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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120628
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】除去装置、および保育器
(51)【国際特許分類】
   A61G 11/00 20060101AFI20240829BHJP
   A61G 10/00 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61G11/00 A
A61G10/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027547
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中川 博司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武司
(72)【発明者】
【氏名】末廣 陽
(72)【発明者】
【氏名】長井 孝行
(72)【発明者】
【氏名】藤山 聡
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341JJ01
4C341KK03
4C341KL07
4C341MM13
4C341MR11
(57)【要約】
【課題】収容室内の揮発性物質を効率良く除去する。
【解決手段】患児(X)を収容可能な収容室(101)を備えた保育器(1)に設けられるエタノール除去装置(110)は、収容室(101)内の空気からエタノールを除去する除去部(114)と、除去部(114)がエタノールを除去する除去モードと、除去部(114)におけるエタノールの除去機能を回復させる回復モードと、を切り替え可能な制御部(500)と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患児を収容可能な収容室を備えた保育器に設けられる除去装置であって、
前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去部と、
前記除去部が前記揮発性物質を除去する除去モードと、前記除去部における前記揮発性物質の除去機能を回復させる回復モードと、を切り替え可能な制御部と、を備える、除去装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記除去部を通過した空気が前記収容室に流れる第1流路と、前記除去部を通過した空気が前記保育器外に流れる第2流路と、を切り替え可能であり、
前記除去部を通過した空気が、前記除去モードの場合に前記第1流路を流れ、前記回復モードの場合に前記第2流路を流れるように制御を行う、請求項1に記載の除去装置。
【請求項3】
前記第1流路において前記除去部を通過した空気が流れる方向は、前記第2流路において前記除去部を通過した空気が流れる方向とは逆である、請求項2に記載の除去装置。
【請求項4】
前記除去部を加熱するヒータをさらに備え、
前記除去部は、前記揮発性物質を吸着することにより、前記揮発性物質を除去するものである、請求項1から3のいずれか1項に記載の除去装置。
【請求項5】
前記収容室内の空気に含まれる前記揮発性物質の濃度を計測するセンサをさらに備え、
前記制御部は、前記センサによって計測された前記揮発性物質の濃度に基づき、前記除去モードと前記回復モードとを切り替える、請求項1から3のいずれか1項に記載の除去装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の除去装置が設けられる、保育器。
【請求項7】
患児を収容可能な収容室と、
前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去部と、
前記除去部が前記揮発性物質を除去する除去モードと、前記除去部における前記揮発性物質の除去機能を回復させる回復モードと、を切り替え可能な制御部と、を備える、保育器。
【請求項8】
保育器が備える、患児を収容可能な収容室内の空気から、除去部によって揮発性物質を除去する除去ステップと、
前記除去部が前記揮発性物質を除去する除去モードと、前記除去部における前記揮発性物質の除去機能を回復させる回復モードと、を切り替える制御ステップと、を含む、除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
保育器は、未熟児および新生児等の患児を保護し、診療するための医療機器である。患児は保育器内において様々な医学的介入を受ける。患児が受ける医学的介入には、採血、人工呼吸器の装着、点滴、などが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
医学的介入の一例として、保育器内の患児から採血を行ったり、患児に点滴を行ったりする場合がある。これらの医学的介入では、針を刺す部位の消毒等のためにエタノールなどのアルコールが使用され得る。エタノールなどのアルコールは揮発性を有しているため、医学的介入の度に保育器内の空気に含まれるアルコール濃度が上昇する。その結果、保育器内の患児は、意図せず揮発性物質に暴露されている可能性がある。
【0004】
揮発性物質の中には、患児の健康状態に影響を及ぼすものもある。例えば、妊娠中の飲酒によって胎児へ悪影響をもたらす(胎児エタノール症候群)ことは広く知られており、保育器内で患児が揮発性物質に暴露される状況は改善することが望ましい。
【0005】
本開示は、収容室内の揮発性物質を効率良く除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係る除去装置は、患児を収容可能な収容室を備えた保育器に設けられる除去装置であって、前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去部と、前記除去部が前記揮発性物質を除去する除去モードと、前記除去部における前記揮発性物質の除去機能を回復させる回復モードと、を切り替え可能な制御部と、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、除去装置は、除去モードにて除去部で揮発性物質を除去したのちに、回復モードにて除去部の除去機能を回復させることができる。そのため、除去部を長期に亘って継続使用することができ、効率的に収容室内の揮発性物質を除去することができる。
【0008】
前記制御部は、前記除去部を通過した空気が前記収容室に流れる第1流路と、前記除去部を通過した空気が前記保育器外に流れる第2流路と、を切り替え可能であり、前記除去部を通過した空気が、前記除去モードの場合に前記第1流路を流れ、前記回復モードの場合に前記第2流路を流れるように制御を行ってもよい。
【0009】
上記の構成によれば、除去装置は、第1流路において収容室内の揮発性物質を除去することができ、第2流路において除去装置の除去機能を回復させることができる。これにより、除去装置は、収容室内の揮発性物質を効率良く除去することができる。
【0010】
前記第1流路において前記除去部を通過した空気が流れる方向は、前記第2流路において前記除去部を通過した空気が流れる方向とは逆であってもよい。
【0011】
上記の構成によれば、第1流路と第2流路とで、除去部に対する空気の流入方向を異ならせることによって、効率的に除去部が揮発性物質の吸着・脱離をすることができる。
【0012】
前記除去装置は、前記除去部を加熱するヒータをさらに備え、前記除去部は、前記揮発性物質を吸着することにより、前記揮発性物質を除去するものであってもよい。
【0013】
上記の構成によれば、ヒータによって除去部が加熱されるため、除去部から揮発性物質が揮発し易くなり、除去部を効率的に脱離させることができる。
【0014】
前記除去装置は、前記収容室内の空気に含まれる前記揮発性物質の濃度を計測するセンサをさらに備え、前記制御部は、前記センサによって計測された前記揮発性物質の濃度に基づき、前記除去モードと前記回復モードとを切り替えてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、除去装置は、センサによって計測された揮発性物質の濃度に基づき、除去モードと回復モードとを切り替えるため、収容室内の揮発性物質をより効率良く除去することができる。
