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特開2024-120647繊維又はケラチン物質処理用水性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120647
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】繊維又はケラチン物質処理用水性組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20240829BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20240829BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240829BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20240829BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/73
A61K8/34
A61K8/33
A61K8/37
A61Q5/00
A61Q13/00 101
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027589
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】去川 友梨
(72)【発明者】
【氏名】川本 康一
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC072
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC692
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD071
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD211
4C083AD271
4C083AD272
4C083AD281
4C083AD282
4C083AD301
4C083AD302
4C083AD352
4C083AD531
4C083AD532
4C083BB32
4C083BB34
4C083CC31
4C083CC39
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE28
4C083FF05
4C083KK02
(57)【要約】
【課題】カプセル化が困難な香料を用いても優れた残香性を発現し得る、繊維又はケラチン物質処理用水性組成物を提供する。
【解決手段】(A)所定のカチオン性ポリマー、(B)アニオン性多糖類、(C)モノテルペンアルコール類、環式モノテルペン類、芳香族アルデヒド類、及びメチルジヒドロジャスモネートからなる群から選ばれる1種以上を含む香料、及び水を含有し、前記成分(B)のアニオン電荷に対する前記成分(A)のカチオン電荷の比[(A)/(B)]が0.30以上25以下である、繊維又はケラチン物質処理用水性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(C):
(A)(A1)1質量%水溶液の30℃における粘度が500mPa・s以上であり、下記一般式(1)で表される構成単位を含むカチオン性ポリマー及び(A2)1質量%水溶液の30℃における粘度が20mPa・s以上であるカチオン化多糖類からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性ポリマー
【化1】

式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、R~Rはそれぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基である。Xは-O-又は-NH-であり、mは1以上4以下の数である。
(B)アニオン性多糖類
(C)モノテルペンアルコール類、環式モノテルペン類、芳香族アルデヒド類、及びメチルジヒドロジャスモネートからなる群から選ばれる1種以上を含む香料
及び水を含有する、繊維又はケラチン物質処理用水性組成物であって、
前記成分(B)のアニオン電荷に対する前記成分(A)のカチオン電荷の比[(A)/(B)]が0.30以上25以下である、繊維又はケラチン物質処理用水性組成物。
【請求項2】
前記成分(C)がリナロール、シトロネロール、ゲラニオール、リモネン、ヘキシルシンナマル、及びメチルジヒドロジャスモネートからなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記成分(B)がアルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸、及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物中の前記成分(B)に対する前記成分(A)の質量比[(A)/(B)]が0.60以上10以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物中の前記成分(A)及び前記成分(B)の合計含有量が0.05質量%以上10質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、さらに(D)ノニオン性ポリマーを含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記成分(D)がポリアルキレングリコール又はその誘導体、及び、ビニルピロリドン由来の構成単位を含む重合体からなる群から選ばれる1種以上である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、さらに(E)分子量1,000以上30,000以下の、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含む非架橋型アニオン性ポリマーを含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記成分(A1)が塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム重合体及びN,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体からなる群から選ばれる1種以上であり、前記成分(A2)がセルロース骨格を有するカチオン化ポリマーである、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物を含む毛髪化粧料組成物。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の繊維又はケラチン物質処理用水性組成物の製造方法であって、
前記成分(A)及び前記成分(B)を含む混合物、又は、前記成分(A)及び前記成分(B)を含む溶液と、
前記成分(C)、又は、前記成分(C)を含む溶液と、を混合する工程を有する、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維又はケラチン物質処理用水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料や洗浄剤において、対象物に適用した後の残香性を高める検討がなされている。その手段の一つとして、香料をカプセル化する技術が知られている。
香料等の油成分のカプセル化技術として、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーを用いてマイクロカプセルを形成することも知られている。例えば特許文献1には、油ベースのコア;アニオン性乳化剤の存在下での界面重合により形成されるポリマーシェル;および少なくとも1種のカチオン性ポリマーを含むコーティングを有する少なくとも1種のマイクロカプセルを含み、且つ所定の要件を満たすコア-シェルマイクロカプセルスラリーが開示され、特定の電荷密度範囲に従ってアニオン性乳化剤およびカチオン性ポリマーの存在を組み合わせることで、リンスオフ用途における付着を最適化できることが記載されている。また、前記油が香料を含む香料マイクロカプセルスラリー、及び該スラリーを含む付香組成物も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2021-502956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリーの製造では、香料等の油の存在下でモノマーを重合する工程を含む。しかしながら、例えば炭素-炭素不飽和結合を含む香料成分は前記重合時にモノマーと反応してしまうことがあり、該香料成分はカプセル化し難いという問題がある。
本発明は、炭素-炭素不飽和結合を含む香料成分のようにカプセル化が困難な香料を用いても、処理後の繊維又はケラチン物質に対し優れた残香性を発現し得る、繊維又はケラチン物質処理用水性組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定のカチオン性ポリマー、アニオン性多糖類、特定の化合物を含む香料、及び水を含有し、該カチオン性ポリマーのカチオン電荷と、該アニオン性多糖類のアニオン電荷との比が所定の範囲である水性組成物により、上記課題を解決できることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、下記に関する。
[1]下記成分(A)~(C):
(A)(A1)1質量%水溶液の30℃における粘度が500mPa・s以上であり、下記一般式(1)で表される構成単位を含むカチオン性ポリマー及び(A2)1質量%水溶液の30℃における粘度が20mPa・s以上であるカチオン化多糖類からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性ポリマー
【化1】

式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、R~Rはそれぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基である。Xは-O-又は-NH-であり、mは1以上4以下の数である。
(B)アニオン性多糖類
(C)モノテルペンアルコール類、環式モノテルペン類、芳香族アルデヒド類、及びメチルジヒドロジャスモネートからなる群から選ばれる1種以上を含む香料
及び水を含有する、繊維又はケラチン物質処理用水性組成物であって、
前記成分(B)のアニオン電荷に対する前記成分(A)のカチオン電荷の比[(A)/(B)]が0.30以上25以下である、繊維又はケラチン物質処理用水性組成物。
[2]上記[1]に記載の組成物を含む毛髪化粧料組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カプセル化が困難な香料を用いても、処理後の繊維又はケラチン物質に対し優れた残香性を発現し得る、繊維又はケラチン物質処理用水性組成物を提供できる。該組成物は、毛髪化粧料組成物、皮膚化粧料組成物等の各種化粧料組成物として用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[定義]
本明細書において「繊維」とは、目視において繊維形状を有することが認められる物質が挙げられ、毛髪、睫毛、眉毛、羊毛等の、ヒト等の動物の身体部位を構成するケラチン繊維、人工的に製造されたケラチン繊維、並びに、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等の、ケラチン繊維以外の合成繊維が挙げられる。
また「ケラチン物質」とは、ケラチン繊維以外のケラチン物質が挙げられ、皮膚、爪等の、ヒト等の動物の身体部位を構成するケラチン物質の他、人工的に製造されたケラチン物質も含まれる。
「水性組成物」とは、水を主成分とする組成物を意味し、好ましくは水の含有量が50質量%以上の組成物を意味する。
本発明の繊維又はケラチン物質処理用水性組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう)は、好ましくは繊維又は皮膚処理用水性組成物であり、より好ましくは繊維処理用水性組成物であり、更に好ましくは毛髪処理用水性組成物である。
本明細書において「成分Xを含有する」とは、成分Xを配合することをも包含する。
【0009】
[繊維又はケラチン物質処理用水性組成物]
本発明の組成物は、下記成分(A)~(C):
(A)(A1)1質量%水溶液の30℃における粘度が500mPa・s以上であり、下記一般式(1)で表される構成単位を含むカチオン性ポリマー及び(A2)1質量%水溶液の30℃における粘度が20mPa・s以上であるカチオン化多糖類からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性ポリマー
【化2】

