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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120627
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】保育器
(51)【国際特許分類】
   A61G 11/00 20060101AFI20240829BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61G11/00 A
B01D53/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027546
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中川 博司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武司
(72)【発明者】
【氏名】末廣 陽
(72)【発明者】
【氏名】長井 孝行
(72)【発明者】
【氏名】藤山 聡
【テーマコード(参考)】
4C341
4D012
【Fターム(参考)】
4C341KK03
4C341KL07
4D012BA03
4D012CA10
4D012CA11
4D012CB01
4D012CE01
4D012CE02
4D012CF02
4D012CK10
(57)【要約】
【課題】保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避する。
【解決手段】保育器(1)は、収容室(101)と、患児(X)が載置される表面(11a)を有するベッド(11)と、を備え、上側の第1空間(SP1)の空気が、下側の第2空間(SP2)に流れるように、第1空間(SP1)と第2空間(SP2)とを連通する開口部(20)が形成され、第2空間(SP2)から第1空間(SP1)への揮発性物質の移動を抑制する除去部(110)及び排出部(30)を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患児を収容可能な収容室と、
前記患児が載置される載置面を有するベッドと、を備え、
前記載置面よりも上側の第1空間の空気が、前記載置面よりも下側の第2空間に流れるように、前記第1空間と前記第2空間とを連通する開口部が形成され、
前記第2空間に設けられ、当該第2空間から前記第1空間への揮発性物質の移動を抑制する抑制部を備えることを特徴とする保育器。
【請求項2】
前記開口部は、前記載置面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の保育器。
【請求項3】
前記抑制部として、前記第2空間の空気に含まれる前記揮発性物質を除去する除去部と、前記第2空間の空気を前記保育器外に排出する排出部と、の少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項1に記載の保育器。
【請求項4】
前記開口部は、前記載置面の外端の近傍に形成されることを特徴とする請求項1に記載の保育器。
【請求項5】
前記載置面の少なくとも一部に複数の前記開口部が形成され、
複数の前記開口部のそれぞれは、前記第1空間と前記第2空間とを連通することを特徴とする請求項1に記載の保育器。
【請求項6】
前記開口部に設けられ、当該開口部を開閉可能な開閉部と、
前記開口部の下方に設けられ、廃棄物を廃棄可能な廃棄部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の保育器。
【請求項7】
前記第1空間及び前記第2空間の少なくとも一方に設けられ、前記第1空間から前記開口部を介して前記第2空間に向かう空気の流れを発生させる気流発生部をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の保育器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保育器に関する。
【背景技術】
【0002】
保育器は、未熟児及び新生児等の患児を保護し、診療するための医療機器である。患児は保育器内において様々な医学的介入を受ける。患児が受ける医学的介入には、採血、人工呼吸器の装着、点滴、などが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
医学的介入の一例として、保育器内の患児から採血を行ったり、患児に点滴を行ったりする場合がある。これらの医学的介入では、針を刺す部位の消毒等のためにエタノールなどのアルコールが使用され得る。エタノールなどのアルコールは揮発性を有しているため、医学的介入の度に保育器内の空気に含まれるアルコール濃度が上昇する。その結果、保育器内の患児は、意図せず揮発性物質に暴露されている可能性がある。
【0004】
揮発性物質の中には、患児の健康状態に影響を及ぼすものもある。例えば、妊娠中の飲酒によって胎児へ悪影響をもたらす(胎児エタノール症候群)ことは広く知られており、保育器内で患児が揮発性物質に暴露される状況は改善することが望ましい。
【0005】
