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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120714
(43)【公開日】2024-09-05
(54)【発明の名称】制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/70 20060101AFI20240829BHJP
【FI】
F16K31/70 Z
F16K31/70 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023027712
(22)【出願日】2023-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茂木 隆
(72)【発明者】
【氏名】柳屋 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】今井 邦俊
【テーマコード(参考)】
3H057
【Fターム(参考)】
3H057AA03
3H057BB09
3H057CC06
3H057DD11
3H057EE01
3H057FA17
3H057FB15
3H057HH01
3H057HH18
(57)【要約】
【課題】流量制御性の変化を抑制できる制御弁を提供する。
【解決手段】可変オリフィス装置1は、流体が流れる弁口34を有するケース10と、ケース10に収容される弁体40と、を有する。ケース10は、円筒形状を有する樹脂製のケース本体20と、ケース本体20の第1端21に連設された、弁口34を有するシート30と、を有する。弁体40が、丸棒形状を有する樹脂製の軸部50と、軸部50の第1端51に連設された、弁口34と向かい合う弁部60と、を有する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる弁口を有するケースと、前記ケースに収容される弁体と、を有し、前記流体の温度変化に応じて生じる前記ケースおよび前記弁体の伸縮量の差によって前記弁口の開口面積が変化する制御弁であって、
前記ケースが、筒形状を有するケース本体と、前記ケース本体の第1端に連設された、前記弁口を有するシートと、を有し、
前記弁体が、棒形状または筒形状を有する軸部と、前記軸部の第1端に連設された、前記弁口と向かい合う弁部と、を有し、
少なくとも前記ケース本体および前記軸部が樹脂製であることを特徴とする制御弁。
【請求項2】
前記ケースが、前記弁部が配置される弁室と、前記弁室と前記ケースの外側とを接続する横孔と、を有している、請求項1に記載の制御弁。
【請求項3】
前記ケース本体の外周面に流通孔が設けられ、
前記流通孔が、前記ケース本体の内側空間に接続されている、請求項2に記載の制御弁。
【請求項4】
前記ケース本体の第2端側の端面に流通孔が設けられ、
前記流通孔が、前記ケース本体の内側空間に接続されている、請求項1に記載の制御弁。
【請求項5】
前記軸部の少なくとも第2端が、前記ケースの外側に露出しており、
前記軸部の外周面に、流通溝が設けられ、
前記流通溝が、前記軸部における前記ケース本体の内側空間に配置される部分から前記ケースの外側に露出する部分まで延びている、請求項1に記載の制御弁。
【請求項6】
前記軸部が、筒形状を有し、
前記軸部の第2端が、前記ケースの外側に配置されており、
前記軸部の第2端側の端面に、流通孔が設けられ、
前記流通孔が、前記軸部の内側空間に接続されている、請求項1に記載の制御弁。
【請求項7】
前記弁体を構成する樹脂の線膨張係数をα1、膨潤伸び率をβ1とし、
前記ケースを構成する樹脂の線膨張係数をα2、膨潤伸び率をβ2とし、
前記弁体における前記流体の温度変化に応じて伸縮する部分の長さをL1とし、
前記ケースにおける前記流体の温度変化に応じて伸縮する部分の長さをL2とし、
前記流体の使用温度範囲の上限温度と下限温度との差をDtとしたとき、
以下の式(1)を満たす、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の制御弁。
(α2×Dt×L2)-(α1×Dt×L1)>|(β2×L2)-(β1×L1)|
・・・(1)
【請求項8】
前記弁体を構成する樹脂の線膨張係数をα1、膨潤伸び率をβ1とし、
前記ケースを構成する樹脂の線膨張係数をα2、膨潤伸び率をβ2とし、
前記弁体における前記流体の温度変化に応じて伸縮する部分の長さをL1とし、
前記ケースにおける前記流体の温度変化に応じて伸縮する部分の長さをL2としたとき、
以下の式(2)を満たす、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の制御弁。
(α2×L2)-(α1×L1)>|(β2×L2)-(β1×L1)|
・・・(2)
【請求項9】
前記弁体を構成する樹脂の膨潤伸び率をβ1とし、
前記ケースを構成する樹脂の膨潤伸び率をβ2としたとき、
以下の式(3)を満たす、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の制御弁。
