(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120624
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】磁気トンネル接合素子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10N 50/10 20230101AFI20240829BHJP
H01L 29/82 20060101ALI20240829BHJP
H01F 10/30 20060101ALI20240829BHJP
H01F 10/12 20060101ALI20240829BHJP
H01F 10/32 20060101ALI20240829BHJP
H10N 52/01 20230101ALI20240829BHJP
【FI】
H10N50/10 Z
H01L29/82 Z
H01F10/30
H01F10/12
H01F10/32
H10N52/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027540
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】深町 悟
(72)【発明者】
【氏名】河原 憲治
(72)【発明者】
【氏名】楠瀬 宏規
【テーマコード(参考)】
5E049
5F092
【Fターム(参考)】
5E049CB02
5E049DB04
5E049DB14
5F092AA11
5F092AA20
5F092AC11
5F092BB22
5F092BB23
5F092BB33
5F092BB42
5F092BB43
5F092BE14
5F092CA02
5F092CA03
(57)【要約】
【課題】大面積化が可能であると共に、hBN層からなる障壁材料の特性及び電流特性が低下するおそれが低い磁気トンネル接合素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】磁気トンネル接合素子1は、基板10と、基板10上に積層された鉄ニッケル合金、コバルト鉄合金、ニッケルコバルト合金、及びコバルト鉄ボロン合金の何れかからなる第1強磁性体層11と、第1強磁性体層11上にCVD合成によって直接積層された六方晶窒化ホウ素層12と、六方晶窒化ホウ素層12上に積層された第2強磁性体層13とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に積層された鉄ニッケル合金、コバルト鉄合金、ニッケルコバルト合金の何れか、及びこれらのホウ化物からなる第1強磁性体層と、
前記第1強磁性体層上にCVD合成によって直接積層された六方晶窒化ホウ素層と、
前記六方晶窒化ホウ素層上に積層された第2強磁性体層と、
を有することを特徴とする磁気トンネル接合素子。
【請求項2】
前記六方晶窒化ホウ素層の積層数は、1原子層以上10原子層以下である、請求項1に記載の磁気トンネル接合素子。
【請求項3】
前記六方晶窒化ホウ素層の積層数は、2原子層以上8原子層以下である、請求項1に記載の磁気トンネル接合素子。
【請求項4】
前記基板は、サファイア基板であり、
前記第1強磁性体層は、前記サファイア基板のr面上又はc面上に積層される、請求項1に記載の磁気トンネル接合素子。
【請求項5】
前記第1強磁性体層の前記六方晶窒化ホウ素層に対向する表面は、三回対称性を有する結晶面を含む、請求項1に記載の磁気トンネル接合素子。
【請求項6】
前記第2強磁性体層は、鉄、又はニッケル、若しくはコバルト、鉄及びニッケルの合金、鉄及びコバルトの合金、ニッケル及びコバルトの合金の何れか、並びにこれらのホウ化物からなる、請求項1に記載の磁気トンネル接合素子。
【請求項7】
前記第2強磁性体層の表面は、三回対称性を有する結晶面を含む、請求項1に記載の磁気トンネル接合素子。
【請求項8】
前記六方晶窒化ホウ素層上に前記第2強磁性体層を囲むように積層された絶縁膜層を更に有する、請求項7に記載の磁気トンネル接合素子。
【請求項9】
基板を準備する基板準備工程と、
前記基板上に鉄ニッケル合金からなる第1強磁性体層を積層する第1強磁性体層成膜工程と、
前記第1強磁性体層上に六方晶窒化ホウ素層をCVD合成によって直接積層する六方晶窒化ホウ素層成膜工程と、
前記六方晶窒化ホウ素層上に第2強磁性体層を積層する第2強磁性体層成膜工程と、
前記第2強磁性層上に電極層を積層する電極層成膜工程と、
を含むことを特徴とする磁気トンネル接合素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気トンネル接合素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
