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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120619
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】操作補助システム及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/75 20150101AFI20240829BHJP
   E05F 15/40 20150101ALI20240829BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20240829BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
E05F15/75
E05F15/40
B60J5/04 C
B60J5/10 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027528
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮代 龍
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 茉衣子
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA01
2E052BA06
2E052BA07
2E052CA06
2E052DA05
2E052DB05
2E052EA03
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA06
2E052GA07
2E052GB06
2E052GB12
2E052GB15
2E052GD07
2E052GD09
2E052HA04
2E052LA02
(57)【要約】
【課題】安全性と利便性とを両立させる。
【解決手段】実施形態の操作補助システムは、手動操作検出部による検出結果、状態検出部による検出結果及び障害物検出部による検出結果に基づいて、手動操作に要するユーザの操作力を軽減又は増加させるように駆動部を制御する駆動制御部を備える。駆動制御部は、ユーザが小開度状態にある開閉部を開放させる開放操作時であり、且つ開閉部から所定距離以内に障害物が存在する場合には、当該開放操作に要する操作力を増加させる第1ブレーキ力が発生するように駆動部を制御し、ユーザが中間保持状態にある開閉部を更に開放させる第1増開け操作時である場合には、第1増開け操作に要する操作力を増加させる力であって第1ブレーキ力より小さい第2ブレーキ力が発生するように駆動部を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉部に対するユーザによる操作を補助する操作補助システムであって、
前記開閉部にかかる加速度を検出するセンサと、
前記開閉部を変位させる駆動力を発生させる駆動部と、
前記センサにより検出された前記加速度に基づいて、前記ユーザが前記開閉部に力を加えることにより前記開閉部を変位させる手動操作を検出する手動操作検出部と、
前記開閉部の開度に基づいて、前記開閉部が第1開度以下である小開度状態にあるか、前記開閉部が前記第1開度より大きい第2開度で保持されている中間保持状態にあるかを検出する状態検出部と、
前記開閉部から前記開閉部の開放方向の領域に存在する障害物までの距離を検出する障害物検出部と、
前記手動操作検出部による検出結果、前記状態検出部による検出結果及び前記障害物検出部による検出結果に基づいて、前記手動操作に要する前記ユーザの操作力を軽減又は増加させるように前記駆動部を制御する駆動制御部と、
を備え、
前記駆動制御部は、前記ユーザが前記小開度状態にある前記開閉部を開放させる開放操作時であり、且つ前記開閉部から所定距離以内に前記障害物が存在する場合には、当該開放操作に要する前記操作力を増加させる第1ブレーキ力が発生するように前記駆動部を制御し、前記ユーザが前記中間保持状態にある前記開閉部を更に開放させる第1増開け操作時である場合には、前記第1増開け操作に要する前記操作力を増加させる力であって前記第1ブレーキ力より小さい第2ブレーキ力が発生するように前記駆動部を制御する、
操作補助システム。
【請求項2】
前記状態検出部は、前記開閉部が前記第2開度より大きい第3開度以上である大開度状態にあるかを更に検出し、
前記駆動制御部は、前記ユーザが前記小開度状態にある前記開閉部を開放させる開放操作時であり、且つ前記開閉部から所定距離以内に前記障害物が存在しない場合には、当該開放操作に要する前記操作力を軽減させる第1アシスト力が発生するように前記駆動部を制御し、前記ユーザが前記大開度状態にある前記開閉部を更に開放させる第2増開け操作時であり、且つ前記開閉部から所定距離以内に障害物が存在する場合には、前記第2増開け操作に要する前記操作力を軽減させる力であって前記第1アシスト力より小さい第2アシスト力が発生するように前記駆動部を制御する、