本開示は、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係る保育器は、患児を収容可能な収容室と、前記患児が載置される載置面を有するベッドと、を備え、前記載置面よりも上側の第1空間の空気が、前記載置面よりも下側の第2空間に流れるように、前記第1空間と前記第2空間とを連通する開口部が形成され、前記第2空間に設けられ、当該第2空間から前記第1空間への揮発性物質の移動を抑制する抑制部を備える。
【0007】
載置面よりも上側の第1空間の空気が、載置面よりも下側の第2空間に流れるように、第1空間と前記第2空間とを連通する開口部が形成される。また、第2空間には、第2空間から第1空間への揮発性物質の移動を抑制する抑制部が設けられる。これにより、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
【0008】
前記開口部は、前記載置面に形成されていてもよい。開口部が、患児が載置される載置面に形成されていることにより、載置面よりも上側の第1空間の空気を、載置面よりも下側の第2空間に容易に流すことができる。
【0009】
前記保育器は、前記抑制部として、前記第2空間の空気に含まれる前記揮発性物質を除去する除去部と、前記第2空間の空気を前記保育器外に排出する排出部と、の少なくとも一方を備えてもよい。
【0010】
第2空間の空気に含まれる揮発性物質を除去する除去部が第2空間に設けられることにより、第2空間から第1空間への揮発性物質の移動を抑制することができる。また、第2空間の空気を保育器外に排出する排出部が第2空間に設けられることにより、第2空間から第1空間への揮発性物質の移動を抑制することができる。
【0011】
前記開口部は、前記載置面の外端の近傍に形成されてもよい。開口部が載置面の外端の近傍に形成されることにより、載置面に載置される患児が開口部と干渉することを低減できる。
【0012】
前記載置面の少なくとも一部に複数の前記開口部が形成され、複数の前記開口部のそれぞれは、前記第1空間と前記第2空間とを連通してもよい。複数の開口部から第1空間の空気を第2空間に効率的に流すことができる。
【0013】
前記保育器は、前記開口部に設けられ、当該開口部を開閉可能な開閉部と、前記開口部の下方に設けられ、廃棄物を廃棄可能な廃棄部と、をさらに備えてもよい。患児に対して、揮発性物質が含浸された含浸材を用いているときに開閉部を開くことで、患児が配置される第1空間から第2空間に空気を移動させ、第2空間に設けられる除去部で揮発性物質を除去できる。
【0014】
また、使用済の含浸材を廃棄物として、開口部から廃棄部に廃棄することができる。さらに、患児に対して含浸材を用いていないときに開閉部を閉じることで、廃棄部に廃棄された含浸材から揮発する揮発性物質が、開口部を介して第2空間から第1空間に移動することを防ぐことができる。
【0015】
前記保育器は、前記第1空間及び前記第2空間の少なくとも一方に設けられ、前記第1空間から前記開口部を介して前記第2空間に向かう空気の流れを発生させる気流発生部をさらに備えてもよい。気流発生部により第1空間の空気を第2空間に効率良く流すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一態様によれば、保育器内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露されてしまうことを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施形態1に係る保育器の概略斜視図である。
図2図1に示す保育器の概略断面図である。
図3図1に示す保育器が備える除去部の概略正面図である。
図4図3のAA線矢視断面図である。
図5】本開示の実施形態2に係る保育器の概略斜視図である。
図6図5に示す保育器の概略断面図である。
図7】本開示の実施形態3に係る保育器の概略斜視図である。
図8図7に示す保育器の概略断面図である。
図9】本開示の実施形態4に係る保育器の概略斜視図である。
図10図5に示す保育器の変形例4において開口部付近の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔実施形態1〕
<保育器の概要>
図1は、本開示の実施形態1に係る保育器1の概略斜視図である。図2は、図1に示す保育器1の概略断面図である。保育器1は、患児Xを収容するために内部の温度及び湿度が調節可能な収容室101を備える閉鎖型の保育器である。図1及び図2に示すように、保育器1は、収容室101と、ベッド11と、排出部30と、除去部110と、設置台103と、を備える。なお、「保育器1が排出部30及び除去部110を備える」とは、保育器1に対して排出部30及び除去部110が設けられる構成も含むことを意味する。設置台103はベッドステージ13及び載置台102から構成される。
【0019】
収容室101は、患児Xを収容する。収容室101は、カバー101c及び載置台102によって囲まれる空間である。カバー101cは、ベッド11、ベッドステージ13及び衝立部12を覆う。収容室101内には、ベッド11と、ベッド11の前後に配置された衝立部12と、ベッドステージ13と、が配置されている。載置台102には、保育器1の機能などを、使用者(医師、看護師等)が操作できるように操作パネル102aが設けられている。
