(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120691
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】操作補助システム及び制御装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/75 20150101AFI20240829BHJP
E05F 15/611 20150101ALI20240829BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20240829BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20240829BHJP
【FI】
E05F15/75
E05F15/611
B60J5/04 C
B60J5/10 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027674
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 憲幸
(72)【発明者】
【氏名】小島 友裕
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA01
2E052CA06
2E052DA05
2E052DB05
2E052EA03
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA05
2E052GB12
2E052GB15
2E052GD02
2E052LA02
2E052LA09
(57)【要約】
【課題】開閉部が傾いている状態であっても開閉部の駆動力を適切に制御可能にする。
【解決手段】実施形態の操作補助システムは、開閉部にかかる加速度を検出するセンサと、開閉部を変位させる駆動力を発生させる駆動部と、センサにより検出された加速度に基づいて、ユーザが開閉部に力を加えることにより開閉部を開放又は閉鎖させる手動操作を検出する手動操作検出部と、手動操作が検出された場合に、当該手動操作に要するユーザの操作力を軽減するように駆動部を制御する駆動制御部と、を備え駆動制御部は、開閉部に対して手動操作の方向にかかる荷重の総量である総荷重と、開閉部に対して手動操作の方向にかかる開閉部の重量である自重と、に基づいて、操作力が一定となるように、駆動力の目標値である目標駆動力を算出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉部に対するユーザによる操作を補助する操作補助システムであって、
前記開閉部にかかる加速度を検出するセンサと、
前記開閉部を変位させる駆動力を発生させる駆動部と、
前記センサにより検出された加速度に基づいて、前記ユーザが前記開閉部に力を加えることにより前記開閉部を開放又は閉鎖させる手動操作を検出する手動操作検出部と、
前記手動操作が検出された場合に、当該手動操作に要する前記ユーザの操作力を軽減するように前記駆動部を制御する駆動制御部と、
を備え
前記駆動制御部は、前記開閉部に対して前記手動操作の方向にかかる荷重の総量である総荷重と、前記開閉部に対して前記手動操作の方向にかかる前記開閉部の重量である自重と、に基づいて、前記操作力が一定となるように、前記駆動力の目標値である目標駆動力を算出する、
操作補助システム。
【請求項2】
前記駆動制御部は、前記総荷重をT、前記自重をT1、前記操作力をT2、前記目標駆動力をT3とするとき、下記式(1)に基づいて前記目標駆動力を算出する、
T=T1+T2+T3 …(1)
請求項1に記載の操作補助システム。
【請求項3】
前記駆動制御部は、前記開閉部が回転軸を中心に回動する際の角加速度に基づいて前記総荷重を算出する、
請求項1に記載の操作補助システム。
【請求項4】
前記駆動制御部は、前記センサにより検出された加速度に基づいて前記開閉部の傾きを算出し、当該傾きに基づいて前記自重を算出する、
請求項1に記載の操作補助システム。
【請求項5】
開閉部を変位させる駆動力を発生させる駆動部を制御するための処理を実行する制御装置であって、
前記開閉部にかかる加速度に基づいて、ユーザが前記開閉部に力を加えることにより前記開閉部を開放又は閉鎖させる手動操作を検出する手動操作検出部と、
前記手動操作が検出された場合に、当該手動操作に要する前記ユーザの操作力を軽減するように前記駆動部を制御する駆動制御部と、
を備え、
前記駆動制御部は、前記開閉部に対して前記手動操作の方向にかかる荷重の総量である総荷重と、前記開閉部に対して前記手動操作の方向にかかる前記開閉部の重量である自重と、に基づいて、前記操作力が一定となるように、前記駆動力の目標値である目標駆動力を算出する、