【0016】
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係る保育器には、前記除去装置が設けられる。
【0017】
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係る保育器は、患児を収容可能な収容室と、前記収容室内の空気から揮発性物質を除去する除去部と、前記除去部が前記揮発性物質を除去する除去モードと、前記除去部における前記揮発性物質の除去機能を回復させる回復モードと、を切り替え可能な制御部と、を備える。
【0018】
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係る除去方法は、保育器が備える、患児を収容可能な収容室内の空気から、除去部によって揮発性物質を除去する除去ステップと、前記除去部が前記揮発性物質を除去する除去モードと、前記除去部における前記揮発性物質の除去機能を回復させる回復モードと、を切り替える制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一態様によれば、収容室内の揮発性物質を効率よく除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1に係る保育器の概略斜視図である。
図2】エタノール除去装置の概略正面図である。
図3】実施形態1における図2のAA線矢視断面図である。
図4】実施形態1に係るエタノール除去装置のブロック図である。
図5】実施形態1に係る保育器での空気の流れを示す図である。
図6】制御部の動作を表すフローチャートの一例である。
図7】動作モードの制御方法(判断方法)を示すフローチャートである。
図8】実施形態2に係る保育器の概略斜視図である。
図9】実施形態2に係るエタノール除去装置のブロック図である。
図10】実施形態2に係る保育器での除去モードにおける空気の流れを示す図である。
図11】実施形態2に係る保育器での回復モードにおける空気の流れを示す図である。
図12】実施形態3における図2に対応した位置でのAA線矢視断面図である。
図13】実施形態3に係る保育器での回復モードにおける空気の流れを示す図である。
図14】実施形態4に係る保育器の概略斜視図である。
図15】実施形態4に係る保育器での空気の流れを示す図である。
図16】実施形態5に係る保育器の概略断面図である。
図17】実施形態6に係る保育器の概略斜視図である。
図18】実施形態6に係る保育器に設けられる浄化装置の概略斜視図および概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。以下では保育器は、後述する閉鎖型保育器を例にして説明する。
【0022】
患児に対する医学的介入(点滴投与等)には、保育器内で実施されるものがある。また、保育器内の空気に含まれる揮発性物質を吸着除去する必要がある。この揮発性物質は、エタノールのような患児Xに対する医学的介入において使用される物質である。
【0023】
従って、保育器には、保育器内で実施される医学的介入において使用される揮発性物質を、該保育器内の空気から除去する揮発性物質除去装置が設置されている。これにより、患児に対する医学的介入を保育器内において行うことの安全性を向上させることができる。なお、揮発性物質除去装置を保育器に設置する理由の一例として、衛生面や機能面で問題が生じ難いことを挙げることができる。例えば、揮発性物質除去装置の全てあるいは一部を保育器外に設置した場合、保育器内と保育器外との温湿度差によって結露などが生じ、衛生面や機能面で問題が生じ易くなる。このため、揮発性物質除去装置は、保育器に設置するのが好ましい。以下、除去対象の揮発性物質としてエタノールを例に説明するため、揮発性物質除去装置をエタノール除去装置とする。はじめに、保育器の概要を説明する。
【0024】
<保育器の概要>
図1は、実施形態1に係る保育器1の概略斜視図である。保育器1は、患児Xを収容する収容室101と、ベッド11と、ベッドステージ13と、収容室101を載置する載置台102とを含む。収容室101は、カバー101cおよび載置台102によって囲まれる空間である。収容室101内には、ベッド11と、ベッド11の前後に配置された衝立部12と、ベッドステージ13と、が配置されている。
【0025】
ベッド11の表面11aは、患児が置かれる載置面である。ベッド11は、載置台102上に設けられたベッドステージ13に設置されている。ベッドステージ13は、ベッド11を上下方向または上下左右方向に動かすことが可能である。衝立部12は、ベッド11の表面11aから所定の高さおよび所定の幅を有する透明な樹脂で形成されている。
【0026】
カバー101cには、医師または看護師が患児Xに対して点滴投与等の処置を行うための処置用の開口部101aが2個形成されている。収容室101内で患児Xに対して何らかの処置をする場合には、必ず消毒する必要がある。例えば、酒精綿を用いて患児Xの手等の処置対象の部位を消毒する。収容室101内で酒精綿を使用すれば、当該収容室101内にエタノールが発生する。発生したエタノールを除去するために、保育器1にはエタノール除去装置110が設けられている。
【0027】
保育器1は、患児を収容するために内部の温度および湿度が調節可能な収容室101を備えた保育器(所謂、閉鎖型保育器)である。このため、保育器1は、さらに、循環部410を備える。循環部410は、温度および湿度が調節された空気を収容室101に循環させる。これにより、保育器1は、患児を収容する収容室における温湿度が維持され、温湿度が維持できるレベルで自然吸排気を行い換気されている。なお、保育器1は温湿度に加えて、酸素濃度が調整可能であってもよい。循環部で供給される空気の気流は、患児に影響を与えないようにその向きおよび速度等が考慮されている。
【0028】
載置台102には、保育器1の機能などを、使用者(医師、看護師等)が操作できるように操作パネル102aが設けられている。エタノール除去装置110の駆動制御は、操作パネル102aの操作によって行う。
【0029】
載置台102には、第1供給部510と第2供給部520とが設けられている。第1供給部510は、収容室101内の空気の少なくとも一部をエタノール除去装置110に供給する。エタノール除去装置110は、収容室101内から供給された空気からエタノールを除去する。第2供給部520は、循環部410を通過した空気の少なくとも一部を収容室101に供給する。収容室101、第1供給部510、エタノール除去装置110、循環部410、第2供給部520および収容室101の順で連通している。
【0030】
なお、第1供給部510には、収容室101とエタノール除去装置110との間で空気を通過させる開口が形成されており、第1供給部510は、例えばファンを備える。第2供給部520には、循環部410と収容室101との間で空気を通過させる開口が形成されており、第2供給部520は、例えばファンを備える。
【0031】
これにより、収容室101内の温度および湿度を保ったまま、当該収容室101からエタノールを除去することができる。また、保育器1外の空気中のエタノールを除去し、保育器1外の空気と保育器1内の空気を入れ替える方法も考えられるが、当該方法では保育器1内の温度、湿度の維持が難しい。
【0032】
<エタノール除去装置110の概要>
図2は、エタノール除去装置110の概略正面図である。図3は、実施形態1における図2のAA線矢視断面図である。
【0033】
エタノール除去装置110は、図2および図3に示すように、筐体111と、除去部114と、吸引部115と、ヒータ116と、を含む。筐体111の前面111aには、空気を取り込む吸気部111cが当該前面111aの長手方向に並列して設けられ、後面111bには、当該筐体111内でエタノールが除去された空気を排気する排気部111d(図3)が設けられている。
【0034】
筐体111内には、図3に示すように、吸気部111c側から排気部111dに向かって順に、除去部114、吸引部115が配置されている。