【0020】
ベッド11は、載置台102上に設けられたベッドステージ13に設置されている。ベッド11は、患児Xが載置される載置面の一例として表面11aを有する。なお、表面11aの上にマットレスが配置されている場合、当該マットレスはベッド11が備える構成であり、患児Xが載置される載置面は上記マットレスの上面となる。ベッドステージ13は、ベッド11を上下方向または上下左右方向に動かすことが可能である。衝立部12は、ベッド11の表面11aから所定の高さ及び所定の幅を有する透明な樹脂で形成されている。
【0021】
カバー101cには、医師または看護師が患児Xに対して点滴投与等の処置を行うための処置用の開口部101aが2個形成されている。収容室101内で患児Xに対して何らかの処置をする場合には、必ず消毒する必要がある。例えば、酒精綿を用いて患児Xの手等の処置対象の部位を消毒する。
【0022】
<ベッドの表面に形成される開口部の概要>
ベッド11の表面11aには、表面11aよりも上側の第1空間SP1の空気が、表面11aよりも下側の第2空間SP2に流れるように、第1空間SP1と第2空間SP2とを連通する開口部20が形成される。具体的には、第1空間SP1は、収容室101のうち表面11aよりも上側の空間であり、第2空間SP2は、載置台102の内部の空間である。なお、第2空間SP2は、保育器1のうち表面11aよりも下側の空間であってもよい。また、第2空間SP2は、載置台102の内部の空間の一部であってもよく、保育器1のうち表面11aよりも下側の空間の一部であってもよい。
【0023】
保育器1は、第1空間SP1の空気が第2空間SP2に流れるようにするための構成として、どのような構成を備えてもよいが、例えば、後述の実施形態4に示す第1気流発生部50または第2気流発生部51を備えてもよい。また、第1空間SP1の空気が第2空間SP2に流れるようにするための構成については、除去部110における吸引部115のシロッコファンにより、開口部20から第1空間SP1の空気を吸引する構成としてもよい。
【0024】
開口部20は、表面11aと、ベッドステージ13の下面11bと、を接続している。また、開口部20は、表面11aの外端11eの近傍に形成されている。これにより、表面11aに載置される患児Xが開口部20と干渉することを低減できる。外端11eは、ベッド11を上から視認した場合、表面11aの外側の端部である。
【0025】
<除去部の概要>
患児Xに対する医学的介入(点滴投与等)には、収容室101内で実施されるものがある。また、収容室101内の空気に含まれる揮発性物質を吸着除去する必要がある。この揮発性物質は、患児Xに対する医学的介入において使用される。
【0026】
したがって、保育器1内には、収容室101内で実施される医学的介入において使用される揮発性物質を、収容室101内の空気から除去する除去部110が設置されている。これにより、患児Xに対する医学的介入を収容室101内において行うことの安全性を向上させることができる。
【0027】
なお、除去部110を保育器1内に設置する理由の一例として、衛生面や機能面で問題が生じ難いことを挙げることができる。例えば、除去部110の全てあるいは一部を保育器1外に設置した場合、保育器1内と保育器1外との温湿度差によって結露などが生じ、衛生面や機能面で問題が生じ易くなる。このため、除去部110は、保育器1内に設置するのが好ましい。以下、揮発性物質としてエタノールを例に説明するが、本開示はこれに限定されるものではなく、揮発性物質がイソプロパノール等である場合も含む。
【0028】
除去部110は、第2空間SP2に設けられ、第2空間SP2の空気に含まれるエタノールを除去する。除去部110は、抑制部の一例であり、第2空間SP2の空気に含まれるエタノールを除去することにより、第2空間SP2から第1空間SP1へのエタノールの移動を抑制する。
【0029】
第2空間SP2の空気に含まれるエタノールを除去する除去部110が第2空間SP2に設けられることにより、第2空間SP2から第1空間SP1へのエタノールの移動を抑制することができる。
【0030】
また、除去部110が第2空間SP2の空気に含まれるエタノールを除去することにより、第2空間SP2のエタノールの濃度を下げることができる。これにより、開口部20を介して第2空間SP2から第1空間SP1に移動するエタノールの量を低減することができる。このため、患児Xに対して酒精綿等の含浸材を用いた処置を行っているとき、収容室101内のエタノールの濃度の上昇を低減することができる。
【0031】
図3は、図1に示す保育器1が備える除去部110の概略正面図である。図4は、図3のAA線矢視断面図である。図3及び図4に示す除去部110の構成は一例であり、除去部110としては、エタノールを除去できればどのような構成でもよく、例えば、活性炭フィルタからなる構成でもよい。
【0032】
除去部110は、図3及び図4に示すように、筐体111を含む。筐体111の前面111aには、開口部20を介して第1空間SP1から第2空間SP2へ流れる空気を取り込む吸気部111cが、前面111aの長手方向に並列して設けられる。また、筐体111の後面111bには、筐体111内でエタノールが除去された空気を排出部30に向かって排気する排気部111dが設けられている。
