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特開2024-120622回転機構及びそれを備えるダクト内壁面清掃装置
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  • 特開-回転機構及びそれを備えるダクト内壁面清掃装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120622
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】回転機構及びそれを備えるダクト内壁面清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/051 20060101AFI20240829BHJP
   B08B 1/32 20240101ALI20240829BHJP
【FI】
B08B9/051
B08B1/04
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027538
(22)【出願日】2023-02-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社日刊工業新聞社 日刊工業新聞 令和4年6月30日付,第34面
(71)【出願人】
【識別番号】523067539
【氏名又は名称】有限会社ワインデング福島
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】須藤 啓元
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA13
3B116AB54
3B116BA02
3B116BA13
3B116BA35
(57)【要約】      (修正有)
【課題】回転機構と、当該回転機構により複数の清掃機構の回転とロボットの移動との両方を行うことができるダクト内壁面清掃装置を提案する。
【解決手段】第1回転軸3を有する駆動源10と、駆動源を収容して固定する筒状の固定ハウジング30と、第1回転軸の出力回転を変速して、第1回転軸の回転速度と異なる回転速度で回転する第2回転軸5を有する変速機構50と、第2回転軸の回転を受けて回転する筒状の回転ハウジング70と、回転ハウジングを挟み込むように対向して配置されたベースブラケットと、系外の被駆動体に固定される一対の腕部とを備える回転機構であって、一対の回転機構が有する第1回転軸の端部が複数の清掃機構を回転させ、一対の回転機構が有する回転ハウジングが清掃対象のダクトの内壁面に接する状態で回転することでダクト清掃装置を前方又は後方に向けて移動させることを特徴とするダクト内壁面清掃装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転軸を有し、当該第1回転軸を回転させる駆動源と、
前記駆動源を収容して固定する筒状の固定ハウジングと、
前記第1回転軸の軸方向の一方側に前記駆動源と並ぶように配置されて前記固定ハウジングに固定された変速機構であって、前記第1回転軸に接続されて、当該第1回転軸の出力回転を変速して、当該第1回転軸の回転速度と異なる回転速度で回転する第2回転軸を有する変速機構と、
前記第1回転軸を中心として、前記固定ハウジング及び前記変速機構の外周を囲むように配置される筒状の回転ハウジングと、
前記回転ハウジングを前記第1回転軸の軸方向から挟み込むように対向して配置された一対の円環状の部材であるベースブラケットと、
前記一対のベースブラケットそれぞれに設けられて、系外の被駆動体に固定される一対の腕部と、
を備える回転機構であって、
前記第1回転軸は、前記固定ハウジング、前記変速機構、前記回転ハウジング及び、前記一対のベースブラケットを貫通しており、当該第1回転軸の両方の端部のそれぞれは、前記一対のベースブラケットの外側に所定の長さで延在し、
前記固定ハウジングは、前記駆動源を前記第1回転軸の軸方向から挟み込むように配置された一対の第1回転支持機構を介して前記第1回転軸を回転自在に支持し、
前記固定ハウジングの前記第1回転軸の軸方向の他方側の端部は、前記回転ハウジングとの間に配置された第2回転支持機構を介して当該回転ハウジングを回転自在に支持し、
前記一対のベースブラケットのそれぞれは、前記回転ハウジングとの間に配置された第3回転支持機構を介して当該回転ハウジングを回転自在に支持し、
前記一対のベースブラケットは、前記一方側に配置された第1ベースブラケットと、前記他方側に配置された第2ベースブラケットと、で構成されており、当該第2ベースブラケットは、前記固定ハウジングの当該他方側の端部と連結固定されており、
前記回転ハウジングは、前記第2回転軸に接続されて、当該第2回転軸の回転を受けて前記第1回転軸を回転中心として回転する