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、操作補助システム及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の移動体において、ユーザがドア等の開閉部を操作する際に、ユーザの操作を補助するように開閉部を駆動させるシステムが利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなシステムにおいて、開閉部にかかる加速度に基づいて開閉部に対するユーザによる手動操作を検出し、当該手動操作に要するユーザの操作力が一定となるように開閉部に対する駆動力を制御する場合がある。このような場合、路面の傾斜等により開閉部が通常時(路面が水平な場合等)に対して傾いていると、開閉部に当該傾きに応じて変化する荷重(自重)がかかり、駆動力を適切に制御することが困難となる。そのため、従来技術においては、使用状況によってユーザの操作力が変動し、操作感が悪くなる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の実施形態が解決しようとする課題の一つは、開閉部が傾いている状態であっても開閉部の駆動力を適切に制御可能な操作補助システム及び制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、開閉部に対するユーザによる操作を補助する操作補助システムであって、開閉部にかかる加速度を検出するセンサと、開閉部を変位させる駆動力を発生させる駆動部と、センサにより検出された加速度に基づいて、ユーザが開閉部に力を加えることにより開閉部を開放又は閉鎖させる手動操作を検出する手動操作検出部と、手動操作が検出された場合に、当該手動操作に要するユーザの操作力を軽減するように駆動部を制御する駆動制御部と、を備え駆動制御部は、開閉部に対して手動操作の方向にかかる荷重の総量である総荷重と、開閉部に対して手動操作の方向にかかる開閉部の重量である自重と、に基づいて、操作力が一定となるように、駆動力の目標値である目標駆動力を算出する。
【0007】
上記構成によれば、開閉部に対する手動操作が検出された場合に、開閉部に対して手動操作の方向かかる総荷重と自重とに基づいて、ユーザの操作力が一定となるように目標駆動力が算出される。これにより、開閉部の傾き等によって総荷重や自重が変化する場合であっても、開閉部の駆動力を適切に制御でき、ユーザに良好な操作感を与えることが可能となる。
【0008】
また、上記構成において、駆動制御部は、総荷重をT、自重をT1、操作力をT2、目標駆動力をT3とするとき、下記式(1)に基づいて目標駆動力を算出してもよい。
T=T1+T2+T3 …(1)。
【0009】
上記構成によれば、総荷重や自重の変化に応じて目標駆動力を適切に算出できる。
【0010】
また、上記構成において、駆動制御部は、開閉部が回転軸を中心に回動する際の角加速度に基づいて総荷重を算出してもよい。
【0011】
上記構成によれば、状況に応じて変化する開閉部の総荷重を適切に算出できる。
【0012】
また、上記構成において、駆動制御部は、センサにより検出された加速度に基づいて開閉部の傾きを算出し、当該傾きに基づいて自重を算出してもよい。
【0013】
上記構成によれば、センサにより検出された開閉部にかかる加速度を利用して開閉部の自重を算出できる。すなわち、同一のセンサによる検出結果に基づいて、手動操作の検出と、開閉部の自重の算出と、を実施できる。
【0014】
また、本発明の他の実施形態は、開閉部を変位させる駆動力を発生させる駆動部を制御するための処理を実行する制御装置であって、開閉部にかかる加速度に基づいて、ユーザが開閉部に力を加えることにより開閉部を開放又は閉鎖させる手動操作を検出する手動操作検出部と、手動操作が検出された場合に、当該手動操作に要するユーザの操作力を軽減するように駆動部を制御する駆動制御部と、を備え、駆動制御部は、開閉部に対して手動操作の方向にかかる荷重の総量である総荷重と、開閉部に対して手動操作の方向にかかる開閉部の重量である自重と、に基づいて、操作力が一定となるように、駆動力の目標値である目標駆動力を算出する。
【0015】
