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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120680
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】管理システム及び管理方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20240829BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
G05B19/05 S
G05B23/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027661
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勝彦
【テーマコード(参考)】
3C223
5H220
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223FF52
5H220AA01
5H220BB07
5H220CC06
5H220CX09
5H220HH08
5H220JJ12
5H220JJ34
5H220JJ38
(57)【要約】
【課題】試運転作業をより効率的に実行し、マスターデータベースを一元管理する。
【解決手段】管理システムは、データベース装置と、制御装置と、管理装置と、を備える。データベース装置は、プラントに含まれる各機器の設定に関するデータを記憶する。制御装置は、プラントの少なくとも一部であるプラントモジュールの試運転の制御に用いられ、試運転を行うモジュールヤードに配置される。管理装置は、プラントモジュールのシステム構築及び保守管理を行う。管理装置は、試運転によって変更したデータをデータベース装置に記憶させる。管理装置は、データベース装置から試運転に使用するデータを、広域ネットワークを介して制御装置にダウンロードする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントに含まれる各機器の設定に関するデータを記憶するデータベース装置と、
前記プラントの少なくとも一部であるプラントモジュールの試運転の制御に用いられ、前記試運転を行うモジュールヤードに配置される制御装置と、
前記プラントモジュールのシステム構築及び保守管理を行う管理装置と、
を備え、
前記管理装置は、
前記試運転によって変更した前記データを前記データベース装置に記憶させ、
前記データベース装置から前記試運転に使用する前記データを、広域ネットワークを介して前記制御装置にダウンロードする、
管理システム。
【請求項2】
前記制御装置及び前記管理装置は、前記広域ネットワークを介して接続され、
前記データは、前記管理装置を介して前記制御装置にダウンロードされる、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記制御装置及び前記管理装置は、専用ネットワークを介して接続され、
前記データベース装置及び前記管理装置は、汎用ネットワークを介して接続される、
請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記プラントモジュールのプラント制御を行う装置、又は、前記プラントモジュールで異常が発生した場合に当該異常の検出を行う装置である、請求項1に記載の管理システム。
【請求項5】
前記プラントモジュールとは異なる第2のプラントモジュールの第2の試運転の制御に用いられ、前記第2の試運転を行う第2のモジュールヤードに配置される第2の制御装置と、
前記第2のプラントモジュールの第2のシステム構築及び第2の保守管理を行う第2の管理装置と、
をさらに備え、
前記第2の管理装置は、前記第2の試運転によって変更した前記データを前記データベース装置に記憶させ、
前記第2の管理装置は、前記データベース装置から前記第2の試運転に使用する前記データを、前記広域ネットワークを介して前記第2の制御装置にダウンロードする、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項6】
前記プラントモジュールの操作監視を行うための操作装置をさらに備え、
前記操作装置は、前記制御装置と前記広域ネットワークを介して接続される、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項7】
前記制御装置、前記管理装置、及び、前記操作装置は、専用ネットワークを介して接続され、
前記データベース装置、前記管理装置、前記操作装置、及び、情報処理装置は、汎用ネットワークを介して接続され、
前記情報処理装置は、前記汎用ネットワークを介して前記管理装置及び前記操作装置の少なくとも一方にアクセスする、
請求項6に記載の管理システム。
【請求項8】
プラントに含まれる各機器の設定に関するデータを記憶するデータベース装置と、
前記プラントの少なくとも一部であるプラントモジュールの試運転の制御に用いられ、前記試運転を行うモジュールヤードに配置される制御装置と、
前記プラントモジュールのシステム構築及び保守管理を行う管理装置と、
を備える管理システムによる管理方法であって、
前記管理装置が、前記試運転によって変更した前記データを前記データベース装置に記憶させることと、
前記管理装置が、前記データベース装置から前記試運転に使用する前記データを、広域ネットワークを介して前記制御装置にダウンロードすることと、
を含む管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロセスプラント建設において、モジュラー工法(以下、モジュール工法とも記載する)が主流になりつつある。ここで、モジュール工法とは、プラント建設地(以下、サイトとも記載する)での作業を最小限にするために、サイトとは別のヤード(以下、モジュールヤードとも記載する)で鉄骨、配管、機器等を配置した、ひとまとまりの構成要素(以下、モジュールとも記載する)を建造し、サイトに移送し、各モジュールを接合することによりプラントを完成させる工法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-155175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記モジュール工法において、モジュールヤードにおけるコミッショニング(以下、試運転とも記載する)作業を効率的に実行することは難しい。なぜならば、上記技術では、モジュールヤードにおけるコミッショニング作業において、マスターデータベースを分割する必要があるからである。また、コミッショニング作業を終了する場合に、分割したデータベースを1つのマスターデータベースにマージする必要があるからである。