【0035】
除去部114は、破砕状の活性炭114aを含み、吸引部115によって吸気部111c側の第1開口部114bから吸引された空気に含まれる気化されたエタノールを活性炭114aで吸着し、吸引部115側の第2開口部114cから排気する。除去部114は、エタノールを吸着することにより、エタノールを除去するものである。除去部114は、破砕状の活性炭114aを収容したカートリッジ型であってもよく、これにより、除去部114の交換を容易にしてもよい。
【0036】
吸引部115は、2つのシロッコファンからなり、除去部114を介して吸気部111cから空気を吸引し、筐体111の後面111bに設けられた排気部111dから排気される。なお、吸引部115は、エタノール除去装置110に備わっていなくても良く、第2供給部520がその役割を兼ねてもよい。
【0037】
また、第1供給部510および第2供給部520は、保育器1に設けられず、エタノール除去装置110に設けられてもよい。この場合、収容室101とエタノール除去装置110とが連通する部分には、ファンがなく開口が形成される。また、収容室101と循環部410とが連通する部分には、ファンがなく開口が形成される。なお、開口には、開口を開閉可能な蓋が設けられてもよく、また開口には、開口を開閉可能なメッシュ状の蓋が設けられてもよい。
【0038】
第1供給部510および第2供給部520は保育器1に設けられるが、第1供給部510および第2供給部520の制御は、エタノール除去装置110によって行われる。さらに、除去部114の近傍に除去部114を加熱するヒータ116が設けられている。ヒータ116の役割に関しては後述する。
【0039】
<エタノール除去装置110のブロック図>
図4は、実施形態1に係るエタノール除去装置110のブロック図である。エタノール除去装置110は、各部を制御する制御部500と、センサ530と、を備える。制御部500には、第1供給部510、第2供給部520、吸引部115、ヒータ116およびセンサ530が接続されている。
【0040】
第1供給部510および第2供給部520は上述したように、収容室101とエタノール除去装置110および循環部410との間での空気の流入出を担うファンである。制御部500は、第1供給部510および第2供給部520をともに駆動する。これにより、収容室101からエタノール除去装置110に空気が流入し、エタノール除去装置110における活性炭114aにエタノールが吸着される。また、空気が循環部410を通過してから収容室101に戻される。すなわち、制御部500が第1供給部510および第2供給部520をともに駆動することで、収容室101、エタノール除去装置110および循環部410の空気は循環する。
【0041】
活性炭114aはエタノールを際限なく吸着することができるわけではなく、エタノールを吸着していくと徐々に吸着性能は劣化していく。そこで、活性炭114aをヒータ116で加熱することにより、既に吸着したエタノールを再度揮発させることができ、活性炭114aの吸着性能を回復させることができる。
【0042】
また、センサ530は、収容室101内の空気に含まれるエタノールの濃度を計測する。制御部500は、センサ530の計測結果に基づき、各部の制御を切り替える。具体的には、制御部500は、センサ530によって計測されたエタノールの濃度に基づき、除去モードと回復モードとを切り替え、各部の制御を切り替える。除去モードおよび回復モードに関しては後述する。
【0043】
<動作モード>
制御部500は、除去モードおよび回復モードを切り替え可能であり、除去モードおよび回復モードの2つの動作モードで少なくとも動作する。以降、それぞれの動作と機能に関して説明する。
【0044】
除去モードは、エタノール除去装置110に供給された空気からエタノールを活性炭114aに吸着させる動作モードである。除去モードでは、制御部500は、第1供給部510および第2供給部520を駆動させる。これにより、制御部500は、収容室101内の空気の少なくとも一部をエタノール除去装置110に供給し、エタノール除去装置110においてエタノールを除去してから空気を収容室101に戻す。この際、ヒータ116はオフしている。
【0045】
図5は、実施形態1に係る保育器1での空気の流れを示す図である。図5に示すように、収容室101とエタノール除去装置110とでは、第1供給部510および第2供給部520によって空気が循環している。この際、エタノール除去装置110によってエタノールが除去され、循環部410によって患児Xに対して適当な温度・湿度に空気が調整される。
【0046】
回復モードは、活性炭114aに吸着されたエタノールを、エタノール除去装置110を通過する空気に戻し、収容室101を介して保育器1から排気する動作モードである。回復モードでは、制御部500はヒータ116をオンにし、活性炭114aが吸着したエタノールを揮発させる。
【0047】
また、回復モードでは、除去モードよりも第1供給部510および第2供給部520の出力を落とした状態で、第1供給部510および第2供給部520を駆動させる。これにより、一度活性炭114aに吸着されていたエタノールはエタノール除去装置110内においてエタノール除去装置110を通過した空気に混入し、収容室101に戻される(図5参照)。この際、収容室101の空気におけるエタノールの濃度が極度に高くならないように注意しながら循環させる。収容室101の空気は、保育器1の各部の間に形成される隙間および開口部101aから自然排気される。当該隙間は、例えばカバー101cと載置台102との間に形成される隙間である。
【0048】
回復モードにおいては、第1供給部510を停止させた状態で第2供給部520を駆動させてもよい。また、回復モードにおいては、除去モードよりも第1供給部510の出力を落とし、第2供給部520の出力を除去モードと同じ出力とした状態で、第1供給部510および第2供給部520を駆動させてもよい。また、同様に、収容室101内の空気は、保育器1の隙間および開口部101aから自然排気される。
【0049】
回復モードによって、活性炭114aが吸着していたエタノールの量は減少するため、その分だけ再度除去モードでエタノールを吸着することができるようになる。また、回復モードにおいても、収容室101内におけるエタノールの濃度をセンサ530で計測しながら制御部500が制御を行うため、患児Xが高濃度のエタノールに暴露されてしまうことを避けて回復モードを行うことができる。つまり、制御部500は、除去部114(活性炭114a)がエタノールを除去する除去モードと、除去部114におけるエタノールの除去機能を回復させる回復モードと、を切り替える。
【0050】
結果的に、除去モードおよび回復モードを交互に繰り返すことによってエタノール除去装置110の処理能力を向上させることができ、エタノール除去装置110は効率的にエタノールを除去することができる。
【0051】
<制御フロー>
図6は、制御部500の動作を表すフローチャートの一例である。制御部500は、まず動作モードが除去モードであるか否かを判断する(S11)。つまり、動作モードを判断しており、動作モードの判断方法の詳細は後述する。
【0052】
動作モードが除去モードである場合(S11においてYes)、まず制御部500はヒータ116をオフにする(S12)。その後、第1供給部510、第2供給部520および吸引部115を定常出力で駆動する(S13)。第1供給部510は、収容室101からエタノール除去装置110に空気を供給する(S14)。エタノール除去装置110は、エタノール除去装置110に供給された空気に含まれるエタノールを除去する(S15)。第2供給部520は、エタノール除去装置110から第2供給部520に空気を吸引し、収容室101に空気を供給する(S16)。
【0053】
すなわち、除去モードでは、収容室101とエタノール除去装置110とで空気が循環し、エタノール除去装置110において、循環する空気からエタノールが除去される。なお、空気が循環している間に循環部410が介在しても構わない。
【0054】