ことを特徴とする回転機構。
【請求項2】
請求項1に記載の回転機構において、
前記固定ハウジングは、その端部のそれぞれを覆うように配置される一対の固定エンドブラケットを有し、
前記変速機構は、前記一方側の前記固定エンドブラケットである第1固定エンドブラケットを介して前記固定ハウジングに固定され、
前記回転ハウジングは、その端部のそれぞれの縁に沿って配置されて当該端部の少なくとも一部を覆う一対の円環状の部材である可動エンドブラケットを有し、
前記回転ハウジングと前記第2回転軸とは、前記一方側の前記可動エンドブラケットである第1可動エンドブラケットを介して接続されており、
前記固定ハウジングは、前記他方側の前記可動エンドブラケットである第2可動エンドブラケットと、当該他方側の前記固定エンドブラケットである第2固定エンドブラケットと、の間に配置された前記第2回転支持機構を介して、前記回転ハウジングを回転自在に支持し、
前記第1ベースブラケットは、前記第1可動エンドブラケットとの間に配置された前記第3回転支持機構を介して、前記回転ハウジングを回転自在に支持し、
前記第2ベースブラケットは、前記第2可動エンドブラケットを前記第2固定エンドブラケットとで前記第1回転軸の軸方向から挟み込むように、当該第2固定エンドブラケットに対向して配置されて、当該第2固定エンドブラケットを介して前記固定ハウジングに連結固定されるとともに、当該第2可動エンドブラケットとの間に配置された前記第3回転支持機構を介して前記回転ハウジングを回転自在に支持する
ことを特徴とする回転機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回転機構を一対備えるダクト内壁面清掃装置であって、
上面側、底面側、右面側及び左面側のそれぞれに配置された清掃機構と、前記回転機構を固定する固定機構と、当該回転機構の回転を制御する制御機構と、を有する筐体を備え、
前記清掃機構のそれぞれは、
回転盤と、
前記回転盤の一面を構成し、清掃対象のダクトの内壁面に接触しつつ当該回転盤の回転に伴って回転して当該内壁面の汚れを除去するように構成された除去手段と、
前記除去手段が構成する面の反対側の面に配置された除去手段回転軸と、
当該除去手段回転軸に前記回転機構の回転を伝達する回転伝達機構と、
より成り、前記除去手段が前記筐体の外側に向かうように、前記除去手段回転軸を介して当該筐体により回転自在に支持されており、
一対の前記回転機構は、その前記第1回転軸がともに前記筐体の上下方向又は左右方向に向かうように平行に並べられて、前記固定機構を介して当該筐体に固定されており、
前記固定機構は、一対の前記回転機構を互いに離間する方向及び接近する方向に移動可能に支持しており、かつ一対の当該回転機構のそれぞれが、清掃対象のダクトの内壁面に接する位置まで互いに離間するように移動させた状態を維持する離間状態維持機構を有しており、
一対の前記回転機構が有する前記第1回転軸の前記端部は、前記回転伝達機構を介して、それぞれ異なる前記清掃機構の前記除去手段回転軸と接続されて、当該除去手段回転軸を回転中心として前記回転盤それぞれを回転させ、
一対の前記回転機構が有する前記回転ハウジングは、それぞれが清掃対象のダクトの前記内壁面に接する状態で回転し、前記ダクト内壁面清掃装置を前方又は後方に向けて移動させる
ことを特徴とするダクト内壁面清掃装置。
【請求項4】
請求項3に記載のダクト内壁面清掃装置であって、
前記筐体の歪みを検出するセンサを備え、
前記歪みの度合いが所定の値以上になった場合に、前記制御機構が前記回転機構の回転を逆回転とすることにより前記ダクト内壁面清掃装置を後退させることを特徴とするダクト内壁面清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転機構及びそれを備えるダクト内壁面清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空調ダクトは、使用により堆積した塵埃を定期的に除去清掃する必要があるが、ダクトはその内部空間が狭くて長いため、掃除用のロボットが利用される。
【0003】
特許文献1には、駆動輪を持つ機台に上下方向に揺動できる回転ブラシを取り付けたダクト清掃用ロボット清掃機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-42467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のダクト清掃機では、清掃機構であるブラシの回転と、ロボットの移動とのために、それぞれ個別に回転機構を備える必要があり、装置が複雑になるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、一つの回転機構で三つの動力を出力できる回転機構と、当該回転機構により複数の清掃機構の回転とロボットの移動との両方を行うことができるダクト内壁面清掃装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の回転機構は、