【0005】
一つの側面では、試運転作業をより効率的に実行し、マスターデータベースを一元管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面にかかる管理システムは、データベース装置と、制御装置と、管理装置と、を備える。データベース装置は、プラントに含まれる各機器の設定に関するデータを記憶する。制御装置は、前記プラントの少なくとも一部であるプラントモジュールの試運転の制御に用いられ、前記試運転を行うモジュールヤードに配置される。管理装置は、前記プラントモジュールのシステム構築及び保守管理を行う。前記管理装置は、試運転によって変更したデータを前記データベース装置に記憶させる。前記管理装置は、前記データベース装置から前記試運転に使用する前記データを、広域ネットワークを介して前記制御装置にダウンロードする。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態によれば、試運転作業をより効率的に実行し、マスターデータベースを一元管理することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るデータベース管理処理の概要を説明するための図である。
図2】実施形態に係るデータベース管理処理の概要を説明するための図である。
図3】実施形態に係るデータベース管理システムの全体構成例を示す図である。
図4】実施形態に係るデータベース装置の構成例を示すブロック図である。
図5】実施形態に係る管理装置(ENG)の構成例を示すブロック図である。
図6】実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
図7】実施形態に係るデータベース管理処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図8】データベース装置のハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する管理システム及び管理方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、ここで説明する実施形態により本願の発明が限定されるものではない。また、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、各実施形態は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0010】
[1.はじめに]
本実施形態に係るデータベース管理システム1(管理システムの一例)では、モジュール工法を用いたプラントの建設及びプラントの稼働に向けて、コミッショニングオフィス、複数のモジュールヤード及びサイト(プラント建設地)において、コミッショニング作業が行われる。
【0011】
コミッショニング作業は、コミッショニングオフィスで管理される。コミッショニングオフィスは、例えば、モジュールヤード内のオペレータの管理センター及びプラント内のオペレータの管理センター等であるが、特に限定されない。
【0012】
コミッショニングオフィスでは、FAT(Factory Acceptance Test)による検査を合格したデータベースが使用される。ここで、FATとは、コミッショニング作業を行う前の機能検査や工場出荷検査等を含むプラントに関する基本設計から最終検査段階の検査工程に該当する社内検査作業である。FATによる検査が終了すると、検査済みDB(Data Base)が作成される。
【0013】
このFATの検査済みDBは、開発システムの管理用DB(マスターデータベース)として設定される。例えば、管理用DBは、検査済みDBを手動でコピーすることで作成される。ここで、開発システムは、サイトシステムに供するデータベースを管理するシステムである。
【0014】
次に、モジュールヤードで、コミッショニング作業が行われる。ここで、モジュールヤードは、サイトシステムに供する機器の試運転を、プラント内での処理や作業が共通する機器ごとに行う場所である。モジュールヤードは、プロセス機器の試運転を行う場所であるが、特に限定されない。
【0015】
[1.1.課題]
ここで、従来のコミッショニング作業では、複数のモジュールヤードにおけるコミッショニングシステムごとに、FATによる検査済みDB、又は、開発システムの管理用DB(マスターデータベース)から、試運転用DBが生成される。ここで、コミッショニングシステムは、コミッショニング作業を実行するシステムである。
【0016】
試運転用DBは、管理用DBから、モジュールヤードでのコミッショニング作業に必要なデータを残し、他のモジュールヤードでのコミッショニング作業に必要なデータを削除することで作成される。
【0017】
モジュールヤードでのコミッショニング作業に必要なデータは、コミッショニング作業の対象となる制御装置、安全制御装置、及び、必要なコンポーネントのデータであり、例えば該当するFCS(Field Control Station)等である。
【0018】
試運転用DBは、モジュールヤードごとに作成される。作成された試運転DBは、モジュールヤードに送付される。モジュールヤードでは、試運転用DBを含むコミッショニングシステムが構築される。
【0019】
次に、モジュールヤードでは、コミッショニングシステムごとにコミッショニング作業が行われる。この作業によりモジュールヤードの試運転用DBが最適化される。そして、最適化された試運転用DBをもとに、開発システムの管理用DBがイコライズされる。
【0020】
例えば、コミッショニング作業によってモジュールヤードの試運転用DBが変更されると、この試運転用DBをもとに、開発システムの管理用DBがイコライズされる。また、管理用DBが変更されると、管理用DBをもとにモジュールヤードの試運転用DBがイコライズされる。管理用DBは、例えば、他のモジュールヤードの試運転用DBとのイコライズによって変更され得る。イコライズは、例えばツールを用いて手動で行われる。
【0021】
次に、サイトでは、開発システムの管理用DBをもとに、サイトにおけるサイトシステムを起動する際に必要なサイト用DBが設定される。ここで、サイトシステムは、実際のプラント内の処理および管理を実行するシステムであり、例えば、SAT(Site Acceptance Test:現地受け入れ検査)を行うシステム等が該当する。
【0022】
例えば、複数のモジュールヤードの1つでコミッショニング作業が終了すると、開発システムの管理用DBがサイト用DBに手動でコピーされる。
【0023】
以降、モジュールヤードでコミッショニング作業が終了するたびに、試運転用DBが開発システムの管理用DBにマージされる。マージ後、管理用DBの検証が行われる。検証が正しく終了した場合、管理用DBがサイト用DBにマージされる。
【0024】
