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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120629
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】保育器、換気装置、保育器制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61G 11/00 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
A61G11/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027548
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中川 博司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武司
(72)【発明者】
【氏名】末廣 陽
(72)【発明者】
【氏名】長井 孝行
(72)【発明者】
【氏名】藤山 聡
【テーマコード(参考)】
4C341
【Fターム(参考)】
4C341JJ01
4C341KK03
4C341KL02
4C341KL03
4C341KL07
4C341KL08
4C341MM13
4C341MR11
(57)【要約】
【課題】保育器が備える、患児を収容可能な収容室内の温度および湿度を適切な範囲に調整可能な換気制御装置を提供する。
【解決手段】保育器制御装置(200)は、保育器(1)が備える、患児を収容可能な収容室(101)の外部から内部への空気の供給量、および、該収容室の内部から外部への空気の排出量の少なくともいずれか一方を制御する換気制御部(203)と、収容室内の温度および湿度を制御する温湿度制御部(202)とを備え、温湿度制御部は、収容室内の温度および湿度である室内温湿度の情報に基づいて、換気制御部を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保育器が備える、患児を収容可能な収容室の外部から内部への空気の供給量、および、該収容室の内部から外部への空気の排出量の少なくともいずれか一方を制御する換気制御部と、
前記収容室内の温度および湿度を制御する温湿度制御部とを備え、
前記温湿度制御部は、前記収容室内の温度および湿度である室内温湿度の情報に基づいて、前記換気制御部を制御する保育器制御装置。
【請求項2】
前記換気制御部は、前記収容室の外部から内部への単位時間当たりの空気の供給量、および、前記収容室の内部から外部への単位時間当たりの空気の排出量の少なくともいずれか一方を制御する、請求項1に記載の保育器制御装置。
【請求項3】
前記温湿度制御部は、前記収容室内の空気の温度および湿度を調節する室内空気調節部を制御する、請求項1に記載の保育器制御装置。
【請求項4】
前記温湿度制御部は、前記収容室の外部の空気の温度および湿度である外部温湿度の情報を取得し、該外部温湿度の情報と前記室内温湿度の情報とに基づいて、前記換気制御部を制御する、請求項1に記載の保育器制御装置。
【請求項5】
前記温湿度制御部は、前記収容室の外部から内部へ供給する空気の温度および湿度を調節する供給空気調節部を制御する、請求項1に記載の保育器制御装置。
【請求項6】
前記収容室内の温度および湿度の目標値である目標温湿度の指示入力を受け付ける入力部をさらに備え、
前記温湿度制御部は、前記室内温湿度が前記目標温湿度となるように制御を行う、請求項1に記載の保育器制御装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の保育器制御装置と、前記収容室と、を備える保育器。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の保育器制御装置と、前記収容室の外部から内部へ空気を供給する供給部および前記収容室の内部から外部へ空気を排出する排出部の少なくともいずれか一方と、を備え、前記保育器に対して着脱可能な換気装置。
【請求項9】
保育器が備える、患児を収容可能な収容室の外部から内部への空気の供給量、および、該収容室の内部から外部への空気の排出量の少なくともいずれか一方の動作を制御する換気制御ステップと、
前記収容室内の温度および湿度を制御する温湿度制御ステップとを有し、
前記温湿度制御ステップは、前記収容室内の温度および湿度である室内温湿度の情報に基づいて、前記換気制御ステップを制御する保育器制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保育器、換気装置、保育器制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
保育器は、未熟児および新生児等の患児を保護し、診療するための医療機器である。患児は保育器内において様々な医学的介入を受ける。患児が受ける医学的介入には、採血、人工呼吸器の装着、点滴、などが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
医学的介入の一例として、保育器内の患児から採血を行ったり、患児に点滴を行ったりする場合がある。これらの医学的介入では、針を刺す部位の消毒等のためにエタノールなどのアルコールが使用され得る。エタノールなどのアルコールは揮発性を有しているため、医学的介入の度に保育器内の空気に含まれるアルコール濃度が上昇する。その結果、保育器内の患児は、意図せず揮発性物質に暴露されている可能性がある。
【0004】
揮発性物質の中には、患児の健康状態に影響を及ぼすものもある。例えば、妊娠中の飲酒によって胎児へ悪影響をもたらす(胎児エタノール症候群)ことは広く知られており、保育器内で患児が揮発性物質に暴露される状況は改善することが望ましい。
