(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120641
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】水耕栽培セット、および、その製造方法
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20240829BHJP
A01G 9/02 20180101ALI20240829BHJP
【FI】
A01G31/00 619
A01G9/02 101D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027570
(22)【出願日】2023-02-24
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】512316389
【氏名又は名称】有限会社安全野菜工場
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘成
【テーマコード(参考)】
2B314
2B327
【Fターム(参考)】
2B314MA62
2B314NA08
2B314NA16
2B314NC11
2B314ND02
2B314ND37
2B327ND10
2B327ND15
2B327RA05
(57)【要約】
【課題】 より経済的に生産し、植物への通気性および保水性を確保し、輸送中や店頭陳列中などに収容された植物を外力から保護することができ、誰でも簡単に組み立てることができる水耕栽培セット、および、その製造方法を提供しようとするものである。
【解決手段】 弾性および通気・通水性を有する仕切り体3、および、該仕切り体3に対象の植物4の地下部40が入りこみ、同仕切り体3の下に該地下部40の先端がわが露出され、該仕切り体3の上に地上部41が露出された仕切り一体化植物2と、有底50且つ上部が開口51された容器本体5と、を備えてなる水耕栽培セット1、および、その製造方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性および通気・通水性を有する仕切り体、および、該仕切り体に対象の植物の地下部が入りこみ、同仕切り体の下に該地下部の先端がわが露出され、該仕切り体の上に地上部が露出された仕切り一体化植物と、
有底且つ上部が開口された容器本体と、
を備えてなることを特徴とする水耕栽培セット。
【請求項2】
前記仕切り一体化植物の仕切り体は、内部に対象の植物の根の基部が入り組んでいるブロック状のものである、請求項1記載の水耕栽培セット。
【請求項3】
前記容器本体には、当該地下部の先端がわが同容器本体の内に配され、当該地上部が開口より露出するよう、当該仕切り一体化植物の仕切り体を支持する水耕用の植物支持体が組み合わせられ、
当該植物支持体は、同植物支持体または前記仕切り体の少なくとも何れか一方の弾性復帰力によって支持可能な支持枠部と、
前記容器本体の開口に装置される装置座部と、
を備えた、請求項1記載の水耕栽培セット。
【請求項4】
弾性および通気・通水性を有する矩形板状の弾性培地基体に対し、碁盤格子状に区画された育苗区画を設定し、
該弾性培地基体の各育苗区画に栽培対象の植物の種を植え、
該種を植え付けられた弾性培地基体に給水し、各種から発芽した植物の根が該弾性培地基体に入りこみ、同弾性培地基体の下に地下部の先端がわが露出され、同弾性培地基体の上に地上部が配され、該弾性培地基体の育苗区画と植物とが一体化するよう育苗し、
該弾性培地基体を育苗区画毎に分離して仕切り一体化植物とし、
該仕切り一体化植物を前記容器本体内に収容するようにしたことを特徴とする、請求項1乃至請求項3何れか記載の水耕栽培セットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭等で利用できる水耕栽培装置に係り、特に、展示販売や通信販売などに適した水耕栽培セット、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭菜園は、採れ立て野菜を日常の食事に気軽に取り入れることができ。健康管理に適しているだけでなく、栽培の過程を観察しながら、子供の食育や、家庭内のコミュニケーションを円滑化できるなどの理由から広く生活に取り入れられてきた。