六方晶窒化ホウ素 (hexagonal Boron Nitride、hBN)を障壁材料として使用することで、高い磁気抵抗比(Magneto Resistance Ratio、MR比)を有する磁気トンネル接合(Magnetic Tunnel Junction、MTJ)素子が実現可能であることが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。具体的には、非特許文献2には、鉄(Fe)からなる下層、化学気相成長(Chemical Vapor Deposition)、すなわちCVD合成によって下層に直接成膜された単原子層のhBN層、及びコバルト(Co)からなる上層を備え、50%のMR比を有する開口面積3×3μm2のMTJ素子と、コバルト(Co)からなる下層、CVD合成によって下層に直接成膜された二原子層のhBN層、及びコバルトからなる上層を備え、12%のMR比を有する開口面積30×30μm2のMTJ素子が記載される。また、非特許文献3には、鉄からなる下層、CVD合成によって下層に直接成膜されたhBN層、及びコバルトからなる上層を備え、最大6%のMR比を有するMTJ素子が記載される。しかしながら、非特許文献2及び3に記載されるMTJ素子には、下層及び上層並びにhBN層の構造及び結晶性、並びに同等なMR比を有する構造の再現性については全く記載されていない。
【0003】
非特許文献4には、コバルト又はパーマロイ(Ni80Fe20)からなる下層、CVD合成によって成膜され下層に転写されたhBN層、及びコバルトからなる上層を備えるMTJ素子が記載される。非特許文献4に記載されるMTJ素子は、CVD合成によって成膜されたhBN層を下層上に転写することで、剥離片ではなくチップサイズのMTJ素子を形成することができる。
【0004】
また、本発明者らによる特許文献1には、1nm以上の均一な厚さを有し、かつグレインバウンダリーの少ないhBN膜を、NiFeを主成分として含む金属薄膜の面心立方格子(111)面、(100)面、または(110)面上に、CVD合成によってhBN層を形成する製造方法が記載されている 。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】"Brillouin zone spin filtering mechanism of enhanced tunneling magnetoresistance and correlation effects in a Co(0001)/hBN/Co(0001) magnetic tunnel junction", Sergey V. Faleev et al, Physical Review B 92, 235118 (2015)
【非特許文献2】"Insulator-to-Metallic Spin-Filtering in 2D-Magnetic Tunnel Junctions Based on Hexagonal Boron Nitride", M. Piquemal-Banci et al, ACS Nano 2018, 12, 4712-4718
【非特許文献3】" Magnetic tunnel junctions with monolayer hexagonal boron nitride tunnel barriers", M. Piquemal-Banci et al, Applied Physics Letters 108, 102404 (2016)
【非特許文献4】"Tunnel magnetoresistance with atomically thin two-dimensional hexagonal boron nitride barriers", A. Dankert et al, Nano Research 2015, 8, 1357-1364
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献4に記載される技術では、成膜されたhBN層を下層上に転写するため、hBN層に欠陥が生じて障壁材料としての特性が低下すると共に、下層表面の酸化により絶縁膜の膜厚が増加して電流特性が低下するおそれがある。また、非特許文献2,3に記載される技術では、FeまたはCo上にhBN層をCVD合成で直接成膜するため転写による欠陥の発生や下層表面の酸化は防ぐことができるが、より高いMR比の実現や大面積化が望まれる。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するものであり、大面積化が可能であると共に、hBN層からなる障壁材料の特性及び電流特性が低下するおそれが低い磁気トンネル接合素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る磁気トンネル接合素子は、基板と、基板上に積層された鉄ニッケル合金、コバルト鉄合金、ニッケルコバルト合金の何れか、及びこれらのホウ化物からなる第1強磁性体層と、第1強磁性体層上にCVD合成によって直接積層された六方晶窒化ホウ素層と、六方晶窒化ホウ素層上に積層された第2強磁性体層とを有する。