上記構成によれば、開閉部に対する手動操作が検出された場合に、開閉部に対して手動操作の方向かかる総荷重と自重とに基づいて、ユーザの操作力が一定となるように目標駆動力が算出される。これにより、開閉部の傾き等によって総荷重や自重が変化する場合であっても、開閉部の駆動力を適切に制御でき、ユーザに良好な操作感を与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態の操作補助システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態のドアの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態のECUの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態の総荷重、自重、操作力及び目標駆動力の関係の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態の総荷重及び自重の算出方法の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態において傾斜している路面上の車両のドアに対して閉鎖操作を行う場合における総荷重、自重、操作力及び目標駆動力の関係の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態において傾斜している路面上の車両のドアに対して開放操作を行う場合における総荷重、自重、操作力及び目標駆動力の関係の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態のECUによる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、並びに当該構成によりもたらされる作用、結果及び効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によりも実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0018】
図1は、実施形態の操作補助システムSのシステム構成の一例を示す図である。本実施形態の操作補助システムSは、四輪自動車等の車両1に搭載されたドア2(開閉部の一例)に対するユーザ(乗員等)による操作を補助するシステムである。
【0019】
操作補助システムSは、駆動ユニット11(駆動部の一例)、ロック機構12、加速度センサ13(センサの一例)、障害物センサ14及びECU(Electronic Control Unit)15(制御装置の一例)を有する。
【0020】
駆動ユニット11は、ドア2を変位させる駆動力を発生させるユニットであり、例えば電動モータ、リンク機構等を含むアクチュエータを利用して構成され得る。駆動ユニット11は、例えばドア2のヒンジ部等に設置され、後述するECU15からの制御信号に応じてドア2を開放方向又は閉鎖方向に変位させる駆動力を発生させる。
【0021】
ロック機構12は、ドア2を施錠状態又は解放状態のどちらかに切り替える機構である。本実施形態のロック機構12は、ECU15からの制御信号に応じて電気的に作動するアクチュエータを備え、当該制御信号に応じて施錠状態と解放状態とを切り替える。
【0022】
加速度センサ13は、ドア2にかかる加速度を検出するセンサである。加速度センサ13は、例えば互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向のそれぞれの加速度を検出可能な3軸加速度センサ等であり得る。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、例えば、車両1の幅(左右)方向、前後方向及び上下方向等であり得る。加速度センサ13は、例えば各ドア2の内部に設置される。加速度センサ13は、ECU15と一体的に構成されてもよい。
【0023】
障害物センサ14は、車両1の周辺に存在する障害物を検出するセンサである。障害物センサ14は、例えば車体(ドア2等)から障害物までの距離を測定可能な測距センサであり、例えば超音波センサ、ミリ波センサ、LiDAR(Light Detection And Ranging)センサ等であり得る。
【0024】
ECU15は、駆動ユニット11及びロック機構12を制御する情報処理装置である。ECU15は、例えばCPU(Central Processing Unit)、メモリ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、入力I/F(Interface)、出力I/F等を利用して構成され得る。ECU15は、車両1に搭載されたバッテリ21と所定の電送路を介して接続している。また、ECU15は、車両1に搭載された他ECU22やユーザI/F23等とCAN(Controller Area Network)等の通信網を介して接続している。他ECU22は、例えば車両1の走行を制御するための処理を行うECU等であり得る。ユーザI/F23は、例えば車内に搭載されユーザ(乗員)により設定操作等が可能な操作ユニット等であり得る。