なお、サイトにおいてもサイト用DBを用いてコミッショニング作業が行われる。サイトでのコミッショニング作業、及び、モジュールヤードでのコミッショニング作業は、一定期間、同時に(並行して)行われる。その間、試運転用DB及び管理用DBのイコライズ処理、管理用DBの検証処理、及び、管理用DB及びサイト用DBのマージ処理が繰り返し実行される。
【0025】
このように、モジュールヤード単位でコミッショニングシステムが構築されるため、従来のシステムでは、手動で試運転用DBの作成、すなわち、管理用DBの分割が行われる。
【0026】
また、従来のシステムでは、モジュールヤードで変更された試運転用DBを、管理用DBに手動で(又は、ツールを用いて)マージする必要がある。
【0027】
このように、従来のシステムでは、管理用DB(マスターデータベース)の分割及びマージが必要となる。そのため、コミッショニング作業をより効率的に実行できるようにすることが望まれる。
【0028】
また、この分割及びマージ作業は、担当者によって手動で行われる。そのため、分割及びマージ作業の詳細な作業手順を明確にしておくことが求められる。また、作業担当者を明確に決定しておくことが求められる。コミッショニング作業が長期(例えば、年単位)に渡って実施される場合、作業担当者も長期に渡りアサインされることになり、作業担当者の負担が大きくなってしまう恐れがある。
【0029】
また、この分割及びマージ作業が手動で行われることで、作業ミスが起きてしまう恐れがある。
【0030】
[1.2.提案技術の概要]
そこで、本実施形態に係るデータベース管理システムは、仮想環境に構築されたデータベース装置と、コミッショニングシステムと、を接続し、データベース管理処理を実行する。これにより、データベース管理システムにおいて、管理用DBを分割することなくコミッショニング作業が行えるようにする。なお、データベース装置は、コミッショニング作業に使用するデータを記憶する管理用DBを有する。
【0031】
図1及び図2は、実施形態に係るデータベース管理処理の概要を説明するための図である。図1及び図2に示すデータベース管理処理は、データベース管理システム1によって実行される。
【0032】
まず、図1を用いてデータベース管理システム1の概略構成について説明する。図1に示すように、データベース管理システム1は、データベース装置10と、制御装置20A、20Bと、安全制御装置30A、30Bと、管理装置40A、40Bと、操作装置50A、50Bと、情報処理装置104A、104B、105A、105Bと、を備える。
【0033】
ここで、データベース管理システム1では、モジュールヤードごとにコミッショニング作業が行われる。モジュールヤードごとに行われるコミッショニング作業では、制御装置20、安全制御装置30、管理装置40及び操作装置50等が使用される。
【0034】
以降、符号の後ろにアルファベットを付すことで、これらの装置、及び、コミッショニング作業をモジュールヤードごとに区別する。また、モジュールヤードごとに区別する必要がない場合は、アルファベットを省略して記載する。
【0035】
(データベース装置10)
データベース装置10は、プラントのコミッショニング作業(試運転作業)に使用するデータを記憶する。例えば、データベース装置10は、管理用DB(マスターデータベース)であるプロジェクト(PJT)DB121にコミッショニング作業に使用するデータを保存する。
【0036】
(制御装置20)
制御装置20は、プラント制御を行うコントローラである。ここでは、制御装置20は、モジュールの試運転の制御を行う。以下、制御装置20をFCS(Field Control Station)20とも記載する。
【0037】
制御装置20は、データベース装置10が記憶するデータを用いて試運転作業を行う。制御装置20は、データベース装置10が記憶するデータを、FCS_DB221にダウンロードして試運転作業を行う。
【0038】
(安全制御装置30)
安全制御装置30は、プラント操業での異常を検出するコントローラ(制御装置)である。ここでは、安全制御装置30は、モジュールの試運転において、異常検出を行う。以下、安全制御装置30をSCS(Safety Control Station)30とも記載する。
【0039】
安全制御装置30は、データベース装置10が記憶するデータを用いて試運転作業を行う。安全制御装置30は、データベース装置10が記憶するデータを、SCS_DB321にダウンロードして試運転作業を行う。
【0040】
(管理装置40)
管理装置40は、プラントシステムのシステム構築及び保守管理などを行う。ここでは、管理装置40は、モジュールの試運転において、モジュールのシステム構築などを行う。以下、管理装置40をENG(ENGineering system、又は、エンジニアリング端末)30とも記載する。
【0041】
管理装置40は、データベース装置10に対して、コミッショニング作業によって変更したデータを記憶させる。また、管理装置40は、データベース装置10から取得したデータを制御装置20及び安全制御装置30にダウンロードする。
【0042】
(操作装置50)
操作装置50は、プラントの操作監視を行う。以下、操作装置50を、HIS(Human Interface Station)50とも記載する。
【0043】
ここで、本実施形態に係るデータベース管理システム1では、一部の装置が仮想環境に構築される。例えば、図1の例では、データベース装置10、ENG40及びHIS50が仮想環境上に構築される。一方、FCS20及びSCS30は、コミッショニングオフィスに配置される。
【0044】
コミッショニングオフィス及び仮想環境は、広域ネットワークを介して接続される。すなわち、FCS20及びSCS30は、広域ネットワークを介して、データベース装置10、ENG40及びHIS50とそれぞれ接続する。広域ネットワークは、例えばインターネット等である。
【0045】
(情報処理装置104、105)
ENG40及びHIS50は、コミッショニングオフィスに配置される情報処理装置104、105を介してユーザからの指示を受け付ける。すなわち、ENG40及びHIS50は、コミッショニングオフィスからのリモートアクセスを受け付ける。
【0046】
例えば、ENG40及びHIS50は、シンクライアント対応のサーバ装置として機能する。また、情報処理装置104、105は、シンクライアント端末として機能する。以下、情報処理装置104、105を、PC(Personal Computer)104、105とも記載する。
【0047】
また、データベース装置10、ENG40、HIS50、PC104、105は、例えば、汎用的なネットワーク(例えば、パブリックネットワーク)で互いに接続され得る。これらの装置は、例えば、イーサネット(登録商標)及びWi-Fi(登録商標)等、一般的な通信規格を用いて接続され得る。このような、パブリックネットワークをPCNとも記載する。
【0048】