【0010】
さらに、本発明に係る磁気トンネル接合素子の六方晶窒化ホウ素層の積層数は、1原子層以上10原子層以下であることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る磁気トンネル接合素子の六方晶窒化ホウ素層の積層数は、2原子層以上8原子層以下であることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係る磁気トンネル接合素子の基板は、サファイア基板であり、第1強磁性体層は、サファイア基板のr面上又はc面上に積層されることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明に係る磁気トンネル接合素子の第1強磁性体層の六方晶窒化ホウ素層に対向する表面は、三回対称性を有する結晶面を含むことが好ましい。
【0014】
さらに、本発明に係る磁気トンネル接合素子の第2強磁性体層は、鉄、又はニッケル、若しくはコバルト、鉄及びニッケルの合金、鉄及びコバルトの合金、ニッケル及びコバルトの合金の何れか、並びにこれらのホウ化物からなることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明に係る磁気トンネル接合素子の第2強磁性体層の表面は、三回対称性を有する結晶面を含むことが好ましい。
【0016】
さらに、本発明に係る磁気トンネル接合素子は、六方晶窒化ホウ素層上に第2強磁性体層を囲むように積層された絶縁膜層を更に有することが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る磁気トンネル接合素子の製造方法は、基板を準備する基板準備工程と、基板上に鉄ニッケル合金からなる第1強磁性体層を積層する第1強磁性体層成膜工程と、第1強磁性体層上に六方晶窒化ホウ素層をCVD合成によって直接積層する六方晶窒化ホウ素層成膜工程と、六方晶窒化ホウ素層上に第2強磁性体層を積層する第2強磁性体層成膜工程と、第2強磁性層上に電極層を積層する電極層成膜工程とを含む。
【発明の効果】
【0018】
実施形態に係る磁気トンネル接合素子は、大型化が可能であると共に、hBN層からなる障壁材料の特性及び電流特性が低下するおそれを低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係る磁気トンネル接合素子の断面図である。
【
図2】磁気トンネル接合素子の製造方法を示すフローチャートである。
【
図3】第2実施形態に係る磁気トンネル接合素子の断面図である。
【
図4】変形例に係る磁気トンネル接合素子の製造方法を示す図であり、(a)は第2強磁性体層積層工程を示し、(b)は電極層積層工程を示し、(c)は電極パターン形成工程を示し、(d)はエッチング工程を示し(e)はレジスト除去工程を示す。
【
図5】CVD合成における温度プロファイルを示す図である。
【
図6】(a)は磁気トンネル接合素子の電気特性測定の概要を示す斜視図であり、(b)は磁気トンネル接合素子の電気特性測定の概要を示す断面図であり、(c)は磁気トンネル接合素子の電気特性測定の概要を示す平面図である。
【
図7】(a)は磁気トンネル接合素子の断面の元素マッピング画像であり、(b)は磁気トンネル接合素子の断面のBF-STEM画像である。
【
図8】(a)は磁気トンネル接合素子のTMR効果の測定結果を示す図(その1)であり、(b)は磁気トンネル接合素子のTMR効果の測定結果を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面を参照して、本発明に係る磁気トンネル接合素子及びその製造方法について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されない。
【0021】
(第1実施形態に係る磁気トンネル接合素子の構成及び機能)
図1は、第1実施形態に係る磁気トンネル接合素子の断面図である。
【0022】
磁気トンネル接合素子1は、基板10と、第1強磁性体層11と、六方晶窒化ホウ素層12と、第2強磁性体層13と、絶縁層14と、電極層15とを有する。基板10は、第1強磁性体層11に対向する表面がr面であるサファイア(Al2O3)基板である。サファイアのr面は、六方格子であるサファイアの(1-120)面である。なお、基板10は、石英(SiO2)、酸化シリコン薄膜(SiO2) 、及びスピネル(MgAl2O4)の単結晶等の第1強磁性体層11を形成する材料との反応性が低い材料からなる基板であってもよい。
