(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120653
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】シートクッション
(51)【国際特許分類】
B60N 2/18 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
B60N2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027605
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薦口 司
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BD14
3B087BD19
3B087DB03
3B087DB04
3B087DE09
(57)【要約】
【課題】シンプルな構造のチルト機構を含むシートクッションを提供すること。
【解決手段】本開示のシートクッションは、所定の間隔を空けて対向配設された一対のクッションサイドフレームと、その端部に隣接する位置に設けられた支軸が前記一対のクッションサイドフレームのそれぞれに回転自在に取り付けられた一対の回動フレームと、前記一対のクッションサイドフレームの少なくとも一方に取り付けられ前記一対の回動フレームを前記支軸を中心に上下方向に回動させることが可能なリフト機構と、を含み、前記リフト機構は、前記回動フレームを回動させるために、前記クッションサイドフレームに回転自在に取り付けられた回転軸を中心に回転可能な回転片と、ステータ、ロータ及び前記ロータに固定された回転シャフトを備え、前記回転シャフトは、前記回転軸の端部と同一線上に配置されると共に前記回転軸の端部に連結、あるいは前記回転軸と一体に形成されている、モータと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を空けて対向配設された一対のクッションサイドフレームと、
一方の端部に隣接する位置に設けられた支軸が前記一対のクッションサイドフレームのそれぞれに回転自在に取り付けられた一対の回動フレームと、
前記一対のクッションサイドフレームの少なくとも一方に取り付けられ前記一対の回動フレームを前記支軸を中心に上下方向に回動させることが可能なリフト機構と、を備え、
前記リフト機構は、
前記回動フレームを回動させるために、前記クッションサイドフレームに回転自在に取り付けられた回転軸を中心に回転可能な回転片と、
ステータ、ロータ及び前記ロータに固定された回転シャフトを備え、前記回転シャフトは、前記回転軸の端部と同一線上に配置されると共に前記回転軸の端部に連結、あるいは前記回転軸と一体に形成されている、モータと、を備える、
シートクッション。
【請求項2】
前記モータは、前記一対のクッションサイドフレームのうちの一方のクッションサイドフレームの、他方のクッションサイドフレームに対向する第1の面とは反対に位置する第2の面に配設され、前記回転軸は、前記一対のクッションサイドフレームに両端が取り付けられたパイプで構成される、
請求項1に記載のシートクッション。
【請求項3】
前記モータは、前記一方のクッションサイドフレームの前記第2の面に対向するように配設されたカバー部材に少なくとも一部が覆われている、
請求項2に記載のシートクッション。
【請求項4】
前記モータは、前記一対のクッションサイドフレームのうちの一方のクッションサイドフレームの、他方のクッションサイドフレームに対向する第1の面に配設される、
請求項1に記載のシートクッション。
【請求項5】
所定の間隔を空けて対向配設された一対のクッションサイドフレームと、
一方の端部に隣接する位置に設けられた支軸が前記一対のクッションサイドフレームのそれぞれに回転自在に取り付けられた一対の回動フレームと、
前記一対のクッションサイドフレームの少なくとも一方に取り付けられ前記一対の回動フレームを前記支軸を中心に上下方向に回動させることが可能なリフト機構と、を備え、
前記リフト機構は、ステータ、ロータ及び前記ロータに固定された回転シャフトを備え、前記回転シャフトは、前記支軸と同一線上に配置されると共に前記支軸に連結、あるいは前記支軸と一体に形成されている、モータを備える、
シートクッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シートクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転席等に用いられるシートを構成するシートクッションには、着座者の姿勢を制御するために種々の調整機構が搭載され得る。例えば、着座者の腿の支持位置を調整するために、シートクッションの前方部分の高さを調整可能な、いわゆるチルト機構が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チルト機構には、その高さの調整のための駆動源としてモータが用いられる場合が多い。例えば、下記特許文献1には、シートクッションの前方に設けられた前フレームに、モータからの回転力を複数のギヤを介して伝達することで、前フレームの上下角度を調整するものが記載されている。しかし、下記特許文献1のもののように、モータで発生した回転力を複数のギヤを用いて伝達する構造は、部品点数及びそれに伴う組み立て工数の増大を招くと共に、チルト機構の専有スペースが大きくなる要因となっている。