【0033】
筐体111内には、吸気部111c側から排気部111dに向かって順に、吸着部114、吸引部115が配置されている。吸着部114は、破砕状の活性炭114aを含み、吸引部115によって吸気部111c側の第1開口部114bから吸引された空気に含まれる気化されたエタノールを吸着し、吸引部115側の第2開口部114cから排気する。
【0034】
吸着部114は、筐体111の上部側から着脱可能なカートリッジ内に破砕状の活性炭114aを収容したカートリッジ型である。これにより、吸着部114の交換が容易である。また、破砕状の活性炭114aは使い捨てである。このため、吸着部114の交換は、以下のように行う。筐体111から取り出した吸着部114に収容された破砕状の活性炭114aは捨てて、新しい破砕状の活性炭114aを吸着部114に収容し、再度、吸着部114を筐体111に取り付ける。
【0035】
吸着部114と吸引部115との間には、ガスセンサ117が設けられている。ガスセンサ117は、吸着部114によるエタノールの吸着能力の低下を検出するためのセンサである。
【0036】
具体的には、図示しない制御部は、ガスセンサ117によって検出されたエタノール濃度が予め設定した値(吸着部114の交換要と判断するための値)以上であると判断すれば、吸着部114のエタノール吸着能力が所定基準よりも低下していると判断する。つまり、制御部は、ガスセンサ117によって検出されたエタノール濃度から、吸着部114の交換時期であることを知らせることができる。
【0037】
このように、制御部は、ガスセンサ117が検出したエタノール濃度から、吸着部114の吸着状態(破過している(吸着機能を超えて吸着して、吸着対象が漏れている)状態か、あるいは十分に吸着できている状態か)を判断する。よって、ガスセンサ117は破過センサとして機能する。つまり、ガスセンサ117は、吸着部114内の活性炭114aの吸着能力の低下を検出するセンサであり、制御部は、ガスセンサ117の検出結果に基づき、吸着部114内の活性炭114aの交換時期を知らせるようになっている。
【0038】
制御部は、保育器1が備える図示しないスピーカ等の音声出力部に、活性炭114aの交換時期を表す音声を出力させることにより、活性炭114aの交換時期を知らせてもよい。また、制御部は、保育器1が備える図示しない表示部に、活性炭114aの交換時期を示す内容を表示させることにより、活性炭114aの交換時期を知らせてもよい。
【0039】
吸引部115は、2つのシロッコファンからなり、吸着部114を介して吸気部111cから空気を吸引し、筐体111の後面111bに設けられた排気部111dから排気される。ここで、吸引部115における1分間当たりの吸気量は20L以上とするが、これに限定されるものではない。ただし、吸引部115における吸気量は、吸気量及び排気量によって保育器1内の環境を乱さない範囲に設定されることが好ましい。また、吸引部115は、吸気部111cから吸引される空気の風速が適切となる風速になるようにシロッコファンの回転数が設定される。
【0040】
<排出部の概要>
排出部30は、第2空間SP2に設けられ、第2空間SP2の空気を、排出口31から保育器1外に排出する。具体的には、排出部30は、例えば軸流ファンであり、第2空間SP2の空気を吸引し、吸引した空気を排出口31から保育器1外に排出する。排出口31は、載置台102の側面に形成されている。
【0041】
なお、除去部110に吸引部115が設けられる場合、排出部30と、吸引部115の2つのシロッコファンと、のうち一方の構成のみが設けられてもよい。この場合、当該構成が、空気を排出する機能と、空気を吸引する機能と、を兼ねるようにして、第2空間SP2の空気を吸引し、吸引した空気を保育器1外に排出してもよい。排出部30は、抑制部の一例であり、第2空間SP2の空気を保育器1外に排出することにより、第2空間SP2から第1空間SP1へのエタノールの移動を抑制する。
【0042】
第2空間SP2の空気を保育器1外に排出する排出部30が第2空間SP2に設けられることにより、第2空間SP2から第1空間SP1へのエタノールの移動を抑制することができる。
【0043】
また、排出部30が第2空間SP2の空気を保育器1外に排出することにより、第2空間SP2のエタノールの濃度を下げることができる。これにより、開口部20を介して第2空間SP2から第1空間SP1に移動するエタノールの量を低減することができる。このため、患児Xに対して酒精綿等の含浸材を用いた処置を行っているとき、収容室101内のエタノールの濃度の上昇を低減することができる。
【0044】
以上により、表面11aよりも上側の第1空間SP1の空気が、表面11aよりも下側の第2空間SP2に流れるように、第1空間SP1と第2空間SP2とを連通する開口部20が形成される。また、第2空間SP2には、第2空間SP2から第1空間SP1へのエタノールの移動を抑制する抑制部が設けられる。これにより、保育器1内の患児Xが、意図せずエタノールに暴露されてしまうことを回避することができる。
【0045】