【0023】
第1強磁性体層11は、鉄ニッケル(Fe-Ni)合金からなり、鉄及びニッケルをターゲットとしたスパッタリングにより基板10上に積層される。第1強磁性体層11のニッケルの含有率は、例えば70at%である。第1強磁性体層11の膜厚は、例えば1.3μmである。第1強磁性体層11では、六方晶窒化ホウ素層12に対向する表面は、三回対称性を有する面心立方格子の(111)面又は六方格子の(0001)面を含む。第1強磁性体層11は、鉄ニッケル合金からなるが、金属薄膜の特性に影響を及ぼさない程度の微量で、原料中に存在したり、作製工程において不可避的に混入したりする不純物を含み得る。
【0024】
第1強磁性体層11のニッケルの含有率は、5at%以上95at%以下であることが好ましく、20at%以上80at%以下であることがより好ましい。また、第1強磁性体層11の膜厚は、0.01μm以上100μmで以下あることが好ましく、0.1μm以上10μm以下であることがより好ましい。また、第1強磁性体層11は、鉄コバルト(Fe-Co)合金、ニッケルコバルト(Ni-Co)合金、およびこれらのホウ化物からなってもよい。
【0025】
六方晶窒化ホウ素層12は、単原子層又は複数原子層のhBN層であり、第1強磁性体層11と、第2強磁性体層13との間に配置された障壁材料である。六方晶窒化ホウ素層12は、CVD合成によって、転写されることなく、第1強磁性体層11に直接積層される。
【0026】
六方晶窒化ホウ素層12は、トンネル効果によって電流が流れる伝導路であるため、六方晶窒化ホウ素層12の膜厚が厚くなると、電流量が指数関数的に減少するので、MR比が低下すると共に、消費電力が増加する。六方晶窒化ホウ素層12の原子層数は、10原子層以下であることが好ましい。六方晶窒化ホウ素層12の原子層数は、1原子層以上10原子層以下であることが好ましく、2原子層以上8原子層以下であることが好ましい。六方晶窒化ホウ素層12の原子層数が2原子層以上8原子層以下であるとき、六方晶窒化ホウ素層12の膜厚は、1nmから3nm程度である。
【0027】
第2強磁性体層13は、コバルトからなり、六方晶窒化ホウ素層12上に積層される。第2強磁性体層13の膜厚は、例えば15nmである。第2強磁性体層13は、コバルトからなるが、金属薄膜の特性に影響を及ぼさない程度の微量で、原料中に存在したり、作製工程において不可避的に混入したりする不純物を含み得る。また、第2強磁性体層13は、鉄、又はニッケル、若しくはコバルト、鉄及びニッケルの合金、鉄及びコバルトの合金、ニッケル及びコバルトの合金、並びにこれらのホウ化物であってもよい。
【0028】
絶縁層14は、フォトレジストであり、第2強磁性体層13及び電極層15の周囲を囲むように、六方晶窒化ホウ素層12の表面に配置される。また、絶縁層14は酸化シリコン(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、及び酸化ジルコニウム(ZrO2)等の酸化物であってもよい。
【0029】
電極層15は、金(Au)からなり、絶縁層14に囲まれた第2強磁性体層13を覆うように配置される。また電極層15はルテニウム(Ru)及び白金(Pt)等の活性の低い金属等であってもよい。
【0030】
(第1実施形態に係る磁気トンネル接合素子の製造方法)
図2は、磁気トンネル接合素子1の製造方法を示すフローチャートである。
【0031】
まず、基板準備工程において、r面が表面に配列された単結晶サファイアからなる基板10が準備される(S101)。
【0032】
次いで、第1強磁性体層成膜工程において、第1強磁性体層11が基板10上に積層される(S102)。第1強磁性体層11は、スパッタリングにより形成されるが、基板10の熱処理温度等のスパッタリング条件は、第1強磁性体層11の膜厚等に応じて適宜調整される。なお、第1強磁性体層11は、抵抗加熱による蒸着及び電子線による蒸着、並びにメッキ製膜等スパッタリング以外の成膜技術によって形成されてもよい。
【0033】
次いで、六方晶窒化ホウ素層成膜工程において、六方晶窒化ホウ素層12が第1強磁性体層11上にCVD合成によって積層される(S103)。六方晶窒化ホウ素層12は、チャンバー内に配置された基板10に積層された第1強磁性体層11を、水素アニールした後に、六方晶窒化ホウ素層12の原料ガスを所定の圧力で供給してCVD合成し、冷却することで成膜される。なお、六方晶窒化ホウ素層12の原料ガスは、ヘリウム、アルゴン、又は窒素等の不活性ガス、及びこれらのガスに水素を加えてチャンバー内に供給されてもよい。チャンバー内に供給される原料ガスの圧力は、大気圧であってもよく、大気圧から減圧された圧力であってもよく、105~10-5Paが好ましく、105~10-3Paが更に好ましい。
【0034】