【0005】
保育器内で患児が揮発性物質に暴露する状況を改善するために、患児が収容される収容室内を換気することが考えられる。この換気の際には、収容室内の温度および湿度が所定範囲内に調整されることが望ましい。
【0006】
本開示は、保育器が備える、患児を収容可能な収容室内の温度および湿度を適切な範囲に調整可能な換気制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の一側面に係る保育器制御装置は、保育器が備える、患児を収容可能な収容室の外部から内部への空気の供給量、および、該収容室の内部から外部への空気の排出量の少なくともいずれか一方を制御する換気制御部と、前記収容室内の温度および湿度を制御する温湿度制御部とを備え、前記温湿度制御部は、前記収容室内の温度および湿度である室内温湿度の情報に基づいて、前記換気制御部を制御する。
【0008】
上記構成によれば、保育器制御装置は、収容室内の温度および湿度に基づき、収容室の内部への吸気および収容室の外部への排気の少なくともいずれか一方を制御する。これにより、収容室内の環境の変化を低減しつつ、患児が、意図せず揮発性物質に暴露してしまう可能性を低減することができる。
【0009】
前記換気制御部は、前記収容室の外部から内部への単位時間当たりの空気の供給量、および、前記収容室の内部から外部への単位時間当たりの空気の排出量の少なくともいずれか一方を制御してもよい。
【0010】
上記構成によれば、収容室内への単位時間当たりの空気の供給量および排出量の少なくともいずれか一方を制御することにより、収容室内の換気の強度を適切にコントロールすることができる。
【0011】
前記温湿度制御部は、前記収容室内の空気の温度および湿度を調節する室内空気調節部を制御してもよい。上記構成によれば、室内空気調節部によって収容室内の空気の温度および湿度を調節することができる。
【0012】
前記温湿度制御部は、前記収容室の外部の空気の温度および湿度である外部温湿度の情報を取得し、該外部温湿度の情報と前記室内温湿度の情報とに基づいて、前記換気制御部を制御してもよい。
【0013】
外部の空気を収容室内に供給する場合、外部の空気の温度および湿度は収容室内の温度および湿度に大きな影響を与えることになる。これに対して上記構成によれば、外部の空気の温度および湿度も考慮して換気を制御するので、より適切な温湿度コントロールを実現することができる。
【0014】
前記温湿度制御部は、前記収容室の外部から内部へ供給する空気の温度および湿度を調節する供給空気調節部を制御してもよい。上記構成によれば、温度および湿度が調節された空気を収容室内に供給することができるので、より適切な温湿度コントロールを実現することができる。
【0015】
前記収容室内の温度および湿度の目標値である目標温湿度の指示入力を受け付ける入力部をさらに備え、前記温湿度制御部は、前記室内温湿度が前記目標温湿度となるように制御を行ってもよい。
【0016】
上記構成によれば、指示入力された目標温湿度となるように、空気の供給および排出の少なくともいずれか一方の制御を行うことができる。
【0017】
また、本開示の一側面に係る保育器は、前記保育器制御装置と、前記収容室と、を備える。上記構成によれば、収容室内の環境の変化を低減しつつ、患児が、意図せず揮発性物質に暴露してしまう可能性を低減することが可能な保育器を提供することができる。
【0018】
また、本開示の一側面に係る換気装置は、前記保育器制御装置と、前記収容室の外部から内部へ空気を供給する供給部および前記収容室の内部から外部へ空気を排出する排出部の少なくともいずれか一方と、を備え、前記保育器に対して着脱可能である。
【0019】
上記構成によれば、保育器が換気を行うための構成を備えずとも、保育器に換気制御装置を取り付けることで、収容室内の環境の変化を低減しつつ、患児が、意図せず揮発性物質に暴露してしまう可能性を低減することができる。
【0020】
また、本開示の一側面に係る保育器制御方法は、保育器が備える、患児を収容可能な収容室の外部から内部への空気の供給量、および、該収容室の内部から外部への空気の排出量の少なくともいずれか一方の動作を制御する換気制御ステップと、前記収容室内の温度および湿度を制御する温湿度制御ステップとを有し、前記温湿度制御ステップは、前記収容室内の温度および湿度である室内温湿度の情報に基づいて、前記換気制御ステップを制御する。
【0021】
上記方法によれば、収容室内の温度および湿度に基づき、収容室の内部への吸気および収容室の外部への排気の少なくともいずれか一方を制御する。これにより、収容室内の環境の変化を低減しつつ、患児が、意図せず揮発性物質に暴露してしまう可能性を低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の一態様によれば、保育器が備える、患児を収容可能な収容室内の温度および湿度を適切な範囲に調整可能な換気制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の実施形態1に係る保育器制御装置を備えた保育器の概略斜視図である。
図2】保育器の構成を示すブロック図である。
図3】保育器制御方法の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】実施形態2に係る保育器および換気装置の構成を示すブロック図である。
図5】変形例に係る保育器の概略斜視図である。
図6図5に示す保育器のAA線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。以下では保育器は、後述する閉鎖型保育器を例にして説明する。
【0025】