第1回転軸を有し、当該第1回転軸を回転させる駆動源と、
前記駆動源を収容して固定する筒状の固定ハウジングと、
前記第1回転軸の軸方向の一方側に前記駆動源と並ぶように配置されて前記固定ハウジングに固定された変速機構であって、前記第1回転軸に接続されて、当該第1回転軸の出力回転を変速して、当該第1回転軸の回転速度と異なる回転速度で回転する第2回転軸を有する変速機構と、
前記第1回転軸を中心として、前記固定ハウジング及び前記変速機構の外周を囲むように配置される筒状の回転ハウジングと、
前記回転ハウジングを前記第1回転軸の軸方向から挟み込むように対向して配置された一対の円環状の部材であるベースブラケットと、
前記一対のベースブラケットそれぞれに設けられて、系外の被駆動体に固定される一対の腕部と、
を備える回転機構であって、
前記第1回転軸は、前記固定ハウジング、前記変速機構、前記回転ハウジング及び、前記一対のベースブラケットを貫通しており、当該第1回転軸の両方の端部のそれぞれは、前記一対のベースブラケットの外側に所定の長さで延在し、
前記固定ハウジングは、前記駆動源を前記第1回転軸の軸方向から挟み込むように配置された一対の第1回転支持機構を介して前記第1回転軸を回転自在に支持し、
前記固定ハウジングの前記第1回転軸の軸方向の他方側の端部は、前記回転ハウジングとの間に配置された第2回転支持機構を介して当該回転ハウジングを回転自在に支持し、
前記一対のベースブラケットのそれぞれは、前記回転ハウジングとの間に配置された第3回転支持機構を介して当該回転ハウジングを回転自在に支持し、
前記一対のベースブラケットは、前記一方側に配置された第1ベースブラケットと、前記他方側に配置された第2ベースブラケットと、で構成されており、当該第2ベースブラケットは、前記固定ハウジングの当該他方側の端部と連結固定されており、
前記回転ハウジングは、前記第2回転軸に接続されて、当該第2回転軸の回転を受けて前記第1回転軸を回転中心として回転することを特徴とする。
【0008】
このような構成とすることにより、一つの回転機構から、回転機構の両端に延在する第1回転軸の端部それぞれの回転力と、回転ハウジングの回転力という3つの回転力を同時に取り出すことができるので、複数の回転機構で3つの回転力を実現する場合に比べ、省電力化を図ることができる。
【0009】
また本発明の回転機構において、
前記固定ハウジングは、その端部のそれぞれを覆うように配置される一対の固定エンドブラケットを有し、
前記変速機構は、前記一方側の前記固定エンドブラケットである第1固定エンドブラケットを介して前記固定ハウジングに固定され、
前記回転ハウジングは、その端部のそれぞれの縁に沿って配置されて当該端部の少なくとも一部を覆う一対の円環状の部材である可動エンドブラケットを有し、
前記回転ハウジングと前記第2回転軸とは、前記一方側の前記可動エンドブラケットである第1可動エンドブラケットを介して接続されており、
前記固定ハウジングは、前記他方側の前記可動エンドブラケットである第2可動エンドブラケットと、当該他方側の前記固定エンドブラケットである第2固定エンドブラケットと、の間に配置された前記第2回転支持機構を介して、前記回転ハウジングを回転自在に支持し、
前記第1ベースブラケットは、前記第1可動エンドブラケットとの間に配置された前記第3回転支持機構を介して、前記回転ハウジングを回転自在に支持し、
前記第2ベースブラケットは、前記第2可動エンドブラケットを前記第2固定エンドブラケットとで前記第1回転軸の軸方向から挟み込むように、当該第2固定エンドブラケットに対向して配置されて、当該第2固定エンドブラケットを介して前記固定ハウジングに連結固定されるとともに、当該第2可動エンドブラケットとの間に配置された前記第3回転支持機構を介して前記回転ハウジングを回転自在に支持してもよい。
【0010】
このような構成とすることで、固定ハウジングと変速機構との間の固定、回転ハウジングと第2回転軸との接続、及び、固定ハウジングとベースブラケットとが回転ハウジングを回転自在に支持すること、を確実に行うことができる。また、回転機構を容易に組み立てることが可能である。
【0011】
なお、本発明の回転機構を利用したダクト内壁面清掃装置は、
前記回転機構を一対備えるダクト内壁面清掃装置であって、
上面側、底面側、右面側及び左面側のそれぞれに配置された清掃機構と、前記回転機構を固定する固定機構と、当該回転機構の回転を制御する制御機構と、を有する筐体を備え、
前記清掃機構のそれぞれは、
回転盤と、