第1強磁性体層11の表面は、高温で水素アニールされることで第1強磁性体層11の表面が還元される。水素アニールの温度は、300℃~1500℃が好ましく、900℃~1250℃がより好ましい。水素アニールは、チャンバーの容積に応じて流量は設定されるが、例えば、不活性ガスと混合された水素をチャンバー容積1リットル当たり10~10000sccmの流量で供給することで実行される。
【0035】
CVD合成において基板10が加熱される温度は、300℃~1500℃が好ましく、400℃~1400℃がより好ましく、800℃~1300℃が更に好ましい。基板10を加熱する時間は、1分~300分が好ましく、10分~60分がより好ましい。基板10の加熱は、熱輻射、誘導加熱、レーザ、赤外線、マイクロ波、プラズマ、紫外線、及び表面プラズモンによる加熱等の公知の加熱手段を用いることができる。
【0036】
冷却は、例えば水素ガスを供給しながら行われる。冷却速度は、0.01℃/min~50℃/minで行うことができ、0.05℃/min~10℃/minが好ましく、0.1℃/min~5.0℃/minが更に好ましい。また、冷却速度は、一定であってもよく、変化させてもよい。冷却速度は、例えば、CVD合成された温度から700℃等の所定の温度まで1.0℃/minとし、その後上記の冷却速度条件から選択した任意の冷却速度に調節してもよい。
【0037】
次いで、絶縁層成膜工程において、絶縁層14が六方晶窒化ホウ素層12の全面を覆うように形成される(S104)。絶縁層14は、例えば反転ポジレジストをスピンコート法により塗布した後に、基板10を加熱することで塗布された反転ポジレジストを固化することで形成される。
【0038】
次いで、電極パターン形成工程において、第2強磁性体層13及び電極層15のための電極パターンが絶縁層14に形成される(S105)。電極パターンは、公知の露光技術、現像技術及び表面処理技術、又はエッチング技術によって絶縁層14が除去されることで形成される凹部であり、電極パターンによって形成された凹部では、六方晶窒化ホウ素層12が露出する。
【0039】
次いで、第2強磁性体層成膜工程において、S105で示される工程において形成された電極パターンを介して、第2強磁性体層13が六方晶窒化ホウ素層12上に積層される(S106)。第2強磁性体層13は、絶縁層14で覆われていない部分の六方晶窒化ホウ素層12上の表面上に、電子ビーム蒸着、スパッタリング、又は抵抗加熱蒸着によって電極パターンとして積層される。
【0040】
そして、φ0.3mmの穴径のメタルマスクを介して、電極層15が第2強磁性体層13上に積層されて(S107)、磁気トンネル接合素子1の製造工程が終了する。電極層15は、第2強磁性体層13に続いて電子ビーム蒸着、スパッタリング、又は抵抗加熱蒸着によって電極パターンに積層される。
【0041】
(第1実施形態に係る磁気トンネル接合素子の作用効果)
磁気トンネル接合素子1は、原子的にフラットな表面を有する六方晶窒化ホウ素層12を障壁材料として使用するので、大面積化が可能である。また、磁気トンネル接合素子1に用いられる六方晶窒化ホウ素層12は、CVD合成によって、転写されることなく、第1強磁性体層11に直接積層されるので、hBN層からなる障壁材料の特性及び電流特性が低下するおそれを低くすることができる。
【0042】
また、磁気トンネル接合素子1では、第1強磁性体層11は、サファイア基板である基板10のr面上に積層される。第1強磁性体層11が基板10のr面上に積層され、その後にCVD合成を行うことで、第1強磁性体層11の六方晶窒化ホウ素層12との界面には、三回対称性を有する結晶面が生成し、三回対称性を有する六方晶窒化ホウ素層12との対称性マッチングが向上し、MR比の向上に有効である。なお、基板10としてサファイア基板のc面を用いた場合は、第1強磁性体11は製膜時に三回対称性をもち、これも高いMR比に有効である。
【0043】
(第2実施形態に係る磁気トンネル接合素子の構成及び機能)
図3は、第2実施形態に係る磁気トンネル接合素子の断面図である。
【0044】
磁気トンネル接合素子2は、第2強磁性体層16及び絶縁層17を第2強磁性体層13及び絶縁層14の代わりに有することが磁気トンネル接合素子1と相違する。第2強磁性体層16及び絶縁層17以外の磁気トンネル接合素子2の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された磁気トンネル接合素子1の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0045】
第2強磁性体層16は、第2強磁性体層13と同様に、コバルトからなり、六方晶窒化ホウ素層12上に積層される。第2強磁性体層16の膜厚は、例えば15nmである。第2強磁性体層16では、六方晶窒化ホウ素層12及び電極層15に対向する表面は、三回対称性を有する面心立方格子の(111)面又は六方格子の(0001)面を含む。