【0025】
本実施形態のECU15は、加速度センサ13等から取得した情報に基づいて、ドア2に対するユーザによる操作を補助するように駆動ユニット11等を制御するための処理を実行する。
【0026】
図2は、実施形態のドア2の構成の一例を示す図である。
図2において、本実施形態の操作補助システムSが搭載された車両1の上面図が例示されている。
図2に示されるように、本実施形態のドア2は、回転軸Axを中心に回動するヒンジドアである。本実施形態の操作補助システムSは、ユーザがドア2に対して力を加えることによりドア2を開放又は閉鎖させる手動操作を行う際に、当該手動操作を補助するための処理を実行する。
【0027】
図3は、実施形態のECU15の機能構成の一例を示す図である。ECU15は、取得部101、手動操作検出部102及び駆動制御部103を有する。これらの機能部101~103は、ECU15を構成するハードウェア(CPU等)とソフトウェア(メモリに記憶されたプログラム等)との協働により構成される。また、機能部101~103のうち少なくとも1つが専用のハードウェア(回路等)により構成されてもよい。
【0028】
取得部101は、手動操作の補助の対象となっているドア2にかかる加速度と、当該ドア2の回転軸Axの角加速度と、を取得する。加速度は、当該ドア2に設置された加速度センサ13から取得される。角加速度は、適宜な手法により取得されればよいが、例えば、当該ドア2に設置された駆動ユニット11に内蔵されたホールセンサ等から取得され得る。
【0029】
手動操作検出部102は、取得部101により取得された加速度に基づいて、ユーザがドア2に対して行う手動操作(開放操作又は閉鎖操作)を検出する。加速度に基づく手動操作の検出方法は、特に限定されるものではなく、公知の技術を適宜用いて実現されればよいが、例えば、加速度の時系列変化の特徴に基づくルールベース処理や、加速度等を入力として手動操作の有無を推定する学習済みモデルを利用する方法等が利用され得る。
【0030】
駆動制御部103は、手動操作検出部102により手動操作が検出された場合に、当該手動操作に要するユーザの操作力を軽減するように駆動ユニット11を制御する。本実施形態の駆動制御部103は、総荷重演算部111、自重演算部112及び目標駆動力演算部113を有する。
【0031】
総荷重演算部111は、ドア2に対して手動操作の方向にかかる荷重の総量である総荷重を算出する。総荷重は、適宜な手法により算出され得るが、例えば、ドア2が回転軸Axを中心に回動する際の角加速度に基づいて算出され得る。手動操作の方向は、手動操作検出部102により検出された手動操作が開放操作である場合にはドア2を開放させる方向となり、当該手動操作が閉鎖操作である場合にはドア2を閉鎖させる方向となる。
【0032】
自重演算部112は、ドア2に対して手動操作の方向にかかるドア2の重量である自重を算出する。自重は、適宜な手法により算出され得るものであるが、例えば、対象となっているドア2に設置された加速度センサ13により検出された加速度に基づいて算出されるドア2の傾きに基づいて算出され得る。なお、自重は、ドア2の傾きだけでなく、ドア2の重量(質量)、ドア2の重心位置等の他のパラメータにも基づいて算出される。
【0033】
目標駆動力演算部113は、総荷重演算部111により算出された総荷重と、自重演算部112により算出された自重と、に基づいて、ユーザによる手動操作の操作力が一定となるように、駆動ユニット11の駆動力の目標値である目標駆動力を算出する。
【0034】
図4は、実施形態の総荷重T、自重T1、操作力T2及び目標駆動力T3の関係の一例を示す図である。
図4において、車両1の右側のドア2が手動操作及びその補助の対象となるドアである場合における総荷重T、自重T1、操作力T2及び目標駆動力T3の関係が例示されている。
図4に示されるように、総荷重T、自重T1、操作力T2及び目標駆動力T3の間には、下記式(1)で表される関係が成り立つ。
【0035】
T=T1+T2+T3 …(1)
【0036】
本実施形態の目標駆動力演算部113は、上記式(1)に基づいて目標駆動力T3を算出する。目標駆動力T3は、状況に応じて変化する総荷重T及び自重T1に基づいて、ユーザによる操作力T2が一定となるように算出される。
【0037】
図5は、実施形態の総荷重T及び自重T1の算出方法の一例を説明するための図である。ドア2にかかる総荷重Tは、ドア2が回転軸Axを中心に回動する際の角加速度αに基づいて算出され得る。角加速度αは、適宜な手法により取得され得るものであるが、例えばドア2を回動させる駆動力を発生させる駆動ユニット11に内蔵されるホールセンサ等から出力される信号に基づいて取得され得る。自重T1は、例えば、ドア2に設置された加速度センサ13により検出される加速度に基づいて算出されるドア2の傾きθと、ドア2の重量(質量)mと、ドア2の重心位置(本例では回転軸Axから重心Cまでの距離)rと、に基づいて算出され得る。本例における傾きθは、水平面Hとドア2の回転軸Axとのなす角度であるが、当該傾きの定義はこれに限定されるものではない。