(β2×L2)-(β1×L1)=0 ・・・(3)
【請求項10】
前記流体の温度が使用温度範囲の下限温度であるとき、前記弁部が前記シートに接し、
前記弁部が前記シートに押しつけられる力が、前記ケースおよび前記弁体を構成する材料の許容応力のうちの最も低い許容応力以下である、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の制御弁。
【請求項11】
前記弁体を構成する樹脂の線膨張係数と、前記ケースを構成する樹脂の線膨張係数と、が異なる、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の制御弁。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を流れる流体の温度に応じて流量を制御する制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の制御弁の一例が特許文献1に開示されている。この制御弁は、例えば、冷媒などの流体が流れる管路(流路)に組み込まれる。制御弁は、ケースと、弁体と、を有する。ケースは、樹脂製であり、円筒形状を有する。弁体は、金属製であり、丸棒形状を有する。弁体は、ケースに収容される。ケースの第1端には、弁口および横孔が設けられている。弁体の第1端が、弁口と向かい合う。弁体の第2端が、ケースの第2端にねじ構造によって取り付けられる。管路を流れる流体は、横孔からケースに入り、ケースの弁口から出ていく。
【0003】
管路を流れる流体の温度が変化すると、ケースおよび弁体が伸縮する。ケースおよび弁体の伸縮量の差によって、弁口の開口面積が変化する。そのため、制御弁は、管路を流れる流体の温度に応じて流体の流量を自動的に制御できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-086902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂は、液体の中に浸漬されたり、蒸気にさらされたりすることにより体積が増大する特性を有する。この特性は、「膨潤」(JISK6900)と呼ばれる。金属は、このような特性を有しない。そのため、従来の制御弁では、流体に浸漬されたケースが膨潤して、ケースの長さが大きくなり、流体の温度と流体の流量との関係(流量制御性)が変化することがある。
【0006】
そこで、本発明は、流量制御性の変化を抑制できる制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る制御弁は、流体が流れる弁口を有するケースと、前記ケースに収容される弁体と、を有し、前記流体の温度変化に応じて生じる前記ケースおよび前記弁体の伸縮量の差によって前記弁口の開口面積が変化する制御弁であって、前記ケースが、筒形状を有するケース本体と、前記ケース本体の第1端に連設された、前記弁口を有するシートと、を有し、前記弁体が、棒形状または筒形状を有する軸部と、前記軸部の第1端に連設された、前記弁口と向かい合う弁部と、を有し、少なくとも前記ケース本体および前記軸部が樹脂製であることを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記ケースが、前記弁部が配置される弁室と、前記弁室と前記ケースの外側とを接続する横孔と、を有している、ことが好ましい。
【0009】
本発明において、前記ケース本体の外周面に流通孔が設けられ、前記流通孔が、前記ケース本体の内側空間に接続されている、ことが好ましい。
【0010】
本発明において、前記ケース本体の第2端側の端面に流通孔が設けられ、前記流通孔が、前記ケース本体の内側空間に接続されている、ことが好ましい。
【0011】
本発明において、前記軸部の少なくとも第2端が、前記ケースの外側に露出しており、前記軸部の外周面に、流通溝が設けられ、前記流通溝が、前記軸部における前記ケース本体の内側空間に配置される部分から前記ケースの外側に露出する部分まで延びている、ことが好ましい。
【0012】
本発明において、前記軸部が、筒形状を有し、前記軸部の第2端が、前記ケースの外側に配置されており、前記軸部の第2端側の端面に、流通孔が設けられ、前記流通孔が、前記軸部の内側空間に接続されている、ことが好ましい。
【0013】
本発明において、
前記弁体を構成する樹脂の線膨張係数をα1、膨潤伸び率をβ1とし、
前記ケースを構成する樹脂の線膨張係数をα2、膨潤伸び率をβ2とし、
前記弁体における前記流体の温度変化に応じて伸縮する部分の長さをL1とし、
前記ケースにおける前記流体の温度変化に応じて伸縮する部分の長さをL2とし、
前記流体の使用温度範囲の上限温度と下限温度との差をDtとしたとき、
以下の式(1)を満たす、ことが好ましい。
(α2×Dt×L2)-(α1×Dt×L1)>|(β2×L2)-(β1×L1)|
・・・(1)
【0014】
本発明において、
前記弁体を構成する樹脂の線膨張係数をα1、膨潤伸び率をβ1とし、
前記ケースを構成する樹脂の線膨張係数をα2、膨潤伸び率をβ2とし、