【0046】
絶縁層17は、シリコン酸化膜からなり、絶縁層14と同様に、第2強磁性体層16及び電極層15の周囲を囲むように、六方晶窒化ホウ素層12の表面に配置される。なお、絶縁層17は、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、及び酸化ジルコニウム(ZrO2)等の酸化物等を用いてもよい。
【0047】
(第2実施形態に係る磁気トンネル接合素子の製造方法)
磁気トンネル接合素子2の製造方法は、S104~S106で示される絶縁層成膜工程、電極パターン形成工程及び第2強磁性体層成膜工程が磁気トンネル接合素子1の製造方法と相違する。絶縁層成膜工程、電極パターン形成工程及び第2強磁性体層成膜工程以外の磁気トンネル接合素子2の製造方法の製造工程は、磁気トンネル接合素子1の製造方法の製造工程と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0048】
六方晶窒化ホウ素層成膜工程に次いで、絶縁層成膜工程において、シリコン酸化膜である絶縁層17が第2強磁性体層13の全面を覆うように形成される。絶縁層17は、電子ビーム蒸着、プラズマCVD、スパッタリング、原子層堆積(ALD)等公知の積層技術によって形成される。
【0049】
絶縁層成膜工程に次いで、電極パターン形成工程において、第2強磁性体層16及び電極層15が配置される電極パターンが絶縁層17に形成される。シリコン酸化膜である絶縁層14のパターニング技術は、良く知られているので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0050】
電極パターン形成工程に次いで、第2強磁性体層成膜工程において、電極パターンを介して、第2強磁性体層16が六方晶窒化ホウ素層12上に積層される。第2強磁性体層16の材料であるコバルトは、第2強磁性体層13と同様に、絶縁層17で覆われていない部分の六方晶窒化ホウ素層12上の表面上に、電子ビーム蒸着によって電極パターンに積層される。次いで、500℃の温度で基板10が加熱されることで、三回対称性を有する面心立方格子の(111)面又は六方格子の(0001)面が形成され、第2強磁性体層16は、成膜される。なお、第2強磁性層16の製膜時に加熱しながら行うことで、第2強磁性層16の結晶性を向上させることもできる。
【0051】
(実施形態に係る磁気トンネル接合素子の変形例)
磁気トンネル接合素子1及び2では、六方晶窒化ホウ素層12は、単原子層又は複数原子層に亘ってCVD合成によって第1強磁性体層11上に積層される。しかしながら、実施形態に係る磁気トンネル接合素子では、六方晶窒化ホウ素層は、CVD合成された単原子層の六方晶窒化ホウ素層上に単原子層又は複数原子層の六方晶窒化ホウ素層を転写して形成されてよい。
【0052】
また、磁気トンネル接合素子1及び2では、第1強磁性体層11は、鉄ニッケル合金であるが、実施形態に係る磁気トンネル接合素子では、第1強磁性体層は、コバルト鉄(CoFe)合金、ニッケルコバルト(NiCo)合金、及びコバルト鉄ボロン(CoFeB)合金等の鉄ニッケル合金以外の強磁性体によって形成されてもよい。
【0053】
また、磁気トンネル接合素子1及び2の製造方法では、六方晶窒化ホウ素層12~電極層15は異なる装置で積層されるが、実施形態に係る磁気トンネル接合素子の製造方法では、六方晶窒化ホウ素層12~電極層15は単一の装置で積層されてもよい。六方晶窒化ホウ素層12~電極層15が単一の装置で積層されることで、大気に暴露されることなく、欠陥が少ない層を形成することができる。
【0054】
また、磁気トンネル接合素子1では、第2強磁性体層13及び電極層15は、絶縁層14に形成された電極パターンに積層されるが、実施形態に係る磁気トンネル接合素子では、第2強磁性体層及び電極層は、絶縁層の前に積層されてエッチングされてもよい。
【0055】
図4は変形例に係る磁気トンネル接合素子の製造方法を示す図であり、
図4(a)は第2強磁性体層積層工程を示し、
図4(b)は電極層積層工程を示し、
図4(c)は電極パターン形成工程を示し、
図4(d)はエッチング工程を示し、
図4(e)はレジスト除去工程を示す。
【0056】
図4は変形例に係る磁気トンネル接合素子の製造方法において、六方晶窒化ホウ素層成膜工程までの工程は、
図2を参照して説明される磁気トンネル接合素子1の製造方法と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0057】