動作モードが回復モードである場合(S11においてNo)、まず制御部500はヒータ116をオンにする(S22)。その後、第1供給部510、第2供給部520および吸引部115を低出力で駆動する(S23)。第1供給部510は、収容室101からエタノール除去装置110に空気を供給する(S24)。エタノール除去装置110は、活性炭114aが吸着していたエタノールをヒータ116によって揮発させて、エタノール除去装置110を通過する空気に混入させる(S25)。第2供給部520は、エタノール除去装置110から第2供給部520に空気を吸引し、収容室101に空気を供給する(S26)。その後、収容室101にて、収容室101と載置台102との間の隙間および開口部101aから自然排気する(S27)。
【0055】
すなわち、回復モードでは、収容室101とエタノール除去装置110とで空気が循環し、活性炭114aが吸着していたエタノールをヒータ116によって揮発させて、エタノール除去装置110を通過する空気に混入させる。エタノールの濃度が低い状態でエタノールが混入した空気は、収容室101と載置台102との間の隙間および開口部101aから自然排気される。なお、空気が循環している間に循環部410が介在しても構わない。
【0056】
また、図7は、動作モードの制御方法(判断方法)を示すフローチャートである。制御部500は、センサ530によって計測した収容室101におけるエタノールの濃度が所定値以上であるか否かを判断する(S31)。エタノールの濃度が所定値未満である場合(S31においてNo)、制御部500は動作モードを維持する。
【0057】
エタノールの濃度が所定値以上である場合(S31においてYes)、制御部500は、動作モードを除去モードとする(S32)。また、制御部500は、タイマをリセットし起動する。制御部500は、タイマを確認し、除去モードの継続時間が第1所定時間以上かを確認する(S33)。除去モードの継続時間が第1所定時間未満である場合(S33においてNo)、制御部500は、S32に処理を戻し、除去モードを維持する。
【0058】
除去モードの継続時間が第1所定時間以上である場合(S33においてYes)、制御部500は、動作モードを回復モードとする(S34)。また、制御部500は、タイマをリセットし起動する。制御部500は、タイマを確認し、回復モードの継続時間が第2所定時間以上かを確認する(S35)。回復モードの継続時間が第2所定時間未満である場合(S35においてNo)、制御部500は、S34に処理を戻し、回復モードを維持する。
【0059】
回復モードの継続時間が第2所定時間以上である場合(S35においてYes)、制御部500は、動作モードを除去モードとする(S36)。なお、この際の動作モードは、除去モードではなく、後述する循環モードであってもよい。
【0060】
つまり、制御部500は、センサ530によって計測されたエタノールの濃度が所定値以上になった時点から第1所定時間の間除去モードを維持する。また、制御部500は、第1所定時間が経過した後、除去モードから回復モードに切り替えるとともに、その時点から第2所定時間の間回復モードを維持し、一度吸着したエタノールを再度揮発させて排気する。
【0061】
または、制御部500は、センサ530によって計測されたエタノールの濃度が所定値以上の間除去モードを維持し、所定値未満の間、回復モードとしてもよい。つまり、センサ530による計測値に基づいて制御部500は動作モードを判断してもよい。
【0062】
制御部500は、センサ530によって計測されたエタノールの濃度に基づいて動作するだけではなく、使用者による操作パネル102aの操作によって動作を切り替えてもよい。この際、所定の動作モードまたは所定の動作モードの組み合わせである動作パターンを選択して動作させてもよい。当該動作パターンは、除去モードを第1所定時間の間行い、回復モードを第2所定時間の間行い、その後、除去モードに戻すなどである。
【0063】
なお、動作モードには、回復モードよりも流量が大きく、除去モードよりも流量が少ない循環モードがあってもよい。つまり、制御部500は、センサ530によって計測されたエタノールの濃度が所定値以上になった時点から第1所定時間の間除去モードを維持する。また、制御部500は、第1所定時間が経過した後、除去モードから回復モードに切り替えるとともに、その時点から第2所定時間の間回復モードを維持する。さらに、制御部500は、第2所定時間の間、回復モードを行った後に、循環モードに切り替えてもよい。この場合、患児Xに対する快適な風量を循環モードで実現することができる。
【0064】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0065】
実施形態1では、保育器1からの排気は保育器1の各部に形成される隙間および開口部101aから行われるだけであったが、実施形態2では強制排気を行う点が実施形態1との相違点である。実施形態2についてこの相違点以外は実施形態1と同様である。図8は、実施形態2に係る保育器2の概略斜視図である。
【0066】
保育器2は、保育器1に対して、エタノール除去装置110に代えてエタノール除去装置110aおよび排出部540を設けている。制御部500は、第1供給部510、第2供給部520、吸引部115、ヒータ116およびセンサ530に加えて、排出部540を制御する(図9参照)。
【0067】
制御部500は、循環部410に空気を流す第1流路と、排出部540に空気を流す第2流路とを切り替え可能である。排出部540は、第2流路において、エタノール除去装置110aと保育器2外とを連通している。また、排出部540はファンを備える。なお、排出部540は、載置台102の内部の空間と保育器2外とを連通していてもよい。
【0068】
エタノール除去装置110aでの除去モードは、第1流路を用いる。図10は、実施形態2に係る保育器2での除去モードにおける空気の流れを示す図である。第1流路では、収容室101の空気が第1供給部510を経由して、エタノール除去装置110aに入り、エタノール除去装置110aにおいて、エタノールを除去される。その後、エタノール除去装置110aを通過した空気は、循環部410に移り、患児Xに適した温度・湿度に調整されたのちに、第2供給部520から収容室101に戻される。
【0069】
すなわち、第1流路は、実施形態1における空気の循環経路と同様である。つまり、第1流路は、収容室101、第1供給部510、エタノール除去装置110a、循環部410、第2供給部520および収容室101の順に空気が流れる流路である。なお、実施形態2における除去モードにおいては、ヒータ116はオフしている。また、収容室101では、自然吸排気が行われている。
【0070】
エタノール除去装置110aでの回復モードは、第2流路を用いる。図11は、実施形態2に係る保育器2での回復モードにおける空気の流れを示す図である。第2流路では、収容室101の空気が第1供給部510を経由して、エタノール除去装置110aに入る。第2流路は、収容室101、第1供給部510、エタノール除去装置110a、排出部540および保育器2外の順に空気が流れる流路である。
【0071】
なお、ヒータ116がオンしているため、エタノール除去装置110aでは、活性炭114aに吸着されていたエタノールが揮発し、空気に溶け込む。そのため、回復モードでは、エタノール除去装置110aを通過した空気のエタノールの濃度が上昇する。
【0072】
エタノール除去装置110aから出た空気は、排出部540から保育器2外に排出される。なお、収容室101の空気が吸い出されることになるため、収容室101と載置台102との間に形成される隙間および開口部101aからの自然吸気によって、保育器2外の空気が収容室101に入り込む。また、第2供給部520は停止している。
【0073】
実施形態2では、回復モードにおいて、エタノールを混入させた空気を収容室101に戻さず、保育器2外に排気する。そのため、収容室101内のエタノールの濃度は十分に低い状態を維持することができる。
【0074】
以上のように、実施形態2では、制御部500は、除去部114(活性炭114a)を通過した空気が収容室101に流れる第1流路と、除去部114を通過した空気が保育器2外に流れる第2流路と、を切り替え可能である。また、制御部500は、除去部114を通過した空気が除去モードの場合に第1流路を流れ、回復モードの場合に第2流路を流れるように制御を行う。