患児に対する医学的介入(点滴投与等)には、保育器内で実施されるものがある。また、保育器内の空気に含まれる揮発性物質を吸着除去する必要がある。この揮発性物質は、エタノールのような患児Xに対する医学的介入において使用される物質である。
【0026】
従って、保育器内には、保育器内で実施される医学的介入において使用される揮発性物質を、該保育器内の空気から除去する揮発性物質除去装置が設置されている。これにより、患児に対する医学的介入を保育器内において行うことの安全性を向上させることができる。なお、揮発性物質除去装置を保育器内に設置する理由の一例として、衛生面や機能面で問題が生じ難いことを挙げることができる。例えば、揮発性物質除去装置の全てあるいは一部を保育器外に設置した場合、保育器内と保育器外との温湿度差によって結露などが生じ、衛生面や機能面で問題が生じ易くなる。このため、揮発性物質除去装置は、保育器内に設置するのが好ましい。以下、除去対象の揮発性物質としてエタノールを例に説明するため、揮発性物質除去装置をエタノール除去装置とする。はじめに、保育器の概要を説明する。
【0027】
<保育器の概要>
図1は、保育器1の概略斜視図である。図2は、保育器1の構成を示すブロック図である。図1および図2に示すように、保育器1は、患児Xを収容する収容室101と、収容室101を載置する載置台102と、収容室101内の換気を制御する保育器制御装置200と、を含む。収容室101内には、ベッド11、ベッドの前後に配置された衝立部12が配置されている。ベッド11の表面11aは、患児が置かれる載置面である。ベッド11は、載置台102上に設けられたベッドステージ13に設置されている。ベッドステージ13は、ベッド11を上下方向または上下左右方向に動かすことが可能である。衝立部12は、ベッド11の表面11aから所定の高さおよび所定の幅を有する透明な樹脂で形成されている。
【0028】
収容室101には、医師または看護師が患児Xに対して点滴投与等の処置を行うための処置用の開口部101aが2個設けられている。収容室101内で患児Xに対して何らかの処置をする場合には、必ず消毒する必要がある。例えば、酒精綿を用いて患児Xの手等の処置対象の部位を消毒する。収容室101内で酒精綿を使用すれば、当該収容室101内にエタノールが発生する。発生したエタノールを除去するために、収容室101内には、ベッド11上にエタノール除去装置110が配置されている。なお、保育器1は、エタノール除去装置110を備えていなくともよい。
【0029】
ここで、収容室101内の空気は、エタノールを発する発生源(例えば酒精綿)から離れた位置の第1空気と、エタノールを発する発生源(例えば酒精綿)近傍の第2空気とを含む。従って、エタノール除去装置110は、主に、エタノールの発生源付近の第2空気からエタノールを除去する。エタノール除去装置110の駆動制御は、各装置に設けられた操作部(図示せず)の操作によって行う。
【0030】
保育器1は、患児を収容するために内部の温度および湿度が調節可能な収容室を備えた保育器(所謂、閉鎖型保育器)である。載置台102には、保育器1の機能などを、使用者(医師、看護師等)が操作できるように操作パネル102a(入力部)が設けられている。
【0031】
また、図1に示すように、収容室101内には、浄化装置120が設けられていてもよい。浄化装置120は、収容室101内の空気を吸気して素早く大量にエタノールが除去された空気を誘導し、もれなくエタノールが除去された空気を収容室101内に排気する装置である。浄化装置120は、図1に示すように、断面逆L字状の形状をし、収容室101内の衝立部12に設置されている。すなわち、浄化装置120は載置面の上方に設置される。なお、保育器1は、浄化装置120を備えていなくともよい。
【0032】
また、保育器1には、循環部410、供給部420、排出部430が設けられている。循環部410は、温度および湿度が調節された空気を収容室101に循環させる。供給部420は、空気を収容室101外から収容室101内に供給する。供給部420が収容室101内に供給する空気は、保育器1外に存在するエアタンクからの医療ガスであってもよいし、NICU(新生児集中治療室)内の空気であってもよい。なお、NICU内の空気を供給する場合には、NICU内の空気の供給時に活性炭やフィルタなどを通す。これにより、清浄な常態の空気を収容室101内に供給することができる。また、循環部410から収容室101内に空気が排出される方向と、供給部420から収容室101内に空気が供給される方向とは一致することが望ましい。循環部410および供給部420からの風が様々な方向から患児にあたると、患児に対して負担がかかる。ここで、循環部410および供給部420からの空気の方向を一致させることで、患児に対する負担を低減することができる。排出部430は、収容室101内の空気の少なくとも一部を収容室101外に排出する。さらに、保育器1には、循環部410が循環させる空気の温度および湿度を調節可能な室内空気調節部204、および供給部420が収容室101内に供給する空気の温度および湿度を調節可能な供給空気調節部205が設けられている。
【0033】
保育器制御装置200は、収容室101内の換気を制御することで、収容室101内に発生したエタノールを除去する装置である。保育器制御装置200は、患児を収容可能な収容室101の外部から内部への空気の供給量、および、該収容室101の内部から外部への空気の排出量の少なくともいずれか一方を制御することができる。また、保育器制御装置200は、収容室101内の温湿度を調節することも可能である。保育器制御装置200の詳細については後述する。
【0034】
保育器1は、患児を収容可能な収容室101と、該収容室101内への空気の供給量、収容室101外への空気の排出量、および収容室101内の温湿度を制御可能な保育器制御装置200と、を備える。上記構成によれば、収容室101内の環境の変化を低減しつつ、患児が、意図せず揮発性物質に暴露してしまう可能性を低減することが可能な保育器1を提供することができる。