【0003】
特に、土を使わない水耕栽培は、室内の窓際などで気軽に栽培でき、キッチンで育てた野菜をそのまま摘み取り、調理することができ、使用後にリサイクル処理し易いなど、利便性に優れ、様々な形態の家庭菜園用のキットやセット類が販売されている。
【0004】
しかしながら、こうした一般家庭向けの水耕栽培セットの多くは、作物を種から育てるものが多く、種から発芽するまでの室温や日光などの管理が難しく、確りと管理しないと上手に発芽させることができないという欠点があった。
【0005】
こうした欠点を解消するものとして、例えば、特許文献1(実用新案登録第3161228号公報)に示された、特殊人工培養土にて生育させた野菜苗にミシン目と給水用のカットを施したプラスチックフィルム製の袋容器を組み合わせる。特殊人工培養土にて生育させた野菜苗、プラスチックフィルムをポット状に加工した袋容器から構成され、プラスチックフィルムをポット状に加工した袋容器にはミシン目、通水性のあるカットが施されている野菜簡易栽培システムが知られている。
【0006】
また、廃品となるペットボトルを利用して行う水耕栽培も提案されている。例えば、特許文献2(特開2001-320970号公報)に示された、ペットボトルを切り合わせて育成槽と貯水槽の二槽にし、貯水槽へと自水紐を伸ばし育成槽に水分が常に補給されるようにし、水耕培地内に含有される栄養分で植物を水耕育成する。二槽間の重ね合わさった位置に通気孔を貫通させて容器内の温度差によって酸素を吸入して溶存酸素の安定と煙突効果で培地と容器の間を空気が上昇する構成になっているペットボトル水耕栽培法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3161228号公報
【特許文献2】特開2001-320970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1の野菜簡易栽培システムは、ピートモス等の培養土にポリエステル繊維を混ぜ高温で固化成型した特殊人工培養土にて野菜苗を生育したものが採用されている。こうした1個毎に成形された特殊人工培養土は高価な上、種を点播し育苗する間は、特殊人工培養土を1個毎管理する必要があるから栽培に多くの工数を要するものとなってしまい、価格の高騰を招いてしまう。さらに、野菜苗がプラスチックフィルムをポット状に加工した袋容器に収容されているから、輸送中などの外力を受けた場合に容易に変形し、内部の野菜苗に損傷を与えてしまう虞がある。
【0009】
また、特許文献2のペットボトル水耕栽培法は、ペットボトルを育成槽と貯水槽の二槽に切り分け、二槽間に自水紐を渡し、該貯水槽の上方より育成槽を装着した上、二槽間の重ね合わさった位置に通気孔を貫通させるという一連の作業を要するから、ペットボトルを切断するカッターや鋏、さらに、通気孔を開けるために、2枚重ねとなっているペット素材を貫通できる錐などの工具類が必要なものとなっており、特に、子供などが安全に製作できるものではないという欠点を残すものであった。
【0010】
前述の如く、従前までの一般家庭向けの簡易的な水耕栽培技術は、苗を育成するのに多くの工数を要し、輸送中や店頭陳列中などに野菜の苗を充分に保護できないものであったり、水耕栽培装置を製作するのにカッターや鋏、錐などを必要とし、特に、小学校の高学年に満たないような子供が簡単且つ安全に組み立てることができるものではなかったりして、子供が安心して気軽に野菜の栽培を楽しめるものではなかった。
【0011】