前記弁体における前記流体の温度変化に応じて伸縮する部分の長さをL1とし、
前記ケースにおける前記流体の温度変化に応じて伸縮する部分の長さをL2としたとき、
以下の式(2)を満たす、ことが好ましい。
(α2×L2)-(α1×L1)>|(β2×L2)-(β1×L1)|
・・・(2)
【0015】
本発明において、
前記弁体を構成する樹脂の膨潤伸び率をβ1とし、
前記ケースを構成する樹脂の膨潤伸び率をβ2としたとき、
以下の式(3)を満たす、ことが好ましい。
(β2×L2)-(β1×L1)=0 ・・・(3)
【0016】
本発明において、前記流体の温度が使用温度範囲の下限温度であるとき、前記弁部が前記シートに接し、前記弁部が前記シートに押しつけられる力が、前記ケースおよび前記弁体を構成する材料の許容応力のうちの最も低い許容応力以下である、ことが好ましい。
【0017】
本発明において、前記弁体を構成する樹脂の線膨張係数と、前記ケースを構成する樹脂の線膨張係数と、が異なる、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、制御弁において、少なくともケース本体および弁体の軸部が樹脂製である。そのため、ケースおよび弁体がともに膨潤するので、ケースのみ膨潤する構成に比べて、制御弁の流量制御性の変化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例に係る可変オリフィス装置が管路に組み込まれた状態を示す図である。
図2】可変オリフィス装置を示す図である。
図3】可変オリフィス装置の拡大断面図である。
図4】可変オリフィス装置の第1変形例を示す図である。
図5】可変オリフィス装置の第2変形例を示す図である。
図6】可変オリフィス装置の第3変形例を示す図である。
図7】可変オリフィス装置の第4変形例を示す図である。
図8】可変オリフィス装置の第5変形例を示す図である。
図9図8の可変オリフィス装置の拡大断面図である。
図10】可変オリフィス装置の第6変形例を示す図である。
図11図10の可変オリフィス装置の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施例に係る可変オリフィス装置について、図1図11を参照して説明する。可変オリフィス装置は、制御弁の一例である。
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係る可変オリフィス装置が管路に組み込まれた状態を示す図である。図2は、可変オリフィス装置を示す図である。図3は、可変オリフィス装置の拡大断面図である。図4図8図10は、可変オリフィス装置の第1~第6変形例を示す図である。図9図11は、可変オリフィス装置の第5、第6変形例の拡大断面図である。
【0022】
図2A図4A図5A図6A図7A図8A図10Aは、可変オリフィス装置の平面図である。図1A図2B図3図4B図5B図6B図7B図8B図9図10B図11は、可変オリフィス装置の中心軸に沿う断面図であり、各図(図10B図11を除く)において弁体を正面から見た状態で示している。図1B図2C図4C図5C図6C図7C図8C図10Cは、可変オリフィス装置の左側面図である。図1C図2D図4D図5D図6D図7D図8D図10Dは、可変オリフィス装置の右側面図である。図1Aの一点鎖線は、可変オリフィス装置のケース本体の中心軸である。平面図および断面図の左右方向が中心軸方向である。
【0023】
本実施例に係る可変オリフィス装置は、エアコンシステムの管路に組み込まれる。可変オリフィス装置は、管路を流れる流体(冷媒)の流量を制御する。可変オリフィス装置は、例えば、流体の温度が上がると流量を増加させ、流体の温度が下がると流量を減少させる。
【0024】
図1図3に示すように、可変オリフィス装置1は、ケース10と、弁体40と、ロックナット70と、を有する。可変オリフィス装置1は、管路100に組み込まれる。
【0025】
ケース10は、ケース本体20と、シート30と、を有する。
【0026】
ケース本体20は、例えば、ポリアミド(PA)などの樹脂製である。ケース本体20は、円筒形状を有する。ケース本体20は、角筒形状を有していてもよい。ケース本体20は、両方の端面に開口を有する。ケース本体20の第1端21の内周面には、第1雌ねじ21cが設けられている。ケース本体20の第2端22の内周面には、第2雌ねじ22cが設けられている。ケース本体20の中央部(第1雌ねじ21cと第2雌ねじ22cとの間の部分)の内周面は、ケース本体20の内側空間24を画定する。
【0027】
ケース本体20の第1端21は、ケース本体20の一端(図2A図2B図3において左端)およびその近傍を含む。ケース本体20の第2端22は、ケース本体20の他端(図2A図2B図3において右端)およびその近傍を含む。
【0028】
シート30は、例えば、ステンレス鋼や真ちゅう、アルミニウム合金などの金属製である。シート30は、例えば、樹脂製でもよい。シート30は、ケース本体20と一体的に樹脂で成形されていてもよい。シート30は、支持部31と、中間部32と、接続部33と、を一体的に有する。支持部31と中間部32と接続部33とは、この順番で同軸に接続されている。