式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、R~Rはそれぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基である。Xは-O-又は-NH-であり、mは1以上4以下の数である。
(B)アニオン性多糖類
(C)モノテルペンアルコール類、環式モノテルペン類、芳香族アルデヒド類、及びメチルジヒドロジャスモネートからなる群から選ばれる1種以上を含む香料
及び水を含有する、繊維又はケラチン物質処理用水性組成物であって、前記成分(B)のアニオン電荷に対する前記成分(A)のカチオン電荷の比[(A)/(B)]が0.30以上25以下である。
本発明の組成物は上記構成を有することにより、カプセル化が困難な香料を用いても、処理後の繊維又はケラチン物質に対し優れた残香性を発現し得る。
【0010】
本発明の組成物が上記効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明の組成物は、成分(A)と成分(B)とのイオン性相互作用により形成されるポリイオンコンプレックスを含み、繊維又はケラチン物質に適用することで皮膜形成できる組成物である。ポリイオンコンプレックスにおいては、成分(A)-成分(B)間でイオン性相互作用による架橋構造が形成されており、香料をカプセル化しなくても該架橋構造を有する皮膜中に香料を保持できるので、優れた残香性が得られると考えられる。
一般に、ポリイオンコンプレックスは疎水性であり水に不溶であるが、本発明では成分(B)として特定のアニオン性ポリマー(アニオン性多糖類)を用いることで、多糖類骨格に起因して、形成されるポリイオンコンプレックスが比較的親水性になり、ポリイオンコンプレックスの凝集が抑制されると考えられる。
さらに、成分(B)のアニオン電荷に対する成分(A)のカチオン電荷の比[(A)/(B)](以下、単に「電荷比[(A)/(B)]」ともいう)が所定の範囲であることで、前記架橋構造が効率よく形成され、香料の保持力が向上すると考えられる。また、電荷比[(A)/(B)]が所定の範囲であることで、ポリイオンコンプレックスに対し成分(C)、並びにその他の油性成分を配合した場合でも凝集が抑えられ、得られる組成物の安定配合性も向上すると考えられる。
【0011】
<成分(A):カチオン性ポリマー>
成分(A)は、(A1)1質量%水溶液の30℃における粘度が500mPa・s以上であり、下記一般式(1)で表される構成単位を含むカチオン性ポリマー及び(A2)1質量%水溶液の30℃における粘度が20mPa・s以上であるカチオン化多糖類からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性ポリマーである。
【化3】

式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、R~Rはそれぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基である。Xは-O-又は-NH-であり、mは1以上4以下の数である。
成分(A)は、成分(B)との相互作用によりポリイオンコンプレックスを形成し得るポリマーである。
成分(A)であるカチオン性ポリマーは、好ましくはカチオン性基を有し、且つ総電荷として正に帯電しているポリマーである。成分(A)は本発明の効果を阻害しない範囲で、カチオン性基以外に、アニオン性基、ノニオン性基、又は、ベタイン基等の両性基を有していてもよい。
本明細書においてカチオン性基とはカチオン基、又は、イオン化されてカチオン基になり得る基であり、具体的には、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、第四級アンモニウム基が挙げられる。
アニオン性基とはアニオン基、又は、イオン化されてアニオン基になり得る基であり、具体的には、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等の酸性基からなる群から選ばれる1種以上が挙げられ、好ましくはカルボキシ基及びスルホン酸基から選ばれる1種以上、より好ましくはカルボキシ基である。アニオン性基の少なくとも一部は中和され、塩の状態になっていてもよい。
【0012】
(成分(A1))
成分(A1)は、1質量%水溶液の30℃における粘度が500mPa・s以上であり、下記一般式(1)で表される構成単位を含むカチオン性ポリマーである。
【化4】

式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、R~Rはそれぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基である。Xは-O-又は-NH-であり、mは1以上4以下の数である。
【0013】
一般式(1)におけるRは、好ましくはメチル基であり、R~Rは、それぞれ独立に、好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基、より好ましくはメチル基又はエチル基、更に好ましくはメチル基である。
一般式(1)におけるXは、好ましくは-O-であり、mは、好ましくは1以上3以下、より好ましくは2以上3以下である。
【0014】
一般式(1)で表される構成単位としては、メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム塩に由来する構成単位、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩に由来する構成単位、及び、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩に由来する構成単位からなる群から選ばれる1種以上が挙げられ、好ましくはメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム塩に由来する構成単位、及び、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩に由来する構成単位からなる群から選ばれる1種以上である。
【0015】
成分(A1)中、前記一般式(1)で表される構成単位の含有量は、皮膜形成能向上の観点、及び残香性向上の観点から、成分(A1)を構成する全構成単位中、好ましくは8.0モル%以上、100モル%以下である。
【0016】
成分(A1)は、前記一般式(1)で表される構成単位以外の、他の構成単位を含むポリマーであってもよい。当該他の構成単位としては、ビニルピロリドン等のビニルモノマー、(メタ)アクリロイルエチルジメチルベタイン等の両性モノマー、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類、等に由来する構成単位が挙げられる。また成分(A)は、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール等により架橋されたクロスポリマーであってもよい。なお本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0017】
前記一般式(1)で表される構成単位を含むカチオン性ポリマーの好適な具体例としては、塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム重合体(ポリクオタニウム-37)、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体(ポリクオタニウム-49)、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体(ポリクオタニウム-48)、及び、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体(ポリクオタニウム-52)からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらの中でも、皮膜形成能向上の観点、及び残香性向上の観点から、好ましくは塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム重合体(ポリクオタニウム-37)及びN,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体(ポリクオタニウム-52)からなる群から選ばれる1種以上である。
【0018】
成分(A1)の1質量%水溶液の30℃における粘度は、皮膜形成能向上の観点、及び残香性向上の観点から、500mPa・s以上であり、好ましくは700mPa・s以上、より好ましくは800mPa・s以上、更に好ましくは1,000mPa・s以上、より更に好ましくは1,500mPa・s以上、より更に好ましくは1,800mPa・s以上、より更に好ましくは2,000mPa・s以上、より更に好ましくは2,200mPa・s以上、より更に好ましくは2,400mPa・s以上である。該粘度の上限は特に制限されないが、ポリイオンコンプレックスの形成しやすさ、及び取り扱い性の観点から、好ましくは100,000mPa・s以下、より好ましくは80,000mPa・s以下、更に好ましくは50,000mPa・s以下、より更に好ましくは30,000mPa・s以下、より更に好ましくは25,000mPa・s以下、より更に好ましくは22,000mPa・s以下、より更に好ましくは20,000mPa・s以下、より更に好ましくは18,000mPa・s以下である。
成分(A1)の1質量%水溶液の30℃における粘度は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
【0019】
成分(A1)のカチオン電荷密度は、成分(B)との相互作用によりポリイオンコンプレックスを形成しやすくする観点、及び残香性向上の観点から、好ましくは0.1mmol/g以上、より好ましくは0.2mmol/g以上、更に好ましくは0.3mmol/g以上、より更に好ましくは0.5mmol/g以上である。また、残香性向上の観点、及び安定配合性向上の観点から、好ましくは20mmol/g以下、より好ましくは15mmol/g以下、更に好ましくは12mmol/g以下、より更に好ましくは10mmol/g以下、より更に好ましくは7.0mmol/g以下、より更に好ましくは5.0mmol/g以下である。
【0020】
成分(A1)のカチオン電荷密度は、ポリマー1gあたりに含有されるカチオン性基のモル数である。なお、成分(A1)のカチオン性基の少なくとも一部が中和塩になっている場合、上記カチオン性基のモル数には、塩の状態をとっているカチオン性基のモル数も含めるものとする。
なお、成分(A1)として2種以上のポリマーを用いてもよく、この場合の成分(A1)のカチオン電荷密度は、それぞれのポリマーのカチオン電荷密度と配合量から加重平均を算出することにより求められる。
【0021】
成分(A1)として、市販のポリマーを用いることもできる。その具体例としては、BASFジャパン(株)製の「Cosmedia Ultragel 300」(ポリクオタニウム-37、カチオン電荷密度:4.81mmol/g)、花王(株)製の「ソフケア KG-101W-E」(ポリクオタニウム-52、カチオン電荷密度:0.83mmol/g)、「ソフケア KG-301W」(ポリクオタニウム-52、カチオン電荷密度:1.84mmol/g)等が挙げられる。
【0022】
(成分(A2))
成分(A2)は、1質量%水溶液の30℃における粘度が20mPa・s以上であるカチオン化多糖類である。本明細書において「カチオン化多糖類」とは、多糖類のポリマー骨格にカチオン性基が導入された変性多糖類をいう。
【0023】
カチオン化多糖類の具体例としては、カチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化ローカストビーンガム等のカチオン化ガラクトマンナン;カチオン化セルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化カルボキシメチルセルロース等のセルロース骨格を有するカチオン化ポリマー;カチオン化澱粉;等が挙げられる。
これらの中でも、皮膜形成能向上の観点、及び残香性向上の観点から、カチオン化多糖類は、好ましくはカチオン化ガラクトマンナン及びセルロース骨格を有するカチオン化ポリマーからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはカチオン化グアーガム及びセルロース骨格を有するカチオン化ポリマーからなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくは、塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガム(表示名称:グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)、塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガムのヒドロキシプロピル誘導体(表示名称:ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)、及びセルロース骨格を有するカチオン化ポリマーからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはセルロース骨格を有するカチオン化ポリマーであり、より更に好ましくはカチオン化ヒドロキシエチルセルロースであり、より更に好ましくは塩化o-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム-10)である。
