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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120639
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】圧電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/05 20060101AFI20240829BHJP
   H03H 9/02 20060101ALI20240829BHJP
   H03H 9/10 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
H03H9/05
H03H9/02 A
H03H9/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027564
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 豊
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB02
5J108CC04
5J108DD02
5J108EE03
5J108EE07
5J108EE18
5J108GG03
5J108GG11
5J108GG16
5J108KK03
5J108KK04
(57)【要約】
【課題】圧電振動片を容器に導電性接着剤によって固定する構造を有する圧電デバイスにおいて、導電性接着剤を簡易に所望の通りに塗布できる圧電デバイスを提供する。
【解決手段】圧電デバイス10は、平面視で四角形状の圧電振動片11と、圧電振動片を収容する容器13と、容器に設けられ圧電振動片を、導電性接着剤を介して接続固定している少なくとも2つの接着パッド13ca、13bと、当該導電性接着剤と、を具える。そして、接続パッドは、前記圧電振動片の端部の表裏面のうちの下面と接続している第1部分13aaと、この第1部分の前記圧電振動片の中央側とは反対側の端で接続していて、かつ、鉛直方向上方に伸びている第2部分13cbと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で四角形状の圧電振動片と、前記圧電振動片を収容する容器と、前記容器に設けられ前記圧電振動片を、導電性接着剤を介して接続固定している少なくとも2つの接着パッドと、当該導電性接着剤と、を具える圧電デバイスにおいて、
前記接続パッドは、前記圧電振動片の端部の表裏面のうちの下面と接続している第1部分と、この第1部分の前記圧電振動片の中央側とは反対側の端で接続していて、かつ、鉛直方向上方に伸びている第2部分と、を備えたことを特徴とする。
【請求項2】
前記導電性接着剤は、前記第1部分と、前記第2部分と、前記圧電振動片の端部の、前記第1部分とは反対側の部分の表面とに渡って設けてあることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記第2部分の前記鉛直方向上方に沿う高さhが、前記圧電振動片の端部での厚みtに対し、0.5t~1.5tの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記第2部分の前記鉛直方向上方に沿う高さhが、前記圧電振動片の端部での厚みtに対し、0.7t~1.2tの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記接着パッドは、前記第1部分及び前記第2部分各々に、前記圧電振動片の側方側で接続している第3部分を具えたものであることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記容器は平面視で長方形状であり、
前記接着パッドは平面視で長方形状であり、かつ、前記容器及び前記接着パッド各々の長辺が平行となるように前記接着パッドは前記容器の1つの短辺側であってこの1つの短辺に沿う互いに離れた2箇所にそれぞれ設けてあり、
当該接着パッドの長辺寸法は0.4~0.6mmの範囲、短辺寸法は0.3~0.5mmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片を容器に導電性接着剤によって固定する構造を有した圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電デバイスの代表的なものとして、水晶振動子、水晶発振器がある。このような圧電デバイスでは、平面視で四角形状の水晶振動片を容器に導電性接着剤によって接続固定する構造が採られることが多い。