また開口部20が、患児Xが載置される表面11aに形成されていることにより、表面11aよりも上側の第1空間SP1の空気を、表面11aよりも下側の第2空間SP2に容易に流すことができる。
【0046】
〔実施形態2〕
本開示の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。図5は、本開示の実施形態2に係る保育器2の概略斜視図である。図6は、図5に示す保育器2の概略断面図である。
【0047】
図5及び図6に示すように、保育器2は、保育器1に比べて、開口部20が開口部20aに変更される点と、開口部20aに設けられる第1開閉部22を備える点と、廃棄部21を備える点と、が異なる。開口部20aの直径は、開口部20の直径よりも大きく、収容室101内で使用した酒精綿Y等の含浸材を開口部20aから廃棄部21に廃棄することができる。
【0048】
廃棄部21は、開口部20aから廃棄物を廃棄可能なものである。当該廃棄物は、例えば、患児Xに対して用いられるとともにエタノールが含浸された酒精綿Y等の含浸材である。保育器2は、酒精綿Y等の含浸材を廃棄物として、開口部20aから廃棄可能な廃棄部21を備える。これにより、患児Xに対して用いた含浸材を収容室101内で容易に廃棄することができる。
【0049】
開口部20aにおける表面11a側には、開口部20aを開閉可能な第1開閉部22が設けられている。第1開閉部22は、例えば、上方向に開くことが可能な蓋であるが、これに限定されず、表面11aに沿った方向に移動することで開口部20aを開閉可能な板状部材であってもよい。
【0050】
廃棄部21は、表面11aよりも下側に設けられている。具体的には、廃棄部21は第2空間SP2に配置されており、開口部20aの下方に設けられている。廃棄部21には凹部23が形成されており、開口部20aから廃棄部21に廃棄された酒精綿Yは、凹部23に配置される。
【0051】
患児Xに対して、エタノールが含浸された含浸材を用いているときに第1開閉部22を開くことで、患児Xが配置される第1空間SP1から第2空間SP2に空気を移動させ、第2空間SP2に設けられる除去部110でエタノールを除去できる。また、使用済の含浸材を廃棄物として、開口部20aから廃棄部21に廃棄することができる。さらに、患児Xに対して含浸材を用いていないときに第1開閉部22を閉じることで、廃棄部21に廃棄された含浸材から揮発するエタノールが、開口部20aを介して第2空間SP2から第1空間SP1に移動することを防ぐことができる。
【0052】
除去部110は、廃棄部21に設けられ、廃棄部21内の空気に含まれるエタノールを除去する。具体的には、除去部110は、廃棄部21の凹部23に配置されており、凹部23に囲まれる空間の空気に含まれるエタノールを除去する。排出部30は、凹部23に囲まれる空間の空気を、廃棄部21の側面に形成された排出口24から吸引する。排出部30は、排出口24から吸引した空気を排出口31から保育器1外に排出する。
【0053】
〔実施形態3〕
本開示の実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1及び2にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。図7は、本開示の実施形態3に係る保育器3の概略斜視図である。図8は、図7に示す保育器3の概略断面図である。
【0054】
図7及び図8に示すように、保育器3は、保育器2に比べて、排出部30を備えていない点と、廃棄部21が廃棄部21aに変更される点と、載置台102に回収部40が設けられている点と、が異なる。廃棄部21aは廃棄部21に比べて、排出口24が形成されていない点が異なる。回収部40は、廃棄部21aに廃棄された廃棄物を、保育器3外に回収するためのものである。載置台102に回収部40が設けられることにより、廃棄部21aに廃棄された含浸材を廃棄物として、保育器3外に回収することができる。
【0055】
回収部40は、例えば、載置台102の側面に形成された開口部である。この場合、廃棄部21aの凹部23に配置された廃棄物を当該開口部から保育器3外に回収することができる。また、制御部から活性炭114aの交換時期を知らされた場合、廃棄部21aの凹部23に配置された除去部110を保育器3外に回収し、除去部110の活性炭114aを交換することができる。
【0056】
〔実施形態4〕
本開示の実施形態4について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。図9は、本開示の実施形態4に係る保育器4の概略斜視図である。
【0057】
図9に示すように、保育器4は、保育器1に比べて、第1気流発生部50及び第2気流発生部51を備える点が異なる。なお、「保育器1が第1気流発生部50及び第2気流発生部51を備える」とは、保育器1に対して第1気流発生部50及び第2気流発生部51が設けられる構成も含むことを意味する。第1気流発生部50及び第2気流発生部51は、第1空間SP1から開口部20を介して第2空間SP2に向かう空気の流れを発生させる。
【0058】