【0038】
総荷重T及び自重T1は、ドア2に対してなされる手動操作の方向(閉鎖動作であるか開放動作であるか)、車両1が停車している路面Rの状態等に応じて変化する。
【0039】
図6は、実施形態において傾斜している路面R上の車両1のドア2に対して閉鎖操作を行う場合における総荷重T、自重T1、操作力T2及び目標駆動力T3の関係の一例を示す図である。
図6において、車両1が右下がり状態(右側面が左側面より下方に位置するように車両1が傾いた状態)にあり、車両1の右側のドア2に対して閉鎖操作を行う場合が例示されている。このような場合、ドア2を閉鎖する方向への総荷重Tは正の値となり、ドア2の自重T1は負の値となる。そして、目標駆動力T3は、ユーザによる操作力T2を正の値で且つ一定の値(定数K1>0)とみなしたときに、総荷重T及び自重T1に基づいて定まる可変値となる。
【0040】
図7は、実施形態において傾斜している路面R上の車両1のドア2に対して開放操作を行う場合における総荷重T、自重T1、操作力T2及び目標駆動力T3の関係の一例を示す図である。
図7において、車両1が右下がり状態にあり、車両1の右側のドア2に対して開放操作を行う場合が例示されている。このような場合、ドア2を開放する方向への総荷重Tは正の値となり、ドア2の自重T1は正の値となる。そして、目標駆動力T3は、ユーザによる操作力T2を正の値で且つ一定の値(定数K2>0)とみなしたときに、総荷重T及び自重T1に基づいて定まる可変値となる。
【0041】
図8は、実施形態のECU15による処理の一例を示すフローチャートである。手動操作検出部101は、加速度センサ13により検出された加速度に基づいてドア2に対する手動操作の有無を判定する(S101)。手動操作が検出されない場合(S101:No)、本ルーチンを終了し、手動操作が検出された場合(S101:Yes)、駆動制御部103(総荷重演算部111)は、ドア2の角加速度αに基づいて当該ドア2に対して手動操作の方向にかかる総荷重Tを算出する(S102)。
【0042】
その後、駆動制御部103(自重演算部112)は、ドア2にかかる加速度に基づいて当該ドア2の傾きθを算出し(S103)、当該傾きθに基づいて当該ドア2に対して手動操作の方向にかかる自重T1を算出する(S104)。
【0043】
その後、駆動制御部103(目標駆動力演算部113)は、算出された総荷重T及び自重T1に基づいて、ユーザの操作力T2が一定となるように、目標駆動力T3を算出する(S105)。そして、駆動制御部103は、算出された目標駆動力T3に基づいて、当該ドア2に設置された駆動ユニット11を制御する(S106)。
【0044】
上記実施形態によれば、ドア2に対する手動操作が検出された場合に、ドア2に対して手動操作の方向にかかる荷重の総量である総荷重Tと、ドア2に対して手動操作の方向にかかるドア2の自重T1と、が算出され、総荷重Tと自重T1とに基づいて、ユーザの操作力T2が一定となるように目標駆動力T3が算出される。これにより、ドア2の傾き等によって総荷重Tや自重T1が変化する場合であっても、ドア2の駆動力を適切に制御でき、ユーザに良好な操作感を与えることが可能となる。
【0045】
上記実施形態又は変形例の操作補助システムSの機能を実現するための処理をコンピュータ(ECU15等)に実行させるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0046】
以上、本発明の実施形態及びその変形例を説明したが、上記実施形態及びその変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態又はその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。この実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1…車両、2…ドア、11…駆動ユニット、12…ロック機構、13…加速度センサ、14…障害物センサ、15…ECU、101…取得部、102…手動操作検出部、103…駆動制御部、111…総荷重演算部、112…自重演算部、113…目標駆動力演算部、Ax…回転軸、C…重心、H…水平面、m…重量(質量)、R…路面、r…重心位置、S…操作補助システム、T…総荷重、T1…自重、T2…操作力、T3…目標駆動力、α…角加速度、θ…傾き