請求項1に記載の操作補助システム。
【請求項3】
開閉部を変位させる駆動力を発生させる駆動部を制御するための処理を実行する制御装置であって、
前記開閉部にかかる加速度に基づいて、ユーザが前記開閉部に力を加えることにより前記開閉部を変位させる手動操作を検出する手動操作検出部と、
前記開閉部の開度に基づいて、前記開閉部が第1開度以下である小開度状態にあるか、前記開閉部が前記第1開度より大きい第2開度で保持されている中間保持状態にあるかを検出する状態検出部と、
前記開閉部から前記開閉部の開放方向の領域に存在する障害物までの距離を検出する障害物検出部と、
前記手動操作検出部による検出結果、前記状態検出部による検出結果及び前記障害物検出部による検出結果に基づいて、前記手動操作に要する前記ユーザの操作力を軽減又は増加させるように前記駆動部を制御する駆動制御部と、
を備え、
前記駆動制御部は、前記ユーザが前記小開度状態にある前記開閉部を開放させる開放操作時であり、且つ前記開閉部から所定距離以内に前記障害物が存在する場合には、当該開放操作に要する前記操作力を増加させる第1ブレーキ力が発生するように前記駆動部を制御し、前記ユーザが前記中間保持状態にある前記開閉部を更に開放させる第1増開け操作時である場合には、前記第1増開け操作に要する前記操作力を増加させる力であって前記第1ブレーキ力より小さい第2ブレーキ力が発生するように前記駆動部を制御する、
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、操作補助システム及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の移動体において、ユーザがドア等の開閉部を操作する際に、ユーザの操作を補助するように開閉部を駆動させるシステムが利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-29765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなシステムにおいて、ユーザが手動で開閉部を開放させる開放操作を行う際に、開閉部の近傍に障害物が検出された場合には、当該開放操作を制限する制御、すなわち当該開放操作に要するユーザの操作力が増加するようにブレーキ力を発生させる制御が行われる場合がある。このような制御を行う場合、従来技術によっては、開放操作に対する制限が過剰に働き、ユーザが開閉部を所望の開度まで開放させることが困難になり、利便性が損なわれる場合があった。
【0005】
そこで、本発明の実施形態が解決しようとする課題の一つは、安全性と利便性とを両立させることが可能な操作補助システム及び制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、開閉部に対するユーザによる操作を補助する操作補助システムであって、開閉部にかかる加速度を検出するセンサと、開閉部を変位させる駆動力を発生させる駆動部と、センサにより検出された加速度に基づいて、ユーザが開閉部に力を加えることにより開閉部を変位させる手動操作を検出する手動操作検出部と、開閉部の開度に基づいて、開閉部が第1開度以下である小開度状態にあるか、開閉部が第1開度より大きい第2開度で保持されている中間保持状態にあるかを検出する状態検出部と、開閉部から開閉部の開放方向の領域に存在する障害物までの距離を検出する障害物検出部と、手動操作検出部による検出結果、状態検出部による検出結果及び障害物検出部による検出結果に基づいて、手動操作に要するユーザの操作力を軽減又は増加させるように駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、駆動制御部は、ユーザが小開度状態にある開閉部を開放させる開放操作時であり、且つ開閉部から所定距離以内に障害物が存在する場合には、当該開放操作に要する操作力を増加させる第1ブレーキ力が発生するように駆動部を制御し、ユーザが中間保持状態にある開閉部を更に開放させる第1増開け操作時である場合には、第1増開け操作に要する操作力を増加させる力であって第1ブレーキ力より小さい第2ブレーキ力が発生するように駆動部を制御する。
【0007】
上記構成によれば、中間保持状態からの増開け操作時においては、小開度状態からの開放操作時であって近くに障害物が存在する場合における強ブレーキ力より小さい弱ブレーキ力が発生するように、駆動部が制御される。すなわち、ユーザは、中間保持状態からの増開け操作を、強ブレーキ力に対応する操作力より小さい、弱ブレーキに対応する操作力で行うことができる。これにより、中間保持状態からの増開け操作時における安全性と利便性とを両立させることができる。
【0008】