【0024】
成分(A2)の1質量%水溶液の30℃における粘度は、皮膜形成能向上の観点、及び残香性向上の観点から、20mPa・s以上であり、好ましくは50mPa・s以上、より好ましくは100mPa・s以上、更に好ましくは150mPa・s以上である。該粘度の上限は特に制限されないが、ポリイオンコンプレックスの形成しやすさ、及び取り扱い性の観点から、好ましくは100,000mPa・s以下、より好ましくは80,000mPa・s以下、更に好ましくは50,000mPa・s以下、より更に好ましくは30,000mPa・s以下、より更に好ましくは25,000mPa・s以下、より更に好ましくは20,000mPa・s以下、より更に好ましくは10,000mPa・s以下、より更に好ましくは5,000mPa・s以下、より更に好ましくは3,000mPa・s以下、より更に好ましくは2,000mPa・s以下、より更に好ましくは1,000mPa・s以下、より更に好ましくは500mPa・s以下、より更に好ましくは300mPa・s以下、より更に好ましくは200mPa・s以下である。
成分(A2)の1質量%水溶液の30℃における粘度は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
【0025】
成分(A2)のカチオン電荷密度は、成分(B)との相互作用によりポリイオンコンプレックスを形成しやすくする観点、及び残香性向上の観点から、好ましくは0.1mmol/g以上、より好ましくは0.2mmol/g以上、更に好ましくは0.3mmol/g以上、より更に好ましくは0.5mmol/g以上である。また、残香性向上の観点、及び安定配合性向上の観点から、好ましくは20mmol/g以下、より好ましくは15mmol/g以下、更に好ましくは12mmol/g以下、より更に好ましくは10mmol/g以下、より更に好ましくは7.0mmol/g以下、より更に好ましくは5.0mmol/g以下、より更に好ましくは3.0mmol/g以下、より更に好ましくは2.0mmol/g以下、より更に好ましくは1.5mmol/g以下である。
【0026】
成分(A2)のカチオン電荷密度は、ポリマー1gあたりに含有されるカチオン性基のモル数である。なお、成分(A2)のカチオン性基の少なくとも一部が中和塩になっている場合、上記カチオン性基のモル数には、塩の状態をとっているカチオン性基のモル数も含めるものとする。
なお、成分(A2)として2種以上のポリマーを用いてもよく、この場合の成分(A2)のカチオン電荷密度は、それぞれのポリマーのカチオン電荷密度と配合量から加重平均を算出することにより求められる。
【0027】
成分(A2)として、市販のポリマーを用いることもできる。その具体例としては、Solvay社製の「Jaguar」シリーズ、DSP五協フード&ケミカル(株)製の「ラボールガム」シリーズのカチオン化グアーガム;花王(株)製の「ポイズC」シリーズ、東邦化学工業(株)製の「カチナール」シリーズのカチオン化セルロース等が挙げられる。
【0028】
成分(A)は、成分(B)との相互作用によりポリイオンコンプレックスを形成しやすくする観点、及び残香性向上の観点から、好ましくは、下記成分(A1)及び下記成分(A2)からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性ポリマーである。
(A1)1質量%水溶液の30℃における粘度が500mPa・s以上である、塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム重合体(ポリクオタニウム-37)及びN,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体(ポリクオタニウム-52)からなる群から選ばれる1種以上
(A2)1質量%水溶液の30℃における粘度が20mPa・s以上である、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド及びセルロース骨格を有するカチオン化ポリマーからなる群から選ばれる1種以上
成分(A1)は、塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム重合体(ポリクオタニウム-37)及びN,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体(ポリクオタニウム-52)からなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましく、成分(A2)は、セルロース骨格を有するカチオン化ポリマーであることがより好ましい。
すなわち成分(A)は、より好ましくは、(A1)1質量%水溶液の30℃における粘度が500mPa・s以上である塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム重合体(ポリクオタニウム-37)、1質量%水溶液の30℃における粘度が500mPa・s以上であるN,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体(ポリクオタニウム-52)、及び(A2)1質量%水溶液の30℃における粘度が20mPa・s以上であるセルロース骨格を有するカチオン化ポリマーからなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくは、(A1)1質量%水溶液の30℃における粘度が500mPa・s以上である塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム重合体(ポリクオタニウム-37)、1質量%水溶液の30℃における粘度が500mPa・s以上であるN,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体(ポリクオタニウム-52)、及び(A2)1質量%水溶液の30℃における粘度が20mPa・s以上であるカチオン化ヒドロキシエチルセルロースからなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくは、(A1)1質量%水溶液の30℃における粘度が500mPa・s以上である塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム重合体(ポリクオタニウム-37)、1質量%水溶液の30℃における粘度が500mPa・s以上であるN,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体(ポリクオタニウム-52)、及び(A2)1質量%水溶液の30℃における粘度が20mPa・s以上である塩化o-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム-10)からなる群から選ばれる1種以上である。
【0029】
なお、成分(A)として、成分(A1)と成分(A2)とを併用することもできる。成分(A)のカチオン電荷密度は、成分(B)との相互作用によりポリイオンコンプレックスを形成しやすくする観点、及び残香性向上の観点から、好ましくは0.1mmol/g以上、より好ましくは0.2mmol/g以上、更に好ましくは0.3mmol/g以上、より更に好ましくは0.5mmol/g以上である。また、残香性向上の観点、及び安定配合性向上の観点から、好ましくは20mmol/g以下、より好ましくは15mmol/g以下、更に好ましくは12mmol/g以下、より更に好ましくは10mmol/g以下、より更に好ましくは7.0mmol/g以下、より更に好ましくは5.0mmol/g以下である。
【0030】
<成分(B):アニオン性多糖類>
成分(B)はアニオン性多糖類であり、成分(A)との相互作用によりポリイオンコンプレックスを形成し得るポリマーである。本明細書において「アニオン性ポリマー」とは、アニオン性基を有し、且つカチオン性基及び両性基を実質的に有さないポリマーを意味する。「カチオン性基及び両性基を実質的に有さない」とは、アニオン性基に対するカチオン性基及び両性基のモル量が好ましくは0.1%以下であることをいう。
【0031】
成分(B)が有するアニオン性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等の酸性基が好ましく、成分(A)との相互作用によりポリイオンコンプレックスを形成しやすくする観点、及び入手性の観点から、より好ましくはカルボキシ基である。なお成分(B)において、アニオン性基の少なくとも一部は中和され、塩の状態になっていてもよい。
【0032】
成分(B)として用いられるアニオン性多糖類の具体例としては、カルボキシ基を有する多糖類(ヒアルロン酸、アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム等)、多糖類の硫酸物(カラギーナン、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、硫酸化デンプン、ヘパリン、ヘパラン硫酸)、及び多糖類のスルホン化物(ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸)、及びこれらの塩が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
【0033】
成分(B)が塩である場合、該塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられ、入手性の観点から、好ましくはアルカリ金属塩である。
【0034】
上記の中でも、皮膜形成能向上の観点、及び残香性向上の観点から、成分(B)は、好ましくはアルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸、及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上であり、皮膜形成能向上の観点、残香性向上の観点、及び安定配合性向上の観点から、より好ましくはアルギン酸、ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸、及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはアルギン酸ナトリウム及びステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸ナトリウムからなる群から選ばれる1種以上である。
【0035】
成分(B)のアニオン電荷密度は特に制限されないが、成分(A)との相互作用によりポリイオンコンプレックスを形成しやすくする観点、及び残香性向上の観点から、好ましくは0.1mmol/g以上、より好ましくは0.2mmol/g以上、更に好ましくは0.3mmol/g以上であり、残香性向上の観点、及び安定配合性向上の観点から、好ましくは25mmol/g以下、より好ましくは20mmol/g以下、更に好ましくは15mmol/g以下、より更に好ましくは10mmol/g以下、より更に好ましくは5.0mmol/g以下である。
成分(B)のアニオン電荷密度は、ポリマー1gあたりに含有されるアニオン性基のモル数である。なお、成分(B)のアニオン性基の少なくとも一部が中和塩になっている場合、上記アニオン性基のモル数には、塩の状態をとっているアニオン性基のモル数も含めるものとする。
成分(B)として2種以上のポリマーを用いてもよく、この場合の成分(B)のアニオン電荷密度は、それぞれのポリマーのアニオン電荷密度と配合量から加重平均を算出することにより求められる。
【0036】
成分(B)として、市販のアニオン性多糖類を用いることもできる。その具体例としては、(株)キミカ製「キミカアルギンI-3」、「キミカアルギンIL-2」等のアルギン酸ナトリウム、花王(株)製「SPS-S-SA」等のステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸ナトリウム、第一工業製薬(株)製「セロゲン F-5A」、「セロゲン MP-120」、日本製紙(株)製「サンローズ F1400MC」、「サンローズ F800HC」等のカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。
【0037】
<成分(C):香料>
本発明の組成物は、成分(C)として、モノテルペンアルコール類、環式モノテルペン類、芳香族アルデヒド類、及びメチルジヒドロジャスモネートからなる群から選ばれる1種以上を含む香料を含有する。成分(C)に含まれるモノテルペンアルコール類、環式モノテルペン類、芳香族アルデヒド類、及びメチルジヒドロジャスモネートは、いずれも香料として作用する化合物である。