【0035】
<保育器制御装置200>
以下、保育器制御装置200の構成について説明する。図2に示すように、保育器制御装置200は、温湿度制御部202および換気制御部203を備える。保育器制御装置200では、操作パネル102aが受け付けた情報に基づき温湿度制御部202が各部の動作を制御することで、収容室101内の環境の変化を低減しつつ、収容室101内の患児が、意図せず揮発性物質に暴露してしまう可能性を低減する。保育器制御装置200は、保育器1全体の動作を制御してもよいし、収容室101に対する換気制御および温湿度制御のみを行ってもよい。
【0036】
換気制御部203は、エタノール濃度を検知可能なセンサ(不図示)から、収容室101内のエタノール濃度を示す情報を取得する。換気制御部203は、当該情報に基づき収容室101の外部から内部への空気の供給量、および、収容室101の内部から外部への空気の排出量の少なくともいずれか一方を制御する換気制御を行う。またエタノール濃度を検知可能なセンサ(不図示)から取得した収容室101内のエタノール濃度を示す情報から今後のエタノール濃度の推移や将来のエタノール濃度を予測し、当該予測結果に基づいて、収容室101の外部から内部への空気の供給量、および、収容室101の内部から外部への空気の排出量の少なくともいずれか一方を制御する換気制御を行うようにしてもよい。また、換気制御部203は、温湿度制御部202の制御に従い、収容室101の外部から内部への空気の供給量、および、収容室101の内部から外部への空気の排出量の少なくともいずれか一方を制御する。
【0037】
例えば、換気制御部203は、収容室101の外部から内部への単位時間当たりの空気の供給量、および、収容室101の内部から外部への単位時間当たりの空気の排出量を制御する。一例として、収容室101内のエタノール濃度が予め設定された閾値よりも高い場合、換気制御部203は、収容室101内部への単位時間当たりの空気の供給量、および、収容室101外部への単位時間当たりの空気の排出量を増加させる。これにより、保育器制御装置200は収容室101内のエタノール濃度を低下させることができる。
【0038】
具体的には、換気制御部203は、収容室101内に空気を供給可能なポンプまたはファン(不図示)の出力値を制御する。または、換気制御部203は、収容室101内に空気を供給可能なコンプレッサまたはエアタンク等(不図示)における、収容室101内への空気の供給量を調節するためのバルブの開口量を調節する。または、換気制御部203は、コンプレッサまたはエアタンク等による、収容室101に供給する空気の圧力を調節する。これにより、換気制御部203は、供給部420による収容室101の外部から内部への単位時間当たりの空気の供給量を調節することができる。
【0039】
また、換気制御部203は、収容室101外に空気を排出可能なポンプまたはファン(不図示)の出力値を制御する。これにより、換気制御部203は、排出部430による収容室101の内部から外部への単位時間当たりの空気の排出量を調節することができる。
【0040】
上記構成によれば、換気制御部203が収容室101内への単位時間当たりの空気の供給量および排出量を制御することにより、収容室101内の換気の強度を適切にコントロールすることができる。
【0041】
換気制御部203は、収容室101の外部から内部への単位時間当たりの空気の供給量、および、収容室101の内部から外部への単位時間当たりの空気の排出量を制御する方法とは異なる方法で換気制御を行ってもよい。例えば、換気制御部203は、供給部420および排出部430のオンオフを切り替え可能であってもよい。換気制御部203が供給部420および排出部430のオンオフを切り替えることによって、収容室101の外部から内部への空気の供給量、および、収容室101の内部から外部への空気の排出量のいずれかを制御することができる。具体的には、センサによって検知された収容室101内の揮発性物質の濃度が高い場合、換気制御部203は供給部420および排出部430をオンにしてもよい。これにより、収容室101内への空気の供給および収容室101外への空気の排出が行われ、収容室101内の空気が換気される。一方、収容室101内の揮発性物質の濃度が低い場合、換気制御部203は供給部420および排出部430をオフにしてもよい。これにより、収容室101内への空気の供給および収容室101外への空気の排出が行われず、収容室101内の空気の換気が行われなくなる。この場合、収容室101内では循環部410による空気の循環のみが行われる。なお、循環部410による空気の循環のみが行われる場合であっても、収容室101の隙間や開口からある程度の空気の供給および排出が行われてもよい。また、換気制御部203は、ユーザによる手動操作に従って供給部420および排出部430のオンオフを切り替えてもよい。具体的には、パネル102aに対して換気制御を行うことを指示する入力操作が行われた場合、換気制御部203は供給部420および排出部430をオンにしてもよい。一方、パネル102aに対して換気制御を行わないことを指示する入力操作が行われた場合、換気制御部203は供給部420および排出部430をオフにしてもよい。
【0042】
室内空気調節部204は、循環部410が循環させる収容室101内の空気の温度および湿度を調節可能なヒーターおよび加湿器等の部材である。室内空気調節部204は、温湿度制御部202の制御に従って動作し、循環部410が吸引した収容室101内の空気を加温または加湿する。これにより、循環部410からは温度および湿度が調節された空気が収容室101内に排出されるため、収容室101内の空気の温度および湿度を調節することができる。なお、室内空気調節部204は、空気を加温および加湿するだけでなく、冷却および除湿可能であってもよい。