また、上記構成において、状態検出部は、開閉部が第2開度より大きい第3開度以上である大開度状態にあるかを更に検出し、駆動制御部は、ユーザが小開度状態にある開閉部を開放させる開放操作時であり、且つ開閉部から所定距離以内に障害物が存在しない場合には、当該開放操作に要する操作力を軽減させる第1アシスト力が発生するように駆動部を制御し、ユーザが大開度状態にある開閉部を更に開放させる第2増開け操作時であり、且つ開閉部から所定距離以内に障害物が存在する場合には、第2増開け操作に要する操作力を軽減させる力であって第1アシスト力より小さい第2アシスト力が発生するように駆動部を制御する。
【0009】
上記構成によれば、大開度状態からの増開け操作時であって近くに障害物が存在する場合においては、小開度状態からの開放操作時であって障害物が存在しない場合における強アシスト力よりも小さい弱アシスト力が発生するように、駆動部が制御される。これにより、大開度状態からの増開け操作時における利便性を向上させることができる。
【0010】
また、本発明の他の実施形態は、開閉部を変位させる駆動力を発生させる駆動部を制御するための処理を実行する制御装置であって、開閉部にかかる加速度に基づいて、ユーザが開閉部に力を加えることにより開閉部を変位させる手動操作を検出する手動操作検出部と、開閉部の開度に基づいて、開閉部が第1開度以下である小開度状態にあるか、開閉部が第1開度より大きい第2開度で保持されている中間保持状態にあるかを検出する状態検出部と、開閉部から開閉部の開放方向の領域に存在する障害物までの距離を検出する障害物検出部と、手動操作検出部による検出結果、状態検出部による検出結果及び障害物検出部による検出結果に基づいて、手動操作に要するユーザの操作力を軽減又は増加させるように駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、駆動制御部は、ユーザが小開度状態にある開閉部を開放させる開放操作時であり、且つ開閉部から所定距離以内に障害物が存在する場合には、当該開放操作に要する操作力を増加させる第1ブレーキ力が発生するように駆動部を制御し、ユーザが中間保持状態にある開閉部を更に開放させる第1増開け操作時である場合には、第1増開け操作に要する操作力を増加させる力であって第1ブレーキ力より小さい第2ブレーキ力が発生するように駆動部を制御する。
【0011】
上記構成によれば、中間保持状態からの増開け操作時においては、小開度状態からの開放操作時であって近くに障害物が存在する場合における強ブレーキ力より小さい弱ブレーキ力が発生するように、駆動部が制御される。すなわち、ユーザは、中間保持状態からの増開け操作を、強ブレーキ力に対応する操作力より小さい、弱ブレーキに対応する操作力で行うことができる。これにより、中間保持状態からの増開け操作時における安全性と利便性とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態の操作補助システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態のドアの構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態のECUの機能構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態のドアの開度と状態との関係の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態のドアの状態、手動操作、障害物の有無、駆動力制御及び操作力の関係の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態のECUによる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、並びに当該構成によりもたらされる作用、結果及び効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によりも実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0014】
図1は、実施形態の操作補助システムSのシステム構成の一例を示す図である。本実施形態の操作補助システムSは、四輪自動車等の車両1に搭載されたドア2(開閉部の一例)に対するユーザ(乗員等)による操作を補助するシステムである。
【0015】
操作補助システムSは、駆動ユニット11(駆動部の一例)、ロック機構12、加速度センサ13(センサの一例)、障害物センサ14及びECU(Electronic Control Unit)15(制御装置の一例)を有する。
【0016】
駆動ユニット11は、ドア2を変位させる駆動力を発生させるユニットであり、例えば電動モータ、リンク機構等を含むアクチュエータを利用して構成され得る。駆動ユニット11は、例えばドア2のヒンジ部等に設置され、後述するECU15からの制御信号に応じてドア2を開放方向又は閉鎖方向に変位させる駆動力を発生させる。
【0017】