【0075】
なお、自然吸気される空気に関しては、循環部410を経由して、患児Xにとって適当な温度・湿度に調整されたものが供給されてもよい。例えば、保育器2外と循環部410とを隔てる壁面に開口があり、当該開口に設けられたカバーを制御部500が開閉制御してもよい。具体的には、第1流路においては、該カバーが閉の状態であり、第2流路においては、該カバーが開の状態となる。
【0076】
〔実施形態3〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0077】
実施形態3では、保育器3には、エタノール除去装置110に代えて、エタノール除去装置110bが設けられる。実施形態1および2では、エタノール除去装置110または110aに対し、活性炭114aから吸引部115の方向に空気が通過した。しかしながら、実施形態3に係るエタノール除去装置110bでは、空気の流れる方向が正逆反転可能である点がエタノール除去装置110または110aとの相違点であり、この点以外はエタノール除去装置110または110aと同様である。
【0078】
図12は、実施形態3における図2に対応した位置でのAA線矢視断面図である。エタノール除去装置110bでは、吸引部115に代えて吸引部115aを備えている。吸引部115aは、正逆回転可能なファンである。つまり、吸引部115aの動作によって、活性炭114aから吸引部115aの方向に空気を吸引する場合(正動作)と、吸引部115aから活性炭114aの方向に空気を吐き出す場合(逆動作)とがある。
【0079】
制御部500は、除去モードにおいて、吸引部115aを正動作で動作させ、実施形態1における流路(図5参照)で空気を循環させる。つまり、除去モードにおいて除去部114(活性炭114a)を通過した空気が流れる方向は、回復モードにおいて除去部114を通過した空気が流れる方向とは逆である。換言すると、第1流路において除去部114(活性炭114a)を通過した空気が流れる方向は、第2流路において除去部114を通過した空気が流れる方向とは逆である。なお、第1供給部510および第2供給部520は、吸引部115aに同調して動作する。
【0080】
これに対し、制御部500は、回復モードにおいて、吸引部115aを逆動作で動作させ、実施形態1における流路とは逆の流路で空気を循環させる。図13は、実施形態3に係る保育器3での回復モードにおける空気の流れを示す図である。すなわち、収容室101内の空気を、第2供給部520を通過させて循環部410に取り込み、その後で、エタノール除去装置110bに入れる。
【0081】
エタノール除去装置110bでは、ヒータ116がオンしており、活性炭114aが加熱されることで、活性炭114aに吸着していたエタノールが揮発し、空気に混入する。再度エタノールが混入した空気は、第1供給部510を通過して収容室101に戻される。収容室101に戻ってきた空気は、収容室101と載置台102との間の隙間および開口部101aから自然排気される。
【0082】
除去モードにおいて、活性炭114aは、エタノールを均一に吸着するわけではない。除去モードでは、第1開口部114bから第2開口部114cに向かう方向に活性炭114aに空気を通過させる。つまり、活性炭114aにおける第1開口部114b側の部分には、高濃度のエタノールが混入した空気が通るため、多量のエタノールを吸着し易い。これに対し、活性炭114aにおける第2開口部114c側の部分には、低濃度のエタノールが混入した空気が通るため、少量のエタノールを吸着し易い。
【0083】
結果的に、活性炭114aにおける第1開口部114b側の部分が多量のエタノールを吸着した状態となり、活性炭114aにおける第2開口部114c側の部分が少量のエタノールを吸着した状態となる。これにより、活性炭114a内において空気が流れる方向によってエタノールの吸着度合いにムラが発生する。
【0084】
ここで、回復モードにおいて、除去モードに対して空気の流れを逆流させる理由を説明する。回復モードでは、第2開口部114cから第1開口部114bに向かう方向に活性炭114aに空気を通過させる。活性炭114aにおける第2開口部114c側の部分を通る空気はエタノールの濃度が低い空気であり、活性炭114aにおける第2開口部114c側の部分には揮発したエタノールが溶け込みやすい。
【0085】
その後、活性炭114a内において第2開口部114c側から第1開口部114b側に空気が進むと、空気のエタノールの濃度は上昇していくが、活性炭114aもエタノールの濃度が上昇していく。このため、活性炭114aを通過する空気に対してエタノールを溶け込ませることができる。
【0086】
つまり、回復モードでは、活性炭114aにおけるエタノールの密度勾配に対応するように、空気におけるエタノールの濃度勾配が発生するように揮発したエタノールを溶け込ませることができる。そのため、高効率に活性炭114aからエタノールを除去することができ、エタノール除去装置110bの機能を回復させることができる。
【0087】
なお、回復モードにおいて、エタノールが混入した空気を収容室101に戻す形態を記載したが、これに限定されない。例えば、エタノール除去装置110bには、保育器3外に対する空気の吸気口および排気口が形成され、除去モードでは当該吸気口および排気口が閉じた状態であり、回復モードでは上記吸気口および排気口が開いた状態となってもよい。また、エタノール除去装置110bには、保育器3外に対する空気の排気口が形成され、除去モードでは当該排気口が閉じた状態であり、回復モードでは上記排気口が開いた状態となってもよい。つまり、除去モードでは、図5に示す流路で空気が循環している。
【0088】
これに対し、回復モードでは、除去モードにおけるエタノール除去装置110bに対して第2開口部114c側に形成された吸気口から保育器3外の空気を取り込み、除去モードにおけるエタノール除去装置110bに対して第1開口部114b側に形成された排気口から保育器3外に空気を排出する。結果的に、回復モードでは、エタノール除去装置110bに対して、除去モードで空気が流れる方向とは逆方向に空気を通過させている。そのため、高効率に活性炭114aからエタノールを除去することができる。
【0089】
〔実施形態4〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0090】
実施形態4に係る保育器4では、保育器4の内部にエタノール除去装置110を設けない点が、実施形態1に係る保育器1との相違点であり、この相違点以外は実施形態1にかかる保育器1と同様である。保育器4の外部にエタノール除去装置110が設けられている。
【0091】
図14は、実施形態4に係る保育器4の概略斜視図である。エタノール除去装置110は、保育器4の外部に設けられている。収容室101には、第1供給部510および第2供給部520が設けられている。なお、ここでは収容室101に第1供給部510および第2供給部520が設けられる例を挙げるが、これに限定されず、第1供給部510および第2供給部520は保育器4に設けられればよい。例えば、保育器4に予め備わっている循環部410(図示省略)の流路上に第1供給部510および第2供給部520が設けられる場合などが考えられる。
【0092】
図15は、実施形態4に係る保育器4での空気の流れを示す図である。図15に示すように、収容室101内の空気は、エタノール除去装置110を通過して循環している。これは、実施形態1と同様に、除去モードおよび回復モードにおいて循環していてもよい。また、実施形態2と同様に、除去モードにおいて循環しており、回復モードでエタノール除去装置110において、保育器4外にエタノールが混入した空気を排気してもよい。さらに、実施形態3と同様に、回復モードにおいて、流路を逆流させることで、効率的に活性炭114aを回復させてもよい。なお、収容室101と載置台102との間の隙間および開口部101aから自然吸排気を行っている。
【0093】
本実施形態では、保育器4に対し、エタノール除去装置110を外付けすることで、患児Xがエタノールに暴露する状況を改善することができる。そのため、導入コストが低い利点がある。
【0094】
