IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 理想科学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-インクジェット印刷装置 図1
  • 特開-インクジェット印刷装置 図2
  • 特開-インクジェット印刷装置 図3
  • 特開-インクジェット印刷装置 図4
  • 特開-インクジェット印刷装置 図5
  • 特開-インクジェット印刷装置 図6
  • 特開-インクジェット印刷装置 図7
  • 特開-インクジェット印刷装置 図8
  • 特開-インクジェット印刷装置 図9
  • 特開-インクジェット印刷装置 図10
  • 特開-インクジェット印刷装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120676
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】インクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240829BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
B41J2/165 401
B41J2/165 207
B41J2/165 303
B41J2/165 503
B41J2/17 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027657
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】井上 將史
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA16
2C056EA27
2C056EC23
2C056EC24
2C056FA13
2C056JB04
2C056JB15
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】装置構成の複雑化を抑えつつ、刷り飛ばしを行うことなく、インクの吐出不良が解消しないことを低減できるインクジェット印刷装置を提供する。
【解決手段】ワイプ部27は、インクジェットヘッド16のノズル面17aをワイプするブレード28と、ワイプ方向におけるブレード28の下流側に配置された吐出受け止め部29aとを有する。制御部は、ブレード28によるノズル面17aのワイプを行う際、インクジェットヘッド16のノズル面17aにおける吐出受け止め部29aに対向する領域に位置する各ノズル18からインクを吐出するようインクジェットヘッド16を制御する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルが配列されたノズル面を有するインクジェットヘッドと、
前記複数のノズルの配列方向に沿って前記インクジェットヘッドに対して相対移動しつつ前記ノズル面をワイプするブレード、前記ブレードによる前記ノズル面のワイプを行う際の前記インクジェットヘッドに対する前記ブレードの相対移動方向における前記ブレードの下流側に配置された平面部を有するワイプ部と、
前記ブレードによる前記ノズル面のワイプを行う際、前記複数のノズルのうち前記ノズル面における前記平面部に対向する領域に位置する前記各ノズルからインクを吐出するよう前記インクジェットヘッドを制御する制御部と
を備えることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷装置のインクジェットヘッドをクリーニングする方法の一つとして、ノズルからインクを吐出するフラッシングによりノズル面から吸着物等を取り除く方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
フラッシングを行うインクジェット印刷装置では、図8に示すように、フラッシング時にはインクジェットヘッド100の下方近傍にキャップ101が素早く移動する。ここで、キャップ101は、インクジェットヘッド100の全ノズルをカバーするサイズに形成されている。
【0004】
フラッシングにより、インクジェットヘッド100のノズルからインクが吐出されることで、図9に示すように、ノズル面100aに吸着してノズルに干渉する異物102は除去される。フラッシングにより吐出されたインクはキャップ101に受け止められ、インクミストはほとんど発生しない。
【0005】
また、インクジェットヘッドをクリーニングする他の方法として、図10図11に示すように、ワイプブレード111のワイプ動作によりインクジェットヘッド100のノズル面100aから吸着物等を取り除く方法が知られている。ここで、ワイプブレード111は、取付台112に取り付けられており、ネジ歯車113の回転により取付台112とともに移動する。
【0006】