ロック機構12は、ドア2を施錠状態又は解放状態のどちらかに切り替える機構である。本実施形態のロック機構12は、ECU15からの制御信号に応じて電気的に作動するアクチュエータを備え、当該制御信号に応じて施錠状態と解放状態とを切り替える。
【0018】
加速度センサ13は、ドア2にかかる加速度を検出するセンサである。加速度センサ13は、例えば互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向のそれぞれの加速度を検出可能な3軸加速度センサ等であり得る。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、例えば、車両1の幅(左右)方向、前後方向及び上下方向等であり得る。加速度センサ13は、例えば各ドア2の内部に設置される。加速度センサ13は、ECU15と一体的に構成されてもよい。
【0019】
障害物センサ14は、車両1の周辺に存在する障害物を検出するセンサである。障害物センサ14は、例えば車体(ドア2等)から障害物までの距離を測定可能な測距センサであり、例えば超音波センサ、ミリ波センサ、LiDAR(Light Detection And Ranging)センサ等であり得る。
【0020】
ECU15は、駆動ユニット11及びロック機構12を制御する情報処理装置である。ECU15は、例えばCPU(Central Processing Unit)、メモリ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、入力I/F(Interface)、出力I/F等を利用して構成され得る。ECU15は、車両1に搭載されたバッテリ21と所定の電送路を介して接続している。また、ECU15は、車両1に搭載された他ECU22やユーザI/F23等とCAN(Controller Area Network)等の通信網を介して接続している。他ECU22は、例えば車両1の走行を制御するための処理を行うECU等であり得る。ユーザI/F23は、例えば車内に搭載されユーザ(乗員)により設定操作等が可能な操作ユニット等であり得る。
【0021】
本実施形態のECU15は、加速度センサ13等から取得した情報に基づいて、ドア2に対するユーザによる操作を補助するように駆動ユニット11等を制御するための処理を実行する。
【0022】
図2は、実施形態のドア2の構成の一例を示す図である。図2において、本実施形態の操作補助システムSが搭載された車両1の上面図が例示されている。図2に示されるように、本実施形態のドア2は、回転軸Axを中心に回動するヒンジドアである。図2中、θは、ドア2の開度を示している。本実施形態の開度θは、閉鎖状態にあるドア2が側面と閉鎖状態から変位されたドア2の側面とのなす角度である。本実施形態の操作補助システムSは、ユーザがドア2に対して力を加えることによりドア2を開放又は閉鎖させる手動操作を行う際に、当該手動操作を補助するための処理を実行する。
【0023】
図3は、実施形態のECU15の機能構成の一例を示す図である。ECU15は、取得部101、手動操作検出部102、状態検出部103、障害物検出部104及び駆動制御部105を有する。これらの機能部101~105は、ECU15を構成するハードウェア(CPU等)とソフトウェア(メモリに記憶されたプログラム等)との協働により構成される。また、機能部101~105のうち少なくとも1つが専用のハードウェア(回路等)により構成されてもよい。
【0024】
取得部101は、手動操作の補助の対象となっているドア2にかかる加速度と、当該ドア2の開度θと、当該ドア2からその開放方向(車両1の外側)の領域に存在する障害物までの距離と、を取得する。加速度は、当該ドア2に設置された加速度センサ13から取得され得る。開度θは、適宜な手法により取得されればよいが、例えば、当該ドア2に設置された駆動ユニット11に内蔵されたホールセンサ等から取得され得る。距離は、例えば当該ドア2に設置された障害物センサ14から取得され得る。
【0025】
手動操作検出部102は、取得部101により取得された加速度に基づいて、ユーザがドア2に対して行う手動操作を検出する。加速度に基づく手動操作の検出方法は、特に限定されるものではなく、公知の技術を適宜用いて実現されればよいが、例えば、加速度の時系列変化の特徴に基づくルールベース処理や、加速度等を入力として手動操作の有無を推定する学習済みモデルを利用する方法等が利用され得る。
【0026】
状態検出部103は、取得部101により取得された開度θに基づいて、手動操作の補助の対象となっているドア2が小開度状態にあるか、中間保持状態にあるか、大開度状態にあるか、を検出する。小開度状態とは、ドア2が所定の第1開度以下となっている状態である。中間保持状態とは、ドア2が第1開度より大きい所定の第2開度で保持されている状態である。大開度状態とは、ドア2が第2開度より大きい所定の第3開度以上となっている状態である。
【0027】