その一例が、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された圧電デバイスは、平面視で四角形状の開口を有した凹部を備えたパッケージを用いたもので、この凹部の底面の一端に設けた電極パッドに、平面視で長方形状の水晶振動素子をその一つの短辺側で片持ち支持の状態で導電性接着剤によって接続したものである(特許文献1の例えば要約、図1等)。特許文献1に開示の圧電デバイスでは、導電性接着剤が水晶振動素子に余分に付着することを軽減するため、電極パッド表面に、導電性接着剤を水晶振動素子の励振電極から遠ざけるための溝を、設けてある(特許文献1の例えば要約)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-88524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、圧電振動片を容器に導電性接着剤によって固定する構造を採る圧電デバイスの場合、導電性接着剤による接着状態が、圧電デバイスの信頼性や電気的特性に大きく影響する。具体的には、導電性接着剤の量が少ないため、また、導電性接着剤の位置が不適切なため、導電性接着剤の接着面積が小さくなった場合は、圧電デバイスに衝撃が及んだ際に圧電振動片が容器から外れる等の不具合を招く。一方、導電性接着剤の量が多すぎた場合、また導電性接着剤の位置が圧電振動片の振動部側に寄り過ぎた場合は、導電性接着剤が圧電デバイスの振動を拘束することになり、クリスタルインピダンスの悪化や周波数温度特性の悪化等を招く。
これを回避するためには、圧電振動片の容器と接する側の面及びその反対面に、導電性接着剤を適正な量及び適正な位置で塗布し硬化させて、圧電振動片を容器に固定することが好ましい。特許文献1では、導電性接着剤を水晶振動素子の励振電極から遠ざける溝を設けているので、導電性接着剤が水晶振動素子に余分に付着することを防止できる点で優れている。さらに、特許文献1の段落22及び図5に、容器の内部側壁に電極パッドを引き回し、この引き回した電極パッドの部分で導電性接着剤を水晶振動片の上面側に回り込ませている。これによれば、水晶振動片の上面への導電性接着剤の塗布を実現できるので、好ましいと言える。
【0005】
しかしながら、圧電デバイスの場合、容器と容器を封止するための蓋部材とは、いわゆるシーム封止と呼ばれる金属製の封止リングを用いた溶接法や、金/錫合金を用いた溶接法で接合することが多いため、容器の内部側壁に内部パッド電極を引き回してある特許文献1の構造の場合、封止リングや金/錫材に導電性接着剤が及んで、封止リングや金/錫材と圧電振動片の励振用電極とが短絡状態となる危険性が高く、圧電デバイスの正常動作を損ねる懸念がある。
また、圧電振動片を容器に搭載する搭載装置は、吸引ノズルで圧電振動片を吸着しその状態で容器上に圧電振動片を移送し、容器内に置く。従って、容器の内部側壁の直ぐ脇に圧電振動片を搭載しようとしても、吸着ノズルが容器の内部側壁に接触してしまうため、それは困難である。
この出願は上記の点に鑑みなされたものであり、従って、この発明の目的は、圧電振動片を容器に導電性接着剤によって固定する構造を有する圧電デバイスにおいて、圧電振動片の表裏面それぞれの導電性接着剤を塗布したい領域に、導電性接着剤を簡易に所望の通りに塗布できる新規な構造を有した圧電デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的の達成を図るため、この発明の圧電デバイスによれば、平面視で四角形状の圧電振動片と、前記圧電振動片を収容する容器と、前記容器に設けられ前記圧電振動片を、導電性接着剤を介して接続固定している少なくとも2つの接着パッドと、当該導電性接着剤と、を具える圧電デバイスにおいて、
前記接続パッドは、前記圧電振動片の端部の表裏面のうちの下面と接続している第1部分と、この第1部分の前記圧電振動片の中央側とは反対側の端で接続していて、かつ、鉛直方向上方に伸びている第2部分と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明を実施するに当たり、前記導電性接着剤は、前記第1部分と、前記第2部分と、前記圧電振動片の端部の、前記第1部分とは反対側の部分の表面とに渡って設けてあることが好ましい。このような構造は、本発明に係る第1部分及び第2部分を具える接着パッドによって実現できる好ましい接着構造であり、圧電デバイスの信頼性及び電気的特性を満たすために有用なものである。
この発明を実施するに当たり、前記第2部分の前記鉛直方向上方に沿う高さhが、前記圧電振動片の端部での厚みtに対し0.3t~2t、好ましくは0.5t~1.5t、より好ましくは0.7t~1.2tの範囲の高さであるのが好ましい。高さhをこのような範囲にしておくと、圧電振動片の端部において導電性接着剤が圧電振動片の上面側により回り込み易くなる。