具体的には、第1気流発生部50は、第1空間SP1に設けられ、第1空間SP1の空気を開口部20に向かって吹き付ける。第2気流発生部51は、第2空間SP2に設けられ、開口部20から第1空間SP1の空気を吸引する。第1気流発生部50及び第2気流発生部51は、例えば軸流ファンである。第1気流発生部50及び第2気流発生部51により、第1空間SP1の空気を第2空間SP2に効率良く流すことができる。
【0059】
制御部は、保育器4の電源がオンしている間、第1気流発生部50及び第2気流発生部51を常に駆動させてもよいが、患児Xに対して含浸材を用いた処置が行われている間に、第1気流発生部50及び第2気流発生部51を駆動することが好ましい。例えば、制御部は、使用者による操作パネル102aの操作に基づき、第1気流発生部50及び第2気流発生部51を駆動してもよい。
【0060】
また、保育器4は、収容室101内のエタノールの濃度を検出する図示しない少なくとも1つの検出センサを備えてもよい。この場合、制御部は、当該少なくとも1つの検出センサによって検出されたエタノールの濃度が所定閾値以上である場合、第1気流発生部50及び第2気流発生部51を駆動してもよい。上記少なくとも1つの検出センサは、例えば、表面11aに設けられている。
【0061】
〔変形例1〕
前記実施形態1では、保育器1が排出部30及び除去部110の両方を備えることを説明したが、保育器1は、排出部30及び除去部110のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0062】
〔変形例2〕
前記実施形態1では、表面11aに1つの開口部20が形成されることを説明したが、表面11aの少なくとも一部に複数の開口部20が形成されていてもよい。複数の開口部20のそれぞれは、第1空間SP1と第2空間SP2とを連通する。これにより、複数の開口部20から第1空間SP1の空気を第2空間SP2に効率的に流すことができる。
【0063】
〔変形例3〕
前記実施形態4では、保育器4が第1気流発生部50及び第2気流発生部51の両方を備えることを説明したが、保育器4は、第1気流発生部50及び第2気流発生部51のいずれか一方のみを備えていてもよい。つまり、気流発生部は第1空間SP1及び第2空間SP2のいずれか一方のみに設けられていてもよい。
【0064】
〔変形例4〕
図10は、図5に示す保育器2の変形例4において開口部20a付近の構成を示す断面図である。前記実施形態2では、保育器2が第1開閉部22を備えることを説明したが、図10に示すように、保育器2は、第1開閉部22に加えて第2開閉部25を備えてもよい。第2開閉部25は、開口部20aに設けられる。第2開閉部25は、開口部20aのうちベッド11またはベッドステージ13に形成される部分に形成された凹部26に挿入可能に設けられている。
【0065】
第2開閉部25は、表面11aに沿った方向に移動することで開口部20aを開閉可能な板状部材である。第2開閉部25はメッシュ状に形成されており、空気が通過可能な構造となっている。制御部は、使用者による操作パネル102aの操作に基づき、第2開閉部25の開閉を制御可能であってもよい。
【0066】
患児Xに対して含浸材を用いているときに第1開閉部22を開き、第2開閉部25を閉じることで、含浸材から揮発するエタノールが収容室101から廃棄部21に流れるようにし、使用者が第2開閉部25の上に含浸材を一時的に置くことができる。また、患児Xに対する含浸材を用いた処置が終わったとき、第2開閉部25を開くことで、開口部20aから含浸材を廃棄することができる。
【0067】
さらに、開口部20aから含浸材を廃棄した後、第1開閉部22及び第2開閉部25を閉じることで、廃棄部21に廃棄された含浸材から揮発するエタノールが、開口部20aを介して廃棄部21から収容室101に移動することを防ぐことができる。
【0068】
〔変形例5〕
前記変形例4では、第2開閉部25がメッシュ状に形成されており、空気が通過可能な構造となっていることを説明したが、第2開閉部25ではなく第1開閉部22がメッシュ状に形成されており、空気が通過可能な構造となっていてもよい。
【0069】
〔変形例6〕
前記実施形態1及び2では、保育器1が排出部30を備えることを説明し、前記実施形態3では、載置台102に回収部40が設けられることを説明した。ただし、保育器1が排出部30を備えるとともに、載置台102に回収部40が設けられていてもよい。
【0070】
〔変形例7〕
前記実施形態3では、回収部40が、載置台102の側面に形成された開口部であることを説明したが、回収部40は、載置台102の内部に配置され、載置台102の側面に形成された開口部から載置台102外に引き出すことが可能なトレイであってもよい。この場合、廃棄部21aは当該トレイの上に設けられており、上記トレイを載置台102外に引き出すことにより、載置台102の外部で上記トレイの上に配置された廃棄部21aから廃棄物を回収することができる。
【0071】
〔変形例8〕
前記実施形態3では、回収部40が、載置台102の側面に形成された開口部であることを説明したが、回収部40は、ベッドステージ13の側面に形成された開口部であってもよい。この場合、廃棄部21aはベッドステージ13の内部に配置されており、開口部20aは、表面11aとベッド11の下面とを接続している。ベッドステージ13の側面に形成された開口部と、カバー101cに形成された図示しない開口部と、を介して、廃棄部21aに廃棄された廃棄物を、保育器2外に回収することができる。