本発明は、斯かる実情に鑑み、生産工場における植物の生産性を高めてより経済的に提供することができ、植物への通気性および保水性を確保し、生産工場から店舗への輸送中、店頭陳列中、および、自宅への搬送中などに収容された植物を外力から保護することができ、誰でも簡単に組み立てることができる水耕栽培セット、および、その製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、弾性および通気・通水性を有する仕切り体、および、該仕切り体に対象の植物の地下部が入りこみ、同仕切り体の下に該地下部の先端がわが露出され、該仕切り体の上に地上部が露出された仕切り一体化植物と、有底且つ上部が開口された容器本体と、を備えてなる水耕栽培セットにかかるものである。
上記仕切り一体化植物によれば、植物の地下部が仕切り体に入り込み強固に一体化しており、水耕装置に支持する際に、植物にダメージを与えず、仕切り体をより確りと支持可能となる。
【0013】
また、仕切り体の下に該地下部の先端がわが露出されているから、自由に根を張ることが可能であり、枯れることなく栽培し易い。
さらに、根の状態を見ながら灌水をコントロールし易い。根の通気性や光による殺菌作用などが得易く、栽培の管理がし易い。
【0014】
また、本発明は、前記仕切り一体化植物の仕切り体は、内部に対象の植物の根の基部が入り組んでいるブロック状のものである、前記水耕栽培セットにかかるものである。
上記ブロック状の仕切り体によれば、後述する支持枠部が円環状の場合に、平面視断面が円形や5角以上の多角形のものに比べ、四角を圧縮するのが容易になり、三角形に比べ、その弾性復帰力による支持力がより安定して得易い。
【0015】
また、本発明は、前記容器本体に対し、当該地下部の先端がわが同容器本体の内に配され、当該地上部が開口より露出するよう、当該仕切り一体化植物の仕切り体を支持する水耕用の植物支持体が組み合わせられ、当該植物支持体は、同植物支持体または前記仕切り体の少なくとも何れか一方の弾性復帰力によって支持可能な支持枠部と、前記容器本体の開口に装置される装置座部と、を備えた、前記水耕栽培セットにかかるものである。
【0016】
上記植物支持体は、当該容器本体が包装容器となる場合に、該容器本体の上部の開口がわを保護し、水耕装置となる場合に、当該仕切り一体化植物を、その地下部の先端がわが水中に没するよう所定の高さ位置に安定支持するものとなる作用が得られる。
【0017】
また、本発明は、弾性および通気・通水性を有する矩形板状の弾性培地基体に対し、碁盤格子状に区画された育苗区画を設定し、該弾性培地基体の各育苗区画に栽培対象の植物の種を植え、該種を植え付けられた弾性培地基体に給水し、各種から発芽した植物の根が該弾性培地基体に入りこみ、同弾性培地基体の下に地下部の先端がわが露出され、同弾性培地基体の上に地上部が配され、該弾性培地基体の育苗区画と植物とが一体化するよう育苗し、該弾性培地基体を育苗区画毎に分離して仕切り一体化植物とし、該仕切り一体化植物を前記容器本体内に収容するようにした、前記何れか記載の水耕栽培セットの製造方法にかかるものである。
【0018】
上記水耕栽培セットの製造方法によれば、育苗工場の育苗工程において育苗箱にセットされた矩形板状の弾性培地基体に点播し、水耕栽培された後、該弾性培地基体を1株毎に分離するだけで、複数個の当該仕切り一体化植物を効率的に生産可能となる。
当該仕切り体は、育苗工場で種から植物を育苗する場合に、該仕切り体(弾性培地基体)が培地の役目を果たすものとなる。
上記容器本体によれば、仕切り一体化植物の輸送保護および展示販売可能な包装容器となり、さらに、水耕装置となる作用が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の水耕栽培セットの製造方法によれば、生産工場における植物の生産性を高めて、より経済的に提供することができ、本発明の水耕栽培セットによれば、植物への通気性および保水性を確保し、生産工場から店舗への輸送中、店頭陳列中、および、自宅への搬送中などに収容された植物を外力から保護することができる。
【0020】