この方法では、ワイプ動作を行う前に、インクジェットヘッド100のノズルからインクを強制的に排出させるパージによりノズル面100aにインクが溢れるように付着させる。そして、ワイプブレード111をワイプ方向に移動させてノズル面100aをワイプすることにより、ノズル面100aに付着したインクとともに、ノズル面100aに吸着した異物102を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-30595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したワイプ動作では、ワイプブレード111によりノズル面100aから異物102を掻き取るが、図11に示すように、異物102が除去されずにノズル面100aに残ることがある。例えば、板状の異物102はワイプブレード111で掻き取られずにノズル面100aに残りやすい。
【0009】
ワイプ動作で除去できない異物を、フラッシングのようなインク吐出により除去できる場合がある。しかし、ワイプ動作によるクリーニングを行うインクジェット印刷装置は、通常、図8図9のようなキャップ101を備えていない。このため、インクミストが発生するフラッシングを行うと、装置内を汚染するおそれがある。
【0010】
このため、ワイプ動作によるインクジェットヘッドのクリーニングを行ってもインクの不吐出や飛翔まがり等の吐出不良が解消しない場合、刷り飛ばしを行わざるを得なくなる。
【0011】
刷り飛ばしは、インクや用紙の無駄を招くとともに規程のクリーニング動作の後に行う必要があり動作効率が悪い。これを避けるために、ワイプブレードに加えてキャップを設けるとすると、装置構成が複雑化する。また、装置内のスペースやコストの面からも、キャップを設ける構成は望ましくない。
【0012】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、装置構成の複雑化を抑えつつ、刷り飛ばしを行うことなく、インクの吐出不良が解消しないことを低減できるインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明のインクジェット印刷装置は、複数のノズルが配列されたノズル面を有するインクジェットヘッドと、前記複数のノズルの配列方向に沿って前記インクジェットヘッドに対して相対移動しつつ前記ノズル面をワイプするブレード、前記ブレードによる前記ノズル面のワイプを行う際の前記インクジェットヘッドに対する前記ブレードの相対移動方向における前記ブレードの下流側に配置された平面部を有するワイプ部と、前記ブレードによる前記ノズル面のワイプを行う際、前記複数のノズルのうち前記ノズル面における前記平面部に対向する領域に位置する前記各ノズルからインクを吐出するよう前記インクジェットヘッドを制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のインクジェット印刷装置によれば、装置構成の複雑化を抑えつつ、刷り飛ばしを行うことなく、インクの吐出不良が解消しないことを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。
図2図1に示すインクジェット印刷装置の印刷部および搬送部の平面図である。
図3図1に示すインクジェット印刷装置のインクジェットヘッドの概略構成図である。
図4図1に示すインクジェット印刷装置のクリーニング機構の斜視図である。
図5図4に示すクリーニング機構の平面図である。
図6図1に示すインクジェット印刷装置のインクジェットヘッドをクリーニングする動作の説明図である。
図7図1に示すインクジェット印刷装置のインクジェットヘッドをクリーニングする動作の説明図である。
図8】フラッシングによりインクジェットヘッドをクリーニングする従来のインクジェット印刷装置が備えるキャップの説明図である。
図9】フラッシングによるインクジェットヘッドのクリーニングの説明図である。
図10】ワイプブレードのワイプ動作によりインクジェットヘッドをクリーニングする従来のインクジェット印刷装置の概略構成図である。
図11】ワイプブレードのワイプ動作によるインクジェットヘッドのクリーニングの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0017】
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。図2は、図1に示すインクジェット印刷装置の印刷部および搬送部の平面図である。図3は、図1に示すインクジェット印刷装置のインクジェットヘッドの概略構成図である。図4は、図1に示すインクジェット印刷装置のクリーニング機構の斜視図である。図5は、図4に示すクリーニング機構の平面図である。以下の説明において、図1の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、図1における紙面の上下左右を上下左右方向とする。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係るインクジェット印刷装置1は、搬送部2と、印刷部3と、クリーニング機構4と、制御部5とを備える。
【0020】