一方、FCS20、SCS30、ENG40、及び、HIS50は、専用ネットワーク(制御バス)で互いに接続され得る。この専用ネットークとは、イーサネットをベースとしたプロセスオートメーション用のリアルタイムプラントネットワークである。以下、この専用ネットワークをVnet/IPとも記載する。
【0049】
FCS20、SCS30、ENG40、及び、HIS50は、後述するWACルートを介して、専用ネットワーク及び広域ネットに接続される。
【0050】
なお、コミッショニング作業を行うシステムをコミッショニングシステム(CS)とも記載する。コミッショニングシステム(CS)には、FCS20、SCS30、ENG40、HIS50、及び、PC104、105が含まれる。
【0051】
次に、このデータベース管理システム1で実行されるデータベース管理処理の概要について説明する。なお、ここでは、モジュールヤードM_Aで行われるコミッショニング作業C_Aにおいて実行されるデータベース管理処理の概要について説明するが、モジュールヤードM_Bで行われるコミッショニング作業C_Bでも同様にデータベース管理処理が実行される。
【0052】
図1に示すように、FCS20A及びSCS30Aは、コミッショニング作業C_Aで使用するデータをダウンロードする(ステップS1)。ダウンロードは、例えば、コミッショニング作業を行う作業員が、管理装置を用いてデータベース装置10に指示することで行われる。
【0053】
データベース装置10は、作業員からの指示に従い、コミッショニング作業C_Aで使用されるデータをFCS20A及びSCS30Aの少なくとも一方に送信する。作業員は、例えば、PC104からENG40にアクセスし、ENG40を介してデータベース装置10にデータの送信を指示する。
【0054】
なお、ダウンロードは、ENG40Aを介して行われる。ダウンロードしたデータは、FCS_DB221及びSCS_DB321の少なくとも一方に保存される。
【0055】
次に、図2に示すように、コミッショニング作業C_Aにおいて、データの更新が行われると、ENG40Aは、データベース装置10に記憶されているデータを更新する(ステップS2)。更新は、例えば、コミッショニング作業を行う作業員が、管理装置を用いてデータベース装置10に指示することで行われる。
【0056】
データベース装置10は、作業員からの指示に従い、コミッショニング作業C_Aで更新されたデータを用いてPJT_DB121を更新する。
【0057】
データを更新したデータベース装置10は、更新後のデータをFCS20及びSCS30の少なくとも一方に送信する。このように、データの更新が行われると、FCS20及びSCS30は、更新後のデータをダウンロードする(ステップS3)。ダウンロードしたデータは、FCS_DB221及びSCS_DB321の少なくとも一方に保存される。
【0058】
また、上述したように、コミッショニング作業C_Bでも同様にデータの更新及びダウンロードが行われる。このように、本実施形態では、データベース装置10は、仮想環境に構築され、コミッショニング作業Cに使用するデータを記憶する。
【0059】
これにより、複数のコミッショニング作業Cに使用するデータ(マスターデータベース)を、データベース装置10が一元管理することができる。そのため、本実施形態に係るデータベース管理システム1は、データの分割及び統合等を行う必要がなく、コミッショニング作業Cをより効率的に実行することができる。
【0060】
また、これにより、管理用DB(マスターデータベース)の分割及び統合を手作業で行う必要がなくなり、分割及び統合を行う作業担当者を設定する必要がなくなる。これにより、作業担当者の負担を軽減することができ、手動による作業ミスを低減することができる。
【0061】
[2.システム構成例]
[2.1.システムの全体構成例]
図3は、実施形態に係るデータベース管理システム1の全体構成例を示す図である。なお、図3では、本実施形態の説明に必要な構成要素が適宜図示されており、説明に不要な構成要素の図示が一部省略される場合がある。
【0062】
データベース管理システム1は、モジュールヤードM_Aに構築されるヤードコミッショニングシステムYCS_1Aと、仮想環境VMに構築される仮想コミッショニングシステムVCS_1Aと、を有する。ヤードコミッショニングシステムYCS_1A及び仮想コミッショニングシステムVCS_1Aは、1つのコミッショニングシステムCS_1Aとして機能する。
【0063】
なお、モジュールヤードM_Aには、ヤードコミッショニングシステムYCS_1Aの他にも複数のヤードコミッショニングシステムYCS_2A~YCS_4Aが構築される。また、複数のヤードコミッショニングシステムYCS_2A~YCS_4Aそれぞれに対応する仮想コミッショニングシステムVCS_2A~VCS_4Aが、仮想環境VMに構築される。
【0064】
このように、モジュールヤードM_Aに対応する複数のコミッショニングシステムCS_1A~CS_4Aが構築される。
【0065】
(仮想コミッショニングシステムVCS_1A)
仮想コミッショニングシステムVCS_1Aは、DCS_ENG40_1Aと、ESD_SENG40_2Aと、FGS_SENG40_3Aと、HIS50Aと、を有する。
【0066】
DCS_ENG40_1Aは、分散制御システム(Distributed Control System)のためのエンジニアリング端末である。ESD_SENG40_2Aは、緊急遮断装置のためのエンジニアリング端末である。FGS_SENG40_3Aは、防火消火設備のためのエンジニアリング端末である。
【0067】
DCS_ENG40_1A、ESD_SENG40_2A、及び、FGS_SENG40_3Aは、上述したENG40Aに相当する。上述したENG40Aが、DCS_ENG40_1A、ESD_SENG40_2A、及び、FGS_SENG40_3A全ての機能を備えていてもよい。あるいは、ENG40Aが、DCS_ENG40_1A、ESD_SENG40_2A、及び、FGS_SENG40_3Aの少なくとも1つの機能を備えていてもよい。
【0068】
(ヤードコミッショニングシステムYCS_1A)
ヤードコミッショニングシステムYCS_1Aは、DCS_FCS20Aと、ESD_SCS30_1Aと、FGS_SCS30_2Aと、DCS_PC104_1Aと、ESD_PC104_2Aと、FGS_PC104_3Aと、HIS_PC105Aと、PRM60Aと、を備える。
【0069】
DCS_FCS20Aは、モジュールの分散制御システムの制御を行うコントローラである。DCS_FCS20Aは、上述したFCS20Aに相当する。このDCS_FCS20Aは、コミッショニングシステムCS_1Aによるコミッショニング作業の対象となる。以下、コミッショニング作業の対象であるDCS_FCS20Aをtarget DCS_FCS20Aとも記載する。
【0070】