〔実施形態5〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0095】
実施形態5に係る保育器5は、第1供給部510および排出部540がそれぞれ、第1供給部510aおよび排出部540aに変更される点と、第2供給部520を備えない点と、が実施形態2に係る保育器2との相違点である。また、保育器5は、制御部500を除くエタノール除去装置110の構成が除去部110cに変更される点も保育器2との相違点である。なお、図16に示す水槽17、加熱部18、ヒータ19および第1供給部510aは、循環部410の一例であり、載置台102の内部に配置されている。さらに、保育器5は、載置台102の上面に開口部510pおよび520pが形成される点と、載置台102の側面に開口部540pが形成される点と、が保育器2との相違点である。
【0096】
なお、載置台102の上面には、開口部510pおよび520pが形成されていなくてもよい。この場合、ベッド11とカバー101cとの間に隙間が形成され、当該隙間は載置台102の内部の空間と連通しており、上記隙間に空気が流れる。また、衝立部12とカバー101cとの間に隙間が形成されてもよく、当該隙間は載置台102の内部の空間と連通しており、上記隙間に空気が流れる。
【0097】
図16は、実施形態5に係る保育器5の概略断面図である。図16に示すように、載置台102の内部には、水槽17と、加熱部18と、ヒータ19と、除去部110cと、第1供給部510aと、排出部540aと、が配置されている。実施形態5に係るエタノール除去装置は、除去部110cおよび制御部500を備える。
【0098】
水槽17は水を収容している。加熱部18は、水槽17内に設けられており、水槽17が収容している水を加熱することにより、蒸気を発生させる。加熱部18により発生した蒸気は、第2供給部520aによって収容室101に供給される。水槽17および加熱部18は、ボイラーを構成している。ヒータ19は、載置台102の内部の空気を加熱することにより、収容室101内の温度を上昇させる。水槽17および加熱部18は加湿手段の一例であり、ヒータ19は加温手段の一例である。
【0099】
制御部500は、除去モードおよび回復モードを切り替え可能である。制御部500は、除去モードにおいて、第1供給部510aを駆動する。このとき、収容室101にあった空気は、第1供給部510aによって、開口部510pを通り、載置台102の内部を通り、開口部520pから収容室101に戻され、この流路が第1流路である。この際に、排出部540aがオフしているために、開口部540pからはほぼ空気は流出しない。なお、第1供給部510aから開口部520pまでには、排出部540aが配置されているが、排出部540aが流路を完全に塞いでいるわけではないため、排出部540aの周りの隙間から空気を流すことができる。
【0100】
除去部110cは、収容室101内から供給された空気からエタノールを除去するフィルタである。当該フィルタは、例えば活性炭フィルタである。除去部110cによってエタノールが除去された空気は、第1供給部510aによって開口部520pを介して収容室101に供給される。なお、開口部520pおよび540pにカバーが設けられている場合は、制御部500は、除去モードにおいて、開口部520pを開いた状態とし、開口部540pを閉じた状態とする。
【0101】
制御部500は、回復モードにおいて、第1供給部510aおよび排出部540aを駆動する。このとき、収容室101にあった空気は、第1供給部510aによって、開口部510pを通り、載置台102の内部を通り、排出部540aによって吸い上げられて、開口部540pから保育器5の外部に排出され、この流路が第2流路である。なお、開口部520pおよび540pにカバーが設けられている場合は、制御部500は、回復モードにおいて、開口部540pを開いた状態とし、開口部520pを閉じた状態とする。
【0102】
第1供給部510aの近傍に排出部540aが配置されていることで、除去部110cによってエタノールが混入した空気を、効率的に保育器5の外部に排気することができる。
【0103】
また、除去部110cはヒータ116を備えても良く、この場合、制御部500は、除去モードにおいてはヒータ116をオフにし、回復モードにおいてはヒータ116をオンにする。
【0104】
〔実施形態6〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0105】
実施形態6に係る保育器6は、浄化装置120が設けられる点と、第1供給部510および第2供給部520を備えない点と、載置台102の上面に開口部510pおよび520pが形成される点と、が実施形態1に係る保育器1との相違点である。また、保育器6は、エタノール除去装置110が設けられていない点が保育器1との相違点である。実施形態6では、浄化装置120が後述する吸引部125を備えることを前提とする。なお、保育器6が開放型保育器である場合には、循環部410を備えなくてもよい。
【0106】
さらに、載置台102の上面には、開口部510pおよび520pが形成されていなくてもよい。この場合、ベッド11とカバー101cとの間に隙間が形成され、当該隙間は載置台102の内部の空間と連通しており、上記隙間に空気が流れる。また、衝立部12とカバー101cとの間に隙間が形成されてもよく、当該隙間は載置台102の内部の空間と連通しており、上記隙間に空気が流れる。
【0107】
図17は、実施形態6に係る保育器6の概略斜視図である。図18は、実施形態6に係る保育器6に設けられる浄化装置120の概略斜視図および概略断面図である。図18の符号A1は、浄化装置120の概略斜視図を示し、図18の符号A2は、図18の符号A1に示す浄化装置120のBB線矢視断面図である。
【0108】
<浄化装置の概要>
図18の符号A1に示すように、浄化装置120は、一体的に設けられた2つの筐体(第1筐体121、第2筐体122)を含む。ここでは、別々の筐体(第1筐体121、第2筐体122)を接続して一つの筐体としている例を示している。なお、2つの筐体(第1筐体121、第2筐体122)を一体で成形して一つの筐体としてもよい。浄化装置120は、エタノール除去装置の一例である。
【0109】
第1筐体121の前面121aには、空気を取り込む吸気部121bが設けられている。第1筐体121は、第1筐体121の後面を含む後部であって第1筐体121の下面121cにおいて第2筐体122と内部で連通した構造となっており、吸気部121bによって吸気された空気を第2筐体122に導くようになっている。
【0110】
第1筐体121の後部は、吸気部121bから排気部122bに向かう方向(以下、排気方向)において、前面121aの下流側に位置する。換言すると前面121aは、排気方向において第1筐体121の後部より上流側に位置する。第2筐体122の前面は第1筐体121の後面を含む後部であって第1筐体121の下面121cに接続されている。
【0111】
図18の符号A2に示すように、第2筐体122の後面122a(第1筐体121との連通側と反対側の面)には、空気を排気する排気部122bが設けられている。第2筐体122の前面は、排気方向において後面122aの上流側に位置する。換言すると、後面122aは、排気方向において第2筐体122の下流側に位置する。浄化装置120は、断面逆L字状の形状をし、収容室101内の衝立部12に設置されている。すなわち、浄化装置120は載置面の上方に設置される。なお、排気部122bは、開口部520pに位置していてもよい。この場合、排気部122bから排気された空気は、開口部520pから載置台102の内部に流れる。
【0112】
第1筐体121は、第1除去部124および吸引部125を含む。第1除去部124は、繊維状の活性炭からなり、吸気部121bから吸気された空気に含まれるエタノールの大部分を素早く吸着する。従って、空気に含まれるエタノールの量が少なければ、第1除去部124において全てのエタノールが吸着されることになる。第1除去部124として、繊維状の活性炭をシート状に成型したシート状の活性炭を用いている。
【0113】