前記回転盤の一面を構成し、清掃対象のダクトの内壁面に接触しつつ当該回転盤の回転に伴って回転して当該内壁面の汚れを除去するように構成された除去手段と、
前記除去手段が構成する面の反対側の面に配置された除去手段回転軸と、
当該除去手段回転軸に前記回転機構の回転を伝達する回転伝達機構と、
より成り、前記除去手段が前記筐体の外側に向かうように、前記除去手段回転軸を介して当該筐体により回転自在に支持されており、
一対の前記回転機構は、その前記第1回転軸がともに前記筐体の上下方向又は左右方向に向かうように平行に並べられて、前記固定機構を介して当該筐体に固定されており、
前記固定機構は、一対の前記回転機構を互いに離間する方向及び接近する方向に移動可能に支持しており、かつ一対の当該回転機構のそれぞれが、清掃対象のダクトの内壁面に接する位置まで互いに離間するように移動させた状態を維持する離間状態維持機構を有しており、
一対の前記回転機構が有する前記第1回転軸の前記端部は、前記回転伝達機構を介して、それぞれ異なる前記清掃機構の前記除去手段回転軸と接続されて、当該除去手段回転軸を回転中心として前記回転盤それぞれを回転させ、
一対の前記回転機構が有する前記回転ハウジングは、それぞれが清掃対象のダクトの前記内壁面に接する状態で回転し、前記ダクト内壁面清掃装置を前方又は後方に向けて移動させることを特徴とする。
【0012】
このような構成とすることにより、回転機構の両端に延在する第1回転軸の端部それぞれの回転力を、それぞれ異なる清掃機構を回転させるために用いることができるとともに、回転ハウジングの回転力を清掃装置の前後移動に用いることができるので、清掃機構の動作と、清掃装置の移動とのために、それぞれ個別に回転機構を備える場合に比して、回転機構の数が少なくてよく、省電力化が図られる。
【0013】
また、変速機構は、第1回転軸の出力回転を変速して、第2回転軸を介して第1回転軸の回転速度よりも所定程度遅い回転速度で回転ハウジングを回転させるので、ダクト内の移動速度を低速とし、内壁面の清掃を行う清掃機構を高速で動作させることができるため、内壁面の汚れを除去できる確実性が高まる。
【0014】
また、前記ダクト内壁面清掃装置は、
前記筐体の歪みを検出するセンサを備え、
前記歪みの度合いが所定の値以上になった場合に、前記制御機構が前記回転機構の回転を逆回転とすることにより前記ダクト内壁面清掃装置を後退させてもよい。
【0015】
このような構成とすることにより、ダクト内部を移動するうちにダクト内部が狭くなり、清掃装置が前進を続けられないおそれがある場合に、前記ダクト内壁面清掃装置を後退させてダクト外部へ戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】回転機構の正面断面図である。
図2】ダクト内壁面清掃装置の斜視図である。
図3】ダクト内壁面清掃装置の展開図である。
図4】ダクト内壁面清掃装置の固定機構の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、各図面を参照して、本発明に係る回転機構の一実施形態について説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例0018】
(回転機構の構成)
図1は本発明で提案する回転機構の正面断面図である。図1に示すように、本実施形態の回転機構1は、第1回転軸3を有する駆動源10と、固定ハウジング30と、変速機構50と、回転ハウジング70と、ベースブラケット90と、腕部7とを備える。
【0019】
第1回転軸3は、固定ハウジング30、変速機構50、回転ハウジング70、ベースブラケット90を貫通して配置される。第1回転軸3は、第1回転軸3の軸方向の一方側(図1の右側)で変速機構50に接続されており、ベースブラケット90の外側に所定の長さで延在した第1回転軸3の両方の端部は、外部に接続することでそれぞれが回転を出力することができる。
【0020】
駆動源10は、固定子と回転子からなる電動機であり、例えばかご形電動機のような誘導機や、ブラシレスモータのような同期機等を利用することができる。
【0021】
駆動源10は、固定ハウジング30の内部に、軸方向の他方側(図1の左側)に変速機構50と並ぶように配置され、固定ハウジング30に固定される。
【0022】
固定ハウジング30は筒状であり、第1回転軸3を中心として、駆動源10及び変速機構50の外周を囲むように配置されており、固定ハウジング30の端部を覆うように一対の固定エンドブラケット31が配置される。
【0023】
一対の固定エンドブラケット31は、固定ハウジング30の軸方向の一方側(図1の右側)の端部を覆うように配置された第1固定エンドブラケット31aと、軸方向の他方側(図1の左側)の端部に配置された第2固定エンドブラケット31bと、で構成される。