搬送部2は、図示しない給紙部から給紙された用紙Pをベルト上に吸着保持して、左側から右側へ搬送する。搬送部2は、図示しないモータにより昇降可能に構成されている。これにより、搬送部2は、図2において実線で示す印刷位置、一点鎖線で示す待機位置、および二点鎖線で示すクリーニング位置に配置可能になっている。
【0021】
印刷部3は、搬送部2により搬送される用紙Pに印刷を行う。印刷部3は、複数のヘッドユニット11を備える。本実施の形態では、印刷部3は、4つのヘッドユニット11を備える。4つのヘッドユニット11は、搬送部2の上方において、左右方向に並列して配置されている。4つのヘッドユニット11は、それぞれ異なる色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のインクを吐出する。4つのヘッドユニット11は、それぞれ複数のインクジェットヘッド16を有する。本実施の形態では、図2に示すように、ヘッドユニット11は、6個のインクジェットヘッド16を有する。
【0022】
ヘッドユニット11において、6個のインクジェットヘッド16は、千鳥配置されている。具体的には、ヘッドユニット11において、それぞれ前後方向に等ピッチで配置された3つのインクジェットヘッド16からなる2列のヘッド列が、左右方向に並列して、前後方向に半ピッチだけずれるように配置されている。
【0023】
インクジェットヘッド16は、図3に示すように、ノズルプレート17と、複数のノズル18とを有する。ここで、図3は、インクジェットヘッド16を下側から見た図である。
【0024】
ノズルプレート17は、ノズル18が形成された部材である。ノズルプレート17の搬送部2に対向する平面である下面が、ノズル18が開口するノズル面17aになっている。
【0025】
ノズル18は、インクジェットヘッド16内に貯留されたインクを吐出する。ノズル面17aにおいて、複数のノズル18が、前後方向(配列方向に相当)に沿って配列されている。
【0026】
インクジェットヘッド16は、シェアモード型である。インクジェットヘッド16は、インクカートリッジ(図示せず)から供給されるインクを貯留するインクチャンバ(図示せず)を有する。このインクチャンバ内には、各ノズル18に連通する複数の圧力室(図示せず)が設けられている。この圧力室は、隣接する圧力室との間の隔壁が、分極方向が相反する2つの圧電部材(図示せず)により形成されている。圧力室間の隔壁には、電極(図示せず)が密着形成されている。この電極に駆動電圧が印加されることで、隔壁がせん断変形し、圧力室の容積および圧力室内の圧力が変化する。これにより、ノズル18から圧力室内のインクが吐出される。インクジェットヘッド16の電極に印加する駆動電圧の大きさおよび駆動電圧の波形(駆動波形)により、隔壁の動作を制御し、インクの吐出速度等を制御することができる。
【0027】
クリーニング機構4は、インクジェットヘッド16のクリーニングを行う。クリーニング機構4は、図示しないモータにより、図1において実線で示す退避位置と、一点鎖線で示す待機位置との間で移動可能に構成されている。クリーニング機構4の待機位置は、待機位置にある搬送部2上の位置である。また、クリーニング機構4は、インクジェットヘッド16のクリーニング時には、図2において二点鎖線で示すクリーニング位置に配置される。クリーニング機構4のクリーニング位置は、クリーニング位置にある搬送部2上の位置である。
【0028】
図4図5に示すように、クリーニング機構4は、インク受け部材21と、ワイパユニット22と、駆動部23とを備える。なお、図4図5は、クリーニング機構4がクリーニング位置に配置されている状態における図である。
【0029】
インク受け部材21は、クリーニングによってインクジェットヘッド16のノズル面17aから除去されたインク等を受けるものである。インク受け部材21は、直方体形状に形成されている。インク受け部材21の中央部には、インクを受けるための凹部21aが形成されている。凹部21aは、平面視にて、4つのヘッドユニット11のインクジェットヘッド16が配置されている領域よりも大きくなるように形成されている。
【0030】
ワイパユニット22は、インクジェットヘッド16のノズル面17aをワイプして、ノズル面17a上のインク等を除去する。ワイパユニット22は、取付台26と、8つのワイプ部27とを備える。
【0031】
取付台26は、ワイプ部27が取り付けられるものである。取付台26には、一対のネジ孔26a,26bが形成されている。ネジ孔26a,26bには、後述のネジ歯車34A,34Bがそれぞれ貫通され、かつ螺合されている。ネジ歯車34A,34Bの回転により、取付台26は、前後方向に移動する。
【0032】
ワイプ部27は、インクジェットヘッド16のノズル面17aをワイプする部材である。ワイプ部27は、取付台26の上面に固定されている。図5に示すように、8つのワイプ部27は、クリーニング機構4がクリーニング位置に配置されている状態において、千鳥配置のインクジェットヘッド16の前後方向に沿う各ヘッド列の延長線上に位置するように配置されている。ワイプ部27は、ブレード28と、支持板29とを有する。