【0043】
供給空気調節部205は、供給部420が収容室101の外部から内部へ供給する空気の温度および湿度を可能なヒーターおよび加湿器等の部材である。供給空気調節部205は、温湿度制御部202の制御に従って動作し、収容室101内へ供給する空気を加温または加湿する。なお、供給空気調節部205は、空気を加温および加湿するだけでなく、冷却および除湿可能であってもよい。
【0044】
なお、図2では、室内空気調節部204および供給空気調節部205を備える構成を例示しているが、保育器制御装置200の構成はこれに限られない。例えば、保育器制御装置200は、室内空気調節部204および供給空気調節部205のいずれか一方のみを備える構成であってもよい。このような構成であっても、温湿度制御部202が室内空気調節部204または供給空気調節部205を制御することで、収容室101内の温度および湿度を調節することが可能である。
【0045】
温湿度制御部202は、保育器制御装置200の各部の動作を制御することで、収容室101内の温度および湿度を制御する。温湿度制御部202は、収容室101内に配置される室内温湿度センサ103から、収容室101内の温度および湿度である室内温湿度の情報を取得し、この室内温湿度の情報に基づいて、換気制御部203を制御する。一例として、温湿度制御部202は、換気制御部203に、収容室101の外部から内部への単位時間当たりの空気の供給量、および、収容室101の内部から外部への単位時間当たりの空気の排出量の少なくともいずれか一方を制御させる。
【0046】
温湿度制御部202は、操作パネル102aが受け付けた、収容室101内の温度および湿度の目標値である目標温湿度の指示入力に基づき、室内温湿度が目標温湿度となるように制御を行う。例えば、目標温湿度に示される温度が収容室101内の温度よりも高い場合、温湿度制御部202は、例えば供給空気調節部205に対して、高い温度の空気を供給させる制御を行うとともに、室内空気調節部204に対して、循環させる空気を加温させる制御を行う、などの制御が想定される。また、この際に、温湿度制御部202は、換気制御部203に対して、収容室101の外部から内部への単位時間当たりの空気の供給量、および、収容室101の内部から外部への単位時間当たりの空気の排出量の少なくともいずれか一方を制御することにより、より効果的に室内温度を高くする制御を行ってもよい。なお、温湿度制御部202は、目標温湿度を一度取得すれば、新たに目標温湿度が入力されるまで、取得した目標温湿度となるように制御を行ってよい。
【0047】
また、例えば、目標温湿度に示される温度が収容室101内の温度よりも低い場合、温湿度制御部202は、例えば供給空気調節部205に対して、供給する空気への加温を停止させる制御を行うとともに、室内空気調節部204に対して、循環させる空気への加温を停止させる制御を行う、などの制御が想定される。また、この際に、温湿度制御部202は、換気制御部203に対して、収容室101の外部から内部への単位時間当たりの空気の供給量、および、収容室101の内部から外部への単位時間当たりの空気の排出量の少なくともいずれか一方を制御することにより、より効果的に室内温度を高くする制御を行ってもよい。なお、上記の温度制御はあくまで一例であり、温湿度制御部202は様々なフィードバック制御手法により、収容室101内の温度を制御することができる。また、同様の制御により、湿度も制御することが可能である。
【0048】
当該構成によれば、指示入力された目標温湿度となるように、空気の供給および排出の少なくともいずれか一方の制御を行うことができる。なお、目標温湿度は固定値として予め設定されていてもよい。この場合、温湿度制御部202は、予め設定された目標温湿度となるように、室内温湿度が目標温湿度となるように制御を行う。
【0049】
または温湿度制御部202は、室内温湿度の情報に基づき、収容室101内の温度または湿度が所定の範囲以上に変動しないように、空気の供給量および排出量の少なくともいずれか一方を制御させてもよい。
【0050】
さらに、温湿度制御部202は、収容室101内のエタノール濃度に基づく換気制御部203の換気制御に伴い、収容室101内の温湿度制御を行ってもよい。具体的には、収容室101内のエタノール濃度が高い場合、換気制御部203は収容室101内部への単位時間当たりの空気の供給量、および、収容室101外部への単位時間当たりの空気の排出量を増加させる。このとき、収容室101内の温湿度は収容室101外から供給される空気の温湿度によって大きく影響される。このような場合、温湿度制御部202は、例えば供給空気調節部205に対して、高い温度の空気を供給させる制御を行うとともに、室内空気調節部204に対して、循環させる空気を加温させる制御を行う。これにより、収容室101内部への単位時間当たりの空気の供給量、および、収容室101外部への単位時間当たりの空気の排出量が増加する場合においても、収容室101内の空気の温湿度の変化を低減することができる。
【0051】
温湿度制御部202は、収容室101の外部の空気の温度および湿度である外部温湿度を検知可能な外気温湿度センサ500から、収容室101の外部の空気の温度および湿度である外部温湿度の情報を取得する。温湿度制御部202は、該外部温湿度の情報と室内温湿度の情報とに基づいて、換気制御部203を制御する。より具体的には、温湿度制御部202は、外部温湿度と、収容室101内の温度と、目標温湿度とに基づいて、収容室101の外部から内部への単位時間当たりの空気の供給量、および、供給空気調節部205における温度および湿度の調節量を制御する。
【0052】