【0072】
〔変形例9〕
前記実施形態1では、排出部30及び除去部110が載置台102の内部の空間に設けられることを説明した。ただし、排出部30及び除去部110の少なくとも一方は、第2空間SP2に設けられ、表面11aとベッドステージ13の下面11bとの間の開口部20の内面に設けられていてもよい。変形例9において、第2空間SP2は、保育器1のうち表面11aよりも下側の空間、または、保育器1のうち表面11aよりも下側の空間の一部である。
【0073】
排出部30が開口部20の内面に設けられる場合、ベッドステージ13に開口部20の内面とベッドステージ13の側面とを接続する貫通穴が形成され、当該貫通穴と、カバー101cに形成された図示しない開口部と、を接続する配管等が設けられる。排出部30は、上記貫通穴及び上記配管等を介して、開口部20内の空気を保育器1外に排出する。
【0074】
除去部110が開口部20の内面に設けられる場合、筐体111の前面111aが上側となり、筐体111の後面111bが下側となるように、除去部110は開口部20の内面に設けられる。
【0075】
〔変形例10〕
前記変形例9では、排出部30及び除去部110の少なくとも一方は、表面11aとベッドステージ13の下面11bとの間の開口部20の内面に設けられていてもよいことを説明した。ただし、排出部30及び除去部110の少なくとも一方は、表面11aと、載置台102の内部の空間の一部である第2空間SP2の上部と、の間の開口部20の内面に設けられていてもよい。
【0076】
変形例10では、第2空間SP2は、載置台102の内部の空間に配置される容器の内部に形成される空間であってもよい。また、第2空間SP2は、載置台102の内部の空間の一部であり、かつ、載置台102の内部の空間のうち第2空間SP2以外の部分は、樹脂等の所定の物質で満たされていてもよい。
【0077】
開口部20は、表面11aと、第2空間SP2の上部と、を接続しており、開口部20の一部は載置台102の内部の空間に形成される。変形例10において、排出部30が開口部20の内面に設けられる場合の構成は、変形例9と同様である。また、変形例10において、除去部110が開口部20の内面に設けられる場合の構成は、変形例9と同様である。
【0078】
〔変形例11〕
前記実施形態2では、開口部20aに第1開閉部22が設けられていることを説明したが、第1開閉部22に穴が形成されており、第1開閉部22が閉じた状態で、当該穴により第1空間SP1の空気を第2空間SP2に導くことが可能であってもよい。
【0079】
例えば、患児Xに対して含浸材を用いた処置を行うとき、第1開閉部22を閉じて第1開閉部22の上に含浸材を一時的に置き、処置が終わったときに第1開閉部22を開けて開口部20aから含浸材を廃棄する場合を考える。この場合において、処置を行うとき及び処置が終わったときのいずれでも、収容室101内のエタノールの濃度の上昇を低減することができる。
【0080】
〔変形例12〕
前記実施形態2では、廃棄物を廃棄可能な廃棄部21について説明したが、保育器2は、使用者が保育器2外から廃棄部21の内部を見ることができる構造であってもよい。例えば、載置台102の側面の一部及び廃棄部21が透明部材から構成されてもよい。この場合、載置台102の側面における透明部材から構成される透明部分と、廃棄部21と、が当該透明部分に向かって載置台102を水平方向から視認したときに重なっている。これにより、使用者は保育器2外から廃棄部21の内部にある含浸材等の回収が必要であるか否かを判断することができる。
【0081】
〔変形例13〕
前記実施形態2について、保育器2は、廃棄部21の内部に設けられた図示しない濃度センサをさらに備えてもよい。当該濃度センサは、廃棄部21内のエタノールの濃度を検出する。制御部は、上記濃度センサによって検出されたエタノールの濃度が所定閾値以上である場合、廃棄部21内のエタノールの濃度が高くなっている旨を報知する報知処理を実行する。
【0082】
制御部は、上記報知処理として、上述した音声出力部に、廃棄部21内のエタノールの濃度が高くなっている旨の音声を出力させてもよい。また、制御部は、上述した表示部に、廃棄部21内のエタノールの濃度が高くなっている旨の内容を表示させてもよい。これにより、使用者は、除去部110内の活性炭114aの交換と、排出部30によって廃棄部21内の空気を保育器2外に排出することと、の必要性を認識できる。
【0083】
〔変形例14〕
前記実施形態1では、開口部20がベッド11の表面11aに形成されることを説明したが、開口部20は、表面11a以外に形成されていてもよい。例えば、第1空間SP1と第2空間SP2とを連通させる連通部がノズル等により、表面11aよりも第1空間SP1側に延長されることで、開口部20が、ベッド11の端部またはカバー101cの近傍等に配置された上記ノズル等の先端部に形成されてもよい。また、前記実施形態4において、図9に示す第1気流発生部50に上記ノズル等が接続されることで、上記連通部が第1気流発生部50と第2空間SP2とを連通させてもよい。
【0084】
〔変形例15〕