【0024】
固定ハウジング30の、第1固定エンドブラケット31a及び第2固定エンドブラケット31bは、駆動源10を第1回転軸3の軸方向から挟み込むように配置された一対の第1回転支持機構33を介して第1回転軸3を回転自在に支持する。
【0025】
変速機構50は、第1回転軸3の出力回転を変速して、第2回転軸5を第1回転軸3の回転速度と異なる回転速度で回転させる機構であり、例えば中空機構の変速機や減速機を利用することができる。より具体的には変速機構50は、第1回転軸3の回転速度よりも所定程度遅い回転速度で第2回転軸5を回転させる機構である。変速機構50の変速比は例えば1/59であるが、必要に応じて適宜の変速比が採用されてよい。
【0026】
変速機構50は固定ハウジング30の内部に、第1回転軸3の軸方向の一方側(図1の右側)に駆動源10と並ぶように配置され、第1固定エンドブラケット31aを介して固定ハウジング30に固定される。
【0027】
回転ハウジング70は、第1回転軸3を中心として、固定ハウジング30及び変速機構50の外周を囲むように配置されており、回転ハウジング70の端部の縁に沿って一対の円環状の部材である可動エンドブラケット71が配置される。
【0028】
可動エンドブラケット71は、回転ハウジング70の軸方向の一方側(図1の右側)の端部の少なくとも一部を覆うように配置された第1可動エンドブラケット71aと、軸方向の他方側(図1の左側)の端部に配置された第2可動エンドブラケット71bと、で構成されており、回転ハウジング70と第2回転軸5とは第1可動エンドブラケット71aを介して接続される。
【0029】
回転ハウジング70は、第2可動エンドブラケット71bと第2固定エンドブラケット31bとの間に配置された第2回転支持機構34を介して、固定ハウジング30に回転自在に支持される。
【0030】
ベースブラケット90は一対の円環状の部材であり、軸方向の一方側(図1の右側)に配置された第1ベースブラケット90aと、軸方向の他方側(図1の左側)に配置された第2ベースブラケット90bとで構成されており、一対のベースブラケット90は、回転ハウジング70を第1回転軸3の軸方向から挟み込むように対向して配置する。
【0031】
第1ベースブラケット90aは、第1可動エンドブラケット71aとの間に配置された第3回転支持機構35を介して、回転ハウジング70を回転自在に支持する。
【0032】
第2ベースブラケット90bは、第2可動エンドブラケット71bとの間に配置された第3回転支持機構35を介して回転ハウジング70を回転自在に支持する。
【0033】
第2ベースブラケット90bは、第2固定エンドブラケット31bに対向して第2可動エンドブラケット71bを第1回転軸3の軸方向から挟み込むように配置され、第2固定エンドブラケット31bを介して固定ハウジング30に連結固定される。
【0034】
腕部7は、第1ベースブラケット90a及び第2ベースブラケット90bのそれぞれに設けられている、例えば板状の部材である。その一方の端部が第1ベースブラケット90a又は第2ベースブラケット90bに接続されており、他方の端部が系外の被駆動体に固定される。
【0035】
駆動源10の回転子が回転することで第1回転軸3が回転すると、第1回転軸3に接続された変速機構50は、第1回転軸3の出力回転を変速して、第2回転軸5を第1回転軸3の回転速度と異なる回転速度で(例えば第1回転軸3の回転速度よりも所定程度遅い回転速度で)回転させる。
【0036】
すなわち例えば変速機構50が図1に例示したような中空機構の変速機である場合には、第1回転軸3が変速機構50に対する入力軸として機能し、変速機構50内に複数設けられた第2回転軸5のそれぞれは、第1回転軸3の回転を受けて自転するとともに、第1回転軸3を回転中心として公転する。このような第2回転軸5の回転を受けて、回転ハウジング70は第1回転軸3を回転中心として回転する。
【0037】
(ダクト内壁面清掃装置の構成)
図2は本発明で提案するダクト内壁面清掃装置の斜視図である。図2に示すように、本実施形態のダクト内壁面清掃装置100は、一対の回転機構1と、清掃機構110と、固定機構130と、回転を制御する制御機構150(図示せず)と、を有する筐体170を備える。
【0038】
図3は本発明で提案するダクト内壁面清掃装置の展開図である。図3に示すように、本実施形態の清掃機構110は回転盤111と、除去手段112と、除去手段回転軸113と、回転伝達機構114と、よりなる。
【0039】
回転盤111は、例えば筐体170の一面の短辺と同じ長さを直径とする円盤状のものであり、除去手段112を取り付けることができる切り欠き及び除去手段回転軸113を差し込んで固定するための孔を備える。
【0040】