【0033】
ブレード28は、インクジェットヘッド16における複数のノズル18の配列方向(前後方向)に沿って、後側から前側へ向かうワイプ方向に移動しつつ、ノズル面17aをワイプする。ブレード28は、支持板29の後端部において、支持板29の上面に立設されている。
【0034】
支持板29は、ブレード28を支持する板状の部材である。支持板29は、吐出受け止め部(平面部に相当)29aを有する。吐出受け止め部29aは、インクジェットヘッド16のクリーニング時において一部のノズル18から吐出されたインクを受け止める部分である。吐出受け止め部29aは、ワイプ方向(ワイプを行う際におけるインクジェットヘッド16に対するブレード28の相対移動方向)におけるブレード28の下流側に配置されている。吐出受け止め部29aは、支持板29の平面状の上面のうち、ワイプ方向におけるブレード28の下流側の部分により形成されている。
【0035】
吐出受け止め部29aがノズル面17aに対向している状態において、吐出受け止め部29aとノズル面17aとの間の距離は、インクミストが発生しない距離であり、例えば、1mm以下である。
【0036】
吐出受け止め部29aの前後方向における長さは、前後方向に互いに隣接する2つのインクジェットヘッド16間でクリーニングを効率よく実施するために、インクジェットヘッド16の前後方向における長さと同程度である。
【0037】
駆動部23は、ワイパユニット22を前後方向に移動させる。駆動部23は、駆動モータ31と、駆動ベルト32と、1対の駆動プーリ33A,33Bと、1対のネジ歯車34A,34Bとを備える。
【0038】
駆動モータ31は、所定の方向の回転駆動力を生じさせる。駆動モータ31は、パルスモータからなる。駆動モータ31は、出力ギヤ31aを有する。出力ギヤ31aは、駆動ベルト32に駆動モータ31の回転駆動力を伝達する。
【0039】
駆動ベルト32は、駆動モータ31から伝達された回転駆動力を駆動プーリ33A,33Bへと伝達する。駆動ベルト32は、駆動プーリ33Aと駆動プーリ33Bとの間に渡って掛けられている。
【0040】
1対の駆動プーリ33A,33Bは、駆動ベルト32から伝達された回転駆動力をネジ歯車34A,34Bへと伝達する。
【0041】
ネジ歯車34A,34Bは、駆動モータ31から伝達された回転駆動力によってワイパユニット22を前後方向へと移動させる。
【0042】
制御部5は、インクジェット印刷装置1全体の動作を制御する。制御部5は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
【0043】
制御部5は、インクジェットヘッド16のクリーニング時において、駆動部23によりワイパユニット22をワイプ方向に移動させてブレード28によりノズル面17aをワイプするようクリーニング機構4を制御する。
【0044】
また、制御部5は、ブレード28によるノズル面17aのワイプを行う際、各インクジェットヘッド16における吐出領域A(図6図7参照)に位置する各ノズル18からインクを吐出するよう各インクジェットヘッド16を制御する。吐出領域Aは、ノズル面17aにおける吐出受け止め部29aに対向する領域である。吐出領域Aは、ワイプ方向へのワイプ部27の移動に応じて変動する。
【0045】
次に、インクジェット印刷装置1におけるインクジェットヘッド16のクリーニング時の動作について説明する。
【0046】
インクジェットヘッド16のクリーニングを行う際、まず、制御部5は、搬送部2およびクリーニング機構4をクリーニング位置に配置する。具体的には、搬送部2を待機位置からクリーニング位置へ上昇させる。これにより、クリーニング機構4も待機位置からクリーニング位置へ上昇する。この結果、搬送部2およびクリーニング機構4がクリーニング位置に配置された状態となる。
【0047】
次に、制御部5は、パージを実行する。具体的には、制御部5は、図示しない加圧手段によりパージ圧を各インクジェットヘッド16に生成して各ノズル18からインクを排出させる。これにより、各インクジェットヘッド16のノズル面17aにインクが付着した状態となる。
【0048】
次いで、制御部5は、駆動モータ31の駆動を開始させることで、ワイパユニット22のワイプ方向への移動を開始させる。また、制御部5は、各インクジェットヘッド16における吐出領域Aに位置する各ノズル18からのインク吐出を開始させる。
【0049】
クリーニング時における吐出領域Aに位置するノズル18からのインク吐出時には、制御部5は、印刷時の駆動条件とは異なるクリーニング専用の駆動条件によりインク吐出を行うようインクジェットヘッド16を制御する。具体的には、制御部5は、クリーニング時には、駆動電圧の大きさおよび駆動波形の少なくともいずれかが印刷時とは異なる駆動条件でインク吐出を行うようインクジェットヘッド16を制御する。
【0050】