モノテルペンアルコール類としては、リナロール、シトロネロール、ゲラニオール、ジヒドロリナロール、エチルリナロール、ネロール、ミルセノール、ラバンジュロール、ジヒドロミルセノール等の鎖状モノテルペンアルコール類;テルピネオール及びカルベオール等の単環式モノテルペンアルコール類;が挙げられる。
環式モノテルペン類としては、モノテルペンアルコール類以外の環式モノテルペン類が挙げられ、例えばリモネン、カンフェン、フェランドレン、ターピネン、ターピノレン、セドレン、カリオフィレン等が挙げられる。
芳香族アルデヒド類としては、シンナミルアルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、ヘキシルシンナマル等が挙げられる。
【0038】
成分(C)は、本発明の効果の有効性の観点、残香性向上の観点、及び安定配合性向上の観点から、モノテルペンアルコール類、環式モノテルペン類、芳香族アルデヒド類、及びメチルジヒドロジャスモネートからなる群から選ばれる1種以上のうち、好ましくはリナロール、シトロネロール、ゲラニオール、リモネン、ヘキシルシンナマル、及びメチルジヒドロジャスモネートからなる群から選ばれる1種以上を含む。
【0039】
成分(C)は、モノテルペンアルコール類、環式モノテルペン類、芳香族アルデヒド類、及びメチルジヒドロジャスモネート以外の香料成分を含むことができる。なお、成分(C)中の、モノテルペンアルコール類、環式モノテルペン類、芳香族アルデヒド類、及びメチルジヒドロジャスモネートの合計含有量は、本発明の効果の有効性の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上、より更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上であり、100質量%以下である。
【0040】
<水>
本発明の組成物は水性組成物であることから、水を含有する。水としては、脱イオン水又は蒸留水が好ましい。なお、組成物の安定性を損なわない範囲で、次亜塩素酸等で殺菌した水道水、地下水等を用いてもよい。
【0041】
<電荷比>
本発明の組成物中の成分(B)のアニオン電荷に対する成分(A)のカチオン電荷の比[(A)/(B)]は、残香性向上の観点、及び安定配合性向上の観点から、0.30以上であり、好ましくは0.40以上、より好ましくは0.50以上、より更に好ましくは0.70以上、より更に好ましくは0.80居樹、より更に好ましくは0.90以上である。また、電荷比[(A)/(B)]は、25以下であり、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下、より更に好ましくは15以下、より更に好ましくは12以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは8.0以下である。
【0042】
<含有量>
本発明の組成物中の各成分の含有量は、好ましくは下記の通りである。
組成物中の成分(A)の含有量は、ポリイオンコンプレックスの形成しやすさの観点、及び残香性向上の観点から、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上である。また、安定配合性向上の観点から、好ましくは9.5質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下、更に好ましくは7.5質量%以下、より更に好ましくは5.0質量%以下、より更に好ましくは2.0質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0043】
組成物中の成分(B)の含有量は、ポリイオンコンプレックスの形成しやすさの観点、及び残香性向上の観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上、より更に好ましくは0.04質量%以上である。また、安定配合性向上の観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以下、より更に好ましくは0.5質量%以下、より更に好ましくは0.3質量%以下、より更に好ましくは0.2質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下である。
【0044】
組成物中の成分(A)及び成分(B)の合計含有量は、ポリイオンコンプレックスの形成しやすさの観点、及び残香性向上の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.08質量%以上、更に好ましくは0.10質量%以上、より更に好ましくは0.20質量%以上、より更に好ましくは0.30質量%以上、より更に好ましくは0.35質量%以上である。また、安定配合性向上の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、より更に好ましくは2.0質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以下、より更に好ましくは0.60質量%以下である。
【0045】
組成物中の成分(B)に対する成分(A)の質量比[(A)/(B)]は、ポリイオンコンプレックスの形成しやすさの観点、残香性向上の観点、及び安定配合性向上の観点から、好ましくは0.60以上、より好ましくは0.75以上、更に好ましくは1.0以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは9.0以下である。
【0046】
組成物中の成分(C)の含有量は、残香性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上、より更に好ましくは0.05質量%以上である。また、安定配合性向上の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以下、より更に好ましくは2.0質量%以下、より更に好ましくは1.5質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以下である。
【0047】
組成物中の成分(A)及び成分(B)の合計量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]は、残香性向上の観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは2.0以上であり、安定配合性向上の観点から、好ましくは10.0以下、より好ましくは5.0以下、更に好ましくは3.0以下である。
【0048】
組成物中の水の含有量は、水性組成物とする観点、及び安定配合性向上の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上である。組成物中の水の含有量は、成分(A)~(C)の残部であってもよい。
【0049】
<成分(D):ノニオン性ポリマー>
本発明の組成物は、残香性向上の観点から、さらに(D)ノニオン性ポリマーを含有することができる。本明細書において「ノニオン性ポリマー」とは、イオン性基である、カチオン性基、アニオン性基、及び両性基を実質的に有さないポリマーを意味する。
本発明の組成物において、成分(A)と成分(B)とにより形成されるポリイオンコンプレックスの剛直な架橋構造が、成分(D)の、長鎖で且つ柔軟な非架橋構造との複合化により補強されると考えられる。そして成分(B)-成分(D)間は水素結合が可能であるため、成分(D)が成分(B)により前記架橋構造内に保持され、皮膜中でより高強度化されたネットワークを形成していると考えられる。これにより、得られる組成物の残香性が向上すると考えられる。
【0050】
成分(D)としては、ポリアルキレングリコール又はその誘導体、ビニルピロリドン由来の構成単位を含む重合体、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含む重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリカプロラクタム等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
【0051】
ポリアルキレングリコールとしては、アルキレンの炭素数が2以上6以下、好ましくは2以上4以下、更に好ましくは2以上3以下のアルキレングリコールの単独重合体又は共重合体が挙げられる。その具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)、ポリエチレングリコール-ポリトリメチレンエーテルグリコール共重合体、ポリエチレングリコール-ポリテトラメチレンエーテルグリコール共重合体、ポリプロピレングリコール-ポリテトラメチレンエーテルグリコール共重合体等が挙げられる。これらの中でも、残香性向上の観点、及び安定配合性向上の観点、並びに入手性の観点から、好ましくはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及び、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、ポリエチレングリコール及びポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体からなる群から選ばれる1種以上である。
【0052】
ポリアルキレングリコール誘導体としては、上記ポリアルキレングリコールの末端変性品、例えば、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールジアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールモノアリールエーテル、ポリアルキレングリコールジアリールエーテル、ポリアルキレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコールジ脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、残香性向上の観点、及び安定配合性向上の観点、並びに入手性の観点から、好ましくはポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールジアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールモノ脂肪酸エステル、及びポリアルキレングリコールジ脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはポリアルキレングリコールモノ脂肪酸エステル及びポリアルキレングリコールジ脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種以上である。
ポリアルキレングリコールのモノ又はジアルキルエーテルにおけるアルキル基の炭素数、及び、ポリアルキレングリコールのモノ又はジ脂肪酸エステルにおける脂肪酸の炭素数は、好ましくは1以上36以下、より好ましくは4以上32以下、更に好ましくは8以上24以下、より更に好ましくは12以上22以下である。また、ポリアルキレングリコールのモノ又はジアリールエーテルにおけるアリール基の炭素数は、好ましくは6以上36以下、より好ましくは6以上32以下、更に好ましくは6以上24以下、より更に好ましくは6以上22以下である。
【0053】
ポリアルキレングリコール誘導体の具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールジブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールモノデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリエチレングリコールモノトリデシルエーテル、ポリエチレングリコール-ビスフェノールAエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート(ジステアリン酸ポリエチレングリコール)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノメチルエーテル、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノブチルエーテル、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ジブチルエーテル、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノオクチルエーテル、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノデシルエーテル、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノドデシルエーテル、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノトリデシルエーテル、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ビスフェノールAエーテル、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ジラウレート、ジステアリン酸ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-ジグリシジルエーテル等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