そして、誰でも簡単に容器本体を水耕装置として利用でき、植物の生長過程を、根の張り方から見ることができるため食育に貢献できる。植物が長持ちする。さらに、栽培しながら必要な分を摘み取って食用にすることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】組み立て工程中の水耕装置を示す斜視図である。
【
図4】水耕栽培セットの変形例を示す模式図である。
【
図5】容器本体に保水体を収容した水耕装置を示す斜視図である。
【
図6】植物支持体の装置座部の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態にかかる水耕栽培セット、および、その製造方法を具体的に説明する。特に本実施の形態は、植物を野菜や果物などの苗としたものである。
【0023】
本実施の形態にかかる水耕栽培セットは、以下に示すような製造方法によって製造することができる。
育苗工場において、育苗箱に、弾性および通気・通水性を有する矩形板状(シート状)の弾性培地基体に対し、碁盤格子状に区画された育苗区画を設定する。該弾性培地基体は、脱脂綿、再生紙、不織布、再生繊維などの成形品、例えば、連続発泡樹脂などのスポンジ培地とすることができる。また、育苗区画は、スリット状の切り込みや穴、印刷表示などによる区画が可能である。
【0024】
各育苗区画の培地肉厚中に没するよう点播し、栄養分を溶解した水溶液を灌水し、各種から植物を発芽させ、その根(地下部)の基部が該弾性培地基体に入りこみ、同弾性培地基体の下に地下部の先端がわが露出され、同弾性培地基体の上に地上部が配され、該弾性培地基体の育苗区画と、育苗区画毎に育成された複数の植物とが一体化された状態に育苗する。1枚の弾性培地基体で複数の植物を一括して育苗管理可能である。
【0025】
育苗を終えた後、該弾性培地基体を育苗区画毎にブロック状に分離して複数個の仕切り一体化植物2とする。各仕切り一体化植物2は、該弾性培地基体を育苗区画に沿ってカーターや裁断機などを用いて切断するか、または、予め加工されたスリットなどの脆弱部に沿って手で引き裂くようにするなどして分離することが可能である。このように形成した仕切り一体化植物2では、育苗時に使用した弾性培地基体内に根が張り巡っており、植物と弾性培地基体とが強固に連結したものとすることができる。
【0026】
図1ないし
図4に示すように、当該仕切り一体化植物2は、仕切り体3、および、該仕切り体3に対象の植物4の地下部40が入り組み、同仕切り体3の下に該地下部40の先端がわが露出され、該仕切り体3の上に地上部41が露出され、仕切り体3と対象の植物4とが一体化したものである。
【0027】
例えば、該対象の植物4は、1株のリーフレタスの苗とすることができる。かかる植物4はリーフレタスに限られるものではなくパセリ、レジナトマト、ミント、バジル、アロマティカス等の食用植物の他、観賞用の植物であっても良い。包装工場に運搬した仕切り一体化植物2は、底50に水および液体肥料などを充分に含ませた脱脂綿やスポンジ、吸水性ポリマーなどからなる保水体52を収容した、1個の容器本体5に対し、1個または2個以上ずつ収容され、当該仕切り体3の下に露出された根(地下部)40が、該保水体52に接地して出荷、輸送および展示販売中に渡り給水可能な状態に収容する。
【0028】
当該容器本体5は、陶器製、ガラス製、紙製、その他の有底且つ上部が開口された平断面三角状、矩形状、多角形状、その他の器状とすることができ、例えば、
図4に示すような、透明樹脂製の概略円筒形状のものとすることができる。
該保水体52および仕切り一体化植物2を収容した容器本体5の上部開口51には、植物支持体6が装置される。該植物支持体6も、該容器本体5と同様、前記何れかの素材製とすることができ、例えば、
図1および
図4に示すように、透明合成樹脂製の半球ドーム状、
図4に示す、垂直断面が台形形のドーム状、または、水平円板状などの何れかの形状のものとすることができる。
【0029】
該植物支持体6は、当該仕切り体3の弾性復帰力によって支持可能な支持枠部61と、当該容器本体5の開口51に装置される装置座部62とを有している。
【0030】