【0029】
支持部31は、円柱形状を有する。支持部31の外径は、管路100の内径と同一である。支持部31の外径は、管路100を縮径変形させたときに管路100に固定可能であれば、管路100の内径より小さくてもよい。支持部31は、弁口34と、弁座35と、環状溝36と、を有する。弁口34は、円形の孔である。弁口34は、中心軸方向に延びており、支持部31を貫通している。弁座35は、円環形状を有する。弁座35は、支持部31における中間部32側の端面に配置されている。弁座35は、弁口34を囲む。環状溝36は、支持部31の外周面に周方向全体にわたって配置されている。
【0030】
中間部32は、例えば円筒形状を有する。中間部32の外径は、支持部31の外径より小さく、ケース本体20の外径と同一である。中間部32は、1つまたは複数の横穴37を有する。中間部32は、本実施形態では一例として、2つの横孔37を有する。2つの横孔37は、例えば円形の孔であり、中間部32の外周面から内周面まで貫通している。2つの横孔37は、中間部32および接続部33の内周面によって画定される内側空間である弁室38に接続されている。2つの横孔37は、弁室38とケース10の外側とを接続する。弁室38は、内側空間24に接続されている。2つの横孔37は、上下方向に向かい合う。弁室38には、弁口34が開口している。
【0031】
接続部33は、円筒形状を有する。接続部33の外径は、中間部32の外径より小さい。接続部33の内径は、中間部32の内径と同一である。接続部33の外周面には、シート雄ねじ33cが設けられている。シート雄ねじ33cがケース本体20の第1雌ねじ21cと螺合され、シート30がケース本体20の第1端21に連設される。
【0032】
弁体40は、ケース10に収容される。弁体40は、軸部50と、弁部60と、を一体的に有する。
【0033】
軸部50は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの樹脂製である。軸部50は、ケース本体20と種類の異なる樹脂で構成されていることが好ましい。軸部50は、丸棒形状を有する。軸部50は、角棒形状や円筒形状を有していてもよい。軸部50の外径は、ケース本体20の中央部の内径(内側空間24の径)より小さい。内側空間24には、軸部50が配置される。軸部50の外径は、シート30の中間部32の内径および接続部33の内径と同一である。軸部50は、中間部32および接続部33によって中心軸方向に伸縮可能に支持されている。軸部50の第1端51には、弁部60が同軸に接続されている。軸部50の第2端52の外周面には、弁体雄ねじ52cが設けられている。軸部50の第2端52側の端面には、当該端面の直径に沿う溝53が設けられている。
【0034】
軸部50の第1端51は、軸部50の一端(図2B図3において左端)およびその近傍を含む。軸部50の第2端52は、軸部50の他端(図2B図3において右端)およびその近傍を含む。
【0035】
弁体40の軸部50の弁体雄ねじ52cは、ケース本体20の第2雌ねじ22cと螺合される。弁体雄ねじ52cの一部分は、ケース本体20の外側に配置される。弁体雄ねじ52cにおけるケース本体20の外側に配置された一部分はロックナット70と螺合され、軸部50の第2端52がケース本体20の第2端22に固定される。
【0036】
弁部60は、例えば、PPSなどの樹脂製である。弁部60は、軸部50と一体的に樹脂で成形されている。弁部60は、例えば、ステンレス鋼や真ちゅう、アルミニウム合金などの金属製でもよい。弁部60は、円柱形状を有する。弁部60の外径は、軸部50の外径より小さく、弁口34の内径より大きい。弁部60の先端61は、円錐形状を有する。弁部60は、弁室38に配置される。弁部60の先端61は、弁口34と中心軸方向に向かい合う。
【0037】
管路100を流れる流体は、横孔37を通り弁室38に流入し、弁室38から弁口34を通り管路100に流出する。または、管路100を流れる流体は、弁口34を通り弁室38に流入し、弁室38から横孔37を通り管路100に流出する。そして、流体の温度変化に応じて生じるケース10および弁体40の伸縮量の差によって弁口34の開口面積が変化する。
【0038】
可変オリフィス装置1は、一例として、弁部60の先端61が弁座35に弁体40側から接することで、弁口34を閉じる構成である。しかしながら、可変オリフィス装置1は、弁部60が弁口34の開口縁となる弁座35に接することで弁口34を閉じる構成に限定されない。他の例では、可変オリフィス装置1は、弁部60が弁口34の縁に当接する構成ではなく、弁部60が弁口40内に進入して弁部60の外周面と弁口34の内周面とによって弁口34を閉じる構成、または、弁部60の外周面と弁口34の内周面とによって流路を設ける構成であってもよい。すなわち、この変形例では、弁部60は、弁口34に進入可能な形状に形成される。そして、弁部60は、弁部60が弁口34に進入したときに弁部60の外周面が弁口34の内周面に面接触することで弁口34を閉じる形状に形成されてもよい。または、弁部60は、弁口34に進入したときに、弁口34の内周面との間に隙間(最小絞り通路)を形成して少量の流体が流れる形状に形成されてもよい。