【0054】
ビニルピロリドン由来の構成単位を含む重合体としては、ビニルピロリドンの単独重合体、又はビニルピロリドンとノニオン性モノマーとの共重合体が挙げられる。その具体例としては、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール共重合体等が挙げられる。
【0055】
(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含む重合体としては、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、及び、(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテル等のノニオン性モノマーとの共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、前述した(メタ)アクリル酸アルキルエステルの他、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルエーテル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位を含む重合体の具体例としては、(ジメチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリル酸メトキシエチル)共重合体等が挙げられる。
【0056】
上記の中でも、残香性向上の観点、及び安定配合性向上の観点、並びに入手性の観点から、成分(D)としては、好ましくはポリアルキレングリコール又はその誘導体、及び、ビニルピロリドン由来の構成単位を含む重合体からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体、これらのモノ又はジ脂肪酸エステル、及びポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる1種以上であり、更に好ましくはポリエチレングリコールである。
【0057】
成分(D)の重量平均分子量(Mw)は、残香性向上の観点、及び安定配合性向上の観点から、好ましくは2,000以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは10,000以上であり、また、好ましくは2,000,000以下、より好ましくは1,500,000以下、更に好ましくは1,000,000以下、より更に好ましくは500,000以下、より更に好ましくは200,000以下、より更に好ましくは100,000以下である。
成分(D)の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
【0058】
本発明の組成物が成分(D)を含有する場合、組成物中の成分(D)の含有量は、残香性向上の観点から、好ましくは0.02質量%以上、より好ましくは0.04質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、より更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.3質量%以上である。また、安定配合性向上の観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、より更に好ましくは2.0質量%以下である。
【0059】
本発明の組成物が成分(D)を含有する場合、組成物中の成分(A)及び成分(B)の合計量に対する成分(D)の質量比[(D)/{(A)+(B)}]は、残香性向上の観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、更に好ましくは0.25以上、より更に好ましくは0.50以上、より更に好ましくは0.70以上、より更に好ましくは0.80以上であり、安定配合性向上の観点から、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.0以下、より更に好ましくは1.5以下、より更に好ましくは1.2以下である。
【0060】
<成分(E):分子量1,000以上30,000以下の、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含む非架橋型アニオン性ポリマー>
本発明の組成物は、残香性向上の観点から、さらに(E)分子量1,000以上30,000以下の、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含む非架橋型アニオン性ポリマーを含有することができる。なお、成分(E)は、成分(B)以外のポリマーである。
成分(E)は、ポリイオンコンプレックス中の架橋構造と複合化した前記(D)ノニオン性ポリマーと水素結合を形成することで、成分(A)-成分(B)により形成されたポリイオンコンプレックスの架橋構造内に成分(D)を固定化することができると考えられる。この効果により、本発明の組成物により対象物を処理した後にすすぎや洗浄を行っても成分(D)が洗い流されずに皮膜内に残留しやすくなり、残香性がより向上すると考えられる。
【0061】
成分(E)の分子量は、成分(D)の固定化に寄与して、残香性を向上させる観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは2,000以上、更に好ましくは5,000以上、より更に好ましくは10,000以上であり、また、好ましくは50,000以下、より好ましくは40,000以下、更に好ましくは30,000以下である。
ここでいう「分子量」は、重量平均分子量を意味し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
【0062】
成分(E)は、好ましくは分子量1,000以上50,000以下、より好ましくは1,000以上30,000以下の、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含む非架橋型アニオン性ポリマーである。
該非架橋型アニオン性ポリマーとしては、架橋構造を有さない、(メタ)アクリル酸の単独重合体又は共重合体、又はこれらの塩が挙げられる。ここでいう架橋構造とは、ポリマーの主たる構造であるポリマー鎖が、ポリマー鎖内又はポリマー鎖間で連結してなる三次元の網目構造を意味する。該架橋構造の形成方法は特に制限されず、例えば、重縮合やラジカル重合のように重合と同時に架橋する方法や、ポリマー鎖を後から架橋する方法により形成されたものが挙げられる。
【0063】
成分(E)として好適に用いられる、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含む非架橋型アニオン性ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸の他、(メタ)アクリル酸/マレイン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/イタコン酸共重合体、(メタ)アクリル酸/フマル酸共重合体、(メタ)アクリル酸/酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、(メタ)アクリル酸/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/(N-アルキル)アクリルアミド共重合体、及びこれらの塩が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
上記の中でも、残香性向上の観点から、成分(E)としては、好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上である。
【0064】
ポリ(メタ)アクリル酸又はその塩としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、及びこれらの塩が挙げられ、ポリアクリル酸又はその塩が好ましい。
(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体又はその塩としては、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル又はその塩がより好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキルの炭素数が好ましくは1以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは8以上、より更に好ましくは12以上であり、好ましくは40以下、より好ましくは36以下、更に好ましくは32以下、より更に好ましくは24以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステルが好ましく、(アクリル酸/アクリル酸オクチル)共重合体、及び(アクリル酸/アクリル酸ステアリル)共重合体からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、(アクリル酸/アクリル酸ステアリル)共重合体が更に好ましい。
【0065】
成分(E)が塩である場合、該塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられ、入手性の観点から、好ましくはアルカリ金属塩である。
【0066】
成分(E)のアニオン電荷密度は特に制限されないが、残香性向上の観点から、好ましくは1.0mmol/g以上、より好ましくは3.0mmol/g以上、更に好ましくは5.0mmol/g以上であり、また、好ましくは25mmol/g以下、より好ましくは20mmol/g以下、更に好ましくは15mmol/g以下である。
成分(E)として2種以上のポリマーを用いてもよく、この場合の成分(E)のアニオン電荷密度は、それぞれのポリマーのアニオン電荷密度と配合量から加重平均を算出することにより求められる。
【0067】
組成物が成分(E)を含有する場合、組成物中の成分(E)の含有量は、残香性向上の観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.002質量%以上、更に好ましくは0.005質量%以上であり、安定配合性向上の観点から、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下である。
【0068】
組成物が成分(D)及び成分(E)を含有する場合、組成物中の成分(D)に対する成分(E)の質量比[(E)/(D)]は、残香性向上の観点、及び安定配合性向上の観点から、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上であり、また、好ましくは0.50以下、より好ましくは0.20以下、更に好ましくは0.10以下、より更に好ましくは0.05以下、より更に好ましくは0.03以下である。
【0069】
<成分(F):カチオン性界面活性剤>
本発明の組成物は、処理対象物に良好な感触を付与する観点から、さらに(F)カチオン性界面活性剤を含有することができる。
成分(F)としては、(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩、(ii)アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩、(iv)アルキルアミドアルキルトリメチルアンモニウム塩、(v)アルキルジメチルアミン及びその塩、(vi)アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩、並びに、(vii)アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩等が挙げられる。
【0070】
(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩としては、好ましくは炭素数12以上24以下、より好ましくは炭素数16以上24以下のアルキル基を有するアルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられ、具体的には、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(セトリモニウムクロリド)、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド(ステアルトリモニウムクロリド)、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(ベヘントリモニウムクロリド)等が挙げられる。