外部の空気を収容室101内に供給する場合、外部の空気の温度および湿度は収容室101内の温度および湿度に大きな影響を与えることになる。これに対して上記構成によれば、外部の空気の温度および湿度も考慮して換気を制御するので、より適切な温湿度コントロールを実現することができる。
【0053】
また、上記のように、温湿度制御部202は、収容室101内の空気の温度および湿度を調節する室内空気調節部204を制御する。これにより、温湿度制御部202は、室内空気調節部204によって収容室101内の空気の温度および湿度を調節することができる。
【0054】
また、上記のように、温湿度制御部202は、収容室101の外部から内部へ供給する空気の温度および湿度を調節する供給空気調節部205を制御する。これにより、温湿度制御部202は、温度および湿度が調節された空気を収容室101内に供給することができるので、より適切な温湿度コントロールを実現することができる。
【0055】
以上のように、保育器制御装置200は、保育器1が備える、患児を収容可能な収容室101の外部から内部への空気の供給量、および、該収容室101の内部から外部への空気の排出量の少なくともいずれか一方を制御する換気制御部203と、収容室101内の温度および湿度を制御する温湿度制御部202と、を備える。また、温湿度制御部202は、収容室101内の温度および湿度である室内温湿度の情報に基づいて、換気制御部203を制御する。
【0056】
上記構成によれば、保育器制御装置200は、収容室101内の温度および湿度に基づき、収容室101の内部への吸気および収容室101の外部への排気の少なくともいずれか一方を制御する。これにより、収容室101内の環境の変化を低減しつつ、患児が、意図せず揮発性物質に暴露してしまう可能性を低減することができる。
【0057】
<保育器制御方法の流れの一例>
図3は、本実施形態に係る保育器制御方法の流れの一例を示すフローチャートである。以下、図3を用いて、本実施形態に係る保育器制御方法の流れの一例について説明する。なお、保育器制御装置200の温湿度制御部は、操作パネル102aが受け付けた、収容室101内の温度および湿度の目標値である目標温湿度の情報を予め取得しておく。
【0058】
保育器制御が開始すると、温湿度制御部202は、室内温湿度センサ103から収容室101内の温度および湿度である室内温湿度の情報を取得する(S1)。続いて、温湿度制御部202は、外気温湿度センサ500から、収容室101の外部の空気の温度および湿度である外部温湿度の情報を取得する。
【0059】
温湿度制御部202は、目標温湿度、室内温湿度および外部温湿度情報に基づき、保育器1が備える、患児を収容可能な収容室の外部から内部への空気の供給量、および、該収容室の内部から外部への空気の排出量の動作を制御する(S2:換気制御ステップ)。また、換気制御ステップにおいて、換気制御部203は、収容室101内のエタノール濃度に基づき換気制御を行ってもよい。
【0060】
具体的には、温湿度制御部202は、目標温湿度に室内温湿度を近づける制御を行うよう、換気制御部203を制御する。換気制御部203は、温湿度制御部202からの制御指示を取得すると、循環部410、供給部420および排出部430の動作を制御する。
【0061】
次に温湿度制御部202は、収容室101内の温度および湿度を制御する(S3:温湿度制御ステップ)。湿度制御ステップでは、温湿度制御部202は、室内温湿度が目標温湿度に近づくように、温湿度制御を行う。
【0062】
以上の制御を繰り返し行うことにより、フィードバック制御が実現され、室内温湿度を目標温湿度に近づけることができる。
【0063】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0064】
<換気装置600>
図4は、実施形態2に係る保育器1Aおよび換気装置600の構成を示すブロック図である。図4に示すように、保育器1Aは、収容室101を備える。換気装置600は、実施形態1に記載の保育器制御装置200と、循環部410と、供給部420と、排出部430と、入力操作を受付可能な操作パネル601と、を備える。また、換気装置600は、保育器1Aに対して着脱可能である。換気装置600の保育器制御装置200は、保育器1Aが有する制御部と連携して動作し、各種情報を授受可能であってよい。例えば、換気装置600は、保育器1Aの収容室101に設けられる室内温湿度センサ103から収容室101内の温湿度を示す情報を取得可能であってよい。
【0065】
例えば、収容室101の側面には、換気装置600から供給される空気および換気装置600によって排出される空気が通過可能な開口部が設けられていてもよい。この場合、換気装置600は、供給部420および排出部430を当該開口部に接続することで、収容室101の換気制御および温湿度制御を行うことができる。または、保育器1Aの載置台102内に、換気装置600を設定可能な構造が設けられていてもよい。この場合、換気装置600は載置台102の内部に設置され、収容室101の下部から、当該収容室101内の換気制御および温湿度制御を行う。
【0066】
上記構成によれば、保育器1が換気を行うための構成を備えずとも、保育器1に換気装置600を取り付けることで、収容室101内の環境の変化を低減しつつ、患児が、意図せず揮発性物質に暴露してしまう可能性を低減することができる。
【0067】
なお、保育器1Aが循環部410を備え、収容室101内を循環する空気の制御を行う構成であってもよい。この場合、換気装置600は、保育器制御装置200、供給部420および排出部430のみを備え、循環部410を備えない構成であってもよい。換気装置600が循環部410を備えない場合、換気装置600は、保育器1Aから循環部410による収容室101内の空気の循環の制御に関する情報を取得する。例えば、換気装置600は、循環部410から排出される単位時間あたりの空気の量および循環部410において調節される当該空気の温湿度を示す情報を保育器1Aから取得する。換気装置600は、取得した情報を用いて収容室101内の換気制御および温湿度制御を行う。