第1除去部124は、第1筐体121の上部側から着脱可能な容器内にシート状の活性炭を収容したカートリッジ型である。これにより、第1除去部124の交換が容易である。また、シート状の活性炭は使い捨てである。このため、第1除去部124の交換は、以下のように行う。第1筐体121から取り出した第1除去部124に収容されたシート状の活性炭を捨てて、新しいシート状の活性炭を第1除去部124に収容し、再度、第1除去部124を第1筐体121に取り付ける。
【0114】
吸引部125は、1つのシロッコファンからなり、第1除去部124を介して吸気部121bから空気を吸引し、当該ファンの回転軸方向と直交する方向となる後段の第2除去部126に送風する。ここで、吸引部125における吸気量は50L/min以上とするが、これに限定されるものではない。なお、大量の吸気ができるように、吸引部125における吸気面積は大きい方が好ましい。
【0115】
第2筐体122は第2除去部126を含む。第2除去部126は、第2筐体122から着脱可能なカートリッジ内にペレット状の活性炭を収容したカートリッジ型である。これにより、第2除去部126の交換を容易に行うことができる。また、ペレット状の活性炭は使い捨てであるため、交換のために取り出した第2除去部126に収容されたペレット状の活性炭は捨てて、新しいペレット状の活性炭を収容し、再度、第2除去部126を第2筐体122に取り付ける。
【0116】
<動作モード>
本実施形態において、制御部500は、浄化装置120に備えられていてもよく、保育器6に備えられていてもよい。制御部500は、除去モードにおいて、浄化装置120の吸引部125を駆動する。これにより、制御部500は、浄化装置120の第1除去部124および第2除去部126を通過した空気が収容室101に流れる第1流路を形成する。具体的に以下に説明する。
【0117】
除去モードにおいて、浄化装置120は、収容室101内の空気を吸引し、吸引した空気からエタノールを除去する。浄化装置120は、エタノールを除去した空気を、開口部520pを介して載置台102の内部に供給する。浄化装置120によって載置台102の内部に供給された空気は、開口部510pを介して収容室101に流れる。
【0118】
制御部500は、回復モードにおいて、浄化装置120の吸引部125を除去モードとは異なる出力で駆動する。具体的には、制御部500は、除去モードよりも吸引部125の出力を落とした状態で、吸引部125を駆動する。これにより、浄化装置120は、収容室101内の空気を吸引し、吸引した空気に対しエタノールを混入させる。そして、エタノールが混入した空気は、収容室101と載置台102との間の隙間および開口部101aから自然排気される。なお、制御部500は、除去モードよりも吸引部125の出力を落とす場合には、後述するヒータを駆動させて、第1除去部124および第2除去部126からのエタノールの脱離を促進するようにしてもよい。
【0119】
なお、効率的にエタノールを空気中に混入させるために、浄化装置120は、第1除去部124および第2除去部126を加熱するヒータを備えていてもよく、制御部500は該ヒータをオンにする。浄化装置120は、エタノールを混入させた空気を、開口部520pを介して載置台102の内部に供給する。浄化装置120によって載置台102の内部に供給された空気は、開口部510pを介して収容室101に戻る。なお、この際に患児Xが高濃度のエタノールに暴露されないように、制御部500は、吸引部125およびヒータの出力を調整する。
【0120】
〔実施形態7〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0121】
実施形態7に係る保育器は、エタノール除去装置110の配置位置を変更可能なものである点が実施形態1に係る保育器1との相違点である。エタノール除去装置110は、収容室101の内部または外部に配置可能なものであってもよい。
【0122】
エタノール除去装置110が収容室101の内部、例えば、表面11aに配置された状態で、制御部500は、除去モードにおいて、ヒータ116をオフにし、吸引部115をオンにする。エタノール除去装置110は、収容室101内の空気を吸引し、エタノールを除去したうえで、収容室101に排気する。
【0123】
エタノール除去装置110が保育器外に配置された状態で、制御部500は、回復モードにおいて、ヒータ116をオンにし、吸引部115をオンにする。エタノール除去装置110は、保育器外の空気を吸引し、吸引した空気の中にエタノールを混入させることで、エタノール除去装置110の除去部114の除去機能を回復させる。
【0124】
なお、吸引部115の出力は、除去モードの場合よりも大きくてもよく、出力を大きくすることによってより多くの空気にエタノールを混入させることができるため、効率的に除去部114の除去機能を回復させることができる。また、実施形態3と同様に、回復モードにおいて、吸引部115を逆回転させてもよい。
【0125】
なお、エタノール除去装置110にはモード選択ボタンがあり、該モード選択ボタンを操作することによって、制御部500による除去モードと回復モードとを切り替えてもよい。
【0126】
〔変形例1〕
第1供給部510および第2供給部520は、収容室101とエタノール除去装置110との間で空気を循環させるためのファンを有してもよい。また、流路を切り替える際に、ファンの回転量を変更するだけではなく、三方弁または可動式の壁などを用いて、流路を明確に切り替えてもよい。
【0127】
〔変形例2〕
前記実施形態1において、エタノール除去装置110が保育器1とは別体である、つまり、エタノール除去装置110が保育器1に設けられる場合、第1供給部510および第2供給部520は、エタノール除去装置110に含まれる。一方、エタノール除去装置110が保育器1と一体である、つまり、エタノール除去装置110が保育器1に含まれる場合、第1供給部510および第2供給部520は、保育器1に含まれる。
【0128】
〔変形例3〕
前記実施形態1において、エタノール除去装置110が保育器1とは別体である、つまり、エタノール除去装置110が保育器1に設けられる場合、制御部500は、保育器1が備える制御部(図示省略)とは連携せずに単独で制御を実行してもよい。また、この場合、制御部500は、保育器1が備える当該制御部と連携して制御を実行してもよい。
【0129】
さらに、エタノール除去装置110が保育器1に設けられる場合、図4に関し、制御部500がヒータ116のみを制御し、保育器1が備える上記制御部が第1供給部510、第2供給部520および吸引部115を制御してもよい。その上、制御部500は保育器1に含まれるものであってもよく、この場合、エタノール除去装置110は制御部を備えなくてもよい。
【0130】
一方、エタノール除去装置110が保育器1と一体である、つまり、エタノール除去装置110が保育器1に含まれる場合、制御部500は、保育器1が備える各部の制御を実行するものであってもよい。また、この場合、制御部500は、エタノール除去装置110に含まれるものではなく、保育器1に含まれるものであってもよい。ここで、保育器1は、エタノール除去装置110と一体になっている一体型保育器、または、制御部500と一体になっている一体型保育器である。なお、前記実施形態6において、保育器6は、浄化装置120と一体になっている一体型保育器であってもよい。
【0131】
また、前記実施形態5において、保育器1は、除去部110cおよび制御部500を備えてもよい。この場合、制御部500は、除去部110cがエタノールを除去する除去モードと、除去部110cにおけるエタノールの除去機能を回復させる回復モードと、を切り替え可能である。
【0132】
〔変形例4〕
前記実施形態1において、エタノール除去装置110は、患児Xの存在を検知する検知センサ(図示省略)を備えていてもよい。当該検知センサは、例えば光学センサである。制御部500は、上記検知センサによって患児Xの存在が検知された場合、除去モードを実行し、上記検知センサによって患児Xの存在が検知されない場合、回復モードを実施する。
【0133】
〔変形例5〕
前記実施形態1において、図3に示すエタノール除去装置110は、第1ガスセンサ(図示省略)を備えてもよい。除去部114と吸引部115との間には、当該第1ガスセンサが設けられている。上記第1ガスセンサは、除去部114によるエタノールの吸着能力の低下を検出するためのセンサである。