第2強磁性体層積層工程において、第2強磁性体層13が六方晶窒化ホウ素層12上に全面に亘って積層される。次いで、電極層積層工程において、電極層15が第2強磁性体層13上に全面に亘って積層される。第2強磁性体層13及び電極層15は、電子ビーム蒸着、スパッタリング、又は抵抗加熱蒸着によって積層される。
【0058】
次いで、電極パターン形成工程において、電極層15上にレジスト18によって電極パターン用の保護層が形成される。電極パターン形成工程は、
図2に示すS105の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0059】
次いで、エッチング工程において、レジスト18が配置されていない領域の第2強磁性体層13及び電極層15がドライエッチング又はウエットエッチングにより除去される。そして、レジスト除去工程において、レジスト18が除去される。
【0060】
変形例に係る磁気トンネル接合素子の製造方法では、絶縁層14を形成することなく、第2強磁性体層13及び電極層15が積層されるので、絶縁層14の融解温度による制限なく、第2強磁性体層13及び電極層15を高温で積層することができる。この場合、第2強磁性体層は六方晶窒化ホウ素層12の上に絶縁層を形成するプロセスをはさむことなく成膜されるので、両者の界面に混入する不純物が少ないという利点がある。また、レジスト除去工程の後に、レジスト18が除去された素子を高温でアニーリングしてもよい。
【実施例0061】
(磁気トンネル接合素子の作製)
基板として準備された京セラ株式会社製のr面が表面に配列された単結晶サファイアに、株式会社高純度化学研究所製の鉄ニッケル合金(Fe:Ni=3:7)をターゲットとしたアルゴン雰囲気中のスパッタリングにより第1強磁性体層を1.3μmの厚みで積層した。スパッタリングは、芝浦メカトロニクス株式会社製の小型ロードロックスパッタリング装置(i-Miller(CFS-4EP-LL))を使用した。
【0062】
第1強磁性体層が積層された基板を、水平型の管状炉に取り付けたアルミナ管の内部に配置されたサファイアからなるサンプル台上に載置してCVD合成によって六方晶窒化ホウ素層を第1強磁性体層上に積層した。
【0063】
図5は、CVD合成における温度プロファイルを示す図である。
【0064】
基板がアルミナ管の内部に載置された後に、ロータリーポンプによりアルミナ管の内部から大気を排気した。次いで、アルミナ管の温度を1000℃まで40分に亘って昇温しながら、10モル%濃度でアルゴンガスに混合された水素ガスを30sccmの流量でアルミナ管の内部に導入し、アルミナ管の内部の圧力を30Paとした。アルミナ管の内部に載置された基板は、60分間に亘って1000℃の温度で水素アニーリングされた。
【0065】
次いで、アルミナ管の温度を1200℃まで昇温した後に、hBNの前躯体であるボラジン(B3N3H6)の気化ガスを0.3sccmの流量でアルゴンガスで加え、別のガスラインからの30sccmの流量のアルゴン―水素の混合ガス(水素10%)と共に管状炉内に導入し、30Paの圧力下で反応を行い、六方晶窒化ホウ素層を第1強磁性層の上に作製した。
【0066】
次いで、ボラジンの気化ガスの管状炉内への導入を停止し、30sccmの流量のアルゴン―水素混合ガス(水素10%)を導入しながら、5℃/minの冷却速度でアルミナ管の温度を700℃まで冷却した。アルミナ管の温度が700℃まで冷却されたときに管状炉の温度制御を終了し、アルミナ管は、700℃から室温まで自然冷却された。
【0067】
次いで、六方晶窒化ホウ素層が積層された基板をダイヤモンドカッターで切断して、サファイア基板に第1強磁性体層及び六方晶窒化ホウ素層が積層された5mm×6mmの試料を作製した。作製された試料の六方晶窒化ホウ素層の表面に絶縁層を形成した。絶縁層は、ミカサ株式会社製のスピンコーター(1H―D7)によりスピンコート法により形成された。スピンコーターに載置された試料がエアブローされた後に、メルクエレクトロニクス株式会社製の反転ポジレジスト(AZ5214-E)が試料に塗布されてスピンコートされた。スピンコートは、300rpmで5秒、5000rpmで20秒、、次いで、5800rpmで20秒の回転を行い行われた。スピンコートによって反転ポジレジストが塗布された試料は、アズワン株式会社製のホットプレート(MH-180)によって97℃に昇温され、1分間に亘って加熱されることで、絶縁層が形成された。
【0068】
次いで、絶縁層が形成された試料をネオアーク株式会社製のマスクレス露光装置(PALET)に載置してLED電力22%で2秒間に亘って露光した後に、NMD-3を現像液として使用して70秒に亘って現像した。現像された試料は、メルクエレクトロニクス株式会社製の超純水製造装置(Direct-Q UV-3)により精製された超純水に浸されることでリンスされた。次いで、リンスされた試料は、リンスにより試料に付着した超純水が紙撚り状にされた日本製紙クレシア株式会社製のキムワイプ(登録商標)により吸収された。次いで、フォトリソグラフィにより、105個の電極パターンが試料に順次形成された。個々の電極のサイズは短軸5μm×長軸15μmの楕円形であった 。