この発明を実施するに当たり、前記接着パッドは、前記第1部分及び前記第2部分各々に、前記圧電振動片の側方側で接続している第3部分を具えたものとするのが好ましい。第3部分を具えた構造であると、圧電振動片の端部かつ角部を、第2部分及び第3部分によって、平面視でL字状に囲うことができるので、圧電振動片の端部の角部を下面、側面及び上面の3方向から、導電接着剤によって固定できるので好ましい。
【0008】
この発明を実施するに当たり、前記容器及び前記接着パッド各々は平面視で長方形状であり、かつ、前記容器及び前記接着パッド各々の長辺が平行となるように前記容器の1つの短辺側であってこの1つの短辺に沿う互いに離れた2箇所に設けてあり、当該接着パッドの長辺寸法は0.4~0.6mmの範囲の値、短辺寸法は0.3~0.5mmの範囲の値であることが好ましい。このような構造、配置及び寸法であると、圧電振動片を容器に片持ち支持で固定する場合に、第1部分及び第2部分を有する接着パッドの効果を発現し易い。然も、近年多用されていて、製品の外形の長辺及び短辺の寸法で言って2.5×2.0mmサイズ以下の小型の圧電デバイスの好ましい接着構造を実現できる。
【発明の効果】
【0009】
この発明の圧電デバイスによれば、第1部分と第2部分とを有した所定の接着パッドを具えているため、この接着パッドに塗布された導電性接着剤は、その一部が圧電振動片の端部の下面側に残存し、残りの部分は、接着パッドの第2部分及び圧電振動片の端部を経由し圧電振動片の端部の上面すなわち接着パッドとは反残対側の面にも及ぶ。そのため、圧電振動片の端部は、圧電振動片の下面及び上面によって固定される。従って、導電性接着剤を塗布することが好ましい圧電振動片の端部の表裏面及び側面に、導電性接着剤を簡易に所望の通りに塗布できる新規な構造を有した圧電デバイスを提供できる。
なお、この発明の場合、導電性接着剤が圧電振動片の端部の上面に容易に及ぶので、当該上面側に在る励振用電極から当該端部に引き回されている引出配線と接着パッドとの電気的接続を確実なものにできるとい効果も得られる。一般に、圧電振動片の上面に設けた励振用電極から引き出された引出配線は圧電振動片の端部の側面を経由させて端部下面にまで引き回して導電性接着剤との接続を達成するが、当該端部側面の面粗さ等で当該引き回しが良好でない場合がある。本発明は、引き回しが良好でない場合の課題解決にも寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の圧電デバイス10を説明するための図である。
図2】実施形態の圧電デバイス10が有する接着パッドの2つの例を、接着パッド周辺の拡大図によって説明するための図である。
図3】本発明の理解のため、圧電デバイス10の製法例を説明するための図である。
図4】本発明の他の実施形態を説明するための図である。
図5】本発明のさらに他の実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照してこの発明の圧電デバイスの実施形態について説明する。なお、説明に用いる各図はこの発明を理解できる程度に概略的に示してあるにすぎない。また、説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の番号を付して示し、その説明を省略する場合もある。また、以下の説明中で述べる形状、寸法、材質等はこの発明の範囲内の好適例に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0012】
1. 第1の実施形態の圧電デバイス
図1は第1の実施形態の圧電デバイス10の説明図である。特に、図1(A)は、圧電デバイス10を、一部を切り欠いて示した斜視図、図1(B)は、圧電デバイス10の、図1(A)中のP-P線に沿って切った部分的な断面図、図1(C)は、圧電デバイス10の、図1(A)中のQ-Q線に沿って切った部分的な断面図である。
【0013】
この圧電デバイス10は、平面視で四角形状の圧電振動片11と、圧電振動片11を収容する容器13と、容器13に設けられ圧電振動片11を、導電性接着剤15を介して接続固定している少なくとも2つの接着パッド13cと、当該導電性接着剤15と、蓋部材17と、を備えている。以下、これら構成成分について具体的に説明する。
圧電振動片11は、この場合、平面視で長方形状の圧電片11aと、圧電片11aの表裏面に設けた励振用電極11bと、励振用電極11bから圧電片11aの端部11xとしての1つの辺11x側に引き出されている引出電極11cと、を具えている。圧電片11aは、厚み滑りモードで振動するものであり、ATカット水晶片、SCカットに代表される2回回転水晶片、さらには別の圧電材料から成る圧電振動片を用いることが出来る。