(ii)アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、好ましくは炭素数12以上22以下、より好ましくは炭素数16以上20以下のアルコキシ基を有するアルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられ、具体的には、ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアロキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、好ましくは炭素数12以上22以下、より好ましくは炭素数16以上20以下のアルキル基を有するジアルキルジメチルアンモニウム塩が挙げられ、具体的には、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
(iv)アルキルアミドアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、好ましくは炭素数11以上21以下、より好ましくは炭素数13以上19以下のアルキル基を有するアルキルアミドアルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられ、具体的にはパルミタミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(パルミタミドプロピルトリモニウムクロリド)等が挙げられる。
【0071】
(v)アルキルジメチルアミン、(vi)アルコキシアルキルジメチルアミン、及び(vii)アルキルアミドアルキルジメチルアミンは、酸と反応して第3級アミン塩となり、カチオン性界面活性剤となる。
(v)アルキルジメチルアミン及びその塩におけるアルキル基、並びに(vi)アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩におけるアルコキシ基は、好ましくは炭素数12以上22以下、より好ましくは炭素数16以上20以下のアルキル基である。
(vii)アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩におけるアルキルアミド部分のアルキル基は、好ましくは炭素数11以上21以下、より好ましくは炭素数15以上19以下のアルキル基である。
【0072】
(v)~(vii)のアミンは予め酸と反応させて塩として組成物に配合してもよく、また、そのままアミンとして組成物に配合し、更に組成物に酸を配合することにより該組成物中で塩を形成させてもよい。従って、ここでは、上記アミン及びその塩をカチオン性界面活性剤と定義する。また、その含有量又は配合量は、上記アミンの質量で換算する。
(v)~(vii)のアミンの塩としては、有機酸又は無機酸による塩が挙げられる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸;ポリグルタミン酸等のポリカルボン酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸等が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等が挙げられる。これらの中では、有機酸が好ましく、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、及び酸性アミノ酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。ジカルボン酸としてはマレイン酸及びコハク酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。ヒドロキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸及びリンゴ酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。酸性アミノ酸としてはグルタミン酸がより好ましい。
【0073】
(v)アルキルジメチルアミン及びその塩としては、N,N-ジメチルベヘニルアミン、N,N-ジメチルステアリルアミン、及びそれらの有機酸塩が挙げられ、N,N-ジメチルベヘニルアミンの乳酸塩、N,N-ジメチルステアリルアミンのグリコール酸塩等が好ましい。
【0074】
(vi)アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩としては、N,N-ジメチル-3-ヘキサデシルオキシプロピルアミン、N,N-ジメチル-3-オクタデシルオキシプロピルアミン、及びそれらの有機酸塩が挙げられ、N,N-ジメチル-3-ヘキサデシルオキシプロピルアミン又はその乳酸塩、N,N-ジメチル-3-オクタデシルオキシプロピルアミン(ステアロキシプロピルジメチルアミン)又はその乳酸塩が好ましい。
【0075】
(vii)アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩としては、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサナミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ステアラミド、及びそれらの有機酸塩が挙げられ、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ドコサナミドの乳酸塩、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]ステアラミドのグリコール酸塩が好ましい。
【0076】
成分(F)は、1種又は2種以上を用いることができる。
上記の中でも、成分(F)としては、処理対象物に良好な感触を付与する観点から、好ましくは(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩、(ii)アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、(iii)ジアルキルジメチルアンモニウム塩、(iv)アルキルアミドアルキルトリメチルアンモニウム塩、(v)アルキルジメチルアミン及びその塩、(vi)アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩、並びに、(vii)アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは、(i)アルキルトリメチルアンモニウム塩及び(vi)アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩からなる群から選ばれる1種以上、更に好ましくはセチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、N,N-ジメチル-3-ヘキサデシルオキシプロピルアミン又はその乳酸塩、及びN,N-ジメチル-3-オクタデシルオキシプロピルアミン(ステアロキシプロピルジメチルアミン)又はその乳酸塩からなる群から選ばれる1種以上、より更に好ましくはセチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、及びベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドからなる群から選ばれる1種以上である。
【0077】
本発明の組成物が成分(F)を含有する場合、組成物中の成分(F)の含有量は、処理対象物に良好な感触を付与する観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、より更に好ましくは0.1質量%以上、より更に好ましくは0.2質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上である。また、安定配合性向上の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下である。
【0078】
<成分(G):高級アルコール>
本発明の組成物は、処理対象物に良好な感触を付与する観点から、さらに(G)高級アルコールを含有することができる。
成分(G)としては、炭素数12以上、好ましくは炭素数12以上22以下の脂肪族1価アルコールが挙げられる。該高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール、及び、セトステアリルアルコールからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
上記の中でも、処理対象物に良好な感触を付与する観点から、好ましくはセチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールからなる群から選ばれる1種以上である。
【0079】
本発明の組成物が成分(G)を含有する場合、組成物中の成分(G)の含有量は、処理対象物に良好な感触を付与する観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは1.0質量%以上、より更に好ましくは2.0質量%以上、より更に好ましくは5.0質量%以上である。また、安定配合性向上の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0080】
<成分(H):油剤>
本発明の組成物は、処理対象物に良好な感触を付与する観点から、さらに(H)油剤を含有することができる。成分(H)は、成分(C)及び成分(G)以外の油剤である。
成分(H)としては、(a)シリコーン油、(b)エステル油、(c)エーテル油、(d)炭化水素油、(e)高級脂肪酸、(f)ロウ類等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。上記の中でも、処理対象物に良好な感触を付与する観点から、好ましくは(a)シリコーン油、(b)エステル油、(d)炭化水素油、及び(e)高級脂肪酸からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくは(b)エステル油である。
【0081】
(b)エステル油としては、合成エステル油、天然油脂等が挙げられ、例えば、1価カルボン酸と1価アルコールとのエステル、1価カルボン酸と多価アルコールとのエステル、多価カルボン酸と1価アルコールとのエステルが挙げられる。
【0082】
1価カルボン酸と1価アルコールとのエステルとして、下記一般式(11)で表されるエステルが挙げられる。
11-COO-R12 (11)
一般式(11)において、R11は、水酸基が置換していてもよく、炭素数1以上25以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基、又は炭素数6以上24以下の芳香族含有炭化水素基を示し、R12は、炭素数1以上30以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。
【0083】
11がアルキル基又はアルケニル基の場合、炭素数は、好ましくは7以上であり、そして、好ましくは23以下、より好ましくは21以下、更に好ましくは19以下、より更に好ましくは17以下である。
11が芳香族含有炭化水素基の場合、炭素数は、好ましくは6以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下である。
12の炭素数は、好ましくは2以上であり、そして、好ましくは28以下、より好ましくは24以下、更に好ましくは20以下である。
より更に好ましくは、一般式(11)において、R11が炭素数7以上17以下の直鎖又は分岐鎖アルキル基であり、R12が炭素数2以上24以下の直鎖又は分岐鎖アルキル基であるエステルである。
【0084】
一般式(11)で表されるエステルの具体例としては、イソオクタン酸セチル、イソオクタン酸ステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、酢酸ラノリン、ヒマシ油脂肪酸メチル(リシノレイン酸メチル)、及び安息香酸アルキル(アルキルの炭素数12~15)からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
【0085】
1価カルボン酸と1価アルコールとのエステルとして、下記一般式(12)で表されるエステルも挙げられる。
13-COO-(AO)n-R14 (12)
一般式(12)において、R13は、水酸基が置換していてもよく、炭素数1以上25以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R14は炭素数6以上24以下の芳香族含有炭化水素基を示す。AOは、炭素数2以上4以下のアルキレンオキシ基を示し、nは1以上50以下の平均付加モル数を表す。
13は、好ましくは炭素数が7以上であり、そして、好ましくは23以下、より好ましくは21以下、更に好ましくは19以下のアルキル基である。
14は、好ましくは炭素数が6以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下の芳香族含有炭化水素基、より更に好ましくはベンジル基である。
AO基は、好ましくはプロピレンオキシ基であり、nは、好ましくは1以上10以下、より好ましくは1以上5以下である。