【0005】
本開示は上記の点に鑑み、シンプルな構造のチルト機構を含むシートクッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様に係るシートクッションは、所定の間隔を空けて対向配設された一対のクッションサイドフレームと、一方の端部に隣接する位置に設けられた支軸が前記一対のクッションサイドフレームのそれぞれに回転自在に取り付けられた一対の回動フレームと、前記一対のクッションサイドフレームの少なくとも一方に取り付けられ前記一対の回動フレームを前記支軸を中心に上下方向に回動させることが可能なリフト機構と、を含み、前記リフト機構は、前記回動フレームを回動させるために、前記クッションサイドフレームに回転自在に取り付けられた回転軸を中心に回転可能な回転片と、ステータ、ロータ及び前記ロータに固定された回転シャフトを備え、前記回転シャフトは、前記回転軸の端部と同一線上に配置されると共に前記回転軸の端部に連結、あるいは前記回転軸と一体に形成されている、モータと、を含む。
【0007】
このようなシートクッションにおいては、回転片の回転軸とモータの回転シャフトとが同一線上で連結される、あるいは一体形成されることで、従来のものに比してチルト機構が簡素化される。
【0008】
本開示の第2の態様に係るシートクッションは、上記本開示の第1の態様に係るシートクッションにおいて、前記モータは、前記一対のクッションサイドフレームのうちの一方のクッションサイドフレームの、他方のクッションサイドフレームに対向する第1の面とは反対に位置する第2の面に配設され、前記回転軸は、前記一対のクッションサイドフレームに両端が取り付けられたパイプで構成される。
【0009】
このようなシートクッションにおいては、回転軸が一対のクッションサイドフレームを繋ぐパイプで構成されることで、簡単な構成で、複数の回転片を1つのモータで同時に動作させることができるようになる。
【0010】
本開示の第3の態様に係るシートクッションは、上記本開示の第2の態様に係るシートクッションにおいて、前記モータは、前記一方のクッションサイドフレームの前記第2の面に対向するように配設されたカバー部材に少なくとも一部が覆われている.
【0011】
このようなシートクッションにおいては、モータを外力から保護することができる。
【0012】
本開示の第4の態様に係るシートクッションは、上記本開示の第1の態様に係るシートクッションにおいて、前記モータは、前記一対のクッションサイドフレームのうちの一方のクッションサイドフレームの、他方のクッションサイドフレームに対向する第1の面に配設される.
【0013】
このようなシートクッションにおいては、モータのレイアウトの自由度が向上する。
【0014】
本開示の第5の態様に係るシートクッションは、所定の間隔を空けて対向配設された一対のクッションサイドフレームと、一方の端部に隣接する位置に設けられた支軸が前記一対のクッションサイドフレームのそれぞれに回転自在に取り付けられた一対の回動フレームと、前記一対のクッションサイドフレームの少なくとも一方に取り付けられ前記一対の回動フレームを前記支軸を中心に上下方向に回動させることが可能なリフト機構と、を含み、前記リフト機構は、ステータ、ロータ及び前記ロータに固定された回転シャフトを備え、前記回転シャフトは、前記支軸と同一線上に配置されると共に前記支軸に連結、あるいは前記支軸と一体に形成されている、モータを含む。
【0015】
このようなシートクッションにおいては、回動フレームの支軸とモータの回転シャフトとが同一線上で連結される、あるいは一体形成されることで、従来のものに比してチルト機構が簡素化される。
【発明の効果】
【0016】
本開示のシートクッションによれば、シンプルな構造のチルト機構を含むシートクッションを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係るシートクッションの一例を示した概略斜視図である。
【
図2】
図1に示すシートクッションの一部を示した概略斜視図である。
【
図3】
図2に示すシートクッションの側面図及び断面図を示し、
図3(A)は右側面図、
図3(B)は
図2のA-A線で切断した断面図、
図3(C)は
図2のB-B線で切断した断面図である。
【
図4】
図1に示すシートクッションを
図3(A)のC-C線に沿って切断した断面図である。
【
図5】回転シャフトとフロントパイプの連結部分を示した要部拡大図である。
【
図6】
図1に示すシートクッションの一変形例を示した要部拡大斜視図である。