図4は、実施形態のドア2の開度と状態との関係の一例を示す図である。図4において、上記第1開度θ1、第2開度θ2、第3開度θ3、及びドア2の開放方向Dが例示されている。
【0028】
第1開度θ1は、ドア2が閉鎖位置Pcから少し開いた位置にあるときの開度であり、例えば、車両1に対して人が乗降できない程度の開度である。第1開度θ1の具体的数値は、車両1の仕様等に応じて適宜設定されるべきものであるが、例えば10°~30°の範囲内の角度等であり得る。小開度状態は、開度θ(図2参照)が0≦θ≦θ1の範囲にある状態である。
【0029】
第2開度θ2は、第1開度θ1より大きい開度であり、例えば、車両1に対して人が乗降可能な程度の開度である。第2開度θ2の具体的数値は、車両1の仕様等に応じて適宜設定されるべきものであるが、例えば、ドア2を最大限開いたときの最大開度θ4(例えば90°程度)の半分程度の角度(例えば45°程度)であり得る。中間保持状態は、ドア2が開度θ=θ2となる中間位置Pmで保持されている状態である。
【0030】
第3開度θ3は、第2開度θ2より大きく、最大開度θ4より小さい開度である。第3開度θ3の具体的数値は、車両1の仕様等に応じて適宜設定されるべきものであるが、例えば60°~80°の範囲内の角度等であり得る。大開度状態は、開度θがθ3≦θ≦θ4の範囲にある状態である。
【0031】
図3に戻り、障害物検出部104は、取得部101により取得された距離に基づいて、手動操作の補助の対象となっているドア2からその開放方向の領域の所定距離以内に障害物が存在するか否かを検出する。当該所定距離は、車両1の仕様(例えばドア2の大きさ等)に応じて適宜設定されるべきものであるが、例えば300mm~500mmの範囲内の距離等であり得る。
【0032】
駆動制御部105は、手動操作検出部102による検出結果を示す手動操作情報と、状態検出部103による検出結果を示す状態情報と、障害物検出部104による検出結果を示す障害物情報と、に基づいて、ユーザがドア2に対して手動操作を行う際に要する操作力を軽減又は増加させるように、駆動ユニット11の駆動力を制御する。以下、操作力を軽減させる駆動力をアシスト力と称し、操作力を増加させる駆動力をブレーキ力と称する。
【0033】
駆動制御部105は、ユーザが小開度状態(θ≦θ1)にあるドア2を開放させる開放操作時であり、且つドア2から所定距離以内に障害物が存在する場合には、当該開放操作に要する操作力を増加させる強ブレーキ力(第1ブレーキ力の一例)が発生するように駆動ユニット11を制御する。また、駆動制御部105は、ユーザが中間保持状態(θ=θ2)にあるドア2を更に開放させる増開け操作時である場合には、当該増開け操作に要する操作力を増加させる力であって強ブレーキ力より小さい弱ブレーキ力(第2ブレーキ力の一例)が発生するように駆動ユニット11を制御する。
【0034】
上記制御によれば、中間保持状態からの増開け操作時においては、小開度状態からの開放操作時であって近くに障害物が存在する場合における強ブレーキ力より小さい弱ブレーキ力が発生するように、駆動ユニット11が制御される。すなわち、ユーザは、中間保持状態からの増開け操作を、強ブレーキ力に対応する操作力より小さい、弱ブレーキに対応する操作力で行うことができる。これにより、中間保持状態からの増開け操作時における安全性と利便性とを両立させることができる。
【0035】
また、駆動制御部105は、ユーザが小開度状態(θ≦θ1)にあるドア2を開放させる開放操作時であり、且つドア2から所定距離以内に障害物が存在しない場合には、当該開放操作に要する操作力を軽減させる強アシスト力(第1アシスト力)が発生するように駆動ユニット11を制御する。また、駆動制御部105は、ユーザが大開度状態(θ≧θ3)にあるドア2を更に開放させる増開け操作時であり、且つドア2から所定距離以内に障害物が存在する場合には、当該増開け操作に要する操作力を軽減させる力であって強アシスト力より小さい弱アシスト力(第2アシスト力の一例)が発生するように駆動ユニット11を制御する。
【0036】
上記制御によれば、大開度状態からの増開け操作時であって近くに障害物が存在する場合においては、小開度状態からの開放操作時であって障害物が存在しない場合における強アシスト力よりも小さい弱アシスト力が発生するように駆動ユニット11が制御される。これにより、大開度状態からの増開け操作時における利便性を向上させることができる。
【0037】
図5は、実施形態のドア2の状態、手動操作、障害物の有無、駆動力制御及び操作力の関係の一例を示す図である。図5に例示されるように、本実施形態においては、ドア2の状態が中間保持状態(θ=θ2)であり、手動操作が増開け操作(中間保持状態からの開放操作)である場合、障害物の有無に関わらず、駆動ユニット11の駆動力は、弱ブレーキ力となる。これにより、ユーザは、強ブレーキ力に対応する操作力F1より小さい操作力F3で当該増開け操作が可能となる。
【0038】