前記実施形態1では、保育器1が除去部110及び排出部30を備え、排出部30が空気を排出口31から保育器1外に排出することを説明したが、保育器1は、図4に示す吸着部114を加熱する加熱機構を備えてもよい。当該加熱機構は、例えばヒーターであり、筐体111の内部において吸着部114に設けられている。図示しない制御部が上記加熱機構を駆動することにより、吸着部114に吸着されたエタノールを脱離させ、吸着部114の吸着機能を回復させてもよい。
【0085】
〔変形例16〕
前記実施形態4において、保育器1は、水槽と、加熱部と、ヒーターと、ファンと、を備えてもよい。当該水槽、加熱部、ヒーター及びファンは、空気を収容室101に循環させる循環部の一例であり、載置台102の内部に配置されている。吸引部115、排出部30、第1気流発生部50及び第2気流発生部51は、上記循環部とは別体のものである。
【0086】
上記水槽は水を収容している。上記加熱部は、上記水槽内に設けられており、上記水槽が収容している水を加熱することにより、蒸気を発生させる。上記加熱部により発生した蒸気は、上記ファンによって収容室101内を循環する。上記ヒーターは、載置台102の内部の空気を加熱することにより、収容室101内の温度を上昇させる。上記水槽及び加熱部は加湿手段の一例であり、上記ヒーターは加温手段の一例である。
【0087】
なお、変形例16の構成は、実施形態1~4に適用されてもよく、他の変形例1~15,17~20にも適用されてもよい。また、保育器1内の温湿度の維持及び保育器1内の気流に大きな影響が出ない、つまり、患児Xに大きな影響が出ないように保育器1内の環境を維持できる範囲で、上記循環部の位置及び大きさ等は、適宜変更されてもよい。
【0088】
〔変形例17〕
前記実施形態1では、除去部110に設けられた吸気部111cが筐体111の前面111aの長手方向に並列して設けられている例について説明したが、これに限定されるものではなく、空気を取り込むことができれば、どこに設けられてもよく、また、どのような構造であってもよい。また、前記実施形態1では、除去部110に設けられた排気部111dが筐体111の後面111bに設けられている例について説明したが、これに限定されるものではなく、空気を排気できれば、どこに設けられてもよく、また、どのような構造であってもよい。
【0089】
〔変形例18〕
前記実施形態1では、吸着部114、吸引部115を流れる空気の方向がファンの回転軸方向と直交する方向であるため、吸引部115に用いるファンはシロッコファンを用いていたが、これに限定されるものではい。例えば、吸着部114、吸引部115を流れる空気の方向がファンの回転軸方向と同じ方向であれば、吸引部115に用いるファンとして軸流ファンを用いる。このように、吸着部114、吸引部115の配置位置に応じて他の形式のファンを用いてもよい。また、吸引部115で用いるファンの数についても2個に限定されるものではなく、1個または3個以上であってもよい。さらに、ファンの種類や数は、必要とされる風量やバッテリー、消費電力を考慮して適宜決定すればよい。
【0090】
〔変形例19〕
前記実施形態1の吸着部114において使用する吸着材として、破砕状の活性炭を用いる例について説明したが、これに限定されず、シート状の活性炭及びペレット状の活性剤等の他の吸着材を使用してもよい。
【0091】
また、除去部110は、エタノールの吸着と分解を両方行って除去するようにしてもよい。例えば、吸着部114に、吸着材と触媒を備え、一つの吸着部内で吸着材によるエタノールの吸着と触媒によるエタノールの分解を行うようにしてもよい。
【0092】
〔変形例20〕
前記実施形態1では、除去部110に吸気側に風速を検出するセンサ(以下、風速センサと称する)を設けてもよい。この場合、制御部は、風速センサによって検出された風速に応じて、吸引部115のファンを回転させるモータの駆動を制御する。制御部は、例えば、風速センサが所定範囲内の風速を検知すれば、吸引部115のファンの回転数を一定に保つようにモータを制御する。
【0093】
制御部は、例えば、風速センサが所定範囲を超えて一定の風速よりも速い風速であると検知すれば、吸引部115のファンの回転数を下げるようにモータを制御し、一定の風速よりも遅い風速であると検知すれば、吸引部115のファンの回転数を上げるようにモータを制御する。
【0094】
これにより、除去部110は、特に、吸引部115のファンを回転させるモータが過剰に作動することで、吸引部115の動作が保育器1内の環境に影響することを防ぐことができる。このように、除去部110は、風速センサを備えることで、吸気側の風速を常に監視することが可能となる。この結果、除去部110は、自身に対して、適量の空気を吸引させることが可能となる。
【0095】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1~4 保育器 11 ベッド
11a 表面(載置面) 11e 外端
20、20a 開口部 21、21a 廃棄部
22 第1開閉部 30 排出部(抑制部)
40 回収部 50 第1気流発生部
51 第2気流発生部 101 収容室
103 設置台 110 除去部(抑制部)
SP1 第1空間 SP2 第2空間
X 患児
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10