【
図7】本開示の第2の実施の形態に係るシートクッションの一例を示した要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示を実施するための実施の形態について説明する。なお、以下では本開示の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本開示の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。また、図中に互いに同一又は相当する部材が複数個含まれている場合には、図を見易くするために、そのうちのいくつかにのみ符号を付している場合がある。
【0019】
<第1の実施の形態>
図1は、本開示の第1の実施の形態に係るシートクッションの一例を示した概略斜視図である。本実施の形態に係るシートクッション1は、例えば車両に前列座席として搭載される車両用シートを構成するものであってよい。車両用シートは、座部としてのシートクッション1と、背もたれとしてのシートバック(図示省略)と、シートクッション1とシートバックとを回動可能に連結するリクライニング機構とを含んでいてよい。また、このシートクッション1は、主に、クッションフレームと、クッションフレームに取り付けられ着座者が着座するポリウレタン等で構成されたクッションパッドとを含んでいてよい。なお、
図1においては、上述したクッションパッドやこのクッションパッドを覆う表皮等の図示が省略されている。また、
図1中の矢印FRはシート前方側を示し、矢印UPはシート上方側を示し、矢印Wはシート幅方向を示している。
【0020】
図2は、
図1に示すシートクッションの一部を示した概略斜視図である。より詳しくは、
図2は、
図1のうち、後述するスライドレール13及びサイドフィニッシャー50を省略したものである。本実施の形態に係るシートクッション1は、
図1及び
図2に示すように、少なくとも、所定の間隔を空けて対向配設された一対のクッションサイドフレーム10、10と、一対のクッションサイドフレーム10、10のそれぞれに回転自在に取り付けられた一対の回動フレーム20、20と、一対の回動フレーム20、20を上下方向に回動させることが可能なリフト機構30と、を含む。なお、一対のクッションサイドフレーム10、10と一対の回動フレーム20、20とは、細かな形状の違いはあるものの主要な構成は共通しているため、以下にはその構成をまとめて説明している。また、以降の説明において、一対のクッションサイドフレーム10、10及び一対の回動フレーム20、20を区別して説示する際には、便宜上、
図1において向かって右側に位置するものを右側クッションサイドフレーム10L及び右側回動フレーム20Lといい、同じく
図1において向かって左側に位置するものを左側クッションサイドフレーム10R及び左側回動フレーム20Rということとする。
【0021】
一対のクッションサイドフレーム10、10は、クッションフレームの左右のフレームを構成する部材であってよい。この一対のクッションサイドフレーム10、10は、シート幅方向に所定の間隔を空けて実質的に並行に延在していてよい。また、各クッションサイドフレーム10、10は、所定の大きさの金属板に板金加工を施すことで成形することができる。
【0022】
上述した一対のクッションサイドフレーム10、10のシート後方側の端部には、クッションフレームの一部を構成する図示しないリアパイプの端部をそれぞれ連結可能な後方連結穴11が形成されていてよい。また、一対のクッションサイドフレーム10、10のシート前方側の端部には、当該2つのシート前方側の端部を跨ぐようにパンフレーム12が配設されていてよい。パンフレーム12は、平面視で略長方形状の板体で構成することができ、且つシート幅方向の両端部には、一対の回動フレーム20が取り付けられる延在部12Aが形成されていてよい。
【0023】
また、一対のクッションサイドフレーム10、10は、車両のフロアに取り付けられたスライドレール13、13にスライド自在に連結されていてよい。なお、スライドレール13、13の具体的な構造やスライドレール13とクッションサイドフレーム10との具体的な取付構造については、特に限定されない。
【0024】
一対の回動フレーム20、20は、クッションサイドフレーム10に比して短尺な金属板で構成することができる。この一対の回動フレーム20、20は、一方の端部、具体的にはシート後方側に位置する端部に隣接する位置に支軸21が取り付けられているとよい。また、当該支軸21が一対のクッションサイドフレーム10、10の長手方向の中間部に形成された取付穴14に回動自在に取り付けられることにより、回動フレーム20がクッションサイドフレーム10に対して回動自在とすることができる。
【0025】
また、一対の回動フレーム20、20のシート前方側の上面には、パンフレーム12の延在部12Aがボルト等の固定手段により取り付けられていてよい。これにより、一対の回動フレーム20、20が回動されると、これに追従してパンフレーム12が上下に移動するようになる。そして、このパンフレーム12上に配設された図示しないクッションパッドをも上下動させることができる。
