基板10の第1の基板20、第2の基板30、第3の基板40および第4の基板50に対応する。整合回路基板100が整合回路基板10と相違する点は、第1の基板、第2の基板および第3の基板の周縁に複数の導通ビア23,33,43を設けておらず、また、第1の基板120の金属パターン122が第2の基板130と第3の基板140の金属パターン132,142と略同じ大きさである点である。このような整合回路基板100を備えた半導体装置では、第1リード4に負電圧が印加されると、この電圧によって生じる電界の影響により、整合回路基板100をベース基板2に実装する際に用いた金属ペーストP(銀ペースト)がマイグレーションを起こしてしまうことがある。
【0048】
これに対し、本実施形態に係る整合回路基板10では、金属パターン22が複数の導通ビア23から離れて複数の導通ビア23の内側に位置している。このため、金属パターン22が金属パターン32又は金属パターン42の長さや幅よりも小さくなる。これにより、整合回路基板10の外側(特に側面の外側)に漏れる電界が小さくなる。また、本実施形態に係る整合回路基板10では、複数の導通ビア23および複数の導通ビア33を電圧が印加される金属パターンの外側に配置している。これにより、整合回路基板10の外側に漏れる電界が更に小さくなる。以上から、整合回路基板10によれば、金属ペーストPのマイグレーションが抑制される。
【0049】
本実施形態に係る整合回路基板10では、第3の基板40は、絶縁体41の周縁に配置される複数の導通ビア43を更に有している。これにより、整合回路基板10の外側に漏れる電界が更に小さくなる。また、整合回路基板10では、最下層の第3の基板40の絶縁体41の裏面に設けられる裏面金属パターン11を有している。そして、金属パターン42は、複数の導通ビア43を通じて、裏面金属パターン11に電気的に接続されている。これにより、金属パターン42を容易にグランド電極として利用することができる。
【0050】
本実施形態に係る整合回路基板10では、金属パターン32および金属パターン42の少なくとも一方には基準電位が供給されるように構成されている。これにより、金属パターン32および金属パターン42をグランド電極として容易に用いることができる。
【0051】
本実施形態に係る半導体装置1は、整合回路基板10と、トランジスタ6と、整合回路基板10およびトランジスタ6を搭載するベース基板2と、を備える。半導体装置1では、整合回路基板10とベース基板2とが金属ペーストPを介して接合されている。この半導体装置1では、上記したように、整合回路基板10の外側に漏れる電界が小さくなっている。よって、半導体装置1によれば、金属ペーストPのマイグレーションが抑制される。
【0052】
[第1変形例]
次に、
図6を参照して、整合回路基板10の第1変形例について説明する。
図6は、第1変形例に係る整合回路基板10Aを分解した分解斜視図である。
図6に示すように、第1変形例に係る整合回路基板10Aは、複数の第1の基板20A、複数の第2の基板30、複数の第3の基板40および第4の基板50を備えて構成されている。第1変形例に係る整合回路基板10Aの第1の基板20Aは、整合回路基板10の第1の基板20と相違する。整合回路基板10Aの他の構成(絶縁体等を含む)は、整合回路基板10と同様である。
【0053】
第1の基板20Aは、第1の基板20と同様に、電圧が印加される電極層を含む基板であり、第2の基板30と第3の基板40との間に配置されている。第1の基板20Aは、絶縁体21と、絶縁体21の主面21a上に設けられる金属パターン22と、金属パターン22の周囲を取り囲むように配置される複数の導通ビア23Aと、金属パターン22内に位置する導通ビア24と、金属パターン22内に位置する導通ビア25とを有する。整合回路基板10Aでは、複数の導通ビア23Aのそれぞれが互いに電気的に接続され、複数の導通ビア23Aが金属パターン22を取り囲むガードリング構造を有している。なお、ガードリング構造をしている導通ビア23Aが金属パターン22に対して絶縁されている点は、整合回路基板10と同様である。
【0054】
このような整合回路基板10Aにおいても、上述した整合回路基板10および半導体装置1と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、整合回路基板10Aでは、複数の導通ビア23は、それぞれが互いに電気的に接続され、複数の導通ビア23が金属パターン22を取り囲むガードリンク構造を有している。これにより、整合回路基板10Aの外側に漏れる電界が更に小さくなる。よって、整合回路基板10Aによれば、金属ペーストのマイグレーションが更に抑制される。