ESD_SCS30_1Aは、緊急遮断装置の制御を行うコントローラである。ESD_SCS30_1Aは、上述したSCS30Aに相当する。このESD_SCS30_1Aは、コミッショニングシステムCS_1Aによるコミッショニング作業の対象となる。以下、コミッショニング作業の対象であるESD_SCS30_1Aをtarget ESD_SCS30_1Aとも記載する。
【0071】
FGS_SCS30_2Aは、緊急遮断装置の制御を行うコントローラである。FGS_SCS30_2Aは、上述したSCS30Aに相当する。このFGS_SCS30_2Aは、コミッショニングシステムCS_1Aによるコミッショニング作業の対象となる。以下、コミッショニング作業の対象であるFGS_SCS30_2Aをtarget FGS_SCS30_2Aとも記載する。
【0072】
DCS_PC104_1Aは、DCS_ENG40_1Aにリモートアクセスするために使用される情報処理装置である。DCS_PC104_1Aは、上述したPC104Aに相当する。
【0073】
ESD_PC104_2Aは、ESD_SENG40_2Aにリモートアクセスするために使用される情報処理装置である。ESD_PC104_2Aは、上述したPC104Aに相当する。
【0074】
FGS_PC104_3Aは、FGS_SENG40_3Aにリモートアクセスするために使用される情報処理装置である。FGS_PC104_3Aは、上述したPC104Aに相当する。
【0075】
HIS_PC105Aは、HIS50Aにリモートアクセスするために使用される情報処理装置である。HIS_PC105Aは、上述したPC105Aに相当する。
【0076】
PRM60Aは、モジュールに含まれるフィールド機器の接続チェックを行うための装置である。PRM60Aは、機器情報を記憶するデータベース(図示省略)を備える。
【0077】
このデータベースが保持する機器情報は、プラグアンドプレイでサイトシステムに取り込まれる。後述するマスターPRM_DB70は、主に共有データの管理に使用される。マスターPRM_DB70に記憶されるデータは、必要に応じてPRM60Aのデータベースに手動でイコライズされる。
【0078】
仮想コミッショニングシステムVCS_1AのDCS_ENG40_1A、ESD_SENG40_2A、FGS_SENG40_3A、及び、HIS50Aと、ヤードコミッショニングシステムYCS_1AのDCS_FCS20A、ESD_SCS30_1A、FGS_SCS30_2A、及び、PRM60Aと、は、専用のネットワーク(制御バス)を用いて接続される。
【0079】
これらの機器は、例えば、ゲートウェイ(図示省略)、ファイアウォール(図示省略)、スイッチングハブ(図示省略)及びルータ等のネットワーク機器を介して接続される。ここで、ルータとして、横河製のWAC(ワイド・エリア・コミュニケーション)ルータ81及びWACエンジニアリング端末(図示省略)が用いられ得る。
【0080】
WACルータ81は、専用ネットワーク及び広域ネットワークの接続を行うと共に、通信データの種類及び通信相手となる機器等に応じたデータの優先順位付け等を行う。これにより、WACルータ81は、通信データ量の適正化を行う。また、WACルータ81は、通信モジュールの冗長化に加え、通信回線の二重化により、システムとしての信頼性を確保する。
【0081】
このように、信頼性及びセキュリティの高い通信が可能なWACルータ81を用いることで、より信頼性及びセキュリティの高い専用ネットワーク(制御バス)を構築することができる。
【0082】
この制御バスは、コミッショニングシステムCS_1Aに含まれる機器を接続するための専用ネットワークであり、一般的なネットワークとは異なる。例えば、制御バスでは、コミッショニングシステムCS_1A特有の形式の信号(Vnet/IP通信パケット)が送受信される。
【0083】
なお、コミッショニングシステムCS_2A~CS_4Aは、コミッショニングシステムCS_1Aと同様の構成を有するため、ここでの説明を省略する。
【0084】
また、ここでは、モジュールヤードM_A対応するコミッショニングシステムCS_Aが4つ構築されるとしたが、構築されるコミッショニングシステムCS_Aの数は4つに限定されない。構築されるコミッショニングシステムCS_Aの数は3つ以下であっても、5つ以上であってもよい。
【0085】
また、モジュールが建造されるモジュールヤードMは複数あってもよい。図3の例では、3つのモジュールヤードM_A~M_Cでモジュールの建造及びコミッショニング作業等が行われる。モジュールヤードM_B、M_CでもモジュールヤードM_Aと同様に、1つ以上のコミッショニングシステムCS_B、CS_Cが構築される。なお、モジュールヤードMの数は3つに限定されず、2つ以下であっても4つ以上であってもよい。
【0086】
(サイトSに構築されるコミッショニングシステムCS_S)
また、最終的にプラントが建設されるサイトSでも、モジュールヤードMから移送されたモジュールのコミッショニング作業が行われる。サイトSに構築されるコミッショニングシステムCS_Sは、仮想コミッショニングシステムVCS_S及びサイトコミッショニングシステムSC_Sを含む。
【0087】
仮想コミッショニングシステムVCS_Sは、DCS_ENG40_1Sと、ESD_SENG40_2Sと、FGS_SENG40_3Sと、HIS50Sと、を有する。サイトコミッショニングシステムSC_Sは、DCS_FCS20Sと、ESD_SCS30_1Sと、FGS_SCS30_2Sと、DCS_PC104_1Sと、ESD_PC104_2Sと、FGS_PC104_3Sと、HIS_PC105Sと、PRM60Sと、を有する。
【0088】
なお、サイトSに構築されるコミッショニングシステムCS_Sの構成は、モジュールヤードM_Aに構築されるコミッショニングシステムCS_1Aと同じ構成のため、説明を省略する。
【0089】
(データベース装置10)
データベース装置10は、仮想環境上に配置される。データベース装置10は、クラウドに配置されるデータベースサーバであってもよい。上述したように、データベース装置10は、コミッショニング作業に使用するデータが記憶される。
【0090】
(マスターPRM_DB70)
マスターPRM_DB70は、PRM60で使用されるデータを記憶するデータベース装置である。上述したように、マスターPRM_DB70は、主に、PRM60の共有データが記憶される。マスターPRM_DB70に記憶されるデータは、必要に応じてPRM60Aのデータベースに手動でイコライズされる。
【0091】
仮想環境に配置されるデータベース装置10、マスターPRM_DB70、DCS_ENG40_1A、40_1S、ESD_SENG40_2A、40_2S、FGS_SENG40_3A、40_3S、及び、HIS50A、50Sと、モジュールヤードM_A及びサイトSに配置されるDCS_PC104_1A、104_1S、ESD_PC104_2A、104_2S、FGS_PC104_3A、104_3S、HIS50A、50S、及び、PRM60A、60Sは、汎用ネットワークを介して接続される。