【0026】
図3は、
図2に示すシートクッションの側面図及び断面図を示し、
図3(A)は右側面図、
図3(B)は
図2のA-A線で切断した断面図、
図3(C)は
図2のB-B線で切断した断面図である。また、
図4は、
図1に示すシートクッションを
図3(A)のC-C線に沿って切断した断面図である。リフト機構30は、一対の回動フレーム20、20をシート上方に上昇させるあるいはシート下方に下降させることにより、シートクッション1のシート前方部分の高さを調整することができるものである。したがって、当該リフト機構30と、一対の回動フレーム20、20とが、シートクッション1のチルト機構として機能し得るものといえる。
【0027】
本実施の形態に係るリフト機構30は、
図2乃至
図4に示すように、少なくとも一対の回動フレーム20、20を回動させるための回転片の一例としてのカム31と、カム31を回転させるためのモータ40とを含む。
【0028】
カム31は、
図3(C)に示すように、クッションサイドフレーム10に回転自在に支持されている。より具体的には、カム31は、回動フレーム20の下方に配設され、且つその中央部に貫通孔が形成され、当該貫通孔にクッションフレームの一部を構成するフロントパイプ(パイプの一例)32が嵌入されていてよい。このフロントパイプ32は、一対のクッションサイドフレーム10、10間に回転自在に架け渡されるように、その両端が一対のクッションサイドフレーム10、10の適所に取り付けられたものであってよい。したがって、このフロントパイプ32は、カム31の回転軸として機能し得る。フロントパイプ32は、実質的にシート幅方向に沿って延在しているものであるが、その中間部に屈曲部や湾曲部等があってもよい。
【0029】
また、カム31の外周の一部には、カム31の中央部から離れる方向に突出した突出部が形成されており、当該突出部は、隣接する回動フレーム20の長手方向における中間部に連結アーム33を介して連結されていてよい。このように、連結アーム33を用いて回動フレーム20とカム31とを連結することで、カム31の回動動作を確実に回動フレーム20に伝達することができる。なお、本実施の形態においては、カム31を左側回動フレーム20Rの下方に配設されたものを例示しているが、一対の回動フレーム20、20の両方の下方に配設することもできる。
【0030】
本実施の形態においては、カム31を回動フレーム20の下方に配設したものを例示したが、カム31の回転に伴って回動フレーム20が回動するものであれば、上述した配置に限定されない。例えば、カム31をフロントパイプ32の長手方向中央部に1乃至複数個設置し、カム31が回転すると、カム31の突出部がパンフレーム12の下面を押し上げることで回動フレーム20が回動される構成とすることもできる。また、本実施の形態では、回転片としてカム31を用いる場合を例示するが、回転片はこれに限定されない。例えば、フロントパイプ32の端部をのぞく任意の位置を平面視で略コの字状に屈曲させ、フロントパイプ32が回転した際、当該屈曲部分が回動フレーム20あるいはパンフレーム12の下面を押し上げることで回転フレーム20を回動させるものとすることもできる。
【0031】
モータ40は、
図3(A)、
図3(B)及び
図4に示すように、ヨークを含むステータ(固定子)41と、ステータ41内に配設されたロータ(回転子)42と、ロータ42に固定された回転シャフト43とを含む。このモータ40には、例えばインナロータ型のモータを用いることができる。
【0032】
ステータ41は、例えば、円環状のヨークの内側に形成されたティースに電磁コイルが巻回されたもので構成することができる。また、ロータ42は、ステータ41内に配設された、その中心部に貫通穴を有する円環状の部材であって、且つ貫通穴の周囲に永久磁石が挿入される挿入穴が複数個形成されたもので構成することができる。さらに、回転シャフト43は、ロータ42の中心部に形成された貫通穴に挿通されて固定された長尺な棒状体で構成することができる。
【0033】
上述の構成を含むモータ40は、
図4に示すように、一対のクッションサイドフレーム10、10のうちの一方のクッションサイドフレーム、例えば右側クッションサイドフレーム10Lに取り付けられていてよい。より具体的には、このモータ40は、右側クッションサイドフレーム10Lの、左側クッションサイドフレーム10Rに対向する第1の面(すなわちシート幅方向における内側の面)とは反対に位置する第2の面(すなわちシート幅方向における外側の面)に配設されていてよい。このとき、モータ40は、回転シャフト43がシート幅方向に延在するように右側クッションサイドフレーム10Lに取り付けられ、回転シャフト43は、右側クッションサイドフレーム10Lの外側の面側から内側の面に至るまで延びているとよい。
【0034】