該支持枠部61は、例えば、平面視円形状の中心に、同心円状に穿設された円形の環状孔の開口縁からなり、その開口直径は、当該仕切り体3のブロック形状を平面視した場合の対角線よりも短い寸法に設定され、同仕切り体3を圧縮して装着し、同仕切り体3の弾性復帰力による摩擦力によって支持力が得られるものとすることができる。
【0031】
また、
図4に示すように、支持枠部61は、例えば、中心に向かう複数の爪61a,または放射状スリット61bなどからなり、当該植物支持体6の素材(透明合成樹脂)の弾性力に抗して同仕切り体3を圧入し、該支持枠部61(61a,61b)の弾性復帰力による摩擦力によって支持力が得られるものとすることができる。
【0032】
また、
図4に示すように、支持枠部61は、例えば、破線円で示す脆弱環部61cとされたものとすることができる。該脆弱環部61cは、例えば、破線環状のスリットや薄肉脆弱環状部などとされ、包装容器として使用される場合に閉鎖状のものとされ、水耕装置として使用する際に中央部を押し抜いて除去し、誰でも簡単に貫通孔状の支持枠部61を形成可能なものとすることができる。
【0033】
図1,
図2および
図6に示すように、該装置座部62は、該植物支持体6が、正立姿勢に装置された場合に、当該容器本体5の開口51周囲のフランジPR5に接地される。
例えば、容器本体5と植物支持体6との間に包装用封止機構PRと、水耕用仮止め機構HRとを備えるものとすることができる。
【0034】
例えば、
図6に示すように、当該包装用封止機構PRは、包装容器として正立姿勢に施蓋された場合の当該容器本体5の開口51のフランジPR5と、当該該植物支持体6の装置座部62に設けられた、内向きの嵌合爪PR6との組み合わせからなり、該容器本体5の開口51と植物支持体6の装置座部62とを着脱自在とし、全周囲に渡って略均質に封止するよう連結することが可能である。
【0035】
例えば、
図6に示すように、当該水耕用仮止め機構HRは、当該容器本体5の開口51の内周壁に設けられた被嵌合部HR5と、水耕装置として上下を反転された倒立姿勢に装着された場合の当該植物支持体6の装置座部62の近傍外周壁に設けられた嵌合部HR6とからなり、容器本体5の開口51の内壁と、植物支持体6の装置座部62の近傍外周壁とを着脱自在とし、全周囲に渡って略均質に連結することが可能である。
【0036】
例えば、当該被嵌合部HR5および嵌合部HR6は、双方とも全周に渡って連続した環状に設けられたものとすることができる他、当該被嵌合部HR5が全周に渡って環状に設けられ、当該嵌合部HR6が、全周の複数箇所に等間隔を隔てて配されたものとすることができる。
【0037】
当該植物支持体6は、例えば、包装容器とするよう当該容器本体5に対し、正立姿勢に装置された場合に、上方に膨出状となる拡張壁部60を有し、該拡張壁部60は、同植物支持体6が、水耕装置とするよう前記容器本体5に対し、上下を反転された倒立姿勢に装置された場合に、下方に凹状をなす植物保護壁60となるものとすることができる。
【0038】
また、植物支持体6は、例えば、
図6に示すように、拡張壁部(植物保護壁)60に通気および給水兼用となる複数の小孔60aが略等間隔に穿設されたり、格子状の骨格からなものとされたり、したものとすることができる。
【0039】
当該容器本体5は、例えば、
図2に示すように、水耕装置とする際の水Wおよび液体肥料の水位の目安となる目盛線Lが表示されたものとすることができる。
【0040】
当該水耕栽培セット1を用いた水耕栽培方法は、例えば、
図1ないし
図3に示すように、植物支持体6を容器本体5から外し、2個の仕切り一体化植物2および保水体52を取り出す。
当該容器本体5の半分ぐらいまで、(例えば、目盛線Lまで)水Wを注ぐ。該水Wは、液体肥料を含むものとすることができ、該液体肥料は小型密閉容器に充填されて当該水耕栽培セット1に同梱されたものとすることができる。この時、前記仕切り体3を見えないようにするために、容器本体5の該当部分を帯状体(
図4の目隠し帯7など)で遮蔽することもできる。
【0041】