ここで、クリーニング機構4がクリーニング位置へ移動したとき、ワイパユニット22は、ブレード28が最も後方のインクジェットヘッド16より後方に位置する初期位置にある。ワイパユニット22が初期位置にあることは、図示しないセンサにより検出可能になっている。制御部5は、駆動モータ31の駆動開始からの駆動パルス数に基づき、ワイパユニット22の位置を判断する。そして、制御部5は、ワイパユニット22の位置に基づき、各インクジェットヘッド16における吐出領域Aに位置するノズル18を判断できる。
【0051】
ワイパユニット22のワイプ方向への移動により、図6図7に示すように、ブレード28がノズル面17aをワイプする。これにより、ノズル面17aからインクや吸着物が除去される。
【0052】
また、上述した吐出領域Aに位置するノズル18からインクを吐出する制御により、移動するブレード28によるワイプに同期して、吐出領域Aでの局所的なインク吐出が行われる。これにより、図6に示すように、ブレード28によるワイプの前に、ノズル面17aに吸着した異物36が除去されることがある。ここで、インク吐出により、ブレード28によるワイプでは除去できないような吸着物を除去できる場合がある。
【0053】
吐出領域Aの各ノズル18から吐出されたインクは、吐出受け止め部29aに受け止められる。これにより、インクミストの発生が抑えられる。
【0054】
ブレード28が最も前方のインクジェットヘッド16より前方まで移動した後、制御部5は、駆動モータ31を停止させる。これにより、ワイパユニット22が停止し、インクジェットヘッド16のクリーニングが終了となる。
【0055】
以上説明したように、インクジェット印刷装置1は、インクジェットヘッド16のノズル面17aをワイプするブレード28と、ワイプ方向におけるブレード28の下流側に配置された吐出受け止め部29aとを有するワイプ部27を備える。制御部5は、ブレード28によるノズル面17aのワイプを行う際、各インクジェットヘッド16のノズル面17aにおける吐出受け止め部29aに対向する領域である吐出領域Aに位置する各ノズル18からインクを吐出するよう各インクジェットヘッド16を制御する。
【0056】
これにより、インクジェットヘッド16のキャップを設けることなく、ブレード28によるワイプ動作に加えて、フラッシングと同様のインク吐出を行うことができる。このため、刷り飛ばしを行うことなく、ワイプ動作だけでは解消しない吐出不良を解消することが可能となる。したがって、インクジェット印刷装置1によれば、装置構成の複雑化を抑えつつ、刷り飛ばしを行うことなく、インクの吐出不良が解消しないことを低減できる。
【0057】
また、インクジェット印刷装置1によれば、ワイプ動作によるクリーニングとフラッシングによるクリーニングとを別々に行う場合に比べて、クリーニングの時間を短縮できる。
【0058】
また、インクジェット印刷装置1によれば、刷り飛ばしを行う必要がないため、インクや用紙Pの無駄を抑制できる。
【0059】
また、クリーニング専用の駆動条件によりインク吐出を行うことで、通常のパージ動作だけでは生じない圧力室間の隔壁(圧電部材)の振動を大きくとることが可能となり、圧力室内の気泡を除去することが可能となる。
【0060】
なお、上述した実施の形態では、固定のインクジェットヘッド16に対してワイプ部27が移動しつつクリーニングを行う構成を示したが、これに限らず、例えば、ワイプ部27が固定でインクジェットヘッド16が移動する構成であってもよい。ワイプ部27がインクジェットヘッド16に対して相対移動するものであればよい。
【0061】
また、往復するクリーニング動作のうち、往路または復路のそれぞれでワイプ動作、インク吐出を行う構成であってもよい。
【0062】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0063】
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
【0064】
(付記1)
複数のノズルが配列されたノズル面を有するインクジェットヘッドと、
前記複数のノズルの配列方向に沿って前記インクジェットヘッドに対して相対移動しつつ前記ノズル面をワイプするブレード、前記ブレードによる前記ノズル面のワイプを行う際の前記インクジェットヘッドに対する前記ブレードの相対移動方向における前記ブレードの下流側に配置された平面部を有するワイプ部と、
前記ブレードによる前記ノズル面のワイプを行う際、前記複数のノズルのうち前記ノズル面における前記平面部に対向する領域に位置する前記各ノズルからインクを吐出するよう前記インクジェットヘッドを制御する制御部と
を備えることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【符号の説明】
【0065】
1 インクジェット印刷装置
2 搬送部
3 印刷部
4 クリーニング機構
5 制御部
11 ヘッドユニット
16 インクジェットヘッド
17 ノズルプレート
17a ノズル面
18 ノズル
21 インク受け部材
22 ワイパユニット
23 駆動部
26 取付台
27 ワイプ部
28 ブレード
29 支持板
29a 吐出受け止め部
A 吐出領域
P 用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11