モータ40の右側クッションサイドフレーム10Lへの取り付けは、取付板44を用いるとよい。また、右側クッションサイドフレーム10Lには、モータ40を設置する位置に、シート幅方向に貫通したモータ挿入穴15が形成されているとよい。そして、モータ40を取り付ける際には、軸方向の一端部に取付板44が形成されたモータ40のステータ41部分を右側クッションサイドフレーム10Lの内側の面からモータ挿入穴15内へ挿入した後、取付板44を右側クッションサイドフレーム10Lの内側の面に固定すればよい。なお、取付板44には、ステータ41のコイルに電源を供給するためのコネクタ45が配設されていてよい。
【0035】
右側クッションサイドフレーム10Lの外側の面に取り付けられたモータ40が外部からの接触によって破損等することがないように、モータ40の右側クッションサイドフレーム10Lの外側に露出している部分はカバー部材の一例としてのサイドフィニッシャー50によって少なくとも部分的に覆われているとよい。サイドフィニッシャー50は、
図1及び
図4に示すように、右側クッションサイドフレーム10Lの外側の面に対向するように配設され、ポリプロピレン等を用いた樹脂成形品で構成することができる。また、サイドフィニッシャー50のシート幅方向の外側には、上述したチルト機構やスライドレール13を含むスライド機構等を動作させるためのいくつかの操作スイッチ51が配設されていてよい。
【0036】
このように、右側クッションサイドフレーム10Lの外側の面に取り付けられたモータ40をサイドフィニッシャー50によって少なくとも部分的に覆うと、モータ40を外力から保護することができる。
【0037】
図5は、回転シャフトとフロントパイプの連結部分を示した要部拡大図である。回転シャフト43は、フロントパイプ32の端部と同一線上に配置されると共にフロントパイプ32の端部に連結される。具体的には、回転シャフト43は、その先端部が同一軸線上にあるフロントパイプ32の端部に直結されることで、モータ40の回転力をカム31へ伝達することができるものであってよい。本実施の形態においては、回転シャフト43をフロントパイプ32に取り付けるために、
図5に示すように、回転シャフト43は、その先端にフロントパイプ32の中空穴32H内に挿入可能な取付ブロック46を有している。この取付ブロック46は、フロントパイプ32の端部から中空穴32H内に挿入された後、ボルト等の締結手段を用いてフロントパイプ32に固定することができるとよい。このように、取付ブロック46とフロントパイプ32の端部を固定することで、回転シャフト43とフロントパイプ32とを直結することができる。
【0038】
本実施の形態に係るシートクッション1においては、回転シャフト43とフロントパイプ32とがギヤ等を介在させることなく直結されていることにより、チルト機構の簡素化と組み付け工数の削減を実現している。また、ギヤ等の動力伝達部品が削減されていることにより、チルト機構を構成する部品の専有スペースを小さくすることができる。
【0039】
上述した構成を備えるシートクッション1においてチルト機構を動作させる場合は、先ず操作スイッチ51の操作することによりモータ40を動作させてロータ42及び回転シャフト43を一方向、例えば
図3(A)に示すA1方向に回転させる。回転シャフト43が回転すると、回転シャフト43の端部に直結されたフロントパイプ32が回転し、フロントパイプ32に取り付けられたカム31も、
図3(C)に示す通り、A1方向に回転する。カム31が回転すると、カム31の先端に連結アーム33を介して連結された回動フレーム20(20R)がA2方向に押し上げられ、この回動フレーム20の動作に連動して、パンフレーム12とパンフレーム12上に載置されたクッションパッドがA2方向に押し上げられる。この一連の動作により、シートクッション1の前方部分はその角度が調整される。なお、モータ40の回転方向を逆方向にすれば、パンフレーム12及びパンフレーム12上に載置されたクッションパッドはA2方向とは反対方向に押し下げられる。
【0040】
上述した第1の実施の形態においては、モータ40を右側クッションサイドフレーム10Lの外側の面に取り付けたものを例示したが、モータ40の設置位置は、クッションサイドフレーム10の内側の面であってもよい。以下、第1の実施の形態のシートクッション1のモータの設置位置を変更した例について簡単に説明する。
【0041】
図6は、
図1に示すシートクッションの一変形例を示した要部拡大斜視図である。詳しくは、
図6は、本変形例に係るシートクッション1Aを下方向から見た拡大図である。本変形例に係るシートクッション1Aは、
図6に示すように、リフト機構30Aに含まれるモータ40Aがクッションサイドフレーム10の内側の面に配設されている。なお、このシートクッション1Aは、モータ40Aのレイアウトに関連するものを除き、上述した第1の実施の形態に係るシートクッション1と同様の構成を有していてよい。
【0042】
本変形例に係るシートクッション1Aのモータ40Aは、