【0068】
〔変形例1〕
前記実施形態1では、換気制御部203が、供給部420による空気の供給量、排出部430による空気の排出量、および循環部410による収容室101内の空気の循環を制御する構成について説明したが、これに限られない。
【0069】
例えば、保育器1には、供給部420および循環部410のみが設けられ、排出部430が設けられない構成であってもよい。供給部420で供給された空気は、収容室101に設けられている隙間および開口の少なくともいずれか一方から自然排出される。例えば、供給部420で供給された空気は、収容室101と載置台102との接続部の隙間や、開口部101aなどから自然排出される。
【0070】
この場合、保育器制御装置200の温湿度制御部202は、供給部420による空気の供給量および循環部410による収容室101内の空気の循環を制御するよう換気制御部203を制御する。また、温湿度制御部202は、外気温湿度と室内温湿度とに基づき、収容室101への空気の供給量、および、循環部410の室内空気調節部204を制御することで、収容室101内の温湿度を調節することができる。
【0071】
〔変形例2〕
保育器1には、供給部420および排出部430のみが設けられ、循環部410が設けられない構成であってもよい。この場合、保育器制御装置200の換気制御部203は、供給部420による空気の供給量および排出部430による収容室101内からの空気の排出を制御するよう換気制御部203を制御し、収容室101内の空気の循環の制御を行わない。保育器1に循環部410が設けられない場合、温湿度制御部202は、供給空気調節部205を制御することで、収容室101内に供給される空気の温度および湿度を調節し、収容室101内の温湿度を制御する。また、温湿度制御部202は、外気温湿度と室内温湿度とに基づき、収容室101への空気の供給量および収容室101内からの空気の排出量を制御することで、収容室101内の温湿度を調節することができる。
【0072】
〔変形例3〕
保育器1には、循環部410および排出部430のみが設けられ、供給部420が設けられない構成であってもよい。この場合、保育器制御装置200の換気制御部203は、循環部410による収容室内での空気の循環および排出部430による収容室101内からの空気の排出を制御するよう換気制御部203を制御し、収容室101内への空気の供給の制御を行わない。保育器1に供給部420が設けられない場合、排出部430によって収容室101から排出された分の空気は、収容室101と載置台102との接続部の隙間や、開口部101aなどから収容室101内に供給され得る。また、保育器1に供給部420が設けられない場合、温湿度制御部202は、室内空気調節部204を制御することで、収容室101内の温度および湿度を制御する。また、換気制御部203は、排出部430による収容室101内からの空気の排出を制御することで、収容室101に吸引される空気の量を調節する。温湿度制御部202は、外気温湿度と室内温湿度とに基づき収容室101内からの空気の排出量を制御することで、収容室101内の温湿度を調節することができる。
【0073】
〔変形例4〕
保育器1には、供給部420のみが設けられ、循環部410および排出部430が設けられない構成であってもよい。この場合、変形例1と同様に、供給部420で供給された空気は、収容室101に設けられている隙間および開口の少なくともいずれか一方から自然排出される。保育器制御装置200の換気制御部203は、供給部420による収容室101内への空気の供給のみを制御する。また、保育器1に循環部410が設けられない場合、温湿度制御部202は、供給空気調節部205を制御することで、収容室101内に供給される空気の温度および湿度を調節し、収容室101内の温湿度を制御する。また、温湿度制御部202は、外気温湿度と室内温湿度とに基づき、収容室101への空気の供給量を制御することで、収容室101内の温湿度を調節することができる。
【0074】
〔変形例5〕
前記実施形態1では、温湿度制御部202は、操作パネル102aが受け付けた指示入力に基づき、収容室内の温度および湿度の目標値である目標温湿度を取得していたが、目標温湿度を取得するための構成はこれに限られない。例えば、保育器制御装置200が、操作パネル102aとは異なる入力部であって、目標温湿度の操作入力を受け付ける入力部を別途備えていてもよい。この場合、温湿度制御部202は、入力部が受け付けた目標温湿度に基づき、温湿度制御を行う。
【0075】
その他、温湿度制御部202は、保育器1と通信可能な外部装置から目標温湿度を示す情報を受信してもよい。この場合、保育器1は、外部装置と通信可能な通信モジュールを備える。
【0076】
〔変形例6〕
前記実施形態2では、換気装置600は、操作パネル601が受け付けた指示入力に基づき、収容室内の温度および湿度の目標値である目標温湿度を取得していたが、目標温湿度を取得するための構成はこれに限られない。例えば、換気装置600は操作パネル601を備えず、保育器1の操作パネル102aに入力された目標温湿度を示す情報を取得可能であってもよい。具体的には、換気装置600は、USB接続等の方法で保育器1と接続し、保育器1の操作パネル102aに対して行われた入力操作の内容を取得可能であってもよい。また、操作パネル102aの制御部には、換気装置600の制御プログラムが組み込まれており、換気装置600に対して情報を出力可能であってよい。この場合、温湿度制御部202は、操作パネル102aが受け付けた目標温湿度に基づき、温湿度制御を行う。
【0077】