【0039】
または、弁部60の外径が、中間部32の内径(弁室38の径)と同一であり、弁部60が横孔37と径方向に向かい合うようにしてもよい。このようすることで、横孔37が弁口となり、流体の温度変化に応じて生じるケース10および弁体40の伸縮量の差によって横孔37の開口面積が変化する。
【0040】
可変オリフィス装置1において、ケース本体20、シート30(弁口34、弁室38)、弁体40(軸部50、弁部60)およびロックナット70は、それぞれの中心軸が一致している。
【0041】
可変オリフィス装置1は、例えば、次のようにして組み立てられる。
【0042】
軸部50の第2端52を先頭にして、弁体40を第1端21側の端面の開口からケース本体20に挿入する。弁体40の弁体雄ねじ52cをケース本体20の第2雌ねじ22cに螺合させる。弁体雄ねじ52cにおけるケース本体20の外側にある部分にロックナット70を仮螺合させる。シート30のシート雄ねじ33cをケース本体20の第1雌ねじ21cに螺合させて、シート30をケース本体20に取り付ける。弁体40の弁部60が、弁室38に配置され、弁口34と向かい合う。
【0043】
次に、試験装置に接続された管路に可変オリフィス装置1を組み込む。試験装置は、可変オリフィス装置1の組立工程において用いられ、管路を流れる流体(例えば空気)の温度を任意の値に設定できる装置である。試験装置は、所定温度の流体を一定の流量で管路に流す。可変オリフィス装置1の弁口34を通過する流体の流量が流体の温度に応じた設定値になるように、弁体40の溝53にマイナスドライバーを差し込んで弁体40を中心軸周りに回転させる。弁体40は、回転方向に応じて弁口34に近づき、または、弁口34から離れる。弁口34を通過する流体の流量が設定値になると、ロックナット70をケース本体20の第2端22側の端面に当接するように締め付け、弁体40の軸部50の第2端52をケース本体20の第2端22に固定する。このようにして、可変オリフィス装置1が組み立てられ、流量制御性が調整される。
【0044】
可変オリフィス装置1は、エアコンシステムの管路100に挿入される。支持部31の外径が管路100の内径と同一である場合は、支持部31の外周面が、管路100の内周面にスライド可能に接する。管路100における環状溝36に対応する部分が縮径変形されることによって、可変オリフィス装置1が管路100に固定される。なお、可変オリフィス装置1は、環状溝36にOリングが嵌め込まれ、管路100に押し込まれることによって、管路100に固定されてもよい。
【0045】
可変オリフィス装置1は、管路100を流れる流体の温度に応じてケース10および弁体40が伸縮する。ケース10および弁体40の伸縮量の差によって弁体40の弁部60が弁口34に近づきまたは弁口34から離れて、弁口34の開口面積が変化する。これにより、弁口34を流れる流体の流量が流体の温度に応じて自動的に制御される。
【0046】
可変オリフィス装置1は、弁体40(軸部50、弁部60)を構成する樹脂の線膨張係数をα1、膨潤伸び率をβ1とし、ケース10(ケース本体20)を構成する樹脂の線膨張係数をα2、膨潤伸び率をβ2とし、弁体40における流体の温度変化に応じて伸縮する部分の長さをL1とし、ケース10における流体の温度変化に応じて伸縮する部分の長さをL2とし、流体の使用温度範囲の上限温度t2と下限温度t1との差をDtとしたとき、以下の式(1)を満たす。
(α2×Dt×L2)-(α1×Dt×L1)>|(β2×L2)-(β1×L1)|
・・・(1)
【0047】
「線膨張係数」は、「線熱膨張係数」(JISK6900)とも呼ばれ、温度変化1度当たりの単位長さ当たりの材料の長さの可逆的な変化である。具体的には、温度変化をΔTとし、温度変化前の材料の長さをN1とし、温度変化後の材料の長さをN2としたとき、材料の線膨張係数αは以下の式で示される。
α=(N2-N1)/(N1×ΔT)
【0048】
「膨潤伸び率」とは、膨潤による単位長さ当たりの材料の長さの変化である。具体的には、膨潤させる前の材料の長さをN1とし、膨潤による体積の増大が飽和した材料の長さをN2としたとき、材料の膨潤伸び率βは、以下の式で示される。
β=(N2-N1)/N1
【0049】
このようにすることで、流体の温度が下限温度t1から上限温度t2まで変化したときに生じるケース10および弁体40の伸縮量の差(式(1)の左辺)が、膨潤によって生じるケース10および弁体40の伸び量の差(同右辺)よりも大きくなる。そのため、膨潤によって生じる可変オリフィス装置1の流量制御性の変化を効果的に抑制できる。
【0050】
または、可変オリフィス装置1において、以下の式(2)を満たすようにしてもよい。
(α2×L2)-(α1×L1)>|(β2×L2)-(β1×L1)|
・・・(2)
【0051】
このようにすることで、流体の温度が単位温度(1度)だけ変化したときに生じるケース10および弁体40の伸縮量の差(式(2)の左辺)が、膨潤によって生じるケース10および弁体40の伸び量の差(同右辺)よりも大きくなる。そのため、温度変化による伸縮量の差に対して膨潤による伸び量の差が十分に小さくなり、膨潤によって生じる可変オリフィス装置1の流量制御性の変化をより効果的に抑制できる。