【0092】
これらの機器は、例えば、ゲートウェイ(図示省略)、ファイアウォール(図示省略)、スイッチングハブ(図示省略)及びルータ(図示省略)等のネットワーク機器を介して接続される。汎用ネットワークは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)及びWAN(Wide Area Network)等、一般的な通信に使用されるネットワークである。例えば、汎用ネットワークでは、イーサネット等の標準規格に基づいた通信が行われる。
【0093】
データベース装置10、マスターPRM_DB70、DCS_ENG40_1A、40_1S、ESD_SENG40_2A、40_2S、FGS_SENG40_3A、40_3S、及び、HIS50A、50Sは、物理的に同じ場所(リモートオフィス)に配置され得る。あるいは、これらの装置が物理的に分散して配置されてもよい。このリモートオフィスは、例えば、モジュールヤードMやサイトSとは異なる場所であり得る。
【0094】
リモートオフィスに配置される各装置と、モジュールヤードM及びサイトSに配置される各装置は、広域ネットワークを介して接続される。
【0095】
なお、データベース管理システム1は上述した装置以外の装置を備えていてもよい。例えば、データベース管理システム1が、バックアップ用のデータベース装置等を備えていてもよい。
【0096】
[2.2.データベース装置の構成例]
図4は、実施形態に係るデータベース装置10の構成例を示すブロック図である。データベース装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。
【0097】
(通信部11)
通信部11は、他の装置と通信を行う処理部であり、例えば通信インタフェース等により実現される。例えば、通信部11は、ENG40と通信する。
【0098】
(記憶部12)
記憶部12は、各種データ、及び制御部13が実行する各種プログラム等を記憶する処理部である。記憶部12は、例えばメモリ及びハードディスク等により実現される。記憶部12は、PJT_DB121を有する。PJT_DB121は、コミッショニング作業に使用するデータを記憶するデータベースである。
【0099】
(制御部13)
制御部13は、データベース装置10全体を制御する。制御部13は、データ送信部131とデータ更新部132と、を有する。ここで、制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現され得る。
【0100】
(データ送信部131)
データ送信部131は、PJT_DB121に記憶されるデータを、ENG40を介してFCS20及びSCS30の少なくとも一方に送信する。
【0101】
なお、ENG40がアクセス可能なデータの範囲は、モジュールヤードM(あるいは、コミッショニングシステムCS)ごとに決められている。すなわち、コミッショニングシステムCSごとにPJT_DB121に対するアクセス制限が設けられている。
【0102】
そのため、データ送信部131は、コミッショニングシステムCSに応じた範囲のデータをFCS20及びSCS30の少なくとも一方に送信する。
【0103】
データ送信部131は、コミッショニングシステムCSに応じた範囲のデータ全てを一括してFCS20及びSCS30の少なくとも一方に送信してもよい。あるいは、データ送信部131は、データ更新によって生じた差分データをFCS20及びSCS30の少なくとも一方に送信してもよい。データ送信部131が差分データを送信することで、ダウンロードに必要な時間を短縮することができる。
【0104】
(データ更新部132)
データ更新部132は、ENG40からの要求に応じてPJT_DB121が記憶するデータを更新する。データ更新部132は、PJT_DB121に対して、新たなデータの追加及び既に記憶しているデータの変更等を行うことで、データの更新を行う。
【0105】
[2.3.管理装置の構成例]
図5は、実施形態に係る管理装置(ENG40)の構成例を示すブロック図である。ENG40は、通信部41と、記憶部42と、制御部43と、を備える。
【0106】
(通信部41)
通信部41は、他の装置と通信を行う処理部であり、例えば通信インタフェース等により実現される。例えば、通信部41は、データベース装置10、PC104、FCS20、及び、SCS30と通信する。
【0107】
ここで、通信部41が、汎用ネットワークに接続するための第1の通信部及び専用ネットワークに接続するための第2の通信部を備えていてもよい。このように、ENG40は、接続するネットワークに応じた通信部を備え得る。
【0108】
(記憶部42)
記憶部42は、各種データ、及び制御部43が実行する各種プログラム等を記憶する処理部である。記憶部42は、例えばメモリ及びハードディスク等により実現される。
【0109】
(制御部43)
制御部43は、ENG40全体を制御する。制御部43は、取得要求部431と更新要求部432と、を有する。ここで、制御部43は、例えば、CPUやMPU等の電子回路やASICやFPGA等の集積回路により実現され得る。
【0110】
(取得要求部431)
取得要求部431は、データベース装置10に対して、コミッショニング作業に使用するデータの取得要求を行う。取得要求部431は、データベース装置10に対して、FCS20及びSCS30の少なくとも一方にデータを送信するよう要求する。
【0111】
(更新要求部432)
更新要求部432は、コミッショニング作業で発生した変更に応じて、PJT_DB121を更新するよう、データベース装置10に要求する。例えば、更新要求部432は、コミッショニング作業で発生した変更内容(例えば、機器のレンジ及びシーケンス動作等)を、PJT_DB121に対して直接反映させる。
【0112】
なお、PJT_DB121が更新されると自動的にデータのダウンロードが行われる場合、取得要求部431によるデータの取得要求が省略されてもよい。この場合、更新要求部432からデータの更新要求が行われると、データベース装置10は、PJT_DB121を更新するとともに、FCS20及びSCS30の少なくとも一方に更新後のデータを送信する。
【0113】
[2.4.情報処理装置の構成例]
図6は、実施形態に係る情報処理装置100の構成例を示すブロック図である。情報処理装置100は、PC104、105として機能する。情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130と、入出力部140を備える。
【0114】
(通信部110)
通信部110は、他の装置と通信を行う処理部であり、例えば通信インタフェース等により実現される。例えば、通信部110は、ENG40又はHIS50と通信する。