図6に示すように、クッションサイドフレーム10の内側の面に配設され、且つこのモータ40Aの回転シャフト43Aは、モータ40Aとクッションサイドフレーム10との間に回転自在に取り付けられたカム31Aのカム軸(回転軸の他の一例)32Aに連結され得る。本変形例においても、カム軸32Aの端部と回転シャフト43Aとは同一線上に配置される。なお、本変形例に係るシートクッション1Aにおいては、フロントシャフトは省略してもよいし、カム軸32Aとは異なる位置に配設されていてもよい。また、
図6は、右側クッションサイドフレーム10Lの内側の面にモータ40A及びカム31Aが配置されている状態を示しているが、同様のモータ及びカムが左側クッションサイドフレーム10Rの内側にも配置していてよい。
【0043】
以上説明した通り、本実施の形態及びその変形例に係るシートクッション1、1Aによれば、モータと回転片とをつなぐギヤ等の動力伝達部品が実質的に不要なため、少ない部品点数でチルト機構を実現でき、組み立て工数の削減及び省スペース化を実現することができる。
【0044】
<第2の実施の形態>
上述した第1の実施の形態のシートクッション1では、クッションサイドフレーム10に支軸21が回動自在に取り付けられた回動フレーム20の長手方向における中間部を、カム31を用いて上下に移動させるものを例示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、カム31のような回転片を用いることなく回動フレーム20を回動することもできる。そこで以下には、本開示の第2の実施の形態として、回転片を有しないリフト機構を用いたシートクッション1Bを例示する。
【0045】
図7は、本開示の第2の実施の形態に係るシートクッションの一例を示した要部拡大斜視図である。
図7は、
図6と同様に、本実施の形態に係るシートクッション1Bを下方向から見た拡大図である。本実施の形態に係るシートクッション1Bは、
図7に示すように、モータ40Bの配置に関連する点を除き、上述した第1の実施の形態に係るシートクッション1と同様の構成を有していてよい。そこで以下には、本実施の形態に係るシートクッション1Bのうち、第1の実施の形態に係るシートクッション1と異なる構成部分を中心に説明し、第1の実施の形態に係るシートクッション1と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略するものとする。
【0046】
本実施の形態に係るシートクッション1Bは、一対のクッションサイドフレーム10、10と、一対のクッションサイドフレームのそれぞれに回転自在に取り付けられた一対の回動フレーム20、20と、一対の回動フレーム20、20を上下方向に回動させることが可能なリフト機構30Bと、を含む。そして、これらの構成要素のうち、リフト機構30Bは、支軸21に連結されたモータ40Bを含む。
【0047】
モータ40Bは、上述したモータと同様に、ヨークを含むステータ41と、ステータ41内に配設されたロータ42と、ロータ42に固定された回転シャフト43Bとを含む。そして、回転シャフト43Bは、支軸21と同一線上に配置されると共に、その先端部が支軸21に直結、あるいは支軸21と一体に形成されている。なお、本実施の形態の支軸21は、回転シャフト43Bとの連結を容易とするために、リベットのような接合部品で構成するとよい。
【0048】
上述の構成により、回転シャフト43Bの回転動作は、直接支軸21に伝達される。なお、
図7は、右側クッションサイドフレーム10Lの内側の面にモータ40Bが配置されている状態を示しているが、同様のモータが左側クッションサイドフレーム10Rの内側にも配置していてよい。また、モータ40Bのクッションサイドフレーム10、10に対する配置は、
図7に示したようにクッションサイドフレーム10、10の内側の面としてもよいし、クッションサイドフレーム10、10の外側の面としてもよい。
【0049】
上述の通り、回転シャフト43Bと支軸21とが直結あるいは一体に形成されていることにより、モータからの回転力は支軸21に直接伝わり、回動フレーム20を回転させることができる。したがって、本実施の形態に係るシートクッション1Bは、チルト機構のための部品点数をさらに削減することができるため、組み立て工数の削減及び省スペース化を実現することができる。
【0050】
本開示は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本開示の技術思想に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
1、1A、1B シートクッション
20、20L、20R 回動フレーム
21 支軸
30、30A、30B リフト機構
31、31A カム(回転片の一例)
32 フロントシャフト(回転軸の一例)
32A カム軸(回転軸の一例)
40、40A、40B モータ
41 ステータ
42 ロータ
43、43A、43B 回転シャフト
50 サイドフィニッシャー(カバー部材の一例)