【0052】
または、可変オリフィス装置1において、以下の式(3)を満たすようにしてもよい。
(β2×L2)-(β1×L1)=0 ・・・(3)
【0053】
このようにすることで、膨潤によって生じるケース10の伸び量(式(3)の左辺第1項)と弁体40の伸び量(同第2項)とが同一になる。そのため、膨潤によって生じる可変オリフィス装置1の流量制御性への影響を解消できる。
【0054】
例えば、膨潤伸び率β1が0.12であり、膨潤伸び率β2が0.15であるとき、長さL1を100mmとし、長さL2を80mmとする。このようにすることで、上記式(3)を満たし、膨潤によって生じる可変オリフィス装置1の流量制御性への影響を解消できる。
【0055】
なお、可変オリフィス装置1は、部品寸法および材料特性などに許容誤差を含むため、上記式(1)~(3)についても許容誤差の範囲を含む。特に上記式(3)は、左辺の値が、厳密に0の場合と、許容誤差によって生じる0以外の範囲内の値である場合と、を含む。
【0056】
また、可変オリフィス装置1において、弁体40を構成する樹脂の線膨張係数α1と、ケース10を構成する樹脂の線膨張係数α2と、が異なっていてもよい。このようにすることで、流体の温度変化に応じて生じるケース10および弁体40の伸縮量の差を比較的大きくすることができる。なお、線膨張係数α1と線膨張係数α2とが同一でもよい。
【0057】
以上説明したように、可変オリフィス装置1は、流体が流れる弁口34を有するケース10と、ケース10に収容される弁体40と、を有する。可変オリフィス装置1は、流体の温度変化に応じて生じるケース10および弁体40の伸縮量の差によって弁口34の開口面積が変化する。ケース10が、円筒形状を有するケース本体20と、ケース本体20の第1端21に連設された、弁口34を有するシート30と、を有する。弁体40が、丸棒形状を有する軸部50と、軸部50の第1端51に連設された、弁口34と向かい合う弁部60と、を有する。そして、ケース本体20、軸部50および弁部60が樹脂製である。このようにしたことから、ケース10および弁体40がともに膨潤するので、ケース10のみ膨潤する構成に比べて、可変オリフィス装置1の流量制御性の変化を抑制できる。
【0058】
また、可変オリフィス装置1は、流体の温度が使用温度範囲の下限温度t1であるとき、弁部60の先端61がシート30の弁座35に接する構成を有していてもよい。この構成において、先端61が弁座35に押しつけられる力が、ケース10および弁体40を構成する材料の許容応力のうちの最も低い許容応力以下となるようにする。このようにすることで、膨潤によってケース10および弁体40が伸びた場合に部材が変形したり破壊されたりすることを抑制できる。
【0059】
図4図11に、可変オリフィス装置1の変形例を示す。各変形例において、可変オリフィス装置1と同一の構成には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0060】
図4に示す可変オリフィス装置1Aは、ケース10Aと、弁体40と、ロックナット70と、を有する。ケース10Aは、ケース本体20Aと、シート30と、を有する。
【0061】
ケース本体20Aの外周面に、複数の流通孔25Aが設けられている。複数の流通孔25Aは、ケース本体20Aの内側空間24に接続されている。複数の流通孔25Aは、ケース本体20Aの外周面から内周面まで貫通している。複数の流通孔25Aは、円形の孔である。複数の流通孔25Aは、三角形、四角形または六角形などの多角形の孔でもよい。ケース本体20Aは、10個の流通孔25Aを有する。複数の流通孔25Aは、中心軸方向に等間隔で5個ずつ2列に並べられている。一方の列の流通孔25Aと他方の列の流通孔25Aとが上下方向に向かい合う。ケース本体20Aは、流通孔25Aを1個のみ有していてもよい。複数の流通孔25Aを通じて、ケース10Aの外側と内側空間24との間で流体が流れる。
【0062】
可変オリフィス装置1Aは、複数の流通孔25Aを有すること以外は、可変オリフィス装置1と同一の構成を有する。
【0063】
図5に示す可変オリフィス装置1Bは、ケース10Bと、弁体40と、ロックナット70と、を有する。ケース10Bは、ケース本体20Bと、シート30と、を有する。
【0064】
ケース本体20Bの外周面に、複数の流通孔25Bが設けられている。複数の流通孔25Bは、ケース本体20Bの内側空間24に接続されている。複数の流通孔25Bは、ケース本体20Bの外周面から内周面まで貫通している。複数の流通孔25Bは、長円形の孔である。ケース本体20Bは、2個の流通孔25Bを有する。2個の流通孔25Bは、上下方向に向かい合う。ケース本体20Bは、流通孔25Bを4個有していてもよく、4個の流通孔25Bが中心軸周りに等間隔で配置されていてもよい。複数の流通孔25Bを通じて、ケース10Bの外側と内側空間24との間で流体が流れる。
【0065】
可変オリフィス装置1Bは、複数の流通孔25Bを有すること以外は、可変オリフィス装置1と同一の構成を有する。