その他、温湿度制御部202は、換気装置600と通信可能な外部装置から目標温湿度を示す情報を受信してもよい。この場合、換気装置600は、外部装置と通信可能な通信モジュールを備える。
【0078】
〔変形例7〕
前記実施形態1では、収容室101に処置用の開口部101aが2個設けられている例について説明したが、開口部101aの数については少なくとも2個であればよく、3個以上であってもよい。
【0079】
〔変形例8〕
図5は、循環部410および供給部420がベッド11の下部に配置される構成を有する保育器2の概略斜視図である。図6は、図5に示す保育器2のAA線矢視断面図である。前記実施形態1では、図1に示すように、保育器1は、収容室101のベッド11の上部側で、循環部410による保育器1内の空気の循環、供給部420からの保育器1内への空気の供給、排出部430からの保育器1外への空気の排出を行っている。つまり、図1に示す保育器1における主な空気の循環は、収容室101のベッド11の上部側で行われる。このため、収容室101のベッド11上の患児Xに空気の流れは、保育器1内の温度変化に影響を与える可能性がある。そこで、収容室101のベッド11上の患児Xに空気の流れによる温度変化の影響を少なくするために、例えば図5および図6に示す保育器2のように、収容室101のベッド11の下部側で、空気の保育器2内での循環、空気の保育器2内への供給、および空気の保育器2外の排出を行うようにすることが好ましい。なお、保育器2内から保育器2外への空気の排出方向については、保育器2内の空気の循環方向を阻害しない方向(例えば循環方向と同じ方向)に排出するのが好ましい。
【0080】
図5に示す保育器2は、図示されていないが、図1と同じ循環部410と供給部420がベッド11の下部に配置されている。なお、図5に示す保育器2は、前記実施形態1の図1に示す排出部430のように保育器2の空気を積極的に保育器2外に排出する装置を設けず、保育器2内の空気を、収容室101の開口部101a、収容室101と載置台102との間に存在する僅かな隙間等を通して、保育器2外に排出させている。
【0081】
保育器2は、例えば図6に示すように、循環部410および室内空気調節部204として、水槽17と、加熱部18と、ヒーター19と、ファン20と、を備える。水槽17と、加熱部18と、ヒーター19と、ファン20は循環部410の一例である。また水槽17と加熱部18は加湿手段の一例であり、ヒーター19は加温手段の一例である。水槽17は水を収容している。加熱部18は、水槽17内に設けられており、水槽17が収容している水を加熱することにより、蒸気を発生させる。加熱部18により発生した蒸気は、ファン20によって収容室101内を循環する。保育器制御装置200の温湿度制御部202および換気制御部203は、水槽17、加熱部18、ヒーター19およびファン20の動作を制御することで、収容室101内での空気の循環および収容室101内で循環する空気の温湿度の制御を行うことができる。
【0082】
図5および図6に示す保育器2は、ベッド11の下部に配置された循環部410によって温度および湿度が調整された空気が、保育器2の長辺側の内壁に沿ってベッド11の下部から収容室101の上部に導かれる。また保育器2は、保育器2の短辺側の内壁に沿ってベッド11上の空気がベッド11の下部の循環部410に導かれる。このように保育器2では、患児Xに空気の流れによる温度変化の影響が少ないように空気が循環している。
【0083】
従って、図5および図6に示す保育器2は、収容室101内の患児Xに保育器2内の空気の流れの影響を少なくした状態で、保育器2内の空気を清浄に保ち、且つ空気の温度・湿度を適切に保つことが可能となる。
【0084】
〔変形例10〕
さらに、供給部420は、医療ガスと、NICU内の空気とを切替えて保育器1内に供給するようにしてもよい。この場合には、上述したフィルタなどでNICU内の空気を清浄空気にすること以外に、保育器1外(NICU内)のエタノール濃度を検知するセンサを設け、当該センサの検出結果に応じて、医療ガスと、NICU内の空気とのどちらから供給するかを判断してもよい。さらに、保育器1内のエタノール濃度を検知するセンサを設け、当該センサの検出結果と、保育器1外(NICU内)のエタノール濃度を検知するセンサの検出結果とに応じて、医療ガスと、NICU内の空気のどちらから供給するかを切り替えてもよい。例えば、供給部420は、2つのセンサの検出結果から、保育器1内のエタノール濃度より、NICU内のエタノール濃度が低いと判断すれば、供給部420はNICUの空気を保育器1内に供給し、NICU内のエタノール濃度が高と判断すれば、医療ガスを保育器1内に供給する。
【0085】
なお、前記各実施形態および各変形例では、除去対象の揮発性物質としてエタノールを例に説明したが、エタノールに限定されるものではなく、例えばイソプロパノール等の他の揮発性物質であってもよい。
【0086】
開放型の保育器では、患児を収容する収容室を、患児を寝かせるベッドの周囲に立設された壁部で構成している。この壁部に浄化装置を取り付けて、収容室に漂うエタノール等の揮発性物質を除去するようにしてもよい。また、開放型の保育器における操作部を設けた操作板(ベッド周囲の壁部よりも高い)の上部から浄化装置を吊り下げるようにして、収容室に漂うエタノール等の揮発性物質を除去するようにしてもよい。
【0087】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1、1A、2 保育器
101 収容室
102a、601 操作パネル(入力部)
200 保育器制御装置
202 温湿度制御部
203 換気制御部
204 室内空気調節部
205 供給空気調節部
600 換気装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6