【0055】
[第2変形例]
次に、
図7を参照して、整合回路基板10の第2変形例について説明する。
図7は、第2変形例に係る整合回路基板10Bを分解した分解斜視図である。
図7に示すように、第2変形例に係る整合回路基板10Bは、複数の第1の基板20A、複数の第2の基板30、複数の第3の基板40および第4の基板50Bを備えて構成されている。第2変形例に係る整合回路基板10Bの第4の基板50Bは、整合回路基板10,10Aの第4の基板50と相違する。整合回路基板10Bの他の構成は、整合回路基板10Aと同様である。
【0056】
第4の基板50Bは、絶縁体51と、絶縁体51の主面51a上に設けられる金属パターン52B(第4の金属パターン)と、金属パターン52Bの周囲を取り囲むように配置される複数の導通ビア53B(第4の導通ビア)と、金属パターン52B内に位置する導通ビア54とを有する。
【0057】
金属パターン52Bは、絶縁体51の主面51aの周縁に設けられた複数の導通ビア53Bを除く中央領域を覆うように形成されている。金属パターン52Bは、平面方向における大きさが、第2の基板30の金属パターン32または第3の基板40の金属パターン42よりも小さくなるように形成されている。また、金属パターン52Bの大きさは、金属パターン22の大きさと略同じであってもよい。金属パターン52Bは、金属パターン32または金属パターン42の面積に対して、例えば、50%以上90%以下の大きさであってもよい。
【0058】
複数の導通ビア53Bのそれぞれは、絶縁体51を表面から裏面まで貫通するスルーホールの内周面に設けられた(またはスルーホールに充填された)金属材料から構成される導通ビアである。導通ビア53Bは、絶縁体51の表面に位置する電極と絶縁体51の裏面に位置する電極とを電気的に接続する。導通ビア53Bのそれぞれは、平面方向において、互いに離れるように配置されている。隣接する導通ビア53B同士の隔離距離は、例えば50μm以上500μm以下であってもよい。複数の導通ビア53Bは、例えば、等間隔で配置される。導通ビア53Bは、裏面において、第2の基板30の導通ビア33に接続される。
【0059】
また、整合回路基板10Bでは、複数の導通ビア53Bのそれぞれが互いに電気的に接続され、複数の導通ビア53Bが金属パターン52Bを取り囲むガードリング構造を有している。なお、ガードリング構造をしている導通ビア53Bが金属パターン52Bに対して絶縁されている点は、第1の基板20における金属パターン22と導通ビア23と同様である。
【0060】
このような整合回路基板10Bにおいても、上述した整合回路基板10,10Aおよび半導体装置1と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、整合回路基板10Bでは、複数の導通ビア53Bは、金属パターン32および導通ビア33に電気的に接続され、金属パターン52Bは、導通ビア53Bから離れて導通ビア53Bの内側に位置し、導通ビア53Bとは絶縁するように構成されている。これにより、整合回路基板10Bでは、複数の導通ビア53Bが電圧が印加される金属パターン52Bの外側に配置されているため、整合回路基板10Bの外側に漏れる電界が更に小さくなる。以上から、整合回路基板10Bによれば、金属ペーストのマイグレーションが更に抑制される。
【0061】
また、整合回路基板10Bでは、複数の導通ビア53Bは、それぞれが互いに電気的に接続され、複数の導通ビア53Bが金属パターン52Bを取り囲むガードリンク構造を有している。このため、整合回路基板10Bの外側に漏れる電界が更に小さくなる。よって、整合回路基板10Bによれば、金属ペーストのマイグレーションが更に抑制される。
【0062】
[第3変形例]
次に、
図8を参照して、整合回路基板10の第3変形例について説明する。
図8は、第3変形例に係る整合回路基板10Cを分解した分解斜視図である。