【0066】
図6に示す可変オリフィス装置1Cは、ケース10Cと、弁体40と、ロックナット70と、を有する。ケース10Cは、ケース本体20Cと、シート30と、を有する。
【0067】
ケース本体20Cの外周面に、流通孔25Cが設けられている。流通孔25Cは、ケース本体20Cの内側空間24に接続されている。流通孔25Cは、ケース本体20Cの外周面から内周面まで貫通している。流通孔25Cは、1条のらせん状の孔である。ケース本体20Cは、流通孔25Cを複数条有していてもよい。流通孔25Cを通じて、ケース10Cの外側と内側空間24との間で流体が流れる。
【0068】
可変オリフィス装置1Cは、流通孔25Cを有すること以外は、可変オリフィス装置1と同一の構成を有する。
【0069】
図7に示す可変オリフィス装置1Dは、ケース10Dと、弁体40と、ロックナット70と、を有する。ケース10Dは、ケース本体20Dと、シート30と、を有する。
【0070】
ケース本体20Dは、樹脂製である。ケース本体20Dは、長円筒形状を有する。ケース本体20Dの両方の端面の外形は、長円形状である。端面の長径は支持部31の外径と同一であり、端面の短径は中間部32の外径と同一である。ケース本体20Dは、両方の端面に開口21k、22kを有する。開口21k、22kは長円形状を有している。開口21kは、ケース本体20Dの第1端21側の端面に設けられている。開口22kは、ケース本体20Dの第2端22側の端面に設けられている。開口22kの長径は、ロックナット70の外径より大きい。ケース本体20Dの第1端21の内周面には、第1雌ねじ21cが設けられている。ケース本体20Dの第2端22の内周面には、第2雌ねじ22cが設けられている。ケース本体20Dの中央部(第1雌ねじ21cと第2雌ねじ22cとの間の部分)の内周面は、ケース本体20Dの内側空間24を画定する。
【0071】
弁体40の軸部50の弁体雄ねじ52cは、ケース本体20Dの第2雌ねじ22cと螺合される。弁体雄ねじ52cの一部分は、ケース本体20Dの外側に配置される。弁体雄ねじ52cにおけるケース本体20Dの外側に配置された一部分はロックナット70と螺合され、軸部50の第2端52がケース本体20Dの第2端22に固定される。このとき、開口22kにおける長径方向の両端部分がケース10Dの外側に露出する。開口22kの少なくとも一部が露出すればよい。開口22kは、ケース本体20Dの内側空間24に接続された流通孔である。開口22kを通じて、ケース10Dの外側と内側空間24との間で流体が流れる。
【0072】
可変オリフィス装置1Dは、長円筒形状のケース本体20Dを有すること以外は、可変オリフィス装置1と同一の構成を有する。
【0073】
図8図9に示す可変オリフィス装置1Eは、ケース10と、弁体40Eと、ロックナット70と、を有する。弁体40Eは、軸部50Eと、弁部60と、を一体的に有する。
【0074】
軸部50Eの外周面に、複数の流通溝55Eが設けられている。複数の流通溝55Eは、軸部50Eの第1端51から第2端52まで中心軸方向に延びている。軸部50Eは、3個の流通溝55Eを有している。軸部50Eは、流通溝55Eを1個のみ有していてもよい。3個の流通溝55Eは、中心軸周りに等間隔で配置されている。複数の流通溝55Eの第1端55aが弁室38に配置され、第2端55bがケース本体20の外側に配置される。複数の流通溝55Eは、弁室38から内側空間24を通りケース本体20の外側まで延びている。一例として、複数の流通溝55Eは、軸部50Eの第2端52側の端面まで延びている。
【0075】
流通溝55Eの第1端55aは、流通溝55Eの一端(図8B図9において左端)およびその近傍を含む。流通溝55Eの第2端55bは、流通溝55Eの他端(図8B図9において右端)およびその近傍を含む。
【0076】
弁体40Eの軸部50Eの弁体雄ねじ52cは、ケース本体20の第2雌ねじ22cと螺合される。弁体雄ねじ52cの一部分は、ケース本体20の外側に配置される。弁体雄ねじ52cにおけるケース本体20の外側に配置された一部分はロックナット70と螺合され、軸部50Eの第2端52がケース本体20の第2端22に固定される。このとき、流通溝55Eの第2端55bがケース10の外側に配置される。なお、軸部50Eの第2端52は、例えば、圧入や接着剤による接着などの固定手段によって、ケース10のケース本体20の第2端22に固定されていてもよい。このような構成において、軸部50Eの第2端52の端面が、ケース本体20の第2端22と面一に配置されていてもよく、ケース本体20の内側に配置されていてもよく、ケース本体20の外側に配置されていてもよい。すなわち、少なくとも軸部50Eの第2端52がケース10の外側に露出していればよい。「第2端52がケース10の外側に露出する構成」は、「第2端52がケース10の外側から視認可能である構成」のことである。流通溝55Eは、ケース本体20の内側空間24に接続された流通孔である。複数の流通溝55Eを通じて、ケース10の外側と内側空間24との間で流体が流れる。流通溝55Eは、軸部50Eにおけるケース本体20の内側空間24に配置される部分からケース10の外側に露出する部分まで延びていればよい。