また、ドア2の状態が大開度状態(θ≧θ3)であり、手動操作が増開け操作(大開度状態からの開放操作)であり、ドア2の近くに障害物が存在する場合、駆動ユニット11の駆動力は、弱アシスト力となる。これにより、ユーザが当該増開け操作を行うためには、強アシスト力に対応する操作力F2より大きい操作力F4が必要となる。
【0039】
図6は、実施形態のECU15による処理の一例を示すフローチャートである。駆動制御部105は、状態検出部103による検出結果(状態情報)に基づいて、ドア2が小開度状態(θ≦θ1)にあるか否かを判定する(S101)。ドア2が小開度状態にある場合(S101:Yes)、駆動制御部105は、手動操作検出部102による検出結果(手動操作情報)に基づいて、当該ドア2に対して開放操作が行われているか否かを判定する(S102)。開放操作が行われていない場合(S102:No)、本ルーチンは終了し、開放操作が行われている場合(S102:Yes)、駆動制御部105は、障害物検出部104による検出結果(障害物情報)に基づいて、当該ドア2から所定距離以内に障害物が存在するか否かを判定する(S103)。障害物が存在する場合(S103:Yes)、駆動制御部105は、駆動力が強ブレーキ力となるように駆動ユニット11を制御し(S104)、障害物が存在しない場合(S103:No)、駆動制御部105は、駆動力が強アシスト力となるように駆動ユニット11を制御する(S105)。
【0040】
ドア2が小開度状態にない場合(S101:No)、駆動制御部105は、ドア2が中間保持状態(θ=θ2)にあるか否かを判定する(S106)。ドア2が中間保持状態にある場合(S106:Yes)、駆動制御部105は、当該ドア2に対して増開け操作(中間保持状態からの開放操作)が行われているか否かを判定する(S107)。増開け操作が行われている場合(S107:Yes)、駆動制御部105は、駆動力が弱ブレーキ力となるように駆動ユニット11を制御し(S108)、増開け操作が行われていない場合(S107:No)、本ルーチンは終了する。
【0041】
ドア2が小開度状態にない場合(S106:No)、駆動制御部105は、ドア2が大開度状態(θ≧θ3)にあるか否かを判定する(S109)。ドア2が大開度状態にない場合(S109:No)、本ルーチンは終了し、ドア2が大開度状態にある場合(S109:Yes)、駆動制御部105は、当該ドア2に対して増開け操作(大開度状態からの開放操作)が行われているか否かを判定する(S110)。増開け操作が行われていない場合(S110:No)、本ルーチンは終了し、増開け操作が行われている場合(S110:Yes)、駆動制御部105は、当該ドア2から所定距離以内に障害物が存在するか否かを判定する(S111)。障害物が存在する場合(S111:Yes)、駆動制御部105は、駆動力が弱アシスト力となるように駆動ユニット11を制御し(S112)、障害物が存在しない場合(S111:No)、本ルーチンは終了する。
【0042】
上記実施形態によれば、中間保持状態からの増開け操作時においては、小開度状態からの開放操作時であって近くに障害物が存在する場合における強ブレーキ力より小さい弱ブレーキ力が発生するように、駆動ユニット11が制御される。すなわち、ユーザは、中間保持状態からの増開け操作を、強ブレーキ力に対応する操作力F1より小さい、弱ブレーキに対応する操作力F3で行うことができる。これにより、中間保持状態からの増開け操作時における安全性と利便性とを両立させることができる。
【0043】
また、大開度状態からの増開け操作時であって近くに障害物が存在する場合においては、小開度状態からの開放操作時であって障害物が存在しない場合における強アシスト力よりも小さい弱アシスト力が発生するように駆動ユニット11が制御される。これにより、大開度状態からの増開け操作時における利便性を向上させることができる。
【0044】
上記実施形態又は変形例の操作補助システムSの機能を実現するための処理をコンピュータ(ECU15等)に実行させるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0045】
以上、本発明の実施形態及びその変形例を説明したが、上記実施形態及びその変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態又はその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。この実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…車両、2…ドア、11…駆動ユニット、12…ロック機構、13…加速度センサ、14…障害物センサ、15…ECU、101…取得部、102…手動操作検出部、103…状態検出部、104…障害物検出部、105…駆動制御部、D…開放方向、Pm…中間位置、θ…開度、θ1…第1開度、θ2…第2開度、θ3…第3開度、θ4…最大開度
図1
図2
図3
図4
図5
図6