当該植物支持体6を上下反転された倒立姿勢とし、同植物支持体6の円形孔状の支持枠部61に対し、当該2個の仕切り一体化植物2を、同2個の仕切り体3の各四角がわを圧縮するようにして上方から下方に向けて装着する。
該植物支持体6を当該容器本体5の上部の開口51に装置する。装置されると当該2個の仕切り一体化植物2の地下部40の根の先が、水W中に没する。没しない場合には、仕切り体3の支持位置を微調整する。
その後は、水Wが減ったり汚れたりしたら植物支持体6を当該容器本体5から外してこまめに水Wを交換するよう管理する。
【0042】
また、容器本体5は、例えば、
図4に示すように、水耕装置とする際、仕切り体3およびそれを支持する支持枠部61が配される上下間範囲に、無端状の目隠し帯7が設けられたものとすることができる。該目隠し帯7は、例えば、容器本体5に不透明印刷されたものや、不透明な素材製(紙製、樹脂着色フィルムのカバーなど)のものなどとすることができる。
該目隠し帯7は、例えば、水W用の目盛が有色印刷されたものや、不透明帯の中に透明な透視窓が設けられ、水W用の目盛の役目を果たすものとされたもの、または水Wの水位の目安となる模様線などが設けられたものとすることができる。
【0043】
図4に示すように、当該水耕栽培セット1は、例えば、当該容器本体5に収容可能な、淡水魚介類FS、および、該淡水魚介類FSの棲息に充分な水Wが収容されたものとすることが可能である。該淡水魚介類FSは、例えば、水Wに棲息し排泄物などが肥料成分となるメダカや川エビなどとすることができる。該淡水魚介類FSが同梱される場合は、該淡水魚介類FSか、仕切り一体化植物2かの何れか一方が、別容器に収容されたものとすることができる。
【0044】
また、
図5に示すように、当該水耕栽培セット1は、例えば、当該容器本体5に収容可能な、水耕用培地(セラミックボール、珈琲抽出残渣、その他)8を有するものとすることができる。該水耕用培地8も当該容器本体5とは別の容器に収容、添付されたものとすることができる。特に珈琲残渣は略99%が有機物であって、その多くが炭素成分であり、窒素2%、リン酸0.2%、カリ0.3%程度を含有することから、水耕栽培における植物の育成環境を改善することができる。特に珈琲残渣と水との混合物を使用することにより、コーヒー抽出成分を植物の育成に利用することができる。
【0045】
本実施の形態にかかる水耕栽培セット1は、
図1に示すように、その容器本体5および植物支持体6が仕切り一体化植物2を外力から保護し通気性を確保する包装容器となり、店頭陳列中に植物を見て品質を確認することができる。さらに、
図2および
図3に示すように、誰でも簡単に水耕装置に組み替えることができる。また、水位の目視による灌水の管理がし易く、植物の生育を観察するのに毎日目にしても見飽きない美観を呈するものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の水耕栽培セットは、栽培用の植物や、飼育用の生物、水耕栽培用品、動物用飼育用品類などの輸送、展示および販売に利用する包装容器、および、水耕装置に利用することができる。また、本発明の製造方法は、水耕栽培セット、および、それに付属された水耕栽培用品、動物用飼育用品類などの製造、販売などに利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 水耕栽培セット
2 仕切り一体化植物
3 仕切り体
4 対象の植物
40 同 地下部
41 同 地上部
5 器本体
50 同 底
51 同 開口
52 同 保水体
L 同 目盛線
6 植物支持体
60 同 拡張壁部(植物保護壁)
60a 同 通気・給水用の複数の小孔
61 同 支持枠部
61a 同 爪
61b 同 放射状スリット
61c 同 脆弱環部
62 同 装置座部
PR 同 包装用封止機構
PR5 同 フランジ
PR6 同 嵌合爪
HR 同 水耕用仮止め機構
HR5 同 被嵌合部
HR6 同 嵌合部
7 目隠し帯
W 水(および液体肥料)
FS 淡水魚介類
8 水耕用培地(セラミックボール、珈琲抽出残渣、その他)