【0115】
(記憶部120)
記憶部120は、各種データ、及び制御部130が実行する各種プログラム等を記憶する処理部である。記憶部120は、例えばメモリ及びハードディスク等により実現される。
【0116】
(制御部130)
制御部130は、情報処理装置100全体を制御する。制御部130は、例えば、CPUやMPU等の電子回路やASICやFPGA等の集積回路により実現され得る。
【0117】
(入出力部140)
入出力部140は情報処理装置100への各種情報の入力を受け付ける。入出力部140は、例えば、マウス及びキーボード等である。入出力部140は、各種情報を出力する。入出力部140は、例えば、ディスプレイ及びスピーカ等であり、プラントにおける異常値やシステムのエラー等を出力する。
【0118】
情報処理装置100は、入出力部140を介して作業員から受け付けた入力を、仮想環境に構築されるENG40又はHIS50に送信する。これにより、作業員は、情報処理装置100を介してENG40又はHIS50を操作することができる。
【0119】
[3.データベース管理処理]
図7は、実施形態に係るデータベース管理処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0120】
まず、コミッショニング作業が行われる前に、ENG40は、データベース装置10に対して、データの取得要求を送信する(ステップS101)。例えば、ENG40は、作業員からの指示を、PC104を介して受け付けることで、データの取得要求を送信する。
【0121】
データの取得要求を受信したデータベース装置10は、ENG40にデータを送信する(ステップS102)。データベース装置10は、ENG40が属するコミッショニングシステムCSがアクセス権限を有するデータをENG40に送信する。
【0122】
データを受信したENG40は、受信したデータをFCS20にダウンロードする(ステップS103)。なお、ENG40は、短いパケットを繰り返し送信することで、受信したデータをFCS20にダウンロードし得る。あるいは、ENG40は、受信したデータを一括して送信するようにしてもよい。ENG40が一括してデータを送信することでダウンロード時間を短縮することができる。FCS20は、受信したデータをFCS_DB221に保存する。
【0123】
次に、ENG40及びFCS20がコミッショニング作業を実施する(ステップS104)。
【0124】
ENG40は、データの更新要求をデータベース装置10に送信する(ステップS105)。ENG40は、このコミッショニング作業によって発生した変更内容に基づき、PJT_DB121を更新するようデータベース装置10に通知する。
【0125】
更新要求を受けたデータベース装置10は、ENG40からの通知に従ってPJT_DB121を更新する(ステップS106)。
【0126】
これにより、ENG40は、コミッショニング作業で発生した変更内容(機器のレンジ及びシーケンス動作等)を直接PJT_DB121に反映させることができる。
【0127】
なお、モジュールヤードMでコミッショニング作業を行う作業員がPC104を介してENG40にリモートアクセスする。これにより、ENG40は、作業員の指示に従ってデータベース装置10に更新要求を送信する。
【0128】
データを更新したデータベース装置10は、更新後のデータをENG40に送信する(ステップS107)。更新後のデータを受信したENG40は、更新後のデータをFCS20に転送する(ステップS108)。
【0129】
なお、ここでは、FCS20のFCS_DB221の作成及び更新を行う場合について示したが、SCS30のSCS_DB321の作成及び更新も同様に行われる。
【0130】
また、PJT_DB121及びFCS_DB221の更新は、コミッショニング作業中に都度行われ得る。
【0131】
また、PJT_DB121が保持する共有データ、すなわち、複数のモジュールヤードM及びサイトSで共通するデータが更新された場合、データベース装置10は更新されたデータを各モジュールヤードM及びサイトSのENG40に更新後の共有データを送信し得る。この場合、ENG40は、FCS_DB221に、更新後の共有データを転送し、FCS_DB221を更新する。
【0132】
あるいは、データベース装置10が、PJT_DB121の共有データが更新された旨を各モジュールヤードM及びサイトSのENG40に通知し得る。通知を受けたENG40は、更新後の共有データをダウンロードするか否かを判定し、判定結果に応じて更新後の共有データをFCS_DB221にダウンロードさせる。例えば、ENG40は、作業員からの指示に従って更新後の共有データをダウンロードするか否かを判定する。
【0133】
以上のように、本実施形態に係るデータベース管理システム1は、複数のコミッショニングシステムCS及びサイトSでPJT_DB121を共有することで、PJT_DB121を一元管理することができる。
【0134】
また、本実施形態に係るデータベース管理システム1は、ENG40によってPJT_DB121の更新を行う。また、PJT_DB121の更新後、更新したデータのダウンロードが行われる。
【0135】
また、本実施形態に係るデータベース管理システム1では、データベース装置10及びENG40と、FCS20及びSCS30と、が広域ネットワークを介して接続される。
【0136】
これにより、本実施形態に係るデータベース管理システム1は、作業員の手動作業による作業ミスを低減しつつ、プラント建設のモジュラー工法に追従可能な、広域ネットワークを活用したシステムを構築することができる。
【0137】
また、ENG40とFCS20及びSCS30とは、WACルータ81を介して接続される。これにより、ENG40とFCS20及びSCS30との間が広域ネットワークにもかかわらず、高信頼性及び安全性がより高い通信を実現することができる。
【0138】
また、本実施形態に係るデータベース管理システム1では、モジュールヤードMでのコミッショニング作業と並行してサイトSでのコミッショニング作業が行われる。
【0139】
また、ENG40とFCS20及びSCS30との間は、専用の制御バスによって接続される。これにより、FCS20及びSCS30は、ENG40で生成したプログラムをより確実に、かつ、より高速にダウンロードすることができる。
【0140】
上述したように、本実施形態では、例えば複数国など離れた場所に配置されるモジュールヤードM上に配備されたFCS20及びSCS30の少なくとも一方を動作させるプログラムを、仮想環境VMに配置されたENG40が生成する。
【0141】
ENG40は、この仮想環境VM上で生成したプログラムを、WACルータ81を用いた専用の制御バスを介してFCS20又はSCS30にダウンロードさせる。これにより、データベース管理システム1は、プログラムをより確実にかつより高速にFCS20又はSCS30に反映させることができる。