【0069】
次いで、フォトリソグラフィにより形成された電極パターンに対応する貫通孔が形成されたメタルマスクを、電極パターンに貫通孔が一致するように配置し、電子ビーム蒸着によって第2強磁性体層及び電極層が積層された。メタルマスクの貫通孔のサイズはφ0.3mmであった。電子ビーム蒸着には、ケニックス株式会社製の3連式電子ビーム蒸着装置(KB-750)が使用された。コバルトからなる第2強磁性体層の膜厚は15nm~20nmであり、金(Au)からなる電極層の膜厚は80nm~100nmである。第2強磁性体層及び電極層が試料に積層されることで、磁気トンネル接合素子の作製が完了した。
【0070】
(磁気トンネル接合素子の電気特性の評価)
図6(a)は磁気トンネル接合素子の電気特性測定に使用した試料を示す斜視図であり、図6(b)は磁気トンネル接合素子の電気特性測定に使用した試料を示す断面図であり、図6(c)は磁気トンネル接合素子の電気特性測定に使用した試料を示す平面図である。
【0071】
磁気トンネル接合素子3は、基板20と、第1強磁性体層21と、六方晶窒化ホウ素層22と、第2強磁性体層23と、絶縁層24と、電極層25とを有する。基板20~電極層25は、磁気トンネル接合素子1が有する基板10~電極層15のそれぞれと対応する構成及び機能を有する。磁気トンネル接合素子3の電気特性は、磁気トンネル接合素子3に印加される磁界を変化させながら、第1強磁性体層21と電極層25との間の電気抵抗を測定することで、評価される。
【0072】
株式会社サーマルブロック製の電磁石付き極低温プローバーの内部に作製された磁気トンネル接合素子を載置し、載置された磁気トンネル接合素子のTMR効果を測定し、MR比を評価した。測定温度は5K~300Kの範囲であり、磁気トンネル接合素子に印加されるバイアス電圧は10mV、印加される磁場の磁束密度は-15.5mT~15.5mTである。
【0073】
図7(a)は磁気トンネル接合素子の断面の元素マッピングを示す走査透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope)による環状暗視野像(ADF-STEM像)に元素マッピングを重ねたものであり、
図7(b)は磁気トンネル接合素子の断面の走査透過電子顕微鏡による明視野像(BF-STEM像)である。
【0074】
図7(a)では、倍率が低いため、六方晶窒化ホウ素層22は確認されないものの、第1強磁性層21にてNi、第2強磁性層23にてCo、電極層25にてAuが検出された。
図7(b)では、六方晶窒化ホウ素層22は明確に確認された。
図7(a)及び7(b)に示すように、BF-STEM画像において、第1強磁性体層21、六方晶窒化ホウ素層22、第2強磁性体層23及び電極層25の積層構造が得られていることが確認された。また、STEM測定時の電子線回折、及び薄膜X線回折(X‐Ray Diffraction、XRD)測定から第1強磁性体層21が結晶化して fcc(111)面が形成されることが確認された。
【0075】
図8(a)は磁気トンネル接合素子のTMR効果の測定結果を示す図(その1)であり、
図8(b)は磁気トンネル接合素子のTMR効果の測定結果を示す図(その2)である。
図8(a)及び8(b)において、横軸は磁気トンネル接合素子に印加される磁束密度を示し、左縦軸は磁気トンネル接合素子の抵抗値であり、右縦軸はMR比である。
図8(a)において、波形W102は、印加する磁束密度をプラス15.5mT~マイナス15.5mTまで変化させたときの抵抗値及びMR比の変化を示す。波形W101は、印加する磁束密度をマイナス15.5mT~プラス15.5mTまで変化させたときの抵抗値及びMR比の変化を示す。
図8(b)において、波形W202は、印加する磁束密度をプラス15.5mT~マイナス15.5mTまで変化させたときの抵抗値及びMR比の変化を示す。波形W201は、印加する磁束密度をマイナス15.5mT~プラス15.5mTまで変化させたときの抵抗値及びMR比の変化を示す。
【0076】
図8(a)は、コバルトからなる第2強磁性体層23を電子ビーム蒸着で製膜して形成された磁気トンネル接合素子の特性を示す。一方、
図8(b)は、hBN層22上でフォトリソグラフィを行った後に、酸素プラズマを弱く照射し、その後にコバルトからなる第2強磁性体層23をスパッタリングで製膜して形成された磁気トンネル接合素子の特性を示す。
図8(a)に示す磁気トンネル接合素子では、MR比は9%であり、
図8(b)に示す磁気トンネル接合素子では、MR比は18%であり、実施例に係る磁気トンネル接合素子では、非常に高いことが理解できる。