【0014】
容器13は、この場合、圧電振動片11を実装する平面視で長方形状の凹部13aと、凹部13aを囲う壁部13bと、凹部13aの底面の凹部13aの1つの短辺近傍の互いに離れた2か所に設けた2つの接着パッド13cと、容器13の外部底面に設けた外部接続端子13dと、を具えている。接着パッド13cと外部接続端子13dとは、図示しないビア配線又はキャスタレーション等によって電気的に接続されている。この容器13は、例えばセラミックパッケージによって構成できる。
ここで、接着パッド13c各々は、本発明の特徴部分であり以下の構造を有したものである。すなわち、特に図1(B)、(C)に示すように、圧電振動片11の端部11xの表裏面のうちの下面と接続している第1部分13caと、この第1部分13caの圧電振動片11の中央側とは反対側の端で第1部分13caに接続していて、かつ、鉛直方向上方に伸びている第2部分13cbと、を備えている。接着パッド13cのより具体的な構成は、後に図2を参照して説明する。
【0015】
導電性接着剤15は、任意好適なもので良く、典型的にはシリコーン系の導電性接着剤が良い。導電性接着剤15の塗布硬化後の構造は、この発明の特徴部分である接着パッド13cの作用によって、図1(B)、(C)に示すように、圧電振動片11の端部11xの付近において、第1部分13caと、第2部分13cbと、圧電振動片11の端部11xの、接着パッド13cの第1部分13caとは反対側の部分の表面とに渡って、導電性接着剤が圧電振動片11の端部11xを接着パッド13cに接着している構造となっている。
蓋部材17は、圧電デバイスの封止方式に応じた任意のもので良く、封止方式が例えばシーム封止法の場合であれば金属製のものであり、その場合は容器13の壁部13bの天面にシールリングを備えた構造とする。
【0016】
次に、本発明の特徴部分である接着パッド13cについて、図2(A)を参照してさらに詳述する。図2(A)は、接着パッド13cを含むその周辺部分を拡大して示した斜視図である。この実施形態の場合の接着パッド13cは、平面視で長方形状であり、かつ、容器及び接着パッド各々の長辺が平行となるように、凹部内に設けてある。然も、接着パッド13cは、圧電片11aの短辺近傍でかつ短辺に沿った互いに離れた2か所に設けてある。然も、接着パッド13c各々は、容器13の内壁から所定距離a、所定距離b離れた位置に設けてある。なお、所定距離a、所定距離bは、圧電振動片の搭載装置の搭載精度や、圧電振動片の平面積に対する容器の凹部の平面積の余裕度等を考慮して決められる距離である。また、2つの接着パッドの距離は、圧電振動片11の幅W(図2(A)を考慮し、圧電振動片11が2つの接着パッドに適正位置で収まる距離とする。
接着パッド13cは、例えば、容器13を製造する工程の中で、高融点金属ペーストをスクリーン印刷法等によって容器形成用の中間体上に塗布し、焼成することによって形成できる。第1部分13caと第2部分13cbの形成は、それぞれ別々のスクリーン印刷工程で上記ペーストを塗布し、焼成することで、行える。
【0017】
また、第1部分13ca及び第2部分13cbそれぞれの寸法は、例えば次のようにしておくことが好ましい。
先ず、第2部分13cbの鉛直方向上方に沿う高さhは、設計に応じた適正な高さにすれば良いが、高さhが高すぎると、第2部分の製造が難しい等の問題が生じ、低すぎては導電性接着剤の圧電振動片の上面へのまわり込み効果が得にくくなる。そこで、高さhは、圧電振動片11の端部11xでの厚みtに対し、0.3t~2t、好ましくは0.5t~1.5t、より好ましくは0.7t~1.2tから選ばれた高さとするのが好ましい。なお、圧電振動片11がいわゆるベベル加工したもので端部の厚みが中央部の厚みより薄い場合は、上記の厚みtは、端部の厚みtそのものでも良いし、中央部の厚みと端部の厚みとを考慮したそれらの中間の適正な厚みt′(>t)としても良い。
【0018】
また、接着パッド13cの第1部分13caの長辺寸法α(図2(A)参照)は、これに限られないが例えば0.4~0.6mmの範囲の値、短辺寸法β(図2(A)参照)は、これに限られないが例えばは0.3~0.5mmの範囲の値とすることが好ましい。このような寸法は、圧電振動片を容器に導電性接着剤で固定する場合に、第1部分及び第2部分を有する本発明に係る接着パッドの効果を発現し易い。然も、近年多用されていて、製品の外形の長辺La(図1(A)参照)及び短辺の寸法(図1(A)参照)で言って2.5×2.0mmサイズ以下の小型の圧電デバイスの好ましい接着構造を実現できる。
【0019】
2. 製法例の説明