【0077】
可変オリフィス装置1Eは、複数の流通溝55Eを有すること以外は、可変オリフィス装置1と同一の構成を有する。
【0078】
図10図11に示す可変オリフィス装置1Fは、ケース10と、弁体40Fと、ロックナット70と、を有する。弁体40Fは、軸部50Fと、弁部60と、を一体的に有する。
【0079】
軸部50Fは、樹脂製である。軸部50Fは、円筒形状を有する。軸部50Fの外径は、ケース本体20の中央部の内径(内側空間24の径)より小さい。軸部50Fの外径は、シート30の中間部32の内径および接続部33の内径と同一である。軸部50Fは、中間部32および接続部33によって中心軸方向に伸縮可能に支持されている。軸部50Fの第1端51には、弁部60が同軸に接続されている。軸部50Fの第2端52の外周面には、弁体雄ねじ52cが設けられている。軸部50Fの第2端52側の端面には、当該端面の直径に沿う溝53が設けられている。
【0080】
軸部50Fの第1端51の外周面には、軸部50Fの内周面によって画定される内側空間54Fに接続された開口54aが設けられている。開口54aは、弁室38に配置されている。軸部50Fの第2端52側の端面には、内側空間54Fに接続された開口54bが設けられている。
【0081】
弁体40Fの軸部50Fの弁体雄ねじ52cは、ケース本体20の第2雌ねじ22cと螺合される。弁体雄ねじ52cの一部分は、ケース本体20の外側に配置される。弁体雄ねじ52cにおけるケース本体20の外側に配置された一部分はロックナット70と螺合され、軸部50Fの第2端52がケース本体20の第2端22に固定される。このとき、開口54bがケース10の外側に露出する。開口54bは、軸部50Fの内側空間54Fに接続された流通孔である。開口54bを通じて、ケース10の外側と内側空間54Fとの間で流体が流れる。
【0082】
可変オリフィス装置1Fは、円筒形状の弁体40Fを有すること以外は、可変オリフィス装置1と同一の構成を有する。
【0083】
可変オリフィス装置1A~1Fは、可変オリフィス装置1と同一の作用効果を奏する。
【0084】
可変オリフィス装置1A~1Cにおいて、管路100を流れる流体が流通孔25A~25Cを通じて内側空間24に流れ込む。そのため、流体の温度変化に応じてケース本体20A~20Cおよび弁体40をより速く伸縮させることができる。
【0085】
可変オリフィス装置1Dにおいて、管路100を流れる流体が開口22kを通じて内側空間24に流れ込む。そのため、流体の温度変化に応じてケース本体20Dおよび弁体40をより速く伸縮させることができる。
【0086】
可変オリフィス装置1Eにおいて、管路100を流れる流体が流通溝55Eを通じて内側空間24に流れ込む。そのため、流体の温度変化に応じてケース本体20および弁体40Eをより速く伸縮させることができる。
【0087】
可変オリフィス装置1Fにおいて、管路100を流れる流体が開口54bを通じて内側空間54Fに流れ込む。そのため、流体の温度変化に応じて弁体40Fをより速く伸縮させることができる。
【0088】
可変オリフィス装置1A~1Fにおいて、横孔37以外の流路(例えば、流通孔25A~25C、開口22k、流通溝55E、内側空間54F)を通じて、ケース10、10A~10Dの外側と弁室38との間で流体が十分に流れるのであれば、横孔37を省略してもよい。
【0089】
本明細書において、「円筒」や「円柱」等の形状を示す各用語は、実質的にその用語の形状を有する部材や部材の部分にも用いられている。例えば、「円筒形状の部材」は、円筒形状の部材と実質的に円筒形状の部材とを含む。また、本明細書において、「同一」は、厳密に同一であることと、実質的に同一であることと、を含む。
【0090】
上記に本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例の構成に限定されるものではない。前述の実施例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨に反しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F…可変オリフィス装置
10、10A、10B、10C、10D…ケース
20、20A、20B、20C、20D…ケース本体
21…第1端、21c…第1雌ねじ、21k…開口
22…第2端、22c…第2雌ねじ、22k…開口
24…内側空間
25A、25B、25C…流通孔
30…シート、31…支持部、32…中間部、33…接続部、33c…シート雄ねじ
34…弁口、35…弁座、36…環状溝、37…横孔、38…弁室
40、40E、40F…弁体
50、50E、50F…軸部
51…第1端、
52…第2端、52c…弁体雄ねじ、53…溝
54F…内側空間、54a…開口、54b…開口
55E…流通溝、55a…第1端、55b…第2端
60…弁部、61…先端
70…ロックナット
100…管路

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11