【0142】
これにより、データベース管理システム1は、モジュールヤードMでのコミッショニング作業が、サイトSでのコミッショニング作業のスケジュールに与える影響を小さくすることができる。
【0143】
[4.システム]
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0144】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0145】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0146】
[5.ハードウェア]
次に、データベース装置10のハードウェア構成例を説明する。図8は、データベース装置10のハードウェア構成例を説明する図である。図8に示すように、データベース装置10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、図8に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0147】
通信装置10aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。HDD10bは、図4に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0148】
プロセッサ10dは、図4に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10b等から読み出してメモリ10cに展開することで、図4等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、データベース装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、データ送信部131、データ更新部132等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、データ送信部131、データ更新部132等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0149】
このように、データベース装置10は、プログラムを読み出して実行することで各種処理方法を実行する装置として動作する。また、データベース装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、データベース装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0150】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0151】
また、ここではデータベース装置10のハードウェア構成例について説明したが、ENG40、HIS50、情報処理装置100等も同様なハードウェア構成で実現され得る。
【0152】
[6.その他]
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
(1)
プラントに含まれる各機器の設定に関するデータを記憶するデータベース装置と、
前記プラントの少なくとも一部であるプラントモジュールの試運転の制御に用いられ、前記試運転を行うモジュールヤードに配置される制御装置と、
前記プラントモジュールのシステム構築及び保守管理を行う管理装置と、
を備え、
前記管理装置は、
前記試運転によって変更した前記データを前記データベース装置に記憶させ、
広域ネットワークを介して前記データベース装置から前記試運転に使用する前記データをダウンロードする、
管理システム。
(2)
前記制御装置及び前記管理装置は、前記広域ネットワークを介して接続され、
前記データは、前記管理装置を介して前記制御装置にダウンロードされる、
(1)に記載の管理システム。
(3)
前記制御装置及び前記管理装置は、専用ネットワークを介して接続され、
前記データベース装置及び前記管理装置は、汎用ネットワークを介して接続される、
(2)に記載の管理システム。
(4)
前記制御装置は、前記プラントモジュールのプラント制御を行う装置、又は、前記プラントモジュールで異常が発生した場合に当該異常の検出を行う装置である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の管理システム。
(5)
前記プラントモジュールとは異なる第2のプラントモジュールの第2の試運転の制御に用いられ、前記第2の試運転を行う第2のモジュールヤードに配置される第2の制御装置と、
前記第2のプラントモジュールの第2のシステム構築及び第2の保守管理を行う第2の管理装置と、
をさらに備え、
前記第2の管理装置は、
前記第2の試運転によって変更した前記データを前記データベース装置に記憶させ、
前記広域ネットワークを介して前記データベース装置から前記第2の試運転に使用する前記データをダウンロードする、
(1)~(4)のいずれか1つに記載の管理システム。
(6)
前記プラントモジュールの操作監視を行うための操作装置をさらに備え、
前記操作装置は、前記制御装置と前記広域ネットワークを介して接続される、
(1)~(5)のいずれか1つに記載の管理システム。
(7)
前記制御装置、前記管理装置、及び、前記操作装置は、専用ネットワークを介して接続され、
前記データベース装置、前記管理装置、前記操作装置、及び、情報処理装置は、汎用ネットワークを介して接続され、
前記情報処理装置は、前記汎用ネットワークを介して前記管理装置及び前記操作装置の少なくとも一方にアクセスする、
(6)に記載の管理システム。
(8)
プラントに含まれる各機器の設定に関するデータを記憶するデータベース装置と、
前記プラントの少なくとも一部であるプラントモジュールの試運転の制御に用いられ、前記試運転を行うモジュールヤードに配置される制御装置と、
前記プラントモジュールのシステム構築及び保守管理を行う管理装置と、
を備える管理システムによる管理方法であって、
前記管理装置が、前記試運転によって変更した前記データを前記データベース装置に記憶させることと、
前記管理装置が、広域ネットワークを介して前記データベース装置から前記試運転に使用する前記データをダウンロードすることと、
を含む管理方法。
【符号の説明】
【0153】
1 データベース管理システム
10 データベース装置
11,41,110 通信部
12,42,120 記憶部
13,43,130 制御部
20 制御装置
30 安全制御装置
40 管理装置
50 操作装置
131 データ送信部
132 データ更新部
140 入出力部
431 取得要求部
432 更新要求部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8