一般式(12)で表されるエステルの具体例としては、ミリスチン酸とベンジルアルコールのプロピレンオキシド3モル付加体とのエステル(クローダ社製「クロダモルSTS」)、2-エチルヘキサン酸とベンジルアルコールのプロピレンオキシド3モル付加体とのエステル(クローダ社製「クロダモルSFX」)等が挙げられる。
【0086】
1価カルボン酸と多価アルコールとのエステルとして、下記一般式(13)で表されるエステルが挙げられる。
15-(OCOR16p (13)
一般式(13)において、R15は多価アルコール残基を示し、好ましくは炭素数2以上10以下の炭化水素基であり、R16は炭素数1以上25以下の1価カルボン酸残基を示し、pは2以上10以下の整数を示す。
なお、R15はエーテル結合を有してもよいが、好ましくは炭素数2以上10以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基である。また、pは前記多価アルコールが有するヒドロキシ基と同じ数である。
16は、好ましくは炭素数が7以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは23以下、より好ましくは21以下、更に好ましくは19以下のアルキル基である。
より更に好ましくは、一般式(13)において、R15がグリセリン残基又はペンタエリスリトール残基であり、R16が炭素数7以上19以下のアルキル基であるエステルである。
【0087】
一般式(13)で表されるエステルの具体例としては、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジ(カプリル酸/カプリン酸)プロパンジオール、ジイソステアリン酸プロパンジオール、ジ2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキシル酸グリセリル、トリ2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、天然油脂が挙げられる。
天然油脂としてはアボカド油、オリーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、ダイズ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマシ油、綿実油、ミンク油等のトリグリセリドが挙げられる。
【0088】
多価カルボン酸と1価アルコールとのエステルとしては、下記一般式(14)で表されるエステルも挙げられる。
17-(COOR18q (14)
一般式(14)において、R17は炭素数2以上10以下の多価カルボン酸残基であり、R18は炭素数1以上24以下の1価アルコール残基を示し、qは2以上10以下の整数である。また、qは前記多価カルボン酸が有するカルボキシ基と同じ数である。
18は、好ましくは炭素数3以上、より好ましくは6以上であり、そして、前記と同様の観点から、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下である。
より更に好ましくは、一般式(14)において、R17がトリメリット酸残基であり、R18が炭素数6以上18以下の分岐鎖アルキル基であるエステルである。
【0089】
一般式(14)で表されるエステルの具体例としては、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2-ヘプチルウンデシル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、トリメリット酸トリ2-エチルヘキシル等が挙げられる。
【0090】
これらの中でも、処理対象物に良好な感触を付与する観点から、好ましくは一般式(11)で表される、1価カルボン酸と1価アルコールとのエステル、一般式(13)で表される、1価カルボン酸と多価アルコールとのエステル、又は一般式(14)で表される、多価カルボン酸と1価アルコールとのエステルであり、より好ましくは、一般式(11)で表される、1価カルボン酸と1価アルコールとのエステルであり、更に好ましくはイソオクタン酸セチル、イソオクタン酸ステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、酢酸ラノリン、ヒマシ油脂肪酸メチル(リシノレイン酸メチル)、及び安息香酸アルキル(アルキルの炭素数12~15)からなる群から選ばれる1種以上であり、より更に好ましくはミリスチン酸イソプロピル及びパルミチン酸イソプロピルからなる群から選ばれる1種以上である。
【0091】
本発明の組成物が成分(H)を含有する場合、組成物中の成分(H)の含有量は、処理対象物に良好な感触を付与する観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは1.0質量%以上である。また、安定配合性向上の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5.0質量%以下である。
【0092】
<成分(I):酸>
本発明の組成物は、安定配合性向上の観点から、さらに(I)酸を含有することが好ましい。
成分(I)として、有機酸又は無機酸を用いることができ、本発明の組成物を化粧料組成物として用いる観点からは、好ましくは有機酸である。該有機酸としては、成分(B)及び成分(E)以外の、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物が挙げられ、好ましくは分子量が500以下、より好ましくは200以下の化合物である。
【0093】
カルボン酸系化合物としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸等の、炭素数4以下の脂肪族モノカルボン酸;安息香酸等の芳香族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;ポリグルタミン酸等のポリカルボン酸;乳酸、リンゴ酸、グリコール酸、ヒドロキシアクリル酸、グリセリン酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸;等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
スルホン酸系化合物としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸;p-トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸;等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
【0094】
安定配合性向上の観点、並びに、本発明の組成物を化粧料組成物として用いる観点から、有機酸としては、好ましくは脂肪族ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、及び芳香族スルホン酸からなる群から選ばれる1種以上であり、より好ましくはコハク酸、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸、p-トルエンスルホン酸、及びナフタレンスルホン酸からなる群から選ばれる1種以上、更に好ましくはコハク酸及び乳酸からなる群から選ばれる1種以上、より更に好ましくは乳酸である。
なお有機酸は、配合時には、少なくとも一部が有機酸塩の状態であってもよい。有機酸の塩としては、化粧料組成物に用いる観点、及び入手性の観点から、有機酸のアルカリ金属塩又はアルカリ金属塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましく、ナトリウム塩及びカリウム塩からなる群から選ばれる1種以上が更に好ましく、ナトリウム塩がより更に好ましい。
有機酸及び有機酸塩の総量中の有機酸塩の割合は、安定配合性向上の観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは5質量%以下であり、0質量%であってもよい。ここでいう有機酸塩の割合(質量%)は、有機酸に換算した質量%を意味する。
【0095】
本発明の組成物が成分(I)を含有する場合、組成物中の成分(I)の含有量は、安定配合性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、より更に好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、より更に好ましくは1.0質量%以下である。
但し、本発明の組成物が(F)カチオン性界面活性剤として(v)アルキルジメチルアミン及びその塩、(vi)アルコキシアルキルジメチルアミン及びその塩、並びに、(vii)アルキルアミドアルキルジメチルアミン及びその塩のいずれかを含む場合には、該乳化組成物中の成分(I)の含有量は5.0質量%を超える量であってよい。成分(I)は上記アミンの対アニオンとして存在することで、組成物の安定配合性向上、及び、処理対象物の感触向上が見込まれるためである。
【0096】
<成分(J):水性媒体>
本発明の組成物は、(G)高級アルコール、(H)油剤を配合する際の水への分散性を高める観点から、さらに(J)水性媒体を含有することができる。成分(J)は、水以外の水性媒体である。
成分(J)としては、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール;1,3-ブチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の炭素数6以下の低分子ジオール及びトリオール等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0097】
本発明の組成物が成分(J)を含有する場合、組成物中の成分(J)の含有量は、成分(J)の添加効果を発揮させる観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは1.0質量%以上である。また、安定配合性向上の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5.0質量%以下である。
【0098】
その他、本発明の組成物には、任意成分として、成分(F)以外の界面活性剤、成分(I)以外のpH調整剤、感触向上剤、着色剤、酸化防止剤、抗フケ剤、ビタミン剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、保湿剤、パール剤、セラミド類、植物エキス、紫外線吸収剤等を配合することができる。
【0099】
<pH>
本発明の組成物は、該組成物を水で20倍希釈した水溶液の25℃におけるpHが、残香性向上の観点から、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.2以上であり、安定配合性の観点から、好ましくは7.5以下である。
上記pHは、pHメーターを用いて、実施例に記載の方法により測定することができる。
【0100】
<組成物の形態>
本発明の組成物は水性組成物であり、好ましくは水を50質量%以上含有する。本発明の組成物は乳化組成物の形態であってもよい。該乳化組成物は、水性組成物である観点、及び使用感向上の観点から、好ましくは水中油型乳化組成物である。
【0101】
[組成物の製造方法]
本発明の組成物の製造方法は特に制限されないが、安定配合性向上の観点、並びに製造効率向上の観点から、本発明の組成物の製造方法は、成分(A)及び成分(B)を含む混合物、又は、成分(A)及び成分(B)を含む溶液と、成分(C)、又は、成分(C)を含む溶液と、を混合する工程を有することが好ましい。より詳細には、成分(A)及び成分(B)を含む溶液を予め調製し、該溶液と、成分(C)とを混合する工程を有することがより好ましい。
成分(A)~(C)を混合する際の混合条件は特に制限されず、通常、5~60℃で0.1~12時間、公知の攪拌装置を用いて行うことができる。
【0102】
本発明の組成物が(D)ノニオン性ポリマー、(E)所定のアニオン性ポリマー、(F)カチオン性界面活性剤、(G)高級アルコール、(H)油剤、(I)酸、及び(J)水性媒体を含有する場合、これらの成分(D)~(J)は、任意の段階で添加することができる。
但し安定配合性向上の観点から、組成物が(F)カチオン性界面活性剤、(G)高級アルコール、及び(H)油剤からなる群から選ばれる1種以上を含有する場合には、成分(A)及び成分(B)を含む溶液を予め調製し、該溶液と、成分(F)、(G)、(H)、(J)又はこれらの混合物を含む溶液とを混合する工程を有することが好ましい。
また、組成物が(D)ノニオン性ポリマー、(E)所定のアニオン性ポリマー、(I)酸、及び(J)水性媒体からなる群から選ばれる1種以上を含有する場合には、安定配合性向上の観点から、成分(B)と成分(D)、(E)、(I)、(J)又はこれらの混合物を含む溶液と、成分(A)とを混合する工程を有することが好ましい。
また、(C)香料の揮発を抑制する観点から、いずれの場合も、(C)香料を最後に混合することが好ましい。
【0103】
[化粧料組成物]