【0134】
制御部500は、上記第1ガスセンサによって検出されたエタノールの濃度が予め設定した値以上であると判断した場合、除去モードから回復モードに切り替える。このように、制御部500は、上記第1ガスセンサが検出したエタノールの濃度から、除去部114の吸着状態(破過している(吸着機能を超えて吸着して、吸着対象が漏れている)状態か、あるいは十分に吸着できている状態か)を判断する。
【0135】
よって、上記第1ガスセンサは破過センサとして機能する。つまり、上記第1ガスセンサは、除去部114内の活性炭114aの吸着能力の低下を検出するセンサであり、制御部500は、上記第1ガスセンサの検出結果に基づき、除去モードから回復モードに切り替えるか否かを判断することができる。
【0136】
〔変形例6〕
前記実施形態3において、図12に示すエタノール除去装置110bは、第2ガスセンサ(図示省略)を備えてもよい。吸気部111cと除去部114との間には、当該第2ガスセンサが設けられている。上記第2ガスセンサは、除去部114によるエタノールの吸着能力の上昇を検出するためのセンサである。
【0137】
制御部500は、上記第2ガスセンサによって検出されたエタノールの濃度が予め設定した値以下であると判断した場合、回復モードから除去モードに切り替える。このように、制御部500は、上記第2ガスセンサが検出したエタノールの濃度から、除去部114の吸着状態を判断する。
【0138】
よって、上記第2ガスセンサは、除去部114内の活性炭114aの吸着能力の上昇を検出するセンサであり、制御部500は、上記第2ガスセンサの検出結果に基づき、回復モードから除去モードに切り替えるか否かを判断することができる。
【0139】
〔変形例7〕
前記実施形態5において、開口部540pは、載置台102の側面のうち、開口部510pの近傍に形成されていてもよい。また、排出部540aについても、開口部510pの近傍に設けられていてもよい。変形例7において、制御部500は、開口部510pおよび540pの開閉を制御可能である。また、変形例7における空気が流れる方向は、実施形態5における空気が流れる方向とは逆である。
【0140】
制御部500は、除去モードにおいて、第1供給部510aおよび排出部540aを駆動することにより、除去部110cを通過した空気が収容室101に流れる第1流路を形成する。具体的に以下に説明する。
【0141】
除去モードにおいて、第1供給部510aは、収容室101から開口部520pを介して載置台102の内部へ空気を吸引する。第1供給部510aは、吸引した空気を除去部110cに供給する。
【0142】
除去部110cは、収容室101内から供給された空気からエタノールを除去する。除去部110cによってエタノールが除去された空気は、ヒータ19によって加熱された後、排出部540aによって開口部510pを介して収容室101に供給される。開口部510pおよび540pにカバーが設けられている場合は、制御部500は、除去モードにおいて、開口部510pを開いた状態とし、開口部540pを閉じた状態とする。
【0143】
制御部500は、回復モードにおいて、第1供給部510aおよび排出部540aを駆動することにより、除去部110cを通過した空気が保育器5外に流れる第2流路を形成する。具体的に以下に説明する。
【0144】
回復モードにおいて、第1供給部510aは、収容室101から開口部520pを介して載置台102の内部へ空気を吸引する。第1供給部510aは、吸引した空気を除去部110cに供給する。除去部110cによってエタノールが除去された空気は、ヒータ19によって加熱された後、排出部540aによって開口部540pを介して保育器5外に供給される。開口部510pおよび540pにカバーが設けられている場合は、制御部500は、回復モードにおいて、開口部510pを閉じた状態とし、開口部540pを開いた状態とする。
【0145】
なお、回復モードでは、収容室101の空気が吸い出されることになるため、収容室101と載置台102との間に形成される隙間および開口部101aからの自然吸気によって、保育器5外の空気が収容室101に入り込む。
【0146】
〔変形例8〕
前記実施形態1では、エタノール除去装置110に設けられた吸気部111cが筐体111の前面111aの長手方向に並列して設けられている例について説明したが、これに限定されるものではなく、空気を取り込むことができれば、どこに設けられてもよく、また、どのような構造であってもよい。また、前記実施形態1では、エタノール除去装置110に設けられた排気部111dが筐体111の後面111bに設けられている例について説明したが、これに限定されるものではなく、空気を排気できれば、どこに設けられてもよく、また、どのような構造であってもよい。
【0147】
〔変形例9〕
前記実施形態1では、除去部114、吸引部115を流れる空気の方向がファンの回転軸方向と直交する方向であるため、吸引部115に用いるファンはシロッコファンを用いていたが、これに限定されるものではい。例えば、除去部114、吸引部115を流れる空気の方向がファンの回転軸方向と同じ方向であれば、吸引部115に用いるファンとして軸流ファンを用いる。このように、除去部114、吸引部115の配置位置に応じて他の形式のファンを用いてもよい。また、吸引部115で用いるファンの数についても2個に限定されるものではなく、1個または3個以上であってもよい。さらに、ファンの種類や数は、必要とされる風量やバッテリー、消費電力を考慮して適宜決定すればよい。
【0148】
〔変形例10〕
前記実施形態1の除去部114において使用する吸着材として、破砕状の活性炭を用いる例について説明したが、これに限定されず、シート状の活性炭およびペレット状の活性剤等の他の吸着材を使用してもよい。
【0149】
また、エタノール除去装置110は、エタノールの吸着と分解を両方行って除去するようにしてもよい。例えば、除去部114に、吸着材と触媒を備え、一つの除去部内で吸着材によるエタノールの吸着と触媒によるエタノールの分解を行うようにしてもよい。
【0150】
〔変形例11〕
前記実施形態1では、エタノール除去装置110に吸気側に風速を検出するセンサ(以下、風速センサと称する)を設けてもよい。この場合、制御部500は、風速センサによって検出された風速に応じて、吸引部115のファンを回転させるモータの駆動を制御する。制御部500は、例えば、風速センサが所定範囲内の風速を検知すれば、吸引部115のファンの回転数を一定に保つようにモータを制御する。
【0151】
制御部500は、例えば、風速センサが所定範囲を超えて一定の風速よりも速い風速であると検知すれば、吸引部115のファンの回転数を下げるようにモータを制御し、一定の風速よりも遅い風速であると検知すれば、吸引部115のファンの回転数を上げるようにモータを制御する。
【0152】
これにより、エタノール除去装置110は、特に、吸引部115のファンを回転させるモータが過剰に作動することで、吸引部115の動作が保育器1内の環境に影響することを防ぐことができる。このように、エタノール除去装置110は、風速センサを備えることで、吸気側の風速を常に監視することが可能となる。この結果、エタノール除去装置110は、自身に対して、適量の空気を吸引させることが可能となる。
【0153】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0154】
1~6 保育器
11 ベッド
12 衝立部
13 ベッドステージ
101 収容室
102 載置台
110、110a、110b エタノール除去装置(除去装置)
111 筐体
114、110c 除去部
115、115a 吸引部
116 ヒータ
120 浄化装置(除去装置)
124 第1除去部
126 第2除去部
410 循環部
500 制御部
510 第1供給部
520 第2供給部
530 センサ
540 排出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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