除去手段112は、回転盤111の一面を構成するものであり、ダクト内壁面の塵埃をかき取ることができればよく、例えば真鍮製のブラシや樹脂製のブラシ、繊維を撚り合わせて房状にしたモップ等が利用できる。除去手段112は、筐体170の外側に向かうように配置されており、除去手段112が構成する面の反対側の面に、除去手段回転軸113が配置される。清掃機構110は、除去手段回転軸113を介して筐体170により回転自在に支持される。
【0041】
回転伝達機構114は、除去手段回転軸113に回転機構1の回転を伝達するものであり、例えばベルトやかさ歯車、継手等が利用できる。
【0042】
一対の回転機構1が有する第1回転軸3の端部は、回転伝達機構114を介して、それぞれ異なる清掃機構110の除去手段回転軸113と接続される。
【0043】
清掃機構110は筐体170の上面側、底面側、右面側及び左面側のそれぞれに配置され、それぞれの清掃機構110の除去手段112が清掃対象のダクトの内壁面に接触しつつ、それぞれの清掃機構110の回転盤111が除去手段回転軸113を回転中心として回転することで、ダクトの内壁面の汚れを除去することができる。
【0044】
図4は固定機構130の正面図である。図4に示すように、本実施形態の固定機構130は、一対の回転機構1をその第1回転軸3がともに筐体170の上下方向又は左右方向に向かうように平行に並べた状態で筐体170に固定する。
【0045】
固定機構130は、一対の回転機構1を互いに離間する方向及び接近する方向に移動可能に支持し、かつ一対の回転機構のそれぞれが、清掃対象のダクトの内壁面に接する位置まで互いに離間するように移動させた状態を維持する離間状態維持機構131を有する。
【0046】
離間状態維持機構131は例えば、バネ132とストッパー(図示せず)とで構成されており、バネ132の反発力により一対の回転機構1のそれぞれを清掃対象のダクトの内壁面の方向(図4の左右方向)に押し出すように作用し、ストッパーにより、一対の回転機構1が所定以上ダクトの内壁面の方向に押し出されないように規制する。すなわち図4においては、バネ132が縮められた状態が示されている。この状態でダクト内壁面清掃装置100を清掃対象のダクト内に配置し、その後、バネ132の反発力により一対の回転機構1それぞれの回転ハウジング70を清掃対象のダクトの内壁面に接触するまで押し出させる。
【0047】
なお、本実施形態において、回転ハウジング70の外周面はゴムなどの弾性体73で覆われており、回転ハウジング70が回転した際に、清掃対象のダクトの内壁面上で空回りすることを防止する構成となっている。
【0048】
このようにして離間状態維持機構131により、一対の回転機構1のそれぞれの回転ハウジング70が清掃対象のダクトの内壁面に接する状態とし、回転ハウジング70を、第2回転軸5を介して回転させることで、ダクト内壁面清掃装置100を前方又は後方に向けて移動させることができる。
【0049】
制御機構150は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置、メモリ、及びI/O(Input/Output)デバイス、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置及びバッテリーなどの電源により構成されている、例えばコンピューターである。
【0050】
制御機構150は、記憶装置から所定のプログラムを読み込んで実行することにより、第1回転軸3の回転有無及び回転方向を制御する。第1回転軸3の回転方向を制御することで、連動する第2回転軸5の回転方向を制御し、ダクト内壁面清掃装置100がダクト内を移動する方向を決定することで、内壁面の汚れを確実に除去する。
【0051】
筐体170は、6枚の薄い金属製の板で構成される中空の立方体もしくは直方体である。筐体170の内部には筐体170を構成する板同士の歪みを検出するセンサを備え、歪みの度合いが所定の値以上になった場合に、制御機構150が回転機構1の回転を逆回転とすることにより、ダクト内壁面清掃装置100を後退させる。これにより、ダクト内壁面清掃装置100が内部を通り抜けられないほど狭いダクトに侵入したとしても、装置を後退させてダクト外部へ戻すことができる。
【符号の説明】
【0052】
1…回転機構、3…第1回転軸、5…第2回転軸、7…腕部、10…駆動源、30…固定ハウジング、31…固定エンドブラケット、33…第1回転支持機構、34…第2回転支持機構、35…第3回転支持機構、50…変速機構、70…回転ハウジング、71…可動エンドブラケット、73…弾性体、90…ベースブラケット、100…ダクト内壁面清掃装置、110…清掃機構、111…回転盤、112…除去手段、113…除去手段回転軸、114…回転伝達機構、130…固定機構、131…離間状態維持機構、132…バネ、150…制御機構、170…筐体。
図1
図2
図3
図4