本発明はさらに、前記水性組成物を含む化粧料組成物を提供する。本発明の化粧料組成物を処理対象物に適用することで、優れた残香性を付与できる。
化粧料組成物中の前記水性組成物の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、100質量%以下である。前記水性組成物は、そのまま化粧料組成物として用いてもよい。
【0104】
化粧料組成物の種類としては、毛髪化粧料組成物、皮膚化粧料組成物が挙げられ、好ましくは毛髪化粧料組成物である。
化粧料組成物のうち、毛髪化粧料組成物の製品形態としては、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント(洗い流さないタイプを含む)、ヘアスタイリング剤、ヘアカラー、パーマネント剤等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果の有効性の観点から、好ましくはヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、又はヘアスタイリング剤である。
皮膚化粧料組成物の製品形態としては、ボディソープ、洗顔料、入浴剤、デオドラント製剤、メイクアップ化粧料、日焼け止め、化粧下地、乳液、美容液、クリーム等が挙げられる。
【実施例0105】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。なお、実施例における測定及び評価は以下の方法により行った。
【0106】
(カチオン性ポリマーの1質量%水溶液粘度の測定)
各例で使用したカチオン性ポリマー(成分(A)又は成分(A’))の1質量%水溶液を調製し、B型粘度計(東機産業(株)製、TVB-10)を用いて30℃における水溶液粘度を測定した。本実施例において、成分(A)以外のカチオン性ポリマーを「成分(A’)」と表記した。
【0107】
(pH測定)
各例の組成物を水で20倍に希釈し、pHメーター((株)堀場製作所製、F-51)を用いて、25℃におけるpHを測定した。
【0108】
(残香性評価)
長さ20cm、質量20gの日本人毛のトレスを2等分にして比較評価を行った。
一方のトレスを水で濡らし、下記組成のプレーンシャンプー1mLを塗布して30秒間泡立てた。水道水で15秒間すすいだ後、実施例及び比較例(表2~4)に記載の組成物0.5gをトレスに塗布し、1分間なじませた。次いで、トレスに指を通しながら水道水で10秒間すすいだ。タオルドライした後に、ドライヤーで冷風乾燥させた。
また、他方のトレスを用いて、表1に記載の基準組成物において、香料として、実施例及び比較例(表2~3)で使用したものと同一の単一香料(リナロール、ヘキシルシンナマル、シトロネロール、メチルジヒドロジャスモネート、リモネン、又はゲラニオール)を配合した対照組成物を準備し、該組成物を用いて前記と同様にトレスを処理した。実施例15(表4)の組成物に関しては、表4に記載の基準組成物において、香料として、実施例15で使用したものと同一の香料(表5)を配合した対照組成物を準備し、該組成物を用いて前記と同様にトレスを処理した。
残香性は、香料の専門パネラー3名により、乾燥直後のトレスの香りの強度について7段階で評価し、3名のスコアの平均値を表2~4に示した。この際、前記対照組成物により処理したトレスの乾燥直後の香りの強度を基準「3」とした。
〔評価基準〕
6:非常に高い
5:高い
4:やや高い
3:基準
2:やや低い
1:低い
0:非常に低い
【0109】
〔プレーンシャンプー組成〕*配合量は有効成分量である。
(質量%)
ポリオキシエチレン(2.0)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム
(*1) : 15.5
ラウリン酸ジエタノールアミド(*2) : 2.2
エデト酸二ナトリウム : 0.15
安息香酸ナトリウム : 0.18
オキシベンゾン : 0.03
リン酸 : 0.07
塩化ナトリウム : 0.8
香料 : 0.4
精製水 : 残 量
合計 :100.00
(*1)エマールE-27C(花王(株)製、有効成分27質量%)として42.0質量%
(*2)アミノーンC-11S(花王(株)製)、有効成分量 100質量%
【0110】
【表1】
【0111】
表1中に記載の成分は下記である。また表中に記載の配合量(質量%)は、90%乳酸を除き、各成分の有効成分量である。
*1:ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、花王(株)製、「コータミン 86P コンク」
*2:ステアリルアルコール、花王(株)製、「カルコール8098」
*3:パルミチン酸イソプロピル、花王(株)製、「エキセパール IPP」
*4:リナロール、ヘキシルシンナマル、シトロネロール、メチルジヒドロジャスモネート、リモネン、又はゲラニオール(単一香料)
*5:90%乳酸、PURAC Thailand Ltd.製、「PURAC ULTRAPURE90」
【0112】
(安定配合性評価)
実施例及び比較例(表2~4)に記載の組成物を調製した翌日に、目視で凝集物の有無を確認し、下記基準で安定配合性を評価した。
〔評価基準〕
A:凝集物が確認されない
B:凝集物がごくわずかに認められる
C:凝集物が明らかに認められる
【0113】
実施例1~15、比較例1~12(組成物の調製及び評価)
表2~4に記載した成分を用いて、以下の手順で組成物(ヘアコンディショナー)300gを調製した。
<工程1>
ビーカーに水15gを入れ、実施例1~15、比較例2~12においては、予め(J)ジプロピレングリコールに分散させた状態のアニオン性ポリマー(成分(B)又は成分(B’))を添加し、攪拌装置(プロペラ翼を1枚装着したメカニカルスターラー)を用いて、60℃で加熱攪拌を行った。実施例7~10においては、アニオン性ポリマーが完全に溶解したことを確認した後、(D)ノニオン性ポリマーを添加して完全に溶解させた。ここに(I)乳酸を添加して攪拌し、実施例7~10においては、さらに成分(E)であるアニオン性ポリマーを添加して攪拌した。次いで、カチオン性ポリマー(成分(A)又は成分(A’))を予め水に分散させて得られた分散液(ポリマー濃度:2.4質量%)を添加して、完全に混ざり合うまで攪拌して混合物を調製した。
<工程2>
別の500mLビーカーに残量の水を入れ、60℃で加熱攪拌した。ここに、表2~4に記載の(F)カチオン性界面活性剤、(G)高級アルコール、及び(H)油剤を予め混合し、80℃で溶解させて得られた油性相を添加して、62℃で10分攪拌した。10分攪拌後に加熱を終了し、空冷を開始した。ここに<工程1>で得られた混合物を添加して、液温が40℃以下になるまで攪拌しながら冷却した。さらに、表2~4に記載の(C)香料を添加し、ヘアコンディショナーを得た。
得られた組成物を用いて、前記方法で評価を行った。結果を表2~4に示す。
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】
表2~3中に記載の成分は下記である。また表中に記載の配合量(質量%)は、90%乳酸を除き、各成分の有効量である。
<成分(A):カチオン性ポリマー>
(成分(A1))
*1 ポリクオタニウム-52(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体)、花王(株)製「ソフケア KG-101W-E」、有効成分量 2.4質量%
*2 ポリクオタニウム-37(塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム重合体)、BASFジャパン(株)製「Cosmedia Ultragel 300」、一般式(1)で表される構成単位の含有量:100モル%
【0117】
(成分(A2))
*3 ポリクオタニウム-10(ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル)、花王(株)製「ポイズ C-80M」
*4 グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、Solvay製、「Jaguar C500」
*5 グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、Solvay製「Jaguar C17」
*6 グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、Solvay製「Jaguar C13S」
【0118】
<成分(A’):成分(A)以外のカチオン性ポリマー>
*7 (アクリル酸アミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリル酸アミド)コポリマー、BASFジャパン(株)製「Salcare SC60」
*8 ポリクオタニウム-6(塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体)、Lubrizol Advanced Materials,Inc.製「マーコート100」、有効成分量 41.5質量%
*9 ポリクオタニウム-22(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液)、Lubrizol Advanced Materials,Inc.製「マーコート295」、有効成分量 37質量%
【0119】
<成分(B):アニオン性多糖類>
*10 アルギン酸ナトリウム、(株)キミカ製「キミカアルギンI-3」
*11 ステアロキシPGヒドロキシエチルセルローススルホン酸Na、花王(株)製「SPS-S-SA」
*12カルボキシメチルセルロースナトリウム、第一工業製薬(株)製「セロゲン F-5A」
*13 アラビアゴム、DSP五協フード&ケミカル(株)製「アラビアガムHP粉末」
【0120】
<成分(B’):成分(B)以外のアニオン性ポリマー>
*14 アクリレーツコポリマー、Lubrizol Advanced Materials製「Carbopol Aqua SF-1」、有効成分量 30質量%
*15 (メチルビニルエーテル/マレイン酸)コポリマー、アシュランド・ジャパン(株)製「Gantrez 169N」
*16 (アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、Lubrizol Advanced Materials製「ペムレン TR-1」
*17 ポリアクリル酸、ダウ・ケミカル日本(株)製「Acusol 455G」
【0121】
<成分(D):ノニオン性ポリマー>
*18 ポリエチレングリコール、青木油脂工業(株)製「ブラウノン PEG-20000S」、Mw:2万
<成分(E):分子量1,000以上30,000以下の、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含む非架橋型アニオン性ポリマー>
*19 (アクリル酸/アクリル酸ステアリル)コポリマー、花王(株)製「ソフケア SA-37W」、Mw:2万、有効成分量 10質量%
<成分(F):カチオン性界面活性剤>
*20 ステアルトリメチルアンモニウムクロリド、花王(株)製「コータミン 86P コンク」、有効成分量 63質量%
<成分(G):高級アルコール>
*21 ステアリルアルコール、花王(株)製「カルコール8098」
<成分(H):油剤>
*22 パルミチン酸イソプロピル、花王(株)製「エキセパール IPP」
<成分(I):酸>
*23 90%乳酸、PURAC Thailand Ltd.製「PURAC ULTRAPURE90」
<成分(J):水性媒体>
*24 ジプロピレングリコール、(株)ADEKA製「DPG-RF」
【0122】
【表4】
【0123】
【表5】
【0124】
表4中に記載の成分は下記である。また表中に記載の配合量(質量%)は、90%乳酸を除き、各成分の有効量である。
*1 ポリクオタニウム-52(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体)、花王(株)製「ソフケア KG-101W-E」、有効成分量 2.4質量%
*2 アルギン酸ナトリウム、(株)キミカ製「キミカアルギンI-3」
*3 ステアルトリメチルアンモニウムクロリド、花王(株)製「コータミン 86P コンク」、有効成分量 63質量%
*4 ステアリルアルコール、花王(株)製「カルコール8098」
*5 パルミチン酸イソプロピル、花王(株)製「エキセパール IPP」
*6 表5に記載した組成の香料
*7 90%乳酸、PURAC Thailand Ltd.製「PURAC ULTRAPURE90」
*8 ジプロピレングリコール、(株)ADEKA製「DPG-RF」
【0125】
表2~4に示すように、本実施例の組成物により処理した毛髪は残香性に優れる。また、本実施例の組成物は安定配合性も有する。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明によれば、カプセル化が困難な香料を用いても、処理後の繊維又はケラチン物質に対し優れた残香性を発現し得る、繊維又はケラチン物質処理用水性組成物を提供できる。該組成物は、毛髪化粧料組成物、皮膚化粧料組成物等の各種化粧料組成物として用いることができる。