次に、この発明の理解を深めるため、第1の実施形態の圧電デバイス10の製造例について、図3(A)~(C)に示す工程図を参照して簡単に説明する。
電振動片11としてATカットの水晶振動片を用意する。次に、この圧電振動片11を、周知の水晶振動片搭載装置21の水晶振動片吸着機構21aによってピックアップする。さらにこのピックアップした圧電振動片11を、水晶振動片搭載装置21の画像認識装置21bによって画像認識する(図3(A))。この画像認識において、圧電振動片11の容器13の接着パッド13cに対する適正位置を検出する。
【0020】
一方、水晶振動片搭載装置の導電性接着剤塗布装置23(図3(B))は、接着パッド13cの第1部分13ca上に導電性接着剤15を適正量塗布する。
次に、圧電振動片11を、水晶振動片搭載装置21によって、接着パッドの第1部分13ca上に置く(図3(C)参照)。圧電振動片11を接着パッド13cの第1部分13caに置くと、圧電振動片11の自重と、導電性接着剤15の粘性と、接着パッド13cの第1部分13ca及び第2部分13cbの圧電振動片の端部を囲っている構造との作用によって、導電性接着剤は圧電振動片11の端部の側面と第2部分13cbとの隙間及び圧電振動片11の端部の上面に及ぶ。この処理を終えた構造体を、加熱炉中に入れて導電性接着剤を硬化させる。この一連の処理によって、圧電振動片の端部を、下面、側面及び上面の3面で導電接着剤によって接着パッドに接着した本発明に係る接着構造が得られる。なお、導電性接着剤を塗布した後に、必要に応じ、圧電振動片11を上方から押しても良い。
【0021】
3. 他の実施形態
次に、第2から第4実施形態について説明する。
3-1.第2の実施形態
図2(B)は、第2の実施形態の圧電デバイス30の主要部を示す斜視図であり、図2(A)と同様な拡大斜視図である。
第2の実施形態の圧電デバイス30の第1の実施形態との相違点は、接着パッド31にある。この第2の実施形態の圧電デバイス30の場合、接着バッド31を、第1実施形態と同様な第1部分13ca及び第2部分13cbと、これらに圧電振動片11の側方側で接続している第3部分31aとを具えたものとしてある。第3部分31aの高さh1及び幅γ(図2(B)参照)は、例えば、第2部分の高さh、第1部分の幅αと同じとしてある。
この第2実施形態の接着パッド31の場合、圧電振動片11の端部11xの角部を、下面、上面及び側面の3方向で、導電性接着剤で接着パッド31に容易に接着できる。
【0022】
3-2.第3の実施形態
図4は、第3の実施形態の圧電デバイス40を説明する分解斜視図である。
第3の実施形態の圧電デバイス40の第1の実施形態との相違点は、容器41にある。第3の実施形態の圧電デバイス40の場合、容器41を、平面視長方形状で平板状のベース41aと、圧電振動片を収容する凹部41bを有し直方体形状のキャップ状の蓋部材41cと、で構成してある。2つの接着バッド31は、ベース41aの1つの短辺側であってこの短辺に沿う互いに離れた位置に設けてある。本発明は、容器の構造の違いに係わらず適用できる。
【0023】
3-3.第4の実施形態
図5は、第4の実施形態の圧電デバイス50を説明する要部斜視図であり、第4の実施形態に係る構造部分に着目した斜視図である。
第4の実施形態の圧電デバイス50の第1の実施形態との相違点は、容器51の接着パッドを設ける位置にある。第4の実施形態の圧電デバイス50の場合、2つの接着パッド13cを、容器51の長辺方向の互いが距離Cを持って離れた位置で、かつ、各々の第2部分13cbが互いに遠くなる位置関係となる配置で、容器51に設けてある。この第4の実施形態の場合、接着パッドに圧電振動片を両持ち支持で接着する圧電デバイスに対し、本発明の効果を与えることができる。
なお、距離Cは、圧電振動片11の長辺寸法よりやや長い寸法であって、圧電振動片を2つの接着パッド13cの間に塩梅良く置ける距離である。
上述した各実施形態では接着パッドを容器に2つ備えた例をしたが、接着パッドの個数は3個以上であっても良い。そうした場合、本発明の効果が得られる3点支持や4点支持の圧電デバイスを実現できる。
【符号の説明】
【0024】
10:第1の実施形態の圧電デバイス 11:圧電振動片(水晶振動片)
11a:圧電片(水晶片) 11b:励振用電極
11c:引出電極 11x:圧電振動片の端部
13:容器 13a:凹部
13b:壁部 13c:接着パッド
13ca:接着パッドの第1部分 13cb:接着パッドの第2部分
13d:外部接続端子
15:導電性接着剤 17:蓋部材
30:第2の実施形態の圧電デバイス 31:接着パッド
31a:接着パッドの第3部分
40:第4の実施形態の圧電デバイス 41:容器
41a:ベース 41b:凹部
41c:キャップ状の蓋部材 50:第4の実施形態の圧電デバイス
図1
図2
図3
図4
図5