図8に示すように、第3変形例に係る整合回路基板10Cは、第1の基板20C、第2の基板30C、第3の基板40C、第4の基板50C、および、第8の基板60を備えて構成されている。整合回路基板10Cは、更に、第5の基板70、第6の基板80、および、第7の基板90を更に備えている。第3変形例に係る整合回路基板10Cの第1の基板20Cおよび第8の基板60と、第2の基板30Cと、第3の基板40Cと、第4の基板50Cとは、整合回路基板10の第1の基板20と、第2の基板30と、第3の基板40と、第4の基板50とに対応する。但し、第5の基板70は、金属パターン72(第5の金属パターン)を設けていることから、各基板における導通ビアの配置等が異なっている。なお、
図9は、整合回路基板10Cによって構成される回路の一例を示す図である。
【0063】
第1の基板20Cは、絶縁体21、金属パターン22C、複数の導通ビア23Aおよび導通ビア24,25,26,27,28を有している。導通ビア24から28は、平面方向において金属パターン22Cの内側に位置しており、導通ビア25から28は金属パターン22Cに対して絶縁するように設けられている。
【0064】
第2の基板30Cは、絶縁体31、金属パターン32C、複数の導通ビア33および導通ビア34,35,36,37,38を有している。導通ビア34から38は、平面方向において金属パターン32Cの内側に位置しており、導通ビア34と導通ビア36から38は金属パターン32Cに対して絶縁するように設けられている。導通ビア35は、金属パターン32Cに導通するように構成されている。
【0065】
第3の基板40Cは、絶縁体41、金属パターン42C、複数の導通ビア43および導通ビア45,46,47,48を有している。導通ビア45から48は、平面方向において金属パターン42Cの内側に位置しており、導通ビア46から48は金属パターン42Cに対して絶縁するように設けられている。導通ビア45は、金属パターン42Cに導通するように構成されている。
【0066】
第4の基板50Cは、絶縁体51、一対の金属パターン52C,52D(第9の金属パターン)、複数の導通ビア53Bおよび導通ビア54,56,57,58を有している。導通ビア54と導通ビア56から58は、平面方向において金属パターン52C,52Dの内側に位置しており、すべての導通ビア54,56から58は一対の金属パターン52C,52Dのいずれかに対して導通するように設けられている。
【0067】
第8の基板60は、絶縁体61(第8の絶縁体)、金属パターン62C(第8の金属パターン)、複数の導通ビア63C(第8の導通ビア)および導通ビア65,66,67,68を有している。導通ビア65から68は、平面方向において金属パターン62Cの内側に位置しており、導通ビア65,67,68は金属パターン62Cに対して絶縁するように設けられている。導通ビア66は、金属パターン62Cに導通するように構成されている。
【0068】
第5の基板70は、第6の基板80と第7の基板90との間に配置される基板である。第5の基板70は、絶縁体71(第5の絶縁体)、金属パターン72(第5の金属パターン)、複数の導通ビア73(複数の第5の導通ビア)および導通ビア75を有している。金属パターン72は、インダクタを形成しており、一端72aから他端72bに向かってコイル形状を呈している。
【0069】
複数の導通ビア73は、導通ビア23Aと同様に、絶縁体71の周縁に金属パターン72を取り囲むように形成されている。複数の導通ビア73のそれぞれは、平面方向において、互いに離れるように配置されている。また、複数の導通ビア73のそれぞれが互いに電気的に接続され、複数の導通ビア73が金属パターン72を取り囲むガードリング構造を有している。なお、ガードリング構造をしている導通ビア73が金属パターン72に対して絶縁されている点は、金属パターン22Cと導通ビア23Aと同様である。
【0070】
第6の基板80は、第5の基板70の第1の面70aに対向するように設けられている。第6の基板80は、第2の基板30Cと略同様の構成を備えており、絶縁体81(第6の絶縁体)、金属パターン82(第6の金属パターン)、複数の導通ビア83(第6の導通ビア)および導通ビア85,87,88を有している。導通ビア85,87,88は、平面方向において金属パターン82の内側に位置しており、導通ビア87,88は金属パターン82に対して絶縁するように設けられている。導通ビア85は、金属パターン82に対して導通するように構成されている。
【0071】
第7の基板90は、第5の基板70の第2の面70bに対向するように設けられている。第7の基板90は、第2の基板30Cと略同様の構成を備えており、絶縁体91(第7の絶縁体)、金属パターン92(第7の金属パターン)、複数の導通ビア93(第7の導通ビア)および導通ビア95を有している。導通ビア95は、平面方向において金属パターン92の内側に位置しており、導通ビア95は金属パターン92に対して導通するように設けられている。なお、第7の基板90の裏面には、裏面金属パターン11が設けられており、導通ビア93,95により、金属パターン92と裏面金属パターン11が電気的に接続されている。
【0072】
このような整合回路基板10Cでは、導通ビア54,34,24が導通することで、金属パターン52Cと金属パターン22Cとが電気的に接続されている。同様に、導通ビア35,25,45,65,85,75,95が導通することで、金属パターン32C,42C,82,92が電気的に接続されて、グランド電極として機能する。導通ビア56,36,26,46,66が導通することで、金属パターン52Dと金属パターン62Cとが電気的に接続されている。導通ビア57,37,27,47,67,87および一端72aが導通することで、金属パターン52Dと金属パターン72とが電気的に接続されている。導通ビア58,38,28,48,68,88および他端72bが導通することで、金属パターン52Cと金属パターン72とが電気的に接続されている。
【0073】
このような整合回路基板10Cにおいても、金属パターン22C,62Cは他の金属パターンに対して小さいため、整合回路基板10Cの外側(特に側面の外側)に漏れる電界が小さくなる。また、本実施形態に係る整合回路基板10Cでは、複数の導通ビア53B,33,23A,43,63C,83,73,93が互いに導通され、これら導通ビアを電圧が印加される金属パターンの外側に配置している。これにより、整合回路基板10Cの外側に漏れる電界が更に小さくなる。以上から、整合回路基板10Cによれば、上述した整合回路基板10,10A,10Bおよび半導体装置1と同様に、金属ペーストPのマイグレーションが抑制される。これに加え、整合回路基板10Cでは、第5の基板70の金属パターン72がインダクタを形成している。また、第5の基板70の金属パターン72と一対の金属パターン52C,52Dは、複数の導通ビア27,28,37,38,47,48,57,58,67,68,87,88を介して接続されており、この複数のビアもインダクタとして機能する。これにより、より大きいインダクタンスを形成することができる。これにより、整合回路基板10Cにキャパシタ以外の回路部であるインダクタを設けることができ、様々な回路構成とすることが可能となる。
【符号の説明】
【0074】
1…半導体装置
2…ベース基板
2a…主面
3…枠体
4…第1リード
5…第2リード
6…トランジスタ
7…整合回路部品
10,10A,10B,10C,100…整合回路基板
20,20A,20C,120…第1の基板
20a…第1の面
20b…第2の面
21…絶縁体(第1の絶縁体)
21a…主面
22,22C…金属パターン(第1の金属パターン)
23,23A…導通ビア(第1の導通ビア)
24,34,44,54…導通ビア
25,35,45,65,75,85,95…導通ビア
26,36,46,56,66…導通ビア
27,37,47,57,67,87…導通ビア
28,38,48,58,68,88…導通ビア
30,30C,130…第2の基板
31…絶縁体(第2の絶縁体)
31a…主面
32,32C…金属パターン(第2の金属パターン)
33…導通ビア(第2の導通ビア)
40,40C,140…第3の基板
41…絶縁体(第3の絶縁体)
41a…主面
42…金属パターン(第3の金属パターン)
43…導通ビア(第3の導通ビア)
50,50B,50C,150…第4の基板
51…絶縁体(第4の絶縁体)
51a…主面
52,52B,52C…金属パターン(第4の金属パターン)
52D…金属パターン(第9の金属パターン)
53B…導通ビア(第4の導通ビア)
60…第8の基板
61…絶縁体(第8の絶縁体)
62C…金属パターン(第8の金属パターン)
63C…導通ビア(第8の導通ビア)
70…第5の基板
70a…第1の面
70b…第2の面
71…絶縁体(第5の絶縁体)
72…金属パターン(第5の金属パターン)
72a…一端
72b…他端
73…導通ビア(第5の導通ビア)
80…第6の基板
81…絶縁体(第6の絶縁体)
82…金属パターン(第6の金属パターン)
83…導通ビア(第6の導通ビア)
90…第7の基板
91…絶縁体(第7の絶縁体)
92…金属パターン(第7の金属パターン)
93…導通ビア(第7の導通ビア)
P…金属ペースト
W1,W2,W3